JP5582100B2 - 電子制御装置 - Google Patents
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Description
ところが、一般に動作クロックなどの高周波デジタル信号は、その付近に実装された入力信号にパルス性のノイズを重畳させることが良く知られており、問題となっている。
マイクロコンピュータは、パルス信号の周期的な「立ち上がり及び立ち下がりタイミング」であるエッジタイミングを生成する第1タイミング生成手段、及び、入力信号の値を周期的に取得するためのサンプリングタイミングを生成する第2タイミング生成手段を有する。第1タイミング生成手段および第2タイミング生成手段は、パルス信号のエッジタイミングと入力信号のサンプリングタイミングとに時間差をもたらすタイミング不一致処理を実行する。
この処理は、マイコンの処理能力やROM/RAMをほとんど圧迫することなく実現可能である。また、新たな回路の追加や信号の平滑化が不要であるため、素子の増加によるコストアップや信号応答性の低下を招くこともない。さらに、出力信号線と入力信号線とを分離実装しないので、電子制御装置の小型化が阻害されることもない。
このようにパルス信号による任意の処理が一旦実行されると、その後の処理において、パルス信号のエッジタイミングは既知情報から「静的」に定まらない。そこで、請求項2に記載の発明では、「既に出力されているエッジタイミングと、これから生成しようとするサンプリングタイミングとの時間的関係が不明な状態」から、「動的なタイミング不一致処理」を実行する。
また、ここで「開始する前」とは例えば「μs」オーダーの時間をいい、現実的には、限りなく「開始と同時に」に近い意味である。
請求項1に記載の発明では、第1タイミング生成手段が出力するタイマ値を入力信号のサンプリングタイミングに対応して所定の値に書き換える。
ここで、「所定の値」は、例えばパルス周期の(1/4)に相当する時間差値である。これにより、入力信号のサンプリング開始と同時に、パルス信号は、エッジタイミングがサンプリングタイミングに対しパルス周期の1/4周期分進んだ信号として書き換えられる。すなわち、サンプリングタイミングは、パルス信号の「ある立ち上がりタイミングと次の立ち下がりタイミングとの間のタイミング」、あるいは「ある立ち下がりタイミングと次の立ち上がりタイミングとの間のタイミング」に生成されることとなる。この処理を「書き換え型処理」という。
ここで、「所定の値」は、例えば請求項1に記載の「所定の値」と同じ値、すなわち、パルス周期の(1/4)に相当する値を採用することができる。これにより、パルス信号のエッジタイミングが所定の値だけずれるのを待って、第2タイミング生成手段は、サンプリングタイミングの生成を開始する。この処理を「待機型処理」という。
「待機型処理」では、既に出力しているパルス信号を変更することなく、安定したパルス出力を継続させることができる。また、マイコンの演算が簡素となる。
「周期変更型処理」では、第2タイミング生成手段は、第1タイミング生成手段の生成するエッジタイミングの現在値に基づき、「特定回」のサンプリングタイミングの周期を演算する。既に出力しているパルス信号を変更することがないため、安定したパルス出力を継続させることができる。
すなわち、動的な処理をするという点で請求項1、2に記載の発明と同じである。しかし、処理実行時にサンプリングタイミングが既に出力されており、請求項1、2に記載の発明に対し第1タイミング生成手段と第2タイミング生成手段との役割を逆転させるものである。
よって、請求項3に記載の発明は、「既に出力されているサンプリングタイミングと、これから改めて生成しようとするエッジタイミングとの時間的関係が不明な状態」から、「動的なタイミング不一致処理」を実行する。ここでも、「開始した後」とは例えば「μs」オーダーの時間をいい、現実的には、限りなく「開始と同時に」に近い意味である。
請求項4に記載の発明では、第2タイミング生成手段が出力するタイマ値をパルス信号のエッジタイミングに対応して所定の値に書き換える。
請求項5に記載の発明では、第1タイミング生成手段は、第2タイミング生成手段が出力するタイマ値が所定の値になるのを待って出力する。
請求項6に記載の発明では、第1タイミング生成手段は、第2タイミング生成手段が出力するタイマ値の現在値に基づいて、特定回のパルス周期を所定の周期に変更する。
これらの発明の技術的特徴は、請求項1、2に記載の発明及び参考発明と同様である。
このように、入力信号のサンプリングが周期的に実行されるのでなく都度実行される場合であっても、「パルス出力によって生ずる重畳ノイズの影響を回避する」効果は同様に発揮される。
(第1実施形態)
図1は、電動パワーステアリング装置を備えたステアリングシステムの全体構成を示す。ステアリングシステム90に備えられる電動パワーステアリング装置1は、ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92に操舵トルクを検出するためのトルクセンサ94を設置している。ステアリングシャフト92の先端にはピニオンギア96が設けられており、ピニオンギア96はラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が回転可能に連結されている。
この構成により、電動パワーステアリング装置1は、ハンドル91の操舵を補助するための操舵アシストトルクを発生し、ステアリングシャフト92に伝達する。
「第2タイミング生成手段」としての第2タイマ16は、入力回路17に入力される入力信号の値を周期的に取得するためのサンプリングタイミングを生成する。
なお、図3(b)および図4(b)では、入力信号は正弦波信号で例示されているが、これに限らず、入力信号は、どのような波形の信号であってもよい。
また、本実施形態では、サンプリング周期Tsはパルス周期Tpの2倍に設定されている。この技術的意義については、第4実施形態のところで対比しつつ説明する。
次に、第1実施形態のタイミング不一致処理のフローについて、図5のフローチャートを参照して説明する。以下のフローチャートの説明で記号Sは「ステップ」を示す。
処理X実行後のS31にて、マイコン11は、第1タイマ15のカウンタ値を所定の値Kに書き換えるとともに、S4にて、第2タイマ16が起動開始し、入力信号のサンプリングを開始する。以下、本実施形態の処理を「書き換え型処理」という。
ここで、「カウンタ値」は、特許請求の範囲に記載の「タイマ値」と相関のある値である。すなわち、直接「タイマ値」を書き換えてもよく、「カウンタ値」を書き換えることによって間接的に「タイマ値」を書き換えるようにしてもよい。
ところで、パルス周期の1周期には、立ち上がり及び立ち下がりの2つのエッジタイミングが含まれるため、エッジタイミングの周期は、パルス周期の半分(Tp/2)で表される。そこで、値Kを、0でなく(K≠0)、かつ下式1に示すように「N×(Tp/2)(Nは自然数)と異なる値(望ましくは、可及的に近似しない値)」に設定することにより、エッジタイミングとサンプリングタイミングとの一致を回避することができる。
K≠±N×(Tp/2)=±Tp/2,±Tp,±3Tp/2,±2Tp・・・
・・・(式1)
具体的には、値Kを、例えば「0.25Tp」に設定すればよい。あるいは、値Kを、「0.25Tp」を「中間値」としつつ、重畳ノイズの影響を受けない範囲で、所定の幅(本例では「±0.1Tp」)を持たせ、下式2のように設定することができる。
0.15Tp≦K≦0.35Tp ・・・(式2)
タイミング不一致処理の別の形態を第2、第3実施形態として説明する。以下の実施形態において、ECU10のシステム構成(図2参照)は、第1実施形態と同様である。なお、第3実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を実施するための形態とは別の参考形態に相当する。
第1実施形態では、第2タイマ16自身のタイミングを変更せず、相手方である第1タイマ15のタイミングを変更する。それに対し、第2、第3実施形態では、第2タイマ16自身のタイミングを変更することを特徴とする。
なお、「カウンタ値」は、第1実施形態と同様、「タイマ値」と相関のある値である。
「待機型処理」では、既に出力しているパルス信号を変更することなく、安定したパルス出力を継続させることができる。また、マイコン11の演算が簡素となる。
S33にて、マイコン11は、第1タイマ15のカウンタ現在値Vpを取得する。そして、取得した現在値Vpに基づき、第2タイマ16は、エッジタイミングとサンプリングタイミングとをずらすように、特定回のサンプリング周期を変更しつつ起動する(S4)。「特定回のサンプリング周期を変更する」とは、例えば起動1回目の周期のみ、サンプリング周期を通常周期に対して特別に変更することをいう。以下、本実施形態の処理を「周期変更型処理」という。
「周期変更型処理」では、取得したカウンタ現在値Vpに基づく演算により、起動1回目のサンプリングタイミングを決定する。既に出力しているパルス信号を変更することがないため、安定したパルス出力を継続させることができる。
次に、パルス周期Tpとサンプリング周期Tsとの関係について説明する。
図4(c)に示すように、第1実施形態では、サンプリング周期Tsはパルス周期Tpの2倍に設定される。Nを自然数とすると、このようにサンプリング周期Tsがパルス周期TpのN倍の場合には、毎回のサンプリングタイミングにおいて、パルス立ち上がりのエッジタイミングとの時間差(K値)が一定になる。
この場合、値Kを「(1/8)Tp」すなわち「0.125Tp」に設定すれば、あるいは「0.125Tp」を中間値とする所定の範囲の値に設定すれば、毎回のサンプリングタイミングにおいて、エッジタイミングとの一致を回避することが可能となる。
K=(1/4M)Tp ・・・(式3)
したがって、サンプリング周期Tsおよびパルス周期Tpが変動せず、一定であれば、上記実施形態によるタイミング不一致処理は、実質的にあらゆる場合に適応可能である。
また、新たな回路の追加や信号の平滑化が不要であるため、素子の増加によるコストアップや信号応答性の低下を招くこともない。さらに、出力信号線21と入力信号線22とを分離実装しないので、ECU10の小型化が阻害されることもない。
(ア)上記第1〜第3実施形態は、いずれも、第1タイマ15によりパルス信号の出力を開始し「処理X」が実行された後、入力信号をサンプリングするための第2タイマ16を起動する場面でのタイミング不一致処理を示している(図5〜7参照)。すなわち、第2タイマ16を主体とし、先行する第1タイマ15が生成するエッジタイミングに対し、遅れて起動する第2タイマ16が実行する処理を対象としている。
第2タイマ16が出力するカウンタ値をパルス信号のエッジタイミングに対応して所定の値に書き換える(書き換え型処理)。
(第2変形例)
第1タイマ15は、第2タイマ16が出力するカウンタ値が所定の値になるのを待って出力する(待機型処理)。
(第3変形例)
第1タイマ15は、第2タイマ16が出力するカウンタ現在値に基づいて、特定回のパルス出力(例えば、起動1回目)の周期を所定の周期に変更する(周期変更型処理)。
(エ)入力信号は、ECU10の内部(上記実施形態では駆動回路32)から入力される場合に限らず、ECU10の外部から入力されてもよい。
(オ)第1タイミング生成手段および第2タイミング生成手段は、必ずしも「第1タイマ15および第2タイマ16」のように物理的に独立した2つのタイマ素子で構成される必要はない。2つのタイミング生成手段の機能を1つのタイマ素子が兼ね備えてもよい。
また、CPU12がタイミング生成手段として機能してもよい。
これに対し、入力信号のサンプリングが周期的でなく、都度実行されてもかまわない。この場合、第2タイマ16は、サンプリングの都度、タイミング不一致処理を実行する。具体例としては、第2タイマ16によってサンプリングタイミングが生成された後、第1タイマ15が出力するカウンタ値が所定の値になるのを待って入力信号の値を取得する。
このように、入力信号のサンプリングが都度実行される場合であっても、「パルス出力によって生ずる重畳ノイズの影響を回避する」効果は同様に発揮される。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
10 ・・・ECU(電子制御装置)、
11 ・・・マイコン(マイクロコンピュータ)、
15 ・・・第1タイマ(第1タイミング生成手段)、
16 ・・・第2タイマ(第2タイミング生成手段)、
21 ・・・出力信号線、
22 ・・・入力信号線、
Tp ・・・パルス周期、
Ts ・・・サンプリング周期。
Claims (7)
- マイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータから出力されるパルス信号を伝送する出力信号線と、
前記マイクロコンピュータへ入力信号を伝送する入力信号線と、を備え、
前記マイクロコンピュータは、前記パルス信号の周期的な立ち上がり及び立ち下がりタイミングであるエッジタイミングを生成する第1タイミング生成手段、及び、前記入力信号の値を周期的に取得するためのサンプリングタイミングを生成する第2タイミング生成手段を有し、
前記第1タイミング生成手段および前記第2タイミング生成手段は、前記パルス信号のエッジタイミングと前記入力信号のサンプリングタイミングとに時間差をもたらすタイミング不一致処理を実行し、
前記第1タイミング生成手段によって前記パルス信号の出力が開始され当該パルス信号による処理が実行された後、前記第2タイミング生成手段が前記入力信号のサンプリングを開始する前に、前記タイミング不一致処理を実行し、
前記タイミング不一致処理において、前記第1タイミング生成手段が出力するタイマ値を前記入力信号のサンプリングタイミングに対応して所定の値に書き換えることを特徴とする電子制御装置。 - マイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータから出力されるパルス信号を伝送する出力信号線と、
前記マイクロコンピュータへ入力信号を伝送する入力信号線と、を備え、
前記マイクロコンピュータは、前記パルス信号の周期的な立ち上がり及び立ち下がりタイミングであるエッジタイミングを生成する第1タイミング生成手段、及び、前記入力信号の値を周期的に取得するためのサンプリングタイミングを生成する第2タイミング生成手段を有し、
前記第1タイミング生成手段および前記第2タイミング生成手段は、前記パルス信号のエッジタイミングと前記入力信号のサンプリングタイミングとに時間差をもたらすタイミング不一致処理を実行し、
前記第1タイミング生成手段によって前記パルス信号の出力が開始され当該パルス信号による処理が実行された後、前記第2タイミング生成手段が前記入力信号のサンプリングを開始する前に、前記タイミング不一致処理を実行し、
前記タイミング不一致処理において、前記第2タイミング生成手段は、前記第1タイミング生成手段が出力するタイマ値が所定の値になるのを待って起動することを特徴とする電子制御装置。 - マイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータから出力されるパルス信号を伝送する出力信号線と、
前記マイクロコンピュータへ入力信号を伝送する入力信号線と、を備え、
前記マイクロコンピュータは、前記パルス信号の周期的な立ち上がり及び立ち下がりタイミングであるエッジタイミングを生成する第1タイミング生成手段、及び、前記入力信号の値を周期的に取得するためのサンプリングタイミングを生成する第2タイミング生成手段を有し、
前記第1タイミング生成手段および前記第2タイミング生成手段は、前記パルス信号のエッジタイミングと前記入力信号のサンプリングタイミングとに時間差をもたらすタイミング不一致処理を実行し、
前記第1タイミング生成手段によって前記パルス信号の出力が開始され当該パルス信号による処理が実行された後、さらに前記第2タイミング生成手段が前記入力信号のサンプリングを開始した後に、前記タイミング不一致処理を実行することを特徴とする電子制御装置。 - 前記タイミング不一致処理において、前記第2タイミング生成手段が出力するタイマ値を前記パルス信号のエッジタイミングに対応して所定の値に書き換えることを特徴とする請求項3に記載の電子制御装置。
- 前記タイミング不一致処理において、前記第1タイミング生成手段は、前記第2タイミング生成手段が出力するタイマ値が所定の値になるのを待って出力することを特徴とする請求項3に記載の電子制御装置。
- 前記タイミング不一致処理において、前記第1タイミング生成手段は、前記第2タイミング生成手段が出力するタイマ値の現在値に基づいて、特定回のパルス周期を所定の周期に変更することを特徴とする請求項3に記載の電子制御装置。
- マイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータから出力されるパルス信号を伝送する出力信号線と、
前記マイクロコンピュータへ入力信号を伝送する入力信号線と、を備え、
前記マイクロコンピュータは、前記パルス信号の周期的な立ち上がり及び立ち下がりタイミングであるエッジタイミングを生成する第1タイミング生成手段、及び、前記入力信号の値を都度取得するためのサンプリングタイミングを生成する第2タイミング生成手段を有し、
前記第1タイミング生成手段および前記第2タイミング生成手段は、前記パルス信号のエッジタイミングと前記入力信号のサンプリングタイミングとに時間差をもたらすタイミング不一致処理を実行し、
前記タイミング不一致処理において、前記第2タイミング生成手段によってサンプリングタイミングが生成された後に、前記第1タイミング生成手段が出力するタイマ値が所定の値になるのを待って前記入力信号の値を取得することを特徴とする電子制御装置。
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