JP5582703B2 - 芯地布帛及び衣服 - Google Patents
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Description
芯地は衣服を構成する表生地の裏側に使用され、成形性、保形性、可縫製、補強などの機能を奏する。成形性とは衣服を美しく形作るための機能であり、保形性とは着用、クリーニングなどがなされた後でもその形を保つ機能であり、可縫製とは表生地を縫製しやすくするための機能であり、補強は表生地の補強をする機能である。なお、この背景技術に関する特許文献は発見していない。
これを防止するために一般の芯地布帛では、密度の異なる数種類の織物芯地を用意しておき、表生地の密度とは異なった密度の芯地を選定する。この場合、密度の異なる数種類の芯地を用意する必要があるため、生産上効率が大変悪く、高コストとなる。
また、芯地の変更が不可の場合は、芯地の地の目を15度〜45度の角度をつけて裁断し、使用することで対応している。この場合も、生産上効率が大変悪く、高コストとなり、また、芯地接着後の風合も変化してしまう。
モアレ現象を防止する芯地として今まで多く考案されているが、それらの多くは織物を構成する経糸、緯糸を「よろけ、うねり」の形態にするものであった。これらは芯地布帛の表面の平滑さに欠ける、芯地布帛の素材が限定される、などの欠点があった。
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、モアレ現象の発生を抑制することができる芯地布帛及び衣服を提供することを目的とする。
期的に変化するように構成されていることを特徴とする芯地布帛である。
(i)芯地布帛を構成する糸(経糸、緯糸、又はその両方)を、芯地布帛における並び順に、K1、K2、K3・・・・・Ki、Ki+1・・・とする。(iは任意の自然数とする)。そして、K1とK2との間隔(糸の長手方向に直交する方向における間隔)をd12とし、K2とK3との間隔をd23とし、以降同様に、KiとKi+1との間隔をdi(i+1)・・・とする。
緯糸の間隔を不均一に構成する方法としては、密度変換システムが組み込まれた織機を用いる方法がある。これはコンピューターに入力されたデーターにより、緯糸密度を自由に変えながら連続に織布できるシステムである。経糸の間隔を不均一に構成する方法としては、織機に使用する筬の設計で筬密度を一定巾で変更する特殊筬の使用や、よろけ筬、よろけ装置を使用する方法がある。
経糸又は緯糸の間隔を不均一にすると、経糸又は緯糸の密度(単位長さあたりの糸の本数)が芯地布帛における場所によって変動する。その密度の変動の範囲は、±50%の範囲が好適である。その範囲内であることにより、芯地布帛の風合いが部分的に硬くなったり柔らかくなったりする段差が触感されてしまうようなことが起こりにくい。又、接着芯地の場合、片面の熱可塑性接着剤が裏側に浸み出してくるようなことが起こりにくい。なお、上述した密度の変動は、芯地布帛全体での経糸又は緯糸の平均密度をMavとし、最も密度が大きい(又は小さい)部分における密度をMとしたとき、下記式1により算出される値である。
(式1)((M−Mav)/Mav)×100(%)
芯地布帛を構成する素材は特に限定されるものではなく、一般に使用されている綿、ポリエステル、レーヨンなどの短繊維やポリエステル、ナイロンなどの長繊維が使用できる。糸の太さ、密度についても、通常使用されている織物設計で可能である。但し密度表示については、平均値での表示が適している。
本発明の芯地布帛は、例えば、片面に熱可塑性接着剤を塗布した接着芯地とすることもできるし、芯地布帛のみで使用されるフラシ芯とすることもできる。
本発明の芯地布帛は、例えば、その全面にわたって、経糸の間隔や緯糸の間隔が不均一であってもよいし、その一部(例えば、モアレ現象が特に目立ちやすい場所)のみにおいて、経糸の間隔や緯糸の間隔が不均一であってもよい。
(2)本発明は、上記の芯地布帛と、表生地とを接着してなる衣服を要旨とする。
経糸、及び緯糸として、1ヒーターポリエステル加工糸33デシテックス/12フィラメントを使用し、津田駒工業(株)製エアージェット織機ZAX−eを用いて、経糸及び緯糸を備える平織の生機を織布した。上記の織機には、密度自動変換機能が組み込まれており、緯糸の間隔(密度)を自由に変えながら織布できる。本実施例では、緯糸の間隔を以下のように設定した。
隣接する60本の緯糸を1レピートとする。1つのレピートを構成する緯糸を、芯地布帛における並び順に、K1、K2、K3・・・・・Ki、Ki+1・・・K60とする。(iは4〜59の自然数とする)。そして、K1とK2との間隔(緯糸の長手方向に直交する方向における間隔)をd12とし、K2とK3との間隔をd23とし、以降同様に、KiとKi+1との間隔をdi(i+1)・・・とする。
一方、緯糸の間隔の候補値として、a〜fを設定する。これらは、それぞれ、表1に示す密度に対応する間隔であって、互いに異なる値である。表1に示すように、a〜fは、30本/インチに対応する間隔から、80本/インチに対応する間隔まで分布している。
この結果、1つのレピート内で、緯糸同士の間隔は、均一ではなく、ランダムに設定された。このように設定した、緯糸の間隔の設定パターンを各レピートに適用する。したがって、緯糸の間隔の設定パターンは、60本の緯糸ごとに周期的に繰り返される。
生機全体として、緯糸平均密度は55本/インチとなった。経糸については、筬密度53羽/3.79cm、筬通し巾141cmの条件とした。経糸の密度(間隔)は均一とし、経糸の総本数3948本、経糸密度は71本/インチとなった。
(b)整理加工
前記(a)で織布した生機を、液流染色機を用い、130℃の条件で分散染料により染色した。次に、ヒートセット機を用い、190℃、40秒の条件で熱セットを行い、芯地用布帛を得た。
(c)接着芯地の製造
前記(b)で製造した芯地用布帛の片面に熱可塑性接着剤(下層=アクリル樹脂、上層=ポリアミド樹脂)をドット数750個/平方インチ、塗布量8g/m2の規格で塗布し、接着芯地を製造した。接着芯地の密度は、経88本/インチ、緯平均68本/インチ(37本〜99本/インチ不均一)であった。
(d)比較例の接着芯地の製造
基本的には前記(a)〜(c)と同様にして比較例の接着芯地を製造した。ただし、緯糸、経糸ともに、密度(間隔)を、接着芯地の全体にわたって均一とした。生機における緯糸の密度は55本/インチであり、経糸の密度は71本/インチであった。経糸の総本数は3948本、筬密度53羽/3.79cm、筬通し巾141cmの条件とした。接着芯地における経糸の密度は経88本/インチであり、緯糸の密度は68本/インチであった。
(e)モアレ現象の評価
前記(a)〜(c)で製造した実施例の接着芯地と、前記(d)で製造した比較例の接着芯地とのそれぞれについて、以下のようにして、モアレ現象に関する評価を行った。
光の透過する夏物紳士服の表生地として、経密度や緯密度が異なる6種類(No.1〜6)を用意した。6種類の表生地の経密度及び緯密度は表2に示すとおりである。
Claims (3)
- 経糸及び緯糸を備える芯地布帛であって、
少なくとも一部において、前記経糸及び前記緯糸の少なくとも何れかについて、並び順にK1、K2、K3・・・Ki、Ki+1(iは任意の自然数)とし、K1とK2との間隔をd12、K2とK3との間隔をd23とし、以下順次KiとKi+1との間隔をdi(i+1)としたとき、d12、d23、・・・di(i+1)・・・の値がランダムとなるように構成されており、d 12 、d 23 、・・・d i(i+1) ・・・のパターンが所定本数の糸を1周期として周期的に変化するように構成されていることを特徴とする芯地布帛。 - 請求項1に記載の芯地布帛において、
前記経糸の間隔及び前記緯糸の間隔の少なくとも何れか一方の間隔が均一である領域をさらに備えることを特徴とする芯地布帛。 - 少なくとも請求項1又は請求項2に記載の芯地布帛と表生地とから形成される衣服。
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