JP5580571B2 - インクジェット記録材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は真珠光沢顔料を用いたインクジェット記録材料の製造方法に関し、特に表面欠陥の発生を抑制し、良好な真珠光沢を有するインクジェット記録材料の製造方法に関するものである。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、紙やプラスチック樹脂フィルム等の支持体上にインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。支持体上のインク受容層は二つのタイプに大別される。一つのタイプは、水溶性ポリマーを主成分とするインク受容層であり、もう一つのタイプは無機微粒子を主成分とする多孔質のインク受容層である。
前者のタイプのインク受容層は、水溶性ポリマーが膨潤することによってインクを吸収する。後者のタイプのインク受容層は、無機微粒子によって形成された空隙にインクを吸収する。このようなインクを吸収するメカニズムの違いから前者のタイプは膨潤タイプ(あるいはポリマータイプ)、後者のタイプは空隙タイプと呼ばれている。一般に前者の膨潤タイプはインク受容層が連続的かつ均一な被膜となるので光沢に優れるが、インク吸収速度、つまり印字後の乾燥性に劣る。これに対し後者の空隙タイプはインク吸収性に優れ印字濃度が高いという特徴を有する。
インクジェット記録材料に真珠光沢顔料やパール顔料と呼ばれる光輝材を用いて、インクジェット記録材料に真珠光沢感を付与することは従来から知られており、例えば特開2004−276418号公報(特許文献1)、特開2004−276419号公報(特許文献2)には、樹脂被覆紙のインク受容層を有する側の樹脂層あるいは下塗り層に真珠光沢顔料を含有させたインクジェット記録材料が開示されており、特開2003−80836号公報(特許文献3)には基材上に真珠光沢顔料、金属塩及びバインダー樹脂を含有する真珠光沢層を有するインクジェット記録材料が開示されており、特開2006−218785号公報(特許文献4)には、無機微粒子を主体に含有するインク受容層上にパール調光沢層を設けたインクジェット記録材料が開示されており、特開2005−288884号公報(特許文献5)には、無機微粒子を主体に含有するインク受容層に真珠光沢顔料を含有させたインクジェット記録材料が開示されている。
支持体上に多孔質なインク受容層を設けるために用いる塗布液は多量の無機微粒子を含有しているため、塗布液の調液時や支持体上への塗工時にバインダーや硬膜剤等の影響により凝集物が発生しやすく、この凝集物はインク受容層の塗布性の悪化や表面欠陥を招く原因となる。このため無機微粒子を主体に含有する塗布液は、支持体上に塗布する前に濾過装置にて凝集物を除去することが一般に行われる。しかし無機微粒子を主体に含有するインク受容層を設けるために用いる塗布液中に真珠光沢顔料やパール顔料を含有せしめた場合、真珠光沢顔料やパール顔料を除去することなく該凝集物を除去することは困難であり、このため支持体上に良好な真珠光沢を有し塗布性の低下や表面欠陥が生じることのない、多孔質なインク受容層を設けることは極めて困難であった。特に無機微粒子として平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有する塗布液は凝集物がより発生しやすく、良好な真珠光沢と塗布性及び表面欠陥の改善の何れも両立させることはとりわけ困難であった。
一方、特開2001−71628号公報(特許文献6)、特開2007−185884号公報、特開2007−185885号公報、特開2007−55174号公報、特開2007−223119号公報等には支持体上にインク受容層を設けるための塗布液にカチオン性化合物をインライン混合することが記載され、特開2001−80207号公報(特許文献7)、特開2005−280220号公報、特開2008−246755号公報、特開2009−178917号公報等にはホウ酸等の硬膜剤をインライン混合することが記載され、その他特開2003−127519号公報には界面活性剤を、特開2009−127132号公報には水溶性バインダーを、特開2003−165269号公報にはメチロールアミン系化合物を、特開2004−90513号公報シラノール変性ポリビニルアルコールをインライン混合することが記載される。
特開2004−276418号公報 特開2004−276419号公報 特開2003−80836号公報 特開2006−218785号公報 特開2005−288884号公報 特開2001−71628号公報 特開2001−80207号公報
本発明の目的は、真珠光沢顔料を用いたインクジェット記録材料の製造方法に関し、特に塗布性の悪化や表面欠陥の発生を抑制し、良好な真珠光沢を有するインクジェット記録材料の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、鋭意検討の結果、下記の手段によって達成できることが判明した。
(1)支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子をインク受容層の全固形分に対して50質量%以上含有し、親水性バインダー、該親水性バインダーの硬膜剤及び、平均粒子厚が0.2〜0.9μm、平均粒子径が1〜200μm、アスペクト比が5〜200の真珠光沢顔料を含有する塗布液を塗布して、インク受容層を塗設するインクジェット記録材料の製造方法であって、該塗布液を塗布する際に、少なくとも該無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液を濾過装置に通した後、塗布する直前に、該混合液と真珠光沢顔料を含有する分散液とをインライン混合して塗布することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
(2)前記真珠光沢顔料を含有する分散液のpHが6.5以下であることを特徴とする上記(1)に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
本発明によって、無機微粒子を主体に含有するインク受容層に真珠光沢顔料を含有させても、塗布性の悪化や表面欠陥の発生が改善され、良好な真珠光沢感を有するインクジェット記録材料の製造方法を提供することができる。
本発明の塗布液貯留釜から塗布装置の構成を示す模式図。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、インク受容層は、無機微粒子、親水性バインダー及びその硬膜剤と真珠光沢顔料を少なくとも含有し、無機微粒子を主体に含有する。ここで主体に含有するとは、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有することであり、好ましくは60質量%以上含有することであり、更に好ましくは65質量%以上含有することである。上限は95質量%程度である。該無機微粒子を主体に含有することによって、空隙率の高い多孔質なインク受容層となりインク吸収性が向上する。
インク受容層を塗設するための塗布液は、通常、無機微粒子を高圧ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、ボールミル等で水中に分散して分散液を作製し、該分散液と親水性バインダー、硬膜剤、真珠光沢顔料に加え更に必要に応じて界面活性剤等を混合して作製される。インクジェット記録材料は一般に数百〜数千mの支持体が巻き取られたロール状の支持体に塗布、乾燥されて製造されるため、1回に製造された塗布液は長時間かけて支持体に塗布される。このため塗布量にもよるが塗布時間が例えば5時間、更には10時間を超える場合がある。塗布液を作製して塗布が終了するまでの間、塗布液は30〜45℃程度の温度に保温されて経時される。この長時間の経時の間に、塗布液中の無機微粒子が凝集を起こし、塗布性の悪化や表面欠陥の発生という問題が生じる。このような問題に対して通常は塗布液を支持体に塗布する直前に濾過装置に通し回避することが行われるが、該塗布液が真珠光沢顔料を含有する場合、濾過装置で凝集物を捕捉すると真珠光沢顔料も同時に捕捉されてしまうため、濾過装置のフィルターの早期閉塞、真珠光沢感の低下、生産効率の低下等につながり問題となる。この問題を解決するために本発明者等は鋭意研究した結果、インク受容層を塗布する際に、少なくとも該無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液(以降、無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液、あるいは混合液とも称する。)を濾過装置に通した後、塗布する直前に、該混合液と真珠光沢顔料を含有する分散液とをインライン混合して塗布することで、塗布性の悪化や表面欠陥の発生が改善され、良好な真珠光沢感を有するインクジェット記録材料が得られることを見いだした。
インクジェット記録材料の製造に用いる塗布液は、通常、1バッチ当たり数百〜数千リットルの単位で製造され、貯留釜(タンク)に一旦貯留され、貯留釜からポンプや塗布ヘッドとの高低差等を利用し、パイプ等の送液管を通じて塗布装置に供給されて支持体に塗布される。本発明は真珠光沢顔料を添加せずに、無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液を製造し、該混合液を濾過装置に通した後、好ましくは塗布する直前に濾過装置に通した後、真珠光沢顔料を含有する分散液を混合液中にインライン混合するものである。具体的には、真珠光沢顔料を含有する分散液を、貯留釜から塗布装置へ塗布液が送液される経路で、該混合液に混合する。この方法は、インライン添加とも称されており、そのための混合装置も、インラインミキサーやスタティックミキサーとして市販されている。例えば、(株)ノリタケカンパニー製スタティックミキサー、Kenics社(アメリカ)製スタティックミキサー、Sulger社(スイス)製スタティックミキシングエレメントSMV型、晃立工業(株)製シマザキパイプミキサー、東レ(株)製Hi−Mixer等がある。また、インライン動的ミキサーとしては、例えば特開2000−271463号公報に記載のものを用いることができる。
本発明に用いる濾過装置は、市販されているハウジングにカートリッジタイプのフィルターを装着する一般的なもので良く、濾過精度(粒子捕捉性能)が1〜150μm範囲のタイプのものが好ましい。例えば、アドバンテック社製のTCPDタイプ、キュノ社製ベータピュアやポリプロクリーン、日本ポール(株)製フィルター、ヤマシンフィルタ(株)製プロセスフィルタ等がある。
本発明の塗布直前に添加する工程を図を用いて更に詳細に説明する。図1は本発明の塗布液貯留釜から塗布装置の構成を示す模式図である。貯留釜1に貯留された無機微粒子と親水性バインダーを少なくとも含有する混合液は、ヘッド差(塗布液の粘度が高い場合は図示しないポンプを併用することができる)を利用して、パイプ2を通して降下される。一方、貯留釜3には、真珠光沢顔料を含有する分散液が貯留されており、同様にヘッド差を利用しパイプ4を通して降下される。降下された混合液及び真珠光沢顔料分散液は、それぞれ流量計5、6で所定の流量に制御された後、混合液は濾過装置7を通り、インラインミキサー8で真珠光沢顔料分散液と混合され最終的な塗布液となって、塗布装置9に送液されて支持体に塗布される。
次にインク受容層の構成について説明する。本発明に使用する真珠光沢顔料には、魚鱗箔や天然雲母のような天然品と、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、天然マイカの表面を金属酸化物で被覆したもの、合成マイカの表面を金属酸化物で被覆したもののような合成品とがある。中でも入手しやすさと安全性の面から、天然マイカの表面を金属酸化物で被覆したものや、合成マイカの表面を金属酸化物で被覆したものを用いるのが好ましく、また光沢性や写像性の観点から、真珠光沢顔料は平板状であることが好ましい。なおここで平板状とは、真珠光沢顔料のアスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚)が5以上であることを意味し、より好ましい真珠光沢顔料は平均粒子厚が0.2〜0.9μm、平均粒子径が1〜200μm、アスペクト比が5〜200である。このような真珠光沢顔料としては、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、二酸化チタン被覆酸化アルミナフレーク、オキシ塩化ビスマス等があり、これらの中で、二酸化チタン被覆雲母が扱いやすく、コスト的にも安価で好ましい。これらは、例えばメルク(株)よりIriodin100、同103、同111、同123、Xirallic T50−10 Crystal Silverの名で、また日本光研工業(株)よりPEARL−GLAZEシリーズとしてME−100R、MF−100R、MM−100R、MB−100RFの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。
また真珠光沢顔料は通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等により真珠光沢顔料と分散媒を混合して真珠光沢顔料分散液を作製した後、塗布直前に少なくとも無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液中にインライン混合してインク受容層に含有せしめる。本発明に用いられる真珠光沢顔料分散液の分散媒として、一般的に水が用いられるが、好ましくは、pHが6.5以下になるようにpH調整剤を添加して分散することで、より好ましい真珠光沢感が得られる。pH調整剤としては一般的な酸、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸や酢酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
本発明において、インク受容層中における真珠光沢顔料の添加量は、無機微粒子の固形分量に対して3〜50質量%の範囲であることが好ましい。3質量%より少ないと顔料としての効果が十分に発揮されない場合があり、50質量%より多いとインク吸収能が低下することによりインク受容層としての機能を十分に果たさず、また分散性が不十分で製造上安定性に欠ける場合がある。より好ましい真珠光沢顔料の添加量は15〜35質量%の範囲である。
本発明のインク受容層が含有する無機微粒子としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化マグネシウム等が挙げられ、またこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これら無機微粒子の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましい。またこれらの中でも合成シリカ、アルミナあるいはアルミナ水和物が好ましく、これらの無機微粒子は高い印字濃度及び鮮明な画像が得られ、かつコスト面で有利である。本発明で更に好ましい無機微粒子は、非晶質合成シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物である。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカに大別することができる。気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕しやすい粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件化で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からはスノーテックスとして市販されている。
本発明で使用することができる気相法シリカについて説明する。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。尚、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
気相法シリカの平均二次粒子径を500nm以下とするには、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。尚、本発明でいう平均二次粒子径とは、得られた記録材料のインク受容層を電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば(株)堀場製作所製LA920)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。また気相法シリカはカチオン性ポリマーの存在下で、平均二次粒子径が500nm以下に分散したものが好ましく、より好ましくは10〜300nmに分散したものが使用できる。
上記気相法シリカの分散に使用するカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性及び分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。カチオン性ポリマーの使用量は気相法シリカに対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
次に、本発明で使用することができる湿式法シリカについて説明する。本発明で用いられる湿式法シリカは、沈降法シリカあるいはゲル法シリカである。これらのシリカ粉末は、その平均一次粒子径50nm以下、より好ましくは3〜40nmでかつ平均凝集粒子径(二次粒子径)が5〜50μmであるのが好ましい。本発明では、これらの湿式法シリカを、例えばボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することで、水性媒体中で平均二次粒子径が好ましくは500nm以下、より好ましくは10〜300nmに粉砕したものを使用することができる。上記の粉砕は、カチオン性化合物の存在下で行われるのが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを粉砕して使用する。湿式法シリカの平均二次粒子径を500nm以下とするには、粉砕方法として、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録材料の生産性も向上する。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
本発明に用いられる湿式法シリカの粉砕方法は、前記の気相法シリカの分散と同様の方法が使用できる。また、分散剤として前記の気相法シリカをカチオン化するのに使用されるものと同様のものが使用できる。
本発明のインク受容層に用いられる湿式法シリカとしては、沈降法シリカが好ましい。前述したように、沈降法シリカは、その二次粒子が緩やかな凝集粒子であるので、粉砕するのに好適である。
またインク受容層に好適に用いられるアルミナまたはアルミナ水和物は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者のいずれかを使用してもよいし、併用してもよい。
本発明に用いることのできる酸化アルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で好ましくは平均二次粒子径が500nm以下、より好ましくは50〜300nm程度まで分散したものが使用できる。
本発明に用いることのできるアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。酸化アルミニウム含水物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜300nmである。
本発明に用いられるアルミナ及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、メタンスルホン酸、塩酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散されたものが好ましく用いられる。
本発明に用いられるインク受容層は、皮膜としての特性を維持するためと、透明性が高くインクのより高い浸透性を得るために親水性バインダーを含有する。かかる親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル系やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度は500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
インク受容層における無機微粒子に対する親水性バインダーの質量比は、5〜30質量%の範囲が好ましく、特に5〜25質量%であることが好ましい。
本発明において、インク受容層の乾燥塗布量はインク受容層全体の固形分塗布量に対して、60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15〜50質量%である。また本発明におけるインク受容層全体の固形分塗布量は10〜60g/mであることが好ましく、支持体が樹脂被覆紙に代表される非吸水性支持体である場合には、20〜60g/mであることが好ましい。
本発明において、インク受容層には、親水性バインダーとともに硬膜剤を含有する。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号明細書記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号明細書記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号明細書、米国特許第2,983,611号明細書記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号明細書記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号明細書記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ホウ酸及びホウ酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にホウ酸あるいはホウ酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。該硬膜剤は無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液中に含有せしめても良いし、真珠光沢顔料分散液に含有せしめても良い。
本発明のインク受容層には、前述の非晶質合成シリカのカチオン化に使用されるものと同様のカチオン性ポリマーを、更に添加剤として使用してもよい。カチオン性ポリマーは無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液中に含有せしめることが好ましい。
本発明に用いられるインク受容層は、耐水性向上等のため水溶性多価金属化合物を含有しても良い。水溶性多価金属化合物としては水溶性アルミニウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物が好ましく利用できる。該水溶性多価金属化合物は無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液中に含有せしめることが好ましい。
本発明に用いられる水溶性ジルコニウム化合物として、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等が挙げられる。これら水溶性ジルコニウム化合物の中でも、酢酸ジルコニウム(酢酸ジルコニル)、オキシ塩化ジルコニウムは特に好ましい。
水溶性アルミニウム化合物としては例えば、無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、インク受容層を形成する塗布液に安定に添加できるものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2または3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)l6−n ・・式1
[Al(OH)AlCl ・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
上記した水溶性多価金属化合物の含有量は、インク受容層が含有する無機微粒子に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
インク受容層には、更に着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤等の公知の各種添加剤を添加することもできる。これら各種添加剤は無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液中に含有せしめても良いし、真珠光沢顔料分散液に含有せしめても良いが、混合液中に含有せしめることが好ましい。また、本発明に用いる混合液のpHは3.3〜6.5の範囲が好ましく、特に3.5〜5.5の範囲が好ましい。
また、インク受容層には、チオエーテル化合物、カルボヒドラジド及びその誘導体を含有させることによって印字後の保存性を改良することができる。これらについても混合液中に含有せしめても良いし、真珠光沢顔料分散液に含有せしめても良いが、混合液中に含有せしめることが好ましい。
本発明で用いられるカルボヒドラジド誘導体は、同一分子中に同構造を一つまたは二つ以上有する化合物であっても、あるいは同構造を分子主鎖または側鎖に有するポリマーであってもよい。
本発明に用いられるチオエーテル化合物には、硫黄原子の両側に芳香族基が結合した芳香族チオエーテル化合物、硫黄原子を挟んだ両端にアルキル基を有する脂肪族チオエーテル化合物等がある。これらの中でも特に親水性基を有する脂肪族チオエーテル化合物が好ましい。
尚これらの化合物は既知の合成法や、特開2002−321447号公報、特開2003−48372号公報に記載の合成法等を参考に合成できる。また、一部の化合物については、市販の化成品をそのまま使用することができる。
本発明において、塗布直前に、少なくとも無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液と、真珠光沢顔料分散をインライン混合することで得られた最終的なインク受容層の塗布液を支持体上に塗布する方法としては、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ケッドバーコーティング方式等がある。上記塗布方式の中でも、特に前計量タイプであるスライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式が好ましく用いられる。
本発明により得られるインクジェット記録材料は、支持体上に、無機微粒子を主体に含有し、親水性バインダー、該親水性バインダーの硬膜剤及び真珠光沢顔料を含有する少なくとも1層のインク受容層を有するが、更にインク受容層を追加しても良いし、中間層、保護層等を有していても良い。
本発明に用いられるインクジェット記録材料の支持体としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙等の吸収性支持体や、基紙の少なくとも一方の面を樹脂で被覆した樹脂被覆紙や樹脂フィルム等の非吸収性支持体が挙げられ、光沢性の観点から非吸収性支持体であることが好ましく、特に基紙の少なくとも一方の面にポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙等が好ましい。これらの支持体の厚みは50〜300μm、好ましくは80〜260μmのものが用いられる。
本発明に好ましく用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙支持体(以降、ポリオレフィン樹脂被覆紙と称す)について詳細に説明する。本発明に用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙は、その含水率は特に限定しないが、カール性より好ましくは5.0〜9.0質量%の範囲であり、より好ましくは6.0〜9.0質量%の範囲である。ポリオレフィン樹脂被覆紙の含水率は、任意の水分測定法を用いて測定することができる。例えば、赤外線水分計、絶乾重量法、誘電率法、カールフィッシャー法等を用いることができる。
ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。基紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この基紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、基紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮する等した表面平滑性のよいものが好ましく、その坪量は30〜250g/mが好ましい。
基紙を被覆するポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体等のオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫等のマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上にポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、基紙の両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理等の活性化処理を施すことが好ましい。樹脂被覆層の厚みとしては、5〜50μmが適当である。
本発明に用いられる支持体のインク受容層が塗設される側には、下引き層を設けるのが好ましい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め支持体の表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/mが好ましく、20〜300mg/mがより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。支持体に下引き層を設けることによって、インク受容層塗布時のひび割れ防止に有効に働き、均一な塗布面が得られる。
本発明における支持体にはインク受容層を有する側と支持体に対して反対側には、カール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けてもよい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、部及び%は質量基準である。
(実施例1)
<ポリオレフィン樹脂被覆紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の基紙とした。抄造した基紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出被覆し、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/mとなるように塗布乾燥して支持体を作製した。
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
上記のようにして作製したポリオレフィン樹脂被覆紙の下引き層を設けた面に、下記組成の混合液1と真珠光沢顔料分散液1を塗布直前にインライン混合したインク受容層塗布液1を支持体に接するインク受容層(以下インク受容層Aとする)の塗布液とし、更に下記組成のインク受容層塗布液2をインク受容層Aの上に塗設するインク受容層(以下インク受容層Bとする)の塗布液としてスライドビード塗布装置で重層塗布し、塗布後、10℃で20秒間冷却後、30〜55℃の加熱空気を吹き付けて乾燥し、実施例1のインクジェット記録材料を作製した。混合液1及びインク受容層塗布液2は40℃で12時間経時した後のものを用い、塗布する際には、それぞれ塗布直前に濾過精度50μmのカートリッジフィルターを装着した濾過装置に通した。混合液1に対しては真珠光沢顔料分散液1をインラインミキサーにて混合し、スライドビード塗布装置に送液した。このようにして得られた実施例1のインクジェット記録材料のインク受容層塗布液1における混合液1の乾燥塗布量は6.9g/mであり、インク受容層Aが含有する真珠光沢顔料の乾燥塗布量は1.4g/mである。またインク受容層塗布液2の乾燥塗布量は16.7g/mである。
<気相法シリカ分散液1の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9000)4部と気相法シリカ(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザー処理して、固形分濃度20%の気相法シリカ分散液を作製した。気相法シリカの平均二次粒子径は135nmであった。
<真珠光沢顔料分散液1の作製>
水に真珠光沢顔料(日本光研工業(株)製、MM−100R)を添加し予備分散液を作製した後、700rpmで5分間プロペラ撹拌して、固形分濃度10%の真珠光沢顔料分散液を作製した。真珠光沢顔料分散液のpHは7.5であった。
<混合液1>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として)100部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
<インク受容層塗布液2>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として)100部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
(実施例2)
実施例1の真珠光沢顔料分散液1に代えて下記真珠光沢顔料分散液2を用いる以外は実施例1と同様に塗布を行い、実施例2のインクジェット記録材料を作製した。
<真珠光沢顔料分散液2の作製>
水に真珠光沢顔料(日本光研工業(株)製、MM−100R)を添加し、さらにpH調整剤として30%酢酸溶液を適量添加し予備分散液を作製した後、700rpmで5分間プロペラ撹拌して、固形分濃度25%、pH5.5の真珠光沢顔料分散液を作製した。
(実施例3)
実施例1の真珠光沢顔料分散液1に代えて下記真珠光沢顔料分散液3を用い、濾過装置のカートリッジフィルターを濾過精度が70μmのものに代えた以外は実施例1と同様に塗布を行い、実施例3のインクジェット記録材料を作製した。
<真珠光沢顔料分散液3の作製>
水に真珠光沢顔料(日本光研工業(株)製、MB−100RF)を添加し、さらにpH調整剤として30%酢酸溶液を適量添加し予備分散液を作製した後、700rpmで5分間プロペラ撹拌して、固形分濃度10%、pH4.5の真珠光沢顔料分散液を作製した。
(実施例4)
実施例1の真珠光沢顔料分散液1に代えて下記真珠光沢顔料分散液4を用い、濾過装置のフィルターを濾過精度を120μmのものに代えた以外は実施例1と同様に塗布を行い、実施例4のインクジェット記録材料を作製した。
<真珠光沢顔料分散液4の作製>
水に真珠光沢顔料(日本光研工業(株)製、ME−100R)を添加し、さらにpH調整剤として30%酢酸溶液を適量添加し予備分散液を作製した後、700rpmで5分間プロペラ撹拌して、固形分濃度10%、pH4.5の真珠光沢顔料分散液を作製した。
(比較例1)
実施例1の真珠光沢顔料分散液1のインラインミキサーによる混合を止め、インク受容層塗布液1を下記インク受容層塗布液3に代え、乾燥塗布量を8.3g/mとなるようにインク受容層Aを設けた以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。
<インク受容層塗布液3>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として)100部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
真珠光沢顔料分散液1 (真珠光沢顔料の固形分として)26.5部
(比較例2)
実施例3の真珠光沢顔料分散液3のインラインミキサーによる混合を止め、インク受容層塗布液1を下記インク受容層塗布液4に代え、乾燥塗布量を8.3g/mとなるようにインク受容層Aを設けた以外は実施例3と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。
<インク受容層塗布液4>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として)100部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
真珠光沢顔料分散液3 (真珠光沢顔料の固形分として)26.5部
(比較例3)
実施例4の真珠光沢顔料分散液4のインラインミキサーによる混合を止め、インク受容層塗布液1を下記インク受容層塗布液5に代え、乾燥塗布量を8.3g/mとなるようにインク受容層Aを設けた以外は実施例4と同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。
<インク受容層塗布液5>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として)100部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
真珠光沢顔料分散液4 (真珠光沢顔料の固形分として)26.5部
上記のようにして作製したインクジェット記録材料について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<塗布安定性>
インクジェット記録材料の作製時の塗布安定性を、下記の基準で評価した。
○:フィルター閉塞が発生しにくく、安定して塗布が可能である。
×:フィルター閉塞が発生しやすく、インクジェット記録材料の安定した製造が困難。
<表面欠陥>
記録材料のインク受容層塗布面目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:表面欠陥が認められない。良好な塗布面を形成。
○:微小な表面欠陥が僅かに認められるが、実用上問題なし。
△:凝集物に起因する微小な表面欠陥が認められる。
×:表面に凝集物に起因する割れや塗布筋が多数認められる。
<真珠光沢感評価>
記録材料の未印字部の光沢性を斜光で観察し、下記の基準で評価した。
◎:非常に高度な真珠光沢感を有する。
○:◎には劣るが真珠光沢感を有する。
×:真珠光沢感が劣る。
Figure 0005580571
上記の結果から、本発明のインクジェット記録材料の製造方法は、塗布安定性に優れ、表面欠陥の発生を防止し面質が良好で、真珠光沢感の優れたインクジェット記録材料を製造することができる。比較例1〜3は塗布液経時で発生する凝集物等を濾過装置による除去することが可能であるが、粒子径の大きな真珠光沢顔料も濾過装置により捕捉されやすくなるため、フィルター閉塞による塗布液の安定供給ができなくなり、塗布安定性や表面欠陥の改善が十分でなく、また真珠光沢顔料が捕捉されることにより真珠光沢感が低下した。
1、3 貯留釜
7 濾過装置
8 インラインミキサー
9 塗布装置

Claims (2)

  1. 支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子をインク受容層の全固形分に対して50質量%以上含有し、親水性バインダー、該親水性バインダーの硬膜剤及び、平均粒子厚が0.2〜0.9μm、平均粒子径が1〜200μm、アスペクト比が5〜200の真珠光沢顔料を含有する塗布液を塗布して、インク受容層を塗設するインクジェット記録材料の製造方法であって、該塗布液を塗布する際に、少なくとも該無機微粒子と親水性バインダーを含有する混合液を濾過装置に通した後、塗布する直前に、該混合液と真珠光沢顔料を含有する分散液とをインライン混合して塗布することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
  2. 前記真珠光沢顔料分散液のpHが6.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
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