JP5574393B2 - 射出成形用石英スタンパ - Google Patents

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Description

本願発明は、マイクロ化学チップの製造に使用する射出成形用石英スタンパの製造方法およびこの製造方法によって製造された石英スタンパに関するものである。
マイクロ化学チップは、チップに形成されている微小流路内で液体の送液、混合、反応、合成、分析、分離、抽出、検出など広範囲の化学的物理的操作を行うことに好適なものとして近年とくに注目されている。
そして、このマイクロ化学チップを構成する材料は、微細な反応流路などを直接正確に形成できる点、および化学的安定性に優れている点などからシリコン製、ガラス製あるいは石英ガラス製のもの、とりわけシリコン製のものが推奨されている。しかし、このマイクロ化学チップは広範囲の分野での適用が期待されていることから、このチップが安価で大量生産ができることが求められているものの、ガラス基板や石英ガラス基板では表面加工の手間を含めて製造するのに時間と費用がかかるという問題があり、また、シリコン基板では材料も高価であり加工に時間がかかるなどの問題がある。
一方、これらのガラス基板などに代えて有機高分子材料(有機ポリマー材料、樹脂材料)を用いたチップが、安価で、生産性、廃棄などの点から優れていると期待されていることから、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂などを使用したチップに注目が集まっている。
これらの樹脂を使用したチップ基板を製造する場合にも二種類の製造方法がある。すなわち、これらの樹脂を基板としてこの基板上に目的とする寸法のマイクロチャネルなどと呼ばれる微小構造を直接形成してチップ基板とする第1の方法(たとえば、機械的切削、エッチング、フォトリソグラフィーなどを利用した方法)、および目的とする微小構造と逆の凹凸を形成した、すなわち反転パターンを形成したスタンパ(中子、入れ子)を製造し、これを使用して射出圧縮成形を含めた射出成形などの方法によりチップ基板を製造する第2の方法である。
樹脂基板に直接このような流路を形成する第1の方法は、寸法など目的とするものを個別に製造するのに適しているが、加工する材料のガラスとかシリコンを樹脂に代えただけの製造方法であり、手間と時間がかかるなどの点から安価で多数の同じチップ基板を製造しようとする場合には不向きである。
これに比べて、スタンパを使用して射出成形などによりチップ基板を製造する第2の方法は、スタンパを製造すれば射出成形により容易に多数のチップ基板を製造することができ、便利であるため、注目を集めている。
従来、樹脂を射出成形する場合に使用するスタンパ(中子、入れ子)の製造方法として広く知られた方法は、マイクロ化学チップの原版あるいはレプリカをまず製造し、この表面に金属をスッパタリングし、さらに金属をメッキして所定の厚さたとえば0.1mm以上の厚さにしてこれを原版ないしレプリカから剥離してスタンパを製造する方法(たとえば、特許文献1参照。)である。
しかしながら、この方法では、まず、マイクロチップ基板の実物(原版)あるいはこのレプリカをフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成し、ついでエッチングするという工程を経て製造しなければならないため、この製造に費用と時間がかかるなどの問題が生じる。しかも実際に射出成形で使用するスタンパの厚みは少なくとも0.3mmとしなければならないため、スパッタリングにより原版やレプリカ表面に形成した金属薄膜をこの厚みまでさらにメッキしなければならない。実際このような厚みにまでメッキするとスタンパの裏面の表面に凸状の突起が無数にできることが知られており、この突起除去のため研磨布や砥石により裏面研磨を行わなければならない。しかも研磨の砥(と)石くずによる傷が生じたり、研磨がどうしても均一とならないためにスタンパの厚みむらが生じてしまったり、さらに、射出成形する場合、金型温度が数十℃であるのに対し、溶融樹脂温度は200℃以上となるために、このようなヒートサイクルがスタンパにかかった場合にどうしても伸縮が避けられず、原版のマイクロ流路の寸法などの再現性が悪く、また製品間のバラツキが出てしまうなどの問題がある。このために、寸法の安定などの観点から、ガラスなどを直接マイクロチップの基板として使用する傾向がある。
また別の方法として、金属基板にレジストパターンを形成し、レジストのない部分を金属メッキで埋め、レジストを除去して基板表面に微細なパターンを施した金属板とし、これを金型(スタンパ)として樹脂を加工する方法(たとえば、特許文献2参照。)などが提案されている。しかしながら、この方法では必要となる凹凸の厚みにまでメッキしなければならないことから、表面に凸状の突起が無数にでき、メッキした上面の研磨を行う必要があるとともに、金属基板とメッキ金属の熱膨張の差があるため破断しやすいなどの問題があるため方法としていまいちであり、実用的でない。
上述のような従来のスタンパの製造方法は、同じマイクロチップ基板を多量に製造するためのもの、すなわち、少品種多量生産向けのものであって、しかも、実際に射出成形に使用した場合には製造されたマイクロチップの品質や転写精密性などの点から必ずしも満足のいくようなものとはいい難いものである。そして、多品種少量生産向けのマイクロチップ基板製造のための安価で精密なマイクロチャネルを実現できるなどの優れたスタンパの開発はまったくなされてきていないというのが実情である。
特開2003−13883号公報 特開2000−39420号公報
多品種少量生産のための射出成形用スタンパを製造する場合、コストと時間と射出成形品質などの点から上述の少品種多量生産のスタンパの製法を適用することはできない。すなわち、二度と使用することのないマイクロチップの原版やレプリカをわざわざ作製する必要はないし、しかもメッキによるためスタンパの研磨や外形加工などの一連の形状調整が必要であるなどの問題点がある。そこで、多品種少量生産用のスタンパの製造においては、マイクロチップの原版やレプリカを作製することなく、しかも問題の多いメッキ工程とそれに伴う後処理工程を排除するまったく別の製法の開発が必要で、その際製法が容易で、しかもスタンパとしての耐久性に優れ、転写の精密さなども実現できることが求められる。
このような問題を解決するべく研究した結果、石英基板をフォトリソグラフ法により立体的にエッチングして、所望の形状のパターンの凹凸が反転したスタンパ(あるいは中子または入れ子)とすることにより転写性・マイクロチャネルの再現性などに優れたマイクロ化学チップ基板を製造することができるという知見を得て本願発明にいたったものである。すなわち、石英基板の上に金属薄膜を形成し、さらにその上にフォトレジストを塗布し、つぎにこのフォトレジストに所望の形状の微小流路の反転パターンを露光するとともに現像して石英基板上に微小流路の反転パターンを形成し、現像により露出した金属薄膜をエッチングして後、さらにレジストと石英基板をエッチングして、露出した金属薄膜を除去することなく射出成形用石英スタンパを製造することにより実用性に優れたスタンパの製造が実現できることに基づくものである。
より詳しくは、本願発明は、石英基板上に金属および金属酸化物よりなる群から選ばれた一種または二種以上で構成された金属薄膜層を形成する第1の工程、該金属薄膜層上にフォトレジスト材料からなるフォトレジスト層を形成する第2の工程、該フォトレジスト層に所望の形状の微小流路の反転パターンを露光し現像して微小流路の反転レジストパターンを形成し、現像により露出した金属薄膜層をエッチングして石英基板を露出させる第3の工程、レジストパターンのレジストと露出した石英基板を金属薄膜層を残存するようにエッチングする第4の工程を有することを特徴とする石英基板表面に微細流路に対応する石英凸部が形成されかつこの石英凸部の頂部に金属薄膜層を有する射出成形用石英スタンパの製造方法、およびこの製造方法によって製造された射出成形用石英スタンパに関するものである。
ここで、とくに、第4の工程のエッチングの方法としてドライエッチング、とりわけ反応性ドライエッチング(RIE)、およびウェットエッチングが挙げられ、第1の工程の金属薄膜層が金属および金属酸化物よりなる群から選ばれた一種または二種以上で構成されたもの、さらに第1の工程の金属薄膜層が金属および金属酸化物よりなる群から選択される二種以上の材料の積層体であることが挙げられ、さらにまた金属材料がクロムおよび酸化クロムより構成される金属薄膜であることが挙げられる。加えて、第3の工程の光露光が長中波紫外線または可視光線とくにレーザー光であることが挙げられる。
本願発明における微小流路とは、マイクロ化学チップにおいてこの微小流路内で液体の送液、混合、反応、合成、分析、分離、抽出、検出など広範囲の化学的物理的操作を行うためのものであって、これらの目的のための各種の形状の微小流路ないし微小構造を意味するものである。
各工程について詳細に説明する。
第1の工程について、
この工程では、石英基板上に金属材料からなる金属薄膜層を形成する操作を行う。
石英基板としては、すでに各種のものが市販されているので、これらのものから適切なものを選択することができる。厚みとしては、0.1mm以上のものであれば使用できる。フォトマスク用の石英ガラスなどであればわざわざ表面を磨き上げる必要はない。というのは、スタンパとして加工されるので、マイクロチャンネルを形成することとなる凸部の表面にピンポールなどが多少形成されていたとしても金属薄膜がそのまま除去されないで残るので、凸部表面層は平滑性が実現できるからである。
使用に際しては、まず、石英基板上に付着した異物、汚れを薬品や溶剤などを使用して洗浄し取り除く前処理を行う。必要に応じて酸素プラズマアッシングなどによる公知のドライ洗浄処理を施してもよい。
ついで、前処理した石英基板上に既知の方法により金属材料よりなる金属薄膜を形成する。通常よく用いられるのはスパッタリング(スパッタ法)であり、この方法により金属あるいは金属酸化物などの金属材料の薄膜を石英基板上に形成する。スパッタ法は、形成された薄膜の安定性がよいこと、薄膜を量産することができるため量産性が優れていること、および薄膜の品質が優れていることなどの点から、通常使用される方法である。そのほか、たとえば蒸着法、イオンプレーティング法および気相反応法などの既知の方法を利用して薄膜を形成することもできる。
薄膜を構成する金属材料としては、リソグラフ方法で使用される周知のマスク用の金属および/または金属酸化物を使用することができる。この金属ないし金属酸化物は、同一の金属(金属酸化物)であってもよいし、二種類以上の金属(金属酸化物)であっても差し支えない。二種類以上の金属(金属酸化物)の形態としては、合金であってもよいし金属と金属酸化物の混合物であっても差し支えないし、積層された状態であっても差し支えない。通常使用されるのはAl、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Pd、Ag、Ir、In、Sn、W、 PtおよびAuなどの金属(またはこれらの酸化物)やこれらの合金である。これらのうちでよく使用されるのは、Fe(およびその酸化物)、Cr(およびその酸化物)、Ni、Auなどである。合金としてはたとえば、イリジウム合金(Ir−10%Pt)、ニッケルとクロムの合金などが挙げられる。積層体としては、Ni−Ag、Ni−Cu、Ni−Cr、Cr−Auなどが挙げられる。しかし、TiまたはCrまたはNiとAuとの積層体は電極形成技術として公知の構成であり、実験的にも産業的にも好適な構成であるが、貴金属をエッチングすることとなるのでコストが高くなるという難点がある。
これらの材料のうち、クロムとクロム酸化物より構成される金属薄膜が一番好ましいものである。また、クロム単層より構成される金属薄膜でももちろんよい。
スパッタ法により金属薄膜を形成する場合、ターゲットに一種類の金属を使用すればその金属の薄膜を形成することができ、合金を使用すればその合金の薄膜を形成することができる。ターゲットにたとえば二種類の金属(金属酸化物)を使用してある金属(金属酸化物)の薄膜を最初に形成させ、つぎに別の金属(金属酸化物)の薄膜を形成させれば容易に積層された金属薄膜を形成することができる。もちろん、ターゲットの金属を取り替えてスパッタ法を繰り返しても積層された金属薄膜を形成させることができる。
第2の工程について、
この工程においては、石英基板上に形成された金属薄膜層上にフォトレジスト材料からなるフォトレジスト層を形成する操作を行う。
まず、金属薄膜の上にフォトレジストを塗布して、露光用レジスト付きの石英基板を作製する。
フォトレジストとしては、周知のフォトレジストが使用でき、ポジ型のフォトレジストあるいはネガ型のフォトレジストのいずれのものも使用することができる。露光と現像により、ポジ型のフォトレジストでは露光された部分のレジストが抜けて下地の金属皮膜が露出するが、ネガ型のレジストではその逆となる。一般に、ポジ型フォトレジストは、ネガ型フォトレジストに比べて解像度がよく微細加工に適しているとともにプラズマエッチングに対する耐久性優れているという利点があり、逆にネガ型フォトレジストはポジ型フォトレジストに比べて密着性がよく薬品に対する耐食性に優れているが現像時に現像液が浸透して膨潤(ぼうじゅん)するため微細加工に不向きとされている。
ここで、フォトレジストは、液状のあるいは溶媒に溶解したフォトレジストを塗布してもよいし、シート状のフォトレジストを貼り付けてもよい。
ここで使用するフォトレジストとしてポジ型のものもネガ型のものもいずれも各種のものが市販されており、さらにシート状のものとしては、たとえばドライフイルムレジストなどが市販されており、これらのものを使用してもよいし、別のものを使用しても差し支えない。
この液状のあるいは溶媒に溶解したフォトレジストを塗布する方法として、一般にスピンコート法により塗布することが行われている。この方法によれば、基板の上にフォトレジストを滴下し高速回転させて、薄くて均一性のよいフォトレジスト膜を作ることができる。そのほか、ディップコート法、ブレードコート法、ロールコート法などの周知の方法も適用することができる。通常、フォトレジストの膜厚は0.5μm程度で差し支えない。
ポジ型フォトレジストには、主鎖切断ポジ型フォトレジストと一般に知られているたとえばポリメチルメタクリレート(PMMA)系のもの、溶解抑制ポジ型フォトレジストとしてノボラックージアゾキノン系のものなどが知られており、たくさんのものが市販されている。とくにノボラックージアゾキノン系のものは、アルカリ可溶ノボラック(通常クレゾールーホルムアルデヒド縮合体)に溶解抑制剤(たとえばナフトキノンジアジドスルホン酸エステル)を混合したもので、このタイプのものは多種多様のものが市販されている。たとえば、AZシリーズ(商品名、ヘキスト社製)、Microposit(商品名、Shipley社製)、Dynalith OFPR(商品名、東京応化工業(株)社製)などである。
また、ネガ型フォトレジストとしては、架橋ネガ型フォトレジストとしてこれまたたくさんのものが市販されている。
このように、フォトレジストとして光露光波長や現像条件に合わせて選択し、周知の市販のものを使用することができる。
フォトレジストを塗布した後にレジスト膜から溶剤を蒸発させて下地の金属薄膜との密着性を向上させるためのプリベークを行う。
第3の工程について、
この工程では、フォトレジスト層に所望の形状の微小流路の反転パターンを露光し現像して微小流路の反転レジストパターンを形成し、現像により露出した金属薄膜層をエッチングして石英基板を露出させる操作を行う。
まず、上述の工程で塗布されたフォトレジストに所望の形状の微小流路の反転パターンを露光するとともに現像して石英基板上に微小流路の反転パターンを形成する。
微小流路の反転パターンを露光する方法としては、所望の形状の微小流路の反転パターンのマスクを用いてあるいはマスクを使用することなく露光することができる。
露光する光源としては、通常、高圧水銀ランプ、およびレーザーが使用される。高圧水銀ランプは、可視領域および紫外領域での光源としてよく用いられている。これはフィルターと組み合わせることにより波長の選択ができることとその強度も比較的強いことのためである。この水銀ランプの発するg線(波長:435nm)、h線(波長:405nm)およびi線(波長:365nm)が通常使用の対象となる。さらに、水銀ランプを使用した場合には、パターンマスクを使用して、パターンをレジストに露光により転写することが必要となる。
レーザー光の場合には、レジストに直接パターンを描写することができ、露光用マスクは必要ない。レーザーには通常知られている各種のものが使用できる。これは遠赤外部から可視部を経て真空紫外部にわたる発振線が知られており、本願方法ではこのうち長中波紫外領域から可視領域のいろいろな発振波長を利用する。レーザー光を用いる場合にはレジストの感度に合わせた波長の装置を使用することとなる。すなわち、レジストに形成する最小寸法と密接な関係にある、ということである。
本願発明では、長中波紫外領域から可視領域の波長のものを使用して、露光を行う。一般に、中波紫外領域(長波紫外線)は280nmないし320nmの波長のものを指し、長波紫外領域(中波紫外線)は320ないし400nmの波長のものを指しているから、長中波紫外領域の波長は、280nmないし400nmであり、また可視領域(可視光線)は380nmないし800nmの波長の範囲である。そこで、本願発明での露光は、長中波紫外線から可視光線を使用して露光を行うことを意味するものである。280nm以下の短波紫外線を使用したり、電子線を使用すると光源装置の価格が非常に高価となること、さらにレジスト膜厚の途中までしか露光が届かず露光がうまくいかないことなどの問題点が生じ、多品種少量生産用のスタンパの製造には向かなくなるからである。レーザーを使用した場合にはレーザー光をパターンに合わせて直接描写することができるので、わざわざパターンマスクを製造する必要がないという利点がある。
露光装置は、レーザー装置、水銀ランプなど各種のものが市販されており、いずれのものも使用できる。たとえば、高圧水銀ランプの場合、このランプの発するg線(波長:436nm)およびi線(波長:365nm)を利用した露光装置が実用化され市販されているが、波長が短いほうが解像度が向上するため通常i線を利用した装置が推奨されているようである。しかし、レジストパターンの目的に応じていずれの装置も使用できる。
露光した後、フォトレジストの種類によっては、現像する前にポストエクスポージャベークをする必要のあるものもあるので、必要に応じてこの処理を行う。化学増幅型レジストなどがこれにあたり、ポストエクスポージャベークは、露光により反応した感光体、または、発生した酸をレジスト膜中に拡散させる働きをする。この処理によりレジスト膜中での均一な感光状態が得られる。
つぎに、露光したフォトレジストを現像する。現像は、使用したフォトレジストに応じて、現像液が決まっており、すでに多数のものが市販されているから、これらのなかから適宜選択して使用すればよい。
ポジ型のレジストの場合には、レジスト層のうち未露光領域はレジストが硬化状態、露光領域のレジストが解重合状態であるので、現像すると解重合状態の部分は除去され、その下の石英基板上の金属薄膜が露出した状態となる。
すなわち、ポジ型のフォトレジストの場合、通常露光した部分がアルカリに溶解するのでこの性質を使用して現像する。この現像液としては、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ溶液、あるいはTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)等の有機アルカリ溶液が挙げられる。通常は有機アルカリ溶液を使用することが多い。フォトレジストがポジ型なので、露光した部分が現像液に溶けることになる。その後、純水でレジストを洗浄する。溶けた部分では、下地の金属薄膜部分が露出する。
ネガ型のフォトレジストの場合には、露光した部分が架橋反応などにより不溶型となるので、未露光部分をアルカリ水溶液や有機溶剤(現像液)で溶解・除去して現像することとなる。ゴム系のレジストに対してはこの現像液としてキシレン系現像液が用いられることが多い。その後、純水でレジストを洗浄する。洗浄すると現像液が浸透して膨潤したレジストから現像液が除去されレジストが収縮することになる。レジストが溶けた部分では、下地の金属材料の薄膜部分が露出する
つぎに、現像により露出した金属薄膜の部分をエッチングして石英基板の表面を露出させる。エッチングの方法としては、まず酸などの薬品を使用してエッチングする方法が挙げられる。薄膜が異種の金属により積層されている場合には、もちろんその金属の種類に応じてエッチング薬剤を複数使用して順番に除去することが必要な場合もある。また別のエッチングする方法は、ドライエッチングにより行うものであり、このドライエッチングする方法は、公知のドライエッチング装置の中から適宜選択してエッチングすればよい。
このようにして現像によってレジストパターンを形成した後、レジストの密着性を向上させるためにポストベーク(熱処理)を行う。通常は現像後のレジストを100℃ないし150℃でポストベークを行うとレジストに残留していた溶媒や現像液が除去され樹脂間の反応が進むなかで下地との密着性がよくなる。またドライエッチングの場合には耐プラズマ性を向上させるために行うものである。
第4の工程について、
この工程は、レジストパターンのレジストと露出した石英基板を金属薄膜層を残存するようにエッチングする操作を行う。
エッチングは、被加工基板表面にエッチングマスクを施し、そのパターンにしたがって基板材料を選択的に加工するプロセスである。すなわち、レジストおよび金属薄膜層により形成されたパターンに沿って石英基板をエッチングする。この際同時にレジストもエッチングされる。このエッチングの方法としては、周知のドライエッチングまたはウエットエッチング方法を利用することができる。特徴としては、レジストと石英がエッチングされる際に、金属薄膜層はエッチングされにくい方法を利用することである。
ドライエッチングは、真空室内に希薄な反応ガスあるいは反応材料の原料を導入して、ガスやイオン衝突によりエッチング加工するものである。この方法には、イオンビームミリング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマエッチングなどがある。このうち量産性のある異方性ドライエッチングとして広く使われているのが反応性イオンエッチング(RIE)である。たとえば、RFドライエッチング装置の中に入れ、CHF3 +O2 ガスを用いて、石英ガラス基板の表面をエッチングすると、石英ガラス基板とともにレジストマスクもわずかずつエッチングされる。また、エッチング用ガスとしてハロゲン系ガス、例えば塩素系ガス等を用い、プラズマ中に生成されたエッチングガスのイオンをエッチング面にほぼ垂直に入射させてエッチングすることもできる。
エッチングガスは、目的とする幅と深さに応じて適宜公知のエッチングガスを選択すればよい。エッチングガスは、上記したもののほかCFやSFなども挙げられる。
本願方法においては、この反応性イオンエッチング(RIE)を使用することが一番好ましい。反応性イオンエッチングにもプラズマ発生法により容量結合型(平行平板型)(CCP−RIE:Capacitive Coupled Plasma−RIE) 、誘導結合型(ICP−RIE:Inductive Coupled Plasma−RIE) 、ECR−RIE(Electron Cyclotron Resonance−RIE) の3種類がある。通常使用されるのは容量結合型(平行平板型)プラズマと誘導結合型プラズマであるが、誘導結合型プラズマのほうがプラズマ密度が高く、エッチング速度は速いものの、エッチングの異方性を制御するのが多少困難な場合がある。
さらに、反応性イオンエッチングでは、幅1μmであっても深さが5μmから50μmぐらいまでもエッチングできる技術がすでに開発されており、必要に応じてこのような公知のエッチング方法を採用することができる。
また、エッチングガスの種類とそのエッチングする深さによって、エッチング表面がきれいに仕上がったり、乱れたりすることがあるので、必要に応じてエッチングガスを選択してエッチングすることが必要な場合がある。
ドライエッチングにおいては、レジスト自体がエッチング耐性が高いのですぐにエッチングされしかもその下の金属薄膜もエッチングされて消失するようなことはない。通常のエッチング条件下ではレジストが石英基板とともにエッチングされるもののとくに金属薄膜はエッチング耐性が極めて高いので、この金属薄膜は、わずかにエッチングされることはあってもそのまま残存する。本願発明では、このように金属薄膜層を残すようにエッチングする。
ウエットエッチングは、基板をエッチング液(エッチング薬液、エッチャント)に浸漬してエッチングするが、基板材料とエッチング薬液との化学反応によってできた反応生成物がエッチング液に可溶あるいは気中で揮発性・昇華性が高いことにより基板表面から離脱していく化学的除去の原理を利用したものである。エッチングしようとする材料によりさまざまなものが用いられる。たとえば、レジストと石英基板をエッチングするのにはフッ酸などが用いられる。
ウエットエッチングにおいても、レジストがエッチングされて消失してもその下の金属薄膜はドライエッチング同様そのまま残存する。
もしドライエッチングであれウエットエッチングであれレジスト膜がエッチングされずに残り除去しなければならない場合には、酸素プラズマアッシング処理などにより除去することが可能である。
マイクロ化学チップにおける微小流路の大きさは、現在のところ、一般的に幅500μm以下、深さ300μm以下が普通であるが、幅300μm以下、深さ150μm以下とすることが、微小空間の短い分子拡散距離および大きな比界面積の効果により効率のよい化学反応を行ううえでより好適である。一方、微小流路以外の機能をもたせる場合の凹凸形状のパターンの大きさは特に制限はない。このようなことから、目的とするマイクロ化学チップで使用される微小流路に応じたスタンパを製造すればよいことになる。
本願発明により得られるスタンパを用いて射出成形(射出圧縮成形なども含む)することができる樹脂としては、通常マイクロ化学チップとして使用できる樹脂ならばどのような樹脂でも適用することができる。たとえば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂などがあげられる。
環状ポリオレフィン樹脂は、シクロオレフィンポリマー(COP)ともよばれ、シクロオレフィン類をモノマーとして合成される主鎖に脂環構造を有するポリマーである。このポリマーとしては、たとえば、ノルボルネン系のモノマーを開環メタセシス重合した後、重合体中の二重結合を水素化して得られる開環メタセシス重合体水素化ポリマーなどがあげられる。市販されているものとしては商品名ZEONEX(日本ゼオン(株)社製)などがある。また、COC樹脂(環状オレフィンコポリマー)は、環状オレフィンとオレフィンなどとの共重合体で、たとえばノルボルネンとエチレンとの共重合体があり、市販されているものとしては、たとえば商品名TOPAS5013(ポリプラスチックス(株)社製)などがある。これらの環状ポリオレフィン樹脂は透明性が極めて高いなどの理由から近時注目されている。
エッチングの評価:
マイクロチップも研究のレベルに応じて相当集積されたマイクロチャネルなどの微細構造などが求められるから、どの程度まで微細加工されたスタンパが製造できるのかの評価が必要となる。半導体の分野ではよく高集積化が達成できる指標として、1:1ラインアンドスペース(Line&Space,L/S)がよく使用される。これは等幅の山(ライン)と谷(スペース)が連続したパターンで幅が小さくなるほど半導体の高集積化が達成できる指標となるからである。本願発明では、この最小の線幅と谷幅が1μmから50μmまでの微細パターンの11種類、すなわち最小のラインアンドスペースとして1μmから50μmまでの1:1のラインアンドスペースによりエッチングを行い評価した。解像性は、良好なパターニング形状で、どれほど線幅の狭いラインアンドスペースが描けるかということに依存するからである。
および、もうひとつの指標としてアスペクト比がある。これは、エッチングする際の溝幅と深さの比であり、溝幅を1としたときにどの程度の深さまでエッチングできるかの指標となる。アスペクト比が高く、かつ溝がきれいに形成されているのかが問題となる。アスペクト比が2ということは、溝幅を1とした場合に深さとして2までのエッチングをすることができるということであり、実際には、この溝幅が狭くなるほどアスペクト比を高くすることは困難となる。本願発明では、溝幅が1μmの部分に対して、深さが0.6μm、0.9μm、1.2μm、1.8μm(すなわち、アスペクト比が0.6、0.9、1.2および1.8)となるようにエッチングを行い評価した。






本願発明は、フォトリソグラフィーおよびエッチングにより石英基板から直接スタンパを製造するものであるから、マイクロチップの原型やレプリカをわざわざ製造しなくてよいこと、メッキ工程が必要なくメッキにより製造されるスタンパを使用する射出成形時のトラブルが生じないこと、製法が従来法より簡単でしかも工程が少なく、それにもかかわらず転写の精度が高いこと、従来法に比べて短時間でしかも安価に製造でき、したがってマイクロチップも安価で短時間で製造することができること、金属薄膜を非エッチング部に残すことからスタンパの検査が目視により可能であるとともに従来のフォトマスク用検査装置や検査方法がそのまま利用できるので製品チェックや管理がしやすいこと、スタンパは線膨張係数が極めて小さく、硬度も高い上にさらにスタンパと射出成形金型との間のトラブルも生じないこと、多品種少量生産に十分耐えるだけ耐久性を有するものであることなどの利点がある。
本願発明の具体例を示す。
まず、石英基板が射出成形のスタンパとして使用できるのかどうかの試験を行った。この石英基板として、市販のフォトマスク用の合成石英ガラスを用意した。このガラスの厚みは0.09インチ(2.3mm)、線膨張係数が6×10−7、熱軟化点が1600℃であった。この石英基板を実際の成形時に使用するスタンパと同じ大きさとし、これを射出成形機の金型内に装着し、実際のマイクロ化学チップ(厚み:2mm)と同じ厚みと大きさのものを一般的な射出成形条件で成形した。使用した樹脂は、ポリメチルメタクリレート樹脂(商品名:アクリペットVH、三菱レイヨン(株)社製)およびCOC樹脂(環状オレフィンコポリマー:ノルボルネンとエチレンとの共重合体、商品名:TOPAS5013、ポリプラスチックス(株)社製)の2種類であった。この2種類の樹脂で射出成形したところ、使用した石英基板の平面と同じ平滑面転写が確認された。この射出成形を短時間(サイクルタイム:50秒)にそれぞれの樹脂について100回以上繰り返し行ったが、石英基板の損傷は認められず、しかも射出成形体の樹脂の表面に凹凸などもみられなかった。なお、この射出成形体の表面に凹凸がみられた場合には、この凹凸は、石英基板(スタンパ)の裏面に成形時の熱や応力による金型との擦れ傷が発生し、このときの凹凸傷や削れた微粉末がスタンパと金型の間に拡散し、成形されたものの表面に凹凸として転写されたものである。しかし、このような凹凸などはまったくみられなかった。
この試験により、石英基板が射出成形のスタンパとして直接必要な加工を施して使用できることを確認した。
上述の市販の合成石英ガラスを石英基板として使用してスタンパを製造する。まず付着しているほこりなどを洗浄して取り除いた後、スパッタリング装置に装着しクロムと酸化クロムの積層皮膜をこの石英基板上に形成した。ターゲットとしてクロムと酸化クロムの2種類を使用し、まずクロムをスパッタリングにより基板上に薄膜を形成し、つぎに酸化クロムをスパッタリングによりクロム薄膜上に酸化クロム薄膜を積層した。積層した薄膜の厚みは合計0.1μmであった。
ついでこの金属薄膜上にスピンコート法によりフォトレジスト約0.5μmの厚さに塗布した。フォトレジストは、ポジ型レジストとしてノボラックージアゾキノン系フォトレジスト(商品名:THMR−iP3500、東京応化工業(株)社製)を使用した。フォトレジストを塗布した後にレジスト膜から溶剤を蒸発させて下地の金属薄膜との密着性を向上させるためのプリベークを行った。
つぎに、このフォトレジストに波長413nmのレーザーを使用して直接パターンを描画した。このレーザー描画にはMICRONIC社製のOmega6060 Laser描画装置(413nmKrF laser)を用いた。このレーザー描画装置は、EB(電子線)描画と比べ角度や曲線が滑らかに再現でき、描画時間が短いことが特徴である。
パターンは、1μmから50μmまでの11種類の1:1のラインアンドスペースのものを描画した。これは、ライン幅1μmに対してスペース幅1μmであり、すべてのラインアンドスペースは1:1とした。
描画は、縦横1μmの四角形、それに続いて1μmの間隔を置いて幅1μmで長さ2000μmの長方形のパターンを3列、それぞれの間に1μmの間隔を置いて、直径1μmの円形、それに続いて1μmの間隔を置いて幅1μmで長さ2000μmの長方形を描いた。このようにした合計5列のものを一組として、1μmの1:1のラインアンドスペースとなるようなパターンを描いた。
同様にして、2μm:2μm、4μm:4μm、10μm:10μmなどとそれぞれの1:1のラインアンドスペースとなるようなパターンを描いた。合計、11種類のパターンを横1列に1組として4組を解像力テストパターンとして、多数配置した全体パターンを描画した。
本装置を使用した描画方式のパターン最小寸法は、商業的には1.0μmの1:1のラインアンドスペースが公称値であるが、条件により0.8μmの1:1のラインアンドスペースの描画が可能であった。
このようにして複数の露光したものを製造した。
つぎにこれを現像する。現像液は、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)2.38%含有アルカリ水溶液を使用した。現像により、露光した部分がこのアルカリ水溶液に溶解するので、残りの部分が山のようになって残り、フォトレジストが除去された部分は、その下のクロムと酸化クロムの積層薄膜の表面が露出した。
この露出したクロムと酸化クロムの積層薄膜をエッチングにより除去する。エッチングは薬品を使用した。この除去するための専用エッチャントとして、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液に酸化剤等を混合したエッチャントを使用して薄膜を除去した。除去された部分は、薄膜が除去されたことによりその下の石英基板の表面が露出した。このようにして形成されたレジストパターンを100℃以上でポストベーク(熱処理)を行い、耐RIE(反応性イオンエッチング)性マスクパターンを完成させた。
つぎに、上述の形成されたレジストパターン(マスクパターン)を利用して石英基板をエッチングする。このとき同時にマスクパターンのフォトレジストもエッチングされ、その下のクロムと酸化クロムの積層薄膜層の表面が露出する。
マスクパターンが形成された石英基板を反応性イオンエッチング(RIE)の装置に装着しエッチングを行った。この反応性イオンエッチングの装置として容量結合型(平行平板型)(CCP−RIE:Capacitive Coupled Plasma−RIE)および誘導結合型(ICP−RIE:Inductive Coupled Plasma−RIE)の2種類の方式により行った。エッチングは、反応性イオンエッチングのガスとしてCFおよびSFを使用した。容量結合型(平行平板型)のRIEにより深さ0.6μmおよび0.9μmのそれぞれについてエッチングを、誘導結合型RIEにより深さ1.2μmおよび1.8μmのそれぞれについてエッチングを行った。すなわち、上述の11種類のフォトレジストパターンを有する基板についてそれぞれ0.6μm、0.9μm、1.2μm、1.8μmとなるようにエッチングをしたものを作製した。
この2種類のRIEのうち誘導結合型RIEのほうがプラズマ密度が高くエッチング速度が速いため、この誘導結合型RIEを深いエッチングに使用した。
エッチングした結果は、0.6μm、0.9μm、1.2μmのいずれも良好なエッチングが得られた。ただ完全な垂直壁ではなく微小な順テーパ形状の壁であった。このうち溝幅が1μmの場合でエッチング深さが1.8μmのものは、エッチング速度が速い誘導結合型RIEを用いたものであるために側壁部と加工底面部に多少乱れが生じていたので、溝幅が1μmと狭くかつアスペクト比を1.8以上とするエッチングの場合には、プラズマ密度が高い誘導結合型RIEによるもののときは異方性を制御することが必ずしも容易ではなく、通常の条件ではこのように多少乱れが生じるので、工夫をこらす必要がある。
このようにエッチングしたものは、レジストがエッチングにより除去されているが、この下のクロムと酸化クロムの積層された金属薄膜層は、そのまま残っていた。
上述のエッチングした各種のスタンパを用いてポリメチルメタクリレート樹脂およびCOC樹脂の射出成形を行った。石英基板上の上述の11種類の1:1のラインアンドスペースのもので深さ0.6μm、0.9μmおよび1.2μmのスタンパを使用したものは、基板どおりの寸法で、平坦できれいな表面の射出成形体を得ることができた。しかし、深さ1.8μmのスタンパで成形したものは、全般的に平坦できれいな表面の射出成形体であったが、1μmの1:1のラインアンドスペースの部分は、基板どおりの寸法で転写されず、深さ1.8μmのうちのおおむね70%ぐらいしか溶融樹脂が入り込まず、これに伴い転写されたライン部分の高さが不足していた。このため、スタンパが非常に緻密なパターンを形成できるのにもかかわらず、樹脂の成形技術が追いついていないことを示している。このように、現在の時点では、幅が1μmの1:1のラインアンドスペースの場合には深さが1.5μmの程度のものが、現在の樹脂と成形技術のレベルからみた転写の限度であると思われる。もちろん樹脂と成形技術のレベルが向上すれば、深さ2.0μm以上であっても転写可能となるから、マイクロ化学チップの集積度なども飛躍的に向上することになる。
なお、これらの結果は、従来のフォトマスク用検査装置による検査と目視検査を併用して検査を行うとともに、操作型電子顕微鏡と原子間力顕微鏡を用いて形成されたマスクパターンや射出成形したものを詳細に分析したものである。
また別に、本願方法により形成したスタンパを用いて幅20μm、深さ2μmの微小流路を有するマイクロチップ基板をポリメチルメタクリレート樹脂およびCOC樹脂を用いてそれぞれ射出成形して製造した。一方、エッチングしていない石英基板を用いて射出成形した樹脂板をそれぞれ蓋体として接合した。接合方法は、両接合面に真空紫外線を照射しついでそれぞれの樹脂の塑性変形温度以下の加熱条件下で加圧して接合するものである。この方法は、本出願人による特開2006−187730号公報に記載され公知である。このような方法により製造したマイクロ化学チップの蓋体にあらかじめ穿設したアクセスホールより微小流路に一端からエタノールを入れ他端から吸液したが、マイクロ流路パターンは圧損なく保持されていた。
以上のように、マイクロチップ基板の原版やレプリカを製造することなく、さらにメッキ工程とそれ以降の研磨などの後処理工程を経ることなく製造した石英スタンパが射出成形においても十分に耐久性があり、しかも1.0μmの1:1のラインアンドスペースのような集積されたものも製造できることを確認した。そして、できたスタンパはフォトマスク用検査装置と目視による検査が容易であり、射出成形によりこのスタンパのパターンはマイクロチップ基板に正確に転写されたものであった。そして発明の効果欄に記載の効果を得ることができた。
微小流路内で液体の送液、混合、反応、合成、分析、分離、抽出、検出など広範囲の化学的物理的操作を行うことができるマイクロ化学チップなどのプラスチック基板を射出成形する際の石英スタンパを容易に効率よく製造することができるので、マイクロプラントなどを含めた広範囲の用途のものに適用することができる。

Claims (8)

  1. 石英基板上に金属および金属酸化物よりなる群から選ばれた一種または二種以上で構成された金属薄膜層を形成する第1の工程、該金属薄膜層上にフォトレジスト材料からなるフォトレジスト層を形成する第2の工程、該フォトレジスト層に所望の形状の微小流路の反転パターンを露光し現像して微小流路の反転レジストパターンを形成し、現像により露出した金属薄膜層をエッチングして石英基板を露出させる第3の工程、レジストパターンのレジストと露出した石英基板を、金属薄膜層を残存するようにエッチングする第4の工程を有することを特徴とする石英基板表面に微細流路に対応する石英凸部が形成されかつこの石英凸部の頂部に金属薄膜層を有する射出成形用石英スタンパの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法において、第4の工程のエッチングの方法がドライエッチングであることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法において、ドライエッチングが反応性イオンエッチングであることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
  4. 請求項1に記載の製造方法において、第4の工程のエッチングの方法がウェットエッチングであることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
  5. 請求項1に記載の製造方法において、第1の工程の金属薄膜層が金属および金属酸化物よりなる群から選択される二種以上の材料の積層体であることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
  6. 請求項1に記載の製造方法において、第3の工程の光露光が長中波紫外線または可視光線であることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法において、長中波紫外線または可視光線がレーザー光であることを特徴とする射出成形用石英スタンパの製造方法。
  8. 請求項1ないし7に記載の製造方法により製造された石英基板表面に微細流路に対応する石英凸部が形成されかつこの石英凸部の頂部に金属薄膜層を有する射出成形用石英スタンパ。
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