JP5579447B2 - グリセロールからのアクリロニトリルの合成方法 - Google Patents

グリセロールからのアクリロニトリルの合成方法 Download PDF

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Description

本発明は、再生可能な原料からアクリロニトリルを合成する新規な方法に関するものである。
本発明の一つの対象は、グリセロールからのアクリロニトリルの合成方法にある。
アクリロニトリルの現在の工業生産は主として、1957年のSohio法をベースにしたものである。この方法はアンモニアの存在下でプロピレンを空気で気相触媒酸化するもので、アンモ酸化(ammoxydation)として知られた反応である。この反応は以下の通り:
CH2=CH−CH3+NH3+2/3O2 −> CH2=CH−CN+3H2
この反応は流動床反応器で一般に400〜500℃の温度、最新の触媒の場合は好ましくは420〜450℃で20〜300kPa、大抵は150〜300kPaの圧力で行う。種々の触媒、例えばビスマスまたはモリブデン酸ビスマス、鉄とビスマスとの混合モリブデート、鉄アンチモネート、ホスホモリブデートまたはアンチモン−ウランの組合せをベースにした錯体を用いる。一般にこの方法に最適化された触媒はシリカに50重量%担持された配合物:(K,Cs)0.1(Ni,Mg,Mn)7.5(Fe,Cr)2.3Bi0.5Mo12Oxである。1kgのプロピレン当たり約1〜1.1kgのアクリロニトリルが得られる(非特許文献1(「工業触媒法の基本」、C.H.Bartholomew,R.J.Farrauto,第2版、Wiley Interscience,604〜609頁)参照)。しかし、この方法には多くの欠点がある。
プロピレンのアンモ酸化で得られたアクリロニトリルは不純物および副生成物を含む。これらは分離するのが好ましく、必ずしも再利用できるとは限らないものである。主たる副生成物はシアン化水素酸(HCN)、アセトニトリル(CH3CN)および炭素酸化物である。これらは活性が高い触媒の存在下で高温で実施するアンモ酸化反応中にプロピレンのC−C結合の切断で生じる。シアン化水素酸は抽出および精製後に例えばメチルメタクリレートの合成方法で使用できる。それに対してアセトニトリルはその用途が制限されるため、一般には破棄される。従って、別の反応機構で所望の製品が得られ、副生成物の生成が少ない別の原料を使用するのが有利である。
プロピレンのアンモ酸化反応は強い発熱反応で、反応熱を効率的に放出できる反応器、例えばマルチ管式反応器または流動床を必要とする。反応熱に関係する熱の暴走の危険が高いため、希釈流体を用いる。一般にはプロピレンを数%しか含まないプロピレン/空気/アンモニア混合物を用いる。この場合、反応器のサイズはプラント中のガスのトータル量の関数であるので、プロピレン反応物の量に対して過剰サイズとなり、反応器コストが割り高になる。
さらに、プラントのコストはプロセス中で交換しなければならない熱量に比例するので、装置のサイズを小さくして熱の損失を最小にする必要がある。従って、反応物および生成物の分圧を上記プロピレンのアンモ酸化の場合よりもはるかに高くできる方法を用いてアクリロニトリルを製造できることが有利である。
さらに、現在のプロピレンのアンモ酸化法では酸化剤として空気を用いるので、プロセスが必要とする不活性気体(窒素)を供給する必要がある。反応物の分圧が高いプロセスでは高濃度酸素または酸素を多く含む空気は酸化物とみなすことができる。酸素は市販されているが、空気は一般に無料とみなされる。しかし、空気を用いるために精製、圧縮しなければならず、圧縮機への投資だけでなく、発電コストも必要になる。一方、酸素は加圧下の高品質の酸素が入手できる。従って、酸素を使用することで工業設備への投資だけでなく、操業コストも大幅に削減することができる。
アンモ酸化反応によってアクリロニトリルを合成する他の方法、特にアルデヒド、特にアクロレイン、プロパンのようなアルカンまたはアルコールから始める方法も提案されている。
特許文献1(ドイツ国特許第709,337号公報、Distillers)にはアクロレインのアンモ酸化によるアクリロニトリルの製造方法が記載されている、アクロレインは単独または対応するアルコール(アリルアルコール)または対応するアセタールとの混合物として用いられる。好ましい触媒はモリブデンベースの触媒の中から選択され、ベンゼンから無水マレイン酸への酸化反応またはナフタレンから無水フタル酸への酸化反応を触媒する。25〜60%の収率が得られる。
この特許の改良特許である特許文献2(ドイツ国特許第897,226号公報、Distillers)では触媒としてアンチモン、錫および酸素をベースにした化合物を用いてアクロレインに対して70%以上のアクリロニトリルの収率を得ている。この反応は不活性ガス、例えば窒素、水蒸気、二酸化炭素またはプロパン、ブタンまたはイソブタンの存在下で行うことができる。
特許文献3(ベルギー国特許第628,287号公報)にはヒ素ベースの触媒と希釈剤としての多量の水蒸気とを用いて87%以上の収率でアクリロニトリルを製造するアクロレインのアンモ酸化方法が記載されている。
特許文献4(欧州特許第558,424号公報)にはバナジウム、アンチモン、および鉄、ガリウムまたはインジウムの中から選択される少なくとも一種の金属を含む触媒の存在下でのプロパンのアンモ酸化方法が記載されている。アクリロニトリルの選択率は70%以上に達する。
特許文献5(米国特許第4,138,430号明細書)にはn−プロパノールのアンモ酸化が記載されている。酸素とアンモニアの存在下でガス流を2つの触媒床に続けて通して反応させる。第1の触媒床はリン酸ホウ素、共沈シリカ/アルミナまたは共沈アルミナ/タングステン酸化物からなり、第1の触媒床でプロパノールからオレフィンへの脱水反応が行われる。第2の触媒床はFe、Co、Ni、Bi、P、MoおよびKの混合酸化物、Fe、Co、W、Bi、MoおよびMgの混合酸化物、SbおよびU、モリブデン酸ビスマスまたはホスホモリブデン酸ビスマスの混合酸化物またはこれらの化合物の混合物から成り、オレフィンのアンモ酸化反応を行う。この方法では2つの段階を同じ温度、主に400℃以上の極めて高い温度で行う。この方法の利点は吸熱脱水と発熱アンモ酸化とを組み合わせて温度をより良く制御できる点にある。しかし、アクリロニトリル収率はあまり高くなく、アセトニトリル、プロピオニトリルおよび酸化炭素のような副生成物の比率が高い。
プロピレン、アクロレインのようなアルデヒド、ケトンまたはプロパノールまたはイソプロパノールのようなアルコールのアンモ酸化反応は一般に多くの基礎研究の対象となっており、関与する反応機構の決定または種々のパラメータ、例えば触媒の種類または希釈剤としての水蒸気の存在の効果が研究されている。
特に、アクロレインのアンモ酸化に関するH.Oka達による論文(非特許文献2、J.Appl.Chem.Biotechnol.(1975),25,663-670頁)が挙げられる。この論文では400℃で反応できると仮定すれば、この反応はプロピレンのアンモ酸化より1000倍速くなると結論付けている。
M.CathalaおよびJ.E.Germainによる論文(非特許文献3、Bull.Chem.Soc.No.6,1971,2167-2174頁)はBi−Mo−O触媒を介した460℃でのアクロレインのアンモ酸化を研究し、アクリロニトリル選択率を87%にしている。発明者達によればアクロレインから始める反応の選択率は同じ触媒でプロピレンから始める場合より高い。
J.E.Germain達(非特許文献4、Bull.Soc.Chim.No.3-4,1975,731-734頁)では水蒸気の存在下または非存在下でSn−Sb−Fe−O型触媒を用い、約450℃でプロピレンおよびアクロレインのアンモ酸化を比較している。
非特許文献5(Bull.Soc.Chim.No.5-6,1979,173-178頁)ではアルコールイソプロパノールとn−プロパノールのアンモ酸化自体を比較している。Bi−Mo−O触媒を用いた460℃でのイソプロパノールのアンモ酸化は初期生成物としてプロピレンが得られ、これから長い接触時間後にCO+CO2、アセトニトリルおよびアクリロニトリルが生じる。しかし、ニトリルの選択率はプロピレンのアンモ酸化で観察されたものとは極めて異なる。イソプロパノールからアクリロニトリルへの最大変換率はわずか17%である。Sn−Sb−O触媒を用いた場合、一次生成物は主としてアセトンであり、主成分としてアセトニトリルが作られる。同じ触媒を用いたn−プロパノールのアンモ酸化の場合の一次生成物はn−プロパンアルデヒドであり、アセトンではない。この場合の顕著な違いもプロピレンがないことである。変換率は100%近いがアクリロニトリルの収率はわずか7.5%である。
ドイツ国特許第709,337号公報(Distillers) ドイツ国特許第897,226号公報(Distillers) ベルギー国特許第628,287号公報 欧州特許第558,424号公報 米国特許第4,138,430号明細書
「工業触媒法の基本」、C.H.Bartholomew,R.J.Farrauto,第2版、Wiley Interscience,604〜609頁 H.Oka達の論文(J.Appl.Chem.Biotechnol.(1975),25,663-670頁) M.CathalaとJ.E.Germain(Bull.Chem.Soc.No.6,1971,2167-2174頁) J.E.Germain達(Bull.Soc.Chim.No.3-4,1975,731-734頁) Bull.Soc.Chim.No.5-6,1979,173-178頁
驚くべきことに、本出願人は再生可能な原料、例えばグリセロールのアンモ酸化によってアクリロニトリルが製造できるということを見出した。
グリセロールは植物油のメタノリシス(methanolysis)によってメチルエステルと同時に得られる。メチルエステル自体は特にディーゼルオイルおよび家庭の暖房用石油で用いられる。
D.BalleriniとG.Hillion、化学の現状(L'actualite chimique)、11月〜12月、2002年、64〜69頁
グリセロールは多量に入手可能で、しかも、容易に貯蔵、輸送できるので、「環境に優しい」天然物である。すなわち、アクリロニトリルをグリセロールから直接製造する方法は、化石由来の原料、例えばプロピレンに依存せず、再生可能原料を用いるので特に有利である。再生可能な原料は天然資源、動植物原料であり、これらの資源はヒューマン・スケールで短期間に再生できる。特に、この資源は消費と同時に再生できる必要がある。
実際には、化石原料に由来の原料とは違って、再生可能原料からなる原料は14Cを含む。生体(動植物)から取り出した炭素のサンプルはすべて実際には3つの同位元素すなわち12C(〜98.892%を占める)と、13C(〜1.108%)と、14C(痕跡:1.2×10-12%)との混合物である。生体組織の14C/12C比は大気の14C/12C比と同一である。環境下では、14Cは主として無機形態すなわち二酸化炭素(CO2)の形態と、有機形態すなわち有機分子に組み込まれた炭素の形態の2つの形態がある。
生体中では炭素は常に環境と交換されるので、14C/12C比は代謝によって一定に保たれる。14Cの比率は大気中ではほぼ一定であるので、生体中でも生体が12Cを吸収するときに14Cを吸収するので、生きている限り同じである。平均14C/12C比は約1.2×10-12である。
12Cは安定で、所定サンプル中の12C原子の数は経時的に一定である。14C自体は放射性(生体からの炭素は1グラム当たり毎分13.6崩壊するのに十分な14C同位元素を含む)であり、サンプル中のこのような原子の数は下記の法則に従って経時的(t)に減少する:
n=no exp(−at)
(ここで、noは開始時(生物、動植物の死)の14C原子の数、nは時間tの終了後に残る14C原子の数、aは崩壊定数(または放射性定数)で、これは半減期に関係する)
半減期(half-lifeまたはhalf-life period)とは所定の種の放射性核または不安定粒子の数が崩壊によって半分になるまでの期間であり、半減期T1/2は式aT1/2=ln2によって崩壊定数aと関係する。14Cの半減期は5730年である。
この14Cの半減期(T1/2)から考えて、14Cの含有率はグリセロールが得られる植物油の抽出からアクリロニトリルの製造(さらにはその使用終了)までほぼ一定である。
グリセロールから得られるアクリロニトリルは再生可能資源由来の100%の有機炭素からなる。すなわち、炭素の全質量の約10-10重量%の14Cを含む。この含有率はASTM規格D6866−06またはASTM規格D7026−04に記載の方法の一つ、特にASTM規格D8866−06に記載の質量分析または液体シンチレーション分光分析によって証明できる。この方法ではサンプル中の14C/12C比を測定し、100%再生可能材料起源の基準サンプルの14C/12C比と比較してサンプル中の再生可能材料起源のCの相対的割合を出す。
従って、この方法は持続可能な開発という包括的な枠組みでの中の新しい概念である「環境に優しい化学」の基準を満たすものである。
この方法の別の利点は、不純物の生成量が少なく、アンモ酸化反応機構がプロピレンとは異なる点にある。さらに、グリセロール原料が既に部分的に酸化されているので、アクリロニトリルへの変換がプロピレンのアンモ酸化ほど発熱にはならず、従って、この合成に伴う危険が減り、適当な寸法の反応器中で反応物の分圧を高くして合成できる。
従って、本発明の目的は、従来法の欠点を克服し、上記の「持続可能な開発」の懸念に対応することである。
本発明の対象は気相のグリセロールのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造方法にある。その反応機構は以下の通り:
CH2OH−CHOH−CH2OH +NH3+1/2 O2−> CH2=CH−CN+4H2O (1)
本発明の好ましい実施例を示す概念図。 本発明の実施例1で使用する装置の概念図。
本発明では、グリセロールを気相で酸触媒の存在下でアンモニアおよび酸素と単一段の階製造法で反応させる。
グリセロールは純粋な形または濃縮または希釈水溶液の形で用いる。濃度が10〜100重量%のグリセロールの水溶液を使用するのが有利である。グリセロールエーテルの生成等の寄生反応や、生成したアクリロニトリルとグリセロールとの反応を避けるために、濃度を過度に高くしてはならない。さらに、グリセロールの水溶液を蒸発させるエネルギーコストが上昇するので、グリセロール溶液は過度に希釈してはならない。グリセロール水溶液から得られる水蒸気は広範囲に変えることができるが、本発明方法を良好に実施するためにはグリセロール/アンモニア/酸素の合計で定義される反応ガスの含有率を、水蒸気と不活性ガス(例えば空気を酸化剤として用いる場合には空気中の窒素)とを含む混合物中で少なくとも2%、特に少なくとも4%にするのが好ましい。
反応条件下で不活性な希釈ガス、例えばヘリウム、窒素またはアルゴンを用いることができる。反応ガス中のグリセロール、アンモニアおよび酸素の各含有率は広範囲に変えることができる。アンモニア/グリセロールのモル比は1〜1.5、好ましくは1〜1.2にすることができ、酸素/グリセロールのモル比は0.5〜10、好ましくは0.5〜7にすることができる。
反応温度は一般に280〜550℃、好ましくは400〜500℃である。
反応混合物の全圧力は大気圧以上にでき、一般に1〜5バール、好ましくは1〜4バールである。
グリセロールのアンモ酸化法で用いられる触媒は反応温度でアンモニアで飽和されない酸触媒である。この触媒は例えばモリブデン、ビスマス、鉄、アンチモン、錫、バナジウム、タングステン、アンチモン、ジルコニウム、チタン、クロム、ニッケル、アルミニウム、リンまたはガリウムの中から選択される一種以上の元素の混合酸化物を含むことができる。
高い生産性を得るために当業者は温度、ガス流量、用いる触媒の厳密な種類、その他の各種反応パラメータをバランスさせることができる。
本発明の一つの実施例では反応を単一反応器中で行う。すなわち、単位段階が全て同一の反応器中で行われるグリセロールの直接アンモ酸化で行われる。アンモ酸化または気相酸化反応に適した任意の装置を使用できる。この方法は固定床、流動床、循環床、触媒のモジュール配置を有する平板熱交換器、マイクロ構造反応器またはミリ構造反応器を用いて連続式またはバッチで行うことができる。
本発明の一つの好ましい実施例では、初めに脱水段階を実施してグリセロールをアクロレインにする。この反応機構は下記の2つの連続反応である:
CH2OH−CHOH−CH2OH −> CH2=CH−CHO+2H2O (2)
CH2=CH−CHO+NH3+1/2O2 −> CH2=CH−CN+2H2O (3)
この場合、グリセロールからアクロレインへの脱水反応を実施する第1の酸触媒と、アクロレインのアンモ酸化用の第2触媒の2つの触媒を続けて用いる。
この実施例でのアクロレインのアンモ酸化は、アクロレインの中間精製なしで行い、従ってグリセロール脱水段階で得られる副生成物、例えばアセトアルデヒドまたはプロパンアルデヒドとの混合物で行うのが有利である。すなわち、軽質アルデヒドはアンモ酸化段階でニトリル、好ましくは不飽和ニトリルに同時に変換される。
グリセロールの脱水は2つの水分子を化学量論的に生成する。従って、生成したアクロレインは自然に水蒸気で希釈される。グリセロールを水に希釈したときは一層そうである。アンモ酸化反応に必要なアンモニアと酸素を添加したときは燃焼範囲外に維持しながら濃縮反応媒体中で反応を行うことができる。高濃度媒体条件下では、未反応または変換が不十分な反応物を経済的に再循環することができる。
本発明の一つの実施例では、本発明方法の2段階を同じ温度、好ましくは400〜500℃で行う。
本発明の別の実施例では本発明方法の2段階を異なる温度で行う。従って、2つの反応を用いる触媒の効率および副生成物、例えば高温でのグリセロールの分解生成物の制限の点でそれぞれ最適化することができる。
グリセロール脱水段階は気相で、150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、1〜5バールの圧力下、触媒の存在下で行う。
本発明に適した触媒は反応媒体に不溶な均質材料または多相材料で、ハメット酸度(H0)は+2以下である。ハメット酸度は下記非特許文献7を参照した下記特許文献6に記載のように、指標を用いたアミン滴定か気相での塩基吸着で求める。酸度H0が+2以下という必要条件を満たす触媒は天然または合成の珪素材料、酸性ゼオライト、無機担体、例えば無機酸、モノ、ジ、トリまたはポリ酸で被覆した酸化物、混合酸化物、さらにはヘテロポリ酸の中から選択できる。
米国特許第5,387,720号明細書 K.Tanabe達「表面科学および触媒の研究」、第51巻、1989年、第1、2章
触媒はゼオライト、ナフィオン(Nafion、登録商標)複合材(フッ素化ポリマーのスルホン酸をベースにしたもの)、塩素化アルミナ、燐タングステン酸および/または珪素タングステン酸および酸性塩、および金属酸化物型の各種固体、例えば酸化タンタルTa25、酸化ニオブNb25、アルミナAl23、酸化チタンTiO2、ジルコニアZrO2、酸化錫SnO2、シリカSiO2または珪素アルミン酸塩SiO2/Al23に酸官能基、例えば硼酸塩BO3、硫酸塩SO4、タングステン酸塩WO3、燐酸塩PO4、珪酸塩SiO2またはモリブデン塩MoO3を含浸したものの中から選択するのが有利である。これらの触媒は全てハメット酸度Hoが+2より低いことは文献データに記載されている。
好ましい触媒は硫酸ジルコニア、燐酸ジルコニア、タングステン酸ジルコニア、珪酸ジルコニア、硫酸チタン、酸化錫、燐酸アルミナまたは燐酸シリカである。
これらの触媒は全てハメット酸度HOが+2以下で、この酸度HOはハメット指標を用いた参照スケール中で−20の値まで広範囲に変化する。下記非特許文献8に記載の表には上記酸度範囲の固体触媒の例が示されている。
C.Marcilly、「酸−塩基触媒」、第1巻、Editions Technip、ISBN番号2-7108-0841-2の第71頁
グリセロール脱水段階で分子状酸素または分子状酸素を含むガスを添加することができる。酸素の量はプラント中の全ての場所が燃焼範囲外となるような量を選択するのが好ましい。酸素の存在はコーキングによる脱水触媒の非活性化を減らすのに役立つ。多くの触媒系の反応収率は酸素の添加で高くなる。
アンモニアは第2段階でのみ導入するのが好ましい。
次いで、アクロレインからアクリロニトリルへのアンモ酸化段階を一般に300〜500℃、好ましくは400〜500℃の温度で、一般に1〜5バール、好ましくは1〜4バールの圧力下で行う。
反応混合物の組成、アクロレイン−アンモニア−酸素は広範囲に変えることができ、反応条件下で不活性である希釈ガス、例えば空気中のヘリウム、窒素またはアルゴンを用いることができ、空気を酸化剤として用いるときは窒素を用いることができる。
アンモニア/アクロレインおよび酸素/アクロレインのモル比は広範囲に変えることができる。アンモニア/アクロレインのモル比は1〜1.5、好ましくは1〜1.2にすることができ、酸素/アクロレインのモル比は0.5〜10、好ましくは0.5〜7にすることができる。
アクロレインのアンモ酸化に用いる触媒は、反応温度でアンモニアで飽和されない酸触媒である。この触媒は例えばモリブデン、ビスマス、鉄、アンチモン、錫、バナジウム、タングステン、アンチモン、ジルコニウム、チタン、クロム、ニッケル、アルミニウム、リンまたはガリウムの中から選択される一種以上の元素の混合酸化物を含むことができる。
本発明で使用可能なアンモ酸化触媒としては、特にモリブデン酸ビスマスをベースにした混合酸化物、少なくともFeおよびSb、または少なくともUおよびSb、または少なくともSnおよびSb、または少なくともMoおよびVを含む混合酸化物、および/またはW/Nb/Ti/Taおよび/またはTe/Sb/Bi、および少なくともAlおよびPを含む酸窒化物が挙げられる。
この実施例の一つの利点は触媒の組合せをより良く選択できる点にある。特に、脱水反応は過度に酸性になった場合にアンモニアの存在によって酸触媒を抑制できなければならない。2つの段階を分けることによって脱水およびアンモ酸化の2つの反応のそれぞれの操作条件を個々に最適化することができる。
図面に例として示した本発明の別の好ましい実施例では、初めに脱水段階を実施してグリセロールをアクロレインにし、中間段階で脱水段階で生じた水と重質副生成物との分縮(condensation partielle)を行う。
水溶液の形でグリセロールを脱水反応させる予備的な段階を使用することは生成したアクロレインおよび副生成物だけでなく多量の水を含む流れが生じるという欠点がある。この多量の水はグリセロール溶液からと脱水反応で生成した水から生じる。
分縮段階の目的は水とアクロレインより沸点の高い生成物の一部を濃縮することにある。従って、分縮段階は2つの流れを作る単純分離であり、第1の流れはアクロレインと軽質副生成物、例えばアセトアルデヒド、プロパンアルデヒド、アセトン、場合によっては不活性ガス、COおよびCO2を含み、第2の流れは水を豊富に含み、重質副生成物、例えばフェノール、ヒドロキシプロパノンおよびグリセロールのアクロレイン付加物(アセタール)、およびグリセロール重縮合物、環状または非環状のグリセロールエーテル、プロピオン酸、アクリル酸を含む。
分縮装置は吸収塔にすることができ、必要に応じてストリッパー、熱交換器、凝縮器、分縮器および水流の部分凝縮を行うことができる当業者に周知の任意の装置をさらに組み合わせることができる。プラントのエネルギーコストを最適化するためにこの分縮装置を用い、グリセロール水溶液を再加熱することもできる。
中間凝縮段階後、アクロレインリッチな流れをアンモ酸化触媒へ送り、反応に必要なアンモニアを添加し、アクロレインと酸素反応物の分圧を調整し、必要に応じてさらに反応ガスを不活性ガスで希釈する。
[図1]を参照すると、グリセロールを水溶液の形で第1脱水反応器(10)に導入する(1)。さらに、分子状酸素(2)を例えば空気または分子状酸素が豊富または少ない空気の形で導入する。脱水反応は脱水触媒の存在下で、250〜350℃、1〜5バールの圧力下で反応器(10)中で気相で行う。
反応器(10)から出たガス流はアクロレイン、水、未変換グリセロールおよび副生成物を含む混合物から成る。副生成物は特にヒドロキシプロパノン、プロパンアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、フェノール、グリセロールのアクロレイン付加物、グリセロール重縮合物、環状または非環状グリセロールエーテルである。
この流れを凝縮装置(11)に送り、ここで水を豊富に含む混合物(3)とアクロレインを豊富に含む流れ(4)とに分離する。上記混合物(3)は重質副生成物を含み、上記流れ(4)は軽質副生成物(例えばアセトアルデヒド、プロパンアルデヒド、アセトン、場合によっては不活性ガス、CO、CO2)を含む。
上記の流れ(3)の全部または一部を精留塔に送ってこの流れに吸収されている可能性のある軽質留分を回収するか、廃水処理プラントへ送る。上記流れ(3)を熱酸化装置へ送ったり、その一部をグリセロールを所望濃度へ希釈するのに再利用することもできる。
重質副生成物と水の大部分が除去されたアクロレインリッチな流れ(4)はアクロレインのアンモ酸化触媒の固定床を含むアンモ酸化反応器(12)へ送る。
この反応は分子状酸素(6)の存在下で行う。この分子状酸素(6)は分子状酸素が豊富または少ない空気の形にすることができる。その比率は入ってくる流れに対して3〜20容量%である。また、上記反応は不活性ガスとアンモニアとを含む気体混合物の存在下で行う。本発明方法に必要な不活性ガスを、吸収塔(13)の頂部で得られる気体(8)の全てまたは一部にすることもできる。
アンモ酸化反応は400〜500℃の温度で、1〜5バールの圧力下で行う。
次に、このアンモ酸化段階で生じるアクリロニトリルが豊富な流出液(7)を分離装置(13)で精製して軽質生成物(8)とアクリロニトリル(9)(痕跡量の重質副生成物をさらに含んでいる場合がある)とを分離する。
本発明の別の実施例では、グリセロールのアンモ酸化反応をプロピレンを含むガスの存在下で行う。プロピレン含有ガスはグリセロールと一緒に供給するか、グリセロール脱水反応後に供給することができる。
本発明の別の実施例では、グリセロールのアンモ酸化反応をサーマルバラスト、例えばプロパンまたはプロパン、メタン、エタンまたはCO2を含むガスの存在下で行う。
サーマルバラストは脱水反応に必要な熱の提供およびアンモ酸化反応中に発生する熱の除去に用いることができる熱伝導流体である。サーマルバラストはグリセロールと一緒に導入するか、脱水段階とアンモ酸化段階を分ける場合は、これらの段階の間に導入することができる。サーマルバラスト、例えばプロパンは必要に応じて回収および再循環させる。
反応生成物は任意の適した手段で排ガス中に回収できる。例えば、希釈硫酸を入れた凝縮器に排ガスを通して、未変換アンモニアを中和することができる。次いで、ガスを冷却した吸収塔に通してアクリロニトリル、アセトニトリルおよびシアン化水素酸を凝縮することができる。次いで、副生成物からアクリロニトリルを連続蒸留によって単離することができる。
本発明方法を用いることでプロピレンのような化石資源への依存度を下げることができ、高純度アクリロニトリルの生産性を高くすることができる。この方法で得ることができるアクリロニトリルは14Cを含む、有利には全炭素に対して10-11%以上の含有率で14Cを含む。この含有率は、ASTM規格D6866−06に記載の方法の一つに従った測定によって証明できる。
本発明方法で得られるアクリロニトリルはアジポニトリル、ナイロンの前駆体、合成ポリマー、例えばアクリル繊維、合成ゴム、エラストマーまたは樹脂、例えばアクリロニトリルとブタジエンとスチレンとのコポリマー(ABS樹脂)またはスチレンとアクリロニトリルとのコポリマー(SAN樹脂)の製造で特に用いられる。こうして得られる生成物は環境に優しい化学の概念に対応する再生可能資源から得られる有機炭素を含む。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1([図2]参照)
本発明方法を説明するのにASPENソフトウェアを用いたシュミレーションを利用した。値はkmol/時で表す。分かりやすいように、主成分のみを示す。
331℃、2.0バールのガス流(188kmol/時のグリセロール、963kmol/時の水、426kmol/時の窒素、113kmol/時の酸素)を不均一脱水触媒と溶融塩浴と組み合わせたマルチ管式固定床反応器(10)へ送る。この反応器から320℃、1.7バールのガス流(14)(1336kmol/時の水、426kmol/時の窒素、78kmol/時の酸素、147kmol/時のアクロレイン、19kmol/時のアセトアルデヒド、25kmol/時のCO、13kmol/時のCO2)が出る。このガス流を熱交換器(15)中で151℃に冷却し、理論段が4の吸収塔(11)の底部に送る。この吸収塔の頂部から出る102℃のガス流(16)を分縮器(17)へ送り、ここで79℃に冷却した後、フラッシュ室(18)へ送り、ここで液相(19)から気相(28)を分離する。
この液相(19)を吸収塔(11)の頂部へ送る。103℃の液相(3)(1067kmol/時の水、4kmol/時の酢酸、4kmol/時の蟻酸)を吸収塔の底部から出す。この液相(3)を8つのトレーを有する回収塔(20)の頂部に送り、空気(21)を1.7バール下、90℃の底部に注入する。この回収塔の底部から水流(22)(55℃、976kmol/時の水、4kmol/時の酢酸、4kmol/時の蟻酸)を回収する。
回収塔の頂部で回収されたガス流(23)を上記フラッシュ室で得られるガス相(24)(79℃、426kmol/時のN2、145kmol/時のアクロレイン、78kmol/時の酸素、270kmol/時の水、18kmol/時のアセトアルデヒド、25kmol/時の一酸化炭素、13kmol/時の二酸化炭素)およびガス流(6)(923kmol/時の窒素、38kmol/時の酸素、134kmol/時の水、41kmol/時の二酸化炭素、53kmol/時の一酸化炭素)と混合し、この混合物にアンモニア流(178kmol/時)を添加する。この混合物を300℃に再加熱した後、アンモ酸化触媒を入れた第2マルチ管反応器(12)に注入する。この反応器の出口では、1.4バール下でガス流(7)(2030kmol/時の窒素、830kmol/時の水、118kmol/時のアクリロニトリル、52kmol/時の酸素、155kmol/時の二酸化炭素、85kmol/時の一酸化炭素)が得られる。このガス流を157℃に冷却した後、吸収塔(13)の底部に注入する。この吸収塔の頂部で、ガス流を熱交換器(24)中で分縮した後、分離ポット(25)に送り、ここで液相(26)および気相(8)(窒素、酸素、水、二酸化炭素、一酸化炭素)を生成する。この液相(26)を塔(13)へ戻す。気相(8)の一部をガス流(6)を介して反応器(12)の上流へ再循環する。吸収塔(13)の底部では濃縮アクリロニトリルの流れ(9)(116kmol/時のアクリロニトリル、587kmol/時の水およびその他の副生成物)が得られる。
本発明方法は脱水反応器(10)で生成した一定量の不純物を水相(22)中で除去できることがわかる。例えば、脱水反応器(10)を出るガス流中のヒドロキシプロパノンおよび酢酸の流量はそれぞれ1〜4kmol/時である。これらは酸化反応器(12)の入口ではそれぞれ0.02および0.3kmol/時である。
以下の実施例では、グリセロールの変換率、アクロレイン選択率および各種生成物の収率を以下のように定義する:
グリセロールの変換率(%)=100−残りのグリセロールのモル数/導入したグリセロールのモル数。
アクロレインの収率(%)=生成したアクロレインのモル数/導入したグリセロールのモル数。
アクロレイン選択率(%)=100×生成したアクロレインのモル数/反応したグリセロールのモル数。
アセトンまたはヒドロキシプロパノンの収率はアクロレインの収率の場合と同じように計算する。
アセトアルデヒドの収率(%)=2/3×生成したアセトアルデヒドのモル数/導入したグリセロールのモル数。
フェノールの収率(%)=2×生成したフェノールのモル数/導入したグリセロールのモル数。
全ての結果は導入したグリセロールに対するモル%で表される。
実施例2
アクロレインの調製
長さが35cm、内径が22mmの管からなる管状反応器を用いて気相のグリセロールの脱水反応を大気圧で行う。この反応器を反応温度、特に記載のない限り300℃に維持した加熱室に入れる。用いる触媒を粉砕および/またはペレット化して0.5〜1.0mmの粒子を得る。10mlの触媒を反応器に導入して長さが5cmの触媒床を形成する。この床を5〜10分間、反応温度に加熱した後に、反応物を導入する。反応器に20重量%のグリセロール水溶液を12ml/時の平均供給速度で供給し、且つ、例えば本発明の分子状酸素を0.8l/時の流量で供給する。この場合は、O2/気化グリセロール/水蒸気の相対的比率は6/4.5/89.5である。グリセロール水溶液を加熱室で蒸発させ、次いで、触媒に通す。計算された接触時間は約2.9秒である。反応後、砕いた氷で冷却したトラップで生成物を凝縮する。
入口および出口での生成物の全質量を測定し、それによって物質収支を計算できる。同様に、生成した生成物をクロマトグラフィで分析する。
こうして定量化された生成物は未反応グリセロール、生成したアクロレイン、副生成物、例えばヒドロキシプロパノン、アセトアルデヒド、プロパンアルデヒド、アセトンおよびフェノールである。
この実施例で試験した触媒(10ml)は第一稀元素(供給者番号H1417)の製品であるタングステン酸ジルコニウア(90.7%、ZrO2−9.3%WO3)である。触媒は1.75%の1000℃での強熱減量および47.4m2/g(BET,1ポイント)の比表面積によって特徴付けられる。結果は[表1]に示してある:
Figure 0005579447
生成したアクロレインはヒドロキシプロパノンもフェノールも含まない。
実施例3
アクリロニトリルの合成
パイレックス反応器に触媒床を導入する。反応器は触媒を保持するためのフリットを備える。初めに、反応器にプロピレンをアクロレインに酸化するための触媒を6.578g導入する。この触媒は日本触媒によって製品番号ACF4で製造され、この実施例ではこの反応では最適化されていないが、粒径が0.125mmの炭化珪素7mlで希釈されたアンモ酸化触媒として用いられる。次いで、粒径が0.125mmの炭化珪素の床を2mlの量、次いで粒径が0.5mmの炭化珪素の床を7mlの量で導入する。最後に、反応器の頂部まで1.19mmの炭化珪素で反応器をいっぱいにする。
次いで、反応器を試験プラントに連結する。触媒の温度を420℃に調整し、HSVを1200時-1に調整する。
反応器に4.5%のアクロレイン/8.7%の酸素/5.4%のアンモニア/(残部)ヘリウム−クリプトン/15%の水の気体混合物を充填する。ヘリウム−クリプトン気体混合物は内部標準の役目をするクリプトンを4.92%含む。濃縮後の反応器の気化上流である実施例2からの水−アクロレイン混合物を用いる。
排ガスを反応器の出口で、氷で冷却したトラップによって回収し、生成したアクリロニトリルをクロマトグラフィ分析で評価する。
アクリロニトリルの収率は60%である。

Claims (6)

  1. 気相でのグリセロールのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造方法。
  2. 純粋なグリセロールまたはグリセロール濃度が10〜100重量%の水溶液を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 初めにグリセロールを脱水反応させる請求項1または2に記載の方法。
  4. 脱水段階で生じた水と重質副生成物とを分縮する中間段階を行う請求項3に記載の方法。
  5. グリセロールのアンモ酸化反応をプロピレンを含むガスの存在下で行う請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. グリセロールのアンモ酸化反応をサーマルバラストの存在下で行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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