JP5575440B2 - 表皮材およびこれを用いた触感が改善された複合成型体 - Google Patents

表皮材およびこれを用いた触感が改善された複合成型体 Download PDF

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Description

本発明は、成型体の触感を改善することのできる表皮材に関し、詳しくは、ウレタン(メタ)アクリレートから形成された柔軟ポリマー層を有する表皮材およびこれを用いた触感が改善された複合成型体に関するものである。
成型体の表面性状を改善するために、予め成型しておいた樹脂成型体を装入した金型内に、液状シリコーンゴム組成物を射出成型して硬化させるインサート成型が行われている(例えば、特許文献1等)。しかし、特許文献1等で行われている方法では、樹脂の成型工程と液状シリコーンゴムの射出成型工程とが必要であり、金型の複雑化を招いたり、成型サイクルが長時間となる等の問題がある。また、シリコーンゴムと樹脂成型体の密着性が劣っていたり、高度な加飾を施すとゴム層の触感が低下するため、意匠性にも劣っていた。さらに、シリコーンゴムに含まれる低分子量成分が表面にブリードアウトして、ゴム層の上に印刷を施す場合や他の層を積層する場合に、インキ密着力や層間密着力を阻害する要因となっていた。
一方、フィルムを金型内に入れておき、次いで、樹脂を射出成型することにより、フィルムと樹脂とが一体化した成型体を得ることのできるフィルムインサート成型が注目されている(特許文献2および3等)。フィルムインサート成型では、フィルム内側に加飾を施しておけるため、意匠性の高い成型体が一気に得られるという利点があり、成型サイクルも短時間で済むため、高効率に高意匠性の成型体を大量生産することができる。
しかし、特許文献2で開示された方法で得られる成型品は、プラスチックフィルムの触感となり、柔らかさやしっとり感、あるいはさらさら感等は望めない。また、ポリウレタンフィルムを用いれば、柔らかさは付与できるが、さらさら感等は望めない。さらに、ポリウレタンフィルムを用いた場合は、ポリウレタンフィルムの耐光性が劣るので黄変するという問題がある。
一方、特許文献3に開示されている方法においては、表層が皮革となるために触感はそれなりに良好であるが、皮革が不透明であるために、表皮材の反対面に加飾層を設けて意匠性を高める等の方法を採ることができない。
また、熱可塑性保護フィルム層の上に、電磁線を照射することによって硬化し得るクリヤー層が積層され、このクリヤー層の上にさらに着色層が積層された絞り比が1.5以下の三次元成形品を加飾するための積層フィルムが知られている(例えば、特許文献4等)。この特許文献4では、成形品の表面は熱可塑性保護フィルム層となるため、プラスチックフィルムの触感となり、柔らかさやしっとり感、あるいはさらさら感等は望めない。
特許文献5,6には、硬質プラスチックフィルムの触感を改善するために、シリコーンゴム層とプラスチックフィルムとを複合したゴム複合フィルムが開示されている。これらの特許文献5や6において開示されている方法は、特許文献1において開示されている技術と同様に、シリコーンゴムに含まれる低分子量成分が表面にブリードアウトして、ゴム層の上に印刷を施す場合や他の層を積層する場合に、インキ密着力や層間密着力を阻害する要因となる。
特開2001−240746号公報 特開2005−305786号公報 特開2006−175639号公報 特開2002−240202号公報 特開平10−226022号公報 特開2002−178478号公報
上記従来技術を踏まえ、本発明では、成型体の硬い触感を、柔らかく、しっとりと、かつ、さらさらした触感にすることのできる表皮材の提供を課題として掲げた。
上記課題を解決した本発明の表皮材は、基材フィルムの片面に、ウレタン(メタ)アクリレート組成物を架橋させた柔軟ポリマー層が形成された表皮材であって、この柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが0.2〜1.3N/mm2であり、かつ表面粗さ(Ra)が0.15〜1.0μmであることを特徴とする。
柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力が、二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力の18〜54%であることが好ましく、この柔軟ポリマー層は活性エネルギー線により架橋されていることが好ましい。また、ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリイソシアネート化合物、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む原料から得られたものであることも、本発明の好適な実施態様である。さらに、基材フィルムは二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明の表皮材では、基材フィルム側に、加飾層が形成されていてもよく、また、接着性改良層が形成されていてもよい。基材フィルム表面に加飾層が形成され、加飾層表面に接着性改良層が形成されていることが好ましい。
本発明には、上記本発明の表皮材を、柔軟ポリマー層が成型体の最表面になるように金型に挿入し、次いで、金型を閉じて樹脂を注入し、インサート成型してなるものであることを特徴とする触感が改善された複合成型体も含まれる。
本発明の表皮材は、例えば、成型体の表面にこの表皮材を貼着したり、あるいは、この表皮材を用いてフィルムインサート成型を行うことで、成型体の硬い触感を、柔らかく、しっとりと、かつ、さらさらした触感にすることができた。本発明では、活性エネルギー線を用いてウレタン(メタ)アクリレートを架橋するため、高性能な表皮材を短時間で製造することができる。
本発明の表皮材は、携帯電話、モバイルパソコン、携帯ゲーム機、携帯オーディオ機器等の筐体、保護ケース、キーパッド等;OA機器や家電の筐体や部材;インパネ、ハンドル等の自動車内装部材等に貼着したり、これらをインサート成型によって製造する際の表皮材として有用であり、本発明の複合成型体は、携帯電話、モバイルパソコン、携帯ゲーム機、携帯オーディオ機器等の筐体、保護ケース、キーパッド等;OA機器や家電の筐体や部材;インパネ、ハンドル等の自動車内装部材として利用することができる。
本発明の表皮材は、架橋されたウレタン(メタ)アクリレートから形成された柔軟ポリマー層が機材フィルムの片面に形成されたものである。この表皮材を成型体に貼着したり、柔軟ポリマー層が型に当接するように型内に表皮材を置いた後、樹脂を射出成型して一体化させることにより、触感が改善された複合成型体を得ることができる。以下の説明における「成型体」とは、表皮材を含まない成型後の樹脂硬化物を意味し、「複合成型体」とは、本発明の表皮材と成型体とが一体となっている複合体を意味する。
[基材フィルム]
本発明の表皮材は、基材フィルムを構成要素とする。基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルおよびその変成体;ポリカーボネート;ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂;ポリスチレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン重合体等のポリオレフィンおよびその変成体;トリアセチルセルロース;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。なかでも、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては特に限定されないが、例えば、ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加等の方式によりキャスティングドラムに密着させて冷却固化させ、未延伸シートを得た後、未延伸シートを延伸すればよい。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。
基材フィルムの厚みは、10〜300μm程度が好ましく、より好ましくは70〜260μmである。フィルム厚が10μm未満では機械的強度が不足し、ハンドリングが難しくなるため好ましくない。一方、厚みが300μmを超えると、基材フィルムの剛性が高くなり過ぎて、成型体の形状に対する追従性が悪化することがあるので好ましくない。
基材フィルムには、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理等の公知の接着性向上処理を行ってもよい。また、基材フィルムとして、予め、易接着処理が施されたフィルムを用いてもよい。易接着処理は両面に施されていることが好ましい。さらに、基材フィルムには、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機または無機微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤等が添加されていてもよい。
[ウレタン(メタ)アクリレート組成物]
[ウレタン(メタ)アクリレート]
本発明の表皮材の柔軟ポリマー層は、特定のウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物を架橋させて形成される。このウレタン(メタ)アクリレートの原料組成は、後述の特性を満たせば特に限定されない。例えば、ポリイソシアネート化合物、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の分子中に少なくとも一個以上のヒドロキシル基を含有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびポリオール化合物を含む原料からなることが好ましい実施態様である。
上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの使用が好ましい。また、ポリオール化合物としてはポリカプロラクトンポリオールの使用が好ましい。
ポリカプロラクトン鎖の導入により、得られるウレタン(メタ)アクリレート架橋体に適度な柔軟性と硬度を付与することができ、後述のマルテンス硬度を適度な範囲にすることが容易となる。また、表面粗さを後述の範囲にすることで、しっとり感とさらさら感のバランスを採ることが可能となる。
特に、ポリカプロラクトンポリオール/ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(質量比)が0.1/1.0〜6.0/1.0の範囲が好ましく、0.2/1.0〜4.5/1.0がより好ましい。この範囲を満たすことにより、ウレタン(メタ)アクリレート架橋体に、適度なブロック性を付与することができ、後述の好ましい特性を安定して得ることができる。例えば、0.1/1.0未満では、硬度が高くなりしっとり感が不足する。逆に、6.0/1.0を超えた場合は、硬度が低くなり過ぎてさらさら感が低下するので好ましくない。以下、より詳細に、ウレタン(メタ)アクリレートの原料を説明する。
[ポリイソシアネート化合物]
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。具体的には、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のジイソシアネート類;これらのイソシアヌレート変性体、アダクト変性体、ビュレット変性体、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネート類が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を用いることができる。
上記ポリイソシアネート化合物の配合割合は特に限定されない。後述の特性を満たす範囲で適宜設定すれば良い。例えば、ポリイソシアネート化合物の配合割合は、ポリカプロラクトンポリオールと、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの合計量に対して質量比で0.05〜0.7が好ましく、0.1〜0.65がより好ましい。
[ポリカプロラクトンポリオール]
本発明では、ウレタン(メタ)アクリレートの合成に、ポリカプロラクトンポリオールを用いる。ポリカプロラクトンポリオールとしては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオールが使用可能である。分子量は500程度から4000程度のものを用いることが好ましい。ポリカプロラクトンポリオールは1種を用いても、2種以上を用いても構わない。
ポリカプロラクトンポリオールの使用によってポリオールの鎖長を長くすることで、柔軟ポリマー層に柔らかさとしっとり感とを付与することができる。
[ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート]
本発明では、下記式(1)で表されるカプロラクトンで変性されたヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを、ウレタン(メタ)アクリレートの合成に用いることが好ましい。
[式中、R1は水素またはメチル基、R2は分岐していてもよいアルキレン基、nは1〜25の整数を表す。]
カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにおいては、(メタ)アクリロイル基と、末端ヒドロキシ基との間には、カプロラクトン由来のペンチレン基がカプロラクトンを付加したモル数分、酸素を介して連結するため、(メタ)アクリロイル基と末端ヒドロキシル基との間の距離が長くなる。従って、例えば、ウレタンの両末端にカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させた場合、両末端の(メタ)アクリロイル基の距離が非常に長くなり、ウレタン(メタ)アクリレートに電子線照射して(メタ)アクリロイル基を反応させると、架橋点間距離が長い硬化ポリマーが形成される。これにより、柔軟ポリマー層に、柔らかさとしっとり感を与えることができる。
上記式(1)のR2は、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、nは2〜5が好ましい。
[その他の原料]
ウレタン(メタ)アクリレートの合成に当たっては、カプロラクトン変性されていないヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを併用してもよい。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ポリカプロラクトン部分を有さない長鎖アルキルアルコールも好ましい併用相手として挙げられる。例えば、トリデカノール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等が挙げられる。長鎖アルキルとしては炭素数が13〜25のものが好ましい。
[ウレタン(メタ)アクリレートの合成]
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物と、ポリカプロラクトンポリオールを混合して両者を反応させた後、さらにポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを加えて反応させることにより得られる。反応温度は常温〜100℃であるのが好ましく、反応時間は1〜50時間であるのが好ましい。
上記両反応は、無溶剤系で行うこともできるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が、単独で、または混合して、用いられる。
また、上記両反応は、希釈用モノマー、例えば、スチレン、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の中で行うこともできる。
また、ポリカプロラクトン部分を有さない長鎖アルキルアルコールをポリカプロラクトンポリオールと併用する場合、両者のヒドロキシ基の合計量が、上記のポリカプロラクトンポリオールのヒドロキシ基の好適量の範囲に入るようにする。同様に、カプロラクトン変性されていないヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートをポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと併用する場合は、両者のヒドロキシル基の合計量が、上記のポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのヒドロキシ基の好適量の範囲に入るようにする。
ウレタン(メタ)アクリレートの合成に際しては、必要に応じて、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチルスズサルファイト等の触媒を使用してもよい。触媒の添加量は、0.01〜1質量部であるのが好ましく、0.1〜0.5質量部であるのがより好ましい。また、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤の添加量は、0.01〜1質量部であるのが好ましい。
[希釈用モノマー]
ウレタン(メタ)アクリレートを基材フィルムに塗布するに当たっては、ウレタン(メタ)アクリレートの合成で生成したウレタン(メタ)アクリレート溶液をそのまま塗布することもできるが、高粘度である場合は、前記した反応溶媒で希釈することができる。また、ウレタン(メタ)アクリレートの合成で生成したウレタン(メタ)アクリレート溶液に希釈用モノマーを加えたウレタン(メタ)アクリレート組成物を用いてもよい。希釈用モノマーとしては、、(メタ)アクリロイル基を有する単官能または多官能のモノマーやオリゴマーが挙げられる。
具体的には、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エトキシヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N―ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の単官能性のモノマー;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等の二官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性のモノマー;不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーが挙げられる。
希釈用モノマーは、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、5〜50質量部の範囲で用いるとよい。
[光重合開始剤]
本発明では、ウレタン(メタ)アクリレートの架橋を光照射で行う場合は、光重合開始剤を添加するのが好ましい。この、光重合開始剤の種類は特に限定されず、公知のものが使用可能であり、代表的な例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン等が挙げられる。これらを単独で用いても、複数種併用してもよい。光重合開始剤を使用する場合のその添加量は、得られるウレタン(メタ)アクリレート組成物の固形分100質量%中、1〜10質量%が好ましく、3〜5質量%がより好ましい。
[ウレタン(メタ)アクリレート組成物層]
ウレタン(メタ)アクリレート組成物層を基材フィルムに積層する方法は従来公知の方法を任意に選択すればよく、例えば、上記組成物を基材フィルムに塗工、乾燥する方法;基材フィルム上に上記組成物を高圧下で押出す方法;カレンダー法等が挙げられる。塗工する場合は、各種の塗工方法、例えば、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、リバースキスコート法、ダイコート法、スプレーコート法等を用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート組成物層の厚みは、5〜200μmが好ましい。10〜150μmがより好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。厚みが5μm未満では、触感改善効果が低下するので好ましくない。逆に、200μmを超えた場合は触感改善効果が飽和し、経済的に不利になるので好ましくない。
[架橋]
本発明では、ウレタン(メタ)アクリレート組成物の架橋方法は特に限定されない。例えば、熱架橋であってもよいし、活性線架橋であってもよい。活性線架橋の方が好ましく、光、電子線やγ線等のような高エネルギーの活性エネルギー線を照射して、ウレタン(メタ)アクリレートを架橋させるのが好ましい。高エネルギーの活性エネルギー線による方法は、過酸化物等のラジカルを発生させるための添加物を配合する必要がない。このため、架橋用触媒等を添加した後のウレタン(メタ)アクリレート組成物のポットライフを考慮する必要もなく、過酸化物等の添加物の残渣による被着体の汚染や柔軟ポリマー層の物性低下が抑制され、短時間で効率的に架橋が完了するため生産性が高くなる等のメリットがある。活性エネルギー線の中では、電子線架橋法が、照射装置(EB照射装置)の入手しやすさから好適である。EB照射装置における電子線照射量としては、5〜50Mradの範囲が好ましい。電子線照射量を5Mrad以上とすることにより、ウレタン(メタ)アクリレートの架橋反応を促進できる。一方、電子線照射量を50Mrad以下にすることにより、架橋反応の過度の進行による弾性の低下を抑制することができる。
[表面粗さRaと目付けフィルム]
本発明の表皮材は、柔軟ポリマー層の表面粗さ(Ra)が0.15〜1.0μmでなければならない。Raが0.15μmより小さいと、ぬめり感が増大して、さらさらとした触感が出にくい。また、Raが1.0μmを超えると、ざらつき感が増大して触感改善効果が低下するので好ましくない。Raは、0.20〜0.80μmがより好ましい。
なお本発明では、表面粗さRaは、中心線平均粗さRa(JIS B0601:'82)のことであり、小坂研究所製の表面粗さ測定機「SE−3C」を用い、縦倍率:2000〜10000、カットオフ:0.25mm、測定長:8mm、測定速度:0.5mm/分の条件で測定した値を採用する。
柔軟ポリマー層の表面粗さを上記範囲にするためには、目付け用フィルムを用いた目付け法を採用するのが好ましい。すなわち、所定の表面粗度のフィルムや布帛からなる目付け材を、活性エネルギー線照射前に未架橋状態のウレタン(メタ)アクリレート組成物層表面に重ね、目付け材の表面形状を組成物層表面に転写する方法である。目付け材としては、例えば、マット加工やエンボス加工を施したポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルムや、ナイロンタフタやポリエステルタフタ等のフィラメント織物が挙げられる。目付け材は、これらに限定されるわけではないが、マット加工やエンボス加工を施したポリエステルフィルム(以下、目付け用ポリエステルフィルムということがある。)を用いるのが好ましい実施態様である。
目付け材のマット加工面やエンボス加工面に、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩等の界面活性剤の水溶液を塗布してから、目付けを行うことが好ましい。目付け用ポリエステルフィルムを目付け加工後に剥離する際に、界面活性剤によって剥離力が低減されるので、スムーズな剥離が可能となる。
目付け材をウレタン(メタ)アクリレート組成物層に貼付した後は、活性エネルギー線を照射して架橋を行うが、この場合は、その照射を基材フィルム側から行うことも剥離をスムーズにする一方法であり、この場合は柔軟ポリマー層と基材フィルムの接着力も向上する点で好ましい。
[マルテンス硬度]
本発明の柔軟ポリマー層は、マルテンス硬さが0.2〜1.3N/mm2でなければならない。マルテンス硬さ(ISO 14577)は、試験荷重が付加された状態で測定される硬さであり、負荷増加時の荷重−押し込み深さ曲線の値から求められる。本発明では、柔軟ポリマー層の柔らかさを表す指標としてマルテンス硬さを選択した。人の触感と良好に対応していたからである。
柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが0.2N/mm2より小さいと、柔らかくなり過ぎてさらさら感が不足するので好ましくない。柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが1.3N/mm2を超えると、硬い触感しか得られず、しっとり感が不足するので好ましくない。マルテンス硬さは、0.2〜0.8N/mm2がより好ましい。マルテンス硬さをこれらの範囲に調整する方法は特に限定されないが、柔軟ポリマー層の組成設計で対応するのが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート組成物の組成を前記した好適範囲にすると共に、架橋条件を前記した好適条件とするのが特に好ましい実施態様である。
なお、本発明では、マルテンス硬さは、ダイナミック超微小硬度計「DUH−211」(島津製作所製)を用いて、後述する条件で測定した値を採用した。
[摩擦抵抗力]
本発明の柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力は、二軸延伸ポリエステルフィルムと比較したときに、二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力の18〜54%であることが好ましい。この摩擦抵抗力は、「ポータブル触感計」(新東科学社製)で測定される値であり、本発明では、柔軟ポリマー層を指で触ったときのしっとりとした感じを表す指標として用いた。柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力が二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力の18%より小さいと、しっとり感を通り越して、指が付着しそうな不適な感触となるおそれがある。逆に、54%を超える、すなわち、柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力が二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力に近づいていくと、しっとり感が不足し、つるつるとした感覚となるので、好ましくない。柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力は、二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力の18〜50%であることがより好ましい。
摩擦抵抗力をこれらの範囲に調整する方法は特に限定されないが、柔軟ポリマー層の組成設計と表面粗さ設計で対応するのが好ましく、さらに、ウレタン(メタ)アクリレート組成物の組成を前記した好適範囲にすると共に、架橋条件を前記した好適条件とするのが特に好ましい実施態様である。なお、比較対象の二軸延伸ポリエステルフィルムとしては、高平滑、高透明の両面易接着処理済みポリエステルフィルムである「コスモシャイン(登録商標)A4300」(東洋紡績社製;厚み125μm)を用いた。
[加飾層]
本発明の表皮材には、基材フィルム表面(柔軟ポリマー層形成面の反対側)に加飾層を設けることが望ましい。高度な意匠性を有する複合成型体が、表皮材を成型体に貼着する工程や、インサート(射出)成型工程のみで製造することができる。加飾層としては、印刷層、金属薄膜層、無機薄膜層等が挙げられ、これらのうちの1層以上を形成することが好ましい。加飾層は、基材フィルムの柔軟ポリマー層と反対側の面に形成する。
印刷層の形成には、グラビア印刷、平板印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、パット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を製品形状や印刷用途に応じて使用することができる。特に多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷やグラビア印刷が適している。また、表皮材が、複雑な形状に成型するインサート成型に用いられる場合は、延展性に優れた印刷インキを用いることが好ましく、バインダー樹脂がポリウレタン樹脂等の柔軟な樹脂を主成分とするインキが好ましい。
また、加飾層は、印刷層だけでなく、金属または金属酸化物の薄膜層であってもよく、印刷層と、金属(酸化物)の薄膜層との組合せからなるものでもよい。金属または金属酸化物の薄膜層を形成すると、樹脂成型体への水蒸気や酸素の透過が抑制されるため、樹脂成型体の耐久性等を向上させることができる。金属(酸化物)の薄膜層を形成する方法としては、例えば、蒸着法、溶射法、メッキ法等が挙げられる。
蒸着法としては、物理蒸着法、化学蒸着法のいずれも使用できる。物理蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング等が例示される。化学蒸着(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等が例示される。溶射法としては、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が例示される。メッキ法としては、無電解メッキ(化学メッキ)法、溶融メッキ法、電気メッキ法等が挙げられ、電気メッキ法においては、レーザーメッキ法等も使用することができる。上記の中でも、蒸着法およびメッキ法が金属層を形成する上で好ましく、蒸着法が金属酸化物層を形成する上で好ましい。また蒸着法とメッキ法は組み合わせて使用することができる。
蒸着に用いる金属としては、アルミニウム、クロム、銀、金、およびこれらの併用あるいは合金系が好ましい。表皮材用フィルムが、複雑な形状に成型するインサート成型に用いられる場合は、延展性に優れた金属が好ましく、例えば、アルミニウムにインジウム等を配合したものが好ましい。
また、加飾層に、部分的に金属(酸化物)の薄膜層を形成する場合は、薄膜層を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上の全面に薄膜層を形成し、溶剤洗浄を行って、溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去すればよく、この場合によく用いられる溶剤は、水または水と親水性溶剤との混合溶液である。別の方法としては、全面的に金属(酸化物)薄膜を形成し、次にこの薄膜を残しておきたい部分にレジスト層を形成し、酸またはアルカリで薄膜のエッチングを行い、最後にレジスト層を除去する方法が挙げられる。
[接着性改良層]
本発明で用いる表皮材には、必要に応じて、基材フィルム表面あるいは加飾層表面に、インサート成型時における成型体との接着性を高めるための接着性改良層を設けてもよい。すなわち、接着性改良層は、加飾層が設けられていない場合には基材フィルム表面に、加飾層が設けられている場合には加飾層表面に、設けることができる。
この接着性改良層に用いられる接着剤は、表皮材用フィルムと成型体との接着性を高める機能を有するものであれば特に限定されない。例えば、熱硬化タイプやホットメルトタイプ等が使用可能である。
熱硬化タイプとしては、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等を使用することができる。架橋剤も特に限定されず、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が使用可能である。硬化のためのエージング条件は特に限定されないが、例えば、温度が45〜65℃であり、時間が20〜48時間であることが好ましい。エージング時間が短すぎる場合や温度不足であると、インサート成型時に接着剤層が流されて、波状の波紋が残ったり、透明性を妨げるおそれがある。また、逆にエージングが過ぎると、接着性を損ね、浮きを生じ、たとえこれらの不都合が室温で現れなくても、耐熱性を損ねてしまうことがある。
ホットメルトタイプとしては、天然ゴム系、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)等の樹脂エラストマー、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリ酢酸ビニル系等の各種熱可塑性樹脂が例示できる。さらに接着性を高めるような各種官能基あるいは極性基、例えばカルボキシル基や酸無水物基等を含むように変性された樹脂が、より好ましい。これらの変性は公知の方法で行うことができる。
上記接着性改良層の厚みは特に限定されないが、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。1μm未満では接着性改良効果が低下するので好ましくない。逆に100μmを超えた場合は、接着性向上効果が飽和し、かつ耐熱性等が低下する場合がある。また、経済的にも不利になる。
上記接着性改良層の形成方法も限定されない。例えば、接着剤を溶液にして塗工して形成してもよいし、接着剤用樹脂を溶融押し出しして、形成してもよい。また、接着剤よりなるシートを重ね合わせて用いてもよい。
[複合成型体]
本発明の表皮材を用いて、樹脂成型体と複合させることで、触感の改善された複合成型体が得られる。成型体を構成する樹脂は、市場要求等により適宜選択され、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;各種アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等が挙げられ、これらのブレンド物やアロイ組成物等も使用可能である。
熱硬化性樹脂の具体例としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中では、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。上記樹脂中には、公知の強化繊維を含めてもよい。
成型体との複合に際しては、3種類の方法がある。(1)インサート成型を行う方法、(2)表皮材が有する粘着層を利用する方法、(3)別体の両面粘着シートを用いる方法である。
(1)のインサート成型を行う方法においては、表皮材に粘着層を形成しておく必要性はない。接着性改良層は設けておく方が望ましい。成型に際しては、予め、表皮材に、真空成型、低圧下での圧空成型、プレス成型等で賦形しておき、柔軟ポリマー層が型に当接するように表皮材を型内に装入した後、樹脂を射出成型して一体化させてもよいし、フラットなままの表皮材を型内に載置し、樹脂を射出成型して一体化させてもよい。成型条件等は、使用する樹脂によって適宜選択すればよい。
(2)では、粘着層を備えている表皮材を用いる。この表皮材の粘着層からセパレートフィルムを剥離し、成型体表面に貼着すればよい。粘着層を設ける場合には、表皮材の基材フィルム側(柔軟ポリマー層形成面の反対側)の最表層に設け、セパレートフィルムで被覆しておくとよい。粘着層はどのような粘着剤の層であっても構わない。
(3)では、粘着層を有しない構成の表皮材を用い、別体の両面粘着シートを用いて、成型体と表皮材とを貼り合わせればよい。別体の両面粘着シートは、いかなる両面粘着シートであっても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例で採用した測定・評価方法は次の通りであり、これらの測定・評価はいずれも目付け用フィルムを剥離して行った。また、実施例中で「部」とあるのは「質量部」を意味し、「%」とあるのは断りのない限り「質量%」を意味する。
[触感(官能評価)]
被験者として20〜50歳台までの健康な男女各5名、計10名を集めた。被験者を1名づつ、23℃、50%RHに調湿した環境試験室に入室してもらい、しばらく安静にしてもらった後、実施例または比較例の表皮材の柔軟ポリマー層表面を指で撫でてもらった。そのときの触感について、聞き取り調査を行い、以下の5段階で評価した。
なお、触感は、しっとり感があり、かつさらさら感のあるものを優れているとした。従って、しっとり感あるいはさらさら感の不足の度合いで判定した。
5:触感が優れている
4:触感がやや優れている
3:普通
2:触感がやや劣る
1:触感が劣る
[表面粗さRa]
表面粗さ測定機(モデル「SE−3C」;小坂研究所製)を用いて、中心線平均粗さRa(JIS B0601:'82)を、縦倍率:2000〜10000、カットオフ:0.25mm、測定長:8mm、測定速度:0.5mm/分の条件で測定した。
[マルテンス硬さ]
試料を約2cm角に切り取り、厚さ1mm以上のガラス板上に、測定面の反対面をノンキャリアタイプのアクリル系粘着剤(厚さ25μm)またはシアノアクリレート系の接着剤にて固定した。貼着固定後、30分以上、23℃、50%RHに調湿した環境に放置し、その後、ダイナミック超微小硬度計「DUH−211」(島津製作所製)を用いて、次の条件で、マルテンス硬さ(N/mm2:ISO 14577)を測定した。
≪測定条件≫
1)設定
試験モード :負荷−除荷試験
使用圧子 :稜間角115度、三角錐圧子
:圧子弾性率:1.140×106N/mm2
:圧子ポアソン比:0.07
軟質試料測定 :あり
Cf−Ap,As補正 :あり
2)条件
試験力 :1.00mN
負荷速度 :0.0150mN/sec
負荷保持時間 :5sec
除荷保持時間 :5sec
[摩擦抵抗力]
ポータブル触感計(「TYPE:33」;新東科学株式会社製)の試料テーブルの上に、90mm角の試料の4隅を両面テープで貼り付けて固定した。固定された試料の中心部を指で押さえつつ、この指を5cm程度移動させることで摩擦抵抗力を測定した。5回測定し、平均値を算出した。比較対象は、高平滑、高透明の両面易接着処理済みポリエステルフィルムである「コスモシャイン(登録商標)A4300」(東洋紡績社製;厚み125μm)を用いた。
表には、このポリエステルフィルムの摩擦抵抗力を100%としたときの各試料の摩擦抵抗力の百分率(%)を示した。従って、摩擦抵抗力の百分率の値が大きいほど、ポリエステルフィルムと同じような触感であることを表し、値が小さくなれば小さいほど、異なる触感であることを表している。
実施例1
(1)ウレタンアクリレート組成物溶液の調製
トルエン100部、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート25部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(「ライトアクリレートHOA」;共栄社化学社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=0)11部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセル(登録商標)FA5」;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=5)34部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を混合し、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトンジオール(「プラクセル(登録商標)220;ダイセル化学工業社製;分子量2000)141部を加えて80℃で30分間保持した後、エステル化触媒としてジブチル錫ラウレート0.02部を加えて80℃で24時間保持し、最後にトルエン111部を加えて固形分50%のウレタンアクリレートのトルエン溶液を得た。そして、このウレタンアクリレート溶液74部に、トリエチレングリコールジアクリレート(「ライトアクリレート3EG−A」;共栄社化学社製)10部、ステアリルアクリレート(「ブレンマー(登録商標)SA」;日油社製)3部、トルエン13部を混合してウレタンアクリレート組成物溶液を調製した。
(2)表皮材の調製
基材フィルムとして、高透明二軸延伸ポリエステルフィルム(「コスモシャイン(登録商標)A4300」;東洋紡績社製;厚み125μm;両面易接着処理済み)を用い、上記のウレタンアクリレート組成物溶液を乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入して80℃で乾燥した。
別途、目付け用ポリエステルフィルムとして、離型処理された厚み75μmのマット加工ポリエステルフィルム(東洋クロス社製;SP3020)のマット加工面に、乾燥後の厚みが約30nmになるようにドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ溶液をマイクログラビア法で塗布し、乾燥した。
上記のウレタンアクリレート組成物層表面に、目付け用ポリエステルフィルムの表面処理面を重ね、圧着ロールで圧力30N/cm2で押さえながら連続的に積層した。
次いで、上記の積層体を電子線照射装置に導入し、目付け用ポリエステルフィルム側から200KV、10Mradの電子線を照射して、ウレタンアクリレート組成物を架橋させ、表皮材と目付け用フィルムとの積層体(以下、単に表皮材積層体と称する)を得て、ロール状に巻取った。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
(3)加飾層の形成
上記方法で得た表皮材積層体の柔軟ポリマー層形成面の反対側に、UV硬化型インキ(東華色素社製、「ベストキュアー(登録商標)161」)を用いて、オフセット印刷をすることにより、加飾層を形成した。
(4)接着性改良層の形成
上記方法で製造した加飾層含有積層体の加飾層表面に、ポリウレタン系接着剤として、「タケラック(登録商標)A−310」と「タケネート(登録商標)A−3」(いずれも三井化学社製)とを混合して、塗工機により3g/m2程度塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層の硬化を目的として、50℃、24時間でエージングを行い、接着性改良層を形成した。これにより、加飾層と接着性改良層を備えた表皮材積層体のロール状の原反が得られた。
(5)表皮材のプレ成型
以上のようにして製造した表皮材積層体の原反から、目付け用ポリエステルフィルムを剥離し、柔軟ポリマー層が表層となった表皮材を断裁機にかけ、小立ち上がりにした後、絞り加工機で、上型が110℃、下型が90℃に加熱された絞り金型を用いて絞り加工を施し、周辺が若干湾曲形状になったインサート用プレ成型体を得た。
(6)複合成型体の製造
次に、上記インサート用プレ成型体を所定の形状に打ち抜き、断面が直方形状のフィルムゲートを有する金型内に、柔軟ポリマー層が金型面に接するように配置した。成型条件を、金型温度:100℃、ノズル樹脂温度:300℃、射出速度:2mm/secに設定して、ポリカーボネート樹脂を用いてインサート成型を行った。樹脂成型品の表面に上記表皮材が一体化した複合成型体が得られた。
本実施例で得られた表皮材は、しっとり感とさらさら感のバランスが取れており、優れた触感を有していた。また、得られた複合成型体は、触感に優れ、印刷の図柄が鮮明で、かつ柔軟ポリマー層により艶消しされた高級な外観を有するものであった。
実施例2
実施例1の方法において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
本実施例で得られた表皮材およびその複合成型体は、実施例1で得られた表皮材およびその複合成型体と同等の特性を有しており、高品質であった。
[ウレタンアクリレート組成物]
トルエン80部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(「タケネート(登録商標)D−170N」;三井化学社製)50部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセル(登録商標)FA1」;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=1)29部、前記「プラクセル(登録商標)FA5」37部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を混合し、40℃にまで昇温して6時間保持した。それから、ポリカプロラクトンテトラオール(「プラクセル410D」;ダイセル化学工業社製)18部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて80℃で6時間保持し、最後にトルエン54部を加えて、固形分50%のウレタンアクリレートを得た。そして、このウレタンアクリレート78部に、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(「M−5400」;東亞合成社製)10部、トルエン11部を混合してウレタンアクリレート組成物溶液を調製した。
実施例3
実施例1の方法において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
本実施例で得られた表皮材およびその複合成型体は、実施例1で得られた表皮材およびその複合成型体と同等の特性を有しており、高品質であった。
[ウレタンアクリレート組成物]
トルエン100部、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート50部、前記「プラクセル(登録商標)FA1」59部、前記「プラクセル(登録商標)FA5」20部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を混合し、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトントリオール(「プラクセル308」;ダイセル化学工業社製;分子量850)82部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて80℃で24時間保持し、最後にトルエン111部を加えて、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
実施例4
実施例1の方法において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
本実施例で得られた表皮材およびその複合成型体は、実施例1で得られた表皮材およびその複合成型体と同等の特性を有しており、高品質であった。
[ウレタンアクリレート組成物]
トルエン100部、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート50部、前記「プラクセル(登録商標)FA1」56部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を混合し、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトントリオール(「プラクセル312」;ダイセル化学工業社製;分子量1250)82部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて80℃で24時間保持し、最後にトルエン106部を加えて、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
実施例5
実施例1の方法において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
本実施例で得られた表皮材およびその複合成型体は、実施例1で得られた表皮材およびその複合成型体と同等の特性を有しており、高品質であった。
[ウレタンアクリレート組成物]
トルエン82部、ステアリルアルコール42部を仕込み、40℃まで昇温した。ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認した後、前記「タケネート(登録商標)D−170N」25部を加え、70℃まで昇温した。同温度で30分間反応させた後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加え、同温度で3時間保持した。その後、前記「プラクセル(登録商標)FA5」83.3部、ジブチル錫ラウレート0.02部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を加えて、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトントリオール(「プラクセル308」;ダイセル化学工業社製;分子量850)82部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて70℃で3時間保持し、最後にトルエン642部を加えて、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
比較例1
実施例1の方法において、柔軟ポリマー層の積層を取り止める以外は、実施例1と同様の方法で、表皮材および複合成型体を得た。表皮材の評価結果を表1に示す。
本比較例で得られた表皮材および複合成型体は、柔軟ポリマー層が積層されていないので、しっとり感およびさらさら感のいずれもが悪く、触感が劣っていた。
比較例2
実施例1において、目付け用のポリエステルフィルムを、離型ポリエステルフィルム(「E7002」;東洋紡績社製;厚み25μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、表皮材および複合成型体を得た。表皮材の評価結果を表1に示す。
本比較例で得られた表皮材および複合成型体は、柔軟ポリマー層表面の表面粗さが小さいため、さらさら感が不足し、触感が劣っていた。
比較例3
[柔軟ポリマー層塗工溶液の調製]
トルエン50部および酢酸イソブチル50部を仕込み、110℃まで昇温した。別途、エタノール106部、メチルトリメトキシシラン270部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン23部、脱イオン水100部、1%塩酸1部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を仕込み、シロキサンを合成した。これをメチルイソブチルケトンにより50%に調整し、シロキサン成分Aを得た。
メタクリル酸1部、メチルメタクリレート20部、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート([プラクセル(登録商標)FM5;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=5)32部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート17部、上記シロキサン成分A10部、片末端メタクリル基ポリジメチルシロキサン(「AK−32」;東亞合成社製;分子量2000)20部および重合開始剤として1,1−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル2部を混合し、この混合モノマーを上記トルエンおよび酢酸イソブチルの混合液に2時間かけて滴下した。その後8時間反応させて、固形分50%のポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体の溶液を得た。
上記ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体溶液100部に、架橋剤として前記「タケネートD−170N」36部を添加し、柔軟ポリマー層塗工溶液を調製した。
次に、前記「コスモシャイン(登録商標)A4300」(厚み125μm)の表面に、上記方法で調製した柔軟ポリマー層塗工溶液を乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布した。この塗布体をオーブンに入れて60℃で乾燥した。乾燥された塗布面に実施例1で用いた目付け用ポリエステルフィルムの表面処理面を重ね、圧着ロールで圧力30N/cm2で押さえながら通過させることで積層した。
得られた積層フィルムを再度オーブンに入れて60℃で1時間加温し、さらに室温下で1週間放置して表皮材を得た。
本比較例で得られた表皮材は、柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが大きすぎ、しっとり感が不足しており触感に劣るものであった。
比較例4
比較例3において、目付け用のポリエステルフィルムを、離型ポリエステルフィルム(「E7002」;東洋紡績社製;厚み25μm)に変更したこと以外は、比較例3と同様にして、表皮材および複合成型体を得た。表皮材の評価結果を表1に示す。
本比較例で得られた表皮材および複合成型体は、柔軟ポリマー層表面の表面粗さが小さいため、さらさら感が不足し、触感が劣っていた。
比較例5
実施例1において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
本比較例で得られた表皮材は、柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが大きすぎ、しっとり感が不足しており触感が劣っていた。
[ウレタンアクリレート組成物]
トルエン95部、前記「タケネートD−170N」20部、前記「プラクセルFA5」75部、ジブチル錫ジラウレート0.02部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を仕込み、70℃まで昇温した。その後同温度で3時間保持し、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
比較例6
実施例1において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
本比較例で得られた表皮材は、柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが大きすぎ、しっとり感が不足しており触感が劣っていた。
[ウレタンアクリレート組成物]
トルエン29.8部、セチルアルコール4.1部を仕込み、40℃まで昇温した。その後セチルアルコールが完全に溶解したのを確認し、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト変性体(「タケネート(登録商標)D−140N」;三井化学社製)50部を仕込み、70℃まで昇温した。同温度で30分反応させた後、ジブチル錫ジラウレート0.02部を加え、同温度で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセル(登録商標)FA3」;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=3)57.1部、ジブチル錫ラウレート0.02部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を仕込み、70℃で3時間保持した。固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
比較例7
比較例6において、目付け用のポリエステルフィルムを、離型ポリエステルフィルム(「E7002」;東洋紡績社製;厚み25μm)に変更したこと以外は、比較例6と同様にして、表皮材および複合成型体を得た。表皮材の評価結果を表1に示す。
本比較例で得られた表皮材および複合成型体は、比較例6で得られた表皮材の問題に加えて、表面粗さが小さすぎて、しっとり感およびさらさら感の両方が不足し、触感が劣っていた。
比較例8
実施例1において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
本比較例で得られた表皮材は、柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが大きすぎ、しっとり感が不足しており触感が劣っていた。
[ウレタンアクリレート組成物]
トルエン78.3部、ステアリルアルコール8.5部を仕込み、40℃まで昇温した。その後ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認し、前記「デュラネート(登録商標)D−140N」50部を仕込み、70℃まで昇温した。同温度で30分反応させた後、ジブチル錫ジラウレート0.02部を加え、同温度で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセル(登録商標)FA4」;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=4)57.1部、ジブチル錫ラウレート0.02部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を仕込み、70℃で3時間保持し、最後にトルエン111部を加え、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
実施例6
実施例1で得られた表皮材を、柔軟ポリマー層が表層側になるように、片面の粘着力が10N/25mmでもう片面が14N/25mmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材両面粘着シート(「412D50」:共同技研化学社製:基材厚12μm:全厚50μm)を用いて、携帯ゲーム機の表面に貼り付けた。なお、ゲーム機の操作部と表示部を被覆しないように、表皮材を打ち抜いておき、その他の部分のみが被覆されるように貼り付けた。これにより、ゲーム機表面の触感が改善できた。また、両面粘着シートは、粘着力の小さい方をゲーム機表面側になるように貼り付けたため、貼り損じた場合でも剥離でき、ゲーム機の汚染や損傷は避けられた。
実施例7
実施例1で得られた表皮材の基材フィルムの接着性改良層の表面に下記組成の粘着層形成用塗工液を乾燥後の厚みで30μmになるように塗布、乾燥し、さらにセパレートフィルムを積層して、粘着層を有する表皮材積層体を得た。この表皮材積層体を実施例6と同様に打ち抜き加工して、携帯ゲーム機表面に貼り付けた。これにより、ゲーム機表面の触感が改善できた。
なお、上記粘着層を備えた表皮材の初期粘着力は4.8N/25mmであり、粘着力向上処理後(貼着後、室温で144時間保存後)の粘着力は19.0N/25mmであった。
初期粘着力が小さいので、貼り損じた場合もゲーム機の汚染や損傷はなく剥離できた。また、粘着力向上処理後の粘着力は大きいため、ゲーム機の使用等において表皮材の剥離は発生しなかった。
[粘着層形成用塗工液]
ブチルアクリレート、メチルアクリレートおよびヒドロキシルエチルアクリレートが質量比で60/8/2であるポリマー100部、酢酸エチル40部およびトルエン60部を混合して、アクリルポリマー溶液を作った。この溶液に、ブロックイソシアネート(「デュラネート(登録商標)MF−K60X」:旭化成社製)2.0部と、ポリイソシアネート(「コロネート(登録商標)L」:日本ポリウレタン社製)3.0部を添加し、均一に混合し、粘着層形成用塗工液を調製した。
実施例8
実施例1において、基材フィルムを厚みが0.3mmのポリカーボネートシートに変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。
本実施例で得られた表皮材は実施例1で得られた表皮材と同様に、しっとり感とさらさら感のバランスが取れており、触感が優れていた。さらに、本実施例で得られた表皮材は、実施例1で得られた表皮材用に比べて成型性が一層向上しており、真空成型が可能で複雑な形状の複合成型体が得られるという特長を有する。ただし、基材フィルムの耐溶剤性は、実施例1の表皮材よりは若干劣っていた。
実施例9
実施例1において、基材フィルムを下記の方法で調製した易成型性ポリエステルフィルムに変更する以外は、実施例1と同様の方法で表皮材が一体化された複合成型体を得た。
本実施例で得られた表皮材は実施例1で得られた表皮材と同様にしっとり感とさらさら感のバランスが取れており、触感が優れていた。また、本実施例で得られた表皮材は、実施例1で得られた表皮材用に比べて成型性が一層向上しており、真空成型が可能で複雑な形状の複合成型体が得られるという特長を有する。さらに、本実施例で得られた表皮材は実施例8で得られた表皮材より、基材の耐溶剤性に優れていた。
[基材フィルムの調製法]
テレフタル酸100モル%、エチレングリコール40モル%、ネオペンチルグリコール60モル%からなる固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカを0.04%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥した。チップ(A)と(B)とが25:75の質量比となるように混合し、押出機のTダイで270℃で溶融押出した。表面温度40℃のチルロール状で急冷固化させ、同時に静電印加法でチルロールに密着させながら、無定形の未延伸ポリエステルフィルムを得た。
この未延伸フィルムを、加熱ロールと冷却ロールとの間で縦方向に90度に3.3倍に延伸した。続いて、下記方法で調製した密着性改良層用の塗工液を一軸延伸後のフィルムの両面に塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥した後、テンターに導き、120℃で10秒間予熱し、横延伸の前半部を110℃で、後半部を100℃で、3.9倍延伸した。
さらに、一段目の熱処理を220℃で、二段目の熱処理を235℃で横方向に7%の弛緩処理を行いながら熱固定した。厚さ0.15μmの耐熱水密着性改良層が両面に積層された厚さ100μmの2軸延伸被覆ポリエステルフィルムを得た。このポリエステルフィルムの面配向度は0.081であった。
[密着性改良層用塗工液の調製法]
ポリウレタン系水分散体(「ハイドラン(登録商標)AP40」;大日本インキ工業社製)の固形分100部に対し、オキサゾリン系架橋剤として(「エポクロス(登録商標)WS−700」;日本触媒社製)を固形分で3部添加して、密着性改良層用塗工液とした。
本発明の表皮材は、しっとり感とさらさら感のバランスが取れており、触感に優れたものである。表皮材に加飾を施しておき、成型体と複合すると、高度な意匠が付与された複合成型体を効率よく大量生産できるようになった。
よって本発明の表皮材は、携帯電話、モバイルパソコン、携帯ゲーム機、携帯オーディオ機器等の筐体、保護ケース、キーパッド等;OA機器や家電の筐体や部材;インパネ、ハンドル等の自動車内装部材等の表皮材として有用であり、本発明の複合成型体は、携帯電話、モバイルパソコン、携帯ゲーム機、携帯オーディオ機器等の筐体、保護ケース、キーパッド等;OA機器や家電の筐体や部材;インパネ、ハンドル等の自動車内装部材等として使用することができる。

Claims (9)

  1. 基材フィルムの片面に、ウレタン(メタ)アクリレート組成物を架橋させた柔軟ポリマー層が形成された表皮材であって、この柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが0.2〜0.8N/mm2であり、表面粗さ(Ra)が0.15〜1.0μmであり、かつ、柔軟ポリマー層を指で押さえつつ5cm移動させたときの摩擦抵抗力が、同様にして測定された両面易接着処理済み二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績社製のコスモシャイン(登録商標)A4300)の摩擦抵抗力の18〜54%であることを特徴とする表皮材。
  2. 柔軟ポリマー層が活性エネルギー線により架橋されている請求項1に記載の表皮材。
  3. ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリイソシアネート化合物、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む原料から得られたものである請求項1または2に記載の表皮材。
  4. 基材フィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1〜のいずれかに記載の表皮材。
  5. 基材フィルム側に、加飾層が形成されている請求項1〜のいずれかに記載の表皮材。
  6. 基材フィルム側に、接着性改良層が形成されている請求項1〜のいずれかに記載の表皮材。
  7. 基材フィルム表面に加飾層が形成され、加飾層表面に接着性改良層が形成されている請求項に記載の表皮材。
  8. 接着性改良層に用いられる接着剤が、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系およびセルロース系からなる群より選択されるラミネート用の熱硬化タイプの接着剤か、天然ゴム系、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体およびスチレン・イソプレン・スチレン共重合体からなる群より選択される樹脂エラストマー系ホットメルト接着剤か、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系およびポリ酢酸ビニル系からなる群より選択される熱可塑性樹脂系ホットメルト接着剤である請求項6または7に記載の表皮材。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載された表皮材を柔軟ポリマー層が成型体の最表面になるように金型に挿入し、次いで、金型を閉じて樹脂を注入し、インサート成型してなるものであることを特徴とする触感が改善された複合成型体。
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