JP5583007B2 - 工具鋼切削屑粒状物質と切削油との混合物から切削油を除去する方法 - Google Patents

工具鋼切削屑粒状物質と切削油との混合物から切削油を除去する方法 Download PDF

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Description

本出願は、工具鋼切削屑粒状物質とオイルとの混合物からオイルを除去する方法に関する。なお、本出願に記載された「オイル」は、「切削油」を指す。
本発明は、油性又は水性の残留切削屑液の大部分を除去すると共に、水性又は油性の残留汚染物質によって汚染されうる工具鋼の工業的研磨から生じる他の汚染物質の少なくとも一部を除去するために、超臨界二酸化炭素(SCCO)を使用する際の処理条件に関する。この汚染物質の液は再利用するために再生され、また汚染物質の固形物は再利用のため再生、即ち、溶融処理で再度溶融することができる。これら汚染物質が除去されなければ、これらが埋め立てられ又は焼却されるときに環境公害をもたらすことになる
超臨界二酸化炭素は、温度及び圧力がTr=1,Pr=1より大きい(Tr=T/Tc、但し、Tは超臨界二酸化炭素の現在の温度、Tcは超臨界二酸化炭素の超臨界温度、また、Pr=P/Pc、但し、Pは超臨界二酸化炭素の現在の圧力、Pcは超臨界二酸化炭素の超臨界圧力)。Tc,即ち、二酸化炭素の超臨界温度は、31.1度セルシウス(℃),若しくは304.1度ケルビン(K)、また、Pcは73気圧(atm)又は約1073ポンド/平方インチ(PSI)である。
より一般的な言い方をすれば、超臨界二酸化炭素とは、超臨界温度及び圧力以上で液状である二酸化炭素を示す。二酸化炭素は、通常は、標準温度及び標準圧力(STP)下の空中では気体状であり、氷点下ではドライアイスと称される固体状である。温度及び圧力が標準温度及び標準圧力から二酸化炭素の超臨界点以上に上昇すると、気体と液体との中間的な特性を取りうる。より詳細には、臨界温度(31.1℃)及び臨界圧力(73atm)を超えたときに、超臨界二酸化炭素としての性質を示し、ガスのように膨張して容器を満たすが密度は液体のそれに近い。相図において超臨界液体領域は、臨界圧力(73.8bar又は1070PSI)を上回る圧力に対して臨界温度(31.1℃)を上回る温度として定義される。
本発明の少なくとも1つの実施可能な実施形態では、超臨界二酸化炭素を使用して、粒状物質とオイルとの混合物からオイルを除去する方法を教示する。高速鋼(HSS)研磨屑の超臨界二酸化炭素抽出により、本発明の少なくとも1つの実施可能な実施形態において、(重量比)5%未満の切削油を用いて固形の高速鋼生成物を生成することができることが実験を通して判明した。代表的な高速鋼切削屑の分析結果が以下のように表1に示される。




酸化アルミニウム(アルミナ)源は、粉砕媒体である。主な二酸化珪素(シリカ)源は珪藻土である。これは、埋め立て前に、研磨屑からできるだけ多くのオイルを除去しようとする際に、ろ過を容易にするためしばしば加えられる。
HSS研磨屑の物理的及び化学的特性を以下に示す。
固形物
−HSS−表1に示したものと同一成分

−表1の切削屑の粉径−メディアン400メッシュ、即ち37マイクロメータ(μ);粒子サイズ径(PSD);粒子の平均径が10マイクロメータから300マイクロメータであるなど、粒子は通常は不規則形状であり、また、通常は非球状である。
汚染物質
−複数の炭化水素の複合混合物
−大部分がパラフィン基であるが、高平均分子量の酸素化合物も幾分含む混合物
−成分分析は下記の通り
−C〜C10=〜0.05%(重量比)
−C10〜C16=〜1.06%(重量比)
−C16〜C29=〜4.0%(重量比)
−C29以上=〜94.9%(重量比)
別表記による成分分析は下記の通りである。
−H14〜H2210=〜0.05%(重量比)
−H2210〜H3416=〜1.06%(重量比)
−H3416〜H6029=〜4.0%(重量比)
−H6029以上=〜94.9%(重量比)
本出願の少なくとも1つの実施可能な実施形態では、粒径は主として10〜100マイクロメータの範囲内にある。乾燥切削屑のふるい分析を実施すれば、通常、少なくとも重量比50%の物質が標準325メッシュのふるいを通過する。標準325メッシュのふるい孔は、45マイクロメータである。この物質の少なくとも重量比98%は、約177マイクロメータのふるい孔を持つ80メッシュのふるいを通過する。高速鋼切削屑サンプルのふるい分析では、超臨界二酸化炭素(CO)を使用して、粒状物質とオイルとの混合物からオイルが除去された。下記の表2に上記の結果を示す。


このケースでは、メディアン粒径(粒子の数に基づく)は、39マイクロメータであった。
非金属切削屑成分については、工具メーカーの製造プラントにおいて、研磨油から切削屑をろ過するCoopermatic Filterのような装置に、珪藻土がよく使用される。切削屑を生じるある種の工具鋼穿孔プラントに使用される別の製品には、Eagle Pitcher CELETOM FW 60がある。
本出願は、「クリーン固形物」などの再利用の場合0.5%〜2%(重量比)の汚染物質レベルを前提としているため、供給固形物から98%(重量比)を超える汚染物質をうまく除去するために超臨界二酸化炭素を用いる処理形態に関するものである。作動流体又は溶剤として二酸化炭素を用いる場合、本出願の少なくとも1つの実施形態においては、超臨界状態の内外を循環する二酸化炭素を用いて金属廃棄副産物を再利用の可能な液状汚染物質と、実質的には液状汚染物質を含有しない固体(両者とも、比較的僅かな廃棄物を出すだけで再利用が可能である)へと変換する。二酸化炭素は、再循環及び再利用することができる。
高速鋼など重量当り表面積が大な純粋の金属又は合金、特に非常に大きい表面積を有する微粒子は、空気中で急速に酸化が進行してしまうため、汚染物質(オイル)含有率が0%の固形生成物を生成することが、必ずしも望しいとは限らない。金属又は合金によっては、温度が大きく上昇するだけでなく、爆発のような、自然発火さえ生じかねない。したがって、処理の観点からすると、可能な限り汚染物質の除去を促進、又は最大限とする一方で、精製された固形物の取り扱い中及び輸送中に空気(酸素)と接触している間に生じる、自然反応を十分抑制できる最小量の汚染物質は、残しておくべきである。
この点に関しては、高速鋼生成物の場合約0.5%〜2%(重量比)の汚染オイルを残しておけば足りる。その他の金属及び合金については、浄化された生成物中の各種固形物毎に、酸化化学によって定められた異なったレベルの汚染物質を残しておけば足りるであろう。
したがって、抽出された高速鋼切削屑固形生成物については、取り扱いや貯蔵のためには、0.5〜2%(重量比)の汚染物質を残せば十分であり、一方、かかる固形生成物の再溶融は容易かつ安全に行うことができる。
本発明の少なくとも1つの実行可能な実施形態では、粒状物質とオイルとの混合物からオイルを除去する方法を教示するものであり、該方法は以下のステップを含んで構成される。
抽出容器内に前記粒状物質とオイルとの混合物を積載するステップ、前記粒状物質とオイルとの混合物から前記オイルの大部分を除去するのに十分な圧力と温度下で、前記混合物を超臨界二酸化炭素と接触させるステップ、十分な量の超臨界二酸化炭素を十分な時間前記混合物に流し、前記粒状物質とオイルとの混合物からオイル含有量が減少した固形生成物とオイルを含有する超臨界二酸化炭素とを生成するステップ、前記固形生成物から分離したオイルを含有する超臨界二酸化炭素から固形生成物を分離するステップ、及び
前記抽出容器から前記固形生成物を除去するステップ。
上述した本発明の実施形態は、以下に、より詳細に説明される。本明細書において「発明」、又は、「発明の実施形態」という用語を使用するとき、この用語「発明」、又は、「発明の実施形態」は、「複数の発明」、又は、「発明の複数の実施形態」を含む、即ち、複数の「発明」、又は、複数の「発明の実施形態」であることを意味する。本出願人は、「発明」、又は、「発明の実施形態」と表現することによって、本出願が特許性を有しかつ非自明的に明確な1以上の発明を含まないことをいかなる場合も認めるものではなく、本出願が特許性を有しかつ非自明的に明確な1以上の発明を含みうるとの見解を主張するものである。ここで、本出願人は、本出願の開示は、1より多くの発明を含みうるものであり、1より多くの発明を有する場合、それらは、互いに特許性及び非自明性を有することを主張する。
本出願の少なくとも1つの実施可能な実施形態が添付図面を用いて説明される。
高速鋼研磨屑の超臨界二酸化炭素抽出の結果を示すグラフ。 高速鋼研磨屑の超臨界二酸化炭素抽出の実施用の処理を示す図。 高速鋼研磨屑の超臨界二酸化炭素抽出の別の結果を示すグラフ。 高速鋼研磨屑の超臨界二酸化炭素抽出の処理中に、抽出されたオイルのパーセンテージを示すグラフ。 高速鋼研磨屑の超臨界二酸化炭素抽出の処理後に、残留するオイルのパーセンテージを示すグラフ。
表1及び2で分析された切削屑は、粒状物質とオイルの混合物からオイルを除去するため、Supercritical Solitions LLC,2845 Rolling Green Place,Macungie,PA,28062に送られた。その結果データが表3に示される。本出願の少なくとも1つの実施可能な実施形態において、高速鋼切削屑の小さなサンプルがプロセス開発装置(PDU)に積載され、直接又は間接の熱移動によって、24℃まで加熱し、かつ、1700PSIに加圧された。該サンプルは、2時間にわたって、純超臨界二酸化炭素をベッドを連続して流通させてサンプルは抽出された。初めの高速鋼切削屑供給物のサンプルは、約12.4%(重量比)の汚染物質オイルを含有していた。他の切削屑サンプルでは12.4%と異なる汚染物質オイルレベルを含有しうることに留意すべきである。
処理された切削屑のサンプルは、実験期間中、断続的に取り出されて分析された。前記ベッドを通過した二酸化炭素流は、減圧され、そして抽出されたオイルは別の分かれた容器に落とされた。サンプルは10分毎に分析され、120分後にベッドは減圧され、中身が取り出されて分析された。下記の表3は、これらの結果を示す。



運転1において、運転開始時の供給物は12.4%(重量比)のオイルを含み、高速鋼生成物の抽出サンプルは、総処理滞留時間後で10.6%(重量比)のオイルを含んでいた。供給物から除去されたオイルは、約57%(重量比)であった。
高速鋼切削屑の別のサンプルはプロセス開発装置にかけられ、表3の運転2に記載のように、4300PSI、55℃での超臨界二酸化炭素条件下で処理された。120分の滞留時間で、抽出されたオイルは約89.6%(重量比)であった。
運転3では、圧力が4350PSI、温度が50℃であり、PDUへの供給物量は、運転2の約1/2であった。表3によると、運転温度を55℃から50℃に5℃減少するだけで、オイルの除去量が89.6%から91.6%に増大することは、注目に値する。滞留時間は同じく120分であった。
運転4では、圧力が5000PSI、温度が60℃であり、100分の滞留時間後のオイル除去量は約88.9%(重量比)であった。
運転5では、温度を64乃至65℃とし、圧力を5000PSIとした。運転5では、オイル除去量は約95%(重量比)であった。滞留時間は約80分であった。
運転6は、圧力を8700PSIとし、温度を80℃として実施された。滞留時間約50分で、98.4%(重量比)の汚染物質オイル除去量が得られた。
運転7では、圧力を9000PSI、温度を90℃とした。オイル除去量は95.9%まで低下し、急激な減少が見られた。圧力を9200PSIとし、温度を110℃まで高めた更なる変形態様(運転8,9及び10)でも同様であり、オイル除去率には下降が見られた。
運転7〜運転11は、滞留時間を55〜85分として実施された。
表3に示された運転では、温度及び圧力の状態がしっかり維持されただけでなく、ベッドのサイズと、S/Fとしても知られる溶剤対供給物の比(COグラム/サンプルグラム)とが、汚染物質の可能な限りの高除去が得られるように精密に制御された。さらに、運転中にサンプルを取り出してオイル含有量を分析することにより、滞留時間が注意深く調べられた。これらのデータは、図1に最もよく纏めて示されている。
連続するプロセス開発装置(PDU)を使用して、記載された条件下で二酸化炭素を高速鋼切削屑の(記載されたサイズの)ベッドを通過させ、図1に示すように、(供給物中%としての)汚染物質オイル除去率を、サンプルを通過する二酸化炭素の累積量に対して全滞留時間にわたってプロットした。終点データは表3に示されているが、運転中に集められた少なくとも5〜10のデータポイントが、図1に示すように、曲線A〜Kの作図のために使用された。目的を明確にするため、幾つかは、相違を際立たせるように図1に描かれている。8700PSI〜9200PSI間の領域は、図1に曲線G,H及びJで示されるように、汚染物質の除去を表している。図1における曲線の印刻と凡例におけるデータポイントが一致している点に留意されたい。
表3のデータ及び図1の描画から、汚染物質オイルの除去は、8700PSIから9000OSTの間、特に8700PSIで良好に、達成されることが結論付けられる。9000及び9200PSIでは、オイル除去量は、最大の98.4%から約92%〜96%まで減少した。
対象となる超臨界二酸化炭素の切削屑の相当量の抽出を実行するプロセスは、図2及び図3に概略的に示される。図2は、純または再生二酸化炭素を使用する処理を示す図である。ポンプと熱交換器は、高速鋼に二酸化炭素溶剤を供給する所定の比率で、目標温度Tr及び圧力Pr条件を満たすように設計されている。「供給物及び生成物ベッド」のサイズは、供給物の物理的特性及び所望する生成率によって決まる。ベッドの数を、所望する生成率に応じて(図2に示す2個から)変えることもできる。
図2に記載された2つの並列するステージからなるプロセスは、5000PSI〜8700PSIの抽出及び放出圧に加え、60℃〜110℃の温度の下で、高速鋼、及び他の同様の金属廃棄生成物や他の同様の汚染物質オイルから、98%の汚染物質オイル除去率を達成するように設計することができる。5000PSI及び65℃の下では、94.9%の汚染物質オイル除去率を、また8700PSI及び80℃の下では、98.4%の汚染物質オイル除去率を達成できた(表3参照)。したがって、5000PSI〜8700PSI、またはそれ以外の条件では、98%の汚染物質オイル除去率が達成可能かもしれない。2つの並列ステージに加え、他のプロセスオプションを少なくとも1つの実施可能な実施形態に使用できることを理解すべきである。
図2と併用される図3は、高速鋼切削屑からの汚染物質を除去するための「サイクル」の「シミュレート」を意図している。溶解度のデータ(二酸化炭素中のモル分率オイル)は、より高圧及び高温に適応する文献(J.Yau他、J.Chem.Eng.Data,38,174(1993))を参照して評価された。オイルは、n-ヘキサトリアコンタン(C36)と推定され、図3で用いられた超臨界二酸化炭素中のその溶解度は、図2で用いられた「サイクル」を定性的に描くと推定される。高速鋼切削屑中の汚染物質オイルは、非常に複雑であるため、後述するように、本明細書中では殆どのものがC29+以上である。したがって、文献で見出せる最大分子量を有する直鎖パラフィンに対する超臨界二酸化炭素中の(オイル)溶解度データが図3には用いられた。
このように、図3は、図2から描かれた点A〜Fを有する溶解度の図である。図3では、約5000PSIの抽出圧A、約7000PSIのA’、約9000PSIのA”を有する3つの異なるサイクルが示されている。抽出器からの流れが、分離器を介して点Bで示される低圧まで膨張するとき、図3の縦軸に記されるようにCO2中のオイル溶解度は減少する。各サイクルで除去されたオイルの量は縦軸における点A,B間の相違であり、この相違は抽出圧が増大するにしたがって増大する。真に平衡か、又は平衡に近い点は、点A及びBと、A’,A”,B’,及びB”だけである。点C,D,E及びFは、平衡からほど遠く、図3に示された圧力及び温度状態となっている。どのサイクルの点も温度及び圧力で表されているが、点A,A’及びA”、及びB,B’及びB”についてはさらに超臨界二酸化炭素中のオイル溶解度でも表されている。
図4は、表3に示すようにポンド/平方インチPSI圧力を用いて、運転1〜11中に抽出されたオイルのパーセンテージを表すグラフである。例えば、運転1では、1700PSIの下で57.1%のオイルが除去された。運転2では、4300PSIの下でオイル除去は89.6%となった。運転3では、4350PSIの下で91.6%のオイルが除去された。運転4では、5000PSIの下で88.9%のオイルが除去された。運転5では、5000PSIの下でオイル除去は94.9%となった。運転6では、8700PSIの下で98.4%のオイルが除去された。運転7では、9000PSIの下で95.9%のオイルが除去された。運転8では、9000PSIの下でオイル除去は92.9%となった。運転9では、9200PSIの下で92.3%のオイルが除去された。運転10では、9200PSIの下でオイル除去は94.9%となった。運転11では、9200PSIの下でオイル除去は96.2%となった。
図5は、表3で提供された情報を用いて、高速鋼研磨屑の超臨界二酸化炭素抽出処理が完了した後に残存するオイルのパーセンテージを示すグラフである。例えば、運転1では、1700PSI下での処理後に10.6%のオイルが残存した。運転2では、4300PSI下での処理後の残存オイルは2.92%であった。運転3では、4350PSI下での処理後に2.36%のオイルが残存した。運転4では、5000PSI下での処理後に3.26%のオイルが残存した。運転5では、5000PSI下での処理後の残存オイルは1.52%であった。運転6では、8700PSI下での処理後に0.44%のオイルが残存した。運転7では、9000PSI下での処理後に1.02%のオイルが残存した。運転8では、9000PSI下での処理後の残存オイルは1.74%であった。運転9では、9200PSI下での処理後に1.84%のオイルが残存した。運転10では、9200PSI下での処理後の残存オイルは1.04%であった。運転11では、9200PSI下での処理後の残存オイルは0.93%であった。
高速鋼切削屑は非常に高密度(約1.6の比重)なので、積載された処理容器の全重量は、約100ポンド/立方フィートとかなりの重量である。さらに、このような大きな容器に対して、30〜120分の滞留時間内で積載、処理、及び降載といった作業を行うことは、トン数の大きなプラントにとっては大きな課題である。1つの可能な選択肢としては、少なめの大きな容器を使用し、大重量物を長いサイクル周期で積降載するか、また、もう1つ可能な選択肢では、多めの小さな容器を使用し、軽重量物を短いサイクル周期で積降載する。少なくとも実施可能な一実施形態では、かかる供給物および生成物質を処理するためのサイズ及びサイクル周期は、この大量の汚染物質オイルの超臨界二酸化炭素大規模除去を促進するように選択される。
少なくとも可能な一実施形態では、長さ対直径の比(L/D)が大きく、より小さな容器が適すると判断された。第1に、小さな容器ではより容易に大きなL/D比が得られ、これにより、乱れを与えて、この循環過程での抽出及び脱離中の大量輸送性を向上させることができる。これら高抽出率及び脱離率の下では、ポテンシャルが高く、90%強,最大98%の高オイル除去率を実現できる。第2に、小さい容器の場合、容器の容積(V=πDL/4)を、容器の長さと直径の関数として選択することができる。容器の大体の容積及び形状が選択されたなら、大量の除去が高効率で可能となる処理率を保ちながら、容器内の滞留時間を最小にするべきである。
この種の高圧ガス処理においては、「バッチ型」システムを選択するか、または「連続型」システムを選択することが可能である。バッチ型システムは、並列又は直列で用いられ周期的ベースで(所定の滞留時間毎に)運転され、連続的に積載、処理及び降載され、そして十分な大量除去効率を得る。連続型システムは、通常バッチ容器の数に言及するものであり、連続的に運転され、また超臨界二酸化炭素流と、供給物及び固体生成物の連続的な積載、処理、降載を伴うことから、超臨界二酸化炭素の流れに対する固体移動の対向流として推定できる。直接的な積載、処理、及び降載は、超臨界二酸化炭素流の流れと対向する。この種の「連続的な」、対向流運転は、通常連続する逆流、シーケンシングバッチ運転と呼ばれる。このように、1または2つのバッチステージが直列または並列に配設されるとき、「バッチ」という用語が用いられる傾向があり、また、3以上のステージを有し、超臨界二酸化炭素に対して並行流で運転されるときも、「バッチ」という用語が用いられる。しかし、固形物が超臨界二酸化炭素に対し、逆流して運転される場合には、超臨界二酸化炭素の流れ方向に対向する固形供給物及び固形生成物の流れをシミュレートする「シーケンシングバッチ」と呼ぶ。「連続的な」という用語はまた、供給物及び溶剤が固定されたシステムを通して連続的に供給され、かつ、生成物が連続的に除去される処理を規定する。
表3の条件に関して、約98%という高い汚染物質除去率を得るためには、(表3の運転6に記載されているように)約50分という相当短い滞留時間が必要である。少なくとも1つの可能な実施形態において、経済的効果に加え、高いオイル除去レベルが得られる。経済的効果を得るためには、相当な量の供給物を最小時間内に最小量の超臨界二酸化炭素(トリート比)によって処理する必要がある。
この研究において、最大10000PSIまで加圧し、かつ最大80℃〜100℃の温度で運転して、120分未満、通常、30〜60分以内の周期時間で、容器に積載、処理、及び降載する(満載,加圧,暖機,処理及び減圧,冷却と、そして降載を必要とする)ことが可能で、しかも、30〜60分以内で、約200ポンドもの固形生成物を積載及び降載する労働関連作業を実行するのに十分な時間を得られることが判明した。前記労働関連作業項目は、必要に応じてロボット工学等の機械的補助機構を含んでも、含まなくてもよい。したがって、固形物密度が約100ポンド/立方フィートの場合、少なくとも1つの実施可能な反応器の大きさは、抽出された固形物量に応じて約2立方フィートとなる。少なくとも1つの実施可能な実施形態によれば、供給物は最大50重量%の汚染物質含有オイルでありうるため、オイルを含んだ供給固形物が加わった場合には、抽出器容積は2.5立方フィートとなるはずである。少なくとも1つの実施可能な実施形態によれば、容器全体が供給物全量で満たされることは、全く若しくは殆どなく、即ち、装置設計及び処理上の理由から、容器内において、固形物の上側、又は下側がフリースペースである点にも留意すべきである。
上記の観点からすると、抽出容器は、容器当り総容積が約2.5ftあれば、相当なL/Dを有することができる。例えば、8インチ内径の容器であれば、約7フィートの長さになる。このL/Dにより、少ないベッド圧力降下とトリート比で、良好な大量輸送性が得られ、また、超臨界領域で処理されるとき、温度及び圧力の制御は、しばしば、清浄度を保つ上で重要である。
例えば、5〜30のCOグラム/供給物グラムのトリート比では、やや少なめの容積に固形物のベッドが入った内径8インチの容器には、十分な大量輸送性が存在すると推定される。即ち、少なくとも1つの実施可能な実施形態においては、多孔構造のような「バスケット」を使用して供給物を容器に積載させることができ、かかる供給物の入ったバスケットを容器内に降ろし、抽出し、その後、生成物の入ったバスケットを容器から持ち上げて除去する。バスケットは、最大300ポンドまで供給物を容れることができるので、該バスケットは、少なくとも1つの実施可能な実施形態においては、金属又は鋼の構造あるいは、他の材料の構造として、多数回繰り返される積降載サイクルの負荷に十分耐えられるようにすることができる。固形物のベッドから汚染物質オイルの十分な抽出と、可能な限りの脱離が行われるように、バスケットは、殆ど全部ではないにせよ、少なくとも一部を、二酸化炭素を通す多孔性とすべきである。
処理容器(ステージ)の数及び運転順序、二酸化炭素の流れを並流とするか又は対向流とするかは、効率及び経済的理由から選択すべきである。効率及び経済的理由の点では、対向流運転は通常又は大抵、大トン数では、本明細書中に定義及び記載した特別な分離用の並流又はバッチ運転よりも、より効率が高く、経済的である。即ち、容器を満載し及び降載する方向は、超臨界二酸化炭素の流れに対向する流れである。これに基づき、既述したトリート率に対して十分な容器(ステージ)の数は、プラント全体にとっての生成率の正比例的な関数となる。例えば、提示された8インチの内径と7フィートの長さを持つ容器が約300ポンドの供給物を保持し、かつ、容器の数がN個とすると、300Nポンドの供給物を、およそ60分の滞留時間で処理できる。したがって、少なくとも1つの実施可能な実施形態によれば、生成率(供給物量に基づく)は以下のように算出される。N=4の場合、プラントは、1時間当り1200ポンド、一日当り約14.4トン(T/D)を処理できる。N=3の場合、プラントは、約10.8T/Dを処理できる。必要な滞留時間が120分である場合は、同様の演算を行うと、3ステージでは生産率は5.4T/Dとなり、4ステージでは生産率は7.2T/Dとなる(供給流量に基づく)。
一実施形態の1つの特徴又は態様は、本特許出願の申請時に、高速鋼切削屑を構成する粒状物質とオイルとの混合物からオイルを除去する方法に可能な限り広く属するものと思われる。前記方法は、以下のステップを含んで構成される。抽出容器内に粒状物質とオイルとの混合物を積載するステップと、前記粒状物質とオイルとの混合物から大部分のオイルを除去するのに十分な4300PSIを超える圧力と温度下で、前記混合物を超臨界二酸化炭素と接触させるステップと、十分な量の超臨界二酸化炭素を十分な時間前記混合物に流して、前記粒状物質とオイルとの混合物からオイル含有量が減少した固形生成物とオイルを含有する超臨界二酸化炭素とを生成するステップと、前記固形生成物から分離したオイルを含有する超臨界二酸化炭素から固形生成物を分離するステップと、抽出容器から前記固形生成物を除去するステップ。
一実施形態の別の特徴又は態様は、本特許出願の申請時に、高速鋼切削屑を構成する粒状物質とオイルとの混合物からオイルを除去する方法に可能な限り広く属するものと思われる。前記方法は、以下のステップを含んで構成される。抽出容器内に粒状物質とオイルとの混合物を積載するステップと、前記粒状物質とオイルとの混合物から大部分のオイルを除去するのに十分な圧力と温度下で、前記混合物を超臨界二酸化炭素と接触させるステップと、十分な量の超臨界二酸化炭素を十分な時間前記混合物に流して、前記粒状物質とオイルとの混合物からオイル含有量が減少した固形生成物とオイルを含有する超臨界二酸化炭素とを生成するステップと、前記固形生成物から分離したオイルを含有する超臨界二酸化炭素から固形生成物を分離するステップと、抽出容器から前記固形生成物を除去するステップ。
一実施形態のまた別の特徴又は態様は、本特許出願申請時に、切削屑からオイルを除去する方法に可能な限り広く属するものと思われる。前記方法は、以下のステップを含んで構成される。抽出容器内に前記切削屑を積載するステップと、前記切削屑から大部分のオイルを除去するのに十分な4300PSIを超える圧力と温度下で、前記切削屑を超臨界二酸化炭素と接触させるステップと、十分な量の超臨界二酸化炭素を十分な時間前記切削屑に流して、前記切削屑からオイル含有量が減少した固形生成物とオイルを含有する超臨界二酸化炭素とを生成するステップと、前記固形生成物から分離したオイルを含有する超臨界二酸化炭素から固形生成物を分離するステップと、抽出容器から前記固形生成物を除去するステップ。
一実施形態のまた別の特徴又は態様は、本特許出願申請時に、切削屑からオイルを除去する方法に可能な限り広く属するものと思われる。前記方法は、以下のステップを含んで構成される。抽出容器内に前記切削屑を積載するステップと、前記切削屑から大部分のオイルを除去するのに十分な圧力と温度下で、前記切削屑を超臨界二酸化炭素と接触させるステップと、十分な量の超臨界二酸化炭素を十分な時間前記切削屑に流して、前記切削屑からオイル含有量が減少した固形生成物とオイルを含有する超臨界二酸化炭素とを生成するステップと、前記固形生成物から分離したオイルを含有する超臨界二酸化炭素から固形生成物を分離するステップと、抽出容器から前記固形生成物を除去するステップ。
各種刊行物に発表された構成要素は、参照により本明細書に開示又は含まれており、それらの同等物と同様、本発明の考えられる限りの実施形態に可能な限り用いられる。
出願日2007年6月8日,発明者Rovert J.BELTZ,Eugene J.GRESKOVICH,及びRodger MARENTIS,代理人Docket No.NHL-KAL-03-PROV,及び発明の名称「超臨界二酸化炭素を使用して研磨屑及び同様の物質を十分に抽出する方法」である米国仮出願60・942,883は、その全容が本明細書中に説明されているものとして、参照により本明細書に包含される。
本発明の少なくとも1つの実施形態におけるすべての寸法、比率又は形状を含む添付図面のその全体は、正確であり、本明細書中に参照として含まれる。
出願日2007年6月8日,発明者Rovert J.BELTZ,Eugene J.GRESKOVICH,及びRodger MARENTIS,代理人Docket No.NHL-KAL-04-PROV,及び発明の名称「超臨界二酸化炭素を使用して研磨屑及び同様の物質を十分に抽出する方法」である米国仮出願60・942,748は、その全容が本明細書中に説明されているものとして参照により本明細書に包含される。
各種実施形態の全て又はほぼ全ての構成要素及び方法は、本明細書中に1以上の実施形態が記載されている限り、少なくとも1つ又は全ての実施形態に使用することができる。
出願日2007年6月8日,発明者RodgerkaMARENTIS,Rovert J.BELTZ,及びEugene J.GRESKOVICH,代理人Docket No.NHL-KAL-05-PROV,及び発明の名称「超臨界二酸化炭素を使用して研磨屑及び同様の物質を十分に抽出する方法」である米国仮出願60・942,759は、その全容が本明細書中に説明されているものとして参照により本明細書に包含される。
本明細書中、及び本明細書に付された宣言書中に挙げられた全ての特許、特許出願及び刊行物は、その全容が本明細書中に説明されているものとして参照により本明細書に包含される。
特許、公開済み出願、その他本出願に含まれる文書、及び、「幾つかの実施例は、・・本出願の少なくとも1つの実施可能な実施形態に使用できる可能性がある」と述べているパラグラフにおいて言及された文書も含め、これらのいずれか又は全ての実施例は、当然のことながら本出願のいずれか1つ以上、又は、どの実施形態にも使用されていないか、又は、使用可能である場合もある。
上記の文は、そのまま、特許、公開済み特許出願、及び参照によって含まれるか又は参照によって含まれない他の文書に関連する。
本明細書中に提示されたいずれの文書にも提示されている全ての文献及び文書は、その全容が本明細書中に説明されているものとして参照により本明細書に包含される。
特許、特許出願及び刊行物における詳細は、出願人の意見で、あらゆる補正請求項をあらゆる先行技術と特許的に区別するため、審査中に、請求項における更なる制限として、該請求項に包含されると考えてよい。
本発明の実施形態の精神及び範囲から逸脱しない限り、前記実施形態の修正及び変形は可能であり、したがって好ましい実施形態と関連して、以上本明細書中に記載された本発明の実施形態は、本発明の実施形態を、その中で示した全ての詳細に限定して捉えるべきではない。

Claims (5)

  1. 高速鋼切削屑から98重量%以上の切削油を除去して、前記高速鋼切削屑中に0.44重量%以下の切削油を生成する方法であって、
    8700PSI(59.98MPa)〜9000PSI(62.05MPa)の圧力で、抽出容器内の前記高速鋼切削屑に超臨界二酸化炭素を流すことによって、前記高速鋼切削屑から切削油を除去すること、を含んで構成される方法。
  2. 前記圧力は、8700PSI(59.98MPa)である請求項1に記載の方法。
  3. 累積滞留時間が50分、温度が80℃の条件で超臨界二酸化炭素を流す、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 下記(A),(B),(C),(D),(E),(F),(G),(H),(I)及び(J)の中、少なくとも1つを含む請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の方法。
    (A)下記(i)及び(ii)の中、一方の条件を有する抽出容器を使用すること、
    (i)2〜2.5立方フィート(56.63〜70.79リットル)及び、
    (ii)内径が8インチ(20.32cm)で、長さが7フィート(2.13m)
    (B)100〜300ポンド(45.13〜136.08kg)の高速鋼切削屑の入った多孔性バスケットを前記抽出容器に挿入することによって、高速鋼切削屑を前記抽出容器に積載し、前記バスケットに超臨界二酸化炭素を流し、かつ、前記バスケットから高速鋼切削屑を取り出すこと、
    (C)前記高速鋼切削屑から水性液又は水性液と前記切削油を含んだ油性液との混合液を除去すること、
    (D)複数の別個の抽出容器を、抽出容器毎に120分未満のサイクル時間で、かつ、120分と全処理に用いる抽出容器の数との積算値未満の総サイクル時間で、並列でシーケンシャルに、または直列で連続的又は半連続的に操作して実施すること、
    (E)前記超臨界二酸化炭素を、5〜30COグラム/高速鋼切削屑グラムのトリート比で流すこと、
    (F)前記超臨界二酸化炭素を、前記高速鋼切削屑の流れに対して、同一方向、横切る方向、逆方向のいずれかの方向に流し、前記高速鋼切削屑の流れは、水平方向、垂直方向上向き、垂直方向下向きのいずれかであること、
    (G)前記切削油を含む超臨界二酸化炭素の圧力及び温度を低下させて、前記切削油を含む超臨界二酸化炭素から前記切削油を分離すること、
    (H)実質的に切削油を含まない高速鋼切削屑と、実質的に高速鋼切削屑を含まない再利用可能な切削油とを産出すること、及び、
    (I)下記(iii),(iv),(v),及び(vi)のいずれかを含むこと、
    (iii)再生された二酸化炭素を使用すること、
    (iv) 純正の二酸化炭素を使用すること、
    (v) 再生された二酸化炭素及び純正の二酸化炭素の混合物を使用すること、
    (vi) 高速鋼切削屑からの切削油除去用として再利用するために、未使用の補給二酸化炭素を任意の比率で加えるか、または未使用の補給二酸化炭素を任意の比率で加えずに、超臨界二酸化炭素を再生すること、
    (J)30COグラム/高速鋼切削屑グラムを上回るトリート比で超臨界二酸化炭素を供給すること、
  5. 下記(A),(B),(C),(D),(E),(F),(G),(H),及び(I)の中の全てを含む請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の方法。
    (A)下記(i)及び(ii)の中、一方の条件を有する抽出容器を使用すること、
    (i)2〜2.5立方フィート(56.63〜70.79リットル)及び、
    (ii)内径が8インチ(20.32cm)で、長さが7フィート(2.13m)
    (B)100〜300ポンド(45.13〜136.08kg)の高速鋼切削屑の入った多孔性バスケットを前記抽出容器に挿入することによって、高速鋼切削屑を前記抽出容器に積載し、前記バスケットに超臨界二酸化炭素を流し、かつ、前記バスケットから高速鋼切削屑を取り出すこと、
    (C)前記高速鋼切削屑から水性液又は水性液と前記切削油を含んだ油性液との混合液を除去すること、
    (D)複数の別個の抽出容器を、抽出容器毎に120分未満のサイクル時間で、かつ、120分と全処理に用いる抽出容器の数との積算値未満の総サイクル時間で、並列でシーケンシャルに、または直列で連続的又は半連続的に操作して実施すること、
    (E)前記超臨界二酸化炭素を、5〜30COグラム/高速鋼切削屑グラムのトリート比で流すこと、
    (F)前記超臨界二酸化炭素を、前記高速鋼切削屑の流れに対して、同一方向、横切る方向、逆方向のいずれかの方向に流し、前記高速鋼切削屑の流れは、水平方向、垂直方向上向き、垂直方向下向きのいずれかであること、
    (G)前記切削油を含む超臨界二酸化炭素の圧力及び温度を低下させて、前記切削油を含む超臨界二酸化炭素から前記切削油を分離すること、
    (H)実質的に切削油を含まない高速鋼切削屑と、実質的に高速鋼切削屑を含まない再利用可能な切削油とを産出すること、及び、
    (I)下記(iii),(iv),(v),及び(vi)のいずれかを含むこと、
    (iii)再生された二酸化炭素を使用すること、
    (iv) 純正の二酸化炭素を使用すること、
    (v) 再生された二酸化炭素及び純正の二酸化炭素の混合物を使用すること、
    (vi) 高速鋼切削屑からの切削油除去用として再利用するために、未使用の補給二酸化炭素を任意の比率で加えるか、または未使用の補給二酸化炭素を任意の比率で加えずに、超臨界二酸化炭素を再生すること、
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