JP5588545B1 - タイヤおよびタイヤ印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐クラック性を維持しながら発色性を向上させる。
【解決手段】タイヤ10はサイド部12の表面に塗料を用いた装飾部15を有する。装飾部15は白塗料層16と色塗料層17とを有する。白塗料層16を装飾部15の少なくとも一部に白色塗料を用いて配置する。色塗料層17を白色塗料と異なる色の色塗料を用いて白塗料層16に積層配置させる。白塗料層16の塗布面の単位面積当たりの塗料面積である塗料面積比率が68%以上である。白塗料層16の塗料面積比率が色塗料層17の塗料面積比率より大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤおよびタイヤ印刷方法に関するものである。
従来、タイヤのサイド部の表面に、標章などを設けることが行われている。標章の視認性および発色性は高いことが望ましいが、タイヤの地色が黒色であるため、視認性および発色性の高い標章などを設けることは難しかった。そこで、標章の視認性を向上させるために、タイヤの地色と異なる色の色領域を設け、その上に、色領域と異なる色の標章を表示することが提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−61922号公報
特許文献1においては、インクの使用量の増加に応じて視認性および発色性を向上させることが可能である。しかし、要求される発色性を得るためには色領域および標章の厚みを増す必要がある。色領域および標章の厚みを増すとタイヤの歪みが色領域および標章に集中し、色領域および標章にクラックが生じる可能性が高まる。それゆえ、耐クラック性を維持しながら、発色性を向上させることが求められている。
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明は、耐クラック性を維持しながら発色性を向上させた装飾部を有するタイヤ、および装飾部の耐クラック性を維持しながら発色性を向上可能なタイヤ印刷方法を提供することを目的とする。
上述した諸課題を解決すべく、本発明のタイヤは、サイド部の表面に塗料を用いた装飾部を備え、該装飾部は、該装飾部の少なくとも一部に白色塗料を用いて配置した白塗料層と、前記白色塗料と異なる色の色塗料を用いて前記白塗料層に積層配置させた色塗料層とを有し、前記白塗料層の塗布面の単位面積当たりの塗料面積である塗料面積比率が68%以上であって、前記白塗料層の前記塗料面積比率が前記色塗料層の塗料面積比率より大きく、前記塗料はUVインキであり、前記白塗料層の厚さが前記色塗料層の厚さより大きく、且つ95μm以下であり、前記色塗料層の厚さに対する前記白塗料層の厚さの比は4.75以下であることを特徴とする。なお、色塗料層および白塗料層の厚さとは、装飾部内におけるそれぞれの最大厚さ位置における厚さをいう。このような構成によれば、耐クラック性を維持しながら装飾部の発色性を向上可能である。また、このような構成によれば、耐クラック性の維持がさらに容易となり、且つ発色性をさらに向上可能である。また、この構成によれば、耐クラック性の維持がさらに容易となる。また、この構成によれば、発色性を十分に向上させながら、耐クラック性の維持がさらに容易となる。
また、本発明のタイヤでは、前記白塗料層および前記色塗料層の合計の厚さが115μm以下であることが好ましい。このような構成によれば、耐クラック性の維持がさらに容易となる
また、本発明のタイヤでは、白塗料層の塗料面積比率が90%以上であることが好ましい。この構成によれば、発色性をさらに向上可能であり、且つ耐クラック性の維持がさらに容易である。
また、本発明のタイヤでは、白塗料層はインクジェット方式を用いた印刷により形成され、インクジェット方式による白色塗料のドット間の間隔が20μm以下であることが好ましい。なお、ドット間の間隔とは、多数ある隣合うドットの外縁間の間隔の中の最大の間隔をいう。このような構成によれば、より十分な発色性を備えることが可能になる。
また、本発明のタイヤ印刷方法は、タイヤのサイド部の表面に塗料を用いた装飾部を印刷するタイヤ印刷方法であって、前記装飾部の少なくとも一部として、塗布面の単位面積当たりの塗料面積である塗料面積比率が68%以上となるように、白色塗料を用いて、白塗料層を配置する配置ステップと、前記塗料面積比率が前記配置ステップにおいて形成した前記白塗料層の塗料面積比率未満となるように、前記白色塗料と異なる色の色塗料を用いて、色塗料層を前記白塗料層に積層配置させる積層配置ステップとを備え、前記塗料はUVインキであり、前記配置ステップでは、前記白塗料層の厚さが前記色塗料層の厚さより大きく、且つ95μm以下であるように、白塗料層を配置し、前記積層配置ステップでは、前記色塗料層の厚さに対する前記白塗料層の厚さの比は4.75以下であるように、前記色塗料層を積層配置することを特徴とする。このような構成によれば、耐クラック性を維持しながら発色性を向上させた装飾部を有するタイヤを得ることが可能である。
上記のように構成された本発明に係るタイヤおよびタイヤ印刷方法によれば、耐クラック性を維持しながら装飾部の発色性を向上可能である。
本発明の一実施形態に係るタイヤの幅方向断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、本発明の一実施形態に係るタイヤについて説明する。図1は、本実施形態に係るタイヤの幅方向断面図である。図1に示すように、タイヤ10は、トレッド部11およびサイド部12を含む。トレッド部11は、路面に接地する。サイド部12は、サイドウォール部13とビード部14を含む。より詳細には、サイド部12は、トレッド踏面のタイヤ幅方向外側の端縁からビード部14のリム嵌合部に至る範囲の部位である。
本実施形態のタイヤ10は、サイド部12に、白色およびその他の色などの塗料を用いて標章および装飾などを表示した装飾部15を備える。装飾部15は、その少なくとも一部に白塗料層16とこれに積層させた色塗料層17とを含む。装飾部15は、サイド部12の周方向に沿って連続または断続する態様でも、またサイド部12に部分的に形成される態様であってもよい。さらに、装飾部15が、白塗料層16と色塗料層17とが積層形成された部分のみからなっていても、その一部に当該部分を含む構成であってもよい。なお、図1において、理解容易のために、白塗料層16および色塗料層17は、誇張した厚さを有する態様で描かれている。
白塗料層16は、装飾部15の少なくとも一部に白色塗料を用いて配置される。白塗料層16は、例えば、インクジェット方式を用いた印刷により、微小な白色塗料を吹付け対象の塗布面全体に分布するように吹付けることにより配置され、塗料面積比率が68%以上であることが必要であり、好ましくは90%以上である。塗布面とは、印刷対象の面において、巨視的に見て塗料が吹付けられない領域を除く、塗料が吹付けられる領域をいう。塗料面積比率とは、塗布面の面積に対する塗料面積の比率、すなわち、塗布面の単位面積当たりの、微小な各白色塗料の合計の塗料面積をいう。また、白塗料層16の塗料面積比率は、色塗料層17の塗料面積比率より大きいことが必要である。また、白塗料層16の厚さが、色塗料層17の厚さより大きいことが好ましい。また、色塗料層17の厚さに対する白塗料層16の厚さの比が1より大きく、10以下であることが好ましい。ここで、色塗料層17および白塗料層16の厚さとは、装飾部15内におけるそれぞれの最大厚さ位置における厚さをいう。また、白塗料層16は、厚さが95μm以下であることが好ましい。また、白塗料層16を構成する微小な白色塗料のドット間の間隔は、20μm以下であることが好ましい。ドット間の間隔とは、多数ある隣合うドットの外縁間の間隔の中の最大の間隔をいう。なお、白塗料層16は、サイド部12の表面に直接形成されても、プライマなどを介して形成されてもよい。
色塗料層17は、白色塗料と異なる色の色塗料を用いて、白塗料層16に積層配置される。色塗料層17は、例えば、インクジェット方式を用いた印刷により、微小な色塗料が白塗料層16の吹付け対象の塗布面全体に分布するように吹付けられることにより、積層配置される。色塗料層17を用いて、白塗料層16上に、例えば、標章および装飾などが施される。なお、色塗料層17は、白塗料層16の表面に直接形成されても、他の層などを介して形成されてもよい。
本実施形態における白色塗料および色塗料は、例えば光重合開始剤、オリゴマー、モノマー、着色剤を主要成分とし、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、分散剤を配合したUVインキである。
次に、上述の本実施形態のタイヤを形成するための、本発明のタイヤ印刷方法の一実施形態に係るタイヤ印刷方法を説明する。最初に、タイヤのサイド部12の表面に、直接または塗装したプライマを介在させて、白色塗料を、例えばインクジェット方式を用いて印刷する。白色塗料の印刷において、塗料面積比率が68%以上となるように、例えばドット密度が調整される。白色塗料の印刷により、タイヤのサイド部12の表面に白色塗料を塗着させ、白塗料層16が配置される(配置ステップ)。
形成された白塗料層16に、直接または他の層を介在させて、色塗料を、例えばインクジェット方式を用いて印刷する。色塗料の印刷において、色塗料層17の塗料面積比率が白塗料層16の塗料面積比率未満となるように、例えばドット密度が調整される。色塗料の印刷により、白塗料層16に色塗料層17が積層配置される(積層配置ステップ)。
以上のような構成の本実施形態のタイヤによれば、白塗料層16の塗料面積比率が68%以上なので、白塗料層16下のタイヤ10の地色が装飾部15に発生させ得るくすみを抑制し、その結果、発色性を向上可能である。また、本実施形態のタイヤによれば、白塗料層16の塗料面積比率が色塗料層17の塗料面積比率より大きいので、色塗料層17下の白塗料層16が部分的に露出する。それゆえ、色塗料層17の発色性をさらに向上可能である。また、本実施形態のタイヤによれば、上述のように、白塗料層16および色塗料層17の塗料面積比率の調整により発色性を向上可能であるため、発色性向上のために白塗料層16および色塗料層17の少なくとも一方を過度に厚くする必要がなく、耐クラック性を維持可能である。
また、白塗料層16の厚さが色塗料層17の厚さより大きくすることにより、色塗料層17の発色性をさらに向上可能である。また、白塗料層16の厚さが色塗料層17の厚さより大きいので、以下に説明するように、耐クラック性の維持が、さらに容易となる。タイヤは走行中に変形により、サイド部12に歪みが生じる。サイド部12の歪みは、装飾部15にクラックを生じさせ得る。塗料面積比率がより低い色塗料層17ではドットの隙間の位置において歪みが集中する傾向にあるが、色塗料層17が積層する白塗料層16の厚さが色塗料層17の厚さより大きいので、装飾部15の歪みは色塗料層17よりも、塗料面積比率がより大きく耐クラック性のより大きな白塗料層16に集中する。したがって、耐クラック性の維持が、さらに容易となる。
また、白塗料層16の厚さが95μm以下にすることにより、白塗料層16の耐クラック性の維持が、さらに容易となる。
また、色塗料層17の厚さに対する白塗料層16の厚さの比が10以下にすることにより、厚さの過度の増大による白塗料層16の耐クラック性の低下を抑制することが可能であり、耐クラック性の維持がさらに容易となる。また、当該比が10を超えると色塗料層17の発色性の向上効果が低くなるので、白色塗料の使用量を抑制するためにも当該比を10以下に抑えることは好ましい。
また、白塗料層16の塗料面積比率が90%以上にすることにより、白塗料層16下のタイヤ10の地色が装飾部15に発生させ得るくすみをさらに抑制し、その結果、発色性をさらに向上可能である。また、白塗料層16の塗料面積比率が90%以上なので、微小な塗料のドット間の間隔が極めて短く、耐クラック性の維持がさらに容易になる。
また、白塗料層16を、インクジェット方式を用いた印刷により形成し、微小な白色塗料のドットの隙間の間隔が20μm以下にすることにより、十分な発色性を備えることが可能である。
次に本発明に従うタイヤを試作して、耐クラック性および発色性に関する性能評価を行ったので、以下で説明する。表1に示す諸元で、UV硬化インク((株)ミヤマ社製)の白色塗料および色塗料を用いて白塗料層16および色塗料層17をサイド部12に配置した、タイヤサイズが195/65R15の比較例1、2および実施例1〜10のタイヤを試作した。比較例1、2のタイヤおよび実施例1〜10のタイヤにつき、以下の方法で耐クラック性および発色性を評価した。結果を表1に示す。
<耐クラック性評価試験>
比較例1および比較例2ならびに実施例1から実施例10のタイヤを、サイズ6JJのリム(JATMA標準規格リム)に組付けるとともに、空気圧240kPa(JATMA規格の最大空気圧)を充填して、ドラム速度60km/hで10000kmに亘って615kg(JATMA最大荷重)のドラム荷重を負荷するドラム試験(10000km試験)を実施した。また、30000kmに亘るドラム試験(30000km試験)を、他は10000km試験と同一の条件で実施した。ドラム荷重負荷後に、白塗料層16および色塗料層17の積層部分のクラックの有無を、10000km試験および30000km試験別に目視により判別することにより、耐クラック性を評価した。評価結果を表1に示す。なお、要求される耐クラック性は、10000km試験においてクラックが発生しない性能である。
<発色性評価試験>
比較例1および比較例2ならびに実施例1から実施例10のタイヤを20人の看者に観察させ、色塗料層17の発色性に関する3段階評価のアンケート調査を集計することにより、発色性を評価した。評価結果を表1に示す。表1において、3段階評価の中でより良好であると評価した看者が20名中、10人未満である例の発色性をC、10人以上15名未満である例の発色性をB、15名以上である例の発色性評価をAとした。なお、要求される発色性は、A、Bの評価を得られる性能である。
Figure 0005588545
表1に示すように、実施例1〜10は、10000km試験においてクラックが発生しなかった。したがって、白塗料層16の塗料面積比率が68%以上であり、白塗料層16の塗料面積比率が色塗料層17の塗料面積比率より大きければ、比較例1、2で達成され、耐クラック性を維持していることが分かる。
また、実施例8〜10は、30000km試験においてクラックが発生した一方で、実施例1、2、7は、300000km試験においてクラックが発生しなかった。したがって、白塗料層16の厚さが95μm以下であることが、耐クラック性の維持を、より容易にすることが分かる。
また、表1に示すように、実施例1〜10は、比較例1、2に比べて、発色性が向上していることが分かる。
また、実施例4、5では発色性がBである一方で、実施例1、3では発色性がAである。したがって、白塗料層16の塗料面積比率が少なくとも85%以上であれば発色性を向上させることが可能であることが分かり、90%以上であればさらに確実に発色性を向上させることが分かる。
10 タイヤ
11 トレッド部
12 サイド部
13 サイドウォール部
14 ビード部
15 装飾部
16 白塗料層
17 色塗料層

Claims (5)

  1. サイド部の表面に塗料を用いた装飾部を備え、
    該装飾部は、該装飾部の少なくとも一部に白色塗料を用いて配置した白塗料層と、前記白色塗料と異なる色の色塗料を用いて前記白塗料層に積層配置させた色塗料層とを有し、前記白塗料層の塗布面の単位面積当たりの塗料面積である塗料面積比率が68%以上であって、前記白塗料層の前記塗料面積比率が前記色塗料層の前記塗料面積比率より大きく、
    前記塗料はUVインキであり、
    前記白塗料層の厚さが前記色塗料層の厚さより大きく、且つ95μm以下であり、
    前記色塗料層の厚さに対する前記白塗料層の厚さの比は4.75以下である
    ことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記白塗料層および前記色塗料層の合計の厚さが115μm以下である、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記白塗料層の塗料面積比率が90%以上である、請求項1または2に記載のタイヤ。
  4. 前記白塗料層はインクジェット方式を用いた前記白色塗料の印刷により形成され、前記インクジェット方式による前記白色塗料のドット間の間隔が20μm以下である、請求項1からのいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. タイヤのサイド部の表面に塗料を用いた装飾部を印刷するタイヤ印刷方法であって、
    前記装飾部の少なくとも一部として、塗布面の単位面積当たりの塗料面積である塗料面積比率が68%以上となるように、白色塗料を用いて、白塗料層を配置する配置ステップと、
    前記塗料面積比率が前記配置ステップにおいて形成した前記白塗料層の塗料面積比率未満となるように、前記白色塗料と異なる色の色塗料を用いて、色塗料層を前記白塗料層に積層配置させる積層配置ステップとを備え
    前記塗料はUVインキであり、
    前記配置ステップでは、前記白塗料層の厚さが前記色塗料層の厚さより大きく、且つ95μm以下であるように、白塗料層を配置し、
    前記積層配置ステップでは、前記色塗料層の厚さに対する前記白塗料層の厚さの比は4.75以下であるように、前記色塗料層を積層配置する
    ことを特徴とするタイヤ印刷方法。
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