JP5584975B2 - 焼結機および焼結鉱の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、下方吸引式のドワイトロイド(DL)焼結機を用いて、高強度高品質の焼結鉱を製造する焼結機、およびその操業方法に関するものである。
高炉製銑法の主原料である焼結鉱は、一般に、図16に示すような工程を経て製造される。原料は、鉄鉱石粉、製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉(返鉱)、石灰石及びドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などである。これらの原料は、ホッパー1・・・の各々から、コンベヤ上に所定の割合で切り出される。切り出した原料は、ドラムミキサー2等により適量の水を加えて混合し、造粒して、3.0〜6.0mmの平均径を有する擬似粒子である焼結原料とする。一方、整粒した塊鉱石を床敷ホッパー4から切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成させる。
焼結原料は、焼結機上に配置されているサージホッパー5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、無端移動式の焼結機パレット8上の床敷層上に装入され、焼結ベッドともいわれる焼結原料の装入層9を形成する。装入層の厚さ(高さ)は通常400〜800mm前後である。その後、装入層9の上方に設置された点火炉10で、この装入層9の表層中の炭材に点火するとともに、パレット8の下に配設されているウインドボックス11を介して空気を下方に吸引することにより、該装入層中の炭材を順次燃焼させ、このときに発生する燃焼熱によって、前記焼結原料を燃焼、溶融して焼結ケーキを得る。このようにして得た焼結ケーキは、その後、破砕、整粒され、5.0mm以上の塊成物からなる成品焼結鉱として回収される。
前記製造プロセスにおいては、まず、点火炉10により装入層表層に点火が行われる。点火された装入層中の炭材は、ウインドボックスにより装入層の上層部から下層部に向かって吸引される空気によって燃焼を続け、その燃焼帯はパレット8の移動につれて次第に下層にかつ前方(下流側)に進行する。この燃焼の進行にともない、装入層中の焼結原料粒子中に含まれる水分は、炭材の燃焼で発生する熱によって気化し、下方に吸引されて、まだ温度が上昇していない下層の焼結原料中に濃縮し湿潤帯を形成する。その水分濃度がある程度以上になると、吸引ガスの流路である原料粒子間の空隙を、水分が埋めるようになり、通気抵抗を増大させる。なお、燃焼帯に発生する焼結化反応に必要な溶融部分も、通気抵抗を高める要因となる。
焼結機の生産量(t/hr)は、一般に、焼結生産率(t/hr・m2)×焼結機面積(m2)により決定される。即ち、焼結機の生産量は、焼結機の機幅や機長、原料堆積層の厚さ(装入層厚さ)、焼結原料の嵩密度、焼結(燃焼)時間、歩留などにより変化する。そして、焼結鉱の生産量を増加させるには、装入層の通気性(圧損)を改善して焼結時間を短縮する、あるいは、破砕前の焼結ケーキの冷間強度を高めて歩留を向上することなどが有効であると考えられている。
図17は、厚さが600mmの装入層中を移動する燃焼(火炎)前線が、該装入層のパレット上約400mm(装入層表面から200mm)の位置にあるときにおける装入層内の圧損と温度の分布を示したものである。このときの圧損分布は、湿潤帯におけるものが約60%、燃焼・溶融帯におけるものが約40%である。
図18は、焼結鉱の高生産時と低生産時の装入層内の温度分布を示したものである。原料粒子が溶融し始める1200℃以上の温度に保持される時間(以降、「高温域保持時間」と称する)は、低生産の場合にはt1、生産性を重視した高生産の場合にはt2で表されている。高生産の場合、パレットの移動速度を上げるため、高温域保持時間t2が低生産場合のt1と比べて短くなる。高温域保持時間が短くなると、焼成不足となって、焼結鉱の冷間強度の低下を招き、歩留が低下する。したがって、高強度焼結鉱の生産量を上げるためには、短時間の焼結においても、焼結ケーキの強度、即ち焼結鉱の冷間強度を上げて、歩留の維持、向上を図ることができる何らかの手段を講じる必要がある。なお、焼結鉱の冷間強度を表す指標としては、一般に、SI(シャッターインデックス)、TI(タンブラーインデックス)が用いられる。
図19(a)は焼結機パレット上の装入層における焼結の進行過程を、図19(b)は装入層内の焼結過程における温度分布(ヒートパターン)を、図19(c)は焼結ケーキの歩留分布を示したものである。図19(b)からわかるように、装入層の上部は下層部に比べて温度が上昇し難く、高温域保持時間も短くなる。そのため、この装入層上部では、燃焼溶融反応(焼結化反応)が不十分となり、焼結ケーキの強度が低くなるため、図19(c)に示すように、歩留が低く、生産性の低下を招く要因となっている。
こうした問題点に鑑み、装入層上層部に高温保持を付与するための方法が従来から提案されている。例えば、特許文献1は、装入層に点火後、装入層上に気体燃料を噴射する技術を開示している。しかし、上記技術は、気体燃料(可燃性ガス)の種類が不明であるが、プロパンガス(LPG)や天然ガス(LNG)であるとしても、高濃度のガスを使用している。しかも、可燃性ガスの吹き込みに際し、炭材量を削減していないため、焼結層内が、1380℃を超える高温となる。そのため、この技術では、十分な冷間強度の向上や歩留の改善効果を享受できていない。しかも、点火炉直後に可燃性ガスを噴射した場合には、可燃性ガスの燃焼により焼結ベッド上部空間で火災を起こす危険が高く、現実性に乏しい技術であって、実用化には至っていない。
また、特許文献2も、装入層に点火後、装入層に吸引される空気中に可燃性ガスを添加する技術を開示している。点火後、約1〜10分程度の供給が好ましいとされているが、点火炉での点火直後の表層部は、赤熱状態の焼結鉱が残存しており、供給の仕方によっては可燃性ガスの燃焼により火災を起こす危険が高く、また、具体的記述は少ないが、焼結済みの焼結帯で可燃ガスを燃焼させても効果は無く、焼結帯で燃焼すると、燃焼ガスによる温度上昇と熱膨張により通気性を悪化させるため、生産性を低減させてしまう傾向にあるので、これまで実用化には至っていない。
また、この技術にしても可燃性ガスの吹込みに際し、炭材量を削減していないため、焼結層内が1380℃を超える高温となる。そのため、十分な冷間強度の向上や歩留の改善効果を享受できない。さらに得られる焼結鉱にしても被還元性の悪い焼結鉱となる。
また、特許文献3は、焼結原料の装入層内を高温にするため、装入層の上にフードを配設し、そのフードを通じて空気やコークス炉ガスとの混合ガスを点火炉直後の位置で吹き込むことを開示している。しかし、この技術も、焼結層内の燃焼溶融帯の温度が1380℃を超える高温となるため、コークス炉ガス吹き込みの効果を享受できないとともに、可燃性混合ガスが焼結ベッド上部空間で発火し、火災を起こす危険性があり、実用化されていない。
さらに、特許文献4は、低融点溶剤と炭材や可燃性ガスを同時に、点火炉直後の位置で吹き込む方法を開示している。しかし、この方法もまた、表面に火炎が残留した状態で可燃性ガスを吹き込むため、焼結ベッド上部空間で火災になる危険性が高く、また、焼結帯の幅を十分に厚くできない(約15mm未満)ため、可燃性ガス吹き込みの効果を十分に発現することができない。さらに、低融点溶剤が多く存在するため、上層部において過剰な溶融現象を引き起こして、空気の流路となる気孔を閉塞してしまい、通気性を悪化させて、生産性の低下を招くことから、この技術もまた、現在に至るまで実用化されていない。
以上説明したように、これまで提案された従来技術は、いずれも実用化されておらず、実施可能な可燃性ガス吹込み技術の開発が切望されていた。
上記問題点を解決する技術として、本出願人は、特許文献5において、焼結機のパレット上に大切させた焼結原料の装入層の上から燃焼下限濃度以下に希釈した各種気体燃料を供給して装入層中に導入し、燃焼させることにより、装入層内の最高到達温度および高温域保持時間の何れか一方又は双方を調整する方法を提案している。
特開昭48−18102号公報 特公昭46−27126号公報 特開昭55−18585号公報 特開平5−311257号公報 WO2007−052776号公報
上記特許文献5の技術は、下方吸引式焼結機において、所定の濃度に希釈した気体燃料を装入層中に供給(導入)し、装入層内の目標とする位置で燃焼させる気体燃料供給を行うことにより、焼結原料の燃焼時の最高到達温度や高温域保持時間を適正に制御することができ、ひいては、熱量不足で焼結鉱の冷間強度が低くなりやすい装入層上層部のみならず、装入層中層部以下の任意の部分における焼結鉱強度を高めるような操業を行うことができる。
しかし、上記気体燃料供給焼結操業を行う場合、焼結ベッドや焼結ケーキのひび割れ部などの高温部が火種となって気体燃料に逆火し、気体燃料が燃焼する(着火)おそれがある。このような引火状態で焼結操業を続けると(爆発の問題は別として)、気体燃料を装入層内に供給できなくなるばかりでなく、気体燃料の燃焼によって酸素が消費された酸素不足の大気が装入層中に供給(導入)されることになる。その結果、燃焼時の最高到達温度や高温域保持時間を制御できなくなるばかりでなく、燃焼不足を起こして、焼結鉱の強度低下を招き、歩留りや生産性を低下させるため、焼結操業に重大な悪影響を及ぼすことになる。
そこで、本発明は上記従来例の課題に着目してなされたものであり、下方吸引式の焼結機において、高強度高品質の焼結鉱を、高歩留りでかつ安全に製造することができる焼結機およびその操業方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る焼結機は、循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する原料供給装置と、前記装入層の炭材に点火するための点火炉と、前記パレットの下方に配設したウインドボックスと、前記点火炉の下流側に配設された、気体燃料を前記装入層の上方の大気中に噴出し、空気と混合させて燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料とする気体燃料供給装置とを備え、前記気体燃料供給装置は、上端に開口を有する気体供給フード内に配設した前記気体燃料を噴出する複数本の気体燃料供給配管と、前記気体供給フード内に配設した少なくとも希釈体燃料濃度を検出する濃度計、外部への漏洩気体を検出する漏洩検出機、前記希釈気体燃料の着火を検出する着火検知器の何れか1つを有して気体燃料供給状態の異常を検出する異常検出部と、該異常検出部で検出した気体燃料供給状態の異常に基づいて前記気体燃料供給配管毎の気体燃料供給量を制限する気体燃料供給制御部とを有することを特徴としている。
また、請求項2に係る焼結機は、請求項1に係る発明において、前記気体燃料供給配管は、前記気体燃料を水平方向に噴出する気体燃料噴射ノズルを備えていることを特徴としている。
また、請求項3に係る焼結機は、請求項1又は2に係る発明において、前記希釈気体燃料の濃度は燃焼下限濃度の1/3以下に設定されていることを特徴としている。
また、請求項4に係る焼結機は、請求項1乃至3の何れか1つに係る発明において、前記気体燃料供給配管は前記パレットの搬送方向と直交する方向に所定間隔を保って複数本配設され、前記異常検出部は、前記気体供給フード内のフード隅部及び前記パレットの搬送方向と直交する方向に複数個配設され、前記気体燃料供給制御部は、気体燃料供給状態の異常を検出した前記異常検出部の近傍の前記気体燃料供給配管の気体燃料流量を制限するように構成されていることを特徴としている。
また、請求項5に係る焼結機は、請求項4に係る発明において、前記気体燃料供給制御部は、気体燃料供給状態の異常を検出した前記異常検出の近傍の前記気体燃料供給配管からの気体供給を停止させるように構成されていることを特徴としている。
また、請求項6に係る焼結機は、請求項1乃至5のいずれか1つに係る発明において、前記異常検出部は、前記濃度計を備えている場合に、当該濃度計で希釈気体濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えたことを検出したとき、前記漏洩検出機を備えている場合に、当該漏洩検出機で気体燃料の漏洩を検出したとき及び前記着火検知器を備えている場合に前記希釈気体燃料の着火を検知したときに気体燃料供給状態の異常と判定することを特徴としている。
また、請求項7に係る焼結鉱の操業方法は、 循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して、パレット上に焼結原料の装入層を形成する装入工程と、
前記装入層表面の炭材に点火炉を使って点火する点火工程と、
上端に開口を有する気体供給フード内において前記装入層の上方で空気中に気体燃料を噴出して燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料とする気体燃料供給工程と、
前記希釈気体燃料と空気とを前記パレット下に配置されたウインドボックスで吸引して前記装入層内に導入し、当該装入層内において希釈気体燃料と炭材を燃焼させて焼結ケーキを生成する焼結工程とを有する焼結鉱の操業方法であって、
前記気体燃料供給工程における希釈気体燃料が高濃度となり易い前記気体供給フード内の部位に、希釈気体燃料濃度を検出する濃度計を配置し、該濃度計希釈気体燃料の濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えたことを検出したときに当該部位への前記気体燃料供給工程における気体燃料の供給を制限することを特徴としている。
本発明によれば、下方吸引式焼結機において、気体供給フード内に複数本の気体燃料供給配管を敷設し、各気体燃料供給配管から気体燃料を装入層の上方に噴出させて、この気体燃料を空気と混合させて燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料として、装入層内に導入させる際に、気体異常検出部で気体供給フード内の気体異常を検出したときに、気体燃料供給制御部で気体異常を検出した部位の近傍の気体燃料供給配管の気体燃料供給量を制限するので、気体供給フード内で希釈気体濃度の増加、気体燃料に含まれる特定成分の増加、火炎の発生等の気体異常が発生したときに、その近傍の気体燃料供給配管の気体燃料を制限することにより、異常状態が継続されることを確実に防止して安全操業を行うことができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の焼結機を示す概略構成図であって、前述した従来例で記載したように、鉄鉱石粉、製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉、石灰石及びドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などの各原料を個々のホッパーから切り出し、ドラムミキサーにより適量の水を混合し、造粒して、3.0乃至6.0mmの平均径を有する疑似粒子である焼結原料をサージホッパー5に貯留すると共に、細粒の焼結鉱を床敷ホッパー4に貯留しておく。
無端移動式の焼結機パレット8の移動に伴って、床敷ホッパー4から細粒の焼結鉱を切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成させ、この床敷層上にサージホッパー5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、焼結原料が装入されて、焼結ベッドとも言われる400〜800mm程度の厚さ(高さ)の装入層9を形成する。
そして、切り出しシュート7の下流側には、装入層9の上方に点火炉10が配設され、この点火炉10で、装入層9の表層中の炭材に点火する。この点火炉10には、製鉄所内のコークス炉で発生する所謂Cガスと称されるコークス炉ガスが供給されており、このコークス炉ガスを燃焼させることにより、装入層9の表層中の炭材に点火する。
この点火炉10の下流側には、2次炉12が配設され、この2次炉12の下流側に保温炉13が配設され、この保温炉13の下流側に複数の気体燃料供給装置15が配設されている。
この気体燃料供給装置15は、図2に示すように、点火炉10の下流側且つ燃焼・溶融帯が装入層9中を進行する過程におけるパレット進行方向の何れかの位置に一つ以上配設され、装入層9中への気体燃料の供給は、装入層9中の炭材への点火後の位置で行われるのが好ましい。この気体燃料噴射装置15は、点火炉10の下流側で、燃焼前線が表層下に進行した以降の任意の位置に一つ又は複数個配設されるものであり、目標とする製品焼結鉱の冷間強度及び被還元性を改善する観点から、大きさ、位置、配置数が後述するように決められる。
この気体燃料噴射装置15は、図2及び図3に示すように、焼結機パレット8の上部を囲う気体供給フード16で、気体供給フード16外に気体燃料が漏洩しないように囲われている。この気体供給フード16は焼結機パレット8の搬送方向と直交して延長する前後ウォール17aと焼結機パレット8の搬送方向に沿う左右のサイドウォール17b、各ウォール17a及び17bの上端から上方に行くに従い幅狭となる裁頭4角錐筒状のフード部17cとで構成され、フード部17cの上部に比較的大きな面積の開口17dが形成されている。
気体供給フード16内には、その前後ウォール17a間に燒結機パレット8の搬送方向に沿って延長し、頂点を上方とする断面く字状の邪魔板19を燒結機パレット8の搬送方向と直交する幅方向に所定ピッチpを保って所定本数平行に配設した構成を有する邪魔板列20を上下方向に3列配置し、上下方向に隣接する邪魔板列20間で、一方の邪魔板列20の邪魔板19間に他方の邪魔板列20の邪魔板19が位置するように配設されている。
また、最下段の邪魔板列20の下側における邪魔板19間に焼結機パレット8の搬送方向に延長し、搬送方向と直交する幅方向に所定間隔を保って例えば7本の気体燃料供給配管21が配設されている。これら各気体燃料供給配管21は、図2に示すように、焼結機パレット8の搬送方向の両端でそれぞれ気体燃料供給元配管22に連結され、これら気体燃料供給元配管22に、気体燃料が供給されている。
この気体燃料としては、プロパンガス、水素ガス、メタンガス、一酸化炭酸ガス(CO)、コークス炉ガス(Cガス)、LNG、高炉ガス(Bガス)、高炉・コークス炉混合ガス(Mガス)、都市ガスまたはこれらの混合ガスの何れかを適用することができる。
これらは、いずれも燃焼成分を含有しており、これらの気体燃料のいずれかを空気中に高速で吐出させて空気と混合して希釈し、燃焼下限濃度の75%程度以下の希釈気体燃料として装入層9中に供給(導入)する。
ここで、上記気体燃料中のプロパンガス、水素ガス、メタンガス、炭酸ガス、コークス炉ガス、LNG、高炉ガスについての性状を下記表1に示す。
Figure 0005584975
本実施形態では、気体燃料としてLNGを適用している。
各気体燃料供給配管21の内、幅方向の両端の気体燃料供給配管21については内側向きに気体燃料噴ノズル23が配設され、残りの気体燃料供給配管21については隣接する気体燃料供給配管21に対向する対称位置に焼結機パレット8の搬送方向に所定ピッチで所定数の気体燃料を水平方向に噴出する噴出口としての吐出気体燃料噴ノズル2が配設されている。
ここで、隣接する気体燃料供給配管21間で、図4に示すように、一方の気体燃料供給配管21の気体燃料噴ノズル2が他方の気体燃料供給配管21の気体燃料噴ノズル2間の中央位置に配置されるように隣接する気体燃料供給配管21間で気体燃料噴ノズル2が千鳥状に配置されている。このため、隣接する気体燃料供給配管21で噴射される気体燃料が互いに干渉することなく、均一に分散されて装入層9上に噴射されて空気と混合されて希釈気体燃料24となる。その後、焼結機パレット8下の図示されていないウインドボックスの吸引力を利用して、装入層9の表層に生成した焼結ケーキを経て、装入層の深部(下層)にまで導入される。
また、各気体燃料供給配管21には、気体燃料供給元配管22との連結部にそれぞれ遮断弁25が配設されている。
また、上記気体燃料供給装置15は、気体燃料を、装入層9の上方で、大気中に高速で吐出させ、それによって周囲の空気と短時間で混合し、その気体燃料の燃焼下限濃度以下の濃度に希釈し、その後、装入層中にその希釈気体燃料24を導入する必要がある。
また、本発明では、上記気体燃料供給装置15により、気体燃料を、装入層9の上方で、大気中に高速で吐出させ、それによって周囲の空気と短時間で混合し、その気体燃料が有する燃焼下限濃度以下の濃度に希釈し、その後、装入層中にその希釈気体燃料を導入する必要がある理由は、下記による。
図5(a)に示したように、内径300mmφ×高さ400mmの焼結鍋に焼結ケーキを充填し、その焼結ケーキの中央部の上から深さ90mmの位置にノズルを埋め込んで、対空気で1vol%となるよう100%濃度のメタンガスを吹き込み、焼結ケーキ内の円周方向および深さ方向におけるメタンガス濃度を測定した結果を表4に示した。一方、図5(b)に示したように、同じノズルを用いて、焼結ケーキの上方350mmの位置からメタンガスを供給した場合について、上記と同様にしてメタンガス濃度の分布を測定した結果を表2及び表3に示した。これらの結果から、メタンガスを焼結ケーキ中に直接導入した場合には、メタンガスの横方向の拡散が不十分であるのに対して、メタンガスを焼結ケーキ上方で供給した場合には、焼結ケーキ内のメタンガス濃度はほぼ均一であり、十分に横方向に拡散していることがわかる。以上の結果から、気体燃料は、焼結ケーキの上方で空気中に供給することにより、装入層内に導入される前に、均一に希釈しておくことが好ましいことがわかる。
Figure 0005584975
Figure 0005584975
なお、上記気体燃料供給装置での気体燃料の吐出は、装入層表面上方300mm以上の高さで行うことが好ましい。図6は、ノズル径が2mmφと1mmφの2種類のノズルからメタンガス(濃度:100%)を流速20〜300m/sの範囲で変化させて鉛直下方方向に吐出した時の、メタンガスの拡がりを測定した結果であり、ノズル先端から0.2m、0.4m、0.6mおよび0.8mの位置での拡がりを示したものである。これらの図から、ノズルの径は小さいほど、また、吐出させる気体燃料の速度は速いほど、周囲の空気との混合が起こりやすく希釈が促進されること、特に、増速による希釈促進効果は、ノズル先端からの距離が0.4mで大きくなっていることがわかる。そこで、本発明は、この結果と、吐出された気体燃料の装入層表面における跳ね返りを考慮し、気体燃料の大気中への供給は、装入層表面上方300mm以上の高さで行うこととする。
次に、本発明においては、気体燃料供給装置15の気体燃料供給配管21に設けられた気体燃料噴射ノズル23からの気体燃料の吐出速度は、逆火を防止する観点から高速で吐出させる必要があり、具体的には、その気体燃料の燃焼速度の2倍以上の速度、より好ましくは、その気体燃料の乱流燃焼速度の2倍以上の速度で吐出させることが望ましい。すなわち、本発明の焼結操業においては、焼結パレット内に燃焼・溶融帯を形成する、あるいは形成しつつある焼結層が存在し、常に火種を有する状態において、装入層9の上方で、気体燃料の吐出操作が行われる。上記気体燃料は、装入層表層に吸引・導入される段階までに、希釈されて大気中での燃焼下限濃度以下となっているが、逆火の可能性が常に付きまとうことになる。そこで、気体燃料側に着火しても、逆火しないようにするために、気体燃料の吐出速度は、その気体燃料が有する燃焼速度の2倍以上、より好ましくは、乱流燃焼速度の2倍以上の速度で吐出させるのが望ましい。
上記気体燃料の吐出速度を得るためには、気体燃料噴射ノズル23からの気体燃料の吐出圧力を、雰囲気圧力に対して300mmAq以上40000mmAq未満とすることが好ましい。
また、気体燃料を吐出させる配管と開口部が同一形状である場合、一般的に、燃料を供給元ヘッダーに近いほど、燃料が出やすく、遠くなるほど燃料が出にくくなる。そこで、長尺の配管を使用する場合には、
(a)配管内の断面積を徐々に小さくしたテーパー状配管を用いる
(b)燃料供給元ヘッダーより遠ざかるほど、開口断面積を大きくする
(c)燃料供給元ヘッダーより遠ざかるほど、開口部やノズルのピッチを狭め、単位配管長さ当りの開口部ないしノズル断面積の和が大きくする、
のいずれか1つを適用するか、これらを組み合わせて適用することにより、配管長さが長い場合でも、均等に燃料を供給することができる。
次に、本発明の気体燃料供給装置の横風対策について説明する。
本発明では、前述したように、焼結機パレット8の上部を囲う気体供給フード16を設けている。この気体供給フード16によって横風による希釈気体燃料29の濃度分布に与える影響を抑制するようにしている。すなわち、本発明者等は、種々の検討を行った結果、気体供給フード16の設置は、横風対策として、衝立以上の効果があることが分かった。但し、この気体供給フード16は前述したように、上方に開口16aを有するか又は適当な透過率(空隙率)を有するものとし、この部分から、大気を取り入れることができる構造とする必要がある。
これにより、気体供給フード16内部で、気体燃料噴射ノズル23から噴射されたコークス炉ガスと大気とが混合される。
さらに、気体供給フード16の焼結機パレット8の搬送方向に沿う左右のサイドウォール17bの上端に、図3に示すように、透過率30%程度のパンチメタル等で構成される横風減衰フェンス16cを設けることが好ましい。
また、気体供給フード16の下側と、焼結ベッド表面(装入層表面)との間には、必然的に間隙が生じるが、この間隙部分のシールが十分でないと、例えば、透過率が20〜30%あると、この部分から気体供給フード16内部に空気を巻き込み、希釈気体燃料の濃度分布の偏りを増大させることが分かった。したがって、気体供給フード16の下端からの空気の侵入を防止することは重要である。
このため、気体供給フード16の焼結機パレット8の搬送方向に沿う左右のサイドウォール18の下端とパレットサイドウォール8aとの間及びスプレー機構23の分岐噴射部27の下面と装入層9の上面との間には、図3に模式的に示すように焼結機パレット8の搬送方向に延長するワイヤーブラシ間にシールシートを介挿したワイプレシール41が設置され、その外側にワイプレシール41を外側から覆うカバー42が設けられている。なお、シール材としてはワイプレシール41に限らず、チェーンカーテン、シールブラシ、密着シール等のシール材を適用することができる。また、上記シール材は、耐熱性があり、且つ、可撓性ないし変形の自由度が大きく、装入層9の表面を傷つけないものであることが好ましい。
一方、焼結機パレット8の搬送方向の上流側及び下流側での気体供給フード16の前後板部16bの下端と装入層9の表面との間では、図7に示すような気体供給フード16の前後ウォール19に沿って空気通路43を配設し、この空気通路43の下方から空気を噴出させてエアカーテン44を形成することが好ましい。
また、気体燃料噴射装置15の設置位置、大きさ、配置数は以下のようにして設定される。
すなわち、装入層9中の炭材に点火された後に、希釈気体燃料24を装入層9上へ供給(導入)する。その理由は、点火直後の位置で希釈気体燃料24を供給しても、装入層9の表層上で燃焼するだけであり、希釈気体燃料24が燃焼層に何ら影響を与えることはないからである。したがって、装入層9の上部の焼結原料が焼成されて、焼結ケーキの層が形成された後に、希釈気体燃料24を装入層9へ供給する必要がある。なお、希釈気体燃料24の供給は、装入層9の表面に焼結ケーキの層が形成されていれば、焼結が完了するまでの任意の位置で行うことができる。希釈気体燃料24の供給を焼結ケーキの層が形成された後に行う上記以外の理由は、下記の通りである。
(a)装入層9の上部に焼結ケーキ(焼結層)が生成していない状態で希釈気体燃料24の供給を行うと、この装入層9の上で燃焼を起こす可能性がある。
(b)希釈気体燃料の供給は、焼結鉱の歩留りを向上させる必要のある部分に対して行う、即ち、焼結鉱の強度を上昇させたい部分で燃焼を起こすよう供給するのが好ましい。
希釈気体燃料24の装入層9の上方側で燃焼しないようにするには、装入層9の表層部に点火炉10による着火後、着火して焼結ケーキが表面に生成された後は、装入層9の表層部分に火種が無く逆火(引火)の確率は低くなる。この焼結ケーキは前述した図20(a)に示すように、焼結機パレット8が点火炉10から下流側に移動するに応じて厚みが厚くなることから、焼結ケーキの装入層9の表面からの厚みが20mm以上となると逆火を生じる可能性が十分に低く、焼結ケーキの厚みが50mm以上となると逆火を確実に防止することができる。
このように、焼結ケーキの厚みが20mm以上、好ましくは50mm以上となる希釈気体燃料の好適な吹込み位置は、点火炉10から下流側に5〜6mの位置となり、この位置に最初の気体燃料供給装置15を配設する。複数の気体燃料供給装置15を配設する場合には、最初の気体燃料供給装置15の下流側であれば、装入層9の表面に火種が全くないので、任意の位置に気体燃料供給装置15を設けることができ、本実施形態では4台の気体燃料供給装置15が焼結機パレット8の搬送方向に沿って直列に配設されている。
また、装入層最高到達温度又は高温域保持時間の何れか又は両方を調整するために、燃焼・溶融帯の厚みが少なくとも15mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上となった状態において、希釈気体燃料24の供給を行うことが好ましい。燃焼・溶融帯の厚みが15mm未満では、焼結ケーキ(焼結層)を通して吸引される空気と希釈気体燃料24による冷却効果によって、希釈気体燃料24を燃焼させてもその効果が不十分となり、燃焼・溶融帯の厚みの拡大を図れないからである。
一方、前記燃焼・溶融帯の厚みが15mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上となる段階で希釈気体燃料24を供給すると、燃焼・溶融帯の厚みが大きく拡大し、高温域保持時間を延長することができ、ひいては冷間強度の高い焼結鉱を得ることができる。
また、希釈気体燃料24の装入層9への導入は、燃焼前線が表層下に下がり、燃焼・溶融帯が表層から100mm以上、好ましくは200mm以上下がった位置、すなわち、装入層9の中・下層に生成した焼結ケーキ領域(焼結層)を燃焼することなく通過し、燃焼前線が表層から100mm以上移動した段階で燃焼するように供給するのが好ましい。その理由は、燃焼前線が表層から100mm以上下がった位置であれば、焼結層を通して吸引される空気による冷却の悪影響が軽減され、燃焼・溶融帯の厚みの拡大を図ることができるからである。さらに、燃焼・溶融帯が表層から200mm以上下がった位置であれば、空気による冷却の影響が略解消されて、燃焼・溶融帯の厚みを30mm以上に拡大することができる。また、希釈気体燃料24の供給は、歩留り低下の大きいパレット幅方向両炭部のサイドウォール近傍で行うことがより好ましい。
なお、気体燃料供給装置15は、焼結機の規模にもよって異なるが、例えば、生産量が約1.5万t/日で、機長が90mの規模の焼結機では、点火炉10の下流側約5m以降の位置に配置することが好ましい。
本発明に係る焼結鉱の製造方法では、装入層中への希釈気体燃料24の導入は、生成した焼結ケーキの再加熱を促進するものであることも意味している。即ち、この希釈気体燃料の供給は、もともと高温域保持時間が短く熱不足となりやすく、焼結鉱の冷間強度が低い部分に対して、固体燃料に比べて反応性の高い気体燃料を供給することによって、不足しやすいこの部分の燃焼熱を補填し、燃焼・溶融帯の再生−拡大を図るという意義を担うものだからである。
また、本発明に係る焼結鉱の製造方法では、点火後の装入層上部からの希釈気体燃料24の供給は、装入層内する導入された希釈気体燃料24の少なくとも一部が未燃焼のまま、燃焼・溶融帯にまで到達して、燃焼熱の補填を図りたい目標位置で燃焼するようにするのが好ましい。それは、希釈気体燃料の供給、即ち装入層中への導入効果を単に装入層上部のみならず、厚み方向の中央部である燃焼・溶融帯にまで波及させることがより効果的と考えられるからである。つまり、希釈気体燃料24の供給が、熱不足(高温域保持時間の不足)になりやすい装入層の上層部で行われると、十分な燃焼熱を提供することになり、この部分の焼結ケーキの品質を改善することができ、さらに、希釈気体燃料24の供給作用を中層部以下の帯域にまで及ぶようにすると、本来の炭材による燃焼・溶融帯の上に希釈気体燃料24による再燃焼・溶融帯を形成するのと等しい結果となり、燃焼・溶融帯の上下方向の拡幅につながるので、最高到達温度を上げることなく、高温域保持時間の延長を果すことが可能になるので、パレットの移動速度を落すことなく十分な焼結が実現できるからである。その結果、装入層9全体の焼結ケーキの品質改善(冷間強度の向上)をもたらし、ひいては成品焼結鉱の品質(冷間強度)と生産性の向上につながる。
また、本発明において、希釈気体燃料24を装入層9中へ導入(供給)するに当っては、その供給位置を調整するだけでなく、燃焼・溶融帯自体の形態を制御し、ひいては、燃焼・溶融帯における最高到達温度および/または高温域保持時間をも制御するようにすることが好ましい構成である。
一般に、点火後の装入層9では、焼結機パレット8の移動に伴って燃焼(火炎)前線が次第に下方にかつ前方(下流側)に拡大していく中で、燃焼・溶融帯の位置が前述した図20(a)に示すように変化する。そして、図20(b)に示すように、焼結層内の焼結過程で受ける熱履歴は、上層、中層、下層で異なり、上層〜下層間では、高温域保持時間(約1200℃以上となる時間)は大きく異なる。その結果、パレット8内の位置別焼結鉱の歩留まりは、図20(c)に示すような分布を示す。即ち、表層部(上層部)の歩留は低く、中層、下層部で高い歩留分布となる。そこで、本発明方法に従って、前記希釈気体燃料24を供給すると、燃焼・溶融帯は、上下方向の厚みやパレット進行方向の幅などが拡大し、これが成品焼結鉱の品質向上に反映されるのである。そして、高い歩留分布となる中層部や下層部は、さらに高温域保持時間を制御できるため、歩留をより上昇させることができる。
前記希釈気体燃料24の供給(導入)位置を調整することにより、燃焼・溶融帯の形態、即ち、燃焼・溶融帯の高さ方向の厚さおよび/またはパレット進行方向の幅を制御できると共に、最高到達温度や高温域保持時間を制御することができる。これらの制御は、本発明の効果をより一層際立たせて、燃焼・溶融帯の上下方向の厚さやパレット進行方向の幅の拡大や、最高到達温度、高温域保持時間の制御を通じて、常に十分な焼成を果し、成品焼結鉱の冷間強度の向上に有効に寄与する。
また、本発明において、装入層9中への希釈気体燃料24の供給(導入)は、成品焼結鉱全体の冷間強度を制御するためであると言うこともできる。すなわち、希釈気体燃料24を供給するそもそもの目的は、焼結ケーキ、ひいては焼結鉱の冷間強度を向上させることにあり、とくに、希釈気体燃料24の供給位置制御や、焼結原料が燃焼・溶融帯に滞在する時間である高温域保持時間の制御、最高到達温度の制御を通じて、焼結鉱の冷間強度(シャッターインデックスSI)を75〜85%程度、好ましくは80%以上、より好ましく90%以上にすることである。
この強度レベルは、本発明では、とくに前記希釈気体燃料24の濃度、供給量、供給位置および供給範囲を、好ましく焼結原料中の炭材量を考慮した(投入熱量を一定にする条件下で)上で調整することによって、安価に達成することができる。なお、焼結鉱の冷間強度の向上は、一方で、通気抵抗の増大と生産性の低下を招くことがあるが、本発明では、そうした問題を最高到達温度や高温域保持時間をも制御することによって解消した上で、焼結鉱の冷間強度を向上させる。なお、実機焼結機によって製造された焼結鉱の冷間強度SI値は、鍋試験で得られる値よりもさらに10〜15%高い値を示す。
本発明の製造方法において、パレット進行方向における前記希釈気体燃料24の装入層9中への導入位置は、装入層9中に生成した焼結ケーキから湿潤帯までの間の任意の帯域における焼結鉱の冷間強度をどのようにするかということを基準とする。この制御のために、本発明では、気体燃料噴射装置の規模(大きさ)、数、位置(点火炉からの距離)、ガス濃度を、好ましくは焼結原料中の炭材量(固体燃料)に応じて調整することにより、主として燃焼・溶融帯の大きさ(上下方向の厚さおよびパレット進行方向の幅)のみならず、高温到達温度、高温域保持時間をも制御し、このことによって、装入層9中に生成する焼結ケーキの強度を制御する。
下記の表4は、各種気体燃料の燃焼下限濃度と、その気体燃料の吹き込み上限濃度(燃焼下限濃度の75%、60%、25%)を示したものである。
例えば、プロパンガスは、燃焼下限濃度は2.2vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は1.7vol%、60%に希釈したガス濃度上限は1.3vol%、25%に希釈したガス濃度は0.6vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、希釈したガス濃度の下限、即ち、気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は、プロパンガスの場合は0.05vol%である。
好ましい範囲(1): 2.2vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(2): 1.7vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(3): 1.3vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(4): 0.6vol%〜0.05vol%
また、Cガスは、燃焼下限濃度は5.0vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は3.8vol%、60%に希釈したガス濃度上限は3.0vol%、25%に希釈したガス濃度は1.3vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、Cガスの場合、気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は0.24vol%である。
好ましい範囲(1): 5.0vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(2): 3.8vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(3): 3.0vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(4): 1.3vol%〜0.24vol%
また、LNGガスは、燃焼下限濃度は4.8vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は3.6vol%、60%に希釈したガス濃度上限は2.9vol%、25%に希釈したガス濃度は1.2vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、LNGガスの気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は0.1vol%である。
好ましい範囲(1): 4.8vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(2): 3.6vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(3): 2.9vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(4): 1.2vol%〜0.1vol%
また、高炉ガスは、燃焼下限濃度は40.0vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は30.0vol%、60%に希釈したガス濃度上限は24.0vol%、25%に希釈したガス濃度は10.0vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、高炉ガスの気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は0.24vol%である。
好ましい範囲(1): 40.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(2): 30.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(3): 24.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(4): 10.0vol%〜1.25vol%
Figure 0005584975
また、焼結機パレット8の搬送方向と直交する方向の幅方向のサイドウォール18の近傍では、前述したように横風等の影響を受けて、気体燃料噴射ノズル23から供給した気体燃料が吹き寄せられて希釈気体燃料濃度が高くなったり、外部に漏洩したりするおそれがある。また、装入層からの吸引が不均一になったときも、希釈気体燃料の濃度が変化し、濃度が高くなったり、外部に漏洩するおそれがある。
このため、本実施形態では、気体燃料としてLNGを採用しており、このLNGの主成分は、前述した表1に示すように、メタンCH4であることから、このメタンCH4の濃度を検出するメタン濃度検出器50を気体供給フード16に適宜配置してメタンCH4の濃度拡散分布を測定した。この場合の気体供給フード16には気体燃料供給配管21が焼結機パレット8の搬送方向と直交する幅方向に所定間隔を保って平行に13本配設されている。これら気体燃料供給配管21は装入層9の表面からの高さが500mmの位置に配設されている。
この場合のメタン濃度検出器50の配置は、水平方向では、図8(a)及び(b)で●印で示すように、気体供給フード16の装入層9の上面から例えば155mmの高さ位置に対角線上に9点配置し、垂直方向では気体供給フード16の開口16aの中央部に図8(b)に示すように13点配置するとともに、焼結機パレット8の搬送方向に沿う左右側面に横風によって外気に漏洩する可能性が高いハッチングを施した○印で表される位置にもメタン濃度検出器50を配置して測定を行なった。
上記のように多数のメタン濃度検出器50を配置した状態で、全13本の気体燃料供給配管21の遮断弁25を開状態として各気体燃料噴射ノズル23から流量200Nm3/h(6000ppm)でLNGを水平方向に噴射させて装入層9内に導入して焼結を行った。このとき、焼結操業の過程での気体供給フード16の中央部における垂直方向のメタンCH4の濃度分布は、図9に示すように、装入層9の表面から185mm程度の位置でメタンCH4濃度が0.38%程度で、装入層9の表面からから315mm程度の位置でメタンCH4が0.58%程度で一番多く、装入層9の表面から600mm程度以上ではメタンCH4濃度が0.05%以下となっている状態が観察された。この図9の計測結果によると、気体燃料供給配管21の気体燃料噴射ノズル23の位置より高い位置では、メタンCH4濃度が低く、気体燃料噴射ノズル23と装入層9の表面との間では、メタンCH4濃度が高いことから、外部のメタン流出はなく、フード高さ及び邪魔板19の形状及び配置は当初条件で十部であると考えられた。
一方、装入層9の表面から155mmの高さ位置における気体供給フード16の中心から焼結機パレット8の搬送方向と直交する幅方向の端部までのメタンCH4濃度の分布は、図10に示すように、LNGを供給する気体燃料配管21の本数を中央寄りの3本、5本、7本及び13本の4パターンのそれぞれについて気体供給フード16の中心から焼結機パレット8の搬送方向と直交する幅方向の端部に向かうにしたがって徐々に増加する状況が測定され焼結操業を継続するにしたがってフード端部のメタンCH4濃度が高くなる。この図10の計測結果によると、気体燃料噴射ノズル23の下側から装入層9の表面との間では、気体供給フード16の中央が低く(吹込み気体燃料の設定希釈濃度である)焼結機の幅方向の端部である気体供給フード16壁側においてメタンCH4濃度が高くなる現象である。また、この高濃度は気体供給フード16の4隅部が特に高濃度になることが確認された。幅方向に気体燃料供給配管(ノズル付)を13本とする焼結操業では、図10に示したように気体供給フード16壁側においてメタンCH4濃度が4%に達するときがあることも確認できた。本発明の気体燃料供給においては、火災事故などの安全を図ること、焼結進行過程の装入層中で希釈された気体燃料を燃焼させるため、その気体燃料の燃焼下限濃度の75%以下の濃度に希釈した気体燃料を装入層に供給する。好ましい濃度としては気体燃料の燃焼下限濃度の1/3、望ましくは1/4以下である。気体供給フード16は、その希釈した気体燃料を外部に漏洩させないための囲いであり、図10で観察(監視)される上記気体燃料の燃焼下限濃度の75%を超える濃度に達したとき、気体燃料吹込みを停止するとともに焼結機を停止させ、焼結操業を中断させていた。例えば、LNGの燃焼下限濃度は4.8%であり、燃焼下限濃度の75%は、3.6%に相当する。図10では、到達濃度を測定するため濃度分布を求め測定したが、この濃度例であるCH4濃度が4%に達する前に気体燃料吹込みを停止するとともに焼結機を停止させ、焼結操業を中断する必要があった。操業中断が多発すると得られる焼結鉱品質に、焼結操業中断、焼結操業再開にともなうムラを生じるため、本発明においては、焼結操業を継続させる手段として以下の方法を実施する。
なお、以下では気体燃料の燃焼下限濃度の1/3以下、あるいは1/4以下の濃度を上限とする希釈気体燃料供給例で、本発明を説明する。
まず、フード内の気体燃料の燃焼下限濃度の1/3以下、あるいは1/4以下ぼ設定を越える濃度が検出されたとき、LNGを供給する気体燃料供給配管21の使用本数を減少させるのである。気体燃料供給配管21の使用本数を調整し、図10で示すように、使用本数を13本→7本→5本→3本とすれば、使用本数13本では、CH4濃度4%であったものが、使用本数を7本とすることで、CH4濃度2.3%(燃焼下限濃度の48%),使用本数を5本とすることで、CH4濃度1.4%(燃焼下限濃度の29%)使用本数を3本とすることで、CH4濃度0.7%(燃焼下限濃度の14.6%)とする調整が可能である。この使用本数を減少させる調整は、段階的に使用本数を徐々に削減する処置でかまわない。測定されるCH4濃度が設定濃度以内に収まれば、逆に気体燃料供給配管21の使用本数を増加させ復旧を行う。
このため、本発明のCH4濃度計測には、図11(a)及び(b)に示すように、実際の焼結操業時の保温炉12、気体燃料供給装置15の夫々における気体供給フード16の四隅における燃料噴射ノズル23と装入層9の表面との間4箇所に●印で表されるメタンCH4分析計51を配置する。また、安全を図るため、フード上部側の4個所の計8個所に●印で表されるメタンCH4濃度を計測する気体濃度検出器としてのメタンCH4分析計51を配置する。フード上部側のメタンCH4分析計51は漏洩検出のための安全処置である。また、図11(a)及び(b)と図12とに示すように、各気体燃料供給装置15の4隅の外側及び開口16aの中央部にそれぞれ計14台のメタンCH4の漏洩濃度が例えば50ppmを超えたことを検知するメタンCH4検知機で構成される特定成分検知器としての漏洩検知機52を配置する。さらに、図11(a)及び(b)と図13とに示すように、保温炉13及び各気体燃料供給装置15に各4台計16台の着火検知器53を配置する。これら着火検知器53は、図13に示すように、着火検知範囲が破線図示のように開角が略90度の扇状部54に釣り鐘上部55を加えた範囲となり、最長部の長さが6mとなっているので、気体供給フード16の下流側の両隅部とその上流側の両側部に計4台配置することにより、着火検出範囲が気体燃料フード16の全体をカバーすることができる。ここで、メタンCH4分析計51、漏洩検知機52及び着火検知器53で気体異常検出部が構成されている。なお、着火検知器53とは、気体燃料供給配管21の気体燃料噴射ノズル23から噴射される気体燃料に逆火等により着火していないかどうか検知するものである。
そして、各メタンCH4分析計51、漏洩検知機52及び着火検知器53の検出信号が図14に示すように、例えばマイクロコンピュータで構成される気体燃料供給制御部としての制御装置55に入力されている。この制御装置55は、その出力側に気体燃料供給配管21の気体燃料供給元配管22との連結部に介挿された遮断弁25が接続され、これら遮断弁25を制御する遮断弁制御信号が出力される。この制御装置55は、図15に示すように、気体燃料供給制御処理を実行する。この気体燃料供給制御処理は、先ず、ステップS1で、メタンCH4分析計51、漏洩検知機52及び着火検知器53の各検出信号を読込み、次いで、ステップS2に移行して、着火検知器53の検出信号のいずれか1つが着火状態を検出しているか否かを判定し、着火状態を検知しているときには、ステップS3に移行して、着火状態を検知した気体燃料フード16に配設された全ての遮断弁25を閉状態に制御するオン状態の制御信号SCを出力してから気体燃料制御処理を終了する。
一方、ステップS2の判定結果が、全ての着火検知器53で着火状態を検知していないときにはステップS4に移行して、漏洩検知機52のいずれかで漏洩状態を検知しているか否かを判定し、何れかの漏洩検知機52で漏洩状態を検知したときには、ステップS5に移行して、漏洩状態を検知した漏洩検知機52の近傍の気体供給フード16に配設された全ての遮断弁25を閉状態に制御するオン状態の制御信号SCを出力してから気体燃料制御処理を終了する。
また、ステップS4の判定結果が全ての漏洩検知機52で漏洩状態を検知していないときには、ステップS6に移行して、メタンCH4分析計51の検出信号のうちメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3(本実施形態では、設定値を燃焼下限濃度1/3とした)を超えている検出信号が存在するか否かを判定し、メタンCH4濃度が燃焼下限濃度1/3を超えているメタンCH4分析計51が存在する場合には、ステップS7に移行して、該当するメタンCH4分析計51に最も近いLNGを供給している気体供給配管21の遮断弁25を閉状態とするオン状態の制御信号SCを出力してから前記ステップS1に戻る。
また、前記ステップS6の判定結果が各メタンCH4分析計51の検出信号がメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3以下を表しているときには、そのまま前記ステップS1に戻る。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
先ず、図1に示すように、床敷ホッパー4から整粒した塊鉱石を切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成し、この床敷層上にサージホッパー5からドラムフィーダー6で定量切り出しされた焼結原料が装入されて焼結ベッドとも言われる400〜800mm程度の装入層9を形成する。
そして、焼結機パレット8の搬送に伴って、点火炉10下に移動された装入層9の表層中の炭材に点火される。
点火後の装入層9では、2次炉12及び保温炉13での加熱に伴って、焼結機パレット8の移動に伴って燃焼(火炎)前線が次第に下方にかつ前方(下流側)に拡大していく中で、燃焼・溶融帯の位置が前述した図19(a)に示すように変化する。そして、燃焼・溶融帯の位置が上層から中層に移行する表層から20mm程度に達するときに、焼結機パレット8が最初の気体燃料供給装置15の位置に達する。
この気体燃料供給装置15では、焼結機パレット8の上方を覆うフード16内で気体燃料噴射ノズル23によってLNGが噴射される。
このとき、この気体燃料噴射ノズル23が図4に示すように、隣接する組のスプレー機構23同士が対向しないように隣接する組間で焼結パレット8の搬送方向に半ピッチずらして配置されているので、隣接する組における気体燃料噴射ノズル23から噴射されるLNGが互いに干渉することなく焼結機パレット8の搬送方向に均一な噴射領域が形成される。
噴射された気体燃料は、邪魔板19によって乱流とされた空気と混合されて常温における燃焼下限濃度以下に希釈され、装入層9の上方での燃焼を抑制することができる。
そして、気体燃料噴射ノズル23から噴射され空気で希釈された希釈気体燃料24は、焼結機パレット8の下側に配設されたウインドボックス11を介して空気を下方に吸引することにより、装入層9内に導入される。
装入層9内に導入された希釈気体燃料29は、表層部に生成された焼結ケーキを通過して表面から20mm以上下側の燃焼・溶融帯に達し、この燃焼・溶融層で燃焼される。このため、元々高温域保持時間が短く熱不足となりやすく、焼結鉱の冷間強度が低い上・中層域を1200℃以上の高温域に保持する高温域保持時間を長くすることができ、焼結鉱の冷間強度を向上させることができる。したがって、希釈気体燃料24の吹き込みを行わない場合の図19(c)に示す歩留りの低い上・中層部の歩留りを向上させることができる。
このように、希釈気体燃料24の供給作用を中層部以下の領域にまで及ぶようにすると、本来の炭材による燃焼・溶融帯の上に希釈気体燃料24による再燃焼・溶融帯を形成するのと等しい結果となり、燃焼・溶融帯の上下方向の拡幅につながるので、最高到達温度を上げることなく高温域保持時間の延長を果たすことが可能になるので、焼結機パレット8の移動速度を落とすことなく十分な焼結が実現できる。その結果、装入層9全体の焼結ケーキの品質改善(冷間強度の向上)をもたらし、ひいては焼結鉱の品質(冷間強度)と生産性の向上につながる。
この焼結操業状態が横風等の影響を受けない通常焼結操業状態であるときには、保温炉13及び各気体燃料供給装置15の気体供給フード16内での気体燃料噴射ノズル23から噴射された気体燃料が邪魔板列20の各邪魔板19を通って供給される空気と混合されてメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3以下に制御されており、外部への漏洩や着火が生じることはない。
このため、制御装置で図15の気体燃料供給制御処理が実行されたときに、着火検知器53で着火状態が検知されず、漏洩検知機52でも漏洩状態が検知されず、さらにメタンCH4分析計51で検出されたメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3以下であるので、保温炉13及び各気体燃料供給装置15の全ての気体燃料供給配管21に介挿された遮断弁25が開状態に制御されて、各気体燃料供給配管21に設けた気体燃料噴射ノズル23からLNGが噴射され、これが空気と混合して希釈気体燃料24となり、この希釈気体燃料24がウインドボックス11の吸引によって装入層9に導入され、焼結・燃焼帯を拡幅し、高温域保持時間の延長を図ることができる。
ところが、通常では、装入層9の表層部に焼結ケーキが形成されて、焼結・燃焼帯が装入層9の表面から30mm好ましくは50mm下となった状態で、希釈気体燃料24が装入層9内に導入されるので、装入層9の上面には火種がなく、希釈気体燃料24が燃焼することはないが、何らかの原因で希釈気体燃料24が装入層9の上方側で燃焼することになると、これが着火検知器53で検出される。
このため、制御装置55の気体燃料供給制御処理で、ステップS2からステップS3に移行して、着火が検出された着火検知器53が配設されている気体燃料供給装置15の気体供給フード16内の全ての燃焼供給配管21に設けられた遮断弁25を閉状態とする制御信号SCを出力して、該当する気体供給フード16内の全ての遮断弁25が閉状態となることにより、気体燃料配管21へのLNGの供給が停止されて、各気体燃料噴射ノズル23からLNGの噴射が停止される。このため、希釈気体燃料24の燃焼が直ちに停止される。
同様に、横風等の影響で、希釈気体燃料が外部に漏出した場合には、漏洩検知出機52で検知されることにより、漏洩が発生した保温炉12又は各気体燃料供給装置15の全ての気体燃料供給配管21に設けられた遮断弁25が閉状態に制御されて、希釈気体燃料や他の成分の漏洩が直ちに停止される。
さらに、メタンCH4分析計51で検出したメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えた場合には、図15の気体燃料供給制御処理で、ステップS6からステップS7に移行して、燃焼下限濃度の1/3を超えたメタンCH4濃度を検出したメタンCH4分析計51に一番近いLMGが供給されている気体燃料供給配管21の遮断弁25が閉状態に制御される。
このようにLNGを供給状態にある一番近い気体燃料供給配管21へのLNGの供給を停止した状態でも、まだメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えている場合には、再度ステップS6からステップS7に移行して、前回でLNGの供給が停止された気体燃料供給配管21に隣接するLNGが供給されている気体燃料供給配管21の遮断弁25が閉状態に制御される。
この気体燃料供給配管21のLNG供給停止によって、メタンCH4分析計51で検出されるメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3以下に復帰すると、それ以上の気体燃料供給配管21のLNG供給停止処理が終了される。
このように、上記実施形態によると、希釈気体燃料24の噴射によるメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えたときには、一番近い気体燃料供給配管21から順に気体燃料の供給が停止されるので、メタンCH4濃度の燃焼下限濃度の1/3を超える上昇を確実に抑制することができ,安全な焼結操業を確保することができる。また、漏洩検知機52を配置したので、保温炉13や気体燃料供給装置15でのガス中毒(酸欠、CO中毒、臭気による不快感)の発生を確実に防止することができる。さらに、気体供給フード16内に着火検知器53を配置したので、気体燃料噴射ノズル23での火炎の発生を確実に検知することができ、火災の発生を未然に防止することができる。
なお、上記実施形態においては、気体燃料供給制御処理で、メタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3を超える濃度となったときに、一番近い気体燃料が供給されている気体燃料供給配管21を順次気体燃料の供給停止状態に移行させるようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、気体燃料供給配管21に流量制御弁を配設して、気体燃料の供給流量を制限するようにしてもよく、さらには、気体燃料の供給停止する気体燃料供給配管21の本数を例えば気体燃料供給配管21が13本である場合には、第1段階で中央部の7本のみで気体燃料を供給し、これでもメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えている場合には、第2段階で中央部の5本のみで気体燃料を供給し、さらに第3段階として中央部の3本のみで気体燃料を供給し、これでもメタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えている場合には全ての気体燃料供給配管21への気体燃料の供給を停止するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、気体燃料供給配管21の気体燃料供給元配管22との連結部に遮断弁を配置した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、気体燃料供給配管21と気体燃料噴射ノズル23との間に遮断弁や流量制御弁を配置して、これらを制御装置55で制御するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、メタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3以下になった状態で気体燃料供給配管21の気体燃料供給本数を維持する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、気体燃料停止処理が行われた場合には、所定時間経過する毎に、メタンCH4濃度が燃焼下限濃度の1/3以下を継続する場合に停止させた気体燃料供給配管21への気体燃料の供給を順次開始させるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、メタンCH4濃度を燃焼下限濃度の1/3以下で操業する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操業時のメタンCH4濃度は安全面を考慮できれば任意の濃度に設定することができる。
また、上記実施形態においては、点火炉10及び2次炉12の下流側に保温炉13を配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、保温炉13を省略して、点火炉10の下流側に所定距離を保って気体燃料供給装置15を配設する場合にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態においては、気体燃料噴射装置15の気体供給フード16の上方部に開口16aを形成したフードとした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上端を完全に開放したフードを適用することもできる。
さらに、上記実施形態においては、気体燃料としてLNGを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他のプロパンガス、水素ガス、メタンガス、一酸化炭酸ガス(CO)、コークス炉ガス(Cガス)、高炉ガス(Bガス)、高炉・コークス炉混合ガス(Mガス)、都市ガスまたはこれらの混合ガスの何れかを適用することができる。この場合、適用する気体燃料に応じた濃度計を適用すればよく、炭酸ガス、コークス炉ガス、高炉ガスを適用する場合には、一酸化炭素を含むので、漏洩検知機52としてCO検知機を適用することが好ましい。
また、上記実施形態においては、メタンCH4分析計51、漏洩検知機52及び着火検知器53で気体異常検出部を構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも気体燃料の濃度を検出する濃度検出計を備えていればよい。
本発明の技術は、製鉄用、とくに高炉用原料として使われる焼結鉱の製造技術として有用であるが、その他の鉱石塊成化技術としても利用することができる。
本発明の一実施形態を示す概略構成図である。 気体燃料供給装置の概略構成図である。 気体燃料供給装置の搬送方向と直交する方向の断面図である。 気体燃料供給装置の気体燃料噴射状態を示す説明図である。 気体燃料の吐出速度、ノズル径が希釈気体燃料の濃度分布に及ぼす影響を示すグラフである。 焼結ケーキへの気体燃料供給位置の影響を調べる実験を説明する図である。 気体供給フードの焼結機パレット搬送方向のシール機構を示す図である。 気体供給フードのメタンCH4濃度分布を計測する濃度計の配置状態を示す図である。 フード中央部の垂直方向のメタンCH4濃度分布を示すグラフである。 フード中心から側縁端部までのメタンCH4濃度分布を示すグラフである。 実際のメタンCH4分析計、漏洩検知機、着火検知器の配置状況を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。 漏洩検知機の配置状況を示す模式図である。 着火検知器の配置状況及び検知領域を示す模式図である。 制御装置を示すブロック図である。 制御装置で実行する気体燃料供給制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 従来の焼結プロセスを説明する図である。 焼結層内における圧損と温度分布を説明する図である。 高生産時と低生産時の温度分布を比較した説明図である。 焼結機内における温度分布と歩留分布のグラフである。
符号の説明
1…原料ホッパー
2…ドラムミキサー
3…ロータリーキルン
4…サージホッパー
5…床敷ホッパー
6…ドラムフィーダー
7…切り出しシュート
8…燒結機パレット
9…装入層
10…点火炉
11…ウインドボックス
15…気体燃料噴射装置
16…気体供給フード
19…邪魔板
20…邪魔板列
21…気体燃料配管
22…気体燃料供給元配管
23…気体燃料噴射ノズル
25…遮断弁
51…メタンCH4分析計
52…漏洩検知機
53…着火検知器
55…制御装置

Claims (7)

  1. 循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する原料供給装置と、
    前記装入層の炭材に点火するための点火炉と、
    前記パレットの下方に配設したウインドボックスと、
    前記点火炉の下流側に配設された、気体燃料を前記装入層の上方の大気中に噴出し、空気と混合させて燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料とする気体燃料供給装置とを備え、
    前記気体燃料供給装置は、上端に開口を有する気体供給フード内に配設した前記気体燃料を噴出する複数本の気体燃料供給配管と、前記気体供給フード内に配設した少なくとも希釈体燃料濃度を検出する濃度計、外部への漏洩気体を検出する漏洩検出機、前記希釈気体燃料の着火を検出する着火検知器の何れか1つを有して気体燃料供給状態の異常を検出する異常検出部と、該異常検出部で検出した気体燃料供給状態の異常に基づいて前記気体燃料供給配管毎の気体燃料供給量を制限する気体燃料供給制御部とを有することを特徴とする焼結機。
  2. 前記気体燃料供給配管は、前記気体燃料を水平方向に噴出する気体燃料噴射ノズルを備えていることを特徴とする請求項1に記載の焼結機。
  3. 前記希釈気体燃料の濃度は燃焼下限濃度の1/3以下に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結機。
  4. 前記気体燃料供給配管は前記パレットの搬送方向と直交する方向に所定間隔を保って複数本配設され、前記異常検出部は、前記気体供給フード内のフード隅部及び前記パレットの搬送方向と直交する方向に複数個配設され、前記気体燃料供給制御部は、気体燃料供給状態の異常を検出した前記異常検出部の近傍の前記気体燃料供給配管の気体燃料流量を制限するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の焼結機。
  5. 前記気体燃料供給制御部は、気体燃料供給状態の異常を検出した前記異常検出の近傍の前記気体燃料供給配管からの気体供給を停止させるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の焼結機。
  6. 記異常検出部は、前記濃度計を備えている場合に、当該濃度計で希釈気体濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えたことを検出したとき、前記漏洩検出機を備えている場合に、当該漏洩検出機で気体燃料の漏洩を検出したとき及び前記着火検知器を備えている場合に前記希釈気体燃料の着火を検知したときに気体燃料供給状態の異常と判定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の焼結機。
  7. 循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して、パレット上に焼結原料の装入層を形成する装入工程と、
    前記装入層表面の炭材に点火炉を使って点火する点火工程と、
    上端に開口を有する気体供給フード内において前記装入層の上方で空気中に気体燃料を噴出して燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料とする気体燃料供給工程と、
    前記希釈気体燃料と空気とを前記パレット下に配置されたウインドボックスで吸引して前記装入層内に導入し、当該装入層内において希釈気体燃料と炭材を燃焼させて焼結ケーキを生成する焼結工程とを有する焼結鉱の操業方法であって、
    前記気体燃料供給工程における希釈気体燃料が高濃度となり易い前記気体供給フード内の部位に、希釈気体燃料濃度を検出する濃度計を配置し、該濃度計希釈気体燃料の濃度が燃焼下限濃度の1/3を超えたことを検出したときに当該部位への前記気体燃料供給工程における気体燃料の供給を制限することを特徴とする焼結鉱の操業方法。
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