JP5584645B2 - 半導体発光装置およびヘッドマウントディスプレイ装置 - Google Patents

半導体発光装置およびヘッドマウントディスプレイ装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体発光装置およびヘッドマウントディスプレイ装置に関し、薄膜形成された単結晶薄膜半導体発光素子(薄膜LED(Light Emitting Diode))が光を反射できる金属層上に形成された半導体発光装置およびヘッドマウントディスプレイ装置に関する。
従来、基板上に形成される半導体発光装置は、表裏両面から発光するLEDが薄膜形成された単結晶薄膜半導体発光素子と、単結晶薄膜半導体発光素子の裏面側(基板側)に形成されて光を反射する金属層とを備える。この金属層により、半導体発光装置から出射される出射光は、単結晶薄膜半導体発光素子の表面から出射される光だけでなく、単結晶薄膜半導体発光素子の裏面から出射される光も含むため、半導体発光装置の出射光の強度を高めることができる。
この金属層は、3原色の赤、青、緑それぞれの光の波長帯をカバーして、反射率が90%以上と高いAl(アルミニウム)が用いられる。なお、Au(金)は、波長の長い波長帯の光(例えば赤色の光)を95%以上反射させることができるが、波長の短い波長帯の光、特に550nm以下の波長帯の光、つまりは青や緑の波長帯の光に対しては、反射率が50%以下になる。
また、複数の単結晶薄膜半導体発光素子と、基板に成膜した平坦な絶縁層とが加圧・密着されることで、分子間力によって直接接合(エピフィルムボンディング)する技術がある。
したがって、基板に光反射用の金属層と、複数の単結晶薄膜半導体発光素子とを分子間力により直接接合するためには、基板の表面に金属層を成膜し、成膜された金属層の上に絶縁層(例えば、有機絶縁層)を成膜する必要がある。
特開2004−179641号公報
しかしながら、Al金属層は、蒸着やスパッタリングなどにより形成されるので、アルミニウムの膜は、製造過程において熱履歴が加えられると、熱膨張率の違いにより、層表面に突起物(いわゆるヒロック)が形成してしまう。
このため、金属層上に突起物が多数形成されることで、エピフィルムボンディングによる方法では、有機絶縁層(第1絶縁層)の表面が、薄膜(単結晶薄膜半導体発光素子)を直接接合できない程度の表面粗さ(例えば、数十nm以上)になるという問題点がある。
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、アルミニウム金属層に突起物が形成されても、薄膜発光素子と第1絶縁層とを分子間力により直接接合可能な半導体発光装置およびヘッドマウントディスプレイ装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の半導体発光装置は、薄膜半導体機能素子と、基板と、該薄膜半導体機能素子と分子間力で前記基板反対側表面に直接接合可能な平滑面および厚みを有する第1絶縁層と、該第1絶縁層の前記基板側に積層されたアルミニウム金属層とを備えた半導体発光装置であって、前記第1絶縁層の基板側表面と前記アルミニウム金属層の基板反対側表面との間に第2絶縁層をえ、前記第1絶縁層の基板反対側表面には、前記薄膜半導体発光素子が直接接合され、前記第1絶縁層は、有機絶縁膜であり、前記第2絶縁層は、前記有機絶縁膜より薄い無機絶縁膜であることを特徴とする。
本発明によれば、アルミニウム金属層に突起物が形成されても、薄膜発光素子と第1絶縁層とを分子間力により直接接合可能とすることができる。
第1の実施形態の半導体発光部を備える発光装置の平面図である。 (a)図1における第1の実施形態の半導体発光部のA−A断面図である。(b)図1における第1の実施形態の半導体発光部のB−B断面図である。 ヒロックが形成された金属層上に、第2絶縁層および第1絶縁層を形成した半導体発光部の断面図である。 (a)LEDエピフィルムを形成する場合の半導体エピタキシャルウエハの概略の構成例を示す断面図である。(b)エッチング工程途中の概略の構成例を示す断面図である。(c)エッチング工程終了時の概略の構成例を示す断面図である。 赤色薄膜LEDの概略の構成例を示す断面図である。 第2の実施形態の半導体発光部の断面図である。 第3の実施形態の半導体発光部の断面図である。 第1の実施形態ないし第3の実施形態に記載のいずれか一つの半導体発光部を備える発光装置をヘッドマウントディスプレイに搭載した概略図である。
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態の半導体発光部が、発光装置に備えられた一例を示すものである。図1に示す発光装置1は、赤色、青色、緑色の3色の半導体発光部10を備え、制御部(不図示)が制御して各半導体発光部を発光させる発光装置の平面図である。
発光装置1は、基板21上に、複数の半導体発光部10と、カソード駆動回路4と、アノード駆動回路5とを備える。各半導体発光部10は1つの薄膜LED3を備え、カソード駆動回路4は各薄膜LED3のカソードと後記するワイヤ41およびカソード接続パッド42を介して接続し、アノード駆動回路5は各薄膜LED3のアノードと後記する共通のアノード配線51を介して接続し、電流路が形成される。アノード配線51は薄膜金属である。
第1の実施形態において、半導体発光部10は、それぞれが備える薄膜LED3の発光色別に、基板21上に一列に配設される。半導体発光部10は、3原色の赤色薄膜LED3rと青色薄膜LED3bと緑色薄膜LED3gとのいずれか1つを備える。
この薄膜LED3は、赤色薄膜LED3r(3r_1,3r_2,・・・)と、青色薄膜LED3b(3b_1,3b_2,・・・)と、緑色薄膜LED3g(3g_1,3g_2,・・・)とで構成される。各色の薄膜LED3の列が平行に、かつ、3色の薄膜LED3が互いに一直線上に隣り合うように半導体発光部10は配設される。例えば、図1では、赤色薄膜LED3r_1と青色薄膜LED3b_1と緑色薄膜LED3g_1とが一直線上に位置している。
各色の薄膜LED3は、それぞれのカソードを共通にしたカソード電極40が設けられている(図2(b)参照)。赤色薄膜LED3r(3r_1,3r_2,・・・)であればカソード電極40rが設けられ、青色薄膜LED3b(3b_1,3b_2,・・・)であればカソード電極40bが設けられ、緑色薄膜LED3g(3g_1,3g_2,・・・)であればカソード電極40gが設けられている。
これにより、薄膜LED3それぞれにカソード電極40を設けるよりも、配線数を少なくすることができ、省スペース化を図ることができる。
互いに一直線上に隣り合う3色の薄膜LED3は、それぞれのアノード電極32が1つのアノード配線51と接続される。図1では、赤色薄膜LED3r_1のアノード電極32r_1と、青色薄膜LED3b_1のアノード電極32b_1と、緑色薄膜LED3g_1のアノード電極32b_1とが、1つのアノード配線51_1と接続される。同様に、赤色薄膜LED3r_2と青色薄膜LED3b_2と緑色薄膜LED3g_2とが、1つのアノード配線51_2と接続される。
(カソード駆動回路4)
カソード駆動回路4は、不図示の制御部により制御されて、カソード接続パッド42と不図示の電流源の負極との間の導通/切断を行う。後記するアノード駆動回路5のスイッチがオンであるときに、カソード駆動回路4のスイッチがオンであれば、カソード接続パッド42とアノード接続パッド52との間が導通し、カソード接続パッド42を介して薄膜LED3に電流が流れる。
カソード駆動回路4は、赤色カソード駆動回路4rと、青色カソード駆動回路4bと、緑色カソード駆動回路4gとで構成される。
赤色カソード駆動回路4rは、赤色カソード接続パッド42rおよびワイヤ41rを介して、赤色薄膜LED3rのカソード電極40rと接続される。これにより、赤色カソード駆動回路4rから赤色薄膜LED3rのカソード電極40rに電流を流すことができる。同様に、青色カソード駆動回路4bは、青色カソード接続パッド42bおよびワイヤ41bを介して、青色薄膜LED3bのカソード電極40bと接続される。緑色カソード駆動回路4gは、緑色カソード接続パッド42gおよびワイヤ41gを介して、緑色薄膜LED3gのカソード電極40gと接続される。
(アノード駆動回路5)
アノード駆動回路5は、不図示の制御部により制御されて、不図示の電流源の正極とアノード接続パッド52との間の導通/切断を行うスイッチである。カソード駆動回路4のスイッチがオンであるときに、アノード駆動回路5のスイッチがオンであれば、カソード接続パッド42とアノード接続パッド52との間が導通し、薄膜LED3から電流が流れる。
アノード駆動回路5は、一直線上に隣り合う3色の薄膜LED3のアノード電極32それぞれと接続するアノード配線51(51_1,51_2,・・・)と、そのアノード配線51と接続するアノード接続パッド52(52_1,52_2,・・・)とを備える。
アノード配線51は、一直線上に隣り合う赤色薄膜LED3r,青色薄膜LED3b,緑色薄膜LED3gそれぞれのアノード電極32r,32b,32gと接続する。
図1において、アノード配線51_1は、赤色薄膜LED3r_1のアノード電極32r_1と、青色薄膜LED3b_1のアノード電極32b_1と、緑色薄膜LED3g_1のアノード電極32g_1と接続し、さらにアノード接続パッド52_1と接続される。
以上の構成により、例えば、青色カソード駆動回路4bおよびアノード駆動回路5が制御部(不図示)に制御されて、青色カソード接続パッド42bとアノード接続パッド52_1との間に電流源が接続される。これにより、電流は、アノード接続パッド52_1、アノード配線51_1を介して、青色薄膜LED3b_1のアノード電極32b_1に流れる。さらに、電流は、カソード電極40b_1からワイヤ41bおよび青色カソード接続パッド42bを介して、青色カソード駆動回路4bに流れ込む。これにより、青色薄膜LED3b_1が発光する。
このとき、赤色カソード駆動回路4rおよび緑色カソード駆動回路4gも制御部(不図示)に制御されて、赤色カソード接続パッド42rとアノード接続パッド52_1との間および緑色カソード接続パッド42gとアノード接続パッド52_1との間に電流源が接続されることで、青色薄膜LED3b_1と同様に、赤色薄膜LED3r_1および緑色薄膜LED3g_1も発光する。
(半導体発光部)
図2(a)は、図1における第1の実施形態の発光装置のA−A断面図であり、図2(b)は、図1における第1の実施形態の発光装置のB−B断面図である。
図2に示すように、発光装置1の半導体発光部10は、層間絶縁層24と、発光層31と、アノード電極32と、半導体薄膜33と、導通層Mと、金属層11と、第2絶縁層12と、第1絶縁層13とから構成される。なお、発光層31と、アノード電極32と、半導体薄膜33とで薄膜LED3を構成する。この半導体発光部10は、Si(シリコン)などの基板21の上に配設されたIC(Integrated Circuit:集積回路)などで構成される集積回路領域22を覆う下地絶縁層23の、さらに上層に設けられる。集積回路領域22の下地絶縁層23以外の領域は、アノード接続パッド52が形成される。
下地絶縁層23は、後記する金属層11と集積回路領域22との間との短絡を防止するためのパッシベーション層であり、アノード接続パッド52がアノード配線51と接続する箇所を少なくとも除いた、集積回路領域22の上を部分的または全体的に覆うように形成される。この下地絶縁層23は、例えば、P−CVDにより形成された窒化シリコン膜(SiN膜)などで構成される。
下地絶縁層23の基板反対側表面には、薄膜LED3の基板側表面から出射された光を反射する金属層11が形成される。金属層11の基板反対側表面には、2層構成の絶縁層(第2絶縁層12、第1絶縁層13)を挟んで薄膜LED3が直接接合される。そして、半導体薄膜33上にn側電極(後記するカソード電極40)が設けられる。そして、薄膜LED3のp側電極(後記するアノード電極32)およびn側電極(後記するカソード電極40)を除いた部分と、2層構成の絶縁層(第2絶縁層12、第1絶縁層13)と、金属層11とを全体的に覆うように層間絶縁層24が形成される。
当該構成によれば、薄膜LED3の基板反対側表面から出射光30(301)が出射されるだけでなく、薄膜LED3の基板側表面からの出射光30(302)が金属層11で反射して薄膜LED3の基板反対側表面から出射されるため、薄膜LED3が出射する光を有効に取り出すことができる。
(層間絶縁層24)
層間絶縁層24は、アノード配線51と金属層11との間などの短絡を防止するための層であり、また、光を透過する層である。下地絶縁層23と同様に、窒化シリコン膜(SiN膜)からなる。
(金属層11)
金属層11は、薄膜LED3からの出射光302を反射する反射層である。この金属層11は、Ti(チタン)からなる第1の金属層と、Alからなる第2の金属層とからなり、蒸着やスパッタリングにより、1μm未満の厚さで形成される薄膜である。
第1の金属層のTiは、第2の金属層からのAl金属の拡散を防ぐ拡散防止層である。Alの融点は660℃であり、発光装置1を生成する際に加熱されることで、Al金属の拡散が起こることがある。そのため、Alより融点が高いTi(融点1660℃)の金属層を、Alの金属層の下に形成することで、第2の金属層からのAl金属の拡散を防ぐ。
また、Alの金属層は、薄膜LED3の基板反対側表面からの出射光30を反射する反射層である。なお、Tiの金属層が基板側に積層され、Alの金属層がTiの金属層の基板反対側に積層される。
しかしながら、Alの金属層は、蒸着やスパッタリングなどにより形成されることにより、加熱されたアルミニウムの結晶が異常成長し、層表面に突起物(ヒロックH,図3)が形成される、いわゆるヒロックが発生してしまう。このヒロックHが多数形成されることで、薄膜LED3(半導体薄膜33)が直接接合できない程度の表面粗さとなってしまう。このヒロックHは、金属層に用いる材料によっては、熱膨張率の違いにより発生する。なお、線膨張係数は、20℃の室温において、Alが23.1×10-6[1/K]であり、Auは14.2×10-6[1/K]であり、Tiは8.6×10-6[1/K]である。
そこで、第1の実施形態では、2層構成の絶縁層を挟んで、金属層11の上にLEDエピフィルム300(薄膜LED3)を形成する構成とした(図2参照)。
当該構成は、金属層11の上に2層構成の絶縁層(第2絶縁層12、第1絶縁層13)を形成し、さらに第1絶縁層13の上にエピフィルムボンディングによる方法でLEDエピフィルム300(薄膜LED3)を分子間力により直接接合することで得られる。詳細は後記する。
(2層構成の絶縁層)
2層構成の絶縁層(第2絶縁層12、第1絶縁層13)は、図3に示すように、金属層11上にできてしまったヒロックHを覆うように金属層11の基板反対側表面に形成される層である。そして、上層の絶縁層(第1絶縁層13)を平坦に形成して表面粗さを抑える層でもある。また、第2絶縁層12および第1絶縁層13は、光を透過する層である。さらに、第2絶縁層12および第1絶縁層13は、金属層11と導通層Mとの間などの短絡を防止するための層でもある。図3は概念図であり、実際よりもヒロックHを大きく図示している。
第2絶縁層12は、無機絶縁膜であり、例えば、SiNが好適である。第2絶縁層12は、P−CVD(Plasma-Chemical Vapor Deposition)法により金属層11に基板反対側表面に均一の厚さで形成される。このとき、第2絶縁層12は、最大層厚が110nm程度に形成されることが望ましい。また、第2絶縁層12は、P−CVD法により形成されるため、ヒロックHの表面を均一の厚さで断切れなく覆う(ステップカバレッジ効果)ことができる。
そして、第1絶縁層13は、有機絶縁膜であり、例えば、ポリイミド樹脂やフッ素系樹脂などが好適である。第1絶縁層13はスピンコート法を用いてコートされる。第1絶縁層13となる樹脂が第2絶縁層12上にスピンコーティングされることで、ヒロックHの形状が第1絶縁層13の表面が平坦に形成される。このとき、第1絶縁層13は、第2絶縁層12よりも厚く形成することができるので、最大層厚が1.5μm程度に形成されることが望ましい。
以上のように、金属層11の上に2層構成の絶縁層(第2絶縁層12、第1絶縁層13)を形成する。このとき、第2絶縁層12および第1絶縁層13で形成する層の厚みは、1.5〜1.7μm、特に1.6μm程度であることが望ましい。この程度の層厚があれば、金属層11の層表面に形成されたヒロックHが100nm程度あり、第2絶縁層12形成後の表面粗さが100nm程度であったとしても、第1絶縁層13により覆うことで、第1絶縁層13の層表面Sにおいて表面粗さを20nm以下にすることができる。表面粗さが数十nm以下であるため、エピフィルムボンディングによる方法で、第1絶縁層13の上に、薄膜に形成された後記する薄膜LED3のn型領域層(半導体薄膜33)を接合することができる。
また、第2絶縁層12を有機絶縁膜で形成して、第1絶縁層13を無機絶縁膜で形成した場合、金属層11上に有機絶縁膜を比較的厚く形成しても、有機絶縁膜と、Alの金属層11の層表面に形成されたヒロックHとの間に、有機絶縁膜の段差や断切れが発生してボイド(隙間)が形成され、ヒロックHにより形成される段差を埋めることが困難である。さらに、第1絶縁層13を形成する際に、無機絶縁膜を、P−CVD法を用いて形成するため、加熱する温度に応じて、金属層11の表面のヒロックHが成長してしまう可能性がある。これにより、金属層11上のヒロックHを覆うために、第1絶縁層13の膜厚を厚く形成するほど、金属層11上のヒロックHが成長してしまう。そのため、第2絶縁層12を無機絶縁膜、第1絶縁層13を有機絶縁膜で形成するよりもさらに厚い絶縁層が形成されてしまう。
第1の実施形態によれば、第2絶縁層12を無機絶縁膜、第1絶縁層13を有機絶縁膜で形成するため、無機絶縁膜である第2絶縁層12がP−CVD法により形成され、ヒロックHにより形成されるステップカバレッジが行われてから、第2絶縁層12上に有機絶縁膜である第1絶縁層13を形成することで、金属層11上に隙間なく絶縁層を形成することができる。
(LEDエピフィルム300)
LEDエピフィルム300は、シート状の半導体薄膜であり、色別に複数の薄膜LED3が形成されており、シート平面上にて薄膜LED3がそれぞれ等間隔で1列に配列される。
基板21上には、複数の赤色薄膜LED3r(3r_1,3r_2,・・・)が形成された赤色LEDエピフィルム300rと、複数の青色薄膜LED3b(3b_1,3b_2,・・・)が形成された青色LEDエピフィルム300bと、複数の緑色薄膜LED3g(3g_1,3g_2,・・・)が形成された緑色LEDエピフィルム300gとが設けられる。
(LEDエピフィルム300の製造方法)
ここで、LEDエピフィルム300の製造方法について説明する。
図4(a)ないし図4(c)は、剥離工程の概略図である。図4(a)は、LEDエピフィルム300を形成する場合の半導体エピタキシャルウエハEPWの概略の構成例を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)に示されたLEDエピフィルム300がエピタキシャル成長用基板7から剥離されるエッチング工程途中の概略の構成例を示す断面図である。さらに、図4(c)は、図4(b)のエッチング工程終了時の概略の構成例を示す断面図である。
図4(a)ないし図4(c)において、エピタキシャル半導体層を成長させるためのエピタキシャル成長用基板7上には、バッファ層81と、剥離層82と、LEDエピフィルム300とが順次積層されている。剥離層82は、LEDエピフィルム300をエピタキシャル成長用基板7から剥離するために設けられた、いわば犠牲層である。LEDエピフィルム300は、剥離層82と接している半導体薄膜33と、発光層31と、アノード電極32とからなる。
図4(a)の剥離層82は、エッチング液などによるエッチング速度が、LEDエピフィルム300やエピタキシャル成長用基板7のエッチング速度と比較して、エッチング速度が速い層であり、逆に、LEDエピフィルム300内の半導体薄膜33と、発光層31と、アノード電極32とは、剥離層82を剥離させるためのエッチング液などによるエッチング速度と比較して、エッチング速度が遅く、剥離層82のエッチング工程ではエッチングされない半導体層である。
従って、LEDエピフィルム300の製造方法としては、例えば、図4(a)の半導体エピタキシャルウエハEPEの剥離層82を、図4(b)に示すように前記エッチング液などを利用して、そのエッチング速度の差により選択的にエッチングする。そして、図4(c)に示すように剥離層82よりも上層のLEDエピフィルム300がエピタキシャル成長用基板7から剥離する。
(薄膜LED3)
薄膜LED3は、LEDエピフィルム300に形成された単結晶薄膜半導体発光素子である。図2に示すように、薄膜LED3は、第1絶縁層13の上に導通層Mが形成され、その導通層Mの上に形成される。赤色LEDエピフィルム300rには赤色薄膜LED3rが形成され、青色LEDエピフィルム300bには青色薄膜LED3bが形成され、緑色LEDエピフィルム300gには緑色薄膜LED3gが形成されている。
(導通層M)
ここで導通層Mは、LEDエピフィルム300(半導体薄膜33)と第1絶縁層13とを接合させる接着剤の役割をする層である。また、光を透過する程度に薄く形成された金属層であり、金などから構成される。
なお、第1絶縁層13の層表面Sの表面粗さを5nm以下にすることで、導通層Mや接着剤などの媒体を用いずに、半導体薄膜33と第1絶縁層13との分子間力により直接接合することができる。
(薄膜LED3の構造)
薄膜LED3の構造について、まず、青色薄膜LED3bおよび緑色薄膜LED3gの構造を説明し、その後、赤色薄膜LED3rの構造を説明する。
(青色薄膜LED3b,緑色薄膜LED3gの構造)
青色薄膜LED3bおよび緑色薄膜LED3gの構成について説明する。緑色薄膜LED3gは、青色薄膜LED3bと同様の積層構造を有するため、説明を省略する。
青色薄膜LED3bは、窒化ガリウム(GaN)の層からなる半導体薄膜33bと、窒化ガリウム(GaN)の層(n型半導体層)および窒化インジウムガリウム(InGaN)の層(活性層)の2つの層からなる発光層31と、窒化ガリウム(GaN)のP+コンタクト層からなるアノード電極32bとから構成される。
青色薄膜LED3bは、最下層の半導体薄膜33bの上に、窒化ガリウム(GaN)の層(n型半導体層)が形成され、その上に、窒化インジウムガリウム(InGaN)の層(活性層)が形成される。そして、窒化インジウムガリウム(InGaN)の層(活性層)の上に、窒化ガリウム(GaN)のP+コンタクト層(アノード電極32b)が形成される。
この青色薄膜LED3bが、導通層Mを挟んで、第1絶縁層13の上に形成される。
また、第1の実施形態の発光装置1で用いられるLEDエピフィルム300の半導体薄膜33は、各LEDエピフィルム300に形成された薄膜LED3それぞれが共通の半導体薄膜33で構成されている。LEDエピフィルム300を第1絶縁層13上に形成後、その半導体薄膜33に1つのカソード電極40(n側電極)が形成される。このカソード電極40は発光層31と離間して形成される。
アノード電極32はアノード配線51と接続され、カソード電極40(n側電極)はワイヤ41を介してカソード駆動回路4と接続される。
(赤色薄膜LED3rの構造)
図5に示すように、赤色薄膜LED3rも積層構造を有し、赤色薄膜LED3rは、半導体薄膜33rと発光層31rとアノード電極32rとから構成される。アノード電極32rは、ガリウム砒素(GaAs)のP+コンタクト層からなる。発光層31rは、p−AlyGa1-xAsのP型グラッド層31_1rと、n−AlyGa1-yAsの活性層31_2rと、n−AlyGa1-zAsのN型グラッド層31_3rとの3つの層からなる。半導体薄膜33rは、ガリウム砒素(GaAs)のN+コンタクト層33_1rと、ガリウム砒素(GaAs)のN+接合層33_2rとの2つの層からなる。
この赤色薄膜LED3rが、導通層Mを挟んで、第1絶縁層13の上に形成される。
この赤色薄膜LED3rは、最下層の半導体薄膜33rの上に、発光層31rを形成し、その上にアノード電極32rが形成される。半導体薄膜33rは、最下層のN+接合層33_2rの上に、N+コンタクト層33_1rが形成される。発光層31rは、N+コンタクト層33_1rの上にエッチングストップ層31_4rが形成され、その上にはN型グラッド層31_3rが形成され、さらにその上に活性層31_2rが形成され、そして、活性層31_2rの上にP型グラッド層31_1rが形成される。アノード電極32rは、P型グラッド層31_1rの上に形成される。
ここで、カソード電極40rは、半導体薄膜33rのN+コンタクト層33_1rの上に形成される。
また、エッチングストップ層31_4rは、半導体素子としての形成工程において、表面(紙面上側)に位置する層がエッチングなどで除去される場合に、露出されて表面にN側コンタクトが形成される。また、エッチングストップ層31_4rは、薄膜LED3の形成工程で表面(紙面上側)に位置する層がエッチングなどで除去される場合に、エッチングを停止するまたはエッチング速度を減少させる。
発光層31は、発光装置1の基板21と対向する側に表面が向けられて配設されており、表裏両面から光を出射する。これにより、発光層31の裏面側(下側)に形成された金属層11にて反射した光が表面側に出射されるため、半導体発光部10は、発光層31の表面および裏面から出射した光を出射光30として表面側に出射することになる。
(第2の実施形態)
図6に第2の実施形態の発光装置1Aの断面図を示す。
第2の実施形態の発光装置1Aは、第1の実施形態の発光装置1と異なり、ワイヤボンディングを行わない構成であり、ワイヤ41の代わりに、カソード駆動回路4のカソード接続パッド42と金属層11とを接続して、さらに、その金属層11とカソード電極40Aとを接続する内部導通部14を設けたものである。他の構成は第1の実施形態の発光装置1と同様なので、説明を便宜的に省略する。
内部導通部14は、第1絶縁層13上にLEDエピフィルム300Aが接合された後で、金属層11上に形成された第2絶縁層12および第1絶縁層13にエッチングをして、金属層11の表面まで貫通したスルーホールに形成され、金属層11とカソード電極40Aとを接続する電流路である。
第1絶縁層13上に導通層Mを挟んで、LEDエピフィルム300Aが接合される。
(効果)
第2の実施形態の発光装置1Aによれば、金属層11を光を反射する反射層だけでなく、カソード側の電流路(ワイヤ41の代用)とすることで、第1の実施形態の発光装置1で得られる効果に加えて、発光層31で発生する熱を、内部導通部14を通じて金属層11に逃がすことができることから、放熱性の向上が期待できる。また、ワイヤボンディングを行わずに配線することができるため、発光部周辺の配線の効率化が期待できる。
(第3の実施形態)
図7に第3の実施形態の発光装置1Bの断面図を示す。
第3の実施形態の発光装置1Bは、第2の実施形態の発光装置1Aと異なり、カソード電極40B(n側電極)が半導体薄膜33(n型領域)の下側の一部領域に1箇所形成される。このカソード電極40Bは、第1の実施形態および第2の実施形態の発光装置1(1A)と同様にLEDエピフィルム300(300A)に形成された複数の薄膜LED3に共通のカソード電極である。さらに、発光装置1Bは、金属層11とカソード電極40Bとを接続する貫通導通部15を設けたものである。他の構成は第2の実施形態の発光装置1Aと同様なので、説明を便宜的に省略する。
貫通導通部15は、第2絶縁層12および第1絶縁層13にエッチングをして、金属層11の表面まで貫通したスルーホールに形成され、金属層11とカソード電極40Bとを接続する電流路である。
第1絶縁層13上に導通層Mを挟んで、LEDエピフィルム300Bが接合される。
(効果)
第3の実施形態の発光装置1Bによれば、第2の実施形態の発光装置1Aによる効果に加えて、さらに、半導体薄膜33(n型領域)の下側にカソード電極40B(n側電極)および貫通導通部15を形成するため、第2の実施形態の発光装置1Aよりさらに、発光部周辺の配線の効率化が期待できる。
(実施例)
第1の実施形態に係る半導体発光部10(薄膜LED3)を備える発光装置1をヘッドマウントディスプレイ100に搭載することができる。図8は、ヘッドマウントディスプレイ100の概略の構成を示す断面図である。
ヘッドマウントディスプレイ100は、光源61(発光装置1)と、集光レンズ62と、プリズム63とを有している。光源61および集光レンズ62と、プリズム63の一部とは、筐体60内に位置している。
光源61は、発光装置1である。発光装置1の薄膜LED3(赤色薄膜LED3r,青色薄膜LED3b,緑色薄膜LED3g)それぞれから出射された出射光30が、映像光L1として後記する集光レンズ62に照射される。なお、薄膜LED3から集光レンズ62に放射される光のビーム角を小さくするために、マイクロレンズアレイを設けることが望ましい。
集光レンズ62は、光源61からの映像光L1(出射光30)を集光するシリンダレンズで構成されており、後記するプリズム63から出射される映像光L1により焦点Pにて虚像を見ることができる。焦点Pはピントが合ったときを示している。
プリズム63は、映像光L1と外界光L2とを同時に焦点Pに導く観察光学系であり、上部プリズム631と、下部プリズム632と、ホログラム633とを有して構成されている。
上部プリズム631は、集光レンズ62からの光(出射光30)を内部での全反射によってホログラム633に導く一方、外界光L2を透過させる透明な光学部材である。この上部プリズム631は、下部プリズム632とともに、例えばアクリル系樹脂(例えばPMMA)で構成されており、平行平板の下端部を楔状にし、その上端部を厚くした形状で構成されている。また、上部プリズム631は、その下端部に配置されるホログラム633を挟むように、下部プリズム632と接着剤で接合されている。
上部プリズム631の上端面は、映像光L1の入射面としての面631aとなっており、前後方向(紙面左右方向)に位置する2面は、互いに平行な面631b・631cとなっている。このうち、面631bは、映像光L1の全反射面兼射出面および外界光L2の射出面を構成している。
下部プリズム632は、外界光L2を透過させる透明な光学部材であり、上部プリズム631と一体となって略平行平板となるように、上部プリズム631の下端部に貼り合わされる。つまり、下部プリズム632において前後方向に位置する2つの面632b・632cは、互いに平行である。面632cは外界光L2の入射面を構成している。また、面631bと面632b、面631cと面632cとは滑らかに接続されている。
上部プリズム631と下部プリズム632とを貼り合わせることによって略平行平板が形成されるので、上部プリズム631と下部プリズム632とをまとめて透明基板と称したとき、透明基板における外界光L2が透過する部分の厚みtは一定となる。また、上部プリズム631と下部プリズム632とで一体的な略平行平板を形成することにより、外界光L2が上部プリズム631の楔状の下端部を透過するときの屈折を下部プリズム632でキャンセルすることができるので、シースルーで観察される外界の像に歪みが生じるのを防止することができる。
ホログラム633は、上部プリズム631側から入射される映像光L1を反射して、面631bから映像光L1を射出するハーフミラーとしても機能する。一方、下部プリズム632側から入射される外界光L2を透過して、面631bから外界光L2を射出する。ホログラム633は、フィルム型であることが望ましい。
図8において、光源61から出射されたRGBの光(映像光L1)は、集光レンズ62にて集光されて、プリズム63の上部プリズム631の内部に面631aから入射し、対向する2つの面631b・631cで少なくとも1回ずつ全反射されて、ホログラム633に入射する。ホログラム633に入射した映像光L1は、ホログラム633で反射して焦点Pが形成される。焦点Pが形成される側とプリズム63を挟んで反対側(紙面左側)に位置する観察者は、焦点Pに形成された虚像を見ることができる。
1(1A,1B) 発光装置
3 薄膜LED
3g 緑色薄膜LED
3r 赤色薄膜LED
3b 青色薄膜LED
4 カソード駆動回路
4b 青色カソード駆動回路
4g 緑色カソード駆動回路
4r 赤色カソード駆動回路
5 アノード駆動回路
7 エピタキシャル成長用基板
10 半導体発光部
11 金属層
12 第2絶縁層
13 第1絶縁層
14 内部導通部
15 貫通導通部
21 基板
22 集積回路領域
23 下地絶縁層
24 層間絶縁層
30 出射光
31 発光層
32 アノード電極
32r P+コンタクト層
31_1r P型グラッド層
31_2r 活性層
31_3r N型グラッド層
31_4r エッチングストップ層
33 半導体薄膜
33_1r N+コンタクト層
33_2r N+接合層
40 カソード電極
41 ワイヤ
42 カソード接続パッド
51 アノード配線
52 アノード接続パッド
81 バッファ層
82 剥離層
300 LEDエピフィルム
302 出射光
H ヒロック
M 導通層
S 層表面

Claims (8)

  1. 基板と、薄膜半導体発光素子と、該薄膜半導体発光素子との間で分子間力で前記基板反対側表面に直接接合可能な平滑面および厚みを有する第1絶縁層と、該第1絶縁層の前記基板側に積層されたアルミニウム金属層とを備えた半導体発光装置であって、
    前記第1絶縁層の基板側表面と前記アルミニウム金属層の基板反対側表面との間に第2絶縁層を備え、
    前記第1絶縁層の基板反対側表面には、前記薄膜半導体発光素子が直接接合され、
    前記第1絶縁層は、有機絶縁膜であり、
    前記第2絶縁層は、前記有機絶縁膜より薄い無機絶縁膜である
    ことを特徴とする半導体発光装置。
  2. 前記アルミニウム金属層の表面に、ヒロックが形成されていることを特徴とする請求項1に記載された半導体発光装置。
  3. 前記第1絶縁層の基板反対側表面の表面粗さが、20nm未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された半導体発光装置。
  4. 前記第1絶縁層および前記第2絶縁層で形成される層厚が、1.5μmないし1.7μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載された半導体発光装置。
  5. 前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫き、前記薄膜半導体発光素子と前記アルミニウム金属層とを接続する金属電極を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載された半導体発光装置。
  6. 前記アルミニウム金属層の基板側表面と前記基板との間に、チタン金属層を備え、
    前記アルミニウム金属層の基板反対側表面に、前記第2絶縁層が形成される
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載された半導体発光装置。
  7. 前記アルミニウム金属層および前記チタン金属層が、前記基板上に配設された集積回路の表面に下地絶縁膜を挟んで形成されることを特徴とする請求項に記載された半導体発光装置。
  8. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載された半導体発光装置を備えるヘッドマウントディスプレイ装置。
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