JP5585031B2 - インクジェット用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
このような問題を解決する手段として、記録媒体を選ばず、光照射により瞬時に乾燥(硬化)する活性光線硬化型インクジェット用インクが知られている。このインクは、原理的には活性光線が照射されるまで硬化しない。ただし実際は保存時に開始剤が分解する等の影響で、印刷前の保存段階でインクが増粘、硬化してしまうことがあった。
この問題を解決する手段として、常温では固体又はゲル状態であるが、加熱すると液体又はゾル状態になるようなインクが知られている。このインクを用いれば、記録媒体中への浸透を防ぐことができるが、固化したインクの硬度等で問題が生じる場合があった。
また、カチオン重合性化合物の保存安定性を上げるため、アミノアルコールや重炭酸ナトリウム等を加える技術が公開されている(特許文献1〜2)。さらに、カチオン硬化性のインクジェット用インク材料にゲル化剤を用いる技術も知られている(特許文献3)。しかし、カチオン重合性のインクジェット用インクの保存安定性を上げ、かつ、裏抜けやにじみの発生を防ぐ技術は知られていない。
1) 下記一般式(I)で表される会合性部位からなる塩基性部位を持ち、かつ炭素数が8以上の長鎖状アルキル基又はアルキレン基を持つゲル化剤、窒素原子を持たず塩基性部位を持たないゲル化剤、及び活性光線によりカチオン重合する活性光線硬化性組成物を含有することを特徴とするインクジェット用インク。
2) 前記窒素原子を持たず塩基性部位を持たないゲル化剤が、次のB−1〜B−3のいずれかの化合物であることを特徴とする1)に記載のインクジェット用インク。
4) 熱可逆的にゾルゲル相転移する物性を有することを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
5) 4)に記載のインクジェット用インクを、加熱しゾル化させた後にインクジェット記録ヘッドから吐出し、記録媒体上で冷却しゲル化させ固定化することを特徴とするインクジェット記録方法。
6) 記録媒体上のインクジェット用インクに活性光線を照射し固定化することを特徴とする5)に記載のインクジェット記録方法。
本発明のインクジェット用インク(以下、インクという)は、塩基性部位を持つゲル化剤、塩基性部位を持たないゲル化剤、及び活性光線によりカチオン重合する活性光線硬化性組成物を含有する。
インクにゲル化剤を加えることにより、インク液滴が記録媒体中に浸透する前にインクのゲル化(固化)が進行するので、普通紙やコート紙等の紙類の記録媒体であっても、インクの裏抜けやにじみの発生を抑えることができる。
本発明のインクは印字後に活性光線で硬化させるが、ゲル化剤は硬化しないため、その添加量は少ない方が良く、通常はインク全体の0.5〜5重量%程度とする。
この問題を解決する手段として、本発明では、塩基性部位を持つゲル化剤を添加する。これにより、該塩基性部位が自然発生したカチオンをトラップするため、重合性化合物の重合を禁止することができ、インクの保存安定性が向上する。ただし、塩基性部位をあまり多くすると、活性光線により光硬化を進行させたいときに、より多くのカチオンが必要となり、光照射時間を増やしたり、光量を大きくしたり、光カチオン発生剤を増やす等の余計な操作が必要となるので好ましくない。
このように、塩基性部位を持つゲル化剤が多すぎると、重合性化合物の光硬化に良くない影響を及ぼしかねない。一方、ゲル化剤の量が少なすぎると、前述した添加効果が発揮されなくなってしまうこともある。
そこで本発明では、上記ゲル化剤の添加効果と塩基性部位のトラップ効果とを両立させるため、塩基性部位を持つゲル化剤に加えて塩基性部位を持たないゲル化剤も添加する。塩基性部位を持つゲル化剤と塩基性部位を持たないゲル化剤の配合比は、重量比で1:4〜4:1程度が好ましい。
このような構造を持つことにより、分子間のNH−OC結合(水素結合)を形成することができ、ゲル化剤として高い能力を発揮することができる。また、ゲル化剤1分子の中に、一般式(I)で示される構造を複数箇所持つと、ネットワーク構造を形成できるのでより好ましい。
上記一般式(IV)又は一般式(V)のように光学活性部位及び会合性部位を持つことにより、ゲル化剤として一層高い能力を示すことができる。また、ゲル化剤1分子の中に、上記構造を複数箇所持つとネットワーク構造を形成できるので好ましい。
重合性化合物としては各種公知のものが使用できる。例えば、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、N−ビニル化合物等が挙げられるが、特に多官能化合物は硬化速度が速くなるので好ましい。
また、光カチオン発生剤(光開始剤)としては、公知の各種光酸発生剤を使用することができる。例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩等のオニウム塩系の光酸発生剤や、スルホン酸エステル系、鉄アレン錯体等が挙げられる。
活性光線硬化性組成物において、重合性化合物を100重量部としたときに、光カチオン発生剤の配合量は、3〜15重量部程度である。
好ましいのは、耐光性に優れ、色再現性に富んだ色材であり、硬化反応に影響を及ぼさず、重合禁止剤として機能しない色材が更に好ましい。
本発明のインクにより画像形成可能な記録媒体としては特に限定されず、各種公知のものを使用できる。例えば、普通紙、コート紙等の紙類、非浸透性のプラスチックフィルムや金属、ガラス等が挙げられる。
また、記録媒体上のインクに活性光線を照射して光硬化することにより、印字物の耐久性、硬度等を上げることができる。活性光線は、光開始剤及び増感剤の感光波長に応じて適宜選択されるが、紫外線を用いることが好ましい。光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等、各種公知のものを使用できる。
表1に示すような材料と組成比でインクを調製した。
ゲル化剤1、ゲル化剤2は前述したものの中から選択して使用した。CBはチバ・ジャパン社製のカーボンブラック顔料(MICROLITH Black C−K)であり、Blueは、チバ・ジャパン社製の顔料(MICROLITH Blue 4G−K9)である。エポキシ化合物は下記の化合物(C-1)を使用した。
表中の( )内の数値は重量部を表し、温度の単位は「℃」である。
<ゾル化温度>
インクをオーブン中で加熱し(5℃刻み)、ゾル化する温度を測定した。
<ゲル化温度>
インクをオーブン中で加熱しゾル化させた後、5℃ずつ冷却し、ゲル化する温度を測定した。
<硬化速度>
ゲル化剤を添加しない点以外は、各実施例及び比較例と同一組成のインクを調製して、
ゲル化剤を添加した場合と添加しない場合の硬化速度の比を測定した。
比=ゲル化剤を添加した場合の硬化速度/ゲル化剤を添加しない場合の硬化速度
80℃で1000時間保存した後のインクの流動性を観測し評価した。「○」は増粘がなかったことを示す。
<にじみ>
着弾後約10秒経過したドット形状を、マイクロスコープにより観察した。
<裏抜け>
有無を目視により確認した。
また、比較例2のように、ゲル化剤の添加量が少ないとインクをゲル化することができなかった。しかし、比較例3のように、塩基性部位を持つゲル化剤のみを用い、その添加量を増やしてインクをゲル化させようとすると、硬化速度が非常に速くなってしまった。
Claims (6)
- 前記塩基性部位を持ち、かつ炭素数が8以上の長鎖状アルキル基又はアルキレン基を持つゲル化剤が、下記一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
- 熱可逆的にゾルゲル相転移する物性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 請求項4に記載のインクジェット用インクを、加熱しゾル化させた後にインクジェット記録ヘッドから吐出し、記録媒体上で冷却しゲル化させ固定化することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 記録媒体上のインクジェット用インクに活性光線を照射し固定化することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
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