JP5575440B2 - 表皮材およびこれを用いた触感が改善された複合成型体 - Google Patents
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Description
本発明の表皮材は、基材フィルムを構成要素とする。基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルおよびその変成体;ポリカーボネート;ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂;ポリスチレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン重合体等のポリオレフィンおよびその変成体;トリアセチルセルロース;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。なかでも、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては特に限定されないが、例えば、ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加等の方式によりキャスティングドラムに密着させて冷却固化させ、未延伸シートを得た後、未延伸シートを延伸すればよい。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。
[ウレタン(メタ)アクリレート]
本発明の表皮材の柔軟ポリマー層は、特定のウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物を架橋させて形成される。このウレタン(メタ)アクリレートの原料組成は、後述の特性を満たせば特に限定されない。例えば、ポリイソシアネート化合物、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の分子中に少なくとも一個以上のヒドロキシル基を含有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびポリオール化合物を含む原料からなることが好ましい実施態様である。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。具体的には、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のジイソシアネート類;これらのイソシアヌレート変性体、アダクト変性体、ビュレット変性体、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネート類が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を用いることができる。
本発明では、ウレタン(メタ)アクリレートの合成に、ポリカプロラクトンポリオールを用いる。ポリカプロラクトンポリオールとしては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオールが使用可能である。分子量は500程度から4000程度のものを用いることが好ましい。ポリカプロラクトンポリオールは1種を用いても、2種以上を用いても構わない。
本発明では、下記式(1)で表されるカプロラクトンで変性されたヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを、ウレタン(メタ)アクリレートの合成に用いることが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの合成に当たっては、カプロラクトン変性されていないヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを併用してもよい。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物と、ポリカプロラクトンポリオールを混合して両者を反応させた後、さらにポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを加えて反応させることにより得られる。反応温度は常温〜100℃であるのが好ましく、反応時間は1〜50時間であるのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートを基材フィルムに塗布するに当たっては、ウレタン(メタ)アクリレートの合成で生成したウレタン(メタ)アクリレート溶液をそのまま塗布することもできるが、高粘度である場合は、前記した反応溶媒で希釈することができる。また、ウレタン(メタ)アクリレートの合成で生成したウレタン(メタ)アクリレート溶液に希釈用モノマーを加えたウレタン(メタ)アクリレート組成物を用いてもよい。希釈用モノマーとしては、、(メタ)アクリロイル基を有する単官能または多官能のモノマーやオリゴマーが挙げられる。
本発明では、ウレタン(メタ)アクリレートの架橋を光照射で行う場合は、光重合開始剤を添加するのが好ましい。この、光重合開始剤の種類は特に限定されず、公知のものが使用可能であり、代表的な例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン等が挙げられる。これらを単独で用いても、複数種併用してもよい。光重合開始剤を使用する場合のその添加量は、得られるウレタン(メタ)アクリレート組成物の固形分100質量%中、1〜10質量%が好ましく、3〜5質量%がより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート組成物層を基材フィルムに積層する方法は従来公知の方法を任意に選択すればよく、例えば、上記組成物を基材フィルムに塗工、乾燥する方法;基材フィルム上に上記組成物を高圧下で押出す方法;カレンダー法等が挙げられる。塗工する場合は、各種の塗工方法、例えば、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、リバースキスコート法、ダイコート法、スプレーコート法等を用いることができる。
本発明では、ウレタン(メタ)アクリレート組成物の架橋方法は特に限定されない。例えば、熱架橋であってもよいし、活性線架橋であってもよい。活性線架橋の方が好ましく、光、電子線やγ線等のような高エネルギーの活性エネルギー線を照射して、ウレタン(メタ)アクリレートを架橋させるのが好ましい。高エネルギーの活性エネルギー線による方法は、過酸化物等のラジカルを発生させるための添加物を配合する必要がない。このため、架橋用触媒等を添加した後のウレタン(メタ)アクリレート組成物のポットライフを考慮する必要もなく、過酸化物等の添加物の残渣による被着体の汚染や柔軟ポリマー層の物性低下が抑制され、短時間で効率的に架橋が完了するため生産性が高くなる等のメリットがある。活性エネルギー線の中では、電子線架橋法が、照射装置(EB照射装置)の入手しやすさから好適である。EB照射装置における電子線照射量としては、5〜50Mradの範囲が好ましい。電子線照射量を5Mrad以上とすることにより、ウレタン(メタ)アクリレートの架橋反応を促進できる。一方、電子線照射量を50Mrad以下にすることにより、架橋反応の過度の進行による弾性の低下を抑制することができる。
本発明の表皮材は、柔軟ポリマー層の表面粗さ(Ra)が0.15〜1.0μmでなければならない。Raが0.15μmより小さいと、ぬめり感が増大して、さらさらとした触感が出にくい。また、Raが1.0μmを超えると、ざらつき感が増大して触感改善効果が低下するので好ましくない。Raは、0.20〜0.80μmがより好ましい。
本発明の柔軟ポリマー層は、マルテンス硬さが0.2〜1.3N/mm2でなければならない。マルテンス硬さ(ISO 14577)は、試験荷重が付加された状態で測定される硬さであり、負荷増加時の荷重−押し込み深さ曲線の値から求められる。本発明では、柔軟ポリマー層の柔らかさを表す指標としてマルテンス硬さを選択した。人の触感と良好に対応していたからである。
本発明の柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力は、二軸延伸ポリエステルフィルムと比較したときに、二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力の18〜54%であることが好ましい。この摩擦抵抗力は、「ポータブル触感計」(新東科学社製)で測定される値であり、本発明では、柔軟ポリマー層を指で触ったときのしっとりとした感じを表す指標として用いた。柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力が二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力の18%より小さいと、しっとり感を通り越して、指が付着しそうな不適な感触となるおそれがある。逆に、54%を超える、すなわち、柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力が二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力に近づいていくと、しっとり感が不足し、つるつるとした感覚となるので、好ましくない。柔軟ポリマー層の摩擦抵抗力は、二軸延伸ポリエステルフィルムの摩擦抵抗力の18〜50%であることがより好ましい。
本発明の表皮材には、基材フィルム表面(柔軟ポリマー層形成面の反対側)に加飾層を設けることが望ましい。高度な意匠性を有する複合成型体が、表皮材を成型体に貼着する工程や、インサート(射出)成型工程のみで製造することができる。加飾層としては、印刷層、金属薄膜層、無機薄膜層等が挙げられ、これらのうちの1層以上を形成することが好ましい。加飾層は、基材フィルムの柔軟ポリマー層と反対側の面に形成する。
本発明で用いる表皮材には、必要に応じて、基材フィルム表面あるいは加飾層表面に、インサート成型時における成型体との接着性を高めるための接着性改良層を設けてもよい。すなわち、接着性改良層は、加飾層が設けられていない場合には基材フィルム表面に、加飾層が設けられている場合には加飾層表面に、設けることができる。
本発明の表皮材を用いて、樹脂成型体と複合させることで、触感の改善された複合成型体が得られる。成型体を構成する樹脂は、市場要求等により適宜選択され、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用できる。
被験者として20〜50歳台までの健康な男女各5名、計10名を集めた。被験者を1名づつ、23℃、50%RHに調湿した環境試験室に入室してもらい、しばらく安静にしてもらった後、実施例または比較例の表皮材の柔軟ポリマー層表面を指で撫でてもらった。そのときの触感について、聞き取り調査を行い、以下の5段階で評価した。
5:触感が優れている
4:触感がやや優れている
3:普通
2:触感がやや劣る
1:触感が劣る
表面粗さ測定機(モデル「SE−3C」;小坂研究所製)を用いて、中心線平均粗さRa(JIS B0601:'82)を、縦倍率:2000〜10000、カットオフ:0.25mm、測定長:8mm、測定速度:0.5mm/分の条件で測定した。
試料を約2cm角に切り取り、厚さ1mm以上のガラス板上に、測定面の反対面をノンキャリアタイプのアクリル系粘着剤(厚さ25μm)またはシアノアクリレート系の接着剤にて固定した。貼着固定後、30分以上、23℃、50%RHに調湿した環境に放置し、その後、ダイナミック超微小硬度計「DUH−211」(島津製作所製)を用いて、次の条件で、マルテンス硬さ(N/mm2:ISO 14577)を測定した。
≪測定条件≫
1)設定
試験モード :負荷−除荷試験
使用圧子 :稜間角115度、三角錐圧子
:圧子弾性率:1.140×106N/mm2
:圧子ポアソン比:0.07
軟質試料測定 :あり
Cf−Ap,As補正 :あり
2)条件
試験力 :1.00mN
負荷速度 :0.0150mN/sec
負荷保持時間 :5sec
除荷保持時間 :5sec
ポータブル触感計(「TYPE:33」;新東科学株式会社製)の試料テーブルの上に、90mm角の試料の4隅を両面テープで貼り付けて固定した。固定された試料の中心部を指で押さえつつ、この指を5cm程度移動させることで摩擦抵抗力を測定した。5回測定し、平均値を算出した。比較対象は、高平滑、高透明の両面易接着処理済みポリエステルフィルムである「コスモシャイン(登録商標)A4300」(東洋紡績社製;厚み125μm)を用いた。
(1)ウレタンアクリレート組成物溶液の調製
トルエン100部、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート25部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(「ライトアクリレートHOA」;共栄社化学社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=0)11部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセル(登録商標)FA5」;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=5)34部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を混合し、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトンジオール(「プラクセル(登録商標)220;ダイセル化学工業社製;分子量2000)141部を加えて80℃で30分間保持した後、エステル化触媒としてジブチル錫ラウレート0.02部を加えて80℃で24時間保持し、最後にトルエン111部を加えて固形分50%のウレタンアクリレートのトルエン溶液を得た。そして、このウレタンアクリレート溶液74部に、トリエチレングリコールジアクリレート(「ライトアクリレート3EG−A」;共栄社化学社製)10部、ステアリルアクリレート(「ブレンマー(登録商標)SA」;日油社製)3部、トルエン13部を混合してウレタンアクリレート組成物溶液を調製した。
基材フィルムとして、高透明二軸延伸ポリエステルフィルム(「コスモシャイン(登録商標)A4300」;東洋紡績社製;厚み125μm;両面易接着処理済み)を用い、上記のウレタンアクリレート組成物溶液を乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入して80℃で乾燥した。
上記方法で得た表皮材積層体の柔軟ポリマー層形成面の反対側に、UV硬化型インキ(東華色素社製、「ベストキュアー(登録商標)161」)を用いて、オフセット印刷をすることにより、加飾層を形成した。
上記方法で製造した加飾層含有積層体の加飾層表面に、ポリウレタン系接着剤として、「タケラック(登録商標)A−310」と「タケネート(登録商標)A−3」(いずれも三井化学社製)とを混合して、塗工機により3g/m2程度塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層の硬化を目的として、50℃、24時間でエージングを行い、接着性改良層を形成した。これにより、加飾層と接着性改良層を備えた表皮材積層体のロール状の原反が得られた。
以上のようにして製造した表皮材積層体の原反から、目付け用ポリエステルフィルムを剥離し、柔軟ポリマー層が表層となった表皮材を断裁機にかけ、小立ち上がりにした後、絞り加工機で、上型が110℃、下型が90℃に加熱された絞り金型を用いて絞り加工を施し、周辺が若干湾曲形状になったインサート用プレ成型体を得た。
次に、上記インサート用プレ成型体を所定の形状に打ち抜き、断面が直方形状のフィルムゲートを有する金型内に、柔軟ポリマー層が金型面に接するように配置した。成型条件を、金型温度:100℃、ノズル樹脂温度:300℃、射出速度:2mm/secに設定して、ポリカーボネート樹脂を用いてインサート成型を行った。樹脂成型品の表面に上記表皮材が一体化した複合成型体が得られた。
実施例1の方法において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
トルエン80部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(「タケネート(登録商標)D−170N」;三井化学社製)50部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセル(登録商標)FA1」;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=1)29部、前記「プラクセル(登録商標)FA5」37部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を混合し、40℃にまで昇温して6時間保持した。それから、ポリカプロラクトンテトラオール(「プラクセル410D」;ダイセル化学工業社製)18部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて80℃で6時間保持し、最後にトルエン54部を加えて、固形分50%のウレタンアクリレートを得た。そして、このウレタンアクリレート78部に、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(「M−5400」;東亞合成社製)10部、トルエン11部を混合してウレタンアクリレート組成物溶液を調製した。
実施例1の方法において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
トルエン100部、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート50部、前記「プラクセル(登録商標)FA1」59部、前記「プラクセル(登録商標)FA5」20部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を混合し、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトントリオール(「プラクセル308」;ダイセル化学工業社製;分子量850)82部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて80℃で24時間保持し、最後にトルエン111部を加えて、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
実施例1の方法において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
トルエン100部、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート50部、前記「プラクセル(登録商標)FA1」56部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を混合し、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトントリオール(「プラクセル312」;ダイセル化学工業社製;分子量1250)82部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて80℃で24時間保持し、最後にトルエン106部を加えて、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
実施例1の方法において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
トルエン82部、ステアリルアルコール42部を仕込み、40℃まで昇温した。ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認した後、前記「タケネート(登録商標)D−170N」25部を加え、70℃まで昇温した。同温度で30分間反応させた後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加え、同温度で3時間保持した。その後、前記「プラクセル(登録商標)FA5」83.3部、ジブチル錫ラウレート0.02部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を加えて、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトントリオール(「プラクセル308」;ダイセル化学工業社製;分子量850)82部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて70℃で3時間保持し、最後にトルエン642部を加えて、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
実施例1の方法において、柔軟ポリマー層の積層を取り止める以外は、実施例1と同様の方法で、表皮材および複合成型体を得た。表皮材の評価結果を表1に示す。
実施例1において、目付け用のポリエステルフィルムを、離型ポリエステルフィルム(「E7002」;東洋紡績社製;厚み25μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、表皮材および複合成型体を得た。表皮材の評価結果を表1に示す。
[柔軟ポリマー層塗工溶液の調製]
トルエン50部および酢酸イソブチル50部を仕込み、110℃まで昇温した。別途、エタノール106部、メチルトリメトキシシラン270部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン23部、脱イオン水100部、1%塩酸1部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を仕込み、シロキサンを合成した。これをメチルイソブチルケトンにより50%に調整し、シロキサン成分Aを得た。
比較例3において、目付け用のポリエステルフィルムを、離型ポリエステルフィルム(「E7002」;東洋紡績社製;厚み25μm)に変更したこと以外は、比較例3と同様にして、表皮材および複合成型体を得た。表皮材の評価結果を表1に示す。
実施例1において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
トルエン95部、前記「タケネートD−170N」20部、前記「プラクセルFA5」75部、ジブチル錫ジラウレート0.02部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を仕込み、70℃まで昇温した。その後同温度で3時間保持し、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
実施例1において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
トルエン29.8部、セチルアルコール4.1部を仕込み、40℃まで昇温した。その後セチルアルコールが完全に溶解したのを確認し、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト変性体(「タケネート(登録商標)D−140N」;三井化学社製)50部を仕込み、70℃まで昇温した。同温度で30分反応させた後、ジブチル錫ジラウレート0.02部を加え、同温度で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセル(登録商標)FA3」;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=3)57.1部、ジブチル錫ラウレート0.02部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を仕込み、70℃で3時間保持した。固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
比較例6において、目付け用のポリエステルフィルムを、離型ポリエステルフィルム(「E7002」;東洋紡績社製;厚み25μm)に変更したこと以外は、比較例6と同様にして、表皮材および複合成型体を得た。表皮材の評価結果を表1に示す。
実施例1において、ウレタンアクリレート組成物溶液を下記のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。得られた表皮材の評価結果を表1に示す。
トルエン78.3部、ステアリルアルコール8.5部を仕込み、40℃まで昇温した。その後ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認し、前記「デュラネート(登録商標)D−140N」50部を仕込み、70℃まで昇温した。同温度で30分反応させた後、ジブチル錫ジラウレート0.02部を加え、同温度で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセル(登録商標)FA4」;ダイセル化学工業社製;カプロラクトン単位の繰り返し数=4)57.1部、ジブチル錫ラウレート0.02部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02部を仕込み、70℃で3時間保持し、最後にトルエン111部を加え、固形分50%のウレタンアクリレート組成物溶液を得た。
実施例1で得られた表皮材を、柔軟ポリマー層が表層側になるように、片面の粘着力が10N/25mmでもう片面が14N/25mmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材両面粘着シート(「412D50」:共同技研化学社製:基材厚12μm:全厚50μm)を用いて、携帯ゲーム機の表面に貼り付けた。なお、ゲーム機の操作部と表示部を被覆しないように、表皮材を打ち抜いておき、その他の部分のみが被覆されるように貼り付けた。これにより、ゲーム機表面の触感が改善できた。また、両面粘着シートは、粘着力の小さい方をゲーム機表面側になるように貼り付けたため、貼り損じた場合でも剥離でき、ゲーム機の汚染や損傷は避けられた。
実施例1で得られた表皮材の基材フィルムの接着性改良層の表面に下記組成の粘着層形成用塗工液を乾燥後の厚みで30μmになるように塗布、乾燥し、さらにセパレートフィルムを積層して、粘着層を有する表皮材積層体を得た。この表皮材積層体を実施例6と同様に打ち抜き加工して、携帯ゲーム機表面に貼り付けた。これにより、ゲーム機表面の触感が改善できた。
ブチルアクリレート、メチルアクリレートおよびヒドロキシルエチルアクリレートが質量比で60/8/2であるポリマー100部、酢酸エチル40部およびトルエン60部を混合して、アクリルポリマー溶液を作った。この溶液に、ブロックイソシアネート(「デュラネート(登録商標)MF−K60X」:旭化成社製)2.0部と、ポリイソシアネート(「コロネート(登録商標)L」:日本ポリウレタン社製)3.0部を添加し、均一に混合し、粘着層形成用塗工液を調製した。
実施例1において、基材フィルムを厚みが0.3mmのポリカーボネートシートに変更した以外は、実施例1と同様の方法で表皮材およびその複合成型体を得た。
実施例1において、基材フィルムを下記の方法で調製した易成型性ポリエステルフィルムに変更する以外は、実施例1と同様の方法で表皮材が一体化された複合成型体を得た。
テレフタル酸100モル%、エチレングリコール40モル%、ネオペンチルグリコール60モル%からなる固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカを0.04%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥した。チップ(A)と(B)とが25:75の質量比となるように混合し、押出機のTダイで270℃で溶融押出した。表面温度40℃のチルロール状で急冷固化させ、同時に静電印加法でチルロールに密着させながら、無定形の未延伸ポリエステルフィルムを得た。
ポリウレタン系水分散体(「ハイドラン(登録商標)AP40」;大日本インキ工業社製)の固形分100部に対し、オキサゾリン系架橋剤として(「エポクロス(登録商標)WS−700」;日本触媒社製)を固形分で3部添加して、密着性改良層用塗工液とした。
Claims (9)
- 基材フィルムの片面に、ウレタン(メタ)アクリレート組成物を架橋させた柔軟ポリマー層が形成された表皮材であって、この柔軟ポリマー層のマルテンス硬さが0.2〜0.8N/mm2であり、表面粗さ(Ra)が0.15〜1.0μmであり、かつ、柔軟ポリマー層を指で押さえつつ5cm移動させたときの摩擦抵抗力が、同様にして測定された両面易接着処理済み二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績社製のコスモシャイン(登録商標)A4300)の摩擦抵抗力の18〜54%であることを特徴とする表皮材。
- 柔軟ポリマー層が活性エネルギー線により架橋されている請求項1に記載の表皮材。
- ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリイソシアネート化合物、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む原料から得られたものである請求項1または2に記載の表皮材。
- 基材フィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の表皮材。
- 基材フィルム側に、加飾層が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の表皮材。
- 基材フィルム側に、接着性改良層が形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の表皮材。
- 基材フィルム表面に加飾層が形成され、加飾層表面に接着性改良層が形成されている請求項6に記載の表皮材。
- 接着性改良層に用いられる接着剤が、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系およびセルロース系からなる群より選択されるラミネート用の熱硬化タイプの接着剤か、天然ゴム系、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体およびスチレン・イソプレン・スチレン共重合体からなる群より選択される樹脂エラストマー系ホットメルト接着剤か、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系およびポリ酢酸ビニル系からなる群より選択される熱可塑性樹脂系ホットメルト接着剤である請求項6または7に記載の表皮材。
- 請求項1〜8のいずれかに記載された表皮材を柔軟ポリマー層が成型体の最表面になるように金型に挿入し、次いで、金型を閉じて樹脂を注入し、インサート成型してなるものであることを特徴とする触感が改善された複合成型体。
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