JP5576424B2 - 燃料ガスタンク - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、燃料ガスタンクにおいて燃料ガス充填管および放出管が設置されるヘッド部に、熱交換装置の一部をなすヒートパイプを貫通して設置し、このヒートパイプの一端側を燃料ガスタンクの内部であるガス貯蔵室に収容し、他端側を燃料ガスタンクの外部へ突出させて、ヒートパイプを介してガス貯蔵室と外部との間で熱交換を行う技術が開示されている。
したがって、ヒートパイプにおいて燃料ガスタンクから外部へ突出している部分は、高圧の燃料ガス圧が作用していないので耐圧的には薄肉で間に合うにもかかわらず、同一のパイプで構成されていることから、厚肉となっている。つまり、ヒートパイプ全体が高圧仕様になっていた。
また、ヒートパイプの全長が厚肉であるため、重量が大きくなるとともに、材料費が高くなるという課題もある。
そこで、この発明は、熱交換性能の向上、軽量化、コストダウンが可能な燃料ガスタンクを提供するものである。
請求項1に係る発明は、
高圧の燃料ガスが貯蔵されるガス貯蔵室(例えば、後述する実施例におけるガス貯蔵室2)を有するタンク本体(例えば、後述する実施例におけるタンク本体3)と、
一端が外部に開口し他端が前記ガス貯蔵室に開口して、外部から前記ガス貯蔵室に燃料ガスを充填するときにガス通路となる充填用管部(例えば、後述する実施例における充填用配管12、給排管14)と、
一端が前記ガス貯蔵室に開口し、他端が燃料ガスを消費する燃料ガス消費装置に接続され、前記ガス貯蔵室に貯蔵された燃料ガスを前記燃料ガス消費装置に供給するときにガス通路となる放出用管部(例えば、後述する実施例における放出用排管13、給排管14)と、
を備える燃料ガスタンク(例えば、後述する実施例における燃料ガスタンク1)において、
ガス遮蔽性を有する閉塞部材(例えば、後述する実施例におけるプラグ11)を前記タンク本体の壁部(例えば、後述する実施例における壁部6)に貫通させて該タンク本体に係脱可能に設け、
前記閉塞部材は、前記ガス貯蔵室内の燃料ガスと熱交換を行う第1の熱交換器(例えば、後述する実施例における第1の熱交換器21)と、外部に存する熱交換源(例えば、後述する実施例における熱交換源30)と熱交換を行う第2の熱交換器(例えば、後述する実施例における第2の熱交換器22)と、前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器との間の熱交換を行う熱交換部(例えば、後述する実施例におけるプラグ11の肉部)と、を備え、
前記第2の熱交換器は、車両内の少なくとも1つの前記熱交換源と熱交換可能に配置されており、
前記第2の熱交換器は、前記燃料ガス消費装置として前記車両に搭載された燃料電池から排出され廃熱を含んだ排ガスを前記熱交換源として利用することを特徴とする。
燃料電池は発電する際に発熱するので燃料電池から排出される排ガスは暖かい。その排ガスの廃熱を利用することにより、ガス貯蔵室を有効に加熱することができる。つまり、車両内の熱源を有効利用してガス貯蔵室を加熱することができる。
また、ガス貯蔵室内の高圧の燃料ガス圧が作用する第1の熱交換器は高圧仕様とし、大気圧が作用する第2の熱交換器は常圧仕様とすることができ、第2の熱交換器の耐圧部を薄肉化することができる。
このように構成することにより、充填用管部からガス貯蔵室に供給された燃料ガスを第1の熱交換器に向けて流すことができ、第1の熱交換器の周囲で燃料ガスを滞留させないようにすることができる。
このように構成することにより、第1の熱交換器を前記係合部に挿通させることができるので、閉塞部材を前記係合部に装着する作業やメンテナンス作業が容易にできる。
また、第2の熱交換器の耐圧部を薄肉化することができるので、第2の熱交換器における熱交換性能を高めることができ、ひいては燃料ガスタンク全体の熱交換性能が向上する。また、燃料ガスタンクの軽量化、コストダウンを図ることができる。
請求項2に係る発明によれば、第1の熱交換器の周囲で燃料ガスを滞留させないようにすることができるので、第1の熱交換器と燃料ガスとの熱交換を効率よく行わせることができる。
請求項3に係る発明によれば、第1の熱交換器を前記係合部に挿通させることができるので、閉塞部材を前記係合部に装着する作業やメンテナンス作業が容易になる。
初めに、第1実施例における燃料ガスタンク1を図1から図3を参照して説明する。
燃料ガスタンク1は、燃料ガスである水素ガスを高圧(例えば、35MPaG)で貯蔵可能な耐圧性を有している。
図1に示すように、燃料ガスタンク1は、両端が半球状の円筒ボンベ状をなし、内部が燃料ガスを貯蔵するガス貯蔵室2となっているタンク本体3を備えている。
タンク本体3の両球殻部4,5の中央には、互いに対向する位置に、それぞれの壁部6を貫通する筒状の口金7,8が固定されている。口金7,8の内側はねじ孔(係合部)9となっており、ねじ孔9の一端はタンク本体3の外部に開口し、他端はガス貯蔵室2内に開口している。各口金7,8のねじ孔9にはそれぞれガス遮蔽性を有するプラグ(閉塞部材)10,11が螺着されている。プラグ10,11はメンテナンスなど必要に応じて口金7,8から取り外し、再び装着することができる。つまり、プラグ10,11は口金7,8に対し係脱可能になっている。プラグ10,11のヘッド部10a,11aは断面六角形をなし、口金7とヘッド部10aの間および口金8とヘッド部11aの間は、シール部材15によってシールされている。
第1の熱交換器21は、複数本(この実施例では4本)の直線状のヒートパイプ23と、これらヒートパイプ23に掛け渡された多数のフィン24とから構成されている。4本のヒートパイプ23は,その軸心がタンク本体3の軸心と平行に配置されるとともに、図2に示すように軸心方向から見て同心状に配置されており、各ヒートパイプ23の一端がプラグ11の雄ねじ部11bに埋め込まれ、他端をガス貯蔵室2内に突出させている。なお、タンク本体3の軸心とは、両球殻部4,5の中心同士を結ぶ線、換言すると、口金7,8のねじ孔9,9の中心を結んだ線である。
例えば、燃料電池車両では、燃料ガス消費装置としての燃料電池によって発電した電力で走行用モータを駆動して走行するが、燃料電池は発電する際に発熱するので燃料電池から排出される空気排ガスは暖かい。そこで、この空気排ガスが流通するエキゾーストパイプ31とヒートパイプ25の一端を熱的に結合することにより、燃料電池から排出される空気排ガスの廃熱をガス貯蔵室2の加熱源に利用することができる。
第2実施例における燃料ガスタンク1を図4を参照して説明する。
第2実施例の燃料ガスタンク1は、燃料ガス充填時の冷却が不要で、ガス貯蔵室2から燃料ガスを放出するときにガス貯蔵室2の加熱のみが必要な場合を前提とする。つまり、熱交換源30を加熱装置で構成した例である。
第2実施例の場合には、電気ヒータ32にはガス貯蔵室2内の燃料ガス圧が作用しないので、電気ヒータ32が常圧仕様で間に合い。これは、高圧仕様の電気ヒータをガス貯蔵室2内に設ける場合に比べて有利である。
その他の作用、効果は前述した第1実施例の場合と同じであるので説明を省略する。
第3実施例における燃料ガスタンク1を図5を参照して説明する。
第3実施例の燃料ガスタンク1では、例えば車両に搭載されたパワープラントや電装ユニットを温度調節する温調装置を利用して、燃料ガス充填時にはガス貯蔵室2を冷却し、ガス貯蔵室2から燃料ガスを放出するときにガス貯蔵室2を加熱する。
前述した第1実施例における燃料ガスタンク1との相違点は、第3実施例では、第2の熱交換器22が温調装置40で構成されており、ヒートパイプ25を備えていない。
温調装置40をパワープラント41の加熱・冷却に利用する通常の使用状態では、バルブV2を開き、バルブV1を閉じる。これにより、冷却液はパワープラント41にのみ流通し、第1熱交換部44には流通しない。
これにより、ガス貯蔵室2への燃料ガス充填時にガス貯蔵室2内の温度が上昇したときには、ガス貯蔵室2の熱がヒートパイプ23を介してプラグ11に移動し、さらにプラグ11と第1熱交換部44との間の熱交換によって冷却液に移動する。第1熱交換部44において加熱された冷却液は、パワープラント41を流通した冷却液と合流して、第2熱交換部46を通過する際にラジエターファン45の送風によって冷却される。したがって、ガス貯蔵室2内の熱を外部に放熱することができ、ガス貯蔵室2内の燃料ガスを冷却することができる。
なお、第1熱交換部44において熱を奪われた冷却液は、パワープラント41を流通した冷却液と合流することにより加熱される。
このように、車両に搭載された温調装置40をガス貯蔵室2の加熱、冷却の熱源とすることにより、車両内の熱源を有効利用することができる。
第4実施例における燃料ガスタンク1を図6を参照して説明する。
第4実施例の燃料ガスタンク1では、例えば車両に搭載された空調装置の冷熱を利用して、燃料ガス充填時にガス貯蔵室2を冷却可能とする。
前述した第1実施例における燃料ガスタンク1との相違点は、第4実施例では、第2の熱交換器22が空調装置50で構成されており、ヒートパイプ25を備えていない。
そして、ガス貯蔵室2への燃料ガス充填時にガス貯蔵室2内を冷却する場合に、バルブV3を開く。これにより、空調用冷媒循環路51を循環する冷媒の一部が、バイパス路54に流通するようになる。ガス貯蔵室2への燃料ガス充填時にガス貯蔵室2内の温度が上昇すると、ガス貯蔵室2の熱がヒートパイプ23を介してプラグ11に移動し、さらにプラグ11と第1熱交換部55との間の熱交換によって第1熱交換部55を流通する冷媒に移動する。第1熱交換部55において加熱された冷媒は、第2熱交換部53を流通した冷媒と合流して、エアコンユニット52に戻り、冷却される。したがって、ガス貯蔵室2内の熱を外部に放熱することができ、ガス貯蔵室2内の燃料ガスを冷却することができる
このように、車両に搭載された空調装置50をガス貯蔵室2の冷熱源とすることにより、車両内の熱源を有効利用することができる。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、第1の熱交換器21を構成するヒートパイプ23の本数は4本に限るものではなく、適宜変更可能である。
また、燃料ガスは水素ガスに限らず、天然ガスであってもよい。燃料ガス消費装置は燃料電池に限らない。
2 ガス貯蔵室
3 タンク本体
6 壁部
9 ねじ孔(係合部)
11 プラグ(閉塞部材、熱交換部)
12 充填用配管(充填用管部)
13 放出用配管(放出用管部)
14 給排管(充填用管部、放出用管部)
21 第1の熱交換器
22 第2の熱交換器(熱交換部)
23 ヒートパイプ
25 ヒートパイプ
30 熱交換源
31 エキゾーストパイプ
32 電気ヒータ(熱交換源)
40 温調装置
44 第1熱交換部(熱交換源)
50 空調装置
55 第1熱交換部(熱交換源)
Claims (4)
- 高圧の燃料ガスが貯蔵されるガス貯蔵室を有するタンク本体と、
一端が外部に開口し他端が前記ガス貯蔵室に開口して、外部から前記ガス貯蔵室に燃料ガスを充填するときにガス通路となる充填用管部と、
一端が前記ガス貯蔵室に開口し、他端が燃料ガスを消費する燃料ガス消費装置に接続され、前記ガス貯蔵室に貯蔵された燃料ガスを前記燃料ガス消費装置に供給するときにガス通路となる放出用管部と、
を備える燃料ガスタンクにおいて、
ガス遮蔽性を有する閉塞部材を前記タンク本体の壁部に貫通させて該タンク本体に係脱可能に設け、
前記閉塞部材は、前記ガス貯蔵室内の燃料ガスと熱交換を行う第1の熱交換器と、外部に存する熱交換源と熱交換を行う第2の熱交換器と、前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器との間の熱交換を行う熱交換部と、を備え、
前記第2の熱交換器は、車両内の少なくとも1つの前記熱交換源と熱交換可能に配置されており、
前記第2の熱交換器は、前記燃料ガス消費装置として前記車両に搭載された燃料電池から排出され廃熱を含んだ排ガスを前記熱交換源として利用することを特徴とする燃料ガスタンク。 - 前記第1の熱交換器は、前記ガス貯蔵室内の前記充填用管部と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料ガスタンク。
- 前記第1の熱交換器は、前記閉塞部材が前記タンク本体に係合する係合部の内径よりも内側の範囲に収まっていることを特徴とする請求項1に記載の燃料ガスタンク。
- 前記第2の熱交換器は、前記排ガスが流れるエキゾーストパイプと熱交換可能に接していることを特徴とする請求項1に記載の燃料ガスタンク。
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