以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
図1から図17は、本発明に係る魚体処理システムの第1実施形態を示すものであり、図1は要部の正面図、図2は図1の平面図、図3は図1の側面図、図4は図1の魚体受渡し装置の要部の背面図、図5は図4の左側面図、図6は図4の平面図、図7は図4のA−A線に沿った断面図、図8は図6のB−B線に沿った断面図、図9は図6のC部の拡大図、図10は背部ガイドローラ近傍の拡大図、図11は図10の側板を除いた状態の右側面図、図12はベルト付勢手段の要部の拡大平面図、図13は腹部切開手段の要部の拡大正面図、図14は図13の平面図、図15は膜剥離手段および強制除去手段ならびに血腸除去手段の要部の拡大正面図、図16は図15の要部の拡大平面図、図17は制御部の要部の構成を示すブロック図である。なお、図1から図3の図中には要部のみ符号を付してある。また、図4から図11における「右」は、図1および図2の「左」である。
図1から図3に示すように、本実施形態の魚体処理システム1は、頭部除去ユニットとしての頭部除去装置2と、内臓除去ユニットとしての内臓除去装置3と、受渡しユニットとしての魚体受渡し装置4とを有している。そして、頭部除去装置2と内臓除去装置3とは、それぞれの長手方向が相互に直交するように配置されている。
前記頭部除去装置2は、魚体F、本実施形態においては鮭が搬送経路を搬送される途中で頭部を切断して除去するためのものであり、図2の上下方向に長い平面矩形状の頭部用フレーム11を有している。この頭部用フレーム11には、搬送手段としての頭部搬送手段12および頭部除去手段14が配設されている。
前記頭部搬送手段12は、魚体Fの腹部を先頭にして図2の矢印Yにて示す図2の下方から上方へ向かう搬送方向に搬送するためのものであり、図2の下方(図3の左方)に示す位置が魚体Fを魚体搭載板14に搭載する供給位置とされ、図2の上方(図3の右方)に示す位置が頭部を除去した後の魚体Fを受渡し装置4に向けて排出する排出位置とされている。
前記頭部搬送手段12は、無端環状に形成されたチェーンコンベア15を有している。このチェーンコンベア15は、頭部駆動モータ16の駆動力をもって回転駆動可能とされている。また、チェーンコンベア15には、下方に凸の断面ほぼ円弧状で、平面ほぼ平板状に形成された複数の魚体搭載板14がその長手方向を魚体Fの搬送方向(以下、単に、搬送方向と記す。)に対して直交するようにして取り付けられており、魚体搭載板14の凹部がチェーンコンベア15の外側を向くように配置されている。そして、魚体Fは、供給位置において頭部を図2の左側に向けるとともに、腹部を図2の上側に示す先頭に向けて魚体搭載板14に搭載されるようになっている。また、魚体Fの頭部、詳しくは、切断により除去される部位は、魚体搭載板14の図2の左側に示す端部より左側に突出した状態で魚体搭載板14に搭載されるようになっている。
前記頭部除去手段14は、魚体Fが搬送経路を搬送される途中で魚体Fの頭部を切断して除去するためのものであり、頭部用フレーム11の図2の左側で図2の上端に近い位置(切断位置)に配置されている。そして、頭部除去手段14は、魚体Fの頭部をその背部側および腹部側が突出するほぼV字状に切断するための頭切断刃17を有している。この頭切断刃17は、魚体Fの切断部位の移動経路に臨むように配置されており、魚体搭載板14に搭載された魚体Fが搬送されて頭切断刃17と対向する位置に到達したときに、搬送が停止され、その後、アクチュエータ、本実施形態においては往復動エアシリンダからなる切断用エアシリンダ18の駆動力により、頭切断刃17が魚体Fの切断部に向かって移動して当接することで頭部を切断して除去することができるようになっている。このとき、魚体Fを介して頭切断刃17と対向する位置には、図示しないまないたとして機能する支持板が配設されている。
前記切断用エアシリンダ18の出力軸の進退動作は、後述する制御部151の制御指令によって動作する切断作動用電磁弁154によって制御されている(図17)。
前記魚体搭載板14の図2の左側には、魚体Fが供給位置から切断位置に搬送されるまでの間、魚体搭載板14から突出した魚体Fの頭部側を下方から支持して案内するための頭ガイド19が魚体搭載板14の移動経路の図2の左側に配設されている。
また、頭部が除去された魚体Fは、排出位置において魚体搭載板14から腹部を先頭にして、かつ切断部を内臓除去装置3側(図2の左側)に向けて排出されるようになっている。
前記頭部除去装置2としては、搬送経路を搬送される途中で頭部を切断して除去することができるものであれば、従来公知の各種のものを使用することができる。なお、従来公知のものが魚体Fの排出時に、魚体Fの腹部を先頭にして排出することのできない場合、例えば、背部が先頭となるときには、魚体Fの腹部を先頭にするように反転させる反転シュートなどを用いるとよい。
前記魚体受渡し装置4は、頭部除去装置2における魚体Fの搬送経路と、内臓除去装置3における魚体Fの搬送経路とを連結するためのものであり、頭部除去装置2から排出される頭部を除去した魚体Fを受け取って、内臓除去装置3に受け渡すことができるようになっている。
本実施形態の魚体受渡し装置4は、図2に示すように、頭部除去装置2における搬送方向に対して直交する図2の左右方向に長い全体として平面ほぼ矩形状に形成された枠状の受渡し用フレーム21を有している。この受渡し用フレーム21の図2の左端部は、内臓除去装置3に取り付けられて固定されている。なお、受渡し用フレーム21としては、魚体受渡し装置4を個別に床に設置することのできる架台であってもよい。この場合、架台をボルトなどにより頭部除去装置2あるいは内臓除去装置3と連結することが、装置間の位置ずれ、すなわち、魚体Fの移動経路のずれを防止することが容易にできるという意味で好ましい。
ここで、本実施形態の魚体受渡し装置4について、図4から図11により詳しく説明する。
図4から図8に示すように、受渡し用フレーム21の上面には、搬送手段としての受渡し搬送手段22が配設されている。この受渡し搬送手段22は、受渡し用フレーム21の長手方向に沿って延在する無端環状の受渡し搬送ベルト23を有している。この受渡し搬送ベルト23は、図8に示すように、受渡し用フレーム21の左端から左側に突出した位置に配設された受渡し従動プーリ24と、受渡し用フレーム21の右端部に配設された受渡し駆動プーリ25とのそれぞれの外周面に掛け渡されている。そして、受渡し従動プーリ24は、受渡し用フレーム21の上面の左側に取り付けられた相互に対向する1対の支持ステー26aの対向面間に、受渡し用フレーム21の長手方向に対して直交する幅方向に沿って水平かつ回転自在に支持されたプーリ支持軸27に取り付けられている。また、受渡し駆動プーリ25は、受渡し用フレーム21の上面の右端部に取り付けられた相互に対向する1対の支持ステー26bの対向面間に、受渡し用フレーム21の長手方向に対して直交する幅方向に沿って水平かつ回転自在に支持されたプーリ駆動軸28の図6の上方に示す一端に取り付けられている。さらに、プーリ駆動軸28の図6の下方に示す他端は、図6の下方に突出されており、この他端は、図9に示す受渡し用フレーム21に取り付けられた中空ギヤドモータなどからなる受渡し駆動モータ29に接続されており、受渡し駆動モータ29の駆動力の伝達を受けて、図8において時計方向に回転駆動され、受渡し搬送ベルト23を図8において矢印にて示す時計方向に走行させることができるようになっている。
すなわち、本実施形態の受渡し搬送手段22は、回転軸線が水平方向に延在するようにして間隔をおいて対向配置された1対のプーリ24、25と、これらの1対のプーリ24、25の間に掛け渡された受渡し搬送ベルト23と、受渡し搬送ベルト23を走行させるための駆動力を少なくとも一方のプーリ(受渡し駆動プーリ25)に付与する受渡し駆動モータ29とを有する構成とされている。なお、1対のプーリ24、25の両者を駆動させる構成としてもよい。
したがって、本実施形態の受渡し搬送手段22は、頭部除去装置2により頭部が除去された魚体Fを図8の左側に示す受取位置で下方から受渡し搬送ベルト23上に受け取り、この受け取った魚体Fを受渡し搬送ベルト23により図8の左側から右側に向かう矢印aにて示す搬送方向に沿って直線状の搬送経路を走行させて、図8の右側に示す受渡位置において、内臓除去装置3の供給位置に受け渡すことができるようになっている。また、受渡し搬送手段22は、受取位置において、魚体Fの頭部の切断部(以下、単に、切断部と記す。)が先頭、すなわち図8の右側に示す受渡側を向くようにして受け取ることができるようになっている。勿論、受渡し搬送ベルト23による魚体Fの搬送経路の延長線上に内臓除去装置3の供給位置が配置されていることになる。
図4から図11に示すように、前記受渡し用フレーム21の上方、詳しくは、受渡し搬送ベルト23の上方には、姿勢制御手段30が配設されている。この姿勢制御手段30は、全体として平面ほぼ矩形をなす上下方向に貫通する角筒状のガイドフレーム31を有している。このガイドフレーム31の右端部は、内臓除去装置3に取り付けられて固定されている。また、ガイドフレーム31の左端は、受渡し搬送ベルト23の左端より左側に突出するように形成されている。さらに、ガイドフレーム31は、受渡し用フレーム21の左端と、この左端の上方に位置するガイドフレーム31の外側面とが、全体として上部が開口の上向きコ字状に形成された連結板32によって連結されて一体に形成されている。なお、ガイドフレーム31としては、受渡し用フレーム21に支持固定されているものであってもよい。
前記ガイドフレーム31の内側の左側は、魚体Fが、腹部を下、背部を上に向けた状態で通過することができる通過空間PAとされている。このため、ガイドフレーム31の図6の上下方向に示す幅方向の寸法は、魚体Fの厚さ(魚体Fの腹部と背部を結ぶ線に対して直交する方向の寸法のうちの最大値)より少し大きく、(受渡し搬送ベルト23の幅とほぼ等しく)形成されており、図6の左右方向に示す長手方向の寸法は、頭部を除去した魚体Fの長さ寸法より長く形成されている。
前記ガイドフレーム31の図5の左斜め上方は、頭部除去装置2により頭部が除去された魚体Fが腹部を先頭に位置するようにして供給される供給位置とされている。このため、ガイドフレーム31の長手方向に沿って配設されている両側板31aの上部には、図5に示すように、ガイド板31bがそれぞれ設けられており、ガイドフレーム31の通過空間PAに魚体Fを確実に導入させて受け取ることができるようになっている。なお、ガイド板31bのかわりに、ホッパを設けてもよいし、供給シュートを用いる構成としてもよい。
前記ガイドフレーム31の長手方向に沿った両側板31aの外面には、魚体Fが受渡しユニットとしての魚体受渡し装置4の所定位置、本実施形態においては魚体受渡し装置4におけるガイドフレーム31の通過空間PAを通過したことを検出する第1魚体センサとしての光センサ33が配設されている。この光センサ33は、発光器33aと受光器33bとを有する透過型のものが用いられており、両側板21aに形成された図示しない貫通孔を介して発光器33aから出た光を受光器33bにより受光するとともに、発光器33aから出た光を魚体Fが遮蔽することにより魚体Fの通過を検出することができるようになっている。この光センサ33は、後述する制御部151に電気的に接続されており、魚体Fが通過空間PAを通過したことあらわす検出信号、例えばON信号を制御部151に送出することができるようになっている(図17)。なお、発光器33aおよび受光器33bを逆に配置してもよい。また、第1魚体センサの配設位置としては、設計コンセプトなどの必要に応じて設定することができる。さらに、第1魚体センサとしては、光センサ33に限らず、接触式のマイクロスイッチなどの各種のセンサを用いることができる。
前記ガイドフレーム31の長手方向に沿って配設されている両側板31aの下端部には、第1姿勢制御手段30Aが配設されている。この第1姿勢制御手段30Aは、魚体Fの搬送経路に臨むようにして配置された1対の姿勢制御板35を有している。この1対の姿勢制御板35は、搬送方向に沿って長い平板状に形成されており、その上端部がヒンジ36を介してガイドフレーム31の両側板31aの下端部に取り付けられており、搬送方向に対して直交する方向に移動自在に配設されている。また、1対の姿勢制御板35は、図7に示すように、ヒンジ36に組み込まれた図示しない板ばね、ねじリコイルばね、ねじりばねなどからなる制御板用付勢ばねの付勢力により、常時は、対向面間の下部の間隔が魚体Fの厚さより狭くなるように配置されている。そして、受渡し搬送ベルト23上に魚体Fが載置されると、1対の姿勢制御板35の対向面間の下部に魚体Fの体側部が当接するとともに、魚体Fの厚さに合わせて1対の姿勢制御板35の対向面間の間隔が拡大して魚体Fの体側部を制御板用付勢ばねの付勢力をもって挟持することができるように形成されている。これにより、魚体Fの腹部を受渡し搬送ベルト23に確実に当接させるように魚体Fの姿勢を制御することができるようになっている。また、魚体Fが受渡し搬送ベルト23により搬送されるときには、魚体Fの体側部が1対の姿勢制御板35に当接しながら移動するようになっており、1対の姿勢制御板35は、搬送時の案内ガイド(魚体押さえ)を兼ねた構成とされている。なお、第1魚体センサとしては、1対の姿勢制御板35の対向面間の間隔の拡大に連動するように近接センサ、接触式マイクロスイッチを設ける構成としてもよい。
前記1対の姿勢制御板35の右端部の上方、すなわち、第1姿勢制御手段30Aの配設位置より、搬送方向の前方である下流側には、第2姿勢制御手段30Bが配設されている。この第2姿勢制御手段30Bは、魚体Fの搬送経路を上からに臨むようにして配置された背部ガイドローラ37を有している。この背部ガイドローラ37は、図10に詳示するように、軸方向の中央が凹んだ全体として鼓状をなすように形成されている。この背部ガイドローラ37の軸方向の中央部には、従動側歯付きベルトプーリ38が配置されている。また、背部ガイドローラ37の両端側には、ベルクランク状に形成された相互に対向する1対のリンク板39の長腕39aの先端部分が配置されており、背部ガイドローラ37は、第1軸受40を介して1対のリンク板39の長腕39aの先端部の対向面間において回転自在に支持されている。
前記1対のリンク板39は、それぞれの屈曲部を貫通するローラ駆動軸41の一端側に第2軸受42を介して回転自在に支持されている。また、ローラ駆動軸41の一端側は、図8の背部ガイドローラ37の左斜め上方において、両側板31aを貫通するように回転軸線を水平にして配置されているとともに、第2軸受42を介して両側板31aに回転自在に支持されている。
前記ローラ駆動軸41の両側板31aの間の中間部分には、駆動側歯付きベルトプーリ43が取り付けられており、この駆動側歯付きベルトプーリ43と従動側歯付きベルトプーリ38との外周面には、歯付きベルト44が掛け渡されている。
前記ローラ駆動軸41の他端は、図6に示すように、図6の下方に突出されており、この他端部は、受渡し用フレーム21に取り付けられた支持板45に回転自在に支持されている(図4、図9)。また、前記ローラ駆動軸41の他端部近傍には、図7に示すように、ローラ用従動プーリ46が取り付けられており、このローラ用従動プーリ46と、プーリ駆動軸28に取り付けられたローラ用駆動プーリ47とのそれぞれの外周面には、図4に示すベルト48がたすき掛けにより掛け渡されており、背部ガイドローラ37は、受渡し駆動モータ29の駆動力の伝達を受けて、図8において矢印にて示す反時計方向に回転駆動されるようになっている。
なお、背部ガイドローラ37は、設計コンセプトなどの必要に応じて駆動させる構成を省くことができるが、受渡し搬送ベルト23と協働して魚体Fの搬送力を増加させることができるという意味で、背部ガイドローラ37を回転駆動させることが好ましい。
前記1対のリンク板39の図10の上方に示す短腕39bには、水平方向に延在する係止軸49の両端が取り付けられている。この係止軸49には、図8に示す引張りコイルばねなどからなるローラ用付勢ばね50の一端が係止されている。このローラ用付勢ばね50の他端は、調節ねじ51の環状に形成された頭部に係止されている。そして、調節ねじ51は、両側板31aの間において背部ガイドローラ37の上方に取り付けられた取付ステー52に螺着されており、背部ガイドローラ37は、常時は、ローラ用付勢ばね50の付勢力により受渡し搬送ベルト23に向かって下降され、受渡し搬送ベルト23により魚体Fが搬送される際には、魚体Fの背部の高さに合わせて全体として上下動、詳しくは、背部ガイドローラ37の下方を魚体Fが通過するときに、ローラ用付勢ばね50の付勢力をもって魚体Fの背部、詳しくは両体側部の背部に近い部分に当接するとともに、魚体Fの背部の高さ位置に合わせてローラ駆動軸41を中心として回動することで上下動するように形成されている。
前記内臓除去装置3は、魚体Fを切断部を先頭にして搬送経路を搬送される途中で腹部を切開して内臓を除去するためのものであり、図2の左右方向に長い平面矩形状の内臓用フレーム61を有している。この内臓用フレーム61には、搬送手段としての腹部搬送手段62および内臓除去手段63が配設されている。
前記腹部搬送手段62は、頭部が除去された魚体Fを、切断部を先頭にし、かつ、腹部が下、背部が上を向いた状態で図1の矢印Xにて示す図1の右方から左方へ向かう搬送方向に搬送するためのものであり、図1の右方に示す位置が魚体受渡し装置4から魚体Fが受け渡される供給位置とされ、図1の左方に示す位置が内臓を除去した後の魚体Fを外部に向けて排出する排出位置とされている。
前記腹部搬送手段62は、頭部が除去された魚体Fを、切断部を先頭にし、かつ、腹部が下、背部が上を向いた状態で、魚体Fの体側部を両側から挟持して図1の矢印Xにて示す搬送方向に沿って搬送することのできる1対の腹部搬送ベルト64を有している。
前記腹部搬送ベルト64のそれぞれは、回転軸線が鉛直方向に延在するようにして搬送方向である図1の左右方向に間隔をおいて対向配置された図示しない1対のプーリ間に掛け渡されており、少なくとも一方のプーリ(駆動プーリ)のそれぞれは、1つの腹部駆動モータ65からの駆動力の伝達を受けて、相反する方向に回転駆動されるようになっている。
前記腹部搬送ベルト64の近傍には、複数のベルト付勢手段66が図1の左右方向に沿って間隔をおいて配設されている。これらのベルト付勢手段66は、図12に示すように、1対の回転軸67、この1対の回転軸67のそれぞれの上端部に基端部が取り付けられた回動アーム68、回動アーム68の自由端部にその軸線を鉛直にして上端部が取り付けられた支持軸69、この支持軸69の下端部に回転自在に取り付けられた付勢ローラ70、1対の回動アーム68を相互に接近する方向に付勢するための圧縮コイルばねなどからなるローラ付勢ばね71、1対の回動アーム68を同期させて相反する方向に回動させるために1対の回転軸67のそれぞれに基端部が取り付けられ外周面に相互噛合する歯部72aが形成された平面ほぼ扇状の連動アーム72とを具備している。そして、1対の腹部搬送ベルト62は、ローラ付勢ばね71の付勢力により、常時は、1対の腹部搬送ベルト64の対向面間の間隔が魚体Fの厚さより狭くなるように配置されており、1対の腹部搬送ベルト62の間に魚体Fが供給されると、1対の腹部搬送ベルト62の対向面間に魚体Fの体側部が当接するとともに、魚体Fの厚さに合わせて1対の腹部搬送ベルト62の対向面間の間隔が拡大して魚体Fの体側部をローラ付勢ばね71の付勢力をもって挟持することができるように形成されている。
前記腹部搬送手段62の複数のベルト付勢手段66のうちの1つには、魚体Fが腹部搬送手段62の所定位置を通過、本実施形態においては腹部搬送手段62における後述する強制落下手段83を通過したことを検出する第2魚体センサとしての近接スイッチ73が配設されている。この近接スイッチ73は、図12に示すように、スイッチ取付プレート74を介して内臓用フレーム61に取り付けられている。また、近接スイッチ73は、回転軸67の上端部に取り付けられた金属により形成された検出片75の先端部側面と対向するように配置されている。そして、近接スイッチ73は、常時は、近接スイッチ73が検出片75と接近しており、魚体Fが通過する際には、1対の腹部搬送ベルト62の対向面間の間隔の拡大に連動して検出片75が近接スイッチ73から離間することにより、魚体Fの通過を検出することができるようになっている。この近接スイッチ73は、後述する制御部151に電気的に接続されており、魚体Fが通過したことあらわす検出信号、例えばOFF信号を制御部151に送出することができるようになっている(図17)。なお、近接スイッチ73の配設位置としては、設計コンセプトなどの必要に応じて設定することができる。なお、第2魚体センサとしては、近接スイッチ73に限らず、光センサ、接触式のマイクロスイッチなどの各種のセンサを用いることができる。
前記内臓除去手段63は、腹部切開手段81、膜剥離手段82、強制落下手段83および血腸除去手段84を有しており、腹部切開手段81、膜剥離手段82、強制落下手段83および血腸除去手段84は、搬送方向に沿って上流側から下流側に向かってこの順に配列されている。
前記腹部切開手段81は、頭部が除去された魚体Fの腹部を切開するためのものであり、図13および図14に詳示するように、下方から魚体Fの腹部をその下縁に沿って切り開く回転切断刃91と、腹部切開中に魚体Fの搬送を案内するスライドガイド92とを有している。
前記スライドガイド92は、所定範囲で前後に移動自在にガイド支持板93上に支持されている。また、ガイド支持板93は、内臓用フレーム61上に固定された枢軸94により枢支され、上流側が一定範囲で上下動自在とされている。さらに、ガイド支持板93の左側には、刃駆動軸95の一端に取り付けられた回転切断刃91がその上端をガイド支持板93の上端より上方へ突出させるようにして配置されている。また、ガイド支持板93の図13の右方端には、上流側に向かって下方へ傾斜する斜面が形成されている。この斜面に沿って、ガイド支持板93に、腹受けガイド96が取り付けられており、この腹受けガイド96は、所定幅で搬送方向に対して直交する幅方向に沿って左右に広がっており、その上に魚体Fの腹部を載置し受けることができるようになっている。そして、この腹受けガイド96の中央部に設けられたすり割り部96aから回転切断刃91の上部が上方へ突出して配置されている。
前記スライドガイド92は、ガイド支持板93の搬送方向に沿った長孔97に、ピン98により搬送方向に沿って移動自在に支持されており、レバー99を介してばね100によりガイド支持板93に対して搬送方向の上流側へ付勢されている。また、スライドガイド92は、搬送方向の上流側に延出して回転切断刃91の上部を覆う挿入部92aを備えている。この挿入部92aは、腹受けガイド96との間が、先端側に向かって開くように、腹受けガイド96に対して所定の角度をなして延出している。この挿入部92aは、断面逆U字状に形成されており、腹受けガイド96から上方へ突出した回転切断刃91の上部をその内側に受け入れている。
前記回転切断刃91は、刃駆動軸95に取り付けられており、刃駆動軸95は、回転刃駆動モータ101(図1、図17)の駆動力によって回転駆動可能にされている。
前記膜剥離手段82は、腹部が切開された魚体Fの腹部内に挿入され腹部内から体腔膜を切り離すためのものであり、スライドガイド92を通過した魚体Fの背骨を載置し、下流の所定位置に案内する第1骨定置板111および第2骨定置板112(図1)と、この第2骨定置板112を通過した魚体Fの体内に挿入されて魚体Fの体腔膜を剥ぎ取り除去する膜剥離刃113とを有している。また、膜剥離刃113の上方に配置されたベルト付勢手段66は、図1に示すように、腹部搬送ベルト64の上端部側に1つの付勢ローラ70aが配設されているとともに、この付勢ローラ70aは、上端が大径で下端が小径のテーパ状に形成されており、腹部搬送ベルト64により搬送される魚体Fが上方に浮き上がるのを阻止することができるようになっている。
前記第1骨定置板111は、ガイド支持板93の下流側に隣接して内臓用フレーム61上に固定されており、第2骨定置板112は、第1骨定置板111の下流側に隣接して内臓用フレーム61上に固定されている。また、第1骨定置板111および第2骨定置板112は、スライドガイド92の上を通過した魚体Fの腹部内(体内)に進入してその背骨を載置し、隣接する膜剥離刃113の所定位置に案内することができるように配置されている。
なお、魚体Fの血腸を除く内臓(魚卵、白子など)は、体腔膜で覆われた状態で腹部内に内包されている。また、鮭の魚体Fの血腸は、背骨の下(腹側)に密に付着している。
前記第2骨定置板112は、図1に示すように、背骨の上下方向の位置決めを行い、膜剥離刃113の上流側に位置する先端を、体腔膜の付け根近傍に確実に挿入できるように下流側に向けて徐々に高くなるよう傾斜している。
前記膜剥離刃113は、図15および図16に示すように、全体が断面逆U字径の溝形状に形成されており、その先端両側縁は湾曲面113aでカットされ、上方に位置する先端部113bは細く尖っている。そして、この膜剥離刃113は、先端部113bが第2骨定置板112の上面に滑らかに連続するように、第2骨定置板112の下流側に設置されている。そして、魚体Fが、第2骨定置板112に沿って下流へ移動すると、体腔膜の背骨側の根本に膜剥離刃113の先端部113bが次第に深く挿入され、体腔膜の背骨側を剥ぎ取ることができるようになっている。なお、この状態では、体腔膜の体側側は、魚肉に繋がった状態を保持している。
前記膜剥離刃113は、図16に示すように、本体部113Aと、この本体部113Aの上流側に位置する先端に着脱可能に取付けられたホルダ部113Bと、このホルダ部113Bの先端に着脱可能に取付けられた刃部113Cとから構成されている。すなわち、膜剥離刃113は、搬送方向に沿って上流側から下流側に向かって、刃部113C、ホルダ部113Bおよび本体部113Aがこの順に配列されている。
前記本体部113Aには、魚体Fの切開された腹部内における体腔膜の体側側の根本に挿入され、魚体Fの切開された腹部を拡開するための1対の腹拡開部113Dと、体腔膜の体側側を魚肉から切り離すための1対の剥取刃部113Eとが設けられている。そして、腹拡開部113D(図15に一方のみ図示)は、図15に示すように、搬送方向の上流側が頂点となる正面ほぼ横向き三角山形に形成されているとともに、図示はしないが搬送方向の上流側から見てほぼ台形の2側辺を形成するように、それぞれの上端が接近し、下端が離間するように、間隔をおいて配置されている。また、剥取刃部113E(図15に一方のみ図示)は、図15に示すように、搬送方向の上流側が開口の正面横向きV字状に形成されているとともに、図示はしないが搬送方向の上流側から見てほぼ台形の2側辺を形成するようにそれぞれの上端が接近し下端が離間するように、間隔をおいて配置されている。そして、魚体Fが、膜剥離刃113の先端部113bを通過して搬送方向に沿って下流へ移動すると、剥離刃113の湾曲面113aと腹拡開部113Dとの間に体腔膜の体側側がしだいに深く入り込み、剥ぎ取り部113Eによって体腔膜の体側側の根本部分が魚肉から剥ぎ取られることにより、血腸を除く内臓(以下、単に、内臓と記す。)が体腔膜とともに魚体Fから剥ぎ取られるようになっている。
前記膜剥離刃113は、図15に示すように、刃取付フレーム114によって下方から支持されており、刃取付フレーム114は、下流側において搬送方向に対して直交する幅方向に沿って軸線が配設された支軸115により回動自在に支持されており、上流側においてばね116を介して所定範囲で上下動自在に内臓用フレーム61の所定位置に支持されている、また、刃取付フレーム114には、図示しない高さ調整手段が配設されており、膜剥離刃113の先端の上下動範囲を調整できるようになっている。
前記強制落下手段83は、腹部が切開された魚体Fの腹部内に挿入され魚体Fの腹部内から切り離された体腔膜とともに内臓を強制的に落下させるためのものであり、図15に詳示するように、内臓用スクレーパ121と、この内臓用スクレーパ121を往復動させるためのアクチュエータ、本実施形態においては往復動エアシリンダからなる除去用エアシリンダ122とを有している。
前記内臓用スクレーパ121は、膜剥離刃113により魚体Fの腹部内から切り離された内臓を強制的に落下させるためのものであり、上端が膜剥離刃113の下部の内部空間に挿入される平板状の突き出し板部121aと、この突き出し板部121aの搬送方向の下流側に内臓が回り込むのを防止するためのほぼ逆向きU字溝状に形成された回り込み防止部121bとを有している(図15)。
前記除去用エアシリンダ122は、内臓用スクレーパ121を搬送方向に沿って所定のストロークで往復移動させるためのものであり、本体部113Aの先端側の下方において刃取付フレーム114に取り付けられている。また、除去用エアシリンダ122は、その出力軸の先端を搬送方向の上流側に向けて配設されており、この出力軸に内臓用スクレーパ121の突き出し板部121aが取り付けられている。また、除去用エアシリンダ122の出力軸の進退動作は、後述する制御部151の制御指令によって動作する除去作動用電磁弁155によって制御されている(図17)。そして、制御部151からの制御指令に基づいて除去用エアシリンダ122の出力軸を進退させることにより、内臓用スクレーパ121が搬送方向に沿って往復移動し、この内臓用スクレーパ121の往復移動により内臓用スクレーパ121の突き出し板部121aに貼り付く内臓を強制的に落下させることができるようになっている。これにより、内臓が落下せずに、内臓用スクレーパ121の突き出し板部121aに貼り付いて溜まるのを防止することができるようになっている。
なお、アクチュエータとしては、往復動シリンダであってもよいし、ばね入り単動シリンダであってもよい。また、アクチュエータとしては、電気駆動であってもよい。
前記強制落下手段83によって除去されて落下する内臓は、図示しない受け皿を介してベルトコンベア上に落下し、ベルトコンベアによって所定箇所に移送されて容器に収容されるようになっている。
前記血腸除去手段84は、腹部が切開された魚体Fの腹部内に挿入され血腸を除く内臓が除去された後の魚体Fの腹部内に残存する血腸を削り取ることで除去するためのものであり、図15および図16に詳示するように、血腸を削り取る血腸用スクレーパ131と、血腸の除去中に魚体Fの腹部を拡開した状態で魚体Fの搬送を案内するスライドフレーム132とを有している。
前記血腸用スクレーパ131は、スクレーパ支持板131Aと、このスクレーパ支持板131Aの下流側に位置する先端部の表面に着脱可能に取り付けられた下流側に位置する先端部が平面ほぼ三角山形に形成された削り板131Bとを有している。また、スクレーパ支持板131Aは、図15に示すように、図15の上下方向に延在する基板部131Aaと、この基板部131Aaの上端から図15の左斜め上方に向かって延出された取付板部131Abとにより形成されている。そして、取付板部131Abの下面の屈曲部近傍には、円筒状のスリーブ133がその軸線を搬送方向に対して直交する幅方向に平行にして配設されている。このスリーブ133には、円筒状のスクレーパピン134がその両端を外部に突出させて挿入されている。また、図15に示す基板部131Aaの端部には、スクレーパ用付勢ばね135の一端が着脱可能に取り付けられており、このスクレーパ用付勢ばね135の他端は、調節ねじ136の図15の右側に位置する一端に着脱可能に取り付けられている。
前記スライドフレーム132は、搬送方向に沿って長い平面矩形枠状に形成されており、搬送方向に対して直交する幅方向の寸法は、前記刃取付フレーム114および本体部113Aのそれぞれの幅方向の寸法より短く形成されており、魚体Fの移動を阻害しないようにされている。そして、スライドフレーム132の搬送方向に沿って延在する両側板の中央部のそれぞれには、図示しない軸受が配設されており、これらの軸受によってスクレーパピン134の両端部が回転自在に支持されている。また、スライドフレーム132の両側板の内側面には、調節ねじ136が挿通される貫通孔を有するねじ支持プレート137が取り付けられており、調節ねじ136の図15の左側に位置する他端が、ねじ支持プレート137の図15の左側に突出されている。そして、調節ねじ136の突出部に螺合される蝶ナット138と、ねじ支持プレート137を介して調節ねじ136螺合されるナット139によって調節ねじ136一端の搬送方向に沿った位置を調節することにより、スクレーパピン134を中心として回転する削り板131Bの先端の角度位置を調節することができるようになっている。本実施形態における削り板131Bは、図15の搬送方向において下流側に向いて斜め上方に45度の角度をもつように傾斜配置されている。なお、削り板131Bは、スライドフレーム132の上方に突出するように配置されている。
前記血腸除去手段84によって魚体Fから削り取られた血腸は、自然落下(滑落)によって、図示しない受け皿を介してベルトコンベア上に落下し、ベルトコンベアによって所定箇所に移送されて容器に収容されるようになっている。
前記血腸除去手段84の下流側には、魚体Fの腹部内を洗浄するための2つの回転ブラシ141、142と、図示しない飲料水などの洗浄液を噴射する洗浄ノズルとが配設されている。また、各回転ブラシ141、142のそれぞれは、軸受によって内臓用フレーム61に回転自在に支持された回転駆動軸143、144の先端に取り付けられており、各回転駆動軸143、144は、それぞれブラシ駆動モータ145、146の駆動力をもって回転駆動されるようになっている。
つぎに、制御部151の一例について図17により説明する。
図17に示すように、制御部151は、少なくともCPU152および適宜な容量のROM、RAMなどにより形成されたメモリ153を有している。この制御部151には、少なくとも頭部駆動モータ16、受渡し駆動モータ29、腹部駆動モータ65、回転刃駆動モータ101およびブラシ駆動モータ145、146などのモータ類や、切断用エアシリンダ18を駆動する切断作動用電磁弁154、除去用エアシリンダ122を駆動する除去作動用電磁弁155などの作動弁類や、光センサ33、近接スイッチ73などのセンサ類や、電源スイッチ、非常停止スイッチおよび魚体処理動作にかかわる各種のスイッチ類などが電気的に接続されている。なお、CPU152のかわりにMPUを用いてもよい。
前記メモリ153には、少なくとも頭部除去装置2、内臓除去装置3および魚体受渡し装置4のそれぞれの動作を制御する動作制御プログラムおよびデータや、第1魚体センサとしての光センサ33が魚体Fを検出した信号を受けてから予め設定された時間範囲内に第2魚体センサとしての近接スイッチ73が魚体Fを検出した信号を受けない場合、内臓処理装置2に魚体Fの詰まりが発生したと判断して装置を全停止させる動作制御プログラムおよびデータなどの各部の動作制御にかかわる動作制御プログラムおよびデータ、電源を投入したときの各駆動部の初期設定動作を行うための動作制御プログラムおよびデータなどが格納されている。
なお、予め設定される時間範囲は、魚体Fの搬送速度から算出した算出値にマージンを付加することにより得ることができるし、実際に魚体Fを搬送する実験を行って得た実験値にマージンを付加することにより得ることができる。
前記第1魚体センサとしての光センサ33および第2魚体センサとしての近接スイッチ73および制御部151により、本実施形態の内臓除去装置2に魚体Fの詰まりが発生したことを検出する魚体検出手段161が構成されている。
なお、本実施形態において、強制落下手段83と血腸除去手段84の間に近接スイッチ73を配設したのは、内臓除去装置3を搬送される魚体Fが膜剥離手段82の配設箇所で詰まる可能性が最も高いからである。これは、搬送される魚体Fの背骨の上下方向の位置が何らかの理由により設定範囲から外れた場合、膜剥離手段82の剥離刃113の先端部113aが魚肉に刺さったり、背骨にぶつかったりするからである。
また、第2魚体センサの配設位置を複数箇所、例えば、腹部切開手段81の配設位置の下流側、血腸除去手段84の下流側、内臓除去装置3の排出位置に設けてもよい。この場合、制御部151は、第2魚体センサの配設位置毎に魚体Fの詰りが発生したことを判断するための時間範囲が設定されることになる。
前記制御部151、電源スイッチなどは、図1に示す制御盤162に配設されている。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の魚体処理システム1によれば、頭部除去装置2の図2の下方に示す供給位置で、頭部搬送手段12の魚体搭載板14に搭載された魚体Fは、頭部搬送手段12により図2の上方に向かう矢印Yにて示す搬送方向に沿って搬送経路を搬送される途中で、頭部除去手段14により頭部が除去されて図2の上方に示す排出位置で排出される。このとき、頭部を除去された魚体Fは、腹部を先頭にして魚体搭載板14から自然落下(滑落)し、魚体受渡し装置4の受渡し搬送手段22に移載される。
ついで、魚体受渡し装置4の受渡し搬送手段22に移載された魚体Fは、姿勢制御手段30により腹部が下、背部が上を向いた状態に姿勢制御され、この状態で内臓除去装置3に向かって切断部を先頭にして図2の左側に向かって搬送される。このとき、光センサ33により魚体Fが魚体受渡し装置4の所定位置としての通過空間PAを通過したことが検出され、その検出信号は、制御部151に送出される。そして、光センサ33からの検出信号を受けた制御部151は、図示しないタイマにより、時間のカウントを開始する。
ついで、内臓除去装置3に向かって搬送された魚体Fは、内臓除去装置3の図2の右方に示す供給位置において、魚体受渡し装置4から内臓除去装置3に受け渡され、内臓除去装置3に受け渡された魚体Fは、腹部搬送手段62により、図2の矢印Xにて示す搬送方向に沿って搬送経路を搬送される途中で、内臓除去手段65により腹部を切開して内臓および血腸が個別に除去され、さらに2つの回転ブラシ141、142および図示しない洗浄ノズルから噴射される洗浄液により、残存物が取り除かれるとともに異物が洗い流されて、図2の左方に示す排出位置で外部に排出される。このとき、近接スイッチ73により魚体Fが内臓処理装置3の所定位置としての強制落下手段83と血腸除去手段84との間を通過したことを検出する。
また、魚体検出手段161の一部を構成する制御部151は、光センサ33が魚体Fを検出した信号を受けてから予め設定された時間範囲内に近接スイッチ73が魚体Fを検出した信号を受けない場合、内臓除去装置3に魚体Fの詰まりが発生したと判断し、装置を全停止する。すなわち、制御部151は、光センサ33からの検出信号を受けた時点からカウントした時間がメモリ153に記憶されている予め設定されている時間の範囲内にあるときに、近接スイッチ73から魚体Fの検出信号を受けた場合にのみ装置の駆動状態を保持し、それ以外の場合、装置を全停止する。
このように、本実施形態の魚体処理システム1によれば、頭部除去ユニットとしての頭部除去装置2と、内臓除去ユニットとしての内臓除去装置3と、頭部除去装置2と内臓除去装置3との間に配置された受渡しユニットとしての魚体受渡し装置4とを有しているから、頭部除去装置2により頭部を切断して除去した魚体Fを魚体受渡し装置4により人手を用いずに効率よく内臓除去装置3に供給することができるので、魚体Fの頭部の切断と内臓の除去と血腸の除去とをこの順に容易かつ確実に連続して行うことができる。
また、本実施形態の魚体処理システム1によれば、内臓除去装置3に強制落下手段83が設けられているから、内臓を確実に落下させることができる。その結果、内臓が接触する部品である突き出し板部121aに貼り付いて溜まるのを確実に防止することができる。
さらに、本実施形態の魚体処理システム1によれば、内臓除去装置3に魚体Fの詰まりが発生したことを検出する魚体検出手段161を有しているから、人手を用いることなく、内臓除去装置3に魚体Fの詰まりが発生したことを確実に検出することができる。
したがって、本実施形態の魚体処理システム1によれば、魚体Fの処理を確実かつ効率よく行うことができる。
また、本実施形態の魚体処理システム1の魚体検出手段161によれば、内臓除去装置3に魚体Fの詰まりが発生したと判断した場合、装置を全停止することができるから、詰まりの原因となった魚体Fの後に続く魚体Fが損傷を受けるのを確実に防止することができるし、内臓除去装置3の構成部品、例えば、膜剥離刃113に過大な荷重が加わって損傷するのを防止することもできる。
また、本実施形態の魚体処理システム1によれば、頭部除去装置2と、内臓除去装置3と、頭部除去装置2と内臓除去装置3との間に配置された魚体受渡し装置4とに分割されているから、工場における生産性の向上による低価格化や納期の短縮化および現場での据え付け作業性の向上を容易に図ることができる。
さらに、本実施形態の魚体処理システム1によれば、頭部除去装置2と、内臓除去装置3と、頭部除去装置2と内臓除去装置3との間に配置された魚体受渡し装置4とに分割されているから、頭部除去装置2あるいは内臓除去装置3を個別に使用することも容易にできる。
また、本実施形態の魚体処理システム1によれば、頭部除去装置2および内臓除去装置3の少なくとも一方として既存品を用いることができるので、低価格化や納期の短縮化をより図ることができる。
また、本実施形態の魚体処理システム1によれば、頭部除去装置2と内臓除去装置3とが平面直角をなすように配置することができるので、頭部除去装置2と内臓除去装置3とを直線状に配置した場合に比較して、長手方向のスペースを短くすることができる。その結果、頭部除去装置2に対する魚体Fの供給位置と、内臓除去装置3から排出される排出位置との相互間の距離を短くすることができるので、頭部除去装置2に対する魚体Fの供給位置と、内臓除去装置3から排出される排出位置との間を人が繰り返し移動する場合などにおける移動距離を、頭部除去装置2と内臓除去装置3とを直線状に配置した場合に比較して短くすることができる。
さらに、本実施形態の魚体処理システム1によれば、内臓除去装置3が膜剥離手段82、強制落下手段83および血腸除去手段84を有しているから、内臓と血腸とを個別に除去することができるので、めふんの材料となる血腸を効率よく確実に得ることができる。
本実施形態の魚体処理システム1の魚体受渡し装置4によれば、頭部除去装置2から頭部を除去された魚体Fを受け取り、この魚体Fを切断部を先頭にして内臓除去装置3に搬送する受渡し搬送手段22と、この受渡し搬送手段22により搬送される魚体Fを内臓除去装置3に受け渡す際に、魚体Fの姿勢を、腹部が下、背部が上を向いた状態に制御する姿勢制御手段30とを有しているから、頭部除去装置2により頭部を切断して除去した魚体Fを人手を用いずに効率よく内臓除去装置3に供給することが確実かつ容易にできる。
また、本実施形態の魚体処理システム1の魚体受渡し装置4によれば、回転軸線が水平方向に延在するようにして間隔をおいて対向配置された1対のプーリ24、25と、これらの1対のプーリ24、25の間に掛け渡された受渡し搬送ベルト23と、受渡し搬送ベルト23を走行させるための駆動力を少なくとも一方のプーリに付与する受渡し駆動モータ29とを有している受渡し搬送手段22と、魚体Fの搬送経路に臨むように配置され、魚体Fの体側部が当接しながら移動する案内ガイドを兼ねた1対の姿勢制御板35を有する第1姿勢制御手段30Aと、魚体Fの搬送経路に臨むように回転自在に配置され魚体Fが通過する際に魚体Fの背部に当接される背部ガイドローラ37を有する第2姿勢制御手段30Bとを備えているから、魚体Fの姿勢を、腹部が下、背部が上を向いた状態に保持して搬送することが確実かつ容易にできる。その結果、内臓除去装置3に対して最適な姿勢で魚体Fを受け渡すことが容易かつ確実にできる。
また、本実施形態の魚体処理システム1の魚体受渡し装置4によれば、搬送方向に対して直交する方向に移動自在に配設されているとともに、常時は、制御板用付勢ばねの付勢力により対向面間の下部の間隔が魚体Fの厚さより狭くされ、魚体Fが受渡し搬送ベルト23に供給された際には、魚体Fの厚さに合わせて対向面間の間隔が拡大する姿勢制御板35と、受渡し搬送ベルト23に対して上下動自在に配設されているとともに、常時は、ローラ用付勢ばね50の付勢力により受渡し搬送ベルト23に向かって下降され、受渡し搬送ベルト23により魚介が搬送される際には、魚体Fの背部の高さに合わせて上下動するように形成されている背部ガイドローラ37とを有しているから、魚体Fの姿勢を、腹部が下、背部が上を向いた状態に保持して搬送することがより確実にできる。
また、本実施形態の魚体処理システム1の魚体受渡し装置4によれば、背部ガイドローラ37が、回転駆動可能に形成されているから、受渡し搬送ベルト23と協働して魚体Fの搬送力を増加させることができる。その結果、魚体Fの搬送を安定させることができる。
また、本実施形態の魚体処理システム1の魚体受渡し装置4によれば、既存の頭部除去装置2と、既存の内臓除去装置3との間で、人手を用いずに効率よく魚体Fの受け渡しを行うこともできる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、頭部除去ユニットと内臓除去ユニットとが全体として直線状をなすように配置する構成とすることができる。このような構成とすることにより、複数の魚体処理システムを相互に平行に配置することができる。