JP5577175B2 - ゴム組成物及びゴム組成物を使用した車輌用ホース - Google Patents
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Description
引用文献1〜8に記載されているように、配合変更を含む様々な方策が検討されているが、配合変更によりゴム物性が低下する可能性がある。
特許文献2には、EPDMの架橋にあたって、チアゾール系、チウラム系、ジチオカルバミン酸系加硫促進剤を使用することによりブルームに誘発されて亜鉛塩が析出することを防止することが記載されている。
特許文献3には、EPDMに酸化チタンを配合することによって、給紙ローラ等の給紙部材として好適に用いられる、加硫剤や加硫促進剤のブルームが抑制された給紙ローラ用ゴム材が記載されている。
特許文献4には、EPDMにメタクリル酸エステル、金属酸化物を共架橋剤として配合することによりブルームの発生を防止することが記載されている。
特許文献5には、加硫系が硫黄加硫系であるEPDM配合物において、シリコーンゴム粉状体を配合してブルーム対策を行うことが記載されている。
特許文献6には、エチレンプロピレンゴム等のオレフィン系熱可塑性エラストマーに対してエチレン−酢酸ビニル共重合体を配合してなるブルーミング防止性組成物が記載されている。
さらに、引用文献7には、EPDMにポリブテン等を添加し、特定の物性を備えたゴム発泡体が記載されており、その中にポリブテン等はEPDMと相溶性がよく、ゴム発泡体からのブリード等により被止水材を汚染することがない旨も記載されている。
また特許文献8には、EPDMポリマーにシラン処理フィラー、反応性シリコーンオイルと共に粘着付与剤としてのポリブテンを配合してなる組成物が記載されているが、この組成物中のポリブテンは特にシリコーンゴムとの接着性を向上させるための添加剤であるし、他の材料の特性とも相まって効果を発揮するものに限定されている。
さらに特許文献7に記載されているように、従来はEPDMにポリブテンを配合してもブルームの発生を問題としておらず、発泡剤がブルームに与える影響についても開示されていない。この点は特許文献8においても同様に、接着性の向上を目的としていることから明らかなように、ブルームの有無を問題としていない。
ゴム物性を低下させることがなく、ゴムの配合、練りが容易でブルーム抑制効果が高いゴム組成物が望まれていた。
上記特許文献1〜8に記載されているように、このような問題を解決するために様々な方策が検討されているが、配合変更によりゴム物性が低下する可能性がある。本発明は、ゴムの配合、練りが容易で効果が高いブルーム防止策を提供することにある。
EPDM系ゴム組成物(以下、ゴム組成物ともいう)にポリブテンが配合されてなり、前記ポリブテンの数平均分子量が、300〜4000でもよく、中でもポリブテンが数平均分子量500であって、未加硫ゴム配合状態で13.0%〜19.5%配合されてもよく、前記ポリブテンが数平均分子量1450以上であって、未加硫ゴム配合状態で1.6%〜19.5%配合されてもよいゴム組成物及び、少なくとも外面ゴムにこれらのゴム組成物を使用した車輌用ゴムホース。
また、ホース断面が複数の層から構成された車輌用フレキシブルホースにおいて、内面ゴム層が合成ゴム層であり、該内面ゴム層の外側に上記のゴム組成物からなる外面ゴム層が形成されてなるか、あるいは、前記車輌用フレキシブルホースが、前記内面ゴム層の外側に一層以上からなる繊維補強層と、この繊維補強層の外側に設けられた前記ゴム組成物を使用した外面ゴム層とからなる車輌用フレキシブルホース。
数平均分子量1450以上のポリブテンを配合する場合には、ゴム組成物全体に対する配合比率を1.6%以上とすることで、ゴム物性を確保した上でブルームの発生を抑制でき、さらに4.9%以上の配合割合とすることにより、ブルームの発生を無くすることができた。
その結果、外面ゴムとして本発明のゴム組成物を適用する場合には、ブルームを抑制、又は発生を無くしたホース等を得ることができる。
本発明にて使用するEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)ポリマーとしては、公知のEPDMポリマーから任意のものを選択することができる。EPDMポリマーを構成するジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、メチル−テトラヒドロインデン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエンおよび7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状の非共役ジエン、ジシクロペンタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,1−シクロオクタジエン、1,6−シクロドデカジエン、1,7−シクロドデカジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエン等の環状ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネンおよび4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエン等が挙げられる。
本発明にて使用するポリブテンとしては、数平均分子量が300〜4000の範囲のもので良く、数平均分子量が500のときにはその配合量が13.0重量%以上、好ましくは13.0〜19.5重量%、数平均分子量が1450のときには、その配合量が1.6重量%以上、好ましくは1.6〜19.5重量%、より好ましくは4.9〜19.5重量%であり、数平均分子量が3000のときには、その配合量が1.6重量%以上、好ましくは1.6〜13.0重量%、より好ましくは6.5〜13.0重量%であり、この範囲であれば、ブルームが発生したとしても少量に留まる。
さらに有機過酸化物や各種添加剤を本発明のゴム組成物に添加することも可能であるし、加硫剤として硫黄を使用するのではなく、過酸化物加硫とすることも可能である。
有機過酸化物としては、過酸化物架橋に用いられているものを限定なく、使用することができる。具体例として、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1’−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等が挙げられ、ジクミルペルオキシド、1,1’−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼンを用いるのが好ましい。
合成ゴム層は、フッ素ゴム、NBR、水添NBR、NBR/PVCブレンド、NBR/EPDMブレンドといった、一種類、又は二種類以上をブレンドしたものを使用出来る。
本発明の車輌用ホースにおいて内面ゴム層等に使用することができるフッ素ゴムは、特に限定されるものではなく、フッ素含有モノマーの共重合体又はフッ素含有モノマーと炭化水素モノマーとの共重合体でよい。
フッ素含有モノマーとしては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニル等のフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン等のフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)等のペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)等が挙げられる。フッ素モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このNBRにアクリルゴム又はポリ塩化ビニルをブレンドすることによって、耐ガソリン性、耐油性のバランスを向上させることが可能になる。また、このNBRにEPDMをブレンドすることにより耐オゾン性を改良することができる。
本発明のホースを製造する方法としては、マンドレルに未加硫の合成ゴムを被覆し、さらにその外側に本発明のゴム組成物を被覆させ、これを加硫する方法が採用できる。
本発明のゴム組成物は、燃料用ホース、アルコールや油脂等を輸送するためのホース、油滴を含有するような空気等を搬送するためのホース、鉱物油やLPガス、天然ガス等の炭化水素含有液体又は気体を搬送するためのホース、あるいはこれらの流体を保管するための容器、さらには、これらの流体と接する工業用ベルト、緩衝材、防振材、シート、ブーツ等の機械部品、設備部品、建築部品、装置の部品等各種用途に使用できる。
ホースに使用する場合には、該ホースとしては積層ホースが好ましく、最外層には本発明のブルームの発生が防止されたゴム組成物が用いられるので、長期にわたって使用しても外観が悪化することがない。
例えば、燃料、アルコール、LPガス、酸性液体等を搬送するホースであって、その搬送物と接するホース内面には、フッ素ゴム層を形成し、ホース外面側の層には本発明のゴム組成物からなる層を形成する。同じく、ホース以外の積層体においても、燃料、アルコール、LPガス等と接する面にはフッ素ゴム層を形成し、その他の層には本発明のゴム組成物からなる層を形成する。
例えば搬送する流体が低圧の場合には図1に示すように、内面ゴム層としてフッ素ゴム層を用い、外面ゴム層として本発明のゴム組成物からなる層を用いた2層からなるホースを使用し、搬送する流体が高圧の場合には、図2に示すように、内面ゴム層としてフッ素ゴム層を用い、外側に向けて第1繊維補強層、中間ゴム層、第2繊維補強層及び本発明のゴム組成物からなる外面ゴム層を設けた5層からなるホースを使用できる。もちろん、用途に応じて他の層構成としたホースも使用できる。
ホース内を流通する流体の種類によって、ホースの最内層の材料が決まるが、ホースが中間層を有する場合には、その中間層は流通する流体と接することがないので、本発明のゴム組成物又は他の合成ゴムを使用することが可能である。
流体の種類によっては、最内層、中間層、及び最外層に本発明のゴム組成物を一体的に使用した単層構造を採用することも出来る。
次に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体)に補強剤(カーボンブラック)、加硫剤、加硫促進剤、さらにポリブテンの配合割合を変え、かつ3種類の数平均分子量を有するポリブテンを含有させてなる軟化剤を別紙配合表(表1)の通り配合し、加硫によりゴム組成物とした。尚、数平均分子量の測定は、蒸気圧浸透圧法(VPO)にて行った。
<実施例> 実施例 1〜14
<比較例> 比較例 1〜7
常態物性として、硬さ、引張、伸び、100%モジュラス、比重を測定した。
又、下記の通り、加速試験を行い、ブルームの発生状況を測定した。結果を表1に示す。
<ブルームの発生確認方法>
作製したゴム組成物について、次の条件でブルーム発生の確認試験を行った。
1)恒温恒湿条件(60℃、95%RH、1320時間)による加速試験
〔恒温恒湿器:エスペック株式会社製 低温恒温恒湿器 PL−4KPH〕
2)動的オゾン劣化(80ppmhm、40℃、240時間、20%伸張)による加速試験
〔オゾン試験機:スガ試験機株式会社製 オゾンウェザーメーター OMS-L〕
JIS K6259 6項の条件:オゾン劣化試験の条件であり、本来は亀裂の発生を確認するが、ブルーム発生手段として流用した。
上記の実施例及び比較例により得られたゴムの組成物を用いて、上記の条件でブルーム発生の確認試験を行った結果を表1に示す。
判定0:ブルームなし,1:僅かにブルーム発生,2:少量のブルーム発生,3:ブルーム発生,4:ブリード発生 [判定は目視による]
数平均分子量500のポリブテンを配合する場合には、ゴム組成物全体に対する配合比率を13.0%以上とすることで、ゴム物性を確保した上でブルームの発生を抑制できた。
数平均分子量1450以上のポリブテンを配合する場合には、ゴム組成物全体に対する配合比率を1.6%以上とすることで、ゴム物性を確保した上でブルームの発生を抑制でき、さらに4.9%以上の配合割合とすることにより、ブルームの発生を無くすることができた。
その結果、外面ゴムとして本発明のゴム組成物を適用する場合には、ブルームを抑制、又は発生を無くしたホースが得られた。
これに対して、ポリブテンの配合量が少ない場合、及び配合しない場合には、恒温恒湿条件下及び動的オゾン劣化条件下共にブルームが発生した。またポリブテンを過剰量配合すると、動的オゾン劣化条件下においてブリードが発生した。
Claims (3)
- 数平均分子量が500〜4000であるポリブテンが未加硫ゴム配合状態で13.0%〜19.5%配合されてなるか、数平均分子量が1450〜4000であるポリブテンが未加硫ゴム配合状態で1.6%〜19.5%配合されてなるEPDM系ゴム組成物を外層のゴム層のみに使用した車輌用ゴムホース。
- ホース断面が複数の層から構成された車輌用フレキシブルホースにおいて、合成ゴムからなる内面ゴム層を有する請求項1に記載の車輌用ゴムホース。
- 前記車輌用フレキシブルホースが、前記内面ゴム層と、前記内面ゴム層の外側に一層以上からなる繊維補強層と、この繊維補強層の外側に設けられた前記外層のゴム層とからなる請求項1又は2に記載の車輌用ゴムホース。
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