JP5575065B2 - 作業車両のフロントガード - Google Patents
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Description
この特許文献1・2に記載されたトラクタにあっては、ボンネットは後部の上部に位置する回動支点を中心として上下に揺動されることにより開閉自在とされている。また、フロントガードは、ボンネットの前面に近接して設けられている。
この可倒式フロントガードは、トラクタの機体フレーム前面に取り付けられた取付けブラケットにフロントガード本体の下部を取り付けることにより構成されている。
このフロントガード本体は、ガード位置では左右の側枠材の下部が左右の取付けブラケットに接当することにより後方への揺動が規制される。また、ガード位置においてフロントガード本体の前方への揺動を規制するロック手段が設けられている。このロック手段を解除することにより、フロントガード本体が前側に回動可能とされている。
請求項1に係る発明では、車体前部に設けられたボンネットの前方に位置する上部のアッパフレームと、このアッパフレームの下方側に位置していて車体側に取り付けられた下部のロワーフレームとを有し、
ロワーフレームは左右方向で対向する左右一対の支持枠材を備え、アッパフレームは左右方向で対向配置されていて相互に連結された左右一対の側枠材を備え、前記左右の側枠材の下部を左右方向で同じ側にある支持枠材の上部の左右方向外側方に配置すると共に支持枠材上部に側枠材下部を左右軸回りに揺動自在に枢支連結し、
支持枠材上部と側枠材下部の左右方向内側面とのうちの一方に前後の規制面を設けると共に、他方に前後の規制面の間に位置する係合部を設け、
前記係合部は、前後一方の規制面に接当することによりアッパフレームの後方揺動を規制して該アッパフレームをボンネットを保護するガード位置に位置決めし、前後他方の規制面に接当することによりアッパフレームの前方揺動を規制して該アッパフレームを前記ガード位置から前側に倒れた退避位置に位置決めすることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、ロワーフレームの支持枠材の前端を、アッパフレームのガード位置における側枠材の前端よりも前方に突出させたことを特徴とする。
請求項4に係る発明では、ロワーフレームの支持枠材の上面に前後の規制面を一体形成し、アッパフレームの側枠材下部の左右方向内側面に係合部を設けたことを特徴とする。
請求項6に係る発明では、ボンネットは上方回動させることで開き、ロワーフレームの左右の支持枠材上部が、ボンネットを開く際の該ボンネットの前面下端の回動軌跡と側面視においてオーバーラップするようにボンネットの前面に対して近接配置されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、前後の規制面とこれらの間に位置する係合部とによって、アッパフレームをガード位置だけでなく退避位置にも位置決めできるようにしたので、アッパフレームをガード位置から退避位置にする場合及び退避位置からガード位置に戻す場合に、アッパフレームを大きく揺動する必要がなく、アッパフレームの位置変更操作を容易に行える。
請求項2に係る発明によれば、アッパフレームの左右側枠材の下部を枢支するロワーフレームの左右支持枠材の上部をボンネット下部と前後方向でオーバーラップするように上方に向けて延設していると共に該支持枠材上部側でアッパフレームのガード位置における後方への回動規制が行われ、フロントガードに作用する前方からの荷重に対して強度的に強い構造とすることができる。
請求項4に係る発明によれば、支持枠材の上面に前後の規制面を一体形成することにより、前後の規制面を容易に形成することができる。
請求項6に係る発明によれば、ロワーフレームの左右の支持枠材上部が、ボンネットを開く際の該ボンネットの前面下端の回動軌跡と側面視においてオーバーラップするようにボンネットの前面に対してフロントガードを近接配置することにより、フロントガードを極力ボンネット前面に近接させることができ、作業車両を前進させてその前部を目標物に近接させる際において有利である。
図2において、符号1は作業車両として例示するトラクタである。
このトラクタ1は、左右一対の前輪5と左右一対の後輪6とによって走行可能に支持された車体4を備えている。この車体4はエンジン2と該エンジン2に連結された伝動ケース3とから構成されている。前記伝動ケース3はエンジン2からの動力を後輪(及び前輪)に伝達する動力伝達機構等を内蔵しており、クラッチハウジング、ミッションケース等を連結してなる。
ボンネット7の下方側には前車軸フレーム11が配置され、該前車軸フレーム11はエンジン2の下部に該エンジン2から前方突出状に取付固定されている。
ボンネット7は、車体4に支持された図示省略の支持枠に左右軸回りに上下回動自在に支持されている。このボンネット7の回動支点Xは、ボンネット7の後部側の上部に位置しており、該回動支点Xを中心としてボンネット7前部を上方に回動させることにより、ボンネット7内を開放できるように構成されている。
ローダ取付けフレームは、ボンネット7の後部側の左右両側にそれぞれ設けられており、車体4に、該車体4から左右方向外方突出状に取付固定された支持台18と、この支持台18に立設されたマスト19とを有する。
左右各ブーム20は前後方向に長尺に形成され、後端側が左右方向で同じ側に位置するマスト19の上部に左右軸回りに回動自在に枢支連結されていて上下揺動自在とされている。左右のブーム20はボンネット7から前方に延出する長さに形成され、ボンネット7の前方側において円筒状のパイプ材からなる連結部材24によって左右ブーム20が連結されている。
バケット22は、その背面側の下部が左右各ブーム20の前端側に左右軸回りに回動自在に枢支連結されていて上下揺動自在とされている。
このフロントガード29は、図1、図3及び図4に示すように、車体4側に取り付けられた下部のロワーフレーム31と、ボンネット7の前方に位置する上部のアッパフレーム32とから主構成されている。
アッパフレーム32は、ガード位置Aではボンネット7の前面14に近接した位置とされている。該アッパフレーム32は退避位置Bではボンネット7を上げ・下げする(開閉する)際に該ボンネット7がアッパフレーム32(後述するアッパフレーム32の横枠材40B)に接当しない位置とされている。また、アッパフレーム32は退避位置Bでは、ブーム20を上げ・下げした場合に左右ブーム20を連結する連結部材24がアッパフレーム32に接当しない位置とされている。
左右の支持枠材33は、板面が左右方向を向くように配置されていて左右方向で対向配置されている。この左右の支持枠材33は、支持枠材上部33aの対向間隔が支持枠材下部33bの対向間隔よりも広く形成され、これら支持枠材上部33aと支持枠材下部33bとの間の支持枠材中間部33cは下方に行くに従って左右方向内方(支持枠材33の対向方向内方)に移行する傾斜状に形成されている。
また、支持枠材上部33aは、全体的にみて前上方に向けて延びる傾斜状(前傾状)とされている。
これにより、フロントガード29を極力ボンネット7の前面に近接させることができ、トラクタ1を前進させてその前部を目標物に近接させる際において有利である。
前側の連結部材34には、ウエイトが引っ掛けられて支持され、後側の連結部材35には該ウエイトの後部が下方から接当する。また、後側の連結部材35にはウエイトの後部をボルト固定するためのボルト挿通孔37が形成されている。
この取付部材36には複数のボルト挿通孔38が貫通形成され、該取付部材36は前車軸フレーム11の前板材13前面に重ね合わされて該前板材13にボルト固定される。これによってロワーフレーム31(フロントガード29)が前車軸フレーム11に取付固定される。
左右の側枠材39は上下方向に長く形成され、板面が左右方向を向くように配置されていて左右方向で対向配置されている。この左右の側枠材39は左右方向で同じ側にある支持枠材33の左右方向外方側に配置されていると共に各側枠材下部39a(の一部)が各支持枠材上部33a(の一部)と左右方向でオーバーラップしている。そして、左右の側枠材下部39aは左右方向で同じ側にある支持枠材上部33aに、ガード位置Aと退避位置Bとに位置変更可能に取り付けられている。
なお、側枠材上部39の前縁と後縁とは同じ曲率の円弧とされ、側枠材下部39bは前縁よりも後縁の由率が大きい円弧とされている。
また、このアッパフレーム32がガード位置Aであるときにおいて、左右側枠材39の前端は、側枠材上部39aの前縁と側枠材下部39bの前縁との接続部分であり、このガード位置Aにおけるアッパフレーム32の左右側枠材39の前端はロワーフレーム31の支持枠材下部33bの前端よりも後方に位置していると共に、ロワーフレーム31の支持枠材33上端よりも上方に位置している。
横枠材40A,40Bは、左右側枠材39の間の、上端側と上下方向中途部とにそれぞれ横向き配置されて設けられており、左右両側端部が側枠材39の内側面に溶接等によって固定されている。
上側の横枠材40Aは、側枠材39のボンネット7の前面14上端から上方に突出した部分に設けられていて、運転席10に着座したオペレータ9から視認可能とされている。
アッパフレーム32は、その下部がロワーフレーム31に枢軸41を介して左右方向の軸芯回りに回動自在に枢支連結されていて前後揺動自在とされ、且つ、フロントガード29は該アッパフレーム32の前後の揺動範囲を規制する揺動範囲規制手段42を有する。これによって、アッパフレーム32がガード位置Aと退避位置Bとに位置変更可能とされている。
これを詳述すると、図6に示すように、前記枢軸41は頭付きのボルトによって構成され、アッパフレーム32の側枠材下部39bとロワーフレーム31の支持枠材上部33aとを左右方向外方から貫通している。また、該枢軸41は、側枠材39を左右両側から挟む左右一対の平座金43と、支持枠材33の左右方向内方側に配置された左右一対のさらばね座金44と、この一対のさらばね座金44を左右両側から挟む左右一対の平座金45とを貫通している。さらに、枢軸41のネジ部に締付用ナット46とロックナット47とが螺合している。
図5に示すように、前記揺動範囲規制手段42は、前後の規制面48,49を有する規制部50と、前後の規制面48,49の間に設けられていて該前後の規制面48,49に接当可能なストッパプレート51(係合部)とから構成されている。
前規制面48は前上方に向けて傾斜状の傾斜面とされ、後規制面49は後上方に向けて傾斜状の傾斜面とされ、後規制面49が前規制面48に比べて緩傾斜とされている。
図1及び図5に実線で示すように、ストッパプレート51の下面51aが後規制面49に面接触により接当することでアッパフレーム32のガード位置Aでの後方への揺動が規制される。
本実施形態にあっては、規制部50(前後の規制面48,49)は支持枠材33の上面に形成されているので、アッパフレーム32をガード位置Aにしたときに該アッパフレーム32の側枠材39の左右方向内方に位置していて、左右方向外方から見えない位置に設けられている。また、ストッパプレート51は側枠材39の左右方向内側面に固定されているので、左右方向外方から見えない。
また、アッパフレーム32をガード位置Aだけでなく退避位置Bにも位置決めできるようにしたので、アッパフレーム32をガード位置Aから退避位置Bにする場合及び退避位置Bからガード位置Aに戻す場合に、アッパフレーム32を大きく揺動する必要がなく、アッパフレーム32の位置変更操作を容易に行える。
また、従来のフロントガードにあっては、フロントガード本体を前側に倒す際において前側への揺動を規制する規制手段が設けられていないので、ボンネットを開ける際にフロントガード本体をガード位置から前方側に大きく倒すと、左右一対のブームを連結する連結部材と接触してフロントガード本体が変形する恐れがあるが、本実施形態にあっては、アッパフレーム32を退避位置Bにしたときには、ブーム20を上げ・下げしても左右ブーム20を連結する連結部材24がアッパフレーム32に接当しない位置であるので、前述した問題は生じない。また、アッパフレーム32を退避位置Bにしてブーム20を上げ・下げした場合に左右ブーム20を連結する連結部材24をアッパフレーム32に接当させて該アッパフレーム32を変形させてしまうということもない。
図6に示すように、ロック機構52は、側枠材39及び支持枠材33にわたって貫通されるロックピン53と、側枠材39に貫通状に形成されたロック孔54と、支持枠材33に貫通状に形成されたピン支持孔55と、このピン支持孔55と共にロックピン53を支持するピン支持部材56と、ロックピン53をロック孔54に挿通させる方向に付勢する付勢バネ57とを有する。
ロック孔54は、枢軸41の上方側に位置すると共に該枢軸41の軸心を中心とする円弧方向に長い長孔状に形成されている。
ピン支持部材56は、右側の支持枠材33の左右方向内方側に位置していて該支持枠材33に対して左右方向で対向配置された側壁56aと、この側壁56aの前端から右側の支持枠材33に向けて延出されていて該支持枠材33の左右方向内側面に溶接等によって固定された前壁56bとからL字状に形成されている。このピン支持部材56の側壁56aは前記ピン支持孔55の形成部分に対して対向しており、該側壁56aには前記ピン支持孔55と同心状に形成された円形孔からなるピン挿通孔58を有する。
付勢バネ57は、コイルバネによって形成され、右側の支持枠材33とピン支持部材56の側壁56aとの間でピン本体53aに套嵌されている。この付勢バネ57の一端側はピン支持部材56の側壁56aに接当し、他端側はピン本体53aを直交状に貫通するバネ受けピン59に接当していて、ロックピン53を左右方向外方、すなわち、ロック孔54に挿通させる方向に付勢している。また、前記バネ受けピン59が右側の支持枠材33に接当することによりロックピン53の左右方向外方への移動が規制される。
また、アッパフレーム32を退避位置Bからガード位置Aにする場合は、ロックピン53の端部が右側の支持枠材33の内側面に接当している状態でアッパフレーム32をガード位置Aへと揺動させる。アッパフレーム32がガード位置Aになるとロック孔54がピン支持孔55に連通し、ロックピン53が付勢バネ57の付勢力によって左右方向外方に移動してロック孔54に挿通する。
なお、前記ロック機構52のピン支持部材56は、支持枠材33の左右方向内側面に設けられているが、ボンネット7を開閉する際に該ボンネット7前部がピン支持部材56に接当することはない。
これに対し、本実施形態のフロントガード29にあっては、ロワーフレーム31の支持枠材下部33bの前端が、ガード位置Aにおけるアッパフレーム32の側枠材39の前端よりも前方に突出しているので、ローダ作業時において、トラクタ1の前方側に位置する障害物との接触によるガードは先ず強度のあるロワーフレーム31で行われ、可動部分であるアッパフレーム32の変形を防止することができる。
7 ボンネット
31 ロワーフレーム
32 アッパフレーム
33 支持枠材
33a 支持枠材上部
39 側枠材
39b 側枠材下部
48 前規制面
49 後規制面
51 係合部(ストッパプレート)
A ガード位置
B 退避位置
Y ボンネットの前面下端の回動軌跡
Claims (6)
- 車体(4)前部に設けられたボンネット(7)の前方に位置する上部のアッパフレーム(32)と、このアッパフレーム(32)の下方側に位置していて車体(4)側に取り付けられた下部のロワーフレーム(31)とを有し、
ロワーフレーム(31)は左右方向で対向する左右一対の支持枠材(33)を備え、アッパフレーム(32)は左右方向で対向配置されていて相互に連結された左右一対の側枠材(39)を備え、前記左右の側枠材(39)の下部(39b)を左右方向で同じ側にある支持枠材(33)の上部(33a)の左右方向外側方に配置すると共に支持枠材上部(33a)に側枠材下部(39b)を左右軸回りに揺動自在に枢支連結し、
支持枠材上部(33a)と側枠材下部(39b)の左右方向内側面とのうちの一方に前後の規制面(48,49)を設けると共に、他方に前後の規制面(48,49)の間に位置する係合部(51)を設け、
前記係合部(51)は、前後一方の規制面(48,49)に接当することによりアッパフレーム(32)の後方揺動を規制して該アッパフレーム(32)をボンネット(7)を保護するガード位置(A)に位置決めし、前後他方の規制面(48,49)に接当することによりアッパフレーム(32)の前方揺動を規制して該アッパフレーム(32)を前記ガード位置(A)から前側に倒れた退避位置(B)に位置決めすることを特徴とする作業車両のフロントガード。 - ロワーフレーム(31)の左右支持枠材(33)の上部(33a)をボンネット(7)下部と前後方向でオーバーラップするように上方に向けて延設したことを特徴とする請求項1に記載の作業車両のフロントガード。
- ロワーフレーム(31)の支持枠材(33)の前端を、アッパフレーム(32)のガード位置(A)における側枠材(39)の前端よりも前方に突出させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車両のフロントガード。
- ロワーフレーム(31)の支持枠材(33)の上面に前後の規制面(48,49)を一体形成し、アッパフレーム(32)の側枠材下部(39b)の左右方向内側面に係合部(51)を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車両のフロントガード。
- アッパフレーム(32)の左右側枠材(39)が、ガード位置(A)においてボンネット(7)の前面(14)に沿う湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車両のフロントガード。
- 前記ボンネット(7)は上方回動させることで開き、ロワーフレーム(31)の左右の支持枠材上部(33a)が、ボンネット(7)を開く際の該ボンネット(7)の前面(14)下端の回動軌跡(Y)と側面視においてオーバーラップするようにボンネット(7)の前面(14)に対して近接配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車両のフロントガード。
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