JP6103213B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
この中で代表的なものとして、ラジカル反応性化合物(ラジカルモノマー)と光ラジカル開始剤からなる組合せのものがあげられる。この系は反応が非常に早い特徴があげられるが、酸素により光照射により発生するラジカルが空気中の酸素によりすぐに失活して反応が途中で停止してしまう問題があった。その場合、低分子量のラジカルモノマーがインク中に残留することになり、安全性等に問題が生じることがある。
このような系では、カチオン系と同様に反応活性種の塩基がすぐには失活しないため、光照射後も反応が進行するのに加えて、弱塩基を使えるため、印刷メディアの腐食、変性等の問題が生じにくい。ただしこの系では、反応速度が遅いため、例えば印刷速度を上げられない、等の問題が生じることがある。
更に、一般に紫外線硬化型インクジェット用インクは、特に非浸透性のメディアに用いる場合、インクジェットヘッドから吐出後、浸透、レベリングする前に硬化されるため、ドットが盛り上がってしまい、凹凸上の粗い表面となり、地肌部と印字部で光沢に差が出て違和感を生じ、高画質な画像を得にくいという問題がある。
例えば、特許文献2には着色液にカチオン重合性化合物、下塗り液にラジカル重合性化合物を利用することが記載されている。
この方法は、記録媒体上に下塗り液を付与する工程において発生する場合がある塗布面の面状悪化を防止することで高画質な画像形成を行えるようにしたものであり、インクを吐出する前に下塗り層を半硬化させることで過度なインク滴の広がりを防止するものであるが、この半硬化状態を作り出す硬化の条件は難しく、完全に硬化したり、ほとんど硬化しないなどのムラが発生し、このムラによってインク滴の広がりに差が生じてしまうという問題がある。
即ち、本発明のインクジェット記録方法は以下のとおりである。
少なくとも、記録媒体上に第一の紫外線硬化型インク(A)により記録パターンを形成する工程と、第二の紫外線硬化型インク(B)により、前記インク(A)の記録パターンを覆うようにオーバーコート層を形成する工程と、さらに紫外線を照射する工程とを順に有するインクジェット記録方法であって、第一の紫外線硬化型インク(A)が光塩基発生剤と塩基反応性化合物とを含有し、第二の紫外線硬化型インク(B)が光ラジカル発生剤とラジカル反応性化合物とを含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
また、着色剤を含み硬化しにくいインク(A)に光塩基発生剤と塩基反応性化合物を含有させて後硬化性を持たせることにより、たとえ光量が足りなくても硬化させることができる。本発明では、インク(B)は、インク(A)を覆うようにして存在するため、インク(B)が高速に硬化すればよく、インク(B)が硬化する光量で光照射を止めても、内部は硬化が進むので、次工程に進めるメリットがある。
前記インク(A)における塩基反応性化合物はインク(A)全体100質量部に対して、50〜97質量部であることが好ましい。また、前記インク(B)におけるラジカル反応性化合物はインク(B)全体100質量部に対して、50〜97質量部であることが好ましい。
また、前記インク(A)に含有される塩基反応性化合物およびインク(B)に含有されるラジカル反応性化合物は、ラジカルおよび塩基の両方に反応する化合物であることが好ましく、カチオン反応では無くアニオン反応を利用することにより、前述の印刷メディアの腐食、変性の問題を回避できるだけではなく、(メタ)アクリレート化合物のようにラジカルでもアニオンでも反応しやすいモノマーを用いることにより、インク(A)とインク(B)の材料を共通化できるメリットもある。インクの材料を共通化できれば、コストダウンにつながる、相溶性(混ざらずにはじいてしまう)等の問題を生じない、等のメリットがある。
ラジカルおよび塩基の両方に反応する化合物としては、各種公知の重合性の化合物があげられる。その中でも、(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニル化合物、メルカプト化合物もしくはシリル化合物であることが硬化速度が速くなりやすく好ましい。特に、(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリルアミド化合物が好ましい。また、それらの化合物は、単官能でもよく、複数または数種類が組み合わさって多官能となっていても良い。具体例としては以下のようなものがあげられるが、その限りではない。
尚、下記(A−12)におけるRはアルキル基、アルキルオキシ基等を表し、nは0〜40が好ましい。
インク(A)には、後硬化反応の利用もするため光塩基発生剤を含む。光塩基発生剤はインク(A)とインク(B)の両方に含まれていても良い。光塩基発生剤としては各種公知のものを用いることができるが、好ましくは、オキシムエステル類、4級アンモニウム塩類、アシル化合物類、カルバメート類、アミノアセトフェノン類、等を用いることができる。具体例としては以下のようなものがあげられるが、その限りではない。
記録媒体上に第一の紫外線硬化型インク(A)により記録パターンを形成する方法としては、前記インク(A)をインクジェットヘッドから吐出して記録パターンを形成することが好ましい。
また、前記オーバーコート層は、前記インク(B)を用いて、インクジェット法、スリットコート法、スプレー塗布法、ナイフコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等、各種公知の方法を使用し、形成することができる。
オーバーコート層を形成した後の紫外線を照射する工程に用いる紫外線を照射する光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等、各種公知のものを使用できる。紫外線を照射して光硬化することにより、印字物の耐久性、硬度、平滑性(光沢)等を上げることができる。
本発明で、パターン形成後に紫外線を照射する光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等、各種公知のものを使用できる。
表1に示すような材料と組成比で実施例および比較例のインク組成物を調整した。
尚、実施例1〜9、比較例1〜3における反応性化合物(モノマー)は、前記ラジカルおよび塩基の両方に反応する化合物の例示化合物番号を示し、実施例8におけるA−12は、上記例示化合物A−12におけるRがプロピル基、n=0の化合物を用いた。
また、開始剤種は、前記光塩基開始剤及び光ラジカル開始剤として挙げた化合物の番号を示す。
顔料としては次のものを用いた。
CB:チバ・ジャパン株式会社、MICROLITH Black C-K (カーボンブラック顔料)
Blue:チバ・ジャパン株式会社、MICROLITH Blue 4G-K
また、比較例で用いた(塩基)反応性化合物を以下に示す。
上記実施例および比較例の各インクを用いて、記録媒体上に第一の紫外線硬化型インク(A)をインクジェットヘッドから吐出して記録パターンを形成し、第二の紫外線硬化型インク(B)により、前記インク(A)の記録パターンを覆うようにインクジェット法でオーバーコート層を形成し、さらに紫外線照射を行った。実施例1〜4、6〜9、比較例1〜3においては、インク(A)により記録パターンを形成した後にも紫外線照射を行った。紫外線照射は、高圧水銀ランプを用いて、表1に示す露光量で行った。得られた膜の硬化性を評価した。表面タックは、光照射直後に指蝕で確認してベタつきがあるかどうかを評価した。内部硬化は、光照射1日後、指で強く押しても内部が流動性が無い場合を○とし、流動性がある場合を×とした。
評価結果を表1に示す。
・比較例2より、インク(B)に光ラジカル開始剤を用いないと、10倍光照射をしても表面が十分硬化しないことがわかる。
・比較例3より、光反応性物質にラジカルで反応しないものを用いると、10倍光照射をしても表面硬化しないことがわかる。
Claims (7)
- 少なくとも、記録媒体上に第一の紫外線硬化型インク(A)により記録パターンを形成する工程と、第二の紫外線硬化型インク(B)により、前記インク(A)の記録パターンを覆うようにオーバーコート層を形成する工程と、さらに紫外線を照射する工程とを順に有するインクジェット記録方法であって、第一の紫外線硬化型インク(A)が光塩基発生剤と塩基反応性化合物とを含有し、第二の紫外線硬化型インク(B)が光ラジカル発生剤とラジカル反応性化合物とを含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記第一の紫外線硬化型インク(A)により記録パターンを形成する工程と、前記第二の紫外線硬化型インク(B)によりオーバーコート層を形成する工程との間に、紫外線を照射する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記紫外線硬化型インク(A)が含有する塩基反応性化合物、および紫外線硬化型インク(B)が含有するラジカル反応性化合物が、ラジカルおよび塩基の両方に反応する化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記ラジカルおよび塩基の両方に反応する化合物が、(メタ)アクリレート化合物、及び/又は(メタ)アクリルアミド化合物であることを特徴とする、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
- 前記紫外線硬化型インク(A)および(B)に含有されるラジカルおよび塩基の両方に反応する化合物が、共通の化合物であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第二の紫外線硬化型インク(B)が着色剤を含有しないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記第一の紫外線硬化型インク(A)が着色剤を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
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