JP6494014B2 - エチレンプロピレンジエンゴム組成物、および該ゴム組成物を用いたホース - Google Patents
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Description
しかし、EPDMゴム組成物はガソリン、灯油、重油等の燃料油、エンジンオイルやマシンオイル等の潤滑油への耐油性が皆無であり、これらのオイルが付着する環境下では使用することができないため、その用途は限られている。
体積抵抗率が1×107Ω・cm以上であり、
試験用潤滑油(No.3油)に100℃で72時間浸漬後の体積増加率が+114%以下であり、
試験用燃料油(B)に40℃で72時間浸漬後の引張強度が4.60MPa以上であることを特徴とするEPDMゴム組成物。
2.前記(b)炭酸カルシウムの含有量が、EPDM100重量部に対して5〜15重量部であることを特徴とする1.に記載のEPDMゴム組成物。
3.前記(e)表面処理炭酸カルシウムの含有量が、EPDM100重量部に対して3〜10重量部であることを特徴とする1.または2.に記載のEPDMゴム組成物。
4.前記(a)カーボンブラックとして、粒径の異なる2種類以上のカーボンブラックを含有し、全カーボンブラックの重量部に対して、粒子径の最も大きなカーボンブラックを40%重量部以上60%重量部以下含有することを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のEPDMゴム組成物。
5.1.〜4.のいずれか1項に記載のEPDMゴム組成物を用いたゴム層を有することを特徴とするホース。
体積抵抗率が1×107Ω・cm以上であり、
試験用潤滑油(No.3油)に100℃で72時間浸漬後の体積増加率が+114%以下であり、
試験用燃料油(B)に40℃で72時間浸漬後の引張強度が4.60MPa以上であることを特徴とするEPDMゴム組成物に関する。
本発明にて使用するEPDMとしては、公知のEPDMから任意のものを選択することができる。EPDMを構成する非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、メチル−テトラヒドロインデン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエンおよび7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状の非共役ジエン、ジシクロペンタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,1−シクロオクタジエン、1,6−シクロドデカジエン、1,7−シクロドデカジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエン等の環状ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネンおよび4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエン等が挙げられる。前記非共役ジエンは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
カーボンブラックを配合することで、耐油性、耐圧縮永久歪を向上させることができる。カーボンブラックは粒子径の小さい順に、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、GPF、SRFに分類される。電気抵抗値を高くするには、粒子径が大きいカーボンブラックを用いることが好ましいが、粒子径の大きなカーボンブラックを用いると引張強度が低下してしまう。粒子径の異なる2種以上のカーボンブラックを併用すると、高電気抵抗と引張強度とを両立させることが容易になるため好ましい。また、高電気抵抗のEPDMゴム組成物とするためには、含有する全カーボンブラックの重量部に対して、粒子径の最も大きなカーボンブラックを40%重量部以上60%重量部以下含有することが好ましく、50%重量部以上60%重量部以下含有することがより好ましい。さらに、カーボンブラックは、EPDM100重量部に対して50重量部以上79重量部以下含有することが好ましく、60重量部以上78重量部以下含有することがさらに好ましい。50重量部より少ないと、耐油性、圧縮永久歪が悪化する。79重量部より多いと、体積抵抗率、耐燃料油性が悪化する。
充填剤として炭酸カルシウムを配合することで、耐燃料油性を向上させることができる。炭酸カルシウムの数平均粒子径は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。炭酸カルシウムの含有量は、EPDM100重量部に対して5重量部以上15重量部以下であることが好ましい。5重量部より少ないと、耐燃料油性が悪化する。15重量部より多いと耐油性、圧縮永久歪が低下する。
充填剤としてシリカを配合することで、耐油性、耐燃料油性を向上させることができる。シリカとしては特に制限されず、酸性シリカ、中性シリカ、塩基性シリカを任意に使用することができる。シリカの数平均粒子径は、30μm以下であることが好ましい。
シリカは、EPDM100重量部に対して10重量部以上40重量部以下含有することが好ましい。シリカの含有量が10重量部より少ないと耐油性、耐燃料油性が悪化する。40重量部より多いと圧縮永久歪が悪化する。
クレーを配合することで、体積抵抗率、耐油性、耐燃料油性、耐圧縮永久歪を向上させることができる。特に、クレーを配合することで、カーボンブラックの含有量を相対的に減らすことができるため、各種ゴム物性を保ちながら、体積抵抗率を高く維持することができる。
本発明において、クレーは、ケイ酸アルミニウムを主成分とするものであれば特に制限されることなく用いることができる。例えば、ハードクレー、ソフトクレー、焼成クレー等が挙げられる。一般に、ハードクレーは粒径2μm以下の部分が80%以上、ソフトクレーは50%前後とされている。本発明においては、クレーの中でもハードクレーを用いるのが特に好ましい。
クレーは、EPDM100重量部に対して50重量部以上100重量部以下含有することが好ましい。クレーの含有量が50重量部より少ないと、体積抵抗率、耐油性、耐燃料油性、圧縮永久歪が低下する。100重量部より多いと、圧縮永久歪が悪化する。
表面処理炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムの表面を、四級アンモニウム化合物、脂肪酸、ロジン酸、リグニン酸、シランカップリング剤、ケイ酸類等で処理したものである。
炭酸カルシウムに表面処理を施すために用いられる表面処理剤としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム化合物、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸類等が挙げられる。また、市販品としては、例えば、白石工業株式会社製、商品名「ACTIFORT 700」などを使用することができる。
表面処理炭酸カルシウムを、EPDMゴム組成物に配合することで、耐油性と圧縮永久歪を向上させることができる。表面処理炭酸カルシウムを炭酸カルシウムとともに含有することで、炭酸カルシウムの含有量を抑えることができるため、炭酸カルシウムの含有量の増加による、圧縮永久歪の悪化を防ぐことができる。
表面処理炭酸カルシウムの粒径は、5nm以上50nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。表面処理炭酸カルシウムの含有量はEPDM100重量部に対して3重量部以上10重量部以下であることが好ましい。3重量部未満では耐油性、圧縮永久歪が低下する。10重量部よりも多いと、引張強度が悪化する。
シランカップリング剤は、EPDMと結合することのできる、不飽和結合やポリスルフィド構造を有するものを利用することができる。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中で、スルフィド構造を有するポリスルフィドシランカップリング剤が好ましい。
ポリスルフィドシランカップリング剤は、アルコキシ部分が充填剤を被覆し、ポリスルフィド部分が架橋することで、充填剤とEPDMとを強固に結びつけることができる。シランカップリング剤の含有量はEPDM100重量部に対して0.1重量部以上5重量部以下であることが好ましい。0.1重量部未満では耐油性、耐燃料油性が低下する。5重量部よりも多いと、引張強度が悪化する。
さらに、本発明のEPDMゴム組成物の圧縮永久歪は、40以下であることが好ましく、38以下であることがより好ましく、36以下であることがさらに好ましい。
本発明のEPDMゴム組成物は、高電気抵抗であり、耐油性および耐燃料油性に優れているため、燃料用ホース、アルコールや油脂等を輸送するためのホース、油滴を含有するような空気等を搬送するためのホース、鉱物油やLPガス、天然ガス等の炭化水素含有液体又は気体を搬送するためのホース、あるいは親油性の流体を保管するための容器、さらには、これらの流体と接する工業用ベルト、緩衝材、防振材、シート、ブーツ等の機械部品、設備部品、建築部品、装置の部品等各種用途に使用できる。ホースとしては、EPDMゴム組成物の単層からなるホースのみならず、他のゴム層や繊維補強層等を有する多層構造のホースであってもよい。例えば、図1に示すように、内面層1が本発明のEPDMゴム組成物からなり、内面層から外側に向けて繊維補強層2、本発明のEPDMゴム組成物からなる外面層3を有するホースが挙げられる。また、搬送する流体が高圧の場合には、内面層として本発明のEPDMゴム組成物を用い、外側に向けて第1繊維補強層、中間ゴム層、第2繊維補強層及び本発明のゴム組成物からなる外面層を設けた5層からなるホースを使用できる。さらに、本発明のEPDMゴム組成物と異なる組成のゴム組成物とを加硫接着したホース、例えば内面層がNBRゴム組成物、外面層が本発明のEPDMゴム組成物からなり、内面層と外面層とを加硫接着したホースとしてもよい。もちろん、用途に応じて他のゴム組成物からなる層と組み合せた多層構造のホースも使用できる。
本発明のEPDMゴム組成物を用いてホースを製造する方法としては、公知の方法を制限することなく利用することができ、例えば、押出機を用いてマンドレルに未加硫のゴムを被覆し、これを蒸気加硫する方法が挙げられる。
内面層、繊維補強層、外面層からなるホースであれば、マンドレルに未加硫のゴムを被覆して内面層とし、編込み装置を用いて内面層の外周面に補強糸を編み込んで繊維補強層とし、さらに未加硫のゴムで被覆して外面層を形成し、この未加硫ホースを加硫することで、製造することができる。補強糸としては特に限定されず、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、アラミド系、ポリエステル系、アクリル系などの合成繊維等を利用することができる。
EPDM B :住友化学株式会社製、商品名「エスプレン505A」
軟化剤 :日本サン石油株式会社製、商品名「SUMPAR 150S」
加硫剤 A :硫黄(細井化学工業株式会社製、商品名「200Mesh」)
加硫剤 B :バイエル社製、商品名「ノックマスターR−80E」
加硫活性剤 :酸化亜鉛(ハクスイテック株式会社製、商品名「3種」)
加硫促進剤 A:大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDM−P」
加硫促進剤 B:大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーBZ−P」
加硫促進剤 C:大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーTT−P」
カーボンブラック(SRF):キャボットジャパン株式会社製、商品名「ショウブラック IP200」
炭酸カルシウム :丸尾カルシウム株式会社製、商品名「スーパーS」
シリカ :Oriental Silicas社製、商品名「TOK USIL233」
クレー :白石カルシウム株式会社製、商品名「ハードトップクレー S」
表面処理炭酸カルシウム :白石工業株式会社製、商品名「ACTIFORT700」
シランカップリング剤 :デグサ社製、商品名「Si69」
実施例、比較例で得られたゴムシートから、100mm×100mmの試験片を切り出し、JIS K6271の2重リング電極法に準拠して体積抵抗率を測定した。
測定条件は、温度23℃、湿度50%とし、印加電圧は500Vとし、電圧の印加を開始してから30秒後の値を測定した。測定は3個の試験片で行い、その相加平均値を示した。
実施例、比較例で得られた厚さ2mmのゴムシートから、ダンベル状3号形の試験片を切り出し、JIS K6251に準拠して試験片を引張速度500mm/分で引っ張り、試験片が破断した時の引張強度を測定した。測定は、4個の試験片で行い、その相加平均値を示した。
実施例、比較例で得られた厚さ2mmのゴムシートから、30mm×20mmの試験片を切り出し、JIS K6258に準拠して試験用潤滑油(No.3油)に100℃、72時間浸漬した時の体積変化を測定した。測定は、3個の試験片で行い、その相加平均値を示した。
実施例、比較例で得られた厚さ2mmのゴムシートから、30mm×20mmの試験片を切り出し、JIS K6258に準拠して試験用燃料油(B)に40℃、72時間浸漬した時の体積変化を測定した。測定は、3個の試験片で行い、その相加平均値を示した。
同様に、実施例、比較例で得られた厚さ2mmのゴムシートから切り出したダンベル状3号形の試験片を、JIS K6258に準拠して試験用燃料油(B)に40℃、72時間浸漬した後の引張強度を測定した。測定は、4個の試験片で行い、その相加平均値を示した。
実施例、比較例で得られた未加硫シートを重ねて、160℃×30分間プレス加硫することによって、JIS K6262に準拠する大形試験片を作製した。この大形試験片を用い、JIS K6262に準拠して100℃、72時間、圧縮率25%で圧縮した時の圧縮永久歪を測定した。測定は、3個の試験片で行い、その相加平均値を示した。
2.繊維補強層
3.EPDMゴム組成物からなる外面層
Claims (2)
- (a)カーボンブラック、(b)炭酸カルシウム、(c)シリカ、(d)クレー、(e)表面処理炭酸カルシウム、(f)シランカップリング剤、の(a)−(f)を少なくとも含有するEPDMゴム組成物であって、
前記(a)カーボンブラックの含有量が、EPDM100重量部に対して50重量部以上79重量部以下であり、さらに、前記(a)カーボンブラックとして、粒径の異なる2種類以上のカーボンブラックを含有し、全カーボンブラックの重量部に対して、粒子径の最も大きなカーボンブラックを40%重量部以上60%重量部以下含有し、
前記(b)炭酸カルシウムの含有量が、EPDM100重量部に対して5重量部以上15重量部以下であり、
前記(c)シリカの含有量が、EPDM100重量部に対して10重量部以上40重量部以下であり、
前記(d)クレーの含有量が、EPDM100重量部に対して50重量部以上100重量部以下であり、
前記(e)表面処理炭酸カルシウムの含有量が、EPDM100重量部に対して3重量部以上10重量部以下であり、
体積抵抗率が1×107Ω・cm以上であり、
試験用潤滑油(No.3油)に100℃で72時間浸漬後の体積増加率が+114%以下であり、
試験用燃料油(B)に40℃で72時間浸漬後の引張強度が4.60MPa以上であることを特徴とするEPDMゴム組成物。 - 請求項1に記載のEPDMゴム組成物を用いたゴム層を有することを特徴とするホース。
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