図面を参照して本発明に係る原子力発電所内設備の除染装置を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の原子力発電所内設備の除染装置の第1実施形態を示す図である。図2は、図1に示す原子力発電所内設備の除染装置1のPLR集合配管部25の拡大図である。
図1に示す原子力発電所内設備の除染装置1は、原子力発電プラントの一部を構成し、原子炉再循環系配管21と、除染装置30とを備える。
(原子炉再循環系配管)
原子炉再循環系配管21は、原子炉再循環系を構成する配管であり、再循環ポンプ29の入口(サクション)側に設けられる再循環ポンプ入口側配管27と、再循環ポンプ29の出口(デリベリ)側から略垂直方向に延設されて再循環ポンプ29からの冷却材を上方に移送するPLR垂直管22と、PLR垂直管22の上方端225に連通してPLR垂直管22の上方に位置しかつ図示しない原子炉圧力容器の周囲に略水平な環状に設置されるPLR水平管23と、PLR水平管23の管壁に連通するとともに上方に延設されるPLRライザー管24とを有する。
PLR垂直管22は、原子力発電所内設備の除染装置1を含む原子力発電プラントの通常運転時には再循環ポンプ29からの給水(冷却材)を原子炉内に循環させる役割をするが、原子力発電プラントの除染運転時には上方のPLR水平管23やPLRライザー管24に向けて除染液を輸送する役割をする。
PLR垂直管22は、PLR垂直管22の途中の分岐点223で、枝管221と接続される。枝管221には、除染装置30の除染配管31に連通する除染液供給口47が設けられる。このため、PLR垂直管22は、枝管221を介して除染装置30の除染配管31に連通する。
PLRライザー管24は、PLR水平管23から供給された再循環水を図示しない原子炉圧力容器内に供給するものである。図2では、PLRライザー管24の原子炉圧力容器側に続く部分の図示を省略する。
PLR水平管23とPLRライザー管24の表面には、断熱材等の保温材等は設けられていない。PLR水平管23とPLRライザー管24の表面に保温材等が設けられない理由は、除染時に送風機、ヒータ等の温度調節手段を用いてPLR水平管23やPLRライザー管24の外表面を効率よく温度調節することにより、PLR水平管23やPLRライザー管24中の除染液の循環速度を大きくするためである。
本発明において、原子炉再循環系配管21のうちPLR垂直管22、PLR水平管23およびPLRライザー管24からなる部分をPLR集合配管部25という。
(除染装置)
除染装置30は、原子炉再循環系配管21に除染液を供給する装置であり、除染配管31と、注入配管36を介して除染配管31に除染液を注入する除染液注入部32と、除染配管31内の除染液を移送するポンプ39と、除染配管31内の除染液を90℃以上に加熱する除染ヒータ33と、除染配管31内の除染液に含まれる酸化物を除去するカチオン樹脂塔34と、除染配管31内の除染液を分解する還元装置35とを有する。
除染配管31は、再循環ポンプ入口側配管27に連通する除染液排出口48と分岐部310との間に設けられた除染配管部分311と、分岐部310と枝管221に連通する除染液供給口47aとの間に設けられた除染配管部分312と、分岐部310と再循環ポンプ入口側配管27に連通する除染液供給口47bとの間に設けられた除染配管部分313と、を有する。
すなわち、除染配管31は、PLR垂直管22に連通する枝管221に設けられた除染液供給口47aと、再循環ポンプ入口側配管27に設けられた除染液排出口48とで原子炉再循環系配管21に接続される。
これにより、原子力発電所内設備の除染装置1は、除染装置30の除染配管31と原子炉再循環系配管21とが協働してループ状の配管を形成し、除染装置30の除染配管31と原子炉再循環系配管21とにより除染液の循環流を形成するようになっている。
本発明で用いられる除染液としては、酸化除染ではたとえば過マンガン酸カリウム水溶液等が挙げられ、還元除染ではたとえばシュウ酸水溶液、ヒドラジン等が挙げられる。
除染ヒータ33は、除染液を90℃以上に加熱可能になっている。
図2は、原子力発電所内設備の除染装置1を構成するPLR集合配管部25の拡大図である。
PLR集合配管部25には、送風によりPLRライザー管24の外表面を局所的に冷却する温度調節手段としての送風機51が設けられる。送風機51としては、公知のものを用いることができる。送風機51は、各PLRライザー管24に対向して1個ずつ設けられる。なお、本発明においては、PLRライザー管24に対する送風機51の設置数は特に限定されず、適宜増減可能である。
次に、図面を参照して原子力発電所内設備の除染装置1の除染作業時の作用について説明する。
(PLR垂直管、PLR水平管およびPLRライザー管内への除染液の導入)
はじめに、除染装置30のポンプ39を運転するとともに除染液注入部32から除染液を注入し、除染液が、除染配管31中の除染ヒータ33、カチオン樹脂塔34および還元装置35を順次移送されるとともに、除染液供給口47a、枝管221を介してPLR垂直管22内に移送され、さらに再循環ポンプ入口側配管27の除染液排出口48から除染配管31に戻ってくる除染液の循環流を形成する。
PLR垂直管22内に移送された高温の除染液は、ポンプ39の吐出力により液位が上昇し、PLR水平管23内およびPLRライザー管24内に順次導入される。
PLR垂直管22、PLR水平管23およびPLRライザー管24内への除染液の導入は、図2に示すように、高温の除染液の液面73がPLRライザー管24の上下方向の途中で略一定になるようにする。除染液の液面73の高さの調節は、ポンプ39の出力や原子力発電所内設備の除染装置1内のバルブの開度等を調整することにより行う。
除染液の液面73の高さが略一定になると、PLR垂直管22内、PLR水平管23内およびPLRライザー管24内の除染液は、以下のように作用する。
(PLR垂直管およびPLR水平管中の作用)
<PLR垂直管からPLR水平管内の端部に向かう除染液流れの作用>
枝管221からPLR垂直管22内に移送された高温の除染液は、図2に示す除染液流れ68を形成する。
すなわち、除染液流れ68は、PLR垂直管22内で上昇流を形成するとともに、PLR水平管23内でPLR水平管23の端部に向かう上方流を形成する。換言すれば、PLR水平管23内の除染液流れ68は、PLR垂直管22の上方端225からPLR水平管23内で離間する方向に向かって形成される。なお、上方流とは、PLR水平管23内の上方側の管壁に沿って形成される除染液の流れを意味する。
除染液流れ68が、PLR垂直管22内で上昇流、PLR水平管23内で上方流を形成する理由は、除染液流れ68を構成する除染液が、PLR水平管23の先端部で折り返してPLR垂直管に向かう除染液流れ70を構成する除染液に比べて高温で比重が小さいからである。
原子力発電所内設備の除染装置1ではPLR水平管23の表面に保温材等が設けられない。このため、除染液流れ68を構成する高温の除染液は、PLR水平管23中で移送されるにつれて、PLR水平管23の表面に保温材等が設けられる場合に比べてより多く放熱して温度が低下する。換言すれば、除染液流れ68はPLR水平管23中で除染液の移動方向に対して大きな負の温度勾配を有する。
除染液流れ68がPLR水平管23中で大きな負の温度勾配を有すると、除染液流れ68および70で構成される循環流の流速が増すことになるため好ましい。
なお、除染液の温度が80℃未満になると除染能力が低下するおそれがある。このため、本発明では、除染液流れ68を構成する高温の除染液のPLR水平管23の先端部における温度が、80℃以上であることが好ましい。
<PLR水平管内の端部からPLR垂直管に向かう除染液流れの作用>
除染液流れ68は、PLR水平管23の先端部で折り返してPLR垂直管に向かい、図2に示す除染液流れ70を形成する。
除染液流れ70を構成する除染液の温度は、除染液流れ68を構成する高温の除染液が枝管221からPLR垂直管22内に移送されたときの温度に比べて、数℃程度低くなっている。
除染液流れ70は、PLR水平管23内でPLR水平管23の端部からPLR垂直管22の上方端225に向かう下方流を形成した後、PLR垂直管22内に入り、PLR垂直管22内で下降流を形成する。PLR垂直管22内の下降流は、分岐点223を通過して再循環ポンプ29側に向かって形成される。ここで、下方流とは、PLR水平管23内の下方側の管壁に沿って形成される除染液の流れを意味する。
除染液流れ70が、PLR水平管23内で下方流、PLR垂直管22内で下降流を形成する理由は、除染液流れ70を構成する除染液が除染液流れ68を構成する除染液に比べて低温で比重が大きいからである。
原子力発電所内設備の除染装置1ではPLR水平管23の表面に保温材等が設けられない。このため、PLR水平管23中で除染液流れ70を構成する除染液は、PLR水平管23中で移送されるにつれて、PLR水平管23の表面に保温材等が設けられる場合に比べてより多く放熱して温度が低下する。換言すれば、除染液流れ70はPLR水平管23中で除染液の移動方向に対して大きな負の温度勾配を有する。
除染液流れ70がPLR水平管23中で大きな負の温度勾配を有すると、除染液流れ68および70で構成される循環流の流速が増すことになるため好ましい。
このようにPLR垂直管22およびPLR水平管23内では、新鮮で相対的に高温の除染液による除染液流れ68と、除染後で相対的に低温の除染液による除染液流れ70とが、温度差の大きい状態で循環している。
PLR水平管23では、PLR水平管23内の除染液の平均温度が、PLR垂直管22の上方端225から離間するに従って低下するように温度調節される。ここでPLR水平管23内の除染液の平均温度とは、PLR水平管23内のある点における除染液流れ68を構成する除染液の温度と除染液流れ70構成する除染液の温度との平均値を意味する。
なお、PLR水平管23内の除染液流れ68の一部は、PLRライザー管24に分岐し、PLRライザー管24内の除染液流れ69を形成する。
(PLRライザー管中の作用)
図3を参照してPLRライザー管24内の除染液流れ69を説明する。図3は、図2に示すPLR集合配管部の拡大図である。
図3に示すように、PLRライザー管24内の除染液流れ69は、PLRライザー管24内で上昇流を形成する除染液流れ71と、除染液流れ71が除染液の液面73近傍で反転してPLRライザー管24内で下降流を形成する除染液流れ72とからなる。除染液流れ71および除染液流れ72は、それぞれ除染液流れ69の対流により生じる上昇流と下降流である。
除染液流れ71がPLRライザー管24内で上昇流を形成し、除染液流れ72がPLRライザー管24内で下降流を形成する理由は、除染液流れ71を構成する除染液が除染液流れ72を構成する除染液に比べて高温で比重が小さいからである。
除染液流れ71は、PLRライザー管24の先端部で折り返して図3に示す除染液流れ72を形成する。除染液流れ72は、PLR水平管23内の除染液流れ68または70に合流する。
原子力発電所内設備の除染装置1ではPLRライザー管24の表面に保温材等が設けられない。また、PLRライザー管24の外表面は送風機51により局所的に冷却される。このため、除染液流れ71および72を構成する除染液は、PLRライザー管24中で上方または下方に移動するにつれて、多く放熱して急激に温度が低下する。このため、PLRライザー管24内の除染液流れ71および72は、除染液の移動方向に対して大きな負の温度勾配を有する。
除染液流れ71および72がPLRライザー管24中で大きな負の温度勾配を有すると、除染液流れ71および72の流速が増すことになるため好ましい。この理由は、除染液流れ71および72がそれぞれPLRライザー管24中で負の温度勾配を有すると、除染液流れ71を構成する除染液と除染液流れ72を構成する除染液との温度の差異が大きくなるため、除染液流れ71および72の流速が増すことになるからである。
なお、除染液の温度が80℃未満になると除染能力が低下するおそれがある。このため、本発明では、除染液流れ71を構成する高温の除染液のPLRライザー管24の液面73における温度が、80℃以上であることが好ましい。
PLRライザー管24では、PLRライザー管24内の除染液の平均温度が、PLR垂直管22の上方端225から離れるに従って低下するように温度調節される。ここでPLRライザー管24内の除染液の平均温度とは、PLRライザー管24内のある点における除染液流れ71構成する除染液の温度と除染液流れ72構成する除染液の温度との平均値を意味する。
除染液流れ72は、PLR水平管23内の除染液流れ68または70に合流する。除染液流れ72が除染液流れ68または70に合流すると、除染液流れ68または70の温度が低下するため、除染液流れ72が合流しない場合に比べて、除染液流れ68および70で構成される循環流の流速がさらに速くなる。
原子力発電所内設備の除染装置1によれば、PLR水平管23およびPLRライザー管24に保温材等が設けられず放熱が容易であるとともに、PLRライザー管24の外表面を局所的に冷却する送風機51が設けられるため、PLR水平管23内およびPLRライザー管24内の除染液の平均温度が、PLR垂直管22の上方端225から離れるに従って低下する。このため、原子力発電所内設備の除染装置1によれば、PLR集合配管部25内の除染液の流速が速く、除染効率が高い。
また、PLR水平管23内およびPLRライザー管24内の除染液の平均温度が、PLR垂直管22の上方端225から離れるに従って低下する度合いを大きくすると、除染液の流速がより速くなり、除染効率がより高くなる。
なお、原子力発電所内設備の除染装置1ではPLRライザー管24内の除染液の液面73の高さを略一定にするとしたが、除染液が原子炉圧力容器内に入ってもよい場合は液面73の高さを略一定にしなくてもよい。また、PLRライザー管24内の上部にキャップ、バルブ等の流路を遮断する手段が設けられる場合は、PLRライザー管24内の除染液の液面73の高さ調整を行わずに、除染液をキャップ、バルブ等の設置部位まで満たしてもよい。
[第2の実施形態]
本発明の原子力発電所内設備の除染装置の第2実施形態である原子力発電所内設備の除染装置1Aは、図1に第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1に比較して、PLR集合配管部25に代えてPLR集合配管部25Aを用いた点で異なり、その他の点は同じである。このため、原子力発電所内設備の除染装置1Aは、原子力発電所内設備の除染装置1と同様に図1に示すとともに、原子力発電所内設備の除染装置1との同一構成に同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
図4は、原子力発電所内設備の除染装置1Aを構成するPLR集合配管部25Aの拡大図である。PLR集合配管部25Aは、図2に示すPLR集合配管部25に比較して、送風機51に代えて送風機51Aを設けた点で異なり、その他の点は同じである。このため、図4に示すPLR集合配管部25Aは、図2に示すPLR集合配管部25との同一構成に同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。なお、図4に示すPLR集合配管部25Aは、図2に示すPLR集合配管部25と同様に配置されたPLRライザー管24を有するが、図4ではPLRライザー管24の記載を省略する。
PLR集合配管部25Aには、送風によりPLR水平管23の外表面を局所的に冷却する温度調節手段としての送風機51Aが設けられる。送風機51Aは、PLR水平管23に対向して4個設けられる。なお、本発明においては、送風機51Aの設置数は特に限定されず、適宜増減可能である。
次に、原子力発電所内設備の除染装置1Aの除染作業時の作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Aの除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1の除染作業時の作用に比較して、原子力発電所内設備の除染装置1の送風機51がPLRライザー管24の外表面を局所的に冷却するのに対し、原子力発電所内設備の除染装置1Aの送風機51AがPLR水平管23の外表面を局所的に冷却する点の作用が異なり、その他の作用は同じである。このため、以下、原子力発電所内設備の除染装置1Aと原子力発電所内設備の除染装置1とで異なる作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Aでは、PLRライザー管24の表面に保温材等が設けられないものの、原子力発電所内設備の除染装置1のようにPLRライザー管24の外表面が送風機で冷却されることもない。このため、PLRライザー管24内の除染液流れ71および72を構成する除染液は、PLRライザー管24中で温度がゆっくりと低下する。このため、PLRライザー管24内の除染液流れ71および72は、除染液の移動方向に対して比較的小さな負の温度勾配を有する。
一方、原子力発電所内設備の除染装置1Aでは、PLR水平管23の外表面は送風機51Aにより局所的に冷却される。このため、除染液流れ68および70を構成する除染液は、PLR水平管23中で移動するにつれて、多く放熱して急激に温度が低下する。このため、PLR水平管23内の除染液流れ68および70は、除染液の移動方向に対して大きな負の温度勾配を有する。
これ以外の除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1Aと原子力発電所内設備の除染装置1とで同様であるため、作用の説明を省略する。
原子力発電所内設備の除染装置1Aによれば、PLR水平管23およびPLRライザー管24に保温材等が設けられず放熱が容易であるとともに、PLR水平管23の外表面を局所的に冷却する送風機51Aが設けられるため、PLR水平管23内およびPLRライザー管24内の除染液の平均温度が、PLR垂直管22の上方端225から離れるに従って低下する。このため、原子力発電所内設備の除染装置1Aによれば、PLR集合配管部25A内の除染液の流速が速く、除染効率が高い。
[第3の実施形態]
本発明の原子力発電所内設備の除染装置の第3実施形態である原子力発電所内設備の除染装置1Bは、図1に第2実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1Aに比較して、PLR集合配管部25Aに代えてPLR集合配管部25Bを用いた点で異なり、その他の点は同じである。このため、原子力発電所内設備の除染装置1Bは、原子力発電所内設備の除染装置1Aと同様に図1に示すとともに、原子力発電所内設備の除染装置1Aとの同一構成に同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
図5は、原子力発電所内設備の除染装置1Bを構成するPLR集合配管部25Bの拡大図である。PLR集合配管部25Bは、図3に示すPLR集合配管部25Aに比較して、送風機51に代えてヒータ52を設けた点で異なり、その他の点は同じである。このため、図5に示すPLR集合配管部25Bは、図3に示すPLR集合配管部25Aとの同一構成に同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
PLR集合配管部25Bには、PLR水平管23の外表面を局所的に加熱する温度調節手段としてのヒータ52が設けられる。ヒータ52は、PLR水平管23の外表面のうち、PLR垂直管22の上方端225に近くかつPLR水平管23の上側にある外表面に2個設けられる。ヒータ52がこのような位置に設けられるのは、PLR水平管23内の上方流を形成する除染液流れ68の除染液が、PLR垂直管22の上方端225の近傍で最も高温になるように加熱するためである。ヒータ52としては、公知のものを用いることができる。なお、本発明においては、ヒータ52の設置数は特に限定されず、適宜増減可能である。
次に、原子力発電所内設備の除染装置1Bの除染作業時の作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Bの除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1Aの除染作業時の作用に比較して、原子力発電所内設備の除染装置1Aの送風機51がPLR水平管23の外表面を局所的に冷却するのに対し、原子力発電所内設備の除染装置1Bのヒータ52がPLR水平管23の外表面を局所的に加熱する点の作用が異なり、その他の作用は同じである。このため、以下、原子力発電所内設備の除染装置1Bと原子力発電所内設備の除染装置1Aとで異なる作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Bでは、ヒータ52がPLR水平管23の外表面のうちPLR垂直管22の上方端225に近く、かつPLR水平管23の上側の外表面を局所的に加熱する。
このため、除染液流れ68を構成する除染液は、PLR水平管23内のPLR垂直管22の上方端225に近い部分で最も高温になり、PLR水平管23内の除染液の平均温度の差異が大きくなるため、PLR水平管23内の除染液流れ68の流速が速くなる。そして、PLR水平管23内では、除染液流れ68の流速が速くなるに伴って除染液流れ70の流速も速くなる。
また、高温の除染液からなる除染液流れ68の一部が導入されることにより、PLRライザー管24内の除染液流れ71の除染液がより高温になるため、PLRライザー管24内の除染液流れ71、72の流速が速くなる。
これ以外の除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1Bと原子力発電所内設備の除染装置1Aとで同様であるため、作用の説明を省略する。
原子力発電所内設備の除染装置1Bによれば、PLR水平管23およびPLRライザー管24に保温材等が設けられず放熱が容易であるとともに、PLR水平管23の外表面を局所的に加熱するヒータ52が設けられるため、PLR水平管23内およびPLRライザー管24内の除染液の平均温度がPLR垂直管22の上方端225から離れるに従って低下するとともに、PLR水平管23内の除染液流れ68、70およびPLRライザー管24内の除染液流れ71、72の流速が速くなる。
このため、原子力発電所内設備の除染装置1Bによれば、PLR集合配管部25B内の除染液の流速が速く、除染効率が高い。
なお、原子力発電所内設備の除染装置1Bでは、PLR水平管23の外表面を局所的に加熱するヒータ52が設けられるが、本発明に係る原子力発電所内設備の除染装置では、PLRライザー管24の外表面を局所的に加熱するヒータを設けてもよい。PLRライザー管24の外表面を局所的に加熱するヒータを設ける場合、ヒータはPLRライザー管24の外表面のうちPLR水平管23との接続部に近い部分に設けるとPLRライザー管24内の除染液流れ71、72の流速が速くなる。
上記の第1の実施形態として示した原子力発電所内設備の除染装置1〜第3の実施形態として示した原子力発電所内設備の除染装置1Bでは、それぞれ、原子力発電所内設備の除染装置1ではPLRライザー管24を冷却する送風機51が設けられ、原子力発電所内設備の除染装置1AではPLR水平管23を冷却する送風機51Aが設けられ、原子力発電所内設備の除染装置1BではPLR水平管23を加熱するヒータ52が設けられている。
しかし、本発明に係る原子力発電所内設備の除染装置では、PLRライザー管24を冷却する送風機51、PLR水平管23を冷却する送風機51A、PLR水平管23を加熱するヒータ52、およびPLRライザー管24の外表面を局所的に加熱するヒータの2種以上を組み合わせた構成としてもよい。
[第4の実施形態]
図6は、本発明の原子力発電所内設備の除染装置の第4実施形態を示す図である。
図6に示す原子力発電所内設備の除染装置1Cは、図1に第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1に比較して、除染装置30に代えて除染装置30Cを用いた点で異なり、その他の点は同じである。
このため、図6中、原子力発電所内設備の除染装置1Cと原子力発電所内設備の除染装置1との同一構成には同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
原子力発電所内設備の除染装置1Cを構成する除染装置30Cは、図1に第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1を構成する除染装置30に対して、除染配管31の除染配管部分312から分岐して原子炉再循環系配管21のPLR垂直管22の側面管璧に接続される第1除染バイパス配管41と、第1除染バイパス配管41内の除染液を加熱するバイパスヒータ42とをさらに備える。
第1除染バイパス配管41は、除染配管31内の除染液の一部をPLR垂直管22の側面管璧に供給する配管である。除染配管31内の除染液の残部はPLR垂直管22に連通する枝管221に設けられた除染液供給口47a等から原子炉再循環系配管21に供給される。
バイパスヒータ42は、第1除染バイパス配管41内の除染液を90℃以上に加熱するものである。
次に、図面を参照して原子力発電所内設備の除染装置1Cの除染作業時の作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Cの除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1の除染作業時の作用に比較して、除染装置30に代えて除染装置30Cを用いた点の作用、すなわち、除染装置が第1除染バイパス配管41とバイパスヒータ42とをさらに備える点に基づく作用が異なり、その他の点は、同じである。このため、以下、原子力発電所内設備の除染装置Cと原子力発電所内設備の除染装置1とで異なる作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Cの除染作業では、はじめに、原子力発電所内設備の除染装置1の除染作業と同様に、PLR垂直管22、PLR水平管23およびPLRライザー管24内へ除染液を導入し、PLRライザー管24内の除染液の液面73の高さを略一定にする。
(PLR垂直管およびPLR水平管中の作用)
図7および図8を参照して、PLR垂直管からPLR水平管内の端部に向かう除染液流れの作用を説明する。
図7は、原子力発電所内設備の除染装置1Cを構成するPLR集合配管部25Cの拡大図であり、第1除染バイパス配管41のバルブ46が閉塞される第1の除染工程での除染液流れを示す。図8は、原子力発電所内設備の除染装置1Cを構成するPLR集合配管部25Cの拡大図であり、第1除染バイパス配管41のバルブ46が開放される第2の除染工程での除染液流れを示す。
<第1の除染工程>
第1の除染工程では、除染配管31から除染液供給口47のみを介して原子炉再循環系配管21のPLR垂直管22に除染液が供給される。
具体的には、図7に示すように、除染液供給口47に連通する枝管221から原子炉再循環系配管21のPLR垂直管22内に移送される高温の除染液は、除染液流れ68aを形成する。除染液流れ68aは、PLR垂直管22内で上向き、PLR水平管23内で端部に向かって流れるように形成される。
除染液流れ68aは、第1除染バイパス配管41のバルブ46の開放閉塞に関わらず常時形成される。ただし、バルブ46を開放した場合は、除染配管31中の除染液の一部が第1除染バイパス配管41側に流れるため、通常、除染液流れ68aの流量は減少する。
<第2の除染工程>
第2の除染工程は、第1の除染工程の後に行われる。第2の除染工程は、通常、第1の除染工程、第2の除染工程、第1の除染工程、第2の除染工程・・・のように、第1の除染工程と交互に行われる。
第1の除染工程と第2の除染工程との切り替えは、第1除染バイパス配管41のバルブ46の開閉により行われる。具体的には、第1の除染工程はバルブ46を閉塞させた状態の除染工程であり、第2の除染工程はバルブ46を開放させた状態の除染工程である。
第1除染バイパス配管41のバルブ46の開閉は、通常、一定時間の間隔をおいて断続的にバルブ46を開放するようにする。すなわち、通常の除染作業では、長時間の第1の除染工程の途中でバルブ46を短時間開放して短時間の第2の除染工程を行う方法が採用される。
第2の除染工程では、第1の除染工程と同様に除染配管31から除染液供給口47を介して原子炉再循環系配管21のPLR垂直管22に除染液が供給されるとともに、さらに、除染液供給口47を介して供給される除染液よりも高温の除染液が、除染装置30の第1除染バイパス配管41から原子炉再循環系配管21のPLR垂直管22に供給される。
具体的には、第1除染バイパス配管41のバルブ46が開放されることにより、除染配管31の除染配管部分312中の高温の除染液の一部は第1除染バイパス配管41に供給される。第1除染バイパス配管41に供給された高温の除染液は、バイパスヒータ42でより高温になるように加熱された後、図8に示すように、第1除染バイパス配管41からPLR垂直管22内に移送され、除染液流れ68bを形成する。除染液流れ68bは、PLR垂直管22内で上向きに流れるように形成される。
除染液流れ68aと68bとはPLR垂直管22内で合流し、除染液流れ68cを形成する。この第2の除染工程の除染液流れ68cの除染液の温度は、第1の除染工程の除染液流れ68aの除染液の温度よりも高いものになる。
このため、第2の除染工程における除染液流れ68cと70との除染液の温度の差は、第1の除染工程の除染液流れ68aと70との除染液の温度の差よりも大きくなり、第2の除染工程では第1の除染工程よりも除染液の浮力効果が増し、除染液流れ68cと70との循環流の流速も増す。これにより、原子力発電所内設備の除染装置1Cは原子力発電所内設備の除染装置1に比べて除染効率が高くなる。
第2の除染工程は、除染液の浮力効果が充分増し、第2の除染工程の継続が不要になった時点で、適宜、第1除染バイパス配管41のバルブ46を閉塞させて終了させる。
これ以外の除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1Cと原子力発電所内設備の除染装置1とで同様であるため、作用の説明を省略する。
原子力発電所内設備の除染装置1Cによれば、第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1と同様の除染作業時の効果に加え、除染液流れ68cと70とで形成される循環流の流速が速いため、原子力発電所内設備の除染装置1に比べて除染効率が高くなる。
[第5の実施形態]
図9は、本発明の原子力発電所内設備の除染装置の第5実施形態を示す図である。
図9に示す原子力発電所内設備の除染装置1Dは、図1に第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1に比較して、除染装置30に代えて除染装置30Dを用いた点で異なり、その他の点は同じである。
このため、図9中、原子力発電所内設備の除染装置1Dと原子力発電所内設備の除染装置1との同一構成には同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
原子力発電所内設備の除染装置1Dを構成する除染装置30Dは、図1に第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1を構成する除染装置30に対して、原子炉再循環系配管21のPLR垂直管22内の除染液に気泡を含ませる気泡発生装置55をさらに備える。
気泡発生装置55は、除染液中に直径200μm〜500μmの気泡を生成する装置である。気泡発生装置55としては、公知の気泡発生装置を用いることができる。
次に、図面を参照して原子力発電所内設備の除染装置1Dの除染作業時の作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Dの除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1の除染作業時の作用に比較して、除染装置30に代えて除染装置30Dを用いた点の作用、すなわち、除染装置が気泡発生装置55をさらに備える点に基づく作用が異なり、その他の点は、同じである。このため、以下、原子力発電所内設備の除染装置Dと原子力発電所内設備の除染装置1とで異なる作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Dの除染作業では、はじめに、原子力発電所内設備の除染装置1の除染作業と同様に、PLR垂直管22、PLR水平管23およびPLRライザー管24内へ除染液を導入し、PLRライザー管24内の除染液の液面73の高さを略一定にする。
(PLR垂直管およびPLR水平管中の作用)
図10を参照して、PLR垂直管からPLR水平管内の端部に向かう除染液流れの作用を説明する。
図10は、原子力発電所内設備の除染装置1Dを構成するPLR集合配管部25Dの拡大図である。なお、図10では、図2に示した除染液流れ70、すなわちPLR水平管23の先端部で折り返してPLR垂直管22に向かう除染液流れの記載を省略する。
気泡発生装置55を稼働させない状態では、PLR集合配管部25Dの除染液流れは、図2に示すPLR集合配管部25の除染液流れ68、70と同様になる。除染液流れ68は、PLR垂直管22内で上向き、PLR水平管23内で端部に向かって流れるように形成される除染液の流れである。除染液流れ70は、PLR垂直管22内で下向き、PLR水平管23内で、PLR水平管23の端部からPLR垂直管22の上方端225に向かって流れるように形成される除染液の流れである。
しかし、気泡発生装置55を稼働させると、図10に示すように、気泡発生装置55からPLR集合配管部25CのPLR垂直管22内の除染液中に気泡56が供給される。気泡56は除染液流れの浮力を高くするため、気泡56を含んだ除染液から構成される除染液流れ68dは、図2に示され気泡56を含まない除染液から構成される除染液流れ68に比べて、流速が速くなる。
また、気泡56を含んだ除染液は、PLR水平管23からPLRライザー管24内に供給されPLRライザー管24内の除染液流れ69dを形成する。この気泡56を含んだ除染液から構成される除染液流れ69dも、図2に示され気泡56を含まない除染液から構成される除染液流れ69に比べて、流速が速くなる。
なお、原子力発電所内設備の除染装置1Dと異なり気泡発生装置55を用いない場合、気泡56を含まない除染液で構成される除染液流れ68では、PLR水平管23内で端部、すなわち進行方向の奥側に行くに従って、除染液が消費され、PLR水平管23の途中で除染効果が減少する可能性がある。気泡56を含まない除染液で構成される除染液流れ68は、PLR垂直管22からPLR水平管23に吐出された際の動圧成分と、除染液の温度差に基づく比重差とにより駆動されて流れを形成するため、PLR水平管23の途中で動圧成分や比重差が小さくなるからである。
これに対し、原子力発電所内設備の除染装置1Dでは、気泡56を含む除染液が気泡56により強い駆動力でPLR水平管23内の端部やPLRライザー管24内に運ばれる。また、気泡56を含む除染液は、PLR水平管23の途中で除染剤濃度が低くなった場合に気泡56が除染液に溶解して除染液の体積が減少するため、除染液の補充が除染剤の濃度の補充および除染液流れの駆動力となり、PLR水平管23内の端部やPLRライザー管24内に効果的に運ばれる。
これ以外の除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1Dと原子力発電所内設備の除染装置1とで同様であるため、作用の説明を省略する。
原子力発電所内設備の除染装置1Dによれば、第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1と同様の除染作業時の効果に加え、除染液が気泡56により強い駆動力でPLR水平管23内の端部やPLRライザー管24内に運ばれるため、原子力発電所内設備の除染装置1に比べて除染効率が高くなる。
[第6の実施形態]
図11は、本発明の原子力発電所内設備の除染装置の第6実施形態を示す図である。図12は、図11に示す原子力発電所内設備の除染装置1Eを構成するPLR集合配管部25Eの拡大図である。
図11に示す原子力発電所内設備の除染装置1Eは、図1に第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1に比較して、除染装置30に代えて除染装置30Eを用いた点で異なり、その他の点は同じである。
このため、図11中、原子力発電所内設備の除染装置1Eと原子力発電所内設備の除染装置1との同一構成には同一符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
原子力発電所内設備の除染装置1Eを構成する除染装置30Eは、図1に第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1を構成する除染装置30に対して、除染配管31に除染液を注入する除染液注入部32と除染配管31とを接続する注入配管36から分岐して原子炉再循環系配管21のPLR垂直管22の側面管璧に接続される第2除染バイパス配管43と、第2除染バイパス配管43に連通し第2除染バイパス配管43とPLR垂直管22との接続部44からPLR垂直管22内に突出するとともに先端部がPLR垂直管22内で上方に屈曲した除染液注入管45と、をさらに備える。
第2除染バイパス配管43は、除染配管31に接続される注入配管36中の新鮮な除染液の一部をPLR垂直管22の側面管璧に供給する配管である。注入配管36中の新鮮な除染液の残部は除染配管31に注入され、PLR垂直管22に連通する枝管221に設けられた除染液供給口47a等から原子炉再循環系配管21に供給される。
除染液注入管45は、全体がPLR垂直管22内に突出するとともに先端部がPLR垂直管22内で上方に屈曲した形状を有し、第2除染バイパス配管43内の除染液をPLR垂直管22内で上方に向けて排出するものである。
次に、図面を参照して原子力発電所内設備の除染装置1Eの除染作業時の作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Eの除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1の除染作業時の作用に比較して、除染装置30に代えて除染装置30Eを用いた点の作用、すなわち、除染装置が第2除染バイパス配管43と除染液注入管45とをさらに備える点に基づく作用が異なり、その他の点は、同じである。このため、以下、原子力発電所内設備の除染装置Eと原子力発電所内設備の除染装置1とで異なる作用について説明する。
原子力発電所内設備の除染装置1Eの除染作業では、はじめに、原子力発電所内設備の除染装置1の除染作業と同様に、PLR垂直管22、PLR水平管23およびPLRライザー管24内へ除染液を導入し、PLRライザー管24内の除染液の液面73の高さを略一定にする。
(第2除染バイパス配管および除染液注入管による作用)
次に、除染液注入部32から除染液を注入すると、注入した除染液の一部が除染配管31に供給され、注入した除染液の残部が除染配管31に接続される注入配管36から第2除染バイパス配管43に供給される。
(PLR垂直管およびPLR水平管中の作用)
図12を参照して、PLR垂直管からPLR水平管内の端部に向かう除染液流れの作用を説明する。なお、図12では、PLRライザー管24内の除染液流れ、すなわち図2に示した除染液流れ69の記載を省略する。
枝管221からPLR垂直管22内に移送される高温の除染液は、図12に示す除染液流れ68aを形成する。除染液流れ68aは、PLR垂直管22内で上向き、PLR水平管23内で端部に向かって流れるように形成される除染液の流れである。なお、枝管221からPLR垂直管22内に移送される高温の除染液の大部分は除染液流れ68aを形成するが、枝管221から移送される高温の除染液の一部は枝管221からPLR垂直管22内の下方に向かう図示しない除染液流れを形成する。
一方、第2除染バイパス配管43、接続部44を介して除染液注入管45からPLR垂直管22内に移送される高温の除染液は、図12に示す除染液流れ68eを形成する。除染液注入管45の排出口がPLR垂直管22内で上向きに形成されているため、除染液流れ68eはPLR垂直管22内で確実に上向きに形成される。すなわち、除染液注入管45からPLR垂直管22内に移送される高温の除染液のほとんどはPLR垂直管22内で上向きの除染液流れ68eを形成する。
除染液流れ68aと68eとは合流し、除染液流れ68fを形成する。除染液流れ68fは、PLR垂直管22内で上向きに形成される除染液流れ68aと68eとが合流したものであるため、除染液流れ68aのみの場合に比べて、PLR垂直管22内での除染液の除染液流れが強い上向きになるとともに、除染液流れの流速が速くなる。
このため、原子力発電所内設備の除染装置1Eでは、流速の速い除染液流れ68fと70とで形成される循環流の流速が速くなることにより、原子力発電所内設備の除染装置1に比べて除染効率が高くなる。
これ以外の除染作業時の作用は、原子力発電所内設備の除染装置1Eと原子力発電所内設備の除染装置1とで同様であるため、作用の説明を省略する。
原子力発電所内設備の除染装置1Eによれば、第1実施形態として示す原子力発電所内設備の除染装置1と同様の除染作業時の効果に加え、除染液流れ68fと70とで形成される循環流の流速が速いため、原子力発電所内設備の除染装置1に比べて除染効率が高くなる。