JP2014226853A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料バリア性、ゴム接着性、耐燃料性、及び、柔軟性に優れた積層体を提供する。【解決手段】フッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)、及び、ゴム層(D)を備えてなり、フッ素ゴム層(A)上に、順にゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)及びゴム層(D)が積層されたことを特徴とする積層体。【選択図】なし
Description
本発明は、積層体に関する。
従来、昨今の環境意識の高まりから、燃料揮発を防止するための法整備が進み、特に自動車業界では米国を中心に燃料揮発抑制の傾向が著しく、燃料バリア性に優れた材料へのニーズが大きくなりつつある。
特に、燃料輸送ゴムホースにおいて、耐燃料透過性を良好にするためにフッ素樹脂をバリア層とした積層ホース(バリア層以外はゴム)が使用されているが、昨今の環境負荷低減の強い要求により、バリア層による一層の燃料低透過性が必要とされる。その手段として、バリア層の厚みを増加させるか、あるいは低透過に最も優れるパーハロゲン系のフッ素樹脂を使用するという手段で低透過性を確保することが試みられている。しかし、バリア層(フッ素樹脂)の厚みを増加させることは、ホース重量の増加になり、また省エネルギーの観点からも不利であり、さらにホース自身の曲げ性(柔軟性)が損なわれ、取扱い性(組付け性)の観点からも不利である。
また、パーハロゲン系のフッ素樹脂をバリア層として使用する場合は、相手材である外内層のゴムとの接着が困難であり、接着性を改善するための樹脂の表面処理や、フィルムやテープを巻きつける手法などの工程が必要になり、作業工程の複雑化が生じて生産性が著しく低下し、また大幅なコスト高となるなどの実用上に不具合がある。
フッ素樹脂層とゴム層との接着の向上のために、たとえば特許文献1のように、NBR等のジエン系ゴムに、DBU塩等とともに、硫黄系加硫剤、カルバミン酸金属塩およびチアゾール系金属塩の少なくとも一方、酸化マグネシウムを添加してなるジエン系ゴム層と、フッ化ビニリデン系共重合体(THV)層とが隣接した層構造を備える燃料ホースも知られている。
特許文献2及び3のように、水素原子を複数含むモノマーが少なくとも1種存在するフルオロポリマ又はフッ化ビニリデンを必須とするフルオロポリマを使用し、脱弗化水素組成物を混合することによりフルオロポリマ層に対する硬化性エラストマー化合物の接着性を改良することも知られている。
本発明は、上記現状を鑑みて、燃料バリア性、ゴム接着性、耐燃料性、及び、柔軟性に優れた積層体を提供することを目的とする。
本発明者らはかかる要求を検討した結果、フッ素ゴム層、ゴム層、フッ素樹脂層及びゴム層の4層からなる積層体とすることにより、燃料バリア性、ゴム接着性、耐燃料性、及び、柔軟性のいずれにも優れた積層体となり得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、フッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)、及び、ゴム層(D)を備えてなり、フッ素ゴム層(A)上に、順にゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)及びゴム層(D)が積層されたことを特徴とする積層体である。
上記フッ素樹脂層(C)は、少なくともクロロトリフルオロエチレンに由来する共重合体単位を有するフッ素ポリマーを含有することが好ましい。
本発明の積層体は、燃料配管ホースであることが好ましい。
本発明の積層体は、自動車用燃料配管ホースであることが好ましい。
上記フッ素樹脂層(C)は、少なくともクロロトリフルオロエチレンに由来する共重合体単位を有するフッ素ポリマーを含有することが好ましい。
本発明の積層体は、燃料配管ホースであることが好ましい。
本発明の積層体は、自動車用燃料配管ホースであることが好ましい。
本発明の積層体は、燃料バリア性、ゴム接着性、耐燃料性、及び、柔軟性に優れるので、燃料配管チューブ又はホース等に適用することができる。
本発明は、フッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)、及び、ゴム層(D)を備えてなり、フッ素ゴム層(A)上に、順にゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)及びゴム層(D)が積層されたことを特徴とする積層体である。
このため、本発明の積層体は、燃料バリア性、耐燃料性、ゴム接着性、及び、柔軟性に優れる。
以下、各層について説明する。
このため、本発明の積層体は、燃料バリア性、耐燃料性、ゴム接着性、及び、柔軟性に優れる。
以下、各層について説明する。
(A)フッ素ゴム層
フッ素ゴム層(A)は、フッ素ゴム組成物から形成される層である。フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)を含有する。
フッ素ゴム層(A)は、フッ素ゴム組成物から形成される層である。フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)を含有する。
フッ素ゴム(a1)は、未加硫のフッ素ゴムでもよいし、加硫フッ素ゴムでもよい。
フッ素ゴム(a1)としては、例えば、パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴム、ポリオール加硫可能なフッ素ゴム、ポリアミン加硫可能なフッ素ゴム等を挙げることができる。上記パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、パーオキサイド加硫可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記パーオキサイド加硫可能な部位としては特に限定されず、例えば、ヨウ素原子、臭素原子等を挙げることができる。
上記ポリオール加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、ポリオール加硫可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記ポリオール加硫可能な部位としては特に限定されず、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)単位を有する部位等を挙げることができる。上記加硫部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に加硫部位を与える単量体を共重合する方法等が挙げられる。
フッ素ゴム(a1)としては、例えば、パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴム、ポリオール加硫可能なフッ素ゴム、ポリアミン加硫可能なフッ素ゴム等を挙げることができる。上記パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、パーオキサイド加硫可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記パーオキサイド加硫可能な部位としては特に限定されず、例えば、ヨウ素原子、臭素原子等を挙げることができる。
上記ポリオール加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、ポリオール加硫可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記ポリオール加硫可能な部位としては特に限定されず、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)単位を有する部位等を挙げることができる。上記加硫部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に加硫部位を与える単量体を共重合する方法等が挙げられる。
上記フッ素ゴム(a1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、VdF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、TFE/プロピレン系フッ素ゴム、TFE/プロピレン/VdF系フッ素ゴム、エチレン/HFP系フッ素ゴム、エチレン/HFP/VdF系フッ素ゴム、エチレン/HFP/TFE系フッ素ゴム、VdF/TFE/パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)系フッ素ゴム、VdF/CTFE系フッ素ゴム等を挙げることができる。
上記フッ素ゴム(a1)は、耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性、コストの点から、VdF単位を含むフッ素ゴム(VdF系フッ素ゴム)、又は、TFE/プロピレン系フッ素ゴムがより好ましく、VdF−HFP系フッ素ゴム、及び、VdF−HFP−TFE系フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素ゴムが更に好ましい。
上記フッ素ゴム(a1)としては、以上説明したものを1種に限らず2種以上用いてもよく、これらを加硫したものであってもよい。
上記フッ素ゴム(a1)としては、以上説明したものを1種に限らず2種以上用いてもよく、これらを加硫したものであってもよい。
上記フッ素ゴム(a1)は、フッ素含有率64質量%以上のフッ素ゴムであることが好ましく、フッ素含有率66質量%以上のフッ素ゴムであることがより好ましい。フッ素含有率の上限値は特に限定されないが、74質量%以下であることが好ましい。フッ素含有率が、64質量%未満であると耐薬品性、耐燃料油性、燃料透過性が劣る傾向がある。
上記フッ素ゴム組成物は、ゴム成分がフッ素ゴム(a1)のみからなるものであってよい。
本発明の積層体において、フッ素ゴム層(A)とゴム層(B)とをより強固に接着させるために、上記フッ素ゴム組成物には少なくとも1種の多官能化合物を添加してもよい。上記多官能化合物とは、1つの分子中に同一又は異なる構造の2つ以上の官能基を有する化合物である。
上記多官能化合物が有する官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ハロホルミル基、アミド基、オレフィン基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、エポキシ基等、一般に反応性を有することが知られている官能基であれば任意に用いることができる。これらの官能基を有する化合物は、フッ素ゴムとの親和性が高いだけではなく、フッ素樹脂の上記官能基とも反応し更に接着性が向上することが期待される。
上記フッ素ゴム組成物は、更に加硫剤を含むものであることが好ましい。上記加硫剤としては、配合するフッ素ゴム(a1)の加硫系により、適宜選択することができる。具体的には、パーオキサイド系加硫剤、ポリオール系加硫剤、ポリアミン系加硫剤等を目的に応じて選択することができる。上記パーオキサイド系加硫剤としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物を挙げることができる。上記有機過酸化物としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を例示することができる。なかでも、ジアルキル化合物が好ましい。一般に、使用量は、活性−O−O−の量、分解温度等から適宜選択される。使用量は通常、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
有機過酸化物を加硫剤として使用する場合は、加硫助剤や共加硫剤を併用してもよい。上記加硫助剤又は共加硫剤としては特に限定されず、例えば、上述の加硫助剤及び共加硫剤を挙げることができる。これらの中でも、加硫性、加硫物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
上記加硫助剤や共加硫剤の配合量としては、フッ素ゴム100質量部に対して、0.2〜10質量部が好ましく、0.3〜6質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が更に好ましい。加硫剤や共加硫剤が、0.2質量部未満であると、加硫密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部をこえると、加硫密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
上記ポリオール系加硫剤としては特に限定されず、例えば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては特に限定されず、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA等を挙げることができる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等であってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
上記ポリオール系加硫剤としては、加硫後のフッ素ゴムの圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFが更に好ましい。
上記ポリオール加硫剤は、配合量がフッ素ゴム100質量部に対して、0.2〜10質量部であることが好ましく、0.5〜6質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることが更に好ましい。上記配合量が、0.2質量部未満であると、加硫密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部をこえると、加硫密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
また、ポリオール系加硫剤と併用して、加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の形成を促進することにより加硫反応を促進することができる。
フッ素ゴム組成物は、受酸剤として、またはフッ素ゴム層と非フッ素ゴム層間の接着性を向上させるための配合剤として、金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、及び、アルカリ土類金属の弱酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有してもよい。
上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩としては、周期表第(II)族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等が挙げられる。
金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩の具体的な例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫等をあげることができる。
有機過酸化物を加硫剤として使用する場合には、上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、アルカリ土類金属の弱酸塩の含有量は、3質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下、耐酸性の観点からは、含まないことが更に好ましい。
上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩としては、周期表第(II)族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等が挙げられる。
金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩の具体的な例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫等をあげることができる。
有機過酸化物を加硫剤として使用する場合には、上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、アルカリ土類金属の弱酸塩の含有量は、3質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下、耐酸性の観点からは、含まないことが更に好ましい。
ポリオール系加硫剤を使用する場合には、アルカリ金属ケイ酸塩を含有することが好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を存在させることにより、水酸化カルシウムを配合しなくてもポリオール架橋の際に従来の水酸化カルシウムを配合する場合と同程度の時間で架橋させることができる。また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有することで、架橋速度を速めるための水酸化カルシウムを配合する必要がないため、フッ素ゴム層(B)が薬品、溶剤(特に酸性溶媒)、燃料(特に生物起源燃料)などと接触することによって生じる劣化・膨潤を小さくすることができ、さらに圧縮永久歪みの向上も期待することができる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムまたはこれらの含水塩などがあげられる。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸ナトリウムまたはその含水塩である場合、ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩の組成は、Na2OとSiO2とH2Oに換算した質量割合(%)で表され、Na2Oが0.5〜95質量%、SiO2が5〜99質量%、H2Oが0〜94.5質量%であることが好ましい。また、架橋速度を上昇させる効果に優れるという点から、Na2Oが1〜85質量%、SiO2が2.0〜95質量%、H2Oが0〜85質量%であることがより好ましい。さらに、加工性に優れるという点から、Na2Oが2〜70質量%、SiO2が7.0〜70質量%、H2Oが0〜75質量%であることがさらに好ましい。
ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩としては、たとえば、ケイ酸ソーダ1号〜5号(富士化学(株)製)、メタケイ酸ソーダ5水塩、9水塩(富士化学(株)製)、オルソケイ酸ソーダ(65%、80%)(大阪硅曹(株)製)、粉末珪酸ソーダ1〜3号(日本化学工業(株)製)、無水メタ珪酸ソーダ(大阪硅曹(株)製)などとして入手可能である。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸カリウムの含水塩である場合、ケイ酸カリウムの含水塩の組成は、K2OとSiO2とH2Oに換算した質量割合(%)で表されるが、K2Oが5〜30質量%、SiO2が15〜35質量%、H2Oが35〜80質量%であることが好ましい。
ケイ酸カリウムの含水塩としては、たとえば、1号ケイ酸カリ、2号ケイ酸カリ(富士化学(株)製)などとして入手可能である。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸リチウムの含水塩である場合、ケイ酸リチウムの含水塩の組成は、Li2OとSiO2とH2Oに換算した質量割合(%)で表されるが、Li2Oが0.5〜10質量%、SiO2が15〜25質量%、H2Oが65〜84.5質量%であることが好ましい。
ケイ酸リチウムの含水塩としては、たとえばケイ酸リチウム45(日本化学工業(株)製)などとして入手可能である。
これらのなかで、安定した架橋速度が得られる点と耐燃料性に優れるという点から、ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩が好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩の含有量としては、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜7質量部がより好ましい。
なお、本発明は水酸化カルシウムとアルカリ金属ケイ酸塩との併用を必ずしも排除するものではないが、水酸化カルシウムの併用は、アルカリ金属ケイ酸塩によって奏される利点および効果に影響を与えない程度に止めるべきである。その量は、含フッ素エラストマー組成物中に含有されるアルカリ金属ケイ酸塩の量よりも少なくすべきであり、具体的には、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して3質量部以下、さらには1質量部以下とすべきであり、実質的に配合しないことが特に好ましい。
フッ素ゴム組成物には、必要に応じてフッ素ゴム組成物中に配合される通常の添加物、例えば、充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、受酸剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤等の各種添加剤を配合することができ、上述のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種又はそれ以上配合してもよい。
上記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)、並びに、必要に応じて、アルカリ金属ケイ酸塩、加硫剤、加硫助剤、共加硫剤、加硫促進剤、充填材等のその他添加剤を、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得ることができる。上記ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機等を用いることができる。
(B)ゴム層
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)上に、ゴム層(B)を備える。
ゴム層(B)は、加硫用ゴム組成物から形成される層である。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)上に、ゴム層(B)を備える。
ゴム層(B)は、加硫用ゴム組成物から形成される層である。
上記加硫用ゴム組成物としては、例えば、特開2012−126015号公報、国際公開公報第2011/001756号、特開2010−89479号公報、特開2012−61644号公報、特開2012−81682号公報、特願2010−254309号、特願2011−45942号、特願2011−229997号、特願2011-275417号、特願2012−22052号、特願2012−199719号に開示される加硫用ゴム組成物が挙げられる。
上記加硫用ゴム組成物は、必須成分として未加硫ゴム(b1)、化合物(b2)、酸化マグネシウム(b3)、並びに、シリカ(b4)を含み、更に、任意成分として加硫剤(b5)及び金属塩(b6)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
特に、加硫用ゴム組成物が未加硫ゴム(b1)及び化合物(b2)に加えて、加硫剤(b5)及び金属塩(b6)を含むものであると、フッ素ゴム層(A)又はフッ素樹脂層(C)とゴム層(B)とをより大きな接着強度で接着できる。
本発明において未加硫ゴム(b1)は、非フッ素ゴムである。
特に、加硫用ゴム組成物が未加硫ゴム(b1)及び化合物(b2)に加えて、加硫剤(b5)及び金属塩(b6)を含むものであると、フッ素ゴム層(A)又はフッ素樹脂層(C)とゴム層(B)とをより大きな接着強度で接着できる。
本発明において未加硫ゴム(b1)は、非フッ素ゴムである。
未加硫ゴム(b1)の具体例としては、たとえばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)またはその水素化物(HNBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのジエン系ゴム、エチレン−プロピレン−ターモノマー共重合体ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴムなどがあげられる。
未加硫ゴム(b1)としては、耐熱性、耐油性、耐候性、押出成形性が良好な点から、ジエン系のゴム、又は、エピクロルヒドリンゴム(ECO)であることが好ましく、エピクロルヒドリンゴム(ECO)であることがより好ましい。
加硫用ゴム組成物は、ゴム層(A)に未加硫ゴム(b1)とは別の特性を付与するために、樹脂を含有してもよい。樹脂としては、たとえばPVC、塩素化ポリスチレン、クロロスルホン化ポリスチレンエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。たとえば、加硫用ゴム組成物がNBRとPVCとを含有する場合、耐オゾン性を向上させることができる。この場合、PVCの配合量は、NBR100質量部に対し10〜70質量部が好ましい。
化合物(b2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩(DBN塩)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5(DBN)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。化合物(b2)を含むことによって、加硫用ゴム組成物の加硫特性を改善できる。
DBU塩およびDBN塩としては、DBU又はDBNの炭酸塩、長鎖脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、オルトフタル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フェノール塩、フェノール樹脂塩、ナフトエ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩、フェノールノボラック樹脂塩などがあげられ、1,8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド(DBU−B)、ナフトエ酸塩、オルトフタル酸塩、フェノール塩、及び、ギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
より具体的には、化合物(b2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のナフトエ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
化合物(b2)としては、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。更に好ましくは、1,8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
化合物(b2)としてDBUのナフトエ酸塩を単独で使用する場合、優れた接着性を得るためには化合物(b2)を比較的多量に必要とする場合がある。しかしながら、DBU−Bを用いる場合には配合量をより少なくすることができる。
化合物(b2)としてDBUのナフトエ酸塩を単独で使用する場合、優れた接着性を得るためには化合物(b2)を比較的多量に必要とする場合がある。しかしながら、DBU−Bを用いる場合には配合量をより少なくすることができる。
化合物(b2)は、DBU−Bを必須とすることが好ましく、DBU−B単独、DBU−BとDBUのフェノール塩との組み合わせ、DBU−BとDBUのオルトフタル酸塩との組み合わせ、DBU−BとDBUのギ酸塩との組み合わせ、DBU−BとDBUの組み合わせ、又は、DBU−BとDBUのナフトエ酸塩との組み合わせがより好ましい。このように、DBU−Bを必須とすることで、化合物(b2)の使用量を低減することができる。
また、化合物(b2)としては、DBU−B、DBUのフェノール塩、DBUのオルトフタル酸塩及びDBUのギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とDBUのナフトエ酸塩との組み合わせ、DBU−B、又は、DBU、であることも好ましい形態の一つである。
化合物(b2)は、未加硫ゴム(b1)100質量部に対して1.0質量部を超え、5.0質量部以下である。化合物(b2)は、未加硫ゴム(b1)100質量部に対して、1.5質量部以上であることが好ましい。化合物(b2)が少なすぎると接着力が充分でないおそれがある。また、化合物(b2)は、未加硫ゴム(b1)100質量部に対して、3.1質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以下であることが更に好ましい。
加硫用ゴム組成物は、酸化マグネシウム(b3)を含むことが好ましい。酸化マグネシウム(b3)の配合量は、接着性、ゴム物性の点から、未加硫ゴム(b1)100質量部に対して3〜20質量部が好ましく、特に好ましくは5〜15質量部である。本発明の特定の構造を有する積層体は、酸化マグネシウム(b3)を必須とすることによって優れた接着性を有することができる。
加硫用ゴム組成物は、シリカ(b4)を含むことが好ましい。シリカ(b4)としては、塩基性シリカ、酸性シリカを用いることができ、接着性の観点から、塩基性シリカを用いる方が好ましい。塩基性シリカとしては、カープレックス1120(DSLジャパン(株)製)が挙げられる。また、接着性、ゴム物性の観点から、未加硫ゴム(b1)100質量部に対して10〜40質量部が好ましく、特に好ましくは15〜25質量部である。本発明の特定の構造を有する積層体は、シリカ(b4)を必須とすることによって優れた接着性を有することができる。
加硫剤(b5)は、加硫用ゴム組成物の加硫系に合わせて、従来公知のものが使用できる。未加硫ゴム(b1)を加硫することにより、得られる加硫ゴム層の引張強度などの機械的強度が向上し、良好な弾性も獲得できる。
本発明で用いられ得る加硫系としては、硫黄加硫系、ポリアミン加硫系、ポリオール加硫系、パーオキサイド加硫系、イミダゾール加硫系、トリアジン加硫系、オキサゾール加硫系、チアゾール加硫系のいずれも採用できるが、未加硫ゴムに加硫性基(キュアサイト)が含まれる場合はキュアサイトの種類によって、または加硫された積層体に付与する特性や用途により適宜選択すればよい。
加硫剤(b5)としては、加硫系に合わせて硫黄加硫系加硫剤、ポリアミン加硫系加硫剤、ポリオール加硫系加硫剤、パーオキサイド加硫系加硫剤、イミダゾール加硫系加硫剤、トリアジン加硫系加硫剤、オキサゾール加硫系加硫剤、チアゾール加硫系加硫剤のいずれも採用でき、単独で使用または併用してもよい。
たとえば、未加硫ゴム(b1)がジエン系の非フッ素ゴム(NBR、SBR、BRなど)の場合は硫黄加硫系およびパーオキサイド加硫系が通常採用されるので、加硫剤としても硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
硫黄加硫系加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、ポリスルフィド化合物などが例示できる。
硫黄加硫系加硫剤の配合量は、未加硫ゴム(b1)100質量部に対して、1.0〜10.0質量部が好ましい。少なすぎると接着性が不充分となり、多すぎると硬くなりすぎる傾向にある。
パーオキサイド加硫系加硫剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生する有機過酸化物が好ましいものとしてあげられる。
有機過酸化物としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどを例示することができる。そのなかでも好ましいものはジアルキル化合物である。一般に活性−O=O−の量、分解温度などから種類ならびに配合量が選ばれる。配合量は通常、未加硫ゴム100質量部に対して0.1〜15.0質量部、好ましくは0.3〜5.0質量部である。
加硫剤(b5)としては、硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、硫黄加硫系加硫剤がより好ましく、その添加量は未加硫ゴム(b1)100質量部に対して0.5〜5.0質量部であることが好ましく、特に好ましくは1.0〜3.0質量部である。
金属塩(b6)は、カルバミン酸金属塩及びチアゾール系金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記カルバミン酸金属塩としては、例えば、ジメチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnEDC)、ジブチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnBDC)、ジメチルジチオカルバメートの鉄塩(FeMDC)、エチルフェニルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnEPDC)、N−ペンタメチレンジチオカルバメートの亜鉛塩、ジベンジルジチオカルバメートの亜鉛塩、ジメチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaMDC)、ジエチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaEDC)、ジブチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaBDC)、ジメチルジチオカルバメートの銅塩(CuMDC)、ジエチルジチオカルバメートのテルリウム塩(TeEDC)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併用して用いられる。これらのなかでも、接着性、ゴム物性の点で、ZnMDC、ZnEDC、又は、ZnBDCが好適に用いられる。
上記チアゾール系金属塩としては、メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMBT)が好適に用いられる。
金属塩(b6)の配合量は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して0.01〜3.0質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましく、特に好ましくは0.05〜0.3質量部である。金属塩(b6)の配合量が少なすぎると加硫ゴム物性が悪くなる傾向がみられ、多すぎると未加硫物性が悪くなる傾向がみられる。
加硫用ゴム組成物は、加硫特性を阻害したりゴムの物性を損なったりするため、アミン化合物を、含有しないことが好ましい。
また本発明においては、目的または必要に応じて、一般の加硫用ゴム組成物に配合する通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、滑剤、エポキシ樹脂などの各種添加剤を配合することができる。また、上記のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種または2種以上配合してもよい。ただし、これらの添加剤は、本発明の目的であるフッ素樹脂層(C)との接着力を損なわない範囲の量で配合する。
充填剤としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤などがあげられる。
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤などがあげられる。
可塑剤としては、たとえばフタル酸誘導体やセバシン酸誘導体、軟化剤としては、たとえば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム、老化防止剤としては、たとえばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩などがあげられる。
エポキシ樹脂(7b)としては、たとえばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂などがあげられる。これらのうちビスフェノールA型エポキシ樹脂が耐薬品性、接着性が良好な点から好ましく、さらに式(1):
で表わされるエポキシ樹脂が特に好ましくあげられる。ここで、式(1)において、nは平均値であり、0.1〜3が好ましく、0.1〜0.5がより好ましく、0.1〜0.3がさらに好ましい。nが0.1未満であると、フッ素樹脂層(C)との接着力が低下する傾向がある。一方、nが3をこえると、エポキシ樹脂自体の粘度が高くなり、加硫用ゴム組成物中での均一な分散が困難になる傾向がある。
エポキシ樹脂を配合する場合の含有量は、フッ素樹脂層(C)との接着力をより向上させる点から、未加硫ゴム100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が特に好ましい。ゴム層が硬くなりすぎないようにする点から、未加硫ゴム100質量部に対して、25質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
加硫用ゴム組成物は、未加硫ゴム(b1)、化合物(b2)、酸化マグネシウム(b3)、及び、シリカ(b4)、さらに要すれば加硫剤(b5)、金属塩(b6)並びにその他の添加剤を混練することにより調製される。
混練は、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
加硫用ゴム組成物は、最適加硫時間(T90)が18分以下であることが好ましい。より好ましくは15分以下であり、更に好ましくは13分以下であり、特に好ましくは、11分以下である。T90の下限は特に限定されないが、例えば、1分以上である。上記加硫用ゴム組成物は、上記構成であることによって、加硫時間を短くし、生産性を向上させることができる。T90は、160℃にて最大トルク値(MH)と最小トルク値(ML)を測定することにより得られる値であり、{(MH)−(ML)}×0.9+MLで求める値である。MH及びMLは、JIS K 6300−2に準じて測定した値である。
未加硫ゴム(b1)が、エピクロルヒドリンの場合、加硫用ゴム組成物は、必須成分としてエピクロルヒドリンゴム(b1−1)、化合物(b2−1)、酸化マグネシウム(b3−1)、シリカ(b4−1)、並びにエポキシ樹脂(b7−1)を含有し、更に、任意成分として酸化亜鉛(b8)、及び加硫剤(b5−1)の少なくともいずれかを含む、又は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)、化合物(b2−1)、エポキシ樹脂(b7−1)、及び、水担持物質(b9)を含むことが好ましい。特に、加硫用ゴム組成物がエピクロルヒドリンゴム(b1−1)及び化合物(b2−1)に加えて、加硫剤(b5−1)を含むものであると、層(A)と層(B)とをより大きな接着強度で接着できる。
エピクロルヒドリンゴム(b1−1)は、エピクロルヒドリンに基づく重合単位を有する未加硫ゴムであれば特に限定されず、実質的にエピクロルヒドリンに基づく重合単位のみからなる1元重合体であってもよいし、エピクロルヒドリンに基づく重合単位と、エピクロルヒドリン以外の他の単量体に基づく重合単位と、からなる2元以上の重合体であってもよい。
エピクロルヒドリン以外の他の単量体としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びアリルグリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましい。加硫用ゴム組成物は、エピクロルヒドリンに基づく重合単位と、エチレンオキサイドに基づく重合単位と、を有する重合体であることが好ましく、エピクロルヒドリンに基づく重合単位と、エチレンオキサイドに基づく重合単位と、アリルグリシジルエーテルに基づく重合単位と、を有する重合体であることがより好ましい。
エピクロルヒドリンゴム(b1−1)としては、例えば、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、及び、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体が好ましい。より好ましくは、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、及びエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体である。これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
化合物(b2−1)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩(DBN塩)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5(DBN)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
また、化合物(b2−1)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のp−トルエンスルホン酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール樹脂塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル酸塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5のp−トルエンスルホン酸塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5のフェノール塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5のフェノール樹脂塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5のオルトフタル酸塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5のギ酸塩、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5のオクチル酸塩、からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。化合物(b2−1)を含むことによって、加硫用ゴム組成物の加硫特性を改善でき、接着性を向上させることができる。
化合物(b2−1)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のp−トルエンスルホン酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール樹脂塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル酸塩、からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
接着性を向上させる観点からは、化合物(b2−1)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル酸塩であることがより好ましい。
また、加硫用ゴム組成物は、更に、ホスホニウム塩を含有することも好ましい形態の一つである。化合物(b2−1)に加えて、更に、ホスホニウム塩を併用することによって、より接着性を向上させることができる。
具体的には、例えば、化合物(b2−1)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、加硫用ゴム組成物は、更に、ホスホニウム塩を含有することが好ましい。
また、化合物(b2−1)としては、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル酸塩を必須とすることが好ましい。化合物(b2−1)としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル酸塩単独、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル酸塩と1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩との組み合わせも好ましい形態の一つである。また、化合物(b2−1)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル酸塩であり、加硫用ゴム組成物は、更に、ホスホニウム塩を含有することも好ましい形態の一つである。
化合物(b2−1)は、接着性が良好な観点から、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して0.5質量部以上、3.0質量部以下であることが好ましい。より好ましくは1.0質量部以上、2.0質量部以下である。また、接着性が良好であるとともに、加硫特性が良好な点から、化合物(b2−1)は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して、1.0質量部以上、1.5質量部以下であることが好ましい。
加硫用ゴム組成物は、酸化マグネシウム(b3−1)を含むことが好ましい。酸化マグネシウム(b3−1)の配合量は、接着性、ゴム物性の点から、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して3〜20質量部が好ましく、特に好ましくは5〜15質量部である。本発明の特定の構造を有する積層体は、酸化マグネシウム(b3−1)を必須とすることによって優れた接着性を有するものとなる。
加硫用ゴム組成物は、シリカ(b4−1)を含むことが好ましい。シリカ(b4−1)としては、塩基性シリカ、酸性シリカを用いることができ、接着性の観点から、塩基性シリカを用いることが好ましい。塩基性シリカとしては、カープレックス1120(DSLジャパン(株)製)が挙げられる。また、接着性、ゴム物性の観点から、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して5〜40質量部が好ましく、特に好ましくは10〜25質量部である。本発明の特定の構造を有する積層体は、シリカ(b4−1)を必須とすることによって優れた接着性を有するものとなる。
加硫用ゴム組成物は、エポキシ樹脂(b7−1)を含むことが好ましい。エポキシ樹脂(b7−1)としては、上述したエポキシ樹脂(b7)と同様のものが挙げられる。
エポキシ樹脂(b7−1)は、ゴム層(B)とフッ素樹脂層(C)との接着力をより向上させる点から、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.3〜3質量部がより好ましい。また、加硫用ゴム組成物に添加される、化合物(b2−1)、酸化マグネシウム(b3−1)、シリカ(b4−1)等の添加量にもよるが、接着力を向上させる観点からは、エポキシ樹脂(b7−1)は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して、0.5質量部を超えることが好ましい。1.0質量部を超えることも好ましい形態の一つである。
また、加硫用ゴム組成物は、化合物(b2−1)とエポキシ樹脂(b7−1)との合計が、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して、2.0質量部を超えることも好ましい形態の一つである。
加硫用ゴム組成物は、更に、酸化亜鉛(b8)を含むことが好ましい。酸化亜鉛(b8)の配合量は、接着性、ゴム物性の点から、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して3〜20質量部が好ましく、特に好ましくは5〜15質量部である。本発明の特定の構造を有する積層体は、酸化亜鉛(b8)を含むことによって、より優れた接着性を有するものとなる。
加硫用ゴム組成物は、加硫剤(b5−1)を含むことが好ましい。加硫剤は、加硫用ゴム組成物の加硫系に合わせて、従来公知のものが使用できる。エピクロルヒドリンゴム(b1−1)を加硫することにより、得られる加硫ゴム層の引張強度などの機械的強度が向上し、良好な弾性も獲得できる。
加硫剤(b5−1)としては、塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤、例えば、ポリアミン系加硫剤、チオウレア系加硫剤、チアジアゾール系加硫剤、メルカプトトリアジン系加硫剤、ピラジン系加硫剤、キノキサリン系加硫剤、ビスフェノール系加硫剤等を挙げることができる。
塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤を例示すれば、ポリアミン系加硫剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p−フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等があげられる。
チオウレア系加硫剤としては、エチレンチオウレア、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等があげられる。
チアジアゾール系加硫剤としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾエート等があげられる。
メルカプトトリアジン系加硫剤としては、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、1−メトキシ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−シクロヘキサンアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、1−フェニルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン等があげられる。
ピラジン系加硫剤としては、2,3−ジメルカプトピラジン誘導体等があげられ、2,3−ジメルカプトピラジン誘導体を例示すると、ピラジン−2,3−ジチオカーボネート、5−メチル−2,3−ジメルカプトピラジン、5−エチルピラジン−2,3−ジチオカーボネート、5,6−ジメチル−2,3−ジメルカプトピラジン、5,6−ジメチルピラジン−2,3−ジチオカーボネート等があげられる。
キノキサリン系加硫剤としては、2,3−ジメルカプトキノキサリン誘導体等があげられ、2,3−ジメルカプトキノキサリン誘導体を例示すると、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−エチル−2,3−ジメルカプトキノキサリン、6−イソプロピルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート等があげられる。
ビスフェノール系加硫剤としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、1,1−シクロヘキシリデン−ビス(4−ヒドロキシベンゼン)、2−クロロ−1,4−シクロヘキシレン−ビス (4−ヒドロキシベンゼン)、2,2−イソプロピリデン−ビス(4−ヒドロキシベンゼン)(ビスフェノールA)、ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビス(4−ヒドロキシベンゼン)(ビスフェノールAF)および2−フルオロ−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゼン)等があげられる。
加硫用ゴム組成物は、加硫剤と共に公知の加硫促進剤、遅延剤を本発明においてそのまま用いることができる。塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤に併用される加硫促進剤としては、1級、2級、3級アミン、該アミンの有機酸塩もしくはその付加物、グアニジン系促進剤、チウラム系促進剤、ジチオカルバミン酸系促進剤等を挙げることができる。また、遅延剤としてはN−シクロヘキサンチオフタルイミド、ジチオカルバミン酸類の亜鉛塩等を挙げることができる。
加硫促進剤を例示すれば、1級、2級、3級アミンとしては、特に炭素数5〜20の脂肪族又は環式脂肪酸の第1、第2もしくは第3アミンが好ましく、このようなアミンの代表例は、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキサメチレンジアミン等である。
アミンと塩を形成する有機酸としては、カルボン酸、カルバミン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオリン酸等が例示される。また上記アミンと付加物を形成する物質としては、アルコール類、オキシム類等が例示される。アミンの有機酸塩もしくは付加物の具体例としては、n−ブチルアミン・酢酸塩、ヘキサメチレンジアミン・カルバミン酸塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのジシクロヘキシルアミン塩等が挙げられる。
グアニジン系促進剤の例としては、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン等が挙げられる。
チウラム系加硫促進剤の具体例としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸系促進剤の例としては、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩等が挙げられる。
塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤に併用される加硫促進剤又は遅延剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して0〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
また、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)がエピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体などの二重結合を有する重合体である場合には、ニトリル系ゴムの加硫に通常用いられている公知の加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫促進助剤、架橋助剤等を用いることができる。加硫剤としては、硫黄、モルホリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタンメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等の硫黄系加硫剤、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキサイド系加硫剤、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂等の樹脂系加硫剤、p−キノンジオキシム、p−p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のキノンジオキシム系加硫剤等を挙げることができる。これらの加硫剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫促進助剤、架橋助剤としては、例えば、アルデヒドアンモニア系促進剤、アルデヒドアミン系促進剤、チオウレア系促進剤、グアニジン系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、チウラム系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤、キサントゲンサン塩系促進剤等の各種加硫促進剤、N−ニトロソジフェニルアミン、無水フタル酸、N−シクロヘキシルチオフタルイミド等の加硫遅延剤、亜鉛華、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の加硫促進助剤、キノンジオキシム系架橋助剤、メタクリレート系架橋助剤、アリル系架橋助剤、マレイミド系架橋助剤等の各種架橋助剤等を挙げることができる。
エピクロルヒドリンゴム(b1−1)の耐熱性や、フッ素ゴム層(A)とゴム層(B)との接着性の観点から、加硫剤としては、チオウレア系加硫剤、キノキサリン系加硫剤、硫黄系加硫剤、パーオキサイド系加硫剤、及びビスフェノール系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の加硫剤(b5−1)が好ましく、チオウレア系加硫剤、キノキサリン系加硫剤、及びビスフェノール系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の加硫剤がより好ましく、特に好ましくはキノキサリン系加硫剤である。これらの加硫剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
加硫用ゴム組成物は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100重量部に対して、0.1〜10重量部の加硫剤(b5−1)を含むことが好ましい。より好ましくは、0.5〜5重量部である。加硫剤が0.1重量部未満であると、架橋効果が不十分となるおそれがあり、10重量部を超えると、本発明の積層体を成形して得られる成形体が剛直になりすぎて、実用的なゴム物性が得られないおそれがある。
加硫用ゴム組成物は、チオウレア系加硫剤、キノキサリン系加硫剤、及びビスフェノール系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の加硫剤に加えて、更に、パーオキサイド系加硫剤を含有することも好ましい形態の一つである。パーオキサイド系加硫剤としては、ジクミルパーオキサイドが好ましい。パーオキサイド系加硫剤は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して1.0質量部以上であることが好ましく、2.0質量部以上であることがより好ましい。また、5.0質量部以下であることが好ましい。例えば、加硫用ゴム組成物において、化合物(b2−1)やエポキシ樹脂(b7)の含有量が少ない場合、良好な接着性が得られないおそれがあるが、パーオキサイド系加硫剤を含有することによって、化合物(b2−1)やエポキシ樹脂(b7)の含有量が少ない場合であっても、フッ素ゴム層(A)又はフッ素樹脂層(C)との接着性を良好なものとすることができる。
加硫用ゴム組成物は、更に受酸剤を含んでもよい。受酸剤の例としては、周期表第(II)族金属の酸化物(但し、酸化マグネシウムを除く)、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等、及び下記一般式(2):
MgxZnyAlz(OH)2(x+y)+3z-2CO3・wH2O (2)
(xとyは0〜10の実数、ただしx+y=1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数を表す。)で示される合成ハイドロタルサイト類、及び一般式(3):
〔Al2Li(OH)6〕nX・mH2O (3)
(式中Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下
の数である。)で示されるLi−Al系包接化合物が挙げられる。
MgxZnyAlz(OH)2(x+y)+3z-2CO3・wH2O (2)
(xとyは0〜10の実数、ただしx+y=1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数を表す。)で示される合成ハイドロタルサイト類、及び一般式(3):
〔Al2Li(OH)6〕nX・mH2O (3)
(式中Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下
の数である。)で示されるLi−Al系包接化合物が挙げられる。
受酸剤の具体的な例としては、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫をあげることができる。
さらに、一般式(2)で示される合成ハイドロタルサイト類については、例えば、Mg3ZnAl2 (OH)12CO3・wH2O等を挙げることができる。また、一般式(2)に含まれる下記一般式(4):
MgxAly(OH)2x+3y-2CO3・wH2O (4)
(但しxは1〜10、yは1〜10、wは正の整数を表す)で表される化合物であってもよい。更に具体的に例示すれば、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3、Mg4Al2(OH)12CO3・3.5H2O、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg3Al2(OH)10CO3・1.7H2O等を挙げることができる。
MgxAly(OH)2x+3y-2CO3・wH2O (4)
(但しxは1〜10、yは1〜10、wは正の整数を表す)で表される化合物であってもよい。更に具体的に例示すれば、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3、Mg4Al2(OH)12CO3・3.5H2O、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg3Al2(OH)10CO3・1.7H2O等を挙げることができる。
さらに、一般式(3)で示されるLi−Al系包接化合物については、〔Al2Li(OH)6〕2CO3・H2O等が挙げられる。
また、Li−Al系包接化合物のアニオン種としては、炭酸、硫酸、過塩素酸、リン酸のオキシ酸、酢酸、プロピオン酸、アジピン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、p−オキシ安息香酸、サリチル酸、ピクリン酸等が挙げられる。また、これらの受酸剤は単独又は2種以上を混合して用いることができる。
受酸剤のうちエピハロヒドリン系ゴムの耐熱性の観点から、好ましく用いられる受酸剤は金属酸化物、金属水酸化物、無機マイクロポーラスクリスタルである。これらの受酸剤は、フッ素ゴム層(A)又はフッ素樹脂層(C)との接着力を損なわない範囲の量で配合する。
加硫用ゴム組成物は、加硫特性を阻害したりゴムの物性を損なったりするおそれがあるため、アミン化合物を、含有しないことが好ましい。
加硫用ゴム組成物はまた、水担持物質(b9)を含むことが好ましい。
水担持物質(b9)は、吸水物及び含水物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
水担持物質(b9)は、吸水物及び含水物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
水担持物質(b9)の吸水物としては、ポリエーテル化合物、金属化合物などが吸水してなる吸水物が挙げられる。化合物への吸水については、水分との接触(例えば、含浸等)に行われ、特に限定されることはない。
ポリエーテル化合物としては、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
金属化合物は金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩酸塩、硫化塩、硫酸塩、珪酸塩、合成ハイドロタルサイドなどが挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化マンガンなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化銅などが挙げられる。
金属炭酸塩としては、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸銅などが挙げられる。
金属塩酸塩としては、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅などが挙げられる。
金属硫化塩としては、硫化亜鉛、硫化カルシウム、硫化マグネシウム、硫化銅、硫化亜鉛などが挙げられる。
金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸銅などが挙げられる。
金属珪酸塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸ナトリウム、珪酸銅などが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化銅などが挙げられる。
金属炭酸塩としては、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸銅などが挙げられる。
金属塩酸塩としては、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅などが挙げられる。
金属硫化塩としては、硫化亜鉛、硫化カルシウム、硫化マグネシウム、硫化銅、硫化亜鉛などが挙げられる。
金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸銅などが挙げられる。
金属珪酸塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸ナトリウム、珪酸銅などが挙げられる。
接着性を向上させる観点からは、水担持物質(b9)の吸水物は、吸水保持率が5重量%以上の化合物であることが好ましい。さらに好ましくは、吸水保持率が10重量%以上の化合物である。吸水保持率は吸水物が保持する水分量の割合であり、下記から算出される。
吸水保持率(重量%)=(吸水物が保持する水分量(重量))/吸水物(重量))×100。
吸水保持率(重量%)=(吸水物が保持する水分量(重量))/吸水物(重量))×100。
水担持物質(b9)の含水物としては、金属塩水和物が挙げられる。
金属塩水和物としては、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、マンガン、ランタン、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、マグネシウム、銅といった金属の珪酸、硼酸、燐酸、塩酸、硫化水素、硫酸、硝酸、炭酸等の無機酸塩水和物、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、コハク酸、サリチル酸、クエン酸等のカルボン酸といった有機酸塩水和物が挙げられる。好ましくは、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸ランタン、硫酸チタン、硫酸ジルコニウム、硫酸鉄、硫酸コバルト及び硫酸ニッケルから選択される金属塩の水和物であり、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、銅から選択される金属の硫酸塩及び/又は酢酸塩の水和物であることが好ましく、硫酸カルシウム2水和物、硫酸ナトリウム10水和物、硫酸銅(II)5水和物であることがより好ましく、硫酸カルシウム2水和物、硫酸ナトリウム10水和物であることが特に好ましい。
金属塩水和物としては、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、マンガン、ランタン、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、マグネシウム、銅といった金属の珪酸、硼酸、燐酸、塩酸、硫化水素、硫酸、硝酸、炭酸等の無機酸塩水和物、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、コハク酸、サリチル酸、クエン酸等のカルボン酸といった有機酸塩水和物が挙げられる。好ましくは、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸ランタン、硫酸チタン、硫酸ジルコニウム、硫酸鉄、硫酸コバルト及び硫酸ニッケルから選択される金属塩の水和物であり、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、銅から選択される金属の硫酸塩及び/又は酢酸塩の水和物であることが好ましく、硫酸カルシウム2水和物、硫酸ナトリウム10水和物、硫酸銅(II)5水和物であることがより好ましく、硫酸カルシウム2水和物、硫酸ナトリウム10水和物であることが特に好ましい。
水担持物質(b9)の配合量は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量%に対して0.1〜80質量部、好ましくは0.5〜70質量部であり、更に好ましくは1〜50質量部であり、特に好ましいのは1〜20質量部である。これらの範囲内であると、充分な接着効果が得られ、加硫物の機械的物性が損なわれることもないため好ましい。
加硫用ゴム組成物はまた、銅塩を含んでいても良い。
銅塩としては、有機銅塩が好ましい。有機銅塩としては、蟻酸、酢酸、酪酸、ステアリン酸等の飽和カルボン酸の銅塩、オレイン酸、リノール酸等の不飽和カルボン酸の銅塩、サリチル酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸の銅塩、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸の銅塩、乳酸、クエン酸等のヒドロキシ酸の銅塩、カルバミン酸の銅塩、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸銅、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ジベンジルジチオカルバミン酸銅等のチオカルバミン酸、スルホン酸等の銅塩が挙げられる。有機銅塩としては、飽和カルボン酸の銅塩、不飽和カルボン酸の銅塩、芳香族カルボン酸の銅塩、チオカルバミン酸の銅塩が好ましく、ステアリン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅がより好ましい。
銅塩としては、有機銅塩が好ましい。有機銅塩としては、蟻酸、酢酸、酪酸、ステアリン酸等の飽和カルボン酸の銅塩、オレイン酸、リノール酸等の不飽和カルボン酸の銅塩、サリチル酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸の銅塩、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸の銅塩、乳酸、クエン酸等のヒドロキシ酸の銅塩、カルバミン酸の銅塩、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸銅、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ジベンジルジチオカルバミン酸銅等のチオカルバミン酸、スルホン酸等の銅塩が挙げられる。有機銅塩としては、飽和カルボン酸の銅塩、不飽和カルボン酸の銅塩、芳香族カルボン酸の銅塩、チオカルバミン酸の銅塩が好ましく、ステアリン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅がより好ましい。
接着性向上の観点から、銅塩の配合量は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部である。さらに好ましくは0.1〜2質量部である。これらの範囲内であると、充分な接着効果が得られ、加硫物の機械的物性が損なわれることもないため好ましい。
加硫用ゴム組成物は、ゴム層(B)にエピクロルヒドリンゴム(b1−1)とは別の特性を付与するために、更に、エポキシ樹脂以外の他の樹脂を含有してもよい。樹脂としては、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリウレタン(PUR)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、エチレン−酢酸ビニル(EVA)樹脂、スチレン−アクリロニトリル(AS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、塩素化ポリスチレン、クロロスルホン化ポリスチレンエチレ等が挙げられる。この場合、樹脂の配合量は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)100質量部に対し1〜50質量部が好ましい。
また本発明においては、目的または必要に応じて、一般の加硫用ゴム組成物に配合する通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、滑剤などの各種添加剤を配合することができる。また、上記のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種または2種以上配合してもよい。ただし、これらの添加剤は、フッ素ゴム層(A)及びフッ素樹脂層(C)との接着力を損なわない範囲の量で配合する。
充填剤、加工助剤、可塑剤としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
加硫用ゴム組成物は、エピクロルヒドリンゴム(b1−1)、化合物(b2−1)、酸化マグネシウム(b3−1)、シリカ(b4−1)、並びにエポキシ樹脂(b7−1)、さらに要すれば酸化亜鉛(b8)、加硫剤(b5−1)並びにその他の添加剤を混練することにより調製される。
混練は、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
(C)フッ素樹脂層
フッ素樹脂層(C)は、フッ素ゴム層(A)上に積層されたゴム層(B)の、更に上に積層される。すなわち、本発明の積層体において、フッ素樹脂層(C)は、ゴム層(B)のフッ素ゴム層(A)が積層された面と反対側の面に積層される。
フッ素樹脂層(C)は、フッ素ポリマー組成物から形成される層である。
フッ素樹脂層(C)は、フッ素ゴム層(A)上に積層されたゴム層(B)の、更に上に積層される。すなわち、本発明の積層体において、フッ素樹脂層(C)は、ゴム層(B)のフッ素ゴム層(A)が積層された面と反対側の面に積層される。
フッ素樹脂層(C)は、フッ素ポリマー組成物から形成される層である。
フッ素ポリマー組成物は、少なくともクロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(c1)を含有することが好ましい。
フッ素ポリマー(c1)としては、フッ素樹脂であることが好ましく、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)及びCTFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
CTFE共重合体としては、CTFEに由来する共重合単位(CTFE単位)と、テトラフルオロエチレン(TFE)、へキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル、へキサフルオロイソブテン、式:
CH2=CX1(CF2)nX2
(式中、X1はHまたはF、X2はH、FまたはCl、nは1〜10の整数である)
で示される単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、及び、塩化ビニリデンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位と、を含むことが好ましい。
CH2=CX1(CF2)nX2
(式中、X1はHまたはF、X2はH、FまたはCl、nは1〜10の整数である)
で示される単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、及び、塩化ビニリデンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位と、を含むことが好ましい。
CTFE共重合体としては、CTFE単位と、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位と、を含むことがより好ましく、実質的にこれらの共重合単位のみからなることが更に好ましい。また、燃料低透過の観点から、エチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等のCH結合を有するモノマーを含まないことが好ましい。パーハロポリマーはゴムとの接着が通常困難であるが、本発明の構成によれば、フッ素樹脂層がパーハロポリマーからなる層であっても、フッ素樹脂層とゴム層との層間の接着は強固である。
CTFE共重合体は、全単量体単位の10〜90モル%のCTFE単位を有することが好ましい。
CTFE共重合体としては、CTFE単位、TFE単位およびこれらと共重合可能な単量体(α)に由来する単量体(α)単位を含むものが特に好ましい。
上記「CTFE単位」および「TFE単位」は、CTFE共重合体の分子構造上、それぞれ、CTFEに由来する部分(−CFCl−CF2−)、TFEに由来する部分(−CF2−CF2−)であり、上記「単量体(α)単位」は、同様に、CTFE系共重合体の分子構造上、単量体(α)が付加してなる部分である。
上記単量体(α)としては、CTFEおよびTFEと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、エチレン(Et)、ビニリデンフルオライド(VdF)、CF2=CF−ORf1(式中、Rf1は、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、CX3X4=CX5(CF2)nX6(式中、X3、X4およびX5は同一もしくは異なって、水素原子またはフッ素原子;X6は、水素原子、フッ素原子または塩素原子;nは、1〜10の整数)で表されるビニル単量体、CF2=CF−OCH2−Rf2(式中、Rf2は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体などがあげられ、なかでも、PAVE、上記ビニル単量体、及び、アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PAVE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rf2が炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF2=CF−OCH2−CF2CF3がより好ましい。
CTFE共重合体における、CTFE単位とTFE単位との比率は、CTFE単位が15〜90モル%に対し、TFE単位が85〜10モル%であり、より好ましくは、CTFE単位が20〜90モル%であり、TFE単位が80〜10モル%である。また、CTFE単位15〜25モル%と、TFE単位85〜75モル%とから構成されるものがより好ましい。
CTFE共重合体は、CTFE単位とTFE単位との合計が90〜99.9モル%であり、単量体(α)単位が0.1〜10モル%であるものが好ましい。単量体(α)単位が0.1モル%未満であると、成形性、耐環境応力割れ性および耐燃料クラック性に劣りやすく、10モル%を超えると、燃料低透過性、耐熱性、機械特性に劣る傾向にある。
フッ素ポリマー(c1)は、PCTFE又はCTFE−TFE−PAVE共重合体であることが最も好ましい。上記CTFE−TFE−PAVE共重合体とは、実質的にCTFE、TFE及びPAVEのみからなる共重合体である。PCTFE及びCTFE−TFE−PAVE共重合体は、主鎖を構成する炭素原子に直接結合した水素原子が存在せず、脱フッ化水素化反応が進行しない。従って、脱弗化水素化反応によってフッ素ポリマー中に形成される不飽和結合を利用した従来の接着性改善方法は適用できない。本発明では、ゴム層(B)が上述した好ましい加硫用フッ素ゴム組成物から形成される層であると、フッ素樹脂層(C)がCTFE−TFE−PAVE共重合体であっても、ゴム層(B)とフッ素樹脂層(C)との接着は強固である。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)などがあげられ、なかでもPMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
PAVE単位は、全単量体単位の0.5モル%以上であることが好ましく、5モル%以下であることが好ましい。
CTFE単位などの構成単位は、19F−NMR分析を行うことにより得られる値である。
フッ素ポリマー(c1)は、ポリマーの主鎖末端および/または側鎖に、カルボニル基、ヒドロキシル基、ヘテロ環基、およびアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を導入したものであってもよい。
本明細書において、「カルボニル基」は、炭素−酸素二重結合から構成される炭素2価の基であり、−C(=O)−で表されるものに代表される。上記カルボニル基を含む反応性官能基としては特に限定されず、たとえばカーボネート基、カルボン酸ハライド基(ハロゲノホルミル基)、ホルミル基、カルボキシル基、エステル結合(−C(=O)O−)、酸無水物結合(−C(=O)O−C(=O)−)、イソシアネート基、アミド基、イミド基(−C(=O)−NH−C(=O)−)、ウレタン結合(−NH−C(=O)O−)、カルバモイル基(NH2−C(=O)−)、カルバモイルオキシ基(NH2−C(=O)O−)、ウレイド基(NH2−C(=O)−NH−)、オキサモイル基(NH2−C(=O)−C(=O)−)など、化学構造上の一部としてカルボニル基を含むものがあげられる。
アミド基、イミド基、ウレタン結合、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、オキサモイル基などにおいては、その窒素原子に結合する水素原子は、たとえばアルキル基などの炭化水素基で置換されていてもよい。
上記反応性官能基は、導入が容易である点、フッ素ポリマー(c1)が適度な耐熱性と比較的低温での良好な接着性とを有する点から、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましく、さらにはアミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましい。
なかでも、国際公開第99/45044号パンフレットに記載のカーボネート基および/またはカルボン酸ハライド基を有するものが特に好ましい。
フッ素ポリマー(c1)は、ポリマーの主鎖末端または側鎖のいずれかに反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよいし、主鎖末端および側鎖の両方に反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよい。主鎖末端に反応性官能基を有する場合、主鎖の両方の末端に有していてもよいし、いずれか一方の末端にのみ有していてもよい。上記反応性官能基は、エーテル結合も有する場合、該反応性官能基をさらに主鎖中に有するものであってもよい。
フッ素ポリマー(c1)は、主鎖末端に反応性官能基を有する重合体からなるものが、機械特性、耐薬品性を著しく低下させない理由で、または、生産性、コスト面で有利である理由で好ましい。
上記反応性官能基の数は、積層するゴム層の種類、形状、接着の目的、用途、必要とされる接着力と隣接する層との接着方法などの違いにより適宜選択すればよい。
主鎖末端および/または側鎖末端にある反応性官能基の数としては、主鎖炭素数1×106個あたり3〜800個であることが好ましい。主鎖炭素数1×106個あたり3個未満であると、接着性が低下することがある。より好ましい下限は15個、さらに好ましい下限は30個、特に好ましい下限は120個である。末端の反応性官能基数の上限は、生産性の観点からたとえば200個とすることが好ましい。
上記末端の反応性官能基の数は、フッ素ポリマー(c1)の粉末をその融点より50℃高い成形温度、5MPaの成形圧力にて圧縮成形することにより得られる厚み0.25〜0.30mmのフィルムシートを、赤外分光光度計を用いて赤外吸収スペクトル分析し、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して反応性官能基の特性吸収の種類を決定し、各差スペクトルから次式により算出する個数である。
末端基の個数(上記炭素数1×106個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚(mm)
対象となる末端反応性官能基の補正係数を表1に示す。
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚(mm)
対象となる末端反応性官能基の補正係数を表1に示す。
表1の補正係数は、主鎖炭素数1×106個あたりの末端基を計算するためにモデル化合物の赤外吸収スペクトルから決定された値である。
上記反応性官能基を主鎖および/または側鎖の末端に導入する方法としては、反応性官能基含有の単量体(β)を共重合して導入する方法、反応性官能基を有するまたは生ずる化合物を重合開始剤として用いる方法、反応性官能基を有するまたは生ずる化合物を連鎖移動剤として用いる方法、フッ素ポリマーに高分子反応で反応性官能基を導入する方法、これらの方法を併用する方法などが例示できる。
共重合で反応性官能基を導入する場合の反応性官能基含有の単量体(β)としては、含フッ素ポリマー(c1)を与える単量体と共重合可能な単量体で上記反応性官能基を有するものであれば、特に制限されない。具体的には、たとえばつぎのものが例示できる。
上記単量体(β)の第1としては、国際公開第2005/100420号パンフレットに記載の脂肪族不飽和カルボン酸類があげられる。不飽和カルボン酸類は、重合性の炭素−炭素不飽和結合を1分子中に少なくとも1個有し、かつ、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を1分子中に少なくとも1個有するものが好ましい。
上記脂肪族不飽和カルボン酸としては、脂肪族不飽和モノカルボン酸であってもよいし、カルボキシル基を2個以上有する脂肪族不飽和ポリカルボン酸であってもよい。脂肪族不飽和モノカルボン酸としては、たとえば(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの炭素数3〜6の不飽和脂肪族モノカルボン酸類があげられる。
上記脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、たとえばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物またはシトラコン酸無水物などの炭素数3〜6の不飽和脂肪族ポリカルボン酸類があげられる。
上記単量体(β)の第2としては、式:
CX7 2=CY1−(Rf4)n−Z1
(式中、Z1は、上記反応性官能基;X7およびY1は、同一または異なって、水素原子もしくはフッ素原子;Rf4は、炭素数1〜40のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数2〜40の含フッ素アルキレン基またはエーテル結合を有する炭素数2〜40の含フッ素オキシアルキレン基;nは、0または1)で表される不飽和化合物があげられる。
CX7 2=CY1−(Rf4)n−Z1
(式中、Z1は、上記反応性官能基;X7およびY1は、同一または異なって、水素原子もしくはフッ素原子;Rf4は、炭素数1〜40のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数2〜40の含フッ素アルキレン基またはエーテル結合を有する炭素数2〜40の含フッ素オキシアルキレン基;nは、0または1)で表される不飽和化合物があげられる。
共重合により導入される官能基含有単量体(β)単位の含有率は、0.05モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましい。多すぎると、加熱溶融時にゲル化や加硫反応が発生しやすいため、官能基含有モノマーの上限としては5モル%が好ましく、3モル%がさらに好ましい。
フッ素ポリマー(c1)は、ポリマーの主鎖末端または側鎖末端にヘテロ環基またはアミノ基を有するものであってもよい。
ヘテロ環基とは、そのヘテロ環部位の環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよい。ヘテロ環基の中では、オキサゾリル基が好ましい。
アミノ基とは、アンモニア、第一級または第二級アミンから水素を除去した1価の官能基である。具体的には、例えば、式:
−NR4R5
R4およびR5は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜20の1価の有機基である。アミノ基の具体例としては、−NH2、―NH(CH3)、−N(CH3)2、―NH(CH2CH3)、―N(C2H5)2、―NH(C6H5)などがあげられる。
−NR4R5
R4およびR5は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜20の1価の有機基である。アミノ基の具体例としては、−NH2、―NH(CH3)、−N(CH3)2、―NH(CH2CH3)、―N(C2H5)2、―NH(C6H5)などがあげられる。
フッ素ポリマー(c1)は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等、従来公知の重合方法により得ることができる。上記重合において、温度、圧力などの各条件、重合開始剤やその他の添加剤は、フッ素ポリマー(c1)の組成や量に応じて適宜設定することができる。
フッ素ポリマー(c1)の融点は特に限定されないが、160〜270℃であることが好ましい。
フッ素ポリマー(c1)の融点は、DSC装置(セイコー社製)を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求める。MFRは、メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製)を用い、各温度、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定する。
またフッ素ポリマー(c1)の分子量は、得られる成形体が良好な機械特性や燃料低透過性などを発現できるような範囲であることが好ましい。たとえば、メルトフローレート(MFR)を分子量の指標とする場合、フッ素ポリマー一般の成形温度範囲である約230〜350℃の範囲の任意の温度におけるMFRは、0.5〜100g/10分であることが好ましい。
本発明においてフッ素樹脂層(C)は、これらのフッ素ポリマー(c1)を1種含有するものであってもよいし、2種以上含有するものであってもよい。
本発明の積層体におけるフッ素樹脂層(C)は、積層体を燃料周りの材料として使用する場合、燃料透過係数が10g・mm/m2/day以下であることが好ましく、1.0g・mm/m2/day以下であることがより好ましく、0.5g・mm/m2/day以下であることがさらに好ましい。
燃料透過係数は、イソオクタン、トルエンおよびエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒を投入した燃料透過係数測定用カップに測定対象樹脂から得たシートを組み入れ、60℃において測定した質量変化から算出される値である。
本発明において、フッ素ポリマー(c1)が特定の反応性官能基を末端に有するものであると、ゴム層(B)との接着性が向上する。したがって、耐衝撃性や強度に優れた成形品(たとえば燃料用タンクなど)を提供できる。
なお、フッ素ポリマー(c1)がパーハロポリマーである場合、耐薬品性および燃料低透過性がより優れたものとなる。パーハロポリマーとは、重合体の主鎖を構成する炭素原子の全部にハロゲン原子が結合している重合体である。
フッ素樹脂層(C)は、さらに、目的や用途に応じてその性能を損なわない範囲で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素粉末、炭素繊維、金属酸化物などの種々の充填剤を配合したものであってもよい。
たとえば、燃料透過性をさらに低減させるために、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ノントロナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト系の層状粘度鉱物や、雲母等の高アスペクト比を有する微小層状鉱物を添加してもよい。
また、導電性を付与するために、導電性フィラーを添加してもよい。導電性フィラーとしては特に限定されず、たとえば金属、炭素などの導電性単体粉末または導電性単体繊維;酸化亜鉛などの導電性化合物の粉末;表面導電化処理粉末などがあげられる。導電性フィラーを配合する場合、溶融混練して予めペレットを作製することが好ましい。
上記導電性単体粉末または導電性単体繊維としては特に限定されず、たとえば銅、ニッケルなどの金属粉末;鉄、ステンレススチールなどの金属繊維;カーボンブラック、炭素繊維、特開平3−174018号公報等に記載の炭素フィブリルなどがあげられる。
上記表面導電化処理粉末は、ガラスビーズ、酸化チタンなどの非導電性粉末の表面に導電化処理を施して得られる粉末である。
表面導電化処理の方法としては特に限定されず、たとえば金属スパッタリング、無電解メッキなどがあげられる。
導電性フィラーのなかでもカーボンブラックは、経済性や静電荷蓄積防止の観点で有利であるので好適に用いられる。
導電性フィラーを配合してなるフッ素ポリマー組成物の体積抵抗率は、1×100〜1×109Ω・cmであることが好ましい。より好ましい下限は、1×102Ω・cmであり、より好ましい上限は、1×108Ω・cmである。
また、充填剤以外に、熱安定化剤、補強剤、紫外線吸収剤、顔料、その他任意の添加剤を配合してもよい。
(D)ゴム層
本発明の積層体は、フッ素樹脂層(C)上に、ゴム層(D)を更に積層したものである。
ゴム層(D)としては、上述した、ゴム層(B)と同様のものが挙げられる。
ゴム層(D)としては、上述したゴム層(B)であれば特に限定されないが、使用する未加硫ゴムとして、ジエン系ゴム又はエピクロルヒドリンゴムであることが好ましく、アクリルブタジエンゴム又はエピクロルヒドリンゴムであることがより好ましい。
本発明の積層体は、フッ素樹脂層(C)上に、ゴム層(D)を更に積層したものである。
ゴム層(D)としては、上述した、ゴム層(B)と同様のものが挙げられる。
ゴム層(D)としては、上述したゴム層(B)であれば特に限定されないが、使用する未加硫ゴムとして、ジエン系ゴム又はエピクロルヒドリンゴムであることが好ましく、アクリルブタジエンゴム又はエピクロルヒドリンゴムであることがより好ましい。
本発明の積層体は、上述したフッ素ゴム層(A)と、ゴム層(B)と、フッ素樹脂層(C)と、ゴム層(D)とを積層することにより製造できる。
フッ素ゴム層(A)上に、ゴム層(B)が積層され、該ゴム層(B)の上に、フッ素樹脂層(C)が積層され、更に、該フッ素樹脂層(C)上にゴム層(D)が積層された積層体となるのであれば、特に積層方法は限定されない。
フッ素ゴム層(A)上に、ゴム層(B)が積層され、該ゴム層(B)の上に、フッ素樹脂層(C)が積層され、更に、該フッ素樹脂層(C)上にゴム層(D)が積層された積層体となるのであれば、特に積層方法は限定されない。
これらの層の積層は、各層を別々に成形した後に圧着などの手段で積層する方法、フッ素ゴム層(A)とゴム層(B)等を同時に成形して積層する方法等、公知の方法で行うことができる。また、フッ素樹脂層(C)の形成は、ゴム層(B)又は(D)にフッ素樹脂層を形成するための組成物を塗布することにより行ってもよい。
フッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)又はゴム層(D)の成形は、加硫用ゴム組成物を加熱圧縮成形法、トランスファー成形法、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、塗装法などにより、シート状、チューブ状などの各種形状の成形体とすることができる。
フッ素樹脂層(C)は、加熱圧縮成形、溶融押出成形、射出成形、塗装(粉体塗装を含む)などの方法により成形できる。成形には通常用いられるフッ素ポリマーの成形機、たとえば射出成形機、ブロー成形機、押出成形機、各種塗装装置などが使用でき、シート状、チューブ状など、各種形状の積層体を製造することが可能である。これらのうち、生産性が優れている点から、溶融押出成形法が好ましい。
また、後述するように、フッ素樹脂層(B)に他のポリマー層(C)を積層する場合は、多層押出成形、多層ブロー成形、多層射出成形などの成形方法を適用でき、多層チューブ、多層ホース、多層タンクなどの多層成形品とすることができる。
また、複数の層を同時に成形して積層する方法としては、フッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)及び(D)を形成する加硫用ゴム組成物、ならびに、フッ素樹脂層(C)を形成するフッ素ポリマー(c1)を用いて、多層圧縮成形法、多層トランスファー成形法、多層押出成形法、多層射出成形法、ダブリング法などの方法により成形と同時に積層する方法があげられる。この方法では、未加硫成形体であるフッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)又は(D)とフッ素樹脂層(C)とを同時に積層できるため、これらの層を密着させる工程が特に必要ではなく、また、後の加硫工程において強固な接着を得るのに好適である。
本発明の積層体において、フッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)、ゴム層(D)は、未加硫であってもよいが、さらにこの未加硫積層体を加硫することにより、強固な層間接着力が得られる。
加硫処理は、従来公知の加硫用ゴム組成物の加硫方法と条件が採用できる。たとえば、未加硫積層体を長時間加硫する方法、未加硫積層体を比較的単時間で前処理としての熱処理をし(加硫も生じている)、ついで長時間かけて加硫を行う方法がある。これらのうち、未加硫積層体を比較的単時間で前処理としての熱処理をし、ついで長時間かけて加硫を行う方法が、前処理でフッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)又は(D)とフッ素樹脂層(C)との密着性が容易に得られ、また、前処理で既にフッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)又は(D)が加硫しており形状が安定化しているので、その後の加硫における積層体の保持方法をさまざまに選択することができるので好適である。
加硫処理の条件は特に制限されるものではなく、通常の条件で行うことができるが、130〜260℃で、10分〜80時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。より好ましくは、160〜230℃で、20分〜80時間かけて行う。
前処理の加熱条件も特に制限されないが、100〜170℃で、30秒〜1時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。
本発明の積層体は、上述のように、フッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)、及び、ゴム層(D)がこの順に積層されたものである。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)が最内層であり、ゴム層(D)が最外層としたホース又はチューブであることが好ましい。このような構成とすることで、より優れた燃料バリア性、柔軟性、接着性、耐燃料性を発揮することができる。
本発明の積層体は、他の層を有していてもよい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)が最内層であり、ゴム層(D)が最外層としたホース又はチューブであることが好ましい。このような構成とすることで、より優れた燃料バリア性、柔軟性、接着性、耐燃料性を発揮することができる。
本発明の積層体は、他の層を有していてもよい。
なお、各層の厚さ、形状などは、使用目的、使用形態などによって適宜選定すればよい。
本発明の積層体の好ましい構成である、各層の主成分について、具体的に以下が挙げられる。
<構成1>
フッ素ゴム層(A):VdF系フッ素ゴム(VdF/HFP/TFE=58/22/20(モル比))
ゴム層(B):エピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製エピクロマーCG)
フッ素樹脂層(C):CTFE−TFE−PAVE共重合体(CTFE/TFE/PAVE=21.3/76.3/2.4(モル比))
ゴム層(D):エピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製エピクロマーCG)
<構成1>
フッ素ゴム層(A):VdF系フッ素ゴム(VdF/HFP/TFE=58/22/20(モル比))
ゴム層(B):エピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製エピクロマーCG)
フッ素樹脂層(C):CTFE−TFE−PAVE共重合体(CTFE/TFE/PAVE=21.3/76.3/2.4(モル比))
ゴム層(D):エピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製エピクロマーCG)
<構成2>
フッ素ゴム層(A):VdF系フッ素ゴム(VdF/HFP/TFE=58/22/20(モル比))
ゴム層(B):アクリロニトリル−ブタジエンゴム(アクリロニトリル量が42.5%)
フッ素樹脂層(C):CTFE−TFE−PAVE共重合体(CTFE/TFE/PAVE=21.3/76.3/2.4(モル比))
ゴム層(D):エピクロロヒドリンゴム(ダイソー社製エピクロマーCG)
フッ素ゴム層(A):VdF系フッ素ゴム(VdF/HFP/TFE=58/22/20(モル比))
ゴム層(B):アクリロニトリル−ブタジエンゴム(アクリロニトリル量が42.5%)
フッ素樹脂層(C):CTFE−TFE−PAVE共重合体(CTFE/TFE/PAVE=21.3/76.3/2.4(モル比))
ゴム層(D):エピクロロヒドリンゴム(ダイソー社製エピクロマーCG)
<構成3>
フッ素ゴム層(A):VdF系フッ素ゴム(VdF/HFP/TFE=58/22/20(モル%))
ゴム層(B):アクリロニトリル−ブタジエンゴム(アクリロニトリル量が42.5%)
フッ素樹脂層(C):CTFE−TFE−PAVE共重合体(CTFE/TFE/PAVE=21.3/76.3/2.4(モル%))
ゴム層(D):アクリロニトリル−ブタジエンゴム(アクリロニトリル量が42.5%)
フッ素ゴム層(A):VdF系フッ素ゴム(VdF/HFP/TFE=58/22/20(モル%))
ゴム層(B):アクリロニトリル−ブタジエンゴム(アクリロニトリル量が42.5%)
フッ素樹脂層(C):CTFE−TFE−PAVE共重合体(CTFE/TFE/PAVE=21.3/76.3/2.4(モル%))
ゴム層(D):アクリロニトリル−ブタジエンゴム(アクリロニトリル量が42.5%)
本発明の積層体、特に加硫積層体は、燃料低透過性に優れるほか、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性に優れており、また、苛酷な条件下での使用に充分耐えうるものであり、各種の用途に使用可能である。
たとえば、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系など、駆動系のトランスミッション系など、シャーシのステアリング系、ブレーキ系など、電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型および接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシールなど)などのシール、ベローズ、ダイヤフラム、ホース、チューブ、電線などとして好適な特性を備えている。
具体的には、以下に列記する用途に使用可能である。
エンジン本体の、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴム、水素貯蔵システム内の高圧弁用シール材など。
主運動系の、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなど
動弁系の、エンジンバルブのバルブステムシールなど。
潤滑・冷却系の、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットなどや、ラジエータ周辺のウォーターホース、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなど。
燃料系の、燃料ポンプのオイルシール、ダイヤフラム、バルブなど、フィラー(ネック)ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホースなどの燃料ホース、燃料タンクのインタンクホース、フィラーシール、タンクパッキン、インタンクフューエルポンプマウントなど、燃料配管チューブのチューブ本体やコネクターO−リングなど、燃料噴射装置のインジェクタークッションリング、インジェクターシールリング、インジェクターO−リング、プレッシャーレギュレーターダイヤフラム、チェックバルブ類など、キャブレターのニードルバルブ花弁、加速ポンプピストン、フランジガスケット、コントロールホースなど、複合空気制御装置(CAC)のバルブシート、ダイヤフラムなど。
吸気・排気系の、マニホールドの吸気マニホールドパッキン、排気マニホールドパッキンなど、EGR(排気際循環)のダイヤフラム、コントロールホース、エミッションコントロールホースなど、BPTのダイヤフラムなど、ABバルブのアフターバーン防止バルブシートなど、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、タービンシャフトシールなど。
トランスミッション系の、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなど、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類など。
ステアリング系の、パワーステアリングオイルホースなど。
ブレーキ系の、オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキオイルホースなど、マスターバックの大気弁、真空弁、ダイヤフラムなど、マスターシリンダーのピストンカップ(ゴムカップ)など、キャリパーシール、ブーツ類など。
基本電装品の、電線(ハーネス)の絶縁体やシースなど、ハーネス外装部品のチューブなど。
制御系電装品の、各種センサー線の被覆材料など。
装備電装品の、カーエアコンのO−リング、パッキン、クーラーホース、外装品のワイパーブレードなど。
また自動車用以外では、たとえば、船舶、航空機などの輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチーム、あるいは耐候用のパッキン、O−リング、ホース、その他のシール材、ダイヤフラム、バルブに、また化学プラントにおける同様のパッキン、O−リング、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ホース、ロール、チューブ、耐薬品用コーティング、ライニングに、食品プラント機器および食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ベルト、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブに、原子力プラント機器における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、チューブに、一般工業部品における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウエザーストリップ、PPC複写機のロールブレードなどへの用途に好適である。たとえば、PTFEダイヤフラムのバックアップゴム材は滑り性が悪いため、使用している間にすり減ったり、破れたりする問題があったが、本発明の積層体を用いることにより、この問題を改善でき、好適に使用できる。
また、食品ゴムシール材用途においては、従来ゴムシール材において着香性やゴムの欠片などが食品中に混入するトラブルがあるが、本発明の積層体を用いることにより、この問題を改善でき、好適に使用できる。医薬・ケミカル用途のゴムシール材溶剤を使用する配管のシール材としてゴム材料は溶剤に膨潤する問題があるが、本発明の積層体を用いることにより、樹脂を被覆する事で改善される。一般工業分野では、ゴム材料の強度、すべり性、耐薬品性、透過性を改善する目的において、たとえば、ゴムロール、O−リング、パッキン、シール材等に好適に用いることができる。特に、リチウムイオン電池のパッキン用途には耐薬品性とシールの両方を同時に維持できることから好適に使用できる。その他、低摩擦による摺動性が要求される用途においては、好適に使用できる。
本発明における上記積層体からなる燃料配管は通常の方法によって製造することができ、特に制限されることはない。また、本発明の燃料配管には、コルゲートチューブも含まれる。
これらの中でも、特に上記積層体は、チューブ又はホースとして好適に用いられる。すなわち、上記積層体は、チューブ又はホースであることが好ましい。
チューブの中でも、耐熱性、柔軟性、燃料低透過性の点で燃料配管チューブ又はホースであることが好ましく、なかでも自動車用燃料配管チューブ又はホースとして好適に利用できる。
チューブの中でも、耐熱性、柔軟性、燃料低透過性の点で燃料配管チューブ又はホースであることが好ましく、なかでも自動車用燃料配管チューブ又はホースとして好適に利用できる。
本発明によれば、自動車用燃料配管として必要な柔軟性、燃料バリア性、ゴム接着性及び耐燃料性を有する燃料配管チューブ等の積層体を得ることができる。
Claims (4)
- フッ素ゴム層(A)、ゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)、及び、ゴム層(D)を備えてなり、フッ素ゴム層(A)上に、順にゴム層(B)、フッ素樹脂層(C)及びゴム層(D)が積層されたことを特徴とする積層体。
- フッ素樹脂層(C)は、少なくともクロロトリフルオロエチレンに由来する共重合体単位を有するフッ素ポリマーを含有する請求項1記載の積層体。
- 燃料配管ホースである請求項1又は2記載の積層体。
- 自動車用燃料配管ホースである請求項1、2又は3記載の積層体。
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- 2013-05-22 JP JP2013108001A patent/JP2014226853A/ja active Pending
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