JP2019019249A - 活性エネルギー線硬化型インク及び該インクを用いた画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸透性記録媒体上に印刷されたインク画像上に形成する際の塗布量を少量に制御する必要がなく、塗布後は光沢性に優れ、色再現域が広く高彩度、高濃度なインク画像とするとともに、耐水性や画像裏抜けを抑制することのできる活性エネルギー線硬化型インクを提供すること。【解決手段】浸透性記録媒体上に形成したインク画像に重ねて画像を形成する活性エネルギー線硬化型インクにおいて、インク成分として水溶性の重合性化合物(a)と、非水溶性の重合性化合物(b)と、水(c)とを含み、非水溶性の重合性化合物(b)の含有量は、水溶性の重合性化合物(a)に対して10〜50質量%とする。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線によって硬化する活性エネルギー線硬化型インク及び該インクを用いた画像形成方法に関する。
インクジェット記録方式により微細なノズルヘッドからインク液滴を吐出し、文字や画像を普通紙などの記録媒体の表面に記録するインクジェット印刷装置が知られている。インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なノズルから液滴として噴射し、ノズルに対向して置かれた記録媒体に対して画像を記録するものである。そのため、印刷版を用いずに高解像度で高品位の画像を低騒音で、且つ高速に印刷可能であることから、一般に広く普及している。
インクジェット記録方式で用いられる画像形成用のインク(以下、単に「インク」という)としては、水を主溶媒として含有する水性インク、重合性モノマーを主成分として高い含有量で含有する紫外線硬化型インク(UVインク)、ワックスを主成分として高い含有量で含有するホットメルトインク(固体インク)、非水系溶剤を主溶媒として含有する、所謂非水系インクが知られている。また、非水系インクは、主溶媒が揮発性有機溶剤であるソルベントインク(溶剤系インク)と、主溶媒が低揮発性あるいは不揮発性の有機溶剤である油性インク(オイル系インク)に分類できる。ソルベントインクは主に有機溶剤の蒸発によって記録媒体上で乾燥するのに対して、油性インクは記録媒体への浸透が主となって乾燥する。
油性インクは、記録媒体として紙を用いた場合、紙の構成成分であるパルプの繊維間結合に対する影響が小さいために、印刷後の紙のカールやコックリングが発生し難く、また、紙への浸透が速いために見かけ上の乾燥性に優れる。一方、油性インクは、インク中の色材が紙中へ浸透するために高い印刷濃度を得ることが困難であり、また、通常は色材を固着させる成分を含有していないために、記録媒体の表面に色材が留まると、容易に脱落や転移が発生するという課題を有する。
ところで、普通紙や塗工印刷用紙のように、インクの溶媒が被印刷面の内部に浸透する記録媒体(以下、これらを総称して「浸透性記録媒体」という)にインクで画像形成した場合、浸透性記録媒体の表面凹凸に起因して画像の光沢性や画像濃度が低くなるという課題があった。
画像の光沢性や画像濃度を高めるためには、浸透性記録媒体の表面にインク膜を形成して表面凹凸を少なくする必要がある。しかし、インクとして非水系インクを用いた場合、吐出されたインクが媒体表面で乾燥・定着する前に、色材がインク溶剤とともに媒体内部まで浸透してしまうため、画像形成部分の表面凹凸を少なくすることができず、光沢性や画像濃度を高めることが困難であった。
そこで、本願出願人は、浸透性記録媒体上に形成したインク画像の光沢性や画像濃度を高めるため、下記特許文献1に開示される活性エネルギー線硬化型インクを開発した。
特許文献1に開示される活性エネルギー線硬化型インクは、浸透性記録媒体に形成したインク画像上に重ねるように塗布される。この活性エネルギー線硬化型インクをインク画像の表面に重ねて被覆することで、画像濃度の高く光沢性に優れた印刷画像が得られるようになる。
特開2010−274504号公報
しかしながら、特許文献1に開示される活性エネルギー線硬化型インクは、インクジェット記録方式を用いてインク画像上に吐出させるため、インクジェット適性が確保されるようにインク粘度が低く抑えられている。そのため、インク画像上に活性エネルギー線硬化型インクを塗布してから後段で活性エネルギー線による硬化処理が行われるまでの間に、活性エネルギー線硬化型インクが浸透性記録媒体内部まで浸透してしまい、インク本来の効果が十分に得られない虞がある。
また、特許文献1の活性エネルギー線硬化型インクを塗布する場合、インク画像の裏抜け抑制のためインクの吐出量を少なくする必要があり、画像濃度を高くすることはできたが、光沢性を高くするまでには至らなかった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、浸透性記録媒体に形成されたインク画像上に重ねて形成される活性エネルギー線硬化型インクにおいて、光沢性に優れ、且つ色再現域が広く高彩度、高濃度なインク画像とし、インク硬化後は耐水性を有するとともに塗布後の画像裏抜けを抑制することのできる活性エネルギー線硬化型インク及び該インクを用いた画像形成方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、インク成分として、水溶性の重合性化合物と、非水溶性の重合性化合物と、水とを主成分とすることで、浸透性記録媒体への浸透を抑制してインク画像の光沢性や耐水性を向上させるとともに、色再現性が広く高彩度、高濃度となり、さらには裏抜け性が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記の活性エネルギー線硬化型インクを提供する。
[1]水溶性の重合性化合物(a)と、非水溶性の重合性化合物(b)と、水(c)とを含み、
前記非水溶性の重合性化合物(b)の含有量は、前記水溶性の重合性化合物(a)に対して10〜50質量%であることを特徴とする、活性エネルギー線硬化型インク。
[2]前記水溶性の重合性化合物(a)が、アクリロイルモルフォリンであることを特徴とする、前記[1]に記載の活性エネルギー線硬化型インク。
[3]前記非水溶性の重合性化合物(b)は、2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーであることを特徴とする、前記[1]又は[2]に記載の活性エネルギー線硬化型インク。
[4]前記水(c)は、インク全質量に対して5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする、前記[1]〜[3]の何れかに記載の活性エネルギー線硬化型インク。
また、本発明は、下記の画像形成方法を提供する。
[5]油性インクで画像が形成された浸透性記録媒体に、前記[1]〜[4]の何れかの活性エネルギー線硬化型インクを用いて前記画像に対応する画像を形成することを特徴とする、画像形成方法。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクによれば、水溶性の重合性化合物と、非水溶性の重合性化合物と、水とを含有するため、浸透性記録媒体に形成されたインク画像上に活性エネルギー線硬化型インクを形成した際に、光沢性に優れ、色再現域が広く高彩度、高濃度なインク画像となる。また、インク硬化後には耐水性を有するとともに、浸透性記録媒体への浸透が抑制されているため、塗布量を増やしても画像裏抜けを抑制することができる。
以下、本発明に係る実施形態について説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
[1.活性エネルギー線硬化型インクについて]
本発明の活性エネルギー線硬化型インクは、従来技術の活性エネルギー線硬化型インクの課題であった硬化前における記録媒体内部への浸透を抑制するため、「水溶性の重合性化合物」と、「非水溶性の重合性化合物」と、「水」と、を少なくとも含有した構成となる。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型インクに含まれる各成分について詳細に説明する。
<1−1.水溶性の重合性化合物>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクを構成する水溶性の重合性化合物は、常温(25℃)における水への溶解度が20質量%以上の化合物であり、非水溶性の重合性化合物と水との相溶性を確保するために用いられる。また、水溶性の重合性化合物は、後述する重合開始剤の作用により活性エネルギー線照射時に重合反応して、インクの硬化性を高めることができる。
水溶性の重合性化合物の含有量としては、インク粘度の観点から、インク全質量に対して50〜80質量%程度が好ましい。
水溶性の重合性化合物としては、例えばアクリロイルモルフォリン、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールから誘導されるグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、単糖類、2糖類などの2以上の水酸基を有するポリオールの(メタ)アクリル酸エステル、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリスヒドロキシアミノメタン、トリスヒドロキシアミノエタンなどとの(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。これらは、単独若しくは2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、市販品としては、「DMAA(登録商標)、ACMO(登録商標)」(何れもKJケミカルズ株式会社製の商品名)、「NKエステル A−400」(新中村化学工業株式会社製の商品名)などが挙げられる。
このうち、水溶性の重合性化合物としてアクリロイルモルフォリンを用いた場合、塗布後のインクが浸透性記録媒体の表面に留まり易く、またインク硬化性も高いため好適である。
<1−2.非水溶性の重合性化合物>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクを構成する非水溶性の重合性化合物は、常温(25℃)における水への溶解度が20質量%未満の化合物であり、インクの耐水性を向上させるために含有される。非水溶性の重合性化合物は、後述する重合開始剤の作用により活性エネルギー線照射時に重合反応して、インクの硬化性を高めることができる。
活性エネルギー線硬化型インクのインク成分を、水溶性の重合性化合物と水のみとした場合、インク中に未反応の水溶性の重合性化合物が残存するため、この未反応成分が影響して耐水性が不十分となる虞がある。しかし、非水溶性の重合性化合物を含有することで水への溶解度が低くなり、インク自体の耐水性を向上させることができる。
非水溶性の重合性化合物の含有量としては、インクの粘度の観点から、活性エネルギー線硬化型インク全質量に対し、8質量%〜30質量%であることが好ましい。
また、水溶性の重合性化合物としてアクリロイルモルフォリンを用いた場合、非水溶性の重合性化合物は、アクリロイルモルフォリンに対して10質量%〜50質量%の範囲とするのが好ましい。これは、アクリロイルモルフォリンに対する非水溶性の重合性化合物の含有量が10質量%未満になると、耐水性向上の効果が不十分となる傾向を示し、含有量が50質量%を超えると、インクの構成材料が相溶しにくくなりインクジェット適性を有するインクになりにくい傾向を示すためである。
さらに、非水溶性の重合性化合物は、化合物中に官能基が多ければ多いほど重合反応後の架橋密度が高まり、単官能の重合性化合物と比べて耐水性をより向上させる効果を奏することができる。そのため、非水溶性の重合性化合物として、2官能以上の重合性化合物を用いることが好ましい。
非水溶性の重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物などが使用できる。このうち、記録媒体及びインク画像との密着性の点からはカチオン重合性化合物が好ましいが、硬化速度及び原材料コストの点からはラジカル重合性化合物が好ましい。ラジカル重合性化合物は、高速化、処理効率の向上が要求される場合に好適である。
(1−2−1.ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物の重合性樹脂成分としては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリオール系などの各種化合物の(メタ)アクリル酸変性誘導体のオリゴマー、モノマーなどの他、不飽和ポリエステル化合物や芳香族ビニル化合物のオリゴマー、モノマーなどが挙げられる。
上記オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート、エポキシ油化アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。
上記モノマーとしては、単官能アクリレート及び多官能アクリレートが含まれる。単官能アクリレートとしては、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、フルオレンジアクリレートなどが挙げられる。多官能アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(「EO変性」はエチレンオキサイド変性を意味する)などが挙げられる。また、市販品としては、「ライトエステルHOP−A(N)」(共栄社化学株式会社製の商品名)、「アロニックスM−102、アロニックスM−350」(何れも東亞合成株式会社製の商品名)、「NKエステルA−200、NKエステルA−DPH」(何れも新中村化学工業株式会社製の商品名)などが挙げられる。
これらのモノマー及びオリゴマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。活性エネルギー線硬化型インクはインクジェット記録方式によって印刷されるため、インクの粘度の観点から、重合性樹脂成分としてはモノマーを主成分とすることが好ましい。
また、ラジカル重合性化合物には、必要に応じて、増感剤を添加してもよい。増感剤は、通常、インク全量に対して0.1質量%〜10質量%添加される。増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの脂肪族アミン、芳香族アミンなどが挙げられる。これらは、単独若しくは2種以上組み合わせて使用することもできる。また、市販品としては、「カヤキュアーDETX−S、カヤキュアーEPA」(何れも日本化薬株式会社製の商品名)などが挙げられる。
(1−2−2.カチオン重合性化合物)
カチオン重合性化合物の重合性樹脂成分としては、例えば、カチオン重合性ビニル化合物、環状ラクトン類、環状エーテル類などが挙げられる。カチオン重合性ビニル化合物としては、スチレン、ビニールエーテルなどが挙げられる。環状エーテル類としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物のほか、スピロオルトエステル類、ビシクロオルソエステル類、環状カーボナート類、スピロオルトカーボナート類などが挙げられる。
ここで、エポキシ化合物は、三員環であるオキシラン基を有する化合物を意味し、芳香族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物などが包含される。また、オキセタン化合物は、四員環エーテルであるオキセタン環を有する化合物を意味する。
好ましいカチオン重合性化合物は、カチオンの作用により開環重合する環状エーテル類であり、さらに好ましくは、脂環式エポキシ化合物及びオキセタン化合物である。さらに、反応性と硬化性の両面で優れていることから、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを混合して使用することが特に好ましい。この場合、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物の混合比率(脂環式エポキシ化合物/オキセタン化合物)は、重量比で、通常、5/95〜95/5、好ましくは10/90〜50/50の範囲とする。オキセタンの量が少な過ぎると、硬化物の屈曲性低下、耐溶剤性低下の傾向を生じ、反面、オキセタンの量が多過ぎると、多湿環境での硬化不良の危険性が大きくなる。
オキセタン化合物の具体例としては、1,4−ビス{(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ジ〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテルなどが挙げられる。また、市販品としては、「OXT−212、OXT−221」(何れも東亞合成株式会社製の商品名)などが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタンなどの脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。また、市販品としては、「セロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2080、セロキサイド2081、セロキサイド3000、セロキサイド2000、エポリードGT301、エポリードGT302、エポリードGT401、エポリードGT403、EHPE−3150、EHPEL3150CE」(何れもダイセル化学工業株式会社製の商品名)、「サイラキュアUVR−6105、サイラキュアUVR−6110、サイラキュアUVR−6128、サイラキュアUVR−6100、サイラキュアUVR−6216、サイラキュアUVR−6000」(何れもダウ・ケミカル社製の商品名)などが挙げられる。
なお、カチオン重合性化合物の具体例は、特開平8−143806号公報、特開平8−283320号公報、特開2000−186079号公報、特開2000−327672号公報などにさらに詳細に記載されており、そこに例示されている化合物から適宜選択して本発明を実施することもできる。
<1−3.水>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクは、該インクが浸透性記録媒体への浸透を抑制するとともにインク粘度を低下しやくするため、水を含有する。
浸透性記録媒体として普通紙を用いた場合、活性エネルギー線硬化型インク中の水が紙を構成するセルロース繊維に吸収され、各繊維が膨潤する。そして、繊維内に抱き込まれた水の表面張力の作用により、インクを浸透性記録媒体の表面に留まらせて浸透されるのを抑制するものと推測される。
水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水などの純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。
水の含有量は、活性エネルギー線硬化型インクの全質量に対して5質量%〜30質量%の範囲とするのが好ましい。これは、活性エネルギー線硬化型インクのインク全量に対する水の含有量が5質量%未満では、活性エネルギー線硬化型インクの浸透性記録媒体への浸透を抑制する効果が薄れる傾向を示し、30質量%を超えるとインクの硬化性が不十分となり耐擦過性の低下する傾向を示すためである。
また、水の含有量のより好ましい範囲としては、活性エネルギー線硬化型インクの全質量に対して10質量%〜20質量%の範囲とする。これは、水の含有量が10質量%を下回ると光沢性や画像の裏抜け性が若干低下する傾向を示し、20質量%を超えるとインク硬化後に浸透性記録媒体がカールするなど他の影響が出る傾向を示すためである。
<1−4.重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクに含有されるその他の成分としては、水溶性の重合性化合物や非水溶性の重合性化合物の重合反応を開始させるための重合開始剤が用いられる。
重合開始剤は、活性エネルギー線のエネルギーによって、水溶性の重合性化合物及び非水溶性の重合性化合物のラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば制限はない。
重合反応としてラジカル重合を行う重合性化合物には、重合開始剤として光開始剤を使用する。
光開始剤は、ラジカル重合反応が開始されればよいため特に制限はなく、公知の開始剤を使用することができる。光開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、4−4´ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテルなどが挙げられる。また、市販品例としては、「IRGACURE 819、IRGACURE 184、DAROCUR 1173、IRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE TPO」(何れもBASF社製の商品名)、「KAYACURE DETX−S、KAYACURE ITX」(何れも日本化薬社製の商品名)などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
光開始剤は、通常、活性エネルギー線硬化型インク全量に対して1質量%〜20質量%使用される。透明度の高い活性エネルギー線硬化型インクとする場合は、活性エネルギー線照射により黄変しないような開始剤を選択する必要がある。
重合反応としてカチオン重合を行う重合性化合物には、重合開始剤としてカチオン重合開始剤を使用する。
カチオン重合開始剤は、カチオン重合反応が開始されればよいため特に制限はなく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アレン−イオン錯体誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物などの酸発生剤など、公知の開始剤を使用することができる。市販品例として、アリールスルホニウム塩誘導体は「サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6976、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6992」(何れもダウ・ケミカル社製の商品名)、「アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172」(何れも株式会社ADEKA社製の商品名)が挙げられ、アリルヨードニウム塩誘導体としては、「RP−2074」(ソルベイ社製の商品名)などが挙げられる。
カチオン重合開始剤の使用量は、その種類、使用されるカチオン重合性化合物の種類及び量比、使用条件などによって異なるが、実用上、活性エネルギー線硬化型インク全量に対して、通常は、0.1質量%〜10質量%、好ましくは1質量%〜6質量%とされる。カチオン重合開始剤が多い場合には速やかに重合が進むが保存安定性が損なわれやすくなり、少ない場合には硬化性が劣る。
なお、上述した各重合開始剤は、必ずしもインク中に直接添加させる必要はなく、例えば活性エネルギー線硬化型インクに重合開始剤を添加しない状態でインク画像に重ねて形成し、その後に液状(又はゾル状)の重合開始剤を重ねて形成することもできる。このように、重合開始剤を別途塗布するような形態とした場合でも、添加したときと同様に重合性化合物の重合反応の開始させることができる。また、重合開始剤と併用して重合反応を促進させる重合促進剤を用いてもよい。
<1−5.その他の含有成分について>
また、本発明の活性エネルギー線硬化型インクには、消泡剤、重合禁止剤、酸化防止剤、抗菌剤、防カビ剤、pH調整剤などの添加剤成分を、必要となるインク性能に応じて適宜含有させることができる。
さらに、活性エネルギー線硬化型インクは、活性エネルギー線の照射量を低減させるため、通常は色材を含有せず透明性を有するクリアインクとして作製されるが、用途に応じて、公知の色材(顔料、染料など)を適宜含有させることもできる。
[2.活性エネルギー線硬化型インクの製法]
本発明の活性エネルギー線硬化型インクは、上記各成分を適宜選択し、ビーズミル、ディスパーミキサー、ホモミキサー、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの分散機や高速攪拌機を用いて混合することにより製造することができる。また、使用する成分によっては、反応速度や混合速度を促進させるため、必要に応じて所定温度まで加温した状態で攪拌してもよい。
[3.活性エネルギー線硬化型インクの画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、インク画像が形成された浸透性記録媒体に、インクジェット記録方式により活性エネルギー線硬化型インクを吐出し、インク画像に対応する画像をインク画像と重ねて形成する。インクジェット記録方式を採用することで、インク画像に重ねて形成する際に適切な位置に適量のインクを吐出制御することが可能となる。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクは、浸透性記録媒体への浸透速度が大幅に低減されているため、従来技術のように活性エネルギー線硬化型インクの塗布量を少量に制御する必要がない。このため、活性エネルギー線硬化型インクの吐出量を従来よりも多く吐出させることができる。よって、得られる印刷物は、インク画像の光沢性が向上するとともに色再現域が広く高彩度、高濃度となり、さらに硬化後の耐水性にも優れ、画像の裏抜けも抑制されるようになる。
本発明の画像形成方法は、インクジェット記録方式により、浸透性記録媒体上に形成されたインク画像の上に活性エネルギー線硬化型インクの画像を重ねて形成するインク塗布工程と、照射手段から活性エネルギー線を照射して浸透性記録媒体上に塗布された活性エネルギー線硬化型インクを硬化させる硬化工程を少なくとも有する。
上記照射工程で照射される活性エネルギー線は、結合対象を重合・硬化することができるエネルギーが付与できるものであれば特に制限はない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。
活性エネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波、可視光線、赤外線、レーザー光線などが挙げられ、なかでも紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の光発生源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、LEDランプなどが挙げられる。
浸透性記録媒体に印刷されるインク画像としては、特に限定されず、任意のインクによって形成される画像である。インクとしては、油性又は水性であってもよく、顔料系でも染料系であってもよい。また、インク画像を形成する記録方式としては、特に限定されず、例えば、インクジェット記録法、孔版印刷法、電子写真法などの任意の記録方式とすることができる。インク画像を形成するインクとしても、各種の記録方式に適したインクを用いることができる。
本発明の画像形成方法は、各種インクによって形成されたインク画像に対して効果を得ることができ、特に、インクジェット用油性インクによって形成されたインク画像に対して有効である。
インクジェット用油性インクとしては、色材及び非水系溶剤を含有するインクを用いることができる。
インクジェット用油性インクの色材としては、顔料若しくは染料又はこれらの混合物が挙げられる。
顔料として顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料などの有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物などの無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料などが挙げられる。また、染料としては、染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料などの油溶性染料を挙げることができる。これらの顔料又は染料は、単独若しくは2種以上組み合わせて使用することができる。
色材の含有量は、インクジェット用油性インク全量に対して0.1質量%〜50質量%が望ましく、1質量%〜30質量%が望ましい。
インクジェット用油性インクの非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、非水系溶剤としては、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤などの石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。また、極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤などを好ましく挙げることができる。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、使用する非水系溶剤と単一相を形成できる範囲で他の有機溶剤を含ませてもよい。
さらに、インクジェット用油性インクには、上記以外の成分として、顔料分散剤、酸化防止剤、抗菌剤、防カビ剤、重合禁止剤、pH調整剤などの添加剤成分を適宜含有させることができる。
インクジェット用油性インクの調製方法としては、特に限定されず、常法に従ってインクジェット適性を有するインクに調製することができる。
インクジェット用油性インクの市販されている製品としては、具体的には、RISO GDインク(理想科学工業株式会社製の商品名)などを好ましく使用することができる。RISO GDインクの主な成分は、脂肪酸エステル、高級アルコール、石油系炭化水素、顔料、及び高分子分散剤である。
インク画像としては、上記したインクジェット用油性インクの他に、各種インクを用いて形成された画像であってもよい。例えば、インクジェット用水性インクや、孔版印刷用水性インキ、油性インキ、又はエマルションインキによって形成されたインク画像であってもよい。これらのインク画像においても、画像濃度を高くし、耐擦過性を向上させることができる。
インク画像が形成される記録媒体として用いられる浸透性記録媒体は、インク溶媒が浸透する記録媒体であり、普通紙、コート紙及び特殊紙などの印刷用紙、布、多孔質シートなどを用いることができる。また、これらを記録媒体として裏面に粘着層を設けた粘着シートなどを用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙などの印刷用紙を用いるのが好ましい。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層などが形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙などを挙げることができる。
また、コート紙としては、マット紙、光沢紙、半光沢紙などのインクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。
塗工印刷用紙は、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などで使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウムなどの無機顔料と、澱粉などのバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙などに分類される。
浸透性記録媒体の具体的な市販品としては、「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製の商品名)や「ニューNPI上質」(日本製紙株式会社製の商品名)などの非塗工印刷用紙、「ピレーヌDX」(日本製紙株式会社製の商品名)、「情報用紙(マルチペーパースーパーエコノミー)」(アスクル株式会社社製の商品名)、「薄口フルカラーPPC用紙タイプ6000」(株式会社リコー社製の商品名)などの微塗工印刷用紙などを好ましく用いることができる。
[4.作用・効果]
以上のように、本発明の活性エネルギー線硬化型インクは、インク中に含まれる水の表面張力が作用して浸透性記録媒体に対する活性エネルギー線硬化型インクの浸透速度を大幅に低減させることができる。このため、活性エネルギー線硬化型インクが硬化するまでの間、浸透性記録媒体の表面に留まるようになり、裏抜けを防止するために活性エネルギー線硬化型インクの塗布量を少なく制御する必要がなくなる。よって、インク画像上に必要な量だけ活性エネルギー線硬化型インクを塗布することができるため、浸透性記録媒体の表面凹凸を低減させることができ、光沢性に優れ、色再現域が広く高彩度、高濃度なインク画像となる。
また、水の含有量を、活性エネルギー線硬化型インクの全質量に対して5質量%〜30質量%とすることで、活性エネルギー線硬化型インクの浸透性記録媒体への浸透を抑制しつつ、インクジェット適性を有するインク粘度としながらインクの硬化性も十分得ることができる。
また、活性エネルギー線硬化型インクのインク成分として含有する水溶性の重合性化合物をアクリロイルモルフォリンとすることで、塗布後も浸透性記録媒体の表面に留まり易くなるとともに、インク硬化性も高まり、耐擦過性に優れたインクとすることができる。
また、非水溶性の重合性化合物を、例えば2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーのような多官能重合性化合物とすることで、重合反応後の架橋密度が高まり耐水性が更に向上するという効果を奏することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[第1実施例]
第1実施例として、本発明の活性エネルギー線硬化型インクを用いた印刷物に対する光沢性、裏抜け性、耐水性、耐擦過性についての評価試験を行った。下記表1には、本評価試験で使用した実施例1〜11及び比較例1〜6の活性エネルギー線硬化型インクの各成分と評価結果について示している。
<活性エネルギー線硬化型インクの調整>
表1に示す各成分とジルコニアビーズを容器に入れ、撹拌分散機(セイワ技研社製のロッキングミル RM−05)で十分に分散し、各実施例1〜11及び比較例1〜6に示す活性エネルギー線硬化型インクを得た。表1中の各成分は、「質量%」で示す。
表1に記載の各成分の詳細については、下記の通りである。
−顔料−
・カーボンブラック:MA−100(三菱ケミカル株式会社製の商品名)
−水溶性の重合性化合物−
・ジメチルアクリルアミド:DMAA(KJケミカルズ株式会社製の商品名)
・アクリロイルモルフォリン:ACMO(KJケミカルズ株式会社製の商品名)
・ポリエチレングリコールジアクリレート:NKエステルA−400(新中村化学工業株式会社製の商品名)
−非水溶性の重合性化合物−
・2−ヒドロキシプロピルアクリレート:ライトエステルHOP−A(N)(共栄社化学株式会社製の商品名)
・フェノールEO変性アクリレート:アロニックスM−102(東亞合成株式会社製の商品名)
・ポリエチレングリコールアクリレート:NKエステルA−200(新中村化学工業株式会社製の商品名)
・トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート:アロニックスM−350(東亞合成株式会社製の商品名)
・ジペンタエリストールヘキサアクリレート:NKエステルA−DPH(新中村化学工業株式会社製の商品名)
−重合開始剤−
・アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤:IRGACURE TPO(BASF社製の商品名)
−顔料分散剤−
・高分子系顔料分散剤:アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製の商品名)
<印刷物作製方法>
印刷装置としてインクジェット印刷装置「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製の商品名)を使用した。浸透性記録媒体として普通紙(理想用紙マルチ:理想科学工業株式会社製の商品名)を使用し、この普通紙にインクジェット油性インク(RISO GDインク ブラック:理想科学工業株式会社社製の商品名)を用いて画像を形成した。インク画像の画像情報は、解像度600dpi×600dpiで1画素あたり24plのベタ画像とした。
活性エネルギー線硬化型インクは、油性インクで形成したベタ画像と同じ画像情報に基づいて前記ベタ画像に重ねて画像を形成した。印刷後、照射手段としてメタルハライドランプ(フージョンUVシステムズ社製・最高照度365nm)を用いて0.5秒後に硬化させて作製した。
<評価方法>
作製した印刷物に関する各評価を行った。評価結果は表1に併せて示す。
−光沢性−
作製した印刷物のベタ画像部分の光沢性について官能検査を行った。ここでは、作製した印刷物の画像部分を目視で観察し、画像部分の光沢性を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
〇:光沢を明確に感じる
△:光沢を若干感じる
×:光沢を殆ど感じない
−裏抜け性−
作製した印刷物のベタ画像部分の裏抜け性について官能検査を行った。ここでは、作製した印刷物の画像部分を目視で観察し、画像部分の裏抜け性を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
〇:裏抜けが若干確認される
△:裏抜けがあるが許容できる
×:裏抜けが顕著である
−耐水性−
作製した印刷物のベタ画像部分の耐水性について官能検査を行った。ここでは、印刷物の画像部分に水滴を垂らし、10秒後に水滴を拭き取り、拭き取った跡の汚染状態を目視で観察し、画像部分の耐水性を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
〇:水滴の跡が殆ど確認されない
△:水滴の跡が若干確認される
×:水滴のあとが顕著である
−耐擦過性−
作製した印刷物のベタ画像部分の耐擦過性について官能検査を行った。ここでは、摩擦子として布を装着したクロックメーター(C−1:大栄化学精器製作所社製の商品名)で5回擦った時の状態を目視で観察し、画像部分の耐擦過性を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
〇:画像周囲の汚染が殆ど確認されない
△:画像周囲の汚染が若干確認される
×:画像周囲の汚染が顕著である
以上の評価結果について、インクの処方とともに表1に示す。
Figure 2019019249
<評価結果>
表1に示すように、実施例2、3、6、8、9の活性エネルギー線硬化型インクは、光沢性、裏抜け性、耐水性、耐擦過性の評価について、全て優れた結果が得られていることがわかる。
上記各実施例のインク成分は、何れも水溶性の重合性化合物としてアクリロイルモルフォリンを使用し、非水溶性の重合性化合物に2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーであるポリエチレングリコールジアクリレートを使用し、水溶性の重合性化合物に対して非水溶性の重合性化合物の含有量を10質量%〜50質量%とし、さらに水の含有量をインク全質量に対して10質量%〜20質量%の範囲としている。
これは、上記各実施例のインクをインク画像上に重ねて形成したときに、アクリロイルモルフォリンと、水の表面張力の作用によりインクが浸透性記録媒体の表面に留まり易くなるため、インク画像の光沢性や画像濃度が高まるとともに、インク画像の裏抜けが抑制されたものと推測される。また、水溶性の重合性化合物としてアクリロイルモルフォリンを使用することで、重合反応後の架橋密度が高まりインクの硬化性が高まるため、耐水性や耐擦過性が向上したものと推測される。
以上のことから、活性エネルギー線硬化型インクは、そのインク成分として水溶性の重合性化合物をアクリロイルモルフォリンとし、非水溶性の重合性化合物を2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとし、両者を上記範囲で含有させることで光沢性、裏抜け性、耐水性、耐擦過性に優れたインクとなることが確認された。
実施例1、5の活性エネルギー線硬化型インクは、耐水性と耐擦過性の評価は優れているが、光沢性と裏抜け性の評価が実施例2〜4、6〜11と比べて低くなっている。実施例1、5のインクに含まれる水の量がインク全質量に対して5質量%となっており、実施例2〜4、6〜11に比べてインク中の水分量が少ない。そのため、実施例1、5は、発明としての効果は十分に得られているが、実施例2〜4、6〜11と比べて水の表面張力の作用が弱いため、光沢性と裏抜け性が若干低下したものと推測される。
実施例4、7の活性エネルギー線硬化型インクは、光沢性、裏抜け性、耐擦過性の評価は何れも優れているが、耐水性の評価が実施例1〜3、5、6、8〜11と比べて低くなっている。実施例4は、非水溶性の重合性化合物が単官能のフェノールEO変性アクリレートであるのに対し、実施例1〜3、5、6、8〜11の非水溶性の重合性化合物は何れも2官能以上の化合物である。よって、実施例4は、重合反応後の架橋密度が実施例1〜3、5、6、8〜11と比べて低くなるため、発明としての効果は十分に得られているが、耐水性が若干低下したものと推測される。
実施例7は、インクに含まれる非水溶性の重合性化合物の量が水溶性の重合性化合物に対して10質量%であり、実施例1〜3、5、6、8〜11に比べてインク中における非水溶性の重合性化合物の含有量が少ない。よって、実施例7は、発明としての効果は十分に得られているが、耐水性が実施例1〜3、5、6、8〜11よりも若干低下したもの推測される。
実施例10、11の活性エネルギー線硬化型インクは、光沢性、裏抜け性、耐水性の評価は何れも優れているが、耐擦過性の評価が実施例1〜9と比べて低くなっている。実施例1〜9では、水溶性の重合性化合物としてアクリロイルモルフォリンを使用したが、実施例10では、水溶性の重合性化合物としてジメチルアクリルアミド、実施例11では、ポリエチレングリコールジアクリレートを使用している。そのため、実施例10、11は、発明としての効果は十分に得られているが、実施例1〜9と比べてインク硬化性が低下したことで耐擦過性が若干低くなったものと推測される。
比較例1の活性エネルギー線硬化型インクは、耐水性、耐擦過性の評価は優れているが、光沢性、裏抜け性の評価が実施例1〜11と比べてかなり低く、満足する結果が得られなかった。これは、比較例1のインク中に水を含有させていないため、水の表面張力の作用が得られずインクが浸透性記録媒体に浸透してしまい光沢性や裏抜け性が悪くなったものと推測される。
比較例2の活性エネルギー線硬化型インクは、光沢性、裏抜け性の評価は優れているが、耐水性、耐擦過性の評価が実施例1〜11と比べてかなり低く、満足する結果が得られなかった。これは、比較例2のインクに含まれる水の含有量がインク全質量に対して40質量%と多いため、実施例1〜11のインクと比べて耐水性や耐擦過性が悪くなったものと推測される。
比較例3、4の活性エネルギー線硬化型インクは、光沢性、裏抜け性、耐擦過性の評価は何れも優れているが、耐水性の評価が実施例1〜11と比べてかなり低く、満足する結果が得られなかった。これは、比較例3、4のインク成分として非水溶性の重合性化合物の含有量が何れも10質量%未満と少なく、非水溶性の重合性化合物による耐水性の効果が十分に発揮されないため、実施例1〜11のインクと比べて耐水性が悪くなったものと推測される。
比較例5の活性エネルギー線硬化型インクは、インク成分として非水溶性の重合性化合物の含有量が水溶性の重合性化合物に対して60質量%と高く、インク調整時に各成分が正常に溶解せず、インクとして機能しなかったものと推測される。
比較例6の活性エネルギー線硬化型インクは、耐水性の評価のみ優れ、光沢性、裏抜け性、耐擦過性の評価は何れも実施例1〜11と比べて低く、満足する結果が得られなかった。これは、比較例6のインク中に水溶性の重合性化合物と水が含有されておらず、また水溶性の重合性化合物としてアクリロイルモルフォリンを使用していないため、インクが浸透性記録媒体に浸透してしまうとともにインクの硬化性も低下したことで、実施例1〜11と比べて光沢性、裏抜け性及び耐擦過性が悪くなったものと推測される。
[第2実施例]
第2実施例として、上述した第1実施例で作製した活性エネルギー線硬化型インクを用いた印刷物における画像濃度(黒濃度)についての評価試験を行った。下記表2には、本評価試験で使用した実施例12〜16の活性エネルギー線硬化型インクの各成分と評価結果について示している。
第2実施例では、使用する浸透性記録媒体、インクジェット印刷装置及び画像情報については第1実施例と同様であり、インクジェット印刷装置で印刷した黒ベタ画像に、上述した第1実施例で調整した実施例3、6、8、比較例1、6の5種類の活性エネルギー線硬化型インクを用い、画像情報に基づいて前記黒ベタ画像に重ねて画像を形成した。また、活性エネルギー線硬化型インクのインク硬化処理についても、第1実施例と同様とした。
<評価方法>
作製した印刷物に関する各評価を行った。評価結果は表2に併せて示す。
−画像濃度−
作製した印刷物のベタ画像部分の画像濃度(OD値)を光学濃度計(RD920:マクベス社製の商品名)で測定し、画像部分における画像濃度を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
〇:OD値が1.30以上
×:OD値が1.30未満
Figure 2019019249
<評価結果>
表2に示すように、実施例12〜14のインクは、第1実施例の実施例3、6、8の活性エネルギー線硬化型インクであるため、これらインクをインク画像上に重ねて形成したときに、アクリロイルモルフォリンと含有する水の表面張力の作用により、浸透性記録媒体の表面にインクが留まった状態で硬化されたことでOD値が高くなり、インク画像の画像濃度が高くなったものと推測される。
一方、実施例15、16のインクは、第1実施例の比較例1、6のインクを使用したため、インク成分として水を含有させていない。そのため、水の表面張力の作用が得られずインクが浸透性記録媒体に浸透してしまい、実施例12〜14と比べてOD値が低く、画像濃度が悪くなったものと推測される。

Claims (5)

  1. 水溶性の重合性化合物(a)と、非水溶性の重合性化合物(b)と、水(c)とを含み、
    前記非水溶性の重合性化合物(b)の含有量は、前記水溶性の重合性化合物(a)に対して10〜50質量%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク。
  2. 前記水溶性の重合性化合物(a)が、アクリロイルモルフォリンであることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型インク。
  3. 前記非水溶性の重合性化合物(b)は、2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化型インク。
  4. 前記水(c)は、インク全質量に対して5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の活性エネルギー線硬化型インク。
  5. 油性インクで画像が形成された浸透性記録媒体に、請求項1〜4の何れかの活性エネルギー線硬化型インクを用いて前記画像に対応する画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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