JP5574706B2 - ブドウ球菌に対する殺活性を有するヒトの結合分子及びその使用方法 - Google Patents

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Description

この発明は、医薬品に関する。特に、この発明は、ブドウ球菌の感染に対する診断、予防及び/又は処置に関する。
Staphylococcus(ブドウ球菌)は、グラム陽性細菌に属し、また、球菌郡の1つである。ブドウ球菌は、主としてヒト及びその他の温血動物の皮膚及び粘膜にて発見される球菌であり、小さな葡萄状の塊として集合するものである。ブドウ球菌は2つのグループ、すなわち、コアグラーゼ陽性と、コアグラーゼ陰性とにグループ分けすることができる。全体としては、約30種のブドウ球菌が存在する。
ブドウ球菌は、毒素産生又は侵入により、ヒトに多種多様な疾患を招くものである。Staphylococcus aureus (S.aureus)は、前世紀の初めから、最も重要な1つであって、ヒトにとって致死的な細菌性病原として認識されている。抗生物質の時代が到来するまで、血液中にS.aureusを生育させてしまった患者の80%以上が死んでいた。コアグラーゼ陽性のS.aureusによる感染は、一般に致死に至る可能性があるものとして知られていたが、コアグラーゼ陰性のブドウ球菌は、ヒトの疾患を引き起こすことのできない無毒性の皮膚共生菌として片付けられてきた。しかし、ここ30年、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌による感染が、医療の発展による合併症として出現してきた。それは、現在、内在性の外来装置による感染から分離される最も一般的な病原菌であり、米国の病院における病院内の(院内感染性)菌血症の主たる原因となっている。ブドウ球菌感染は、抗菌剤により一般に治療される。しかし、ブドウ球菌の優勢な院内病原菌としての支配的立場は、(複数の)抗生剤に対し耐性を有する分離株の割合の増加に関連するものである。2004年に米国において見積もられた200万の病院感染の70%は、少なくとも1種の抗生物質に対し耐性を有するものであり、そのことは、主たる医療的な問題及びそれに伴う経済的な問題を招いている。ブドウ球菌の菌株の90%はペニシリン耐性であることから、多くの感染はメチシリン及びバンコマイシンのみにより治療することができる。しかし、メチシリン耐性のStaphylococcus aureus(MRSA)の報告の増加に伴い、化学者は、新規の様式の活性を有する新しい抗生物質を生み出さなければならないという困難な課題に直面している。新しい抗生物質の開発が早急に求められているが、主な製薬会社は、抗生物質のマーケットへの興味を失いつつある。2002年には、臨床開発のフェーズ2又はフェーズ3にある500種の薬のうち、5種の薬のみが新たな抗生物質であった。過去10年では、10種のみの抗生物質が申請され、そのうち、2種については既存の薬に対し交差反応性を呈さなかった(このように、同一パターンの薬物耐性を対象とするものではなかった)。かかる傾向は、新薬の開発の費用や、高血圧、関節炎及びインポテンツなどの生活改善薬への投資額に対して、戻ってくる金額が抗生物質にでは相当に少ないことなどの複数の要因によるものである。新たなターゲットの発見を困難としている他の原因は、開発費の増大にある。そのことから、差し迫った健康管理危機を克服するために、(複数の薬物耐性の)細菌感染に対する新規の治療法又は予防処置の研究が早急に求められている。
ワクチンによる能動免疫法及び免疫グロブリンによる受動免疫法は、古典的な小分子による治療の代替法としての見込みがある。これまで、広範な病気、障害及び死を招いてきた細菌性の疾患は、ワクチンの使用により防止することができる。ワクチンは、弱毒化(弱められた)又は死亡した細菌、細菌表面の組成物又は無毒化した毒物に基づくものである。ワクチンにより生じた免疫反応は、主として、免疫系によって能動的に処理され、細菌の免疫原生構造、限られた数のタンパク質又は糖構造を対象としたものである。これらの免疫原生構造が、生物毎に高い特異性を有することから、ワクチンは、ワクチンが防御しなければならない多種の細菌に対して免疫原生要素を具える必要がある。その結果、ワクチンは相当に複雑となり、開発に時間及び費用がかかることとなる。ワクチンの設計を更に困難にしているのは、「抗原置換」現象によるものである。これは、新規の菌株が、ワクチンによりカバーされている菌株に対し、血清学的に、そして、抗原的に区別することができるように、一般的になることにより発生する。院内感染の危険のある集団の免疫状況が、ワクチンの設計を更に複雑なものとしている。これらの患者は、本質的に体の具合が悪く、更には(免疫抑制薬の作用により)免疫力さえも低下していることから、感染性病原体に対し、遅延した又は不充分な免疫力を有する。更に、ある選択的な手順以外では、危険な状態にある患者を同定し、かかる患者に充分な免疫による保護を付与するためのワクチンを適当な時に処置できないこととなる。
受動免疫法としても知られている、免疫グロブリンの直接投与は、患者からの免疫反応を必要とすることなく、それに対する即座の保護を付与するものである。また、受動免疫法は、細菌構造を目的とするものであり、免疫原生を有していないことから、生物種の特異性が低い。病原性の生物に対する受動免疫法は、ヒト又はヒト以外のドナーの血清に由来する免疫グロブリンに基づくものである。しかし、血液由来の商品は、これら商品に内在的に関係した、健康上の危険をはらんでいる虞がある。また、免疫グロブリンは、バッチ間で変動を示し、突然の大量の暴露に際して、制限された有効性を呈する場合がある。組換えにより産出された抗体は、これらの問題点を具えていないことから、血清由来の免疫グロブリンを代替えする可能性があるものである。
ブドウ球菌を対象とするネズミのモノクローナル抗体は従来技術として知られている(特許文献1及び2を参照)。しかし、ネズミのモノクローナル抗体は、血清の半減期が短く、ヒトのエフェクタ機能を始動させることができず、そして、ヒトの生体内におけるネズミ抗体の所望されない劇的な免疫反応の誘発(HAMA)を招いてしまうなどのネズミ抗体のヒトへの投与に関係した問題により、in vivoでの使用に限定される。
特許文献1及び2では、完全なネズミ抗体をヒトに使用することに関係する問題を、キメラ抗体を準備することにより解決する試みがなされている。しかし、これらのキメラ抗体の欠点は、それらがネズミの配列を保持し、そのことにより、特に長期間に亘る投与時に、所望されない免疫反応を誘発することにある。
特許文献3は、ブドウ球菌感染のための、ブドウ球菌由来のポリN−アセチルグルコサミン(PNAG)表面多糖及びそれの脱アセチル化された形態(dPNAG)のものから準備された、多糖ワクチンに関するものである。また、特許文献3は、ジフテリア毒素(DTm)に結合した、PNAG及びdPNAGに対するウサギの抗血清を開示している。
特許文献1〜3は、所望された分子であるヒトの抗体に関するものではあるが、それらに開示され、使用されている抗体は、実質的には、部分的にネズミ由来又は完全にウサギ由来のものであり、これら文献は、ヒトの抗体や、その配列を実質的に開示するものではない。
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Antibodies: A Laboratory Manual、Edited by: E. Harlow and D、Lane (1988)、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York、which is incorporated herein by reference. Boel E、Verlaan S、Poppelier MJ、Westerdaal NA、Van Strijp JA and Logtenberg T (2000)、Functional human monoclonal antibodies of all isotypes constructed from phage display library-derived single-chain Fv antibody fragments. J. Immunol. Methods 239:153-166. Burton DR and Barbas CF (1994)、Human antibodies from combinatorial libraries. Adv. Immunol. 57:191-280. Cantinieaux B、Hariga C、Courtoy P、Hupin J and Fondu P (1989) Staphylococcus aureus phagocytosis. A new cytofluorometric method using FITC and paraformaldehyde. J Immunol. Methods 121:203-208. Chothia and Lesk (1987)、Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins. J. MoI. Biol. 196:901-917. Chou、TC and P Talalay (1984)、Quantitative analysis of dose-effect relationships: the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors. Adv. Enzyme Regul. 22:27- 55. De Kruif J、Terstappen L、Boel E and Logtenberg T (1995a)、Rapid selection of cell subpopulation-specific human monoclonal antibodies from a synthetic phage antibody library. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3938. De Kruif J、Boel E and Logtenberg T (1995b)、Selection and application of human single-chain Fv antibody fragments from a semi-synthetic phage antibody display library with designed CDR3 regions. J. MoI. Biol. 248:97-105. HuIs G、Heijnen IJ、Cuomo E、van der Linden J、Boel E、van de Winkel J and Logtenberg T (1999)、Antitumor immune effector mechanisms recruited by phage display- derived fully human IgGl and IgAl monoclonal antibodies. Cancer Res. 59:5778-5784. Slootstra JW、Puijk WC、Ligtvoet GJ、Langeveld JP、Meloen RH (1996)、Structural aspects of antibody-antigen interaction revealed through small random peptide libraries. MoI. Divers. 1:87-96. Manual of Molecular and Clinical Laboratory Immunology、7th Edition Sequences of Proteins of Immunological Interest、US Dept. Health and Human Services、NIH、USA (fifth edition). Using Antibodies:A Laboratory Manual, Edited by: E. Harlow, D. Lane (1998), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York. Current Protocols in Immunology, Edited by: J.E. Coligan, A.M. Kruisbeek, D. H. Margulies, E. M. Shevach, W. Strober (2001), John Wiley & Sons Inc., New York. Phage Display:A Laboratory Manual. Edited by: CF Barbas, DR Burton, JK Scott and GJ Silverman (2001), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York. Tomlinson IM, Williams SC, Ignatovitch O, Corbett SJ, Winter G. VBASE Sequence Directory. Cambridge United Kingdom: MRC Centre for Protein Engineering (1997) Kabat et al. (1991) as described in Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, NIH, USA (fifth edition)
従って、ヒトの治療における利益の観点から、Staphylococciに対するヒトのモノクローナル抗体は、依然として需要がある。この発明は、これら抗体及びその配列を提供し、薬物、特にはブドウ球菌感染の診断、予防及び/又は処置に使用できるものであることを示すものである。
以下、この発明における用語の定義を説明する。
(アミノ酸配列)
ここに使用される「アミノ酸配列」という用語は、自然発生又は人工の分子であって、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列を示すものである。
(結合分子)
ここに使用される「結合分子」という用語は、キメラモノクローナル抗体、ヒト用に改変されたモノクローナル抗体、ヒトのモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体を含むインタクトな免疫グロブリン、或いは、抗原結合、及び/又は、ブドウ球菌などの免疫グロブリンの結合相手に特異的に結合するインタクトな免疫グロブリンと競合する、免疫グロブリンの断片を具える可変ドメインを示すものである。構造に関係無く、抗原結合断片は、インタクトな免疫グロブリンにより認識される抗原と同一の抗原に結合する。かかる抗原結合断片は、結合分子のアミノ酸配列のうち、少なくとも2つのコンティグアミノ酸残基、少なくとも5個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも10個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも15個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも20個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも25個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも30個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも35個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも40個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも50個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも60個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも70個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも80個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも90個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも100個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも125個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも150個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも175個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも200個のコンティグアミノ酸残基、少なくとも250個のコンティグアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチドを具えるものとすることもできる。
ここでいう「結合分子」という用語は、従来技術の免疫グロブリンクラス及びサブクラスを含むものである。その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、結合分子は、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMのインタクトな抗体の5つの主要なクラスに分けることができ、更には、これらのいくつかをIgAl、IgA2、IgGl、IgG2、IgG3及びIgG4などのサブクラス(アイソタイプ)に分けることができる。
抗原結合断片は、とりわけ、Fab、F(ab')、F(ab')2、Fv、dAb、Fd、相補決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(scFV)、二価の単鎖抗体、単鎖ファージ抗体、二量体、三量体、四量体、(ポリ)ペプチドの特異的な抗原結合を付与するに充分な免疫グロブリンの少なくとも断片を具える(ポリ)ペプチドなどを含むものである。上述した断片は、合成により、或いは、インタクトな免疫グロブリンを酵素又は化学的に切断することにより、或いは、組換えDNA技術を用いた遺伝子工学により生産することができる。かかる生産方法は、従来から周知であり、例えば、ここに援用される非特許文献1に記載されている。結合分子又はその抗原結合断片は、1ヶ所以上の結合部位を有する。2ヶ所以上の結合部位を有する場合には、それら結合部位は互いに同一又は異なっている。
また、結合分子は、裸又は複合化していない結合分子とすることもでき、また、免疫複合体の一部とすることも可能である。裸又は複合化していない結合分子は、複合化していない、操作可能に連結した、或いは、特に、毒性物質、放射性物質、リポソーム、酵素などのエフェクタ部分又はタグに対し物理的又は機能的に関連した、結合分子に関するものである。複合化していない結合分子は、エフェクタ部分又はタグを付加したもの以外、安定化、多量化、ヒト用とした又はその他の方法により操作された結合分子を除外するものではないことには留意されたい。従って、全ての翻訳後修飾された裸又は複合体化されていない結合分子はこれに含まれるものであり、組換え結合分子生産細胞により、自然の結合分子生産細胞環境下で修飾されたものを含み、それらは最初の結合分子の準備後に、人の手により導入される。勿論、裸又は複合化されていない結合分子という用語は、結合分子が体への投与後にエフェクタ細胞及び/又は分子と、生物的効果を発揮するために重要な相互作用などの機能的な関連を形成する機能を除外するものではない。関連するエフェクタグループ又はタグの欠如は、in vivoではなく、in vitroの裸又は複合化していない結合分子の定義に適用されるものである。
(生物試料)
ここでいう「生物試料」という用語は、生物由来の血液又はその他の液体試料、生検標本或いは培養細胞、又は、それ由来の細胞及びその子孫細胞などの固形組織試料を含む多様な試料の種類を含むものを言うものである。かかる用語は、試薬処理、可溶化、タンパク質又はポリヌクレオチド等の物質を濃縮するといった操作を、その調達後に実施した試料を更に含むものである。また、かかる用語は、任意の種由来の多様な種類の臨床試料並びに培養細胞、細胞の上澄み及び細胞溶解物を包含するものである。
(相補性決定領域(CDR))
ここでいう「相補性決定領域」という用語は、一般に、抗原上にて認識されるエピトープに対し形状及び電荷分布に関し相補能を有する抗原結合部位に大きく関与する免疫グロブリンなどの、結合分子の可変領域における配列を言うものである。また、CDR領域は、未変性の構造のタンパク質に存在する、又は、SDSに可溶化するなどにより変性したタンパク質に存在する、線形エピトープ、不連続エピトープ又は立体構造エピトープ、或いは、タンパク質断片に対し特異的なタンパク質とすることができる。
(欠損)
ここでいう「欠損」という用語は、1つ以上のアミノ酸又は核酸残基が、多くの場合、自然発生する分子である、その元となる配列から、夫々無くなるアミノ酸又は拡散配列の変化を言うものである。
(発現調節核酸配列)
ここでいう「発現調節核酸配列」の用語は、特に宿主生物の操作可能な連結コード配列に影響を与えるに必要なポリヌクレオチド配列を言うものである。また、特に適当な配列である、転写開始、終止、プロモーター、エンハンサー配列、リプレッサー又はアクチベーター配列、スプライシング及びポリアデニルカシグナルなどの効率的なRNAプロセッシングシグナル、細胞質のmRNAを安定化させる配列、(リボソーム結合部位などの)翻訳効率を向上させる配列、タンパク質の安定性を向上させる配列、所望するときにタンパク質の分泌を促進する配列などの発現調節核酸配列は、選択した宿主生物において活性のある任意の核酸配列であって、宿主生物に相同的又は非相同的なタンパク質をコードする遺伝子由来の核酸配列とすることができる。発現調節核酸配列の同定及び使用は当業者には一般的なことである。
(機能的変異体)
ここでいう「機能的変異体」の用語は、元となる核酸及び/又はアミノ酸配列に対し、1つ以上の核酸及び/又はアミノ酸配列が変化した核酸及び/又はアミノ酸配列を具える結合分子であって、ブドウ球菌などの結合相手への結合に対し、元となる結合分子と競合し得る結合分子に関するものである。換言すると、元となる結合分子のアミノ酸及び/又は核酸配列の改変は、核酸配列にコードされた又はアミノ酸配列を含む結合分子の結合特性に大きく影響しない又は変化せず、例えば、結合分子は、依然としてターゲットを認識し、結合するものである。また、機能的変異体は、核酸及びアミノ酸の置換、追加及び欠損を含む、保存的配列における改変を含むものである。これらの改変は、部位特異的突然変異導入及びランダムPCR媒介突然変異導入などの、従来技術の標準的な技術により導入することができ、それらは、自然の又は人工の核酸及びアミノ酸とすることができる。
保存的アミノ酸配列の置換は、類似した構造又は化学的特性を有するアミノ酸残基と置き換えられたアミノ酸残基を含むものである。類似した側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、従来技術として知られている。これらファミリーは、(リジン、アルギニン、ヒスチジンなどの)塩基性側鎖、(アスパラギン酸、グルタミン酸などの)酸性側鎖、(アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファンなどの)非荷電極性側鎖、(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニンなどの)非極性側鎖、(スレオニン、バリン、イソロイシンなどの)ベータ分枝した側鎖及び(チロシン、フェニルアラニン、トリプトファンなどの)芳香族側鎖を有するアミノ酸を含むものである。上記したもの以外のアミノ酸残基ファミリーにおけるその他の分類を適用し得ることは、当業者にとって明確なことである。更に、変異体は、例えば、異なる構造又は化学特性を有するアミノ酸残基のアミノ酸置換による、非保存的アミノ酸置換を有するものとすることができる。類似したマイナーな変異体は、アミノ酸の欠損又は挿入、或いはその両方を有するものとすることができる。免疫活性を損なうことなく、いずれのアミノ酸残基を置換、挿入又は欠損させるかを決定するための指針は、従来技術にあるコンピュータを使用することにより決定される。
核酸配列への突然変異は、転移又は転換突然変異などの遺伝子座における単一の変更(点変異)、或いは、代替案として、複数の核酸の挿入、欠損又は単一の遺伝子座における変更によるものとすることができる。また、塩基配列内の複数個所の遺伝子座において、1つ以上の変更を行なうことができる。突然変異は、従来技術の任意の適当な方法により実施することができる。
(宿主)
ここでいう「宿主」という用語は、クローニングベクター又は発現ベクターなどのベクターが導入された生物又は細胞を言うものである。生物又は細胞は、原核生物とも真核生物ともし得るものである。かかる用語は、特定の対象生物又は細胞に限定されるものではなく、それら生物又は細胞の子孫をも含めるものであることには留意されたい。突然変異又は環境の影響により、後の世代(子孫)において特定の修飾が発生することから、かかる子孫は、実際に、元となる親生物又は細胞とは同一のものではなくなるが、ここでいう「宿主」という用語に含まれるものである。
(ヒト)
ここでいう「ヒト」という用語を、ここに定義される結合分子に適用する場合には、ヒトから直接由来する又はヒトの配列に基づいた分子をいうものである。結合分子がヒトに由来する又はその配列に基づくものであって、次いで、それを改変したものである場合も、明細書中で使用されるヒトとして取り扱うこととする。言い換えると、ヒトという用語は、それを結合分子に適用して使用した場合は、ヒトの生殖細胞系の免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する結合分子、或いは、ヒトにおける、又は、ヒトのリンパ細胞及びその改変された形態における可変領域及び定常領域に基づく結合分子を含むものをいうものである。したがって、ヒトの結合分子は、(例えば、in vitroでの突然変異又はin vivoでの体細胞突然変異として、ランダム突然変異や部位特異的な突然変異などにより導入された)置換及び/又は欠損を含む、ヒトの生殖細胞系免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基を含むものである。ここでいう「基づく」とは、鋳型を完全にコピーした核酸配列、又は、変異性(error prone)PCR法などによる小規模な突然変異がある核酸配列、或いは、鋳型と一致するよう、又は小規模な変異のあるよう合成して作製された核酸配列となっている状態をいうものである。ヒトの配列に基づいた半合成分子は、ここでいうヒトのこというものである。
(挿入)
ここでいう、「追加(addition)」としても既知である、「挿入(insertion)」という用語は、元となる配列に比べ、1つ以上のアミノ酸又は核酸を夫々追加することによるアミノ酸又は核酸配列の変化をいうものである。
(固有活性)
ここでいう「固有活性」という用語は、ここに定義される結合分子に使用する場合には、細菌等の病原菌の表面上にある特定のタンパク質又は炭水化物抗原に結合することにより、病原菌が普通に成育し、分裂することを阻害するような結合分子をいうものである。かかる結合分子は、例えば、生育に必要な特定の栄養素の進入や、細菌からの毒性残渣要素の移動を抑制することができる。後者の活性に付随して、抗生物質の働きに対する細菌の感受性を高めることもできる。
(分離(単離)された)
ここでいう「分離(単離)された」という用語は、ここに定義される結合分子に使用する場合には、タンパク質又はポリペプチド、特には、異なる抗原特異性を有するその他の結合分子、及び、その他の細胞質成分及び/又は化学物質は、実質的に遊離している結合分子をいうものである。例えば、結合分子が組換えにより生成される場合には、実質的に培地を必要としないことが好ましく、そして、結合分子が化学合成により生成される場合には、実質的に化学物質の前駆体又はその他の化学物質を必要としない、すなわち、タンパク質合成に関与する化学物質の前駆体又はその他の化学物質から隔離されていることが好ましい。「分離された」という用語を、ここに定義される結合分子をコードする核酸分子に使用すると、結合分子をコードする核酸分子がその他の核酸配列から遊離している核酸分子であって、特には、ブドウ球菌以外の結合相手に結合する結合分子をコードしている核酸配列をいうものである。更に、「分離している」とは、自然物の宿主内における天然の核酸分子を自然物に伴うその他の細胞質成分、例えば、自然物に関連するリボソーム、ポリメラーゼ又はゲノム配列から分離している核酸分子をいうものである。更にまた、cDNA分子などの「分離された」結合分子は、組換え技術により生成される場合には、実質的にその他の細胞質成分又は培地から遊離しており、また、化学合成される場合には、化学物質の前駆体又はその他の化学物質から遊離している。
(モノクローナル抗体)
ここでいう「モノクローナル抗体」という用語は、単一の分子構成を有する抗体を準備することを言うものである。モノクローナル抗体は、特定のエピトープに対し、単一の結合特異性及び親和性を示す。したがって、「ヒトのモノクローナル抗体」という用語は、ヒトの生殖細胞免疫グロブリン配列由来する又はそれに基づく配列、或いは、完全なる合成配列由来の、可変領域又は定常領域を有し、単一の結合特異性を示す抗体を言うものである。モノクローナル抗体の製造方法は関連しない。
(自然発生的な)
ここでいう「自然発生的な」という用語は、それをその対象に適用した場合に、その対象が自然物であるものを言う。例えば、自然資源から単離可能であり、人の手により研究室内で修飾されていない、生体内にあるポリペプチド又はポリ核酸配列は自然発生的である。
(核酸分子)
この発明において使用される「核酸分子」という用語は、核酸のポリマー形態を言うものであり、センス鎖又はアンチセンス鎖の、RNA、cDNA、ゲノムDNA、及び、上記した合成形態及び複合ポリマーを含むものである。また、核酸は、リボ核酸、デオキシ核酸又はそれら核酸の修正された形態のものを含むものである。加えて、ポリヌクレオチドは、自然発生的及び/又は非自然発生的な核酸結合と結合した自然発生的な又は修飾された核酸を含み得るものである。核酸分子は、化学的又は生化学的に修飾することができ、非自然物又は派生物である核酸塩基を含めることは、当業者には容易であることには留意されたい。かかる修飾は、例えば、ラベル、メチル化、1つ以上の自然発生的な核酸及びそのアナログの置換、(例えば、メチルスルホネート、リン酸トリエステル、アミド亜リン酸エステル、カルバミン酸エステルなどの)非荷電結合、(例えば、ホスホロチオネート、ホスホロジチオネートなどの)荷電結合、(例えば、ポリペプチドなどの)懸垂部分、(例えば、アクリジン、ソラレンなどの)インターカレータ、キレート剤、アルキル化剤、及び、(例えば、α−アノマー核酸などの)修飾した結合などの核間修飾を含み得るものである。上述の用語は、一本鎖構造、二本鎖構造、部分的な二倍体構造、三倍体構造、ヘアピン化構造、環状構造又は南京錠構造を含む位相構造を含むものを言う。さらに含まれるものとしては、水素結合又はその他の化学的な相互作用を介して設計された配列に結合するポリ核酸を模倣した合成分子が挙げられる。かかる分子は、従来から知られており、例えば、分子の骨格としてリン酸連結に代替えしてペプチド連結を有する分子を含むものである。核酸配列は、特定されている限りは、その相補配列を包含するものである。このように、特定の配列を有する核酸配列は、その相補配列を有する相補鎖を包含するものであることには留意されたい。かかる相補鎖は、例えば、アンチセンス治療、ハイブリダイゼーション用のプローブ、PCRプライマーとして有用である。
(操作可能に連結した)
ここでいう「操作可能に連結した」とは、一般に物理的に結合し、互いに機能的な相互関係を有する2つ以上の核酸配列要素をいうものである。例えば、かかるプロモーターにより、コード配列の転写又は発現を開始又は調節することができ、コード配列がプロモーターの「制御下にある」と理解されているならば、プロモーターは、コード配列に操作可能に連結されているという。
(食作用)
「食作用」は、(一般に、抗体などの結合分子、又は、血清相補因子といった)オプソニンの、(抗原を使用する場合の)特異的な抗原認識又は(例えば、表面結合抗体によるC3bの沈殿量の増大などの)表面結合分子の触媒効果により、病原菌の表面に結合する活性に関するものである。オプソニン化した病原菌のファゴサイトーシス(食作用)は、食細胞のレセプターへのオプソニンに対する特異的な認識により促進される(抗体の場合には、Fcレセプターそのものがオプソニンであり、相補する場合には、オプソニンが相補物となる)。特定の細菌、特には、被嚢により食作用に対する耐性を有する被嚢性の細菌は、食作用抗体により被覆されている場合に、好中球やマクロファージなどの食細胞にとって大変に魅力的な対象となってきており、その血液及び感染器官におけるクリアランス率は顕著に大きくなった。食作用は、(食作用による食細胞殺アッセイなどの)従来技術の任意の方法により測定することができる。
(薬学的に許容し得る賦形剤)
「薬学的に許容し得る賦形剤」によるとは、適当かつ容易に服薬できる形態となった、薬、薬剤、又は、結合分子などの活性型分子と複合体となった任意の内部物質を意味するものである。かかる「薬学的に許容し得る賦形剤」は、服薬しても使用者にとって毒性がなく、適当な濃度にある賦形剤であり、薬、薬剤又は結合分子を具える製剤のその他の含有物と競合しない。
(特異的な結合)
ここでいう「特異的な結合」という用語は、抗体などの結合分子及び抗原などの結合相手への相互作用に関するものを言うものであり、かかる相互作用は、結合相手における抗原決定基やエピトープなどの特定の構造に依存する。換言すると、抗体は、その他の分子又は組織の結合相手が混合物内に存在するとしても、結合相手に結合又は認識することが好ましい。かかる結合は、共有又は非共有相互作用或いはその双方の組み合わせにより媒介することができる。また、そのことを言い換えると、「特異的な結合」という用語は、抗原又はその断片への免疫特異的な結合をいうものであり、他の抗原への免疫特異的な結合をいうものではない。抗原に免疫特異的に結合する結合分子は、例えば、従来から知られている、放射線免疫検定法、(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、BIACORE法又はその他のアッセイ法により測定された低い親和性にて、その他のペプチド又はポリペプチドに結合することができる。抗原に対し免疫特異的に結合する結合分子又はその断片は、関連する抗原に対し交差反応する。また、抗原に対し免疫特異的に結合する結合分子又はその断片は、他の抗原に対し交差反応しないことが好ましい。
(置換)
ここでいう「置換」とは、1つ以上のアミノ酸又は核酸を、夫々に異なるアミノ酸又は核酸に置き換えることをいうものである。
(治療効果のある分量)
ここでいう「治療効果のある分量」とは、ブドウ球菌に起因した状態の予防、改善及び/又は処置に効果のある、上記に定義した結合分子の分量をいうものである。
(処置)
ここでいう「処置」という用語は、治療上の処置、及び、疾患の治療、停止、又は少なくともその進行を遅延させるための、予防的又は防止的な手段のことをいうものである。「処置」が必要な者には、ブドウ球菌の感染により既に苦しめられている者及びブドウ球菌による感染を防止する者を含む。ブドウ球菌の感染から、部分的に又は完全に回復した対象者も、かかる処置を必要とする場合がある。防止とは、ブドウ球菌の分散を阻害又は減衰すること、或いは、ブドウ球菌への感染による1つ以上の症状を、発症、成長又は進展することを包含するものである。
(ベクター)
ここでいう「ベクター」という用語は、第2の核酸分子を宿主に導入し、それを自己複製させ、場合によっては発現させることができる核酸分子を表すものである。言い換えると、ベクターとは、連結された核酸分子を運搬するものである。ここでは、クローニングベクター及び発現ベクターは、「ベクター」という用語で呼ぶこととする。限定するわけではないが、ベクターとは、プラスミド、コスミド、細菌人工染色体(BAC)及び酵母人工染色体(YAC)並びにバクテリオファージ、植物ウィルス、(ヒトを含む)動物ウィルス由来のベクターを含むものである。ベクターは、提案された宿主が認識する複製開始点を含むものであり、それが発現ベクターの場合には、宿主による認識されるプロモーターやその他の調節領域を含むものである。第二の核酸分子を含むベクターは、形質転換、トランスフェクション又はウィルスを利用した導入機構により細胞に導入される。(細菌内にて複製することができる、細菌由来の複製開始点を有するベクターなどの)特定のベクターは、それが導入される宿主内で自己複製することができる。その他のベクターは、宿主内への導入時に、宿主のゲノム内に組み込むことができ、宿主のゲノムとともに複製される。
この発明は、ブドウ球菌に特異的に結合し、ブドウ球菌に対する殺活性及び/又は生長阻害活性を発揮し得るヒトの結合分子を提供するものである。また、この発明は、少なくともヒトの結合分子の結合領域をコードする核酸分子に関するものである。更に、この発明は、Staphylococcus感染を有する又は生長させてしまう危険を有する対象者を、予防及び/又は処置する際に、この発明に従うヒト結合分子をヒトに使用する方法を提供するものである。それに加え、この発明は、この発明に従う結合分子を、Staphylococcusの診断/検出に使用する方法を提供するものである。
抗体CR2430(白丸)、CR5132(黒三角)、CR5133(黒丸)及びネガティブコントロールのモノクローナル抗体(白四角)添加の非存在下にあり、対数増殖期に回収されたS. aureus Cowan株の抗体によるファゴサイトーシス(食作用)を示した図である。 抗体CR2430(白丸)、CR5132(黒三角)、CR5133(黒丸)及びネガティブコントロールのモノクローナル抗体(白四角)添加の非存在下にあり、定常期に回収されたS. aureus Cowan株の抗体によるファゴサイトーシス(食作用)を示した図である。 抗体CR2430(白丸)、CR5132(黒三角)、CR5133(黒丸)及びネガティブコントロールのモノクローナル抗体(白四角)添加の非存在下にあり、定常期に回収されたS. aureus SA125株の抗体によるファゴサイトーシス(食作用)を示した図である。 抗体CR2430(白丸)、CR5132(黒三角)、CR5133(黒丸)及びネガティブコントロールのモノクローナル抗体(白四角)添加の非存在下にあり、定常期に回収されたS. aureus SE131株の抗体によるファゴサイトーシス(食作用)を示した図である。 抗ブドウ球菌ヒトIgGlの、ブドウ球菌株に対する殺活性を示した図である。 抗ブドウ球菌ヒトIgGlの、ブドウ球菌株に対する殺活性を示した図である。
この発明の第一の形態は、ブドウ球菌に特異的に結合し得る結合分子を含むものである。かかる結合分子は、ヒトの結合分子であることが好ましい。また、この発明に従う結合分子は、ブドウ球菌に対する殺活性を呈することが好ましい。更に、この発明に従う結合分子は、少なくとも2種の異なるStaphylococcus種に対し、特異的に結合する及び/又は殺活性を有することが好ましい。更にまた、この発明に従う結合分子は、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、少なくとも25種、少なくとも26種、少なくとも27種、少なくとも28種、少なくとも29種、少なくとも30種の、異なるStaphylococcus種に対し、特異的に結合する及び/又は殺活性を有することが好ましい。この発明に従う結合分子が特異的に結合する及び/又は殺活性を有するStaphylococcus種は、S. aureus、S. auricularis、S. capitis、S. caprae、S. caseolyticus、S. chromogenes、S. cohnii、S. epidermidis、S. haemolyticus、S. hominis、S. hyicus、S. intermedium、S. lentus、S. lugdunensis、S. saprophyticus、S. schleiferi、S. sciuri、S. simulans、S. warneri及びS. xylosusからなるグループから選択される。実施形態では、この発明に従う結合分子は、異なるStaphylococcus種に対し、特異的に結合し、それに対する殺活性を有する。その他の実施形態では、この発明に従う結合分子は、誘導期、対数増殖期、定常期及び/又は死滅期にある、Staphylococcus株に対し、特異的に結合し、それに対する殺活性を有する。それらは特に、対数増殖期及び定常期にあるStaphylococcus株に対し特異的に結合し、殺活性を有する。その他の実施形態では、この発明の結合分子は、以下に限定されるわけではないが、グループAの連鎖球菌:streptococcus pyrogenes、グループBの連鎖球菌:streptococcus agalactiae、streptococcus milleri、streptococcus pneumoniae、Viridans連鎖球菌:streptococcus mutans、腸球菌:Enterococcus faecalis及びEnterococcus、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium ulcerans、Corynebacterium pseudotuberculosis、Corynebacterium jeikeium、Corynebacterium xerosis、Corynebacterium pseudodiphtheriticum、Bacillus anthracis、Bacillus cereus、Listeria monocytogenes、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Actinomyces israelii、Norcardia asteroides、Norcardia brasiliensis、Escherichia coli、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Klebsiella pneumoniae、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi A、B及びC、Salmonella enteritidis、Salmonella cholerae-suis、Salmonella virchow、Salmonella typhimurium、Shigella dysenteriae、Shigella boydii、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Pseudomonas aeruginosa、Pseu
domonas mallei、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vulnificus、Vibrio alginolyticus、Campylobacter pylori、Helicobacter pylori、Campylobacter jejuni、Bacteroides fragilis、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Branhamella catarrhalis、Haemophilus influenzae、Haemophilus ducreyi、Bordetella pertussis、Brucella abortus、Brucella abortus、Brucella melitensis、Legionella pneumophila、Treponema pallidum、Treponema carateum、Leptospira interrogans、Leptospira biflexa、Borrelia recurrentis、Borrelia burgdorferi、Mycoplasma pneumoniae、Coxiella burnetii、Clamydia trachomatis、Clamydia psittaci、Clamydia pneumoniaeの少なくとも1つのその他のグラム陽性細菌及び/又はグラム陰性細菌に、特異的に結合する及び/又は殺活性を有し得る。この発明に従う結合分子は、ブドウ球菌、並びに、任意選択的に、生育可能な、生きている及び/又は感染可能な、或いは、不活性化/減衰した形態の、その他のグラム陽性細菌及び/又はグラム陰性細菌と、特異的に結合し得る。細菌を非活性化/減衰する方法は、従来から周知であり、かかる方法は、以下に限定されるものではないが、UV処理、ホルムアルデヒド処理などを含む。
また、この発明に従う結合分子は、とりわけ、ブドウ球菌由来の1つ以上のタンパク質及び/又は(ポリ)ペプチド、或いは、組換えにより生成される1つ以上のブドウ球菌タンパク質及び/又はポリペプチドなどの、ブドウ球菌(及びその他のグラム陽性細菌及び/又はグラム陰性細菌)の1つ以上の断片に対し、特異的に結合し得るものである。ブドウ球菌への感染を処理及び/又は防止する方法において、結合分子は、ブドウ球菌の表面接触可能なタンパク質に特異的に結合し得ることが好ましい。診断する際には、結合分子は、ブドウ球菌の表面に無いタンパク質に特異的に結合しても良い。多様なStaphylococcusの種及び菌株のタンパク質の核酸及び/又はアミノ酸配列は、GenBankデータベース、EMBLデータベース及び/又はその他のデータベースからみつけることができる。当業者であれば、夫々のデータベースから、上記した配列を見つけ出すことは容易であることには留意されたい。
或いは、この発明の結合分子は、以下に限定されないが、食細胞の関わりを阻害する表面因子、食細胞に対する生存を促進する因子、真核細胞の膜を溶解させるinvasin、宿主の組織に損傷を与える又は疾患の症状を引き起こす外毒素、多糖類、タイコ酸、リポテイコ酸、アドニトール、ペプチドグリカン、ペンタ・グリシン・オリゴペプチド、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルムラミン酸、N−アセチルガラクトサミン酸(N-acetylgalactosaminuronic acid)、N−アセチル・フコサミン、N−アセチルグルコサミン酸(N-acetylglucosaminuronic acid)、N−アセチルマンノサミン酸(N-acetylmannosaminuronic acid)、O-アセチル、グルコサミン、ムラミン酸、ガラクトサミン酸(galactosaminuronic acid)、フコサミン、グルコサミン酸(glucosaminuronic acid)、マンノサミン酸(mannosaminuronic acid)及び任意のこれら要素間の連結ユニットなどのその他の細胞壁成分を含む、その他のブドウ球菌分子に対し特異的に結合し得る。
この発明のその他の結合分子の実施形態は、上述したタンパク質及び/又はその他の分子の断片に対し特異的に結合することができ、該断片は、この発明の結合分子が認識し得る抗原決定基を含む。ここでいう「抗原決定基」とは、検出可能な抗原結合分子複合体を形成するに充分に高い親和性を有する、この発明の結合分子に結合し得る部分をいうものである。
この発明の結合分子は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体などのインタクトな免疫グロブリン分子、或いは、結合分子は、以下に限定されないが、Fab、F(ab')、F(ab')2、Fv、dAb、Fd、相補性決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(scFv)、2価の単鎖抗体、単鎖ファージ抗体、二量体、三量体、四量体、及び、ブドウ球菌又はその断片に対する特異的な抗原結合を付与するに充分な免疫グロブリンの断片を少なくとも含む(ポリ)ペプチドなどの抗原結合断片とすることができる。好適な実施形態では、この発明の結合分子は、ヒトのモノクローナル抗体である。
この発明の結合分子は、単離されていない又は単離された形態にして使用することができる。また、この発明の結合分子は、単独又は、この発明の少なくとも1つの結合分子(又は変形物若しくはその断片)を含む混合物にて使用することができる。言い換えると、結合分子は、例えば、2つ以上のこの発明の結合分子又はその変形物若しくはその断片を含む薬剤組成物と組み合わせて使用することができる。例示すると、異なるが、相補的な活性を有する結合分子は、単一の治療にて組み合わせて、所望する予防的、治療的又は診断的な効果を得ることができるが、或いは、代替案として、単一の治療にて、同一の活性を有する結合分子を組み合わせて、所望する予防的、治療的又は診断的な効果を得ることもできる。任意選択的に、混合物は少なくとも1つのその他の治療剤を更に含む。好適には、抗生物質などの治療剤は、ブドウ球菌感染に対する予防及び/又は処理に有用である。
一般に、この発明に従う結合分子は、結合相手、すなわち、ブドウ球菌又はその断片に、0.2×10-4M、1.0×10-5M、1.0×10-6M、1.0×10-7Mよりも低く、より好ましくは、1.0×10-8Mよりも低く、より好ましくは、1.0×10-9Mよりも低く、より好ましくは、1.0×10-10Mよりも低く、より好ましくは、1.0×10-11Mよりも低く、より好ましくは、1.0×10-12Mよりも低く、親和定数(K値)にて、結合することができる。親和定数は、抗原のアイソタイプにより変化する。例えば、IgMアイソタイプへの親和結合は、少なくとも約1.0×10-7Mの結合親和性を有する。例えば、親和定数は、BIACOREシステム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、Sweden)を使用して、例えば、表面プラスモン共鳴を用いて測定される。
この発明に従う結合分子は、例えば、試料中にて又は懸濁液などの溶解した形態のブドウ球菌又はその断片に結合する、又は、マイクロタイタープレート、膜及びビーズなどの、キャリア又は基質に結合又は取り付けられたブドウ球菌又はその断片に結合する。キャリア又は基質は、ガラス、プラスチック(例えばポリスチレン)、多糖、ナイロン、ニトロセルロース又はテフロンなどでできていてもよい。かかる支持体の表面は、硬く、多孔性、或いは任意の有利な形状を有する。また、結合分子は、精製/単離又は非精製/非単離されたブドウ球菌に結合することができる。
この発明の結合分子は殺活性を有する。ここでいう殺活性は、以下に限定されるものではないが、食作用活性、或いは、ファゴサイトーシスを増加/増大/促進する、及び/又は、ブドウ球菌などの細菌を食作用により殺菌するその他の任意の活性を含むものである。食作用活性は、例えば、ここで説明するように測定することができる。食作用活性を測定するその他のアッセイ法は、例えば、非特許文献11に記載されている。その他の記載された活性に対する測定法もまた、公知である。
好適な実施形態において、この発明に従う結合分子は、少なくとも、CDR3領域、好適には、配列ID番号:9及び配列ID番号:15からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖CDR3領域を含むものである。この発明の結合分子のCDR領域は、表12に示す。CDR領域は、非特許文献12に従うものである。実施形態の結合分子は、この発明の結合分子の、2つ、3つ、4つ、5つ、或いは6つ全てのCDR領域を具える。
その他の実施形態では、この発明に従う結合分子は、配列ID番号:28及び配列ID番号:30からなる群より選択される可変重鎖を有するアミノ酸からなる重鎖を具える。更に他の実施形態では、この発明に従う結合分子は、配列ID番号:34及び配列ID番号:36からなる群より選択される可変軽鎖を有するアミノ酸からなる軽鎖を具える。表13は、この発明の結合分子の可変重鎖及び軽鎖を記載したものである。
その他の観点では、この発明の結合分子は、特定のStaphylococcus種に対し特異的に結合し、特には、1つのStaphylococcus種に対し特異的に結合することが好ましい。言い換えると、それらは、種特異的であり、更には、菌株特異的である。この発明の結合分子は、特定のStaphylococcusの種/菌株に対し殺活性を有することが好ましい。好適な実施形態では、Staphylococcus種は、S. aureusであり、菌株は、S. aureusのCowan株である。この発明の結合分子は、対数増殖期や定常期などの任意のフェーズにある、特定のStaphylococcus種/菌株に対し、特異的に結合し、殺活性を有する。好適な実施形態では、結合分子は、少なくともCDR領域3を、好適には、配列ID番号:3のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域を具える。結合分子のCDR領域は、表12に示す。CDR領域は、非特許文献12に従うものである。実施形態の結合分子は、この発明の結合分子の、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ全てのCDR領域を含む。更にその他の実施形態では、結合分子は、配列ID番号:26のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む重鎖を具える。更にその他の実施形態では、結合分子は、配列ID番号:32のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む軽鎖を具える。表13には、この発明の結合分子の軽鎖及び重鎖の可変領域を記載している。
この発明のその他の実施形態は、ここに規定される結合分子の機能的変異体を含む。分子は、もし、変異体がブドウ球菌(或いは、その他のグラム陽性細菌及び/又はグラム陰性細菌)、又は、元となるヒトの結合分子の断片への結合に対し競合するならば、この発明に従う結合分子の機能的変異体とみなされる。言い換えると、機能的な変異体は、ブドウ球菌又はその断片に、依然として結合することが可能である。また、分子は、もし、ブドウ球菌に対する殺活性を有し、より好ましくは、元となる結合分子が殺活性を有する少なくとも2種以上の異なるStaphylococcusに対し殺活性を有するならば、この発明に従う結合分子の機能的変異体とみなされる。その他の実施形態では、この発明に従う結合分子の機能的変異体は、その他のグラム陽性細菌及び/又はグラム陰性細菌に対し殺活性を有する。以下に限定されないが、機能的変異体は、元となる結合分子には含まれない、最初の構造配列と実質的に類似している派生物であって、化学的に及び/又は生化学的に、in vitro又はin vivoにて修飾を有する派生物を含むものである。かかる修飾は、とりわけ、アセチル化、アシル化、核酸又は核酸派生物の共有結合、脂質又は脂質派生物の共有結合、橋かけ結合、二硫化物結合形成、グリコシル化、ヒドロキシル化、メチル化、酸化、ペギル化(pegylation)、タンパク質分解処理、リン酸エステル化などを含むものである。
或いは、機能的変異体は、元となる結合分子のアミノ酸配列に比し、その1つ以上のアミノ酸を置換、挿入、欠損又はその組み合わせを有するアミノ酸配列を具える、この発明に定義される結合分子とすることができる。また、機能的変異体は、アミノ酸末端又はカルボキシル末端の少なくとも一方について、アミノ酸配列の切断を有するものとすることができる。この発明に従う機能的変異体は、ブドウ球菌又はその断片に対する結合能は有するが、元となる結合分子と比較して、同一或いは大きく又は小さく異なる、結合親和性を有する。例えば、この発明に従う機能的変異体は、元となる結合分子に比し、ブドウ球菌又はその断片に対する結合親和性が低減又は向上している。可変領域におけるアミノ酸配列は、以下に限定されないが、フレームワーク領域、超可変領域、好適にはCDR3領域が修飾されていることが好ましい。一般に、重鎖及び軽鎖可変領域は、3つの超可変領域、3つのCDR、及び、フレームワーク領域(FRs)といわれる、より保存された領域を含む。超可変領域は、CDRからのアミノ酸残基及び超可変ループからのアミノ酸残基を含む。この発明に従う機能的変異体は、ここに定義される元となる結合分子のアミノ酸配列に対し、少なくとも約50%〜99%、より好ましくは少なくとも約60%〜99%、より好ましくは少なくとも約70%〜99%、より好ましくは少なくとも約80%〜99%、より好ましくは少なくとも約90%〜99%、より好ましくは少なくとも約95%〜99%、より好ましくは少なくとも約97%〜99%の相同性を有する。当業者に公知である、GapやBestfitなどのコンピュータアルゴリズムは、アミノ酸配列を適当に並べて比較し、類似又は同一のアミノ酸残基を特定するために使用することができる。機能的変異体は、以下に限定されるものではないが、変異性(error prone)PCR法、オリゴヌクレオチドに対する突然変異、部位特異的突然変異、重鎖及び/又は軽鎖シャッフリング(shufflling)などの、当業者に一般的な分子生物学的な方法により、元となる結合分子又はその一部を異ならせることにより得られる。実施形態では、この発明の機能的変異体は、ブドウ球菌に対する殺活性を有する。かかる殺活性は、元となる結合分子に比し、同一、向上又は低減している。更に、殺活性を有する機能的変異体は、ブドウ球菌を制御する活性を有し得る。その他の活性は、上述の通りである。以後、(ヒトの)結合分子という用語の使用される場合には、(ヒトの)結合分子の機能的変異体を含むものをいう。
この発明は、ブドウ球菌に対する食作用による食細胞殺活性を有する、有用な一連のヒトのモノクローナル抗体を提供するものであり、かかる抗体は、CR2430、CR5132、CR5133、CR6166、CR6171、CR6176、CR6187、CR6193、CR6249、CR6273、CR6389、CR6403、CR6406、CR6410、CR6446、CR6450、CR6452、CR6453、CR6464、CR6471、CR6516、CR6517、CR6526、CR6528、CR6531、CR6533、CR6536、CR6537、CR6538、CR6540、CR6544、CR6566又はCR6625と呼ばれている抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域、或いは、それらに対し、少なくとも80%の、より好ましくは90%の、更に好ましくは95%の相同性を有する配列の可変領域を含むものである。ここに開示されているそれら抗体に対し、完全な抗体の配列は、少なくとも80%の、より好ましくは90%の、更に好ましくは95%の相同性を有する。かかる抗体は、標的競合アッセイ法により、5つの異なるグループに分けることができる。グループAは、CR5132、CR5133、CR6187及びCR6453からなり、グループBは、CR5140及びCR6171からなり、グループCは、CR6176からなり、グループDは、CR6526からなり、グループEは、残りの一団であるCR6166、CR6193、CR6249、CR6273、CR6403、CR6406、CR6410、CR6446、CR6450、CR6452、CR6464、CR6471、CR6516、CR6517、CR6528、CR6531、CR6533、CR6536、CR6537、CR6538、CR6540、CR6544、CR6566及びCR6625からなる。作用強度に基づき、各グループから1つの好適な抗体が同定され、それら好適な抗体は、CR5133、CR6166、CR6171、CR6176及びCR6526であった。これら抗体は全て、少なくとも2つの異なるStaphylococcus種(S. aureus及びS. epidermidis)に対し、そして、S. aureus(502、Mn8、Newman)の少なくとも3つの異なる菌株に対し、結合し、食作用による食細胞の殺活性を有する。この発明は、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、又はそれ以上の、この発明のヒトのモノクローナル抗体を具える組成物を更に含むものである。好適な実施形態では、異なる標的グループの、少なくとも2つの前記抗体を組成物に含む。このことは、異なるターゲットのブドウ球菌を認識することにより、細菌を死滅させる機会を増やす点において有用である。勿論、ここに開示されている抗体の配列に基づき、より高い親和性を有する変異体や、その他の有利な特性を有する変異体を従来からの方法により、準備することもできる。そのような改善された抗体は、ここに開示されている抗体の可変領域の配列に対して、重鎖及び軽鎖の可変領域の配列が、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%の相同性を有する場合に、この発明の範囲に含まれるものである。
更なる実施形態では、この発明は、免疫複合体、すなわち、少なくとも1つのここに定義される結合分子を具える分子を含み、更には、とりわけ、検出可能な部分/薬剤などの、少なくとも1つのタグを含むものである。また、この発明は、この発明に従う免疫複合体の混合物、或いは、この発明に従う少なくとも1つの免疫複合体と、治療剤、その他の結合分子又はその他の免疫複合体などのその他の分子との混合物を企図したものである。その他の実施形態では、この発明の免疫複合体は、1つ以上のタグを含む。これらのタグは、同一のものとしたり、互いに異なるものとしたりでき、結合分子に対し、非共有結合により連結/複合化することができる。それらタグは、共有結合によりヒトの結合分子に対し直接に連結/複合化することができる。或いは、それらタグは、1つ以上の連結化合物による手段により連結/複合化することができる。結合分子にタグを複合化する技術は、当業者には周知である。
この発明に従うそれらタグの免疫複合体は、治療剤とすることができるが、検出可能な部分/薬剤とすることもできる。治療及び/又は予防に適したタグは、ファゴサイトーシス又は免疫刺激を促進する、毒素又はその機能的な部分、抗生物質、酵素、その他の結合分子とすることができる。検出可能な薬剤を含む免疫複合体は、診断に使用することができ、例えば、対象がブドウ球菌の種に感染しているかを調査したり、例えば、実施した治療法の有効性を判断するための臨床試験の手段としてブドウ球菌感染の生長/進展をモニターすることができる。しかし、それらはその他の検出及び/又は分析及び/又は診断の目的で使用することができる。検出可能な部分/薬剤は、以下に限定されるものではないが、酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、陽電子放射金属及び非放射性正磁性金属イオンを含むものである。とりわけ、(組織)試料の免疫組織化学的染色、フローサイトメータによる検出、走査型レーザサイトメトリ検出、蛍光免疫検定法、酵素免疫測定法(ELISA)、放射性免疫検定法(RIA’s)、(ファゴサイトーシスアッセイなどの)生物検定、ウェスタンブロッティング法などの、特定の検出/分析/診断技術並びに/或いは方法を用いた、検出及び/又は分析及び/又は診断用の結合分子をラベルするために使用されるタグは、当業者には周知である。特定の検出/分析/診断技術並びに/或いは方法に適当なラベルは、当業者には周知のものである。
また、この発明のヒトの結合分子又は免疫複合体は、in vitroでの免疫検定法或いはブドウ球菌又は精製に特に有用な担体に取り付けることができる。かかる担体は、多孔質又は非多孔質、平面状又は非平面状とすることができる。この発明の結合分子は、精製を促進することができるマーカー配列に融合することができる。実施例は、以下に限定されるものではないが、ヘキサヒスチジンタグ、血球凝集抗原(HA)タグ、mycタグまたはフラグタグを含むものである。或いは、抗体は、第二の抗体と複合化し、ヘテロ接合体を形成することができる。その他の実施形態では、この発明の結合分子は、1つ以上の抗原に対し複合化/取り付けられる。また、これらの抗原は、結合分子抗原複合体が投与される対象の免疫機構により認識される抗原であることが好ましい。抗原は、同一のものとすることも、互いに異なるものとすることもできる。抗原と結合分子とを取り付ける複合化方法は公知のものであり、以下に限定されるわけではないが、橋かけ剤の使用を含むものである。この発明の結合分子は、ブドウ球菌に結合し、結合分子に結合した抗原は、複合体に対し、強力なT細胞攻撃を開始し、ブドウ球菌の崩壊を徐々に招く。
リンカーなどにより直接的又は間接的な化学的な複合化により免疫複合体を生成した後は、免疫複合体は、この発明の結合分子及び適当なタグを含む融合タンパク質として生成することができる。融合タンパク質は、フレーム内に結合分子をコードする核酸配列及び適当なタグをコードする核酸配列を含む核酸分子を構築し、その核酸分子を発現することによる組換え技術などの周知の技術方法により生成することができる。
また、この発明は、少なくとも、この発明に従う結合分子、機能的変異体又は免疫複合体をコードする核酸分子を提供するものである。かかる核酸分子は、上述した親和性の成熟の過程などの、クローニング目的での中間体として使用することもできる。好適な実施形態では、核酸分子は、分離又は精製されている。
これら核酸分子の機能的変異体がこの発明の一部であることは、当業者が認識することころのものである。機能性変異体は、標準的な遺伝子コードにより直接に翻訳され、元となる核酸分子から翻訳されたものと同一のアミノ酸配列を提供する核酸分子である。
この発明の結合分子をコードする核酸分子は、CDR3領域を具え、好適には、配列ID番号:3、配列ID番号:9及び配列ID番号:15からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域を具える。その他の実施形態では、核酸分子は、この発明の結合分子の2つ、3つ、4つ、5つ、更には6つ全部のCDR領域を具える結合分子をコードする。
その他の実施形態では、核酸分子は、重鎖を具え、好適には、配列ID番号:26、配列ID番号:28及び配列ID番号:30からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する可変重鎖を具える。また、その他の実施形態では、核酸分子は、軽鎖を具え、好適には、配列ID番号:32、配列ID番号:34及び配列ID番号:36からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する可変軽鎖を具える。
また、この発明は、ベクター、すなわち、この発明に従う核酸分子を1つ以上具える核酸コンストラクトを提供するものである。ベクターは、とりわけ、F、Rl、RPl、Col、pBR322、TOL、Tiなどのプラスミド、コスミド、ラムダ、ラムダ形(lambdoid)、M13、Mu、Pl、P22、Qβ、T-even、T-odd、T2、T4、T7などのファージ、植物ウィルスに由来のものとすることができる。ベクターは、クローニング及び/又はこの発明の結合分子の発現のために使用することができ、また、遺伝子治療を目的として使用することもできる。この発明に従う1つ以上の核酸分子を具えるベクターは、1つ以上の発現調節核酸分子に操作可能に連結されており、かかるベクターはこの発明の範囲にある。ベクターの選択は、以下の組換え手段及び宿主に依存する。宿主細胞へのベクターの導入は、リン酸カルシウムのトランスフェクション、ウィルス感染、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクタミン(lipofectamin)トランスフェクション又はエレクトロポレーションにより行なわれる。ベクターは、自己複製又は導入先の染色体とともに複製される。また、ベクターは、1つ以上の選択マーカーを含むことが好ましい。マーカーの選択は、選択される宿主細胞に依存しているが、このことはこの発明に対して致命的なものではないことは当業者には周知である。それらは、以下に限定されないが、カナマイシン、ネオマイシン、プロマイシン、ハイグロマイシン、ゼオシン、ヘルペスシンプレックスウィルス由来のチミジンキナーゼ遺伝子(HSV-TK)、マウス由来のジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(dhfr)を含むものである。上述した、ヒトの結合分子を分離することができるタンパク質又はペプチドをコードする1つ以上の核酸分子に操作可能に連結している、ヒトの結合タンパク質をコードする1つ以上の核酸分子を含むベクターもまた、この発明の範囲にある。これらタンパク質又はペプチドは、以下に制限されるものではないが、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、金属結合ポリヒスチジン、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ及びβガラクトシダーゼを含むものである。
上述したベクターの1つ以上のコピーを有する宿主は、この発明の付加的な目的である。宿主は、宿主細胞であることが好ましい。宿主細胞は、以下に限定されないが、哺乳類、植物、昆虫、菌類又は細菌由来の細胞を含むものである。細菌細胞は、以下に限定されないが、Escherichia属のE. coliやPseudomonasなど数種の、グラム陽性細菌又はグラム陰性細菌を含むものである。菌類細胞のグループでは、酵母細胞が使用されることが好ましい。酵母における発現は、とりわけ、Pichia pastoris、Saccharomyces cerevisiae及びHansenula polymorphaなどの菌株を使用することにより達成される。昆虫細胞としては、Drosophila及びSf9由来の細胞を宿主細胞として使用することができる。それに加え、宿主細胞は、森林植物などの作物植物由来の細胞、食料を供給する植物及び穀類植物などの原料由来の細胞、薬草、観葉植物由来の細胞、又は、花卉作物由来の細胞などの植物細胞とすることができる。形質転換された(遺伝子組換え)植物は又は植物細胞は、アグロバクテリウム媒介形質転換、リーフディスクの形質転換、ポリエチレングリコールを用いたDNA移動によるプロトプラスト形質転換、エレクトロポレーション、ソニケーション、マイクロインジェクション又はボリスティック(Bolistic)遺伝子組換えなどの公知の方法により作製される。また、適当な発現システムは、場急路ウィルスのシステムである。チャイニーズハムスターオバリー(CHO)細胞、COS細胞、BHK細胞、Bowes melanoma細胞などを用いた哺乳類細胞を用いた発現システムが、この発明において好ましい。哺乳類の細胞は、哺乳類由来の自然分子に類似した翻訳後修飾を受けた発現タンパク質を提供する。この発明は、ヒトに投与しなければならない分子を扱うことから完全なるヒトの発現システムを使用することが特に好ましい。そのことから、より好ましくは、宿主細胞はヒトの志望であることが好ましい。ヒトの細胞の例は、とりわけ、Hela、911、AT1080、A549、293及びHEK293T細胞である。好適な実施形態では、ヒトの生成細胞は、発現可能な様式にてアデノウィルスのE1領域をコードする核酸配列の機能的な部分を少なくとも供えるものである。より好適な実施形態では、前記宿主細胞は、ヒトの網膜に由来し、アデノウィルスのE1配列を供える核酸を有する細胞であり、それらは911又はEuropean Collection of Cell CulturesすなわちECACC(CAMR、Salisbury、Wiltshire SP4 OJG、Great Britain on 29 February 1996 under number 96022940)に蓄積されており、PER.C6(Crucell Holland B. V.社の登録商標)にて販売されている細胞系統である。この出願では、「PER.C6」は、96022940の番号にて蓄積されている細胞、その上流又は下流にある祖先、子孫及びそれらの派生体を言うものである。宿主細胞内での組換えタンパク質の生成には、周知の技術により実施することができる。PER.C6の商標名にて販売されている細胞を関心対象のタンパク質の生産プラットフォームとして使用する方法は、特許文献4に開示されており、その全体をここに援用するものである。
この発明に従う結合分子の生産方法は、この発明の付加的な部分である。かかる方法は、a)この発明に従う宿主を、結合分子を発現し得る環境下にて培養するステップと、b)任意選択的に、発現された結合分子の回収をするステップとを含むものである。発現された結合分子又は免疫複合体は、無細胞の抽出物から回収することができるが、培地から回収することが好ましい。上記した生産方法は、この発明の結合分子の機能的変異体及び/又は免疫複合体を生産することに使用することもできる。無細胞抽出物又は培地から、結合分子などのタンパク質を回収する方法は、当業者には周知である。上述した方法により得られた結合分子、機能的変異体及び/又は免疫複合体は、この発明の一部である。
或いは、宿主細胞などの宿主における発現後には、この発明の結合分子及び免疫複合体は、従来のペプチド合成法、又は、この発明のDNA分子由来のRNA核酸を使用した無細胞系翻訳システムなどにより合成生産することができる。上述した合成生産法又は無細胞系翻訳システムにより得られた結合分子及び免疫複合体もまた、この発明の一部である。
その他の実施形態では、この発明の結合分子は、形質転換された、ヒトではない、とりわけ、ウサギ、ヤギ又はウシなどの哺乳類により生産することができ、例えば、その乳に分泌されることとなる。
更に他の実施形態では、この発明に従う結合分子は、特には、ブドウ球菌又はその断片に対し特異的に結合するヒトの結合分子は、ヒトの免疫グロブリン遺伝子を発現するよう形質転換された、ヒトではないマウスやウサギなどの哺乳類により生産される。形質転換されたヒト以外の哺乳類のゲノムは、上述した結合分子の全てをコードするヒトの重鎖の導入遺伝子及びヒトの軽鎖の導入遺伝子を有する好ましい。形質転換されたヒト以外の哺乳類は、精製され、濃縮準備されたブドウ球菌又はその断片により免疫することもできる。ヒト以外の哺乳類を免疫するプロトコルは、従来技術として確立されている。それは、非特許文献13及び14に開示されており、それらはここに援用するものである。免疫プロトコルは、フロイントの完全なアジュバント及びフロイントの不完全なアジュバントといったアジュバントの有無に関わらず、複数免疫をしばしば含み得るものであり、裸DNAの免疫をも含み得るものである。その他の実施形態では、ヒトの結合分子は、形質転換動物のB細胞又はプラズマ細胞から生産される。更に、その他の実施形態では、ヒトの結合分子は、上述の形質転換されたヒト以外の哺乳類のB細胞を不死化細胞に融合することにより生産されたハイブリドーマから生産される。上記した形質転換されたヒト以外の哺乳類から得られたB細胞、プラズマ細胞及びハイブリドーマ、並びに、上記した形質転換されたヒト以外の哺乳類から得られたヒトの結合分子、B細胞、プラズマ細胞及びハイブリドーマはこの発明の一部である。
また、この発明は、少なくとも2つの異なる細菌性生物又は以下の結合分子をコードする核酸分子に対し特異的に結合する、ヒトのモノクローナル抗体またはその断片などのヒトの結合分子といった結合分子を同定する方法を提供するものであり、かかる方法は、a)第一の細菌性生物が結合できる環境下にある複製可能な遺伝的パッケージの表面にある結合分子のコレクションに接触させるステップと、b)第一の細菌性生物への複製可能な遺伝的パッケージ結合を少なくとも一度選択するステップと、c)任意選択的に、第一の細菌性生物への複製可能な遺伝的パッケージ結合を分離し、当該分離された複製可能な遺伝的パッケージを、結合を実施し得る条件下にて第二の細菌性生物に接触させ、第二の細菌性生物への複製可能な遺伝的パッケージの結合を少なくとも一度選択するステップと、d)第一及び又は第二の細菌性生物に結合していない複製可能な遺伝的パッケージから、第一及び/又は第二の細菌性生物への複製可能な遺伝的パッケージ結合を分離して回収するステップとを含むものである。勿論、上述の方法を第三及び第四の細菌性生物へと拡張した方法も、この発明に含まれる。
ここで使用される複製可能な遺伝的パッケージは、胞子、イースト、細菌、ウィルス、(バクテリオ)ファージ、リボソーム及びポリソームを含む、原核生物又は真核生物とすることができる。好適な複製可能な遺伝的パッケージは、ファージである。例えば、単鎖Fvsなどの結合分子は、複製可能な遺伝的パッケージ上に表示され、すなわち、複製可能な遺伝的パッケージの外面に配置された分子の群に取り付けられる。複製可能な遺伝的パッケージは、結合分子をコードする核酸分子に連結したスクリーニング対象の結合分子を具える、スクリーニング可能なユニットである。かかる核酸分子は、(例えば、ベクターにより)in vivo又は(例えば、PCR、転写及び翻訳により)in vitroにて複製可能である。in vivoでの複製は、(ウィルスの場合に)宿主因子の補助、又は、宿主及びヘルパーウィルスの双方の補助により、(細胞においては)自律的であって良い。結合分子のコレクションを示す複製可能な遺伝的パッケージは、外生結合分子をコードする核酸分子を導入することにより形成され、複製可能な遺伝的パッケージのゲノム内にディスプレイ(display)して、一般に、複製可能な遺伝的パッケージの外面にて発現する内生タンパク質と融合タンパク質を形成する。融合タンパク質の発現は、外面への移動及びアセンブリにより、複製可能な遺伝的パッケージの外面から外生結合分子をディスプレイすることとなる。
この発明に従う方法における選択ステップは、生きており、まだ感染力を有する又は非活性化した細菌性生物にて行なわれる。細菌性生物の非活性化は、とりわけ、低pH、すなわちpH4にて6〜21日間で処理する方法、有機溶剤/界面活性剤で処理、すなわち有機溶剤/界面活性剤(TritonX-100又はTween-80)を細菌に添加する方法、UV/光照射する方法、γ-照射する方法、及び、適当な抗生物質により処理する方法などの、当業者には周知である細菌非活性化方法により行なわれる。細菌性生物が生きている、感染力を有する及び/又は生存能力がある或いは部分的又は完全に非活性化されているかどうかを試験する方法は、当業者には周知のものである。上述した方法にて使用される細菌性生物は、分離されておらず、例えば、感染した個人の血清及び/又は血液内に存在するものとすることができる。使用される細菌性生物は、ヒツジ血液アガーなどの適当な培地上にて37℃で一晩培養した後の、別々のコロニーとして分離されたものとすることができる。
実施形態において、第一及び第二の細菌性生物は、複製可能な遺伝的パッケージと接触する際には懸濁液中にある。あるいは、それらは、接触の際に、キャリアとともにある。その他の実施形態において、第一及び第二の細菌性生物は、異なる細菌ファミリーから由来するものであり、例えば、第一の細菌性生物はグラム陰性細菌由来のものであり、第二の細菌性生物はグラム陽性細菌由来のものである。この方法により、グラム陰性細菌及びグラム陽性細菌に特異的に結合する結合分子を見つけることができる。このとき、第一及び第二の細菌性生物は、ともにグラム陽性細菌であることが好ましい。かかる第一及び第二の細菌性生物は、ともにブドウ球菌とすることができる。実施形態では、第一及び第二の細菌性生物は、同一の細菌種の異なる菌株であり、例えば、Staphylococcus種のS. aureus及びS. epidermisである。この方法により、同一の種の異なる菌株に対し特異的に結合する結合分子を見つけることができる。その他の実施形態では、第一及び第二の細菌性生物は、異なるStaphylococcus種の群であり、例えば、第一及び第二のStaphylococcus種は、S. aureus及びS. epidermisを含むグループから選択される。この方法により、同一の細菌属の異なる種に対し特異的に結合する結合分子を見つけることができる。かかる第一及び第二の細菌性生物は、腸球菌とすることができる。一実施形態において、第一及び第二の細菌性生物は、同一の細菌種の異なる菌株であり、例えば、E. faecalis又はE. faeciumなどのEnterococcus種である。この方法により、同一の種の異なる菌株に対し特異的に結合する結合分子を見つけることができる。その他の実施形態では、第一及び第二の細菌性生物は、異なるEnterococcus種の群であり、例えば、第一及び第二のEnterococcus種は、E. faecalis又はE. faeciumを含むグループから選択される。
或いは、選抜ステップは、細胞膜準備物、(プロテアーゼKなどの)酵素処理によりタンパク質を除去した細胞膜準備物、(過沃素酸塩などの)酵素処理により炭酸部分、組換えタンパク質、多糖類を除去した細胞膜準備物などの、細菌性生物の断片の存在下にて実施される。更にその他の実施形態では、選抜ステップは、細菌性生物由来の1つ以上のタンパク質又は(ポリ)ペプチド、これらタンパク質又は(ポリ)ペプチドを有する融合タンパク質、及び、その類似物の存在下にて実施される。これらタンパク質の細胞外に露出した部分は選抜用材料として利用することができる。生きている又は非活性化した細菌性生物又はその断片は、適当な材料するために使用前に固定される。或いは、懸濁液中の生きた又は不活性化した細菌が使用される。実施形態では、選抜は細菌性生物由来の異なる物質により実施することができる。例えば、第一回の選抜では、選抜は、懸濁液中の生きた又は不活性化した細菌性生物に対し実施することができ、第二及び第三回の選抜では、組換え細菌タンパク質及び多糖類に対し夫々実施することができる。勿論、その他の組み合わせを採用することも可能である。1つの選抜/篩い分けステップにおいて、異なる細菌物質を使用することもできる。また、この発明は、選抜ステップにて使用される細菌性生物が、誘導期、対数増殖期、定常期又は死滅期などの同一又は異なる生長期にある細菌由来のものとする方法を提供するものである。この方法により、時期特異的な抗菌結合分子を見つけることができる。例えば、第一の細菌性生物は、定常期にあるS. aureusとし、第二の細菌性生物は、対数増殖期にあるS. aureusとすることができ、或いは、第一の細菌性生物は、誘導期にあるS. aureusとし、第二の細菌性生物は、誘導期にあるS. epidermidisとすることができる。当業者であれば、その他の組み合わせを採用することは容易なことである。
具体的な実施形態により、この発明は、第一及び/又は第二のStaphylococcus種がS.aureus株である場合には、S.aureus株の表面上にあるタンパク質Aが、S.aureus株が複製可能な遺伝的パッケージと接触する前にブロックされるような、上述した方法を提供するものである。適当なブロッキング剤は、ウサギの血清、精製されたウサギの免疫グロブリン、牛胎児の血清、集められたヒトの血清である。
また、この発明は、2つ以上の異なる生物組織、又は、結合分子をコードする核酸分子に特異的に結合する結合分子を得る方法を提供するものであり、かかる方法は、a)結合分子を同定する上述の方法を実施するステップと、b)回収した複製可能な遺伝的パッケージから、結合分子及び/又は結合分子をコードする核酸分子を分離するステップとを含むものである。複製可能な遺伝的パッケージの表面上にある結合分子のコレクションは、scFv又はFabsのコレクションとすることができる。結合分子又は結合分子をコードする核酸分子を同定する上述の方法により、新たなscFv又はFabsが確立又は同定されたら、scFv又はFabsをコードするDNAを細菌又はファージから単離して、標準的な分子生物学的な手法と組み合わせて、二価のscFv、又は、(IgG、IgA又はIgMなどの)所望の特異性を有する完全なヒトの免疫グロブリンをコードするコンストラクトを作製することができる。これらのコンストラクトは、適当な細胞系統にトランスフェクションして、完全なヒトモノクローナル抗体を生成させることができる(非特許文献9及び非特許文献2を参照)。
上述したように、好適な複製可能な遺伝的パッケージは、ファージである。(ヒトの)モノクローナル抗体などの(ヒトの)結合分子を同定し、得ることができるファージディスプレイ法は、現在、当業者に周知な充分に確立した方法である。かかる方法は、例えば、特許文献5、非特許文献3、非特許文献8及び非特許文献15に記載されている。これら参照文献は、全てここに援用するものである。ファージディスプレイライブラリーの構築するために、ヒトのモノクローナル抗体、重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子のコレクションを、例えば、単鎖Fv(scFv)又はFabの様式にて、バクテリオファージの、好適には糸状バクテリオファージの、粒子の表面にて発現させられる(非特許文献8を参照)。抗体断片発現ファージの大きなライブラリーは、1.0×109以上の抗体特異性を有し、免疫された又は免疫されてない個人のBリンパ球にて発現する免疫グロブリンV領域としてまとめることができる。この発明の具体的な実施形態では、結合分子のファージライブラリー、特にscFvのファージライブラリーは、細菌に対するワクチンを処置された、関係しない病原菌に対するワクチンを最近処置された、ブドウ球菌感染などによる慢性又は急性の細菌感染に最近苦しめられている対象者、又は、健康な個人から得られた細胞から分離されたRNAを用いて準備された。RNAは、とりわけ、骨髄又は末梢血、好ましくは末梢血リンパ球、或いは、単離されたB細胞又はB細胞の部分母集団からであっても分離することができる。対象は、細菌に対するワクチンを処置した動物、或いは、細菌感染した又は以前に細菌感染した動物とすることができる。好適には、細菌に対するワクチンを処置した、或いは、急性的又は慢性的に細菌に感染した又は以前に細菌に感染した動物はヒトである。ヒトの対象者は、細菌感染から回復したばかりであることが好ましい。
あるいは、ファージディスプレイライブラリーは、ライブラリー(半合成ライブラリー)に付加的な抗体の多様性を付与するためにin vitroにて部分的に集められた免疫グロブリンの可変領域により構築することができる。例えば、in vitroにて集められた可変領域は、合成により生成され、CDR領域などの抗体の特異性に重要な分子の領域がランダム化又は部分的にランダム化したDNAの範囲を含む。ブドウ球菌などの細菌に特異的な抗体は、細菌又はその物質をファージライブラリーに曝露し、細菌又はその物質に対し特異的な抗体断片を発現しているファージを結合させることにより、ライブラリーから選抜することができる。結合していないファージは、洗浄工程にて取り除かれ、結合しているファージは、E.coli菌の感染及び次いでの増殖のために溶出される。ファージの細菌又はその物質に対する結合特異性を充分に向上させるために、複数ラウンドの選抜及び増殖が一般に要求される。必要に応じて、ファージライブラリーを細菌又はそれの物質に曝露する前に、ファージライブラリーを、異なる属、種及び/又は菌株などの対象ではない材料、或いは異なる生育ステージにある細菌又はそれら細菌の物質に曝露することにより、減算させることができる。これら減算細菌又はそれ物質は、担体に結合させたり、懸濁液とすることができる。細菌性の多糖類又はその他の細菌性物質を付加した細菌タンパク質又は(ポリ)ペプチドの複雑な混合物などの複雑な抗原に結合するファージを選抜することもできる。ブドウ球菌などの細菌の1つ以上のタンパク質又は(ポリ)ペプチドを発現する宿主細胞は、選抜目的に使用することができる。これらの宿主細胞を使用したファージディスプレイ法は、非ターゲット分子、又は、ターゲットに類似しているが、それとは同一ではない非ターゲット分子を宿主細胞に対し過剰に添加することで、スクリーニング時に、関係の無い結合物を減算し、拡張及び改善することができることから、関係する結合分子を見つけ出す機会が顕著に増大することとなる。もちろん、減算は、細菌性生物又はそれの物質によるスクリーニング前、スクリーニング時又はスクリーニング後に実施することができる。その工程については、Madtract process(MadtractはCrucell Holland B.V.社の登録商標である。また、ここに援用される特許文献6を参照せよ。)を参照せよ。
また、この発明は、少なくとも2つの異なる細菌性生物に対する殺活性を有する結合分子を得る方法を提供するものであり、かかる方法は、a)上述したように、少なくとも2つの異なる細菌性生物又はかかる結合分子をコードする核酸分子に対し、特異的に結合する結合分子を得るステップと、b)分離された結合分子が、少なくとも2つの異なる細菌性生物に対し殺活性を有するかどうかを確かめるステップとを含む。結合分子が、食作用活性などの殺活性を有するかどうかを確かめるためのアッセイは、従来技術として公知である(非特許文献11を参照せよ)。その他の実施形態では、結合分子はその他の活性を有しているかを試験する。その他の有効な活性は、上述した通りである。
更に、この発明は、上述の方法により得ることができ、また、例えば、ブドウ球菌などの、少なくとも2つの、好適には少なくとも3つ又はそれ以上の異なる細菌性生物に対し、殺活性を有する結合分子を含むものである。結合分子を含んだ医薬品組成物、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含んだ医薬品組成物は、この発明の一例である。薬学的に許容可能な賦形剤は、当業者には周知のものである。この発明に従う医薬品組成物は、少なくとも1つのその他の治療剤を含んでいる。適当な薬剤も、当業者には周知のものである。
更にまた、この発明では、この発明に従うヒトのモノクローナル抗体、少なくとも1つのその機能的な変異体、少なくとも一つのこの発明に従う免疫複合体又はそれらを組み合わせたものである、少なくとも1つの結合分子を含む組成物を提供することが好ましい。それに加え、組成物は、とりわけ、アルブミンやポリエチレングリコールなどの安定化分子或いは塩類を含む。使用される塩類は、結合分子の所望の生物活性を保持し、所望しない毒物的な効果を付与しない塩類であることが好ましい。必要に応じて、この発明のヒトの結合分子は、結合分子を失活させる酸の作用或いはその他の自然又は非自然状態から守る物質内又は物質上にて被覆される。
加えて、この発明は、少なくとも1つのこの発明に規定される核酸分子を含む組成物を提供するものである。かかる組成物は、(NaCl又は上述の塩類などの)塩類、(SDSなどの)界面活性剤及び/又はその他の適当な構成要素を含む水溶液などの水溶液を含む。
加えてまた、この発明は、この発明のヒトのモノクローナル抗体(又は機能的な断片やその変異体)などの少なくとも1つの結合分子、少なくとも1つのこの発明に従う免疫複合体、少なくとも1つのこの発明に従う組成物又はそれらを組み合わせたものを含む医薬品組成物を提供するものである。この発明の医薬品組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤を更に具える。
実施形態において、医薬品組成物は、Staphylococcus種などの細菌性生物に対する殺活性を有する2つ以上の結合分子を具える。また、実施形態において、結合分子は、組み合わせて使用することにより相乗効果的な殺活性を発揮する。言い換えると、組成物は、殺活性を有する少なくとも2つの結合分子を具え、かかる結合分子が相乗効果的に、ブドウ球菌等の細菌性生物を殺すよう機能することとなる。ここでいう「相乗効果的」とは、組み合わせた方が、個別に用いた場合の累積効果よりも大きな効果を奏するような、結合分子を組み合わせることによる効果のことを言う。相乗効果的な活性を有する結合分子は、細菌性生物の断片とは同一又は区別し得るものとは異なる構造に結合する。実施形態において、細菌性生物を相乗効果的に殺す活性を有する結合分子は、その他の細菌性生物を相乗効果的に殺すことができる。相乗効果は、組み合わせインデックス手段により算出される。組み合わせインデックス(CI)は、非特許文献6に記載されている。相乗効果を有する2つ以上の結合分子は、異なる形式の活性を有する。例えば、第一の結合分子は、食作用活性を有し、第二の結合分子は、ファゴサイトーシスを向上/増大/強化するその他の活性を有し、或いは、第一の結合分子は、細菌生長を抑制又は阻害する或いは細菌を直接殺すなどの固有の(殺)活性を有し、第二の結合分子は、抗生物質に対する感受性を向上させる。その他の組み合わせについても企図されていることには留意されたい。
また、この発明に従う医薬品組成物は、少なくともその他1つの治療、予防及び/又は診断剤を更に具える。また、医薬品組成物は、少なくとも1つの他の予防及び/又は治療剤を更に具えることが好ましい。前記更なる医薬品組成物及び/又は予防剤は、ブドウ球菌などの細菌の感染及び/又は感染による状態を防止及び/又は処置し得る薬剤である。治療剤及び/又は予防剤は、以下に制限されないが、抗菌剤を含む。かかる剤は、結合分子、小分子、有機又は無機物質、酵素、ポリ核酸配列、抗菌性ペプチドなどとすることができる。現在使用されており、ブドウ球菌などの細菌に感染した患者を処置するためのその他の薬剤は、メチシリン、第2及び第3世代のセファロスポリン、アミノグリコシド、カルバペネン(Carbapenems)、マクロライド、ケトライド、キノロン(Quinolones)などの抗生物質、及び、デプトマイシン(daptomycin)、リネゾリド(linezolid)、ニトロフラントイン、キノプリスチン/ダルフォプリスチン(quinupristin/dalfopristin)、トリメトプリム/サルファ、バンコマイシンなどの混合型の抗生物質である。これらは、この発明の結合分子に組み合わせて使用することができる。細菌による感染及び/又は感染による実験段階にある症状を、予防及び/又は処置することができる薬剤は、この発明において効果のある他の治療剤及び/又は予防剤として使用することができる。
この発明の結合分子又は医薬品組成物は、ヒトに対し使用する前に、適当な動物のモデルシステムにて使用することができる。かかる動物のモデルシステムは、以下に限定されるものではないが、ネズミ敗血症及び腹膜炎モデル、ラット敗血症及び心内膜炎モデル並びにウサギ心内膜炎モデルを含む。
一般に、医薬品組成物は、製造及び貯蔵条件下にて、無菌であり、安定していなければならない。結合分子、免疫複合体、核酸分子又はこの発明に従う組成物は、受け渡し前又は受け渡し時に、薬学的に許容可能な賦形剤内にて適当な形状に再構成するために粉末状とすることができる。注射可能な無菌溶液を準備するための無菌粉末とした場合には、かかる準備の好適な方法は、事前にフィルターにより無菌となった溶液から、減圧乾燥及び凍結乾燥(真空凍結乾燥)により、活性成分と任意の付加的な所望される成分との粉末を生産する方法である。
あるいは、結合分子、免疫複合体、核酸分子又はこの発明の組成物は、溶液とすることができ、そこに、受け渡し前又は受け渡し時に、適当な薬学的に許容可能な賦形剤を添加及び/又は混合し、単一の投薬量にて注入可能な形態にて提供することができる。この発明にて使用される薬学的に許容可能な賦形剤は、薬物の濃度を高め、適当な流量を維持し、必要に応じてその吸収を遅らせることに適していることが好ましい。
医薬品組成物を投与する最適な経路の選択は、組成物内の活性化分子の物理化学的な特性、臨床状況の緊急性及び所望の治療的な効果に対する活性分子の血漿濃度との関係などの、いくつかの要素に影響される。例えば、必要であれば、この発明の結合分子は、インプラント、経皮パッチ、マイクロカプセルに入れるデリバリーシステムを含む徐放剤などの急激な放出を防止するキャリアとともに準備される。とりわけ、チレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの、生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。また、結合分子とともに、ヒトの結合分子の失活を防止する物質又は組成物を共投与することにより、結合分子を被覆する必要がある。例えば、対象に投与される結合分子は、リポソーム又は希釈剤などの適当なキャリア内にある。
投与に供する経路は、経口及び非経口投与の、2つの主要なカテゴリに分けることができる。好ましい投与経路は、静脈である。
経口投与形態は、とりわけ、タブレット、トローチ、錠剤、水性又は油性の懸濁液、分散粉末又は顆粒、エマルション、硬カプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、シロップまたはエレキシル、ピル、糖衣錠、液体、ゲル又はスラリーとして、調剤されるものである。これらの調剤には、以下に限定されないが、不活性希釈剤、造粒及び分解剤、結合剤、平滑剤、防腐剤、着色化、風味付けまたは甘味剤、植物油又は鉱油、湿潤剤、及び、増粘剤を含む、薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
この発明の医薬品組成物は、非経口投与用に調剤することができる。非経口投与用製剤は、とりわけ、水溶性又は非水溶等張性無菌の非毒性注入、或いは、輸液又は懸濁液の形態をとる。輸液又は懸濁液は、投薬しても投薬者にとって毒性の無い剤を含み、その濃縮物は、1,3-ブタンジオール、リンガー液、ハンク溶液、生理食塩液、油、脂肪酸、局所麻酔剤、防腐剤、バッファー、粘性又は溶解促進剤、水溶性酸化防止剤、油溶性の酸化防止剤及び金属キレート化剤を含む。
また、この発明のヒトのモノクローナル抗体(機能的な断片又はその変異体)などの結合分子、免疫複合体、組成物、医薬品組成物は、この発明のその他の部分である。そのことから、この発明の結合分子、免疫複合体、組成物、医薬品組成物、を使用した、ブドウ球菌などの(グラム陰性及び/又はグラム陽性の)細菌の感染を処置及び/又は防止をする方法はこの発明のその他の部分である。上述の分子は、とりわけ、細菌感染の診断、予防、処置又はそれらの組み合わせたもののために使用することができる。それらは、細菌感染に苦しんでいる、まだ処置していない患者、或いは、細菌感染に対する処置を受けている又は受けた患者への処置に適している。また、それらは、入院乳児、早産児、熱傷犠牲者、高齢患者、免疫低下患者、免疫抑制患者、襲的技法を施されている患者及び医療従事者などの患者に使用される。各投与は、長くて3週又は4週の間、細菌による更なる感染を防止し、及び/又は、感染に関連した症状の発症又は進展を遅らせる。この発明の結合分子は、細菌の抗生物質への感受性を高めることにより、既存の抗生物質処理の効果を高め、食作用以外の方法で細菌を攻撃するよう免疫システムを刺激することができる。この活性化により、感染性細菌に対する長期間の防御が達成される。また、この発明の結合分子は、細菌の生長を直接的に阻害、又は感染時の生存に必要な病原性要素を阻害する。
上述の分子又は組成物は、診断、予防及び/又は処置に有用な、その他の分子と連結したものとすることができる。それらは、in vitro、ex vitro又はin vivoにて使用することができる。例えば、ヒトのモノクローナル抗体などの結合分子(又はその機能的な変異体)、免疫複合体、組成物又は医薬品組成物は、(可能であれば)細菌性生物に対するワクチンと共投与することができる。あるいは、ワクチンは、この発明の分子を投与する前後に、投与することができる。また、ワクチンの代わりに、この発明の結合分子とともに、抗菌剤を使用することもできる。適当な抗菌剤は上述のとおりである。
かかる分子は、治療上又は診断上効果のある分量にて、この発明の組成物又は医薬品組成物として調剤される。あるいは、それらを個別に調剤して、投与することができる。例えば、抗菌剤等の他の分子を全身に投与しつつ、この発明の結合分子を髄膜下又は脳室内に投与することができる。
投与計画は、(治療的な反応などの)最適に所望される反応を提供するよう調整することができる。適当な投与量は、例えば、0.1〜100mg/kg体重であり、好適には、0.5〜15mg/kg体重である。また、例えば、単一の巨丸剤は投与したり、複数に分割された錠剤を複数回にわたり投与したり、治療状況の緊急性に応じて投薬量の割合を少なく又は多くしたりできる。この発明に従う分子及び組成物は、無菌であることが好ましい。これら分子及び組成物を無菌になるようにする方法は、従来技術として周知である。診断、予防及び/又は処置に有用なその他の分子は、この発明の結合分において提案した投与計画に類似した計画にて投与することができる。もし、その他の分子が個別に投与されたならば、それらは、この発明の1つ以上のヒトの結合分子又は医薬品組成物の投与(例えば、2分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、2日、3日、4日、5日、7日、2週間、4週間又は6週間前)前に、それらの投与とともに、又は、それらの投与後(例えば、2分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、2日、3日、4日、5日、7日、2週間、4週間又は6週間後)に投与される。正確な投与計画は、一般にヒトの患者に対する臨床試験により選別される。
ヒトの結合分子及びヒトの結合分子を含む医薬品組成物は、投与された抗体に対する投与者の免疫反応が、単一クローンネズミ、キメラ又はヒト型の結合分子に比べ、実質的に低下することから、in vivoの治療剤としてヒトに投与する場合に、特に有用であり、しばしば推奨されるものである。
また、この発明は、ブドウ球菌などの(グラム陽性及び/又はグラム陰性)細菌による感染に対する診断、予防、処置又はそれらの組み合わせたもののための薬剤を準備する際に、殺活性を有するヒトのモノクローナル抗体(機能的な断片及びその変異体)、免疫複合体、核酸分子、組成物又はこの発明に従う医薬品組成物などの結合分子を使用することに関するものである。
更に、この発明に従う、殺活性を有するヒトのモノクローナル抗体などの少なくとも1つの結合分子、少なくとも1つの免疫複合体、少なくとも1つの核酸分子、少なくとも1つの組成物、少なくとも1つの医薬品組成物、少なくとも1つのベクター、少なくとも1つの宿主、又はそれらの組み合わせたものを含むキットもこの発明に含まれるものである。任意選択的に、上述したこの発明のキットの構成要素は、適当な容器にパックされ、明らかとなっている状態について診断、予防及び/又は処置するためのラベルが付される。上述の構成要素は、水溶性の、好適には無菌の、水溶液として、又は、凍結乾燥された、好適には無菌の、再構成のための製剤として、ユニット又は複数投与容器に保存される。容器は、ガラス又はプラスチックなどの多様な材料から形成され、(皮下注射針により孔を開けられる栓を有する静脈内溶液バッグ又はバイアルなどの)無菌のアクセスポートを有するものとすることができる。キットには、薬学的に許容可能なバッファーを入れた容器を更に含めることができる。また、それには、商業的及び使用者の観点から所望される、その他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、1種以上の適当な宿主用の培地、更には、少なくとも1つのその他の治療用、予防用又は診断用の剤を含めることができる。キットに関連して、慣例上の取扱い説明書が、治療、予防又は診断製品の市販のパッケージに含まれ、それには、例えば、治療、予防又は診断製品などの使用に関する指示、使用法、投薬量、製造、投与、禁忌及び/又は警告事項についての情報が含まれている。
また、この発明の結合分子は、医療器具又はポリマー生体材料を被覆するために使用することができる。
更に、この発明は、試料内の(グラム陽性及び/又はグラム陰性)細菌性生物を検出する方法に関するものであり、かかる方法は、a)診断効果のある分量の結合分子(機能的な断片及びその変異体)又はこの発明に従う免疫複合体と、試料とを接触させるステップと、b)試料内の分子と結合分子又は免疫複合体が特異的に結合するか否かを判定するステップとを含むものである。かかる方法は、試料内のStaphylococcusを検出するために使用されることが好ましい。また、試料は、以下に限定されるものではないが、血液、血清、尿、組織を含む生物材料、又は、(可能性のある)感染対象であるその他の生物試料、或いは、水や飲料などの非生物試料とすることができる。(可能性のある)感染対象は、ヒトを対象とすることもできるが、細菌性生物のキャリアとして推測される動物を対象とすることもでき、それらについて、この発明の結合分子又は免疫複合体を用いて、細菌性生物が存在するかどうかを試験することができる。まず、試料は、検出方法に対して適当となるよう操作される。操作とは、とりわけ、細菌性生物を含むことが予測される及び/又は含んでいる試料に対し、かかる細菌性生物が、タンパク質、(ポリ)ペプチド又はその他の抗原性断片などの抗原性構成要素に分散するよう処置することを意味するものである。この発明の結合分子又は免疫複合体は、ヒトの結合分子と細菌性生物又は抗原性成分との間で、免疫複合体を形成することを可能とする条件下にある試料に接触させることが好ましい。免疫複合体が形成されたならば、そのことは、試料内に細菌性生物が存在することを表しており、適当な手段により検出及び測定されることとなる。かかる方法は、とりわけ、放射線免疫検定(RIA)、ELISA、免疫蛍光検査、免疫組織化学、FACS、BIACORE及びウェスタンブロット解析などの、同種又は異種の結合免疫アッセイ法を含むものである。
特に、患者の血清、血液及び血液由来の生成物についての大規模な臨床スクリーニングに好適なアッセイ技術は、ELISA及びウェスタンブロット技術である。このうち、ELISA技術が特に好ましい。これらアッセイ法の試薬として使用すると、この発明の結合分子又は免疫複合体は、マイクロタイタウェルの内面に、有利に結合している。また、この発明の結合分子又は免疫複合体を、マイクロタイタウェルに直接的に結合させることもできる。しかし、この発明の結合分子又は免疫複合体のウェルへの最大結合量は、この発明の結合分子又は免疫複合体をウェルに添加する前に、ウェルに対しポリリジンにより前処理を施すことにより達成されるものである。また、この発明の結合分子又は免疫複合体は、ウェルに対し公知の手段により共有結合にて付着させることができる。一般に、結合分子又は免疫複合体は、0.01〜100μg/mlにて被覆に使用されるが、それよりも多くしたり少なくしたりできる。次いで、この発明の結合分子又は免疫複合体により被覆されたウェルに試料が添加される。
また、この発明の結合分子は、Staphylococcusなどの細菌性生物に対し特異的に結合する構造を同定するために使用することができる。結合構造は、タンパク質及び/又はポリペプチド上のエピトープである可能がある。また、それらは、線形であり得るが、構造的及び/又は立体配置的でもあり得る。一実施形態では、結合構造は、PEPSCAN分析の手段により分析される(特許文献7、特許文献8及び非特許文献10を参照せよ)。あるいは、細菌性生物のタンパク質からのペプチドを有するランダムペプチドライブラリーから、この発明の結合分子に結合するペプチドをスクリーニングすることができる。発見された結合構造/ペプチド/エピトープは、ワクチンとして及び細菌感染の診断に使用することができる。タンパク質及び/又はポリペプチド以外の断片が結合分子に結合する場合には、結合構造は、マススペクトロメータ、高速液体クロマトグラフィ及び核磁気共鳴により同定することができる。
更に、この発明は、Staphylococcusなどの(グラム陽性及び/又はグラム陰性)細菌性生物の同一のエピトープに、この発明の結合分子によるエピトープ結合により特異的に結合する、結合分子(或いは機能的な断片又はその変異体)をスクリーニングする方法を提供するものであり、かかる方法は、a)スクリーニングされた結合分子を、この発明の結合分子及び細菌性生物又はその断片と接触させるステップと、b)スクリーニングされた結合分子が、食作用活性などの殺活性を有する細菌性組織又はその断片に特異的な結合に対し競合し得るかどうかを測定するステップとを含むものである。その後のステップでは、スクリーニングされた結合分子が、食作用活性などの殺活性を有する細菌性組織又はその断片への特異的な結合に対し競合し得るかどうかを判定する。この発明の結合分子の細菌性組織又はその断片への特異的な結合に競合する結合分子もまた、この発明の一部である。上述のスクリーニング方法において、「同一のエピトープへの特異的な結合」とは、実質的又は本質的に同一なエピトープへの特異的な結合についても、この発明の結合分子のエピトープへの結合に含むことを企図したものである。この発明の結合分子の細菌性生物への結合をブロッキング又はそれと競合する活性は、一般に、スクリーニングされる結合分子が、この発明の結合分子に対し免疫特異的に認識する細菌性生物のエピトープ又は結合部位と構造的に重複する細菌性生物のエピトープ又は結合部位に結合することを示す。あるいは、このことは、スクリーニングされる結合分子が、この発明の結合分子に免疫特異的に認識する結合部位の充分近傍にある、エピトープ又は結合部位に結合して、立体構造となり、すなわち、結合分子の細菌性生物への結合を阻害することを示す。
一般に、競合的な阻害は、抗原組成物すなわち細菌性生物又はその断片を含む組成物を、関連する結合分子すなわちこの発明の結合分子及びスクリーニングされる結合分子と混合する、アッセイ手段により測定される。一般に、スクリーニングされる結合分子は、過剰量存在する。ELISA及びウェスタンブロッティングに基づくプロトコルは、そのような単純な競合試験における使用に適している。複数種又はそのアイソタイプの第二抗体を使用することにより、実質的に同一のエピトープを認識するスクリーニングされる結合分子の存在により弱められている結合である、関連する結合分子に対する結合のみを検出することができる。関連する結合分子及びスクリーニングされる任意の結合分子(関連しない種類又はアイソタイプ)間の、結合分子の競合試験を実施することにより、関連する結合分子を、その後の同定を可能とするビオチン、酵素ラベル、放射性ラベル又はその他のラベルといった検出可能なラベルによりラベルすることができる。これらの競合アッセイによる結合分子(「競合的結合分子」又は「交差反応結合分子」)の同定は、以下に限定されないが、エピトープ又は関連する結合分子すなわちこの発明の結合分子に結合する結合部位に結合する抗体、抗体断片及びその他の結合剤、並びに、スクリーニングされる結合分子及び発生する関連する結合分子間の競合結合のための、関連する結合分子に結合するエピトープの充分近傍にある、エピトープ又は関連する結合部位に結合する抗体、抗体断片及びその他の結合剤を含むものである。この発明の競合結合分子は、過剰に存在すると、関連結合分子の選択された標的種への特異的な結合を、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも70〜90%、或いはそれ以上、阻害することが好ましい。この発明の結合分子として略、実質的、本質的又は同一のエピトープに結合する競合的な結合分子を同定することは、単純な技術事項である。競合的な結合分子の同定が関連する結合分子すなわちこの発明の結合分子との比較により判定されることから、関連する結合分子及び競合的な結合分子が結合するエピトープの実際の判定することは、関連する結合分子として同一の又は実質的に同一のエピトープに結合する、競合的な結合分子を同定する際に所望される方法ではないことには留意されたい。
この発明を例示として、以下に示す実施例がある。かかる実施例はこの発明の範囲を限定することを企図したものでは一切ない。
実施例1
(食作用活性によりスクリーニングされた提供者から抽出したRNAを使用した、scFvファージディスプレイライブラリーの構築)
25〜55歳の間の、グラム陽性細菌による感染が報告された提供者及び健康な成人から血液サンプルを採取した。末梢血白血球は遠心分離によって分離され、血清は80℃にて保存及び凍結した。提供者の血清を、FACSに基づくファゴサイトーシスアッセイ法(非特許文献4)を用いて、食作用活性によりスクリーニングし、それを通常の健康な提供者の一連の血清と比較した。ファージディスプレイライブラリーの作製に使用するため、通常の結成と比較して、高い食作用活性を示す提供者からの血清を選択した。全RNAは、有機相分離と、それに次ぐエタノール沈殿により提供者の末梢血白血球から準備された。得られたRNAを、RNaseフリーの水に溶解し、その濃度をOD260nm測定により判定した。その後、RNAは100ng/μlの濃度となるよう希釈された。次いで、1μlのRNAが、以下の方法によりcDNAに変換された。10μlの全RNA、13μlのDEPC処理された超純水及び1μlのランダムヘキサマー(500ng/μl)を混合し、得られた混合液を65℃にて5分加熱し、氷上にて急冷した。それから、8μlの5Xファーストストランドバッファ、2μlのdNTP(それぞれ10mM)、2μlのDTT(0.1M)、2μlのRNase阻害剤(40U/μl)及び2μlのSuperscript(登録商標)III MMLV逆転写酵素(200U/μl)を混合液に添加し、室温にて5分間インキュベートし、50℃にて1時間インキュベートした。反応は、熱失活させる、すなわち、混合液を75℃にて15分インキュベートすることにより止められた。得られたcDNA産物は、DEPC処理された超純水に最終量が200μlとなるよう希釈された。得られたcDNA産物を50回希釈した(10mMのTrisバッファー)水溶液は、cDNAの濃度を判定するために使用された。各提供者に対し、5〜10μlの希釈されたcDNA産物が、特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用した免疫グロブリンのガンマ重鎖ファミリー及びカッパ又はラムダ軽鎖配列のPCR増幅のテンプレートして使用された(表1〜7参照)。また、一人の提供者の免疫グロブリンのミュー重鎖ファミリー及びカッパ又はラムダ軽鎖配列のPCR増幅を実施した。PCR反応混合液は、希釈されたcDNA産物以外に、20mMのトリス塩酸(pH8.4)、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2、250mMのdNTPs及び1.25ユニットのTaqポリメラーゼの終量50μlの液中に、25pmolのセンスプライマー及び25pmolのアンチセンスプライマーを有する。96℃に蓋が加熱されたサーマルサイクラーにおいて、得られた混合液を2分間急速に溶解し、次いで、96℃で30秒、55℃又は60℃で30秒及び72℃で60秒、を30サイクル繰り返す。最後に、試料を72℃にて10分間インキュベートし、使用するまで4℃に冷蔵する。
第一の増幅では、18種の軽鎖可変領域センスプライマー(12種はラムダ軽鎖用(表1参照:HuVL9-Back及びHuVLlO-Backセンスプライマーと同様、HuVLlA-Back、HuVL IB-Back及びHuVLIC-Backセンスプライマーは使用前に同モル数となるよう混合される)であり、6種はカッパ軽鎖用である(表2参照))は、HuCK-FOR 5'-ACACTCTCCCCTGTTGAAGCTCTT-S'(配列ID番号:37)であるC-カッパ定常領域、及び、HuCL2-FOR 5'-TGAACATTCTGTAGGGGCCACTG-S'(配列ID番号:38)又はHuCL7-FOR 5'-AGAGCATTCTGCAGGGGCCACTG-3'(配列ID番号:39)であるC-ラムダ定常領域を認識するアンチセンスプライマー(HuCL2-FOR及びHuCL7-FORセンスプライマーは使用前に同モル数となるよう混合される)と組み合わせられ、約650塩基対の15個の産物が得られる。これらの産物は、アガロースゲルにより精製され、Qiagen社のゲル抽出カラムを使用して、かかるゲルから分離される。分離された産物の1/10が、18種のセンスプライマーを使用して、上述したものと同一のPCR反応に供され、夫々のラムダ軽鎖センスプライマーは、3種のJラムダ領域特異的アンチセンスプライマーのうちの1種と、夫々のカッパ軽鎖センスプライマーは、5種のJカッパ領域特異的アンチセンスプライマーのうちの1種と、組み合わせられる(表3参照:HuVL9-Back-SAL及びHuVLlO-Back-SALセンスプライマーと同様、HuVLlA-Back-SAL、HuVLlB-Back-SAL及びHuVLlC-Back-SALセンスプライマーは使用前に同モル数となるよう混合される)。第二の増幅時に使用されるセンスプライマーは、第一の増幅時に使用されるセンスプライマーと同一のプライマーであるが、ファージディスプレイベクターPDV-C06(配列ID番号:40)に直接クローニングできるように、それに制限酵素部位が延長(表3参照)したものである。その結果、表4に集めて示されるように、約400塩基対の57産物が得られ、ライブラリー内の異なるJセグメント及び軽鎖ファミリーの自然分布が維持され、特定のファミリーを少なく又は多く表示することは無い。一連の産物は、Qiagen社のPCR精製カラムを用いて精製された。次のステップでは、3μgの一連の産物及び100μgのPDV-C06ベクターがSalI及びNotIにより消化され、ゲルから精製される。その後、ライゲーション処理を16℃にて一晩実施した。50mMトリス塩酸(pH7.5)、10mMのMgCl2、10mMのDTT、1mMのATP、25μg/mlのBSA及び2.5μlのT4 DNAリガーゼ(400U/μl)を含む全量50μlのライゲーションミックスに、500ngのPDV-C06ベクターに対し、35、70又は140ngの一連の産物が加えられた。ライゲーションミックスは、当業者には周知の方法である、フェノール/クロロホルム抽出、クロロホルム抽出、エタノール沈殿の順で処理することにより精製された。得られたDNAは、50μlの10mMトリス塩酸(pH8.5)に溶解され、1又は2μlのライゲーションミックスが、製造元であるStratagene社のプロトコルに従い、40μlのTG1コンピテントE.coliにエレクトロポレーションされた。形質転換体は、50μg/mlアンピシリン及び4.5%グルコースを添加した2TYアガー上にて37℃で一晩培養された。最適なベクターインサート比を判定するために、コロニー数が数えられた。最適比にあるライゲーションミックの1又は2μlの分液を上記の如くエレクトロポレーションし、形質転換体を37℃で一晩培養すると、一般に、〜107個のコロニーが得られる。可変軽鎖領域の(サブ)ライブラリーは、アガープレートから形質転換体をかきとることにより得られる。(サブ)ライブラリーは、Qiagen(登録商標)社のQIAFilter MAXI prep kitを使用して、プラスミドDNA準備のために直接的に使用される。
重鎖免疫グロブリン配列は、表5及び6に記載のプライマーが使用して、軽鎖領域について上述したものと同一の反応パラメータにより同一のcDNAから、類似した2回のPCR手順により増幅される。第一の増幅は、8種のセンスプライマー(表5参照:HuVHlB/7A-Back及びHuVHIC-Backセンスプライマーは使用前に同モル数となるよう混合される)を夫々、HuCIgG 5'-GTC CAC CTT GGT GTT GCT GGG CTT-3(配列ID番号:41)のIgG特異的定常領域案センスプライマーと組み合わせて用いることで実施され、約650塩基対の7産物が得られる。一人の提供者について、HuCIgGプライマーの代わりに、HuCIgM 5'-TGG AAG AGG CAC GTT CTT TTC TTT-3(配列ID番号:42)であるIgM特異的定常領域アンチセンスプライマーが使用される。産物は、アガロースゲルにより精製され、Qiagen社のゲル抽出カラムを使用して、かかるゲルから分離される。分離された産物の1/10が、8種のセンスプライマーを使用して、上述したものと同一のPCR反応に供され、夫々の重鎖センスプライマーは、4種のJH領域特異的領域特異的アンチセンスプライマーのうちの1種と組み合わせられる(表6参照:HuVHlB/7A-Back-Sfi及びHuVHIC-Back-Sfiセンスプライマーは使用前に同モル数となるよう混合される)。第二の増幅時に使用されるセンスプライマーは、第一の増幅時に使用されるセンスプライマーと同一のプライマーであるが、軽鎖(サブ)ライブラリーベクターに直接クローニングできるように、それに制限酵素部位が延長(表6参照)したものである。その結果、表7にまとめて示されるように、約400塩基対の28産物が得られ、ライブラリー内の異なるJセグメント及び重鎖ファミリーの自然分布が維持され、特定のファミリーを少なく又は多く表示することは無い。一連の産物は、Qiagen社のPCR精製カラムを用いて精製された。次のステップでは、3μgの一連の産物がSfiI及びXhoIにより消化され、同一の制限酵素により切断された軽鎖(サブ)ライブラリーベクターと、軽鎖(サブ)ファミリーにおいて上述したものと同一の手順及び分量によりライゲーション処理される。最終的にライブラリーが得られる、ライゲーションミックスの精製及びそれに次ぐ形質転換は、軽鎖(サブ)ファミリーにて実施した上述の方法にて実施した。一般的な〜107個の、全ての細菌は、50μg/mlアンピシリン及び4.5%グルコースを添加した2TY培養液に、15%グリセロール(v/v)に混合され、1.5mlの分量にて-80℃で凍結される。夫々のライブラリーのレスキュー及び選択は、以下に示すように行なった。多様なライブラリーは、GPB-05-M01、GPB-05-G01、GPB-05-G02、GPB-05-G03、GPB-05-G04及びGPB-05-G05と命名された。他の2つのライブラリー、RAB-03-G01及びRAB-04-G01は、特許文献9に記載され、上述と類似した方法により構築された。
実施例2
(記憶B細胞から抽出したRNAを使用した、scFvファージディスプレイライブラリーの構築)
末梢血は、一般の健康な提供者、回復期にある提供者、又は、EDTA抗凝血試料管を使用して静脈パンクション(venapunction)によりワクチンを摂取した提供者から集められた。血液試料(45ml)は、PBSにて2倍に希釈され、その30ml分量が10mlのFicoll-Hypaque(ファルマシア社)に入れられ、室温にて、20分、900xgで遠心分離される。上澄みは、リンパ球及び血小板フラクションを含む白層のちょうど上部まで慎重に取り除かれる。次いで、この層(〜10ml)は慎重に取り除かれ、新しい50mlのチューブに移され、40mlのPBSにより3回洗浄され、室温で400xgにて10分遠心して、血小板を取り除く。得られたリンパ球を含むペレットは、2%のFBSを含んでいるRPM1培地に再度懸濁され、細胞数は細胞を数えることにより測定された。凡そ1×108のリンパ球が、切り替えられた及びIgGの記憶B細胞を分離するマーカーとして、CD24、CD27及び表層IgMを使用して蛍光細胞ソーティングにより染色された。Yield ModeでセットされたBecton Dickinson社のDigital Vantage機器は、物理記憶B細胞のソーティング及び分離に使用された。リンパ球は、FSC/SSCウインドウからの小さな小型集団でゲート制御されている。次いで、記憶B細胞(CD24+/CD27+)は、単純なB細胞(CD24+/CD27-)及び記憶T細胞(CD24-/CD27+)から分離された。次のステップでは、IgG記憶B細胞(IgG+)は、IgM発現を使用してスイッチ記憶B細胞(IgM-)から分離される。このステップでは、IgM記憶B細胞及びスイッチ記憶B細胞は、分離試料管にて選別される。夫々の集団の1×105〜1×106個の細胞は、DMEM/50%FBSに集められ、ソートが完了した後には、夫々を400xgにて10分間遠心する。ソートされたIgG記憶B細胞は、実施例1にて採用した方法に従い、重鎖免疫グロブリン配列の第1回の増幅にHuClgMプライマーを使用して、ライブラリー構築のための開始材料として使用される。得られた多様なライブラリーは、MEM-05-M01、MEM-05-M02、MEM-05-M03、MEM-05-M04、MEM-05-M05、MEM-05-M06、MEM-05-M07、MEM-05-M08、MEM-05-M09及びMEM-05-M10と命名した。
実施例3
(ブドウ球菌に特異的に結合する単鎖Fv断片を有するファージの選抜)
抗体断片は、特許文献6及び10に本質的に記載されている(ともにこの発明に援用する)、抗原ファージディスプレイライブラリー、一般的なファージディスプレイ技術及びMabstract(登録商標)技術を使用して選抜される。使用される抗体ファージライブラリーは、実施例1で説明した方法で作製されたスクリーニングされた提供者のライブラリー、実施例2で説明した方法で作製されたIgG記憶ライブラリー、及び、非特許文献8に記載の方法で作製された半合成的scFvファージライブラリー(JK1994)である。(この発明に援用する)特許文献11に記載の方法及びヘルパーファージが、この発明で使用された。懸濁液中の生きた細菌を使用してファージ選抜実験を行なうことにより、ブドウ球菌を認識するファージ抗体を同定した。選抜及びスクリーニングに使用された臨床分離株は、表8に記載されている。分離株は、RFLPの種類により異なる。
細菌は、血液アガープレート上にて37℃で一晩培養され、1mg/mlのウサギIgG及び1%BSAを含むRPMIバッファー中に、細菌濃度5×109個/mlにてかきとり入れられ、60分間室温にて培養される。(CTヘルパーファージ(特許文献11を参照)により増幅された、約1013cfuの)ファージライブラリーの分量は、(PBS中に2%ELKを含む)ブロッキングバッファー内で、室温で1〜2時間ブロッキングされる。ブロッキングされたファージライブラリーは、全量が1.5mlとなるようブロッキングされた細菌懸濁液に添加され、室温にて2時間、繰り返しローター(end-over-end rotor)(5rpm)により培養される。懸濁液は、室温で、6800xgにて3分間遠心分離され、その上澄みが捨てられる。細菌は1%BSA及び0.05%Tween-20を含むRPMIバッファーにより5回洗浄し、次いで、1%BSAを含むRPMIバッファーにより5回洗浄し、結合していないファージが取り除かれる。結合したファージは、1mlの0.1Mトリエチルアミンにより、室温にて10分間、繰り返しローター(end-over-end rotor)(5rpm)で培養することにより、抗原から溶出される。チューブの全内容物は、次いで、0.5mlの1Mのトリス塩酸pH7.5と混合され、pHが中和されることとなる。この混合物は、OD600nmが約0.3となるまで37℃で培養された5mlのXL1-Blue E.coli培養物に感染するために使用される。ファージをXL1-Blue細菌に37℃にて30分間感染する。次いで、混合物を室温で3200×gにて10分間遠心し、細菌ペレットを0.5mlの2trypton酵母抽出(2TY)培地に再懸濁する。得られた細菌懸濁液は、テトラサイクリン、アンピシリン及びグルコースを含む2枚の2TYアガープレートに分けられる。かかるプレートを37℃で一晩培養した後、非特許文献7及び特許文献11に本質的に記載されているように、コロニーをプレート上からかきとり、濃縮したファージライブラリーの準備に使用される。素早くかきとられた細菌は、アンピシリン、テトラサイクリン及びグルコースを含む2TY培地上に植菌され、OD600nmが0.3となるまで37℃で培養される。培地を、アンピシリン、テトラサイクリン及びカナ
マイシンを含む2TY培地に移した後に、CTヘルパーファージが添加され、細菌に感染させられる。その後、30℃にて一晩培養した。そして、次の日に、ポリエチレングリコール(PEG)6000/NaClを用いて培地中のファージを沈殿させた後に、細菌を2TY培地から遠心分離により取り除いた。最後に、ファージを、1%のウシ血清アルブミン(BSA)を有する2mlのPBSに溶解し、そして、ろ過滅菌し、次回の選抜に使用する。
一般に、夫々のファージ抗体を分離する前に、2回の選抜が実施される。選抜は、同一の細菌の菌株又は連続的に異なる菌株に対し2回実施される(選抜株については表8を参照せよ)。第2回の選抜後、夫々のE.coliコロニーは、モノクローナルファージ抗体の作製に使用される。基本的には、夫々のコロニーは、対数増殖期になるまで96ウェルプレート型内にて培養され、ファージ抗体生産が一晩なされた後に、CTヘルパーファージにより感染される。生産されたファージ抗体は、PEG/NaCl沈殿され、そして、ろ過滅菌され、ELISA及び/又はFACSにより上述の如く準備されたStaphylococcusに対し試験された。
実施例4
(ブドウ球菌特異的な単鎖ファージ抗体の検証)
上述したスクリーニングにより選抜された単鎖ファージ抗体は、特異的なブドウ球菌結合活性、すなわち、上述の如く準備され、FACSに基づき腸球菌結合活性を測定したEnterococcusに結合しない、1つ以上のブドウ球菌株への結合についてFACSにより検証された。ファージ抗体はFACSバッファー(20mM HEPESバッファーpH7.5、100mM NaCl、1%BSA)により氷上にて20分間ブロッキングされる。各染色のため、血液アガープレートからかきとられ、FACSバッファーにより洗浄された1×109個の細菌細胞は、夫々エッペンドルフチューブに入れられた。細菌は15%ヒト血清(Biowhittaker)を含むFACSバッファーにより室温にて30分ブロッキングされる。細菌は、4℃にて1700xgで3分間遠心することによりペレットとなり、それをブロッキングされたファージ抗体に再懸濁し、氷上にて1.5時間培養する。次いで、細菌はFACSバッファーにより洗浄され、連続して、ネズミのビオチン化された抗M13抗体(RDI)、そして、strepavidin-PEとともに培養される。細胞は、バッファー化した4%ホルムアルデヒドにより固定され、FACSキャリバにより分析された。(ともに、懸濁液中のCowan株上のRAB-03-G01から選抜された)SC05-132及びSC05-133は、試験された全ての臨床分離物を染色し、全ブドウ球菌対象を認識した。(懸濁液中のCowan株上のJK1994から選抜された)SC02-430はブドウ球菌のCowan株に対し特異的な結合を示した(表9を参照せよ)。更なる選抜から、SC06-166、SC06-171、SC06-176、SC06-187、SC06-193、SC06-249、SC06-273、SC06-389、SC06-403、SC06-406、SC06-410、SC06-446、SC06-450、SC06-452、SC06-453、SC06-464、SC06-471、SC06-516、SC06-517、SC06-526、SC06-528、SC06-531、SC06-533、SC06-536、SC06-537、SC06-538、SC06-540、SC06-544、SC06-566及びSC06-625を呼ばれる単鎖ファージ抗体が得られた。これら抗体は、少なくとも1つの試験された臨床分離物に結合する(表9を参照せよ)。SC06-166、SC06-171、SC06-176及びSC06-187は免疫ライブラリーから選抜され、その他のファージ抗体はIgM記憶B細胞ライブラリーから選抜される。
非細菌性抗原に対する非特異的な反応活性を試験するために、ELISAアッセイが実施した。複合抗原5%FBS、2%ELK及び1%BSAは、Maxisorp(登録商標)ELISAプレートにて一晩被覆される。ブロッキングされたファージ抗体を得るために、複合抗原5%FBS、2%ELK及び1%BSAは、等容積の1%BSAを含んだPBSとともに15分間培養された。プレートを空にし、ブロッキングされた単鎖ファージ抗体がウェルに添加された。その後、室温にて2時間インキュベートされ、プレートは0.1% v/v Tween-20を含んだPBSにより洗浄され、そして、ペルオキシダーゼと複合化した抗M13抗体を使用して、OD492nm測定により結合したファージ抗体が検出される。コントロールとして、単鎖ファージ抗体無しに、ネガティブコントロールとして、西ナイルウィルスの封入体タンパク質に対する単鎖ファージ抗体(SC04-374)を用いて、手順を同時に実施する。表10に示すように、SC02-430、SC05-132及びSC05-133と呼ばれる選抜されたファージ抗体は、ネガティブコントロール抗原のFBS、ELK及びBSAに対し検出可能な結合を示さなかった。
実施例5
(ブドウ球菌特異的なscFvsの特性評価)
選抜された特異的な単鎖ファージ抗体(scFv)クローンから、プラスミドDNAが得られ、標準的な技術により核酸配列が特定された。(クローニングのための制限酵素部位を含む)ScFvの核酸配列であるSC02-430、SC05-132及びSC05-133は、夫々に配列ID番号20、ID番号22及びID番号24に示されている。
VH及びVL遺伝子の同一性(非特許文献16を参照せよ)、及び、ブドウ球菌に特異的に結合するscFvのCDR配列を夫々表11及び12に示す。
上記に開示した単鎖ファージ抗体に類似して、核酸及びアミノ酸配列、VL及びVH遺伝子の同一性、並びに、SC06-166、SC06-171、SC06-176、SC06-187、SC06-193、SC06-249、SC06-273、SC06-389、SC06-403、SC06-406、SC06-410、SC06-446、SC06-450、SC06-452、SC06-453、SC06-464、SC06-471、SC06-516、SC06-517、SC06-526、SC06-528、SC06-531、SC06-533、SC06-536、SC06-537、SC06-538、SC06-540、SC06-544、SC06-566及びSC06-625と呼ばれる単鎖ファージ抗体のCDR配列が特定された(データは示さず)。
実施例6
(選抜された抗ブドウ球菌単鎖Fvsを用いた完全なヒト免疫グロブリン分子(ヒトモノクローナル抗ブドウ球菌抗体)のコンストラクト)
IgG発現ベクターpSyn-C03-HCγ1(配列ID番号:43)及びpSyn-C04-Cλ(配列ID番号:44)にて発現させるために、SC02-430の重鎖及び軽鎖可変領域について、オリゴヌクレオチドを用いて制限酵素部位及び/又は配列を付加するPCR増幅を行なった。SC02-430の重鎖可変領域は、ベクターpSyn-C03-HCγlにクローニングされ、SC02-430の軽鎖可変領域は、ベクターpSyn-C04-Cλにクローニングされた。VLλ遺伝子は、以下のヌクレオチドセット:5L-B(配列ID番号:45)及びsy3L-A(配列ID番号:46)を用いて増幅され、そのPCR産物は、ベクターpSyn-C04-Cλにクローニングされた。コンストラクトの核酸配列は、当業者に公知の技術に従い検証された。VH遺伝子は、以下のヌクレオチドセット:5H-F(配列ID番号:47)及びsy3H-A(配列ID番号:48)を用いて増幅された。その後、PCR産物はベクターpSyn-C03-HCγlにクローニングされ、そのヌクレオチド配列は従来から当業者にとって公知の標準的な技術に従って検証された。
SC05-132、SC05-133、SC06-166、SC06-171、SC06-176、SC06-187、SC06-193、SC06-249、SC06-273、SC06-389、SC06-403、SC06-406、SC06-410、SC06-446、SC06-450、SC06-452、SC06-453、SC06-464、SC06-471、SC06-516、SC06-517、SC06-526、SC06-528、SC06-531、SC06-533、SC06-536、SC06-537、SC06-538、SC06-540、SC06-544、SC06-566、SC06-625と呼ばれるscFvの重鎖及び軽鎖可変領域は、IgG発現ベクターpIg-C911-HCgammal(配列ID番号:49)及びpIg-C909-Ckappa(配列ID番号:50)又はpIg-C910-Cλ(配列ID番号:115)における発現ために、制限酵素消化により直接的にクローニングされる。SC05-132、SC05-133、SC06-166、SC06-171、SC06-176、SC06-187、SC06-193、SC06-249、SC06-273、SC06-389、SC06-403、SC06-406、SC06-410、SC06-446、SC06-450、SC06-452、SC06-453、SC06-464、SC06-471、SC06-516、SC06-517、SC06-526、SC06-528、SC06-531、SC06-533、SC06-536、SC06-537、SC06-538、SC06-540、SC06-544、SC06-566、SC06-625と呼ばれるscFvの重鎖可変領域は、酵素SfiI及びXhoIを用いた制限酵素消化によりベクターpIg-C911-HCγ1にクローニングされ、SC05-132、SC05-133、SC06-166、SC06-171、SC06-176、SC06-187、SC06-193、SC06-249、SC06-273、SC06-389、SC06-403、SC06-406、SC06-410、SC06-446、SC06-450、SC06-452、SC06-453、SC06-464、SC06-471、SC06-516、SC06-517、SC06-526、SC06-528、SC06-531、SC06-533、SC06-536、SC06-537、SC06-538、SC06-540、SC06-544、SC06-566、SC06-625と呼ばれるscFvの軽鎖可変領域は、酵素SalI及びNotIを用いた制限酵素消化によりベクターpIg-C909-Cκ又はpIg-C910-Cλにクローニングされる。その後、ヌクレオチド配列は従来から当業者にとって公知の標準的な技術に従って検証された。
結果として生じる、抗ブドウ球菌ヒトIgG1重鎖をコードする発現プラスミドpgG102-430C03、pgG105-132C911、pgG105-133C911、pgG106-166C911、pgG106-171C911、pgG106-176C911、pgG106-187C911、pgG106-193C911、pgG106-249C911、pgG106-273C911、pgG106-389C911、pgG106-403C911、pgG106-406C911、pgG106-410C911、pgG106-446C911、pgG106-450C911、pgG106-452C911、pgG106-453C911、pgG106-464C911、pgG106-471C911、pgG106-516C911、pgG106-517C911、pgG106-526C911、pgG106-528C911、pgG106-531C911、pgG106-533C911、pgG106-536C911、pgG106-537C911、pgG106-538C911、pgG106-540C911、pgG106-544C911、pgG106-566C911及びpgG106-625C911、並びに、抗ブドウ球菌ヒトIg軽鎖をコードする発現プラスミドpSyn-C04-V12、pgG105-132C909、pgG105-133C909、pgG106-166C910、pgG106-171C910、pgG106-176C909、pgG106-187C909、pgG106-193C910、pgG106-249C910、pgG106-273C910、pgG106-389C910、pgG106-403C910、pgG106-406C910、pgG106-410C910、pgG106-446C910、pgG106-450C910、pgG106-452C909、pgG106-453C909、pgG106-464C910、pgG106-471C910、pgG106-516C909、pgG106-517C910、pgG106-526C910、pgG106-528C910、pgG106-531C910、pgG106-533C909、pgG106-536C909、pgG106-537C910、pgG106-538C910、pgG106-540C910、pgG106-544C910、pgG106-566C910及びpgG106-625C910は、293T細胞との組み合わせにより一過的に発現し、ヒトIgG1抗体を含む上澄みが得られる。CR2430、CR5132、CR5133、CR6166、CR6171、CR6176、CR6187、CR6193、CR6249、CR6273、CR6389、CR6403、CR6406、CR6410、CR6446、CR6450、CR6452、CR6453、CR6464、CR6471、CR6516、CR6517、CR6526、CR6528、CR6531、CR6533、CR6536、CR6537、CR6538、CR6540、CR6544、CR6566及びCR6625と呼ばれる抗体の重鎖の核酸配列は、夫々、配列ID番号:25配列ID番号:27、配列ID番号:29、配列ID番号:116、配列ID番号:118、配列ID番号:120、配列ID番号:122、配列ID番号:124、配列ID番号:126、配列ID番号:128、配列ID番号:130、配列ID番号:132、配列ID番号:134、配列ID番号:136、配列ID番号:138、配列ID番号:140、配列ID番号:142、配列ID番号:144、配列ID番号:146、配列ID番号:148、配列ID番号:150、配列ID番号:152、配列ID番号:154、配列ID番号:156、配列ID番号:158、配列ID番号:160、配列ID番号:162、配列ID番号:164、配列ID番号:166、配列ID番号:168、配列ID番号:170、配列ID番号:172及び配列ID番号:174に示される。CR2430、CR5132、CR5133、CR6166、CR6171、CR6176、CR6187、CR6193、CR6249、CR6273、CR6389、CR6403、CR6406、CR6410、CR6446、CR6450、CR6452、CR6453、CR6464、CR6471、CR6516、CR6517、CR6526、CR6528、CR6531、CR6533、CR6536、CR6537、CR6538、CR6540、CR6544、CR6566及びCR6625と呼ばれる抗体の重鎖のアミノ酸配列は、夫々、配列ID番号:26、配列ID番号:28、配列ID番号:30、配列ID番号:117、配列ID番号:119、配列ID番号:121、配列ID番号:123、配列ID番号:125、配列ID番号:127、配列ID番号:129、配列ID番号:131、配列ID番号:133、配列ID番号:135、配列ID番号:137、配列ID番号:139、配列ID番号:141、配列ID番号:143、配列ID番号:145、配列ID番号:147、配列ID番号:149、配列ID番号:151、配列ID番号:153、配列ID番号:155、配列ID番号:157、配列ID番号:159、配列ID番号:161、配列ID番号:163、配列ID番号:165、配列ID番号:167、配列ID番号:169、配列ID番号:171、配列ID番号:173及び配列ID番号:175に示される。CR2430、CR5132、CR5133、CR6166、CR6171、CR6176、CR6187、CR6193、CR6249、CR6273、CR6389、CR6403、CR6406、CR6410、CR6446、CR6450、CR6452、CR6453、CR6464、CR6471、CR6516、CR6517、CR6526、CR6528、CR6531、CR6533、CR6536、CR6537、CR6538、CR6540、CR6544、CR6566及びCR6625と呼ばれる抗体の軽鎖の核酸配列は、夫々、配列ID番号:31、配列ID番号:33、配列ID番号:35、配列ID番号:176、配列ID番号:178、配列ID番号:180、配列ID番号:182、配列ID番号:184、配列ID番号:186、配列ID番号:188、配列ID番号:190、配列ID番号:192、配列ID番号:194、配列ID番号:196、配列ID番号:198、配列ID番号:200、配列ID番号:202、配列ID番号:204、配列ID番号:206、配列ID番号:208、配列ID番号:210、配列ID番号:212、配列ID番号:214、配列ID番号:216、配列ID番号:218、配列ID番号:220、配列ID番号:222、配列ID番号:224、配列ID番号:226、配列ID番号:228、配列ID番号:230、配列ID番号:232及び配列番号:234に示される。CR2430、CR5132、CR5133 CR6166、CR6171、CR6176、CR6187、CR6193、CR6249、CR6273、CR6389、CR6403、CR6406、CR6410、CR6446、CR6450、CR6452、CR6453、CR6464、CR6471、CR6516、CR6517、CR6526、CR6528、CR6531、CR6533、CR6536、CR6537、CR6538、CR6540、CR6544、CR6566及びCR6625と呼ばれる抗体の軽鎖のアミノ酸配列は、夫々、配列ID番号:32、配列ID番号:34、配列ID番号:36、配列ID番号:177、配列ID番号:179、配列ID番号:181、配列ID番号:183、配列ID番号:185、配列ID番号:187、配列ID番号:189、配列ID番号:191、配列ID番号:193、配列ID番号:195、配列ID番号:197、配列ID番号:199、配列ID番号:201、配列ID番号:203、配列ID番号:205、配列ID番号:207、配列ID番号:209、配列ID番号:211、配列ID番号:213、配列ID番号:215、配列ID番号:217、配列ID番号:219、配列ID番号:221、配列ID番号:223、配列ID番号:225、配列ID番号:227、配列ID番号:229、配列ID番号:231、配列ID番号:233及び配列番号:235に示される。当業者であれば非特許文献17により、上述の抗体及び単鎖ファージ抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を判定することができる。当業者であれば非特許文献17、非特許文献5又はそれらの組み合わせにより、上述の抗体及び単鎖ファージ抗体の重鎖及び軽鎖のCDR領域を判定することができる。あるいは、可変及びCDR領域は、当業者には公知の抗体のデータベースであるVBASEデータベースを用いて判定することができる。この発明の抗体の配列を、VBASEデータベース(非特許文献16(MRC Centre for Protein Engineering :http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk))にある免疫グロブリン配列と比較して、それに基づき、可変領域及びCDR領域が判定される。いくつかの抗体の可変領域を表13に示す。ヒトの抗ブドウ球菌IgG1抗体は、scFvsにて具体的に説明したFACSにより、ブドウ球菌への結合性能について検証された(表14を参照せよ)。ネガティブコントロールは、抗西ナイルウィルス抗体(CR4374)である。あるいは、1mgを超える夫々の抗体のバッチを生産し、標準的な手法を用いて精製された。
実施例7
(FACSにより測定されたin vitroでのブドウ球菌特異的な食作用食細胞活性)
抗ブドウ球菌IgGsの食作用活性は、新たに分化したHL-60細胞を用いた食作用食細胞(opsonophagocytotic(OPA))アッセイにより測定された。OPAアッセイの際には、蛍光細菌が分化したHL-60細胞及び連続的に希釈されたIgGに混合される。細菌は、ラベリングする前に、定常期又は対数増殖(log)期まで育てられる。細菌を定常期まで生育するために、異なるブドウ球菌分離株がヒツジ血液アガープレート上にて37℃で一晩培養される。細菌は、5mlの重炭酸塩バッファー(0.1M NaHCO3、pH8.0)中に再懸濁され、室温にて10分間、800xg遠心分離することにより集められ、そして、2.9x109細菌/mlの濃度まで希釈された。対数増殖期まで生育した細菌は、まず、LB培地にて37℃で一晩培養され、そして、培養物を10回希釈してLB培地にて37℃で更に3時間培養した。細菌は、800xgで10分遠心分離することにより集められ、重炭酸塩バッファー中に再懸濁され、2.9x109細菌/mlの濃度となるまで洗浄される。50μlの5,6-カルボキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステル溶液((FAM-SE;Molecular Probes社、ユージン、オレゴン);10mg/mlのジメチルスルホキシド(Fisher Scientific社、Fair Lawn、NJ)が、1mlで2.9xlO9個の細菌に添加され、その混合物は振盪せずに、37℃で1時間培養された。ラベルされた細菌は、上澄みにフリーな染色液が観察されなくなるまで、20mlの食作用食細胞バッファー(Ca2+、Mg2+及び0.2%ウシ血清アルブミンを有するハンクス均衡塩類溶液)により3回洗浄される。FAM-SEラベルされた細菌は、8mlのOPAバッファーに再懸濁され、それを500μlの分液として、無光条件にて−20℃で保存される。
HL-60細胞(ヒト骨髄球白血病細胞; ECACC NO 98070106)は、10%の熱失活された胎児牛血清(HyClone Laboratories社、ローガン、ユタ)及びペニシリン/ストレプトマイシンを添加した2mMのL-グルタミンを含むRPMI1640培地で、1〜9×109細胞/mlの細胞濃度にて生育される。6〜35回継代した細胞が分化に供される。細胞は、5×10-7M全トランスレチン酸(シグマ)、6×10-12MビタミンD3(シグマ)及び30ng/mlヒト組換えG-CSF(R&D)を添加した培地にて培養することにより、顆粒白血球に分化させられる。HL-60細胞は、10分間160xgにて遠心分離することにより集められ、15mlの洗浄バッファー(Ca2+及びMg2+を有さないが、0.2%ウシ血清アルブミンを有するハンクス均衡塩類溶液)で2回洗浄される。細胞は食作用食細胞バッファーにより1回洗浄され、4mlの食作用食細胞バッファーに再懸濁され、細胞数は血球計算版により数えられた。細胞濃度は、5×106細胞/mlに調節された。
抗ブドウ球菌IgGs及びコントロールIgG(CR4374)は、全量を20μlとして食作用食細胞バッファーに連続的に希釈し、IgG濃度が、2.50μg/ml、1.20μg/ml、0.60μg/ml、0.30μg/ml、0.15μg/ml、0.075μg/ml、0.00375μg/ml及び0.0019μg/mlとなった希釈液を得た。希釈液の食作用活性が、1%BSAのPBSでブロッキングされた、円形の底を有するプレートにてOPAアッセイにより測定された。コントロールでは、IgG無しでアッセイが実施された。5.4×106個の細胞を有する15μl分量の細胞懸濁液は、プレート上の各ウェルに添加された。S.aureusのCowan株又はS.epidermidisの細胞懸濁液が使用される場合には、まず、IgG/細胞懸濁液を、37℃にて、Heidolph titramax 1000を用いてプレートを(1300rpmにて)水平に振盪しつつ、30分培養する。次いで、15μlの分化したHL-60細胞(全細胞数:75×103個)をプレートの各ウェルに添加し、プレートを浸透しつつ37℃にて30〜45分培養する。ウェルの最終量は50μlである。反応は、4% v/v ホルムアルデヒドを含む洗浄バッファーを50μl添加することにより止められる。各ウェル内の内容物は再懸濁され、フローサイトメータ分析のために、ポリスチレンディスポーザブルチューブ内に移される。試料は分析に供されるまで、4℃の暗所にて保存される。チューブは、フローサイトメータ内でサンプリングされる前に、3秒間ボルテックスされる。HL-60細胞の分化を制御するために、補体レセプターCD11bの発現が測定される。分化した又は未分化の細胞におけるFcレセプターは、まず、ウサギのIgGにより氷上で15分間ブロッキングされ、次いで、細胞はCD11bAPC(BD)により氷上で15分間ラベルされる。平均蛍光強度(MFI)が分化細胞のそれと比較して、10〜100倍強い場合には、細胞は適当に分化したものとして考えられる。試料は、FACSキャリバ免疫サイトメトリシステム(Becton Dickinson and Co., Paramus, NJ)によりアッセイされ、CELLQuest software(version 1.2 for Apple system 7.1; Becton Dickinson社)により分析された。ゲートされた7000のHL-60顆粒白血球は、チューブごとに分析された。FAM-SEは、周波数488nmにて励起され、ゲートした生存可能なHL-60細胞のFAM-SE蛍光シグナルが夫々の抗体希釈液について測定される。食作用アッセイにおいて、濃度依存的な食作用(ファゴサイトーシス)が、コントロールIgGのそれよりも大きい又は2倍である場合に、IgGがポジティブであるとして定義される。IgGのCR2430、CR5132及びCR5133は、対数増殖期(図1を参照)及び定常期(図2を参照)の双方において、S.aureusのCowan株に対して食作用活性を示した。3種のIgGは、生育過程の対数増殖期にてより効果的に食作用活性を向上させる。IgGのCR5132及びCR51330は、ナガティブコントロールの抗体に比べ、S.aureusのSA125株の食作用(ファゴサイトーシス)を向上させ(図3参照)、抗体CR5133は、ナガティブコントロールの抗体に比べ、分化したHL60細胞のS.epidermidisのSE131株に対する食作用活性を顕著に向上させる(図4参照)。
実施例8
(ブドウ球菌特異的IgG1結合活性の範囲)
選抜されたヒトの抗ブドウ球菌IgG1抗体のターゲットがどの程度、ブドウ球菌及びその他のグラム陽性細菌に保存されているかを判定するため、scFvについて具体的に上記したように、臨床細菌分離物の拡張された一団に対し、FACSアッセイを実施した(表15参照)。かかるアッセイの結果から、CR5132及びCR5133は、試験に供された全菌株に対し結合するものと推定される。実際に、CR5410は、S. hominis KV111、S. warneri KV112、S. warneri KV114、S. epidermidis KV115、S. haemolyticus KV117、S. warneri vd65、S. warneri vd66、S. warneri vd732、S. hominis vd136、S. hominis vd139及びS. hominis K136以外の試験された全ての菌株に結合した。また、CR6171は、S. epidermidis KV110、S. hominis KV111、S. warneri KV112、S. saprophytocis KV113、S. warneri KV114、S. haemolyticus KV117、S. hominis KV118、S. haemolyticus K119、S. warneri vd65、S. warneri vd66、S. warneri vd732、S. hominis vd136、S. hominis vd139及びS. hominis K136以外の試験された全ての菌株に結合した。更に、CR6453は、S. hominis vdl36及びS. hominis K136以外の試験された全ての菌株に結合した。
また、同様のFACSに基づくアプローチにより、一連の抗体は、その他のグラム陽性細菌に結合することが示された。抗体のCR5132及びCR6453は、Listeria monocytogenes、Bacillus cereus及びStreptococcus group Aに結合することが示され、更に、CR5132はPropionibacterium sppにも結合することが示された。抗体のCR5133及びCR5140は、Streptococcus group Aに結合することが示され、更に、CR5132はEnterococcus faecalisにも結合することが示された(データは示さず)。
実施例9
(食作用食細胞殺活性アッセイ(OPKA)により測定されたin vitroでのブドウ球菌特異的な食作用食細胞活性)
一連の抗体の機能的な活性をより好適に判定するために、食作用食細胞アッセイが実施され、抗ブドウ球菌ヒトIgG1のStaphylococcus aureusの502株、Mn8株及びNewman株、並びに、Staphylococcus epidermidisのM187株に対する殺活性を定量した。採血したてのヒトの血液(10〜30ml)がそれと等量のデキストランヘパリンバッファー(4.5gのデキストラン、Sigma Chemical、セントルイス; 500mlの蒸留水に溶解した28.4mgのヘパリンナトリウム)に混合され、かかる混合液が37℃にて1時間インキュベートされる。白血球を含んでいる上層は遠心分離によって集められ、残留する赤血球の低張溶解は、細胞ペレットの1%(w/v)NH4CIによる懸濁により達成された。その後、白血球の集団は、15%(v/v)胎児牛血清を有するRPMIにより洗浄された。トリパンブルー染色及び血球計により計測により、生きている白血球の濃度を決定し、白血球濃度を最終的に2x107細胞/mlに調整した。ファゴサイトーシスアッセイは、(分光測定法により濃度を2x107/mlに調整し、生菌計測により確かめられた)100μlの細菌、RPM1に希釈した100μlの抗ブドウ球菌ヒトIgG1及び100μlの乳児ウサギ補体に、白血球懸濁液を添加したもの及び添加していないものについて、2回実施された。反応混合液は、37℃のローターラックにて90分間インキュベートされ、試料は0分及び90分後に採られ、1%のプロテオースペプトン(Difco Laboratories, Detroit, Mich.)に希釈され、トリプシン性大豆アガープレート上にプレーティングされる。抗体の殺活性(%)は、白血球を含む試料内のCFU生存数の平均値から白血球を含まない試料内のCFU生存数の平均値を差し引き、それを後者で除算し、100を乗算することにより測定される。抗ブドウ球菌ヒトIgG1の殺活性は、1250及び12.5ng/mlの2つの濃度にて試験された(表16参照)。
その結果、CR5132、CR5133、CR6446、CR6453及びCR6566は、低濃度の12.5ng/mlにおいてもS.epidermidisのMl87株に対して20%の殺活性を示した。
実施例10
(IgG1競合アッセイ)
一連の抗体が、同一のターゲットへの結合に競合しているか否かを確認するために、競合ELISAを実施した。S.epidermidisのSE132株は血液アガープレート上にストリークされ、37℃にて一晩インキュベートした。5mlの50mM炭酸塩バッファー(8容量の0.2M Na2CO3、17容量の0.2M NaHCO3及び75容量の蒸留水)を使用して、プレートからコロニーがかきとられ、4000rpmにて3分間遠心分離された。得られたペレットは、500μlの炭酸塩バッファーに再懸濁され、再度遠心分離され、ペレットは500μlの炭酸塩バッファーに再懸濁された。細胞濃度はOD600にて細菌の希釈シリーズを測定することにより判定された。S.epidermidis株は、5×109細胞/ml濃度に希釈され、ウェルごとに100μl(5×10 8細胞)が、Nunc-Immuno Maxisorp F96プレート上で4℃にて一晩被覆された。インキュベーション後に、ウェルはPBSにて3回洗浄され、300μlの2%(v/v)ELKを含むPBSにより室温にて1時間ブロッキングされる。夫々の分離したチューブに対し、25μlの(上述のように製造した)scFvファージmaxiprepを混合して(上述のELISAにより判定された)低飽和水準まで希釈され、25μlのブロッキングバッファー(4%(v/v)ELK/PBS)及び50μlのPBS中にて20μg/mlに希釈されたIgG1上澄みに混合され、氷上にて20分間インキュベートした。ブロッキング溶液を除去した後には、100μlのブロッキングされたファージ及びIgG1の混合物が夫々のウェルに添加され、室温にて1時間インキュベートされた。ウェルはPBS/0.01%(v/v)Tweenにより3回、そして、PBSにより1回洗浄される。洗浄後、(0.01%(v/v)ELKを含むPBS中にて1:5000となる)100μlの抗M13 HRPが各ウェルに添加され、室温にて60分間インキュベートされる。ウェルは再度洗浄され、100μlのOPD溶液を各ウェルに添加することにより染色が可視化される。5〜10分後に、各ウェルに50μlの1M H2SO4を添加することにより、反応は止められ、そしてOD492nmが測定された。一連の全抗体及びコントロールのIgG1 CR4374について実験は2回繰り返された。その結果、抗体は5つの異なるグループに分けられた。グループAは、CR5132、CR5133、CR6187及びCR6453からなり、グループBは、CR5140及びCR6171からなり、グループCは、CR6176からなり、グループDは、CR6526からなり、Group Eは、残りの一団である、CR6166、CR6193、CR6249、CR6273、CR6403、CR6406、CR6410、CR6446、CR6450、CR6452、CR6464、CR6471、CR6516、CR6517、CR6528、CR6531、CR6533、CR6536、CR6537、CR6538、CR6540、CR6544、CR6566及びCR6625からなる。抗体の結合活性及び機能活性は分けられたグループと整合していた。
実施例11
(グループAのIgG1のターゲットの特定)
一連の抗体の結合ターゲットを判定するために、上述したように決定した各グループの典型例(各グループにおいて、食作用活性について最も強力な抗体を選択した)を、固相ELISA内にて、S.aureusから抽出したLTAとともにインキュベートした(表17参照)。1μg/mlのリポテイコ酸(シグマ)を含むPBSの溶液は、室温にて一晩被覆される。プレートはPBSにより1回洗浄され、、400μl 2%(v/v) ELKを含むPBSによりブロッキングされる。各抗ブドウ球菌IgG1上澄み、ネガティブコントロール上澄みCR4374、及びポジティブコントロール抗LTAマウスmAb12248(Abcam)の連続希釈液は、室温にて1時間、ウェル毎にインキュベートされる。ウェルはPBSにより5回洗浄され、PBSに溶解した100μlの抗ヒトHRP(1/2000)又は抗マウスHRP(1/2000)が添加され、室温にて1時間インキュベートされる。上述の如く、ウェルは可視化され、読み込まれる。その結果から、グループAからのCR5133は、LTAに協力に結合することが明示された。ポジティブコントロールのネズミモノクローナル12448は、同様の結果を示した。それに対し、その他のグループからの抗体及びネガティブコントロールはいずれも、LTAとの顕著な反応を示さなかった。グループAからの抗体CR5132及びCR6453は、定常的にLTAに結合することを示したが、CR6187はLTAへの結合活性を示さなかった(データは示さず)。このことは、CR6187の親和性が、グループ内のその他の抗体のそれと比べて低いためであると思われる。
実施例12
(食作用食細胞殺活性アッセイ(OPKA)により測定された、ブドウ球菌特異的IgGsの、異なる培養条件にて生育されたStaphylococcus Epidermidis及びStaphylococcus aureusに対するin vitroでの食作用活性)
上述の同定された食作用食細胞抗ブドウ球菌IgG1抗体の最も強力で競合的な抗菌活性が、細菌の生育条件の違いにより影響されるかを判定するために、異なる培地及び生育条件にあるStaphylococcus aureusのNewman株及びStaphylococcus epidermidisのRP62A株に対し、上述の食作用食細胞アッセイが実施される。LBAは、感染した患者からとられら免疫血清であり、ポジティブコントロールとして使用される。抗ブドウ球菌ヒトIgG1の殺活性は、中間対数増殖期(図5A、B)又は定常期(図5G、H)、或いは、培地に1%グルコースを含む(図5C、D)又は100ヒト血漿を含む(図5E、F)にある両ブドウ球菌株に対し、10000、300、10、0.3、0.01 ng/ml又は-5、-6.5、-8、-9.5、-11 log(g/ml)の5つの濃度で試験された。
その結果から、抗体CR5133、CR6166、CR6171、CR6176及びCR6526が、試験された任意の生育条件下において2種のブドウ球菌株に対して強力な食作用食細胞活性を有することが示された。重要なことに、それらは、活性を殆ど又は全く示さないネガティブコントロールの抗体CR3009とは顕著に異なる。このことは、一連の抗体のターゲットが、細菌の多様な生育条件下において安定して発現しており、治療的な用途に大変に重要な因子が、ターゲットの細菌が栄養が不足した条件下にも存在していることを示唆している。
実施例13
(ブドウ球菌チャレンジモデルにおける、ブドウ球菌特異的なIgGsのin vivo保護活性)
マウスにおける細菌滴定実験は、80%-100%の致死をもたらす最適接種投与量を決定するために実施される。動物は、S.aureusのMn8株の投与量を5×109及び5×108にて、腹腔内接種を受ける。動物は5日間観察され、生存したものは終結したものとして用いられる。5日後に0%生存となる投与量は、更なる実験のためのチャレンジ投与量として選択される。
上述の全ての細菌接種についての投与量決定により、in vitroでの食作用食細胞活性を示した、mAbに結合しているブドウ球菌の一団(CR5133、CR6166、CR6171、CR6176及びCR6526)における保護活性を評価するために、一群のチャレンジ実験が実施される。夫々の実験において、精製したmAb(1つのイソタイプコントロールIgGl及び5つの試験IgGl)が、投与量15mg/kgにて(PBSに含まれている0.5〜1.0mlを)、腹腔内注射される。
24時間後に動物は、上述にて決定した摂取量にて、S.aureusの菌株を腹腔内接種される。接種の直前には、少量の血液(〜50〜100ml)が(テールカット法により)集められ、循環している抗体水準が測定される。血液は、血液が凝固するよう室温にて30分から2時間維持され、そして、4℃にて5分間遠心分離した。血清が取り除かれ、-20℃にて保存される。IgG1 ELISAは、接種前、又は殺した後に、全ての血液サンプルに対し実施される。接種前に、血液内で測定可能な抗体値を示さない動物は、更なる分析対象から除外される。
マウスは、5日間毎日観察され、激しい苦痛を示したときに殺した。5日間経過後に、夫々のグループにおいて生き残ったものが数えられた。夫々の実験を検証するためには、ネガティブコントロールUgG1グループにて20%以上が生き残る必要がある。上述したモデルにおいて、抗体が、10mg/kgからの半分のログ投与量にて滴定して、in vivoでの保護効果を判定する、更なる実験が実施された。
表1には、ヒトのラムダ鎖可変領域の(センス鎖の)プライマーを示す。
Figure 0005574706
表2には、ヒトのカッパ鎖可変領域の(センス鎖の)プライマーを示す。
Figure 0005574706
表3には、(センス鎖の)SalI制限酵素配列を付加して延ばしたヒトのカッパ鎖可変領域プライマー、(アンチセンス鎖の)NotI制限酵素配列を付加して延ばしたヒトのカッパ鎖J領域プライマー、(センス鎖の)SalI制限酵素配列を付加して延ばしたヒトのラムダ鎖可変領域プライマー、(アンチセンス鎖の)NotI制限酵素配列を付加して延ばしたヒトのラムダ鎖J領域プライマーを示す。
Figure 0005574706
表4は、アガロースゲル分析により測定される濃度に基づく、最終混合物における異なる軽鎖生成物の比率を示す。
Figure 0005574706
Figure 0005574706
表5は、ヒトのIgG鎖可変領域の(センス鎖の)プライマーを示す。
Figure 0005574706
表6には、(センス鎖の)SfiI/NcoI制限酵素配列を付加して延ばしたヒトのIgG重鎖可変領域プライマー、及び、(アンチセンス鎖の)XhoI/BstEII制限酵素配列を付加して延ばしたヒトのIgG重鎖J領域プライマーを示す。
Figure 0005574706
表7は、最終混合物における異なる重鎖産物の比率を示す。
Figure 0005574706
表8は、アンチブドウ球菌単鎖(scFv)ファージ抗体の選抜及びスクリーニングに使用したブドウ球菌の臨床分離株を示す。
Figure 0005574706
Figure 0005574706
表9は、FACSにより測定された単鎖(scFv)ファージ抗体のブドウ球菌特異的な結合活性を示す。
Figure 0005574706
表10は、492nmにてELISAにより測定された、ブドウ球菌反応性単鎖(scFv)ファージ抗体の非特異的な結合活性を示す。
Figure 0005574706
表11は、Staphylococcus特異的な単鎖Fvsのデータを示す。
Figure 0005574706
*括弧内に、アミノ酸が重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を形成していることを示す。
表12は、Staphylococcus特異的な単鎖FvsのCDR領域のデータを示す。
Figure 0005574706
表13は、Staphylococcus特異的なIgGsのデータを示す。
Figure 0005574706
*括弧内に、アミノ酸が重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を形成していることを示す。
表14は、FACSにより測定された、IgG1分子のブドウ球菌特異的な結合活性を示す。
Figure 0005574706
表15は、FACSにより測定された、IgG1抗体のブドウ球菌特異的な結合活性を示す。
Figure 0005574706
Figure 0005574706
表16は、OPKAにより測定された、IgG1抗体のブドウ球菌殺活性を示す。
Figure 0005574706
表17は、ELISAより測定された、IgG1抗体のLTA結合活性を示す。
Figure 0005574706

Claims (11)

  1. 少なくとも異なる2種のStaphylococcus種に対して、及び、Staphylococcus aureusの少なくとも異なる3つの菌株に対して、食作用食細胞殺活性を有することを特徴とするヒトのモノクローナル抗体であって、配列ID番号30の可変領域を具える重鎖及び配列ID番号36の可変領域を具える軽鎖を有する抗体。
  2. 請求項1に記載の抗体であって、対数増殖期及び定常期にあるStaphylococcus種に対して食作用食細胞殺活性を有することを特徴とするヒトのモノクローナル抗体。
  3. 請求項1又は2に記載の抗体であって、Staphylococcus種は、Staphylococcus aureus及びStaphylococcus epidermidisからなることを特徴とするヒトのモノクローナル抗体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒトの抗体を少なくとも2種具えることを特徴とする組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒトのモノクローナル抗体を具える免疫複合体であって、少なくとも1つのタグを更に具えることを特徴とする免疫複合体。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒトのモノクローナル抗体をコードすることを特徴とする核酸分子。
  7. 請求項6に記載の核酸分子を少なくとも1つ具えることを特徴とするベクター。
  8. 請求項7に記載のベクターを少なくとも1つ具えることを特徴とする宿主細胞。
  9. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒトのモノクローナル抗体を生成する方法であって、該方法は、
    a)請求項8に記載の宿主細胞を、ヒトのモノクローナル抗体を発現し得る条件下にて培養するステップと、
    b)発現されたヒトのモノクローナル抗体を回収するステップと
    を含むことを特徴とする方法。
  10. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒトのモノクローナル抗体、請求項4に記載の組成物、又は、請求項5に記載の免疫複合体を具える医薬品組成物であって、該医薬品組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤を更に具えることを特徴とする医薬品組成物。
  11. 請求項10に記載の医薬品組成物であって、少なくとも1種のその他の治療剤を更に具える医薬品組成物。
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