本発明の第1の実施の形態例に係る空調給湯システムは、図1に示すように、空調用圧縮機21を駆動して冷房運転と暖房運転とを切り替えて運転を行う空調用冷媒回路5と、給湯用圧縮機41を駆動して給湯運転を行う給湯用冷媒回路6と、空調用冷媒回路5と熱交換を行って、住宅60の室内の空調を行う空調用冷温水循環回路8と、給湯用冷媒回路6と熱交換を行って給湯を行う給湯流路9と、運転の制御を行う制御装置1aとを備え、空調用冷媒回路5と給湯用冷媒回路6とが中間熱交換器23を介して熱的に接続されて空調サイクルと給湯サイクルの二元冷凍サイクルが形成されたシステムである。
この空調給湯システムは、室外に配置されるヒートポンプユニット1と、室内に配置される室内ユニット2とを備えたユニット構成となっており、ヒートポンプユニット1には、空調用冷媒回路5、給湯用冷媒回路6、空調用冷温水循環回路8、給湯流路9、および制御装置1aが組み込まれている。また、室内ユニット2には、住宅60の室内空気と熱交換を行う室内熱交換器61が組み込まれている。
空調用冷媒回路5は、空調用冷媒が循環することにより冷凍サイクル(空調サイクル)が形成される回路であり、空調用冷媒を圧縮する空調用圧縮機21、空調用冷媒の流路を切り替える四方弁(空調用流路切替弁)22、給湯用冷媒回路6を循環する給湯用冷媒と熱交換を行う中間熱交換器23、空調用冷媒タンク26、空調用冷媒を減圧する空調用膨張弁27、空調用冷温水循環回路8と熱交換を行う空調用利用側熱交換器28を冷媒配管で接続して環状に形成された空調用冷媒メイン回路5aに、空調用室外ファン25から送られてくる大気と熱交換を行う空調用熱源側熱交換器24を接続した構成となっている。ここでは空調用冷温水循環回路8と熱交換するとしているが、この空調用冷温水循環回路8を介さず、直接住宅60の室内空気と熱交換してもよい。
より詳細に説明すると、この空調用熱源側熱交換器24は、空調用冷媒メイン回路5aの四方弁22と空調用膨張弁27の間の位置に、中間熱交換器23と並列になるようにして接続されており、空調用熱源側熱交換器24の出入口には、それぞれ空調用冷媒の流量を制御する第1膨張弁(第1空調用冷媒流量制御弁)35cおよび第2膨張弁(第2空調用冷媒流量制御弁)35dが組み込まれている。ここで、空調用熱源側熱交換器24、空調用室外ファン25、第1膨張弁35c、および第2膨張弁35dが、本発明の空調用熱源側熱交換器ユニットに相当する。なお、空調用冷媒回路5を循環する空調用冷媒には、R410a、R134a,HFO1234yf,HFO1234ze、CO2の中から使用条件に適した冷媒が用いられる。
次に、上記した空調用冷媒回路5に組み込まれる各機器の構造について、詳細に説明する。空調用圧縮機21は、容量制御が可能な可変容量型の圧縮機である。このような圧縮機としては、ピストン式、ロータリー式、スクロール式、スクリュー式、遠心式のものを採用可能である。具体的には、空調用圧縮機21は、スクロール式の圧縮機であり、インバータ制御により容量制御が可能で、低速から高速まで回転速度が可変である。
空調用利用側熱交換器28は、図示しないが、空調用冷媒が流れる空調用冷媒伝熱管と水(空調用利用側の熱搬送媒体)が流れる空調用冷温水伝熱管とが熱的に接触するように構成されている。空調用冷媒タンク26は、空調用冷媒回路5の流路の切替えによって変化する空調用冷媒の量を制御するバッファとしての機能を備えたものである。空調用膨張弁27は、弁の開度を調整することにより、空調用冷媒の圧力を所定の圧力まで減圧することができる。
空調用冷温水循環回路8は、空調用冷媒回路5と熱交換を行うための空調用利用側の熱搬送媒体として水が流れる回路であり、四方弁53と空調用冷温水循環ポンプ52と住宅60に設置された室内熱交換器61とを空調用冷温水配管55aで接続し、室内熱交換器61と四方弁22とを空調用冷温水配管55bで接続し、四方弁53と空調用利用側熱交換器28とを空調用冷温水配管55cで接続して、環状に形成された回路である。この空調用冷温水循環回路8内を流れる水(冷水または温水)は、室内熱交換器61を介して住宅60内の空気と熱交換して、住宅60内を冷房または暖房する。ここで、空調用冷温水循環回路8内を流れる空調用利用側の熱搬送媒体として、水の代わりにエチレングリコールなどのブラインを用いても良い。ブラインを用いると寒冷地でも適用できることは言うまでもない。
なお、以下の説明において、空調用冷温水循環回路8を流れる水として「冷水」または「温水」という言葉が用いられることがあるが、「冷水」とは冷房時に空調用冷温水循環回路8を流れる水の意味で用いられ、「温水」とは暖房時に空調用冷温水循環回路8を流れる水の意味で用いられていることを、ここで付言しておく。
給湯用冷媒回路6は、給湯用冷媒が循環することにより冷凍サイクル(給湯サイクル)が形成される回路であり、給湯用冷媒を圧縮する給湯用圧縮機41、給湯流路9と熱交換を行う給湯用利用側熱交換器42、給湯用冷媒の量を制御するバッファとしての機能を備えた給湯用冷媒タンク46、給湯用冷媒を減圧する給湯用膨張弁43、空調用冷媒回路5を循環する空調用冷媒と熱交換を行う中間熱交換器23を冷媒配管で接続して環状に形成された給湯用冷媒メイン回路6aに、給湯用室外ファン45から送られてくる大気と熱交換を行う給湯用熱源側熱交換器44を接続した構成となっている。
より詳細に説明すると、この給湯用熱源側熱交換器44は、給湯用冷媒メイン回路6aの給湯用圧縮機41と給湯用膨張弁43の間の位置に、中間熱交換器23と並列になるようにして接続されており、給湯用熱源側熱交換器44の出入口には、それぞれ給湯用冷媒の流量を制御する第3膨張弁(第1給湯用冷媒流量制御弁)49aおよび第4膨張弁(第2給湯用冷媒流量制御弁)49cが組み込まれている。ここで、給湯用熱源側熱交換器44、給湯用室外ファン45、第3膨張弁49a、および第4膨張弁49cが、本発明の給湯用熱源側熱交換器ユニットに相当する。なお、給湯用冷媒回路6を循環する給湯用冷媒には、R410a、R134a,HFO1234yf,HFO1234ze、CO2の中から使用条件に適した冷媒が用いられる。
次に、上記した給湯用冷媒回路6に組み込まれる各機器の構造について、詳細に説明する。給湯用圧縮機41は、空調用圧縮機21と同様にインバータ制御により容量制御が可能で、低速から高速まで回転速度が可変である。給湯用利用側熱交換器42は、図示しないが、給湯流路9に供給される水が流れる給湯用水伝熱管と、給湯用冷媒が流れる給湯用冷媒伝熱管とが熱的に接触するように構成されている。給湯用膨張弁43は、弁の開度を調整することにより、給湯用冷媒の圧力を所定の圧力まで減圧することができる。
ここで、本実施形態では、中間熱交換器23としてプレート式熱交換器が用いられている。また、空調用冷媒回路5の中間熱交換器23の出入口には、それぞれ二方弁35a、35bが設けられており、給湯用冷媒回路6の中間熱交換器23の出入口には、それぞれ二方弁49b、49dがそれぞれ設けられている。
給湯流路9は、給湯用利用側の熱搬送媒体としての水が流れる流路であり、給湯用利用側熱交換器42の入口と給水口78とを給湯用配管72で接続し、給湯用利用側熱交換器42の出口と給湯口79とを給湯用配管73で接続して形成された流路である。給湯用配管73には、貯湯タンク70が取り付けられており、給水口78から供給された水は、給湯用利用側熱交換器42にて熱交換されてお湯になった後、この貯湯タンク70に蓄えられる。そして、貯湯タンク70内に蓄えられた湯は、給湯口79から給湯負荷側(浴槽、洗面所、台所など)へ供給される。また、貯湯タンク70の底部には、ドレン配管71aとドレン弁71bが設けられている。ドレン弁71bは通常は閉じており、制御装置1aからの指令を受けると、ドレン弁71bが開き、貯湯タンク70内に蓄えられている湯がドレン配管71aを通って外部に排出されるようになっている。なお、給湯流路9には、図示しないが、水の流量を検知する流量センサが組み込まれている。
この空調給湯システムには、複数の温度センサTH1〜TH20を備えている。具体的には、給湯流路9を流れる水の温度を測定するために、給湯用利用側熱交換器42の入口に温度センサTH2が、給水口78に温度センサTH1がそれぞれ設けられている。また、空調用冷温水循環回路8を流れる冷温水の温度を測定するために、空調用利用側熱交換器28の暖房運転時における入口に温度センサTH4が、空調用利用側熱交換器28の暖房運転時における出口に温度センサTH3が、室内熱交換器61の出口に温度センサTH5がそれぞれ設けられている。
また、給湯用冷媒回路6を流れる給湯用冷媒の温度を測定するために、給湯用圧縮機41の吸込口41aに温度センサTH6が、給湯用圧縮機41の吐出口41bに温度センサTH7が、給湯用膨張弁43の出口に温度センサTH8が、給湯用熱源側熱交換器44の出口に温度センサTH9が、中間熱交換器23の出口に温度センサTH10がそれぞれ設けられている。
また、空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒の温度を測定するために、空調用圧縮機21の吸込口21aに温度センサTH11が、空調用圧縮機21の吐出口21bに温度センサTH12が、中間熱交換器23の出入口に温度センサTH13および温度センサTH14が、空調用熱源側熱交換器24の出入口に温度センサTH15および温度センサTH16が、空調用膨張弁43の冷房運転時の出口に温度センサTH17が、空調用利用側熱交換器28の冷房運転時の出口に温度センサTH18が、それぞれ設けられている。
また、空調給湯システムには、外気温度を測定するための温度センサTH19、住宅60の室内温度を測定するための温度センサTH20,および貯湯タンク70内に蓄えられた湯温を測定するための温度センサTH21も設けられている。
さらに、空調用圧縮機21には回転数を検知するための回転数検知センサRAが設けられている。給湯用圧縮機41にも同様に回転数検知センサRHが設けられている。また、空調用膨張弁27には弁の開度を検知する弁開度検知センサPAが設けられ、給湯用膨張弁43には弁の開度を検知する弁開度検知センサPHが設けられている。
制御装置1aは、図示しないリモコンからの指令信号、温度センサTH1〜TH21、回転数検知センサRA、RH、弁開度検知センサPA、PHからの検知信号などを入力し、これらの入力信号に基づいて、空調用圧縮機21および給湯用圧縮機41の駆動/停止、四方弁22、53の切り替え、空調用膨張弁27および給湯用膨張弁43の弁の開度の調整、膨張弁35c、35d、49a、49cの弁の開度の調整、空調用冷温水循環ポンプ52の駆動/停止、二方弁35a、35b、49a、49d、54a、54bの開閉、その他の空調給湯システムの運転に必要な制御を行っている。
続いて、第1の実施の形態例に係る空調給湯システムにて行われる各種運転モードについて説明していくが、まず各種運転モードの概要について図2および図3を用いて説明する。第1の実施の形態例に係る空調給湯システムは、「冷房・給湯単独運転モード」、「暖房・給湯単独運転モード」、「スケジュール運転モード」、「強暖房運転モード」、「瞬間沸き上げ運転モード」、「急冷却運転モード」、「排熱風ゼロ運転モード」、「省エネ運転モード」の8つの運転モードを備えている。
「冷房・給湯単独運転モード」は、空調用冷媒回路5による冷房運転と、給湯用冷媒回路6による給湯運転とをそれぞれ単独で行う運転モードである。この運転モードは、図2に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が蒸発器として使用され、中間熱交換器23が不使用である。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転され、空調用利用側熱交換器28が蒸発器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が凝縮器として使用され、中間熱交換器23は不使用である。
「暖房・給湯単独運転モード」は、空調用冷媒回路5による暖房運転と、給湯用冷媒回路6による給湯運転とをそれぞれ単独で行う運転モードである。この運転モードは、図2に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が蒸発器として使用され、中間熱交換器23が不使用である。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転され、空調用利用側熱交換器28が凝縮器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が蒸発器として使用され、中間熱交換器23は不使用である。
「スケジュール運転モード」は、中間熱交換器23を介して空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒と給湯用冷媒回路6を流れる給湯用冷媒とで熱交換を行いながら、空調用冷媒回路5による冷房運転と、給湯用冷媒回路6による給湯運転とを行う運転モードである。このスケジュール運転モードは、給湯用冷媒回路6が必要とする給湯吸熱量と空調用冷媒回路5が必要とする空調放熱量との大小によって、制御1〜制御3までの3つの運転モードが設定されている。
給湯吸熱量と空調放熱量との差が予め定めた範囲内にあることにより給湯吸熱量と空調放熱量とが等しいとみなすことができる場合、即ち、空調給湯システムの負荷が第3負荷状態にある場合に行われる運転モードが「制御1モード」である。制御1モードは、図2に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が不使用であり、中間熱交換器23が蒸発器として使用される。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転され、空調用利用側熱交換器28が蒸発器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が不使用であり、中間熱交換器23が凝縮器として使用される。つまり、制御1モードでは、給湯吸熱量と空調放熱量とのバランスが取れているので、給湯用熱源側熱交換器44および空調用熱源側熱交換器24を使用せずに、中間熱交換器23のみを用いた運転が行われる。
給湯吸熱量よりも空調放熱量の方が大きい場合、即ち、空調給湯システムの負荷が第1負荷状態にある場合に行われる運転モードが「制御2モード」である。制御2モードは、図2に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が不使用であり、中間熱交換器23が蒸発器として使用される。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転され、空調用利用側熱交換器28が蒸発器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が凝縮器として使用され、中間熱交換器23が凝縮器として使用される。つまり、制御2モードでは、給湯吸熱量より空調放熱量の方が大きいので、空調サイクルの排熱を中間熱交換器23を介して給湯サイクルに放熱するだけでは熱量のバランスが取れないため、空調放熱量と給湯吸熱量の差に相当する差分熱量(余剰分)を、空調用熱源側熱交換器24から大気に放熱しながら冷房運転と給湯運転が行われている。
空調放熱量よりも給湯吸熱量の方が大きい場合、即ち、空調給湯システムの負荷が第2負荷状態にある場合に行われる運転モードが「制御3モード」である。制御3モードは、図2に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が蒸発器として使用され、中間熱交換器23が蒸発器として使用される。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転され、空調用利用側熱交換器28が蒸発器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が不使用であり、中間熱交換器23が凝縮器として使用される。つまり、制御3モードでは、空調放熱量より給湯吸熱量の方が大きいので、空調サイクルの排熱を中間熱交換器23を介して給湯サイクルに放熱するだけでは熱量のバランスが取れないため、空調放熱量と給湯吸熱量の差に相当する差分熱量(不足分)を、給湯用熱源側熱交換器44を介して大気から吸熱しながら冷房運転と給湯運転が行われている。
「強暖房運転モード」は、中間熱交換器23を補助的に用いた空調用冷媒回路5による暖房運転と、給湯用冷媒回路6による給湯運転とを行う運転モードである。この運転モードは、図3に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が蒸発器として使用され、中間熱交換器23は不使用である。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転され、空調用利用側熱交換器28が凝縮器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が蒸発器として使用され、中間熱交換器23が補助的な蒸発器として使用される。この強暖房運転モードは、空調用熱源側熱交換器24を蒸発器として用いるだけでなく、中間熱交換器23のプレートの伝熱面を利用して少しでも中間熱交換器23を蒸発器として利用することにより、空調サイクルの蒸発温度を高めることができるため、特に冬季で室内が十分に暖まらないような場合に適した運転モードである。
「瞬間沸き上げ運転モード」は、中間熱交換器23を介して空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒と給湯用冷媒回路6を流れる給湯用冷媒とで熱交換を行いながら、空調用冷媒回路5による冷房運転と、給湯用冷媒回路6による給湯運転とを行う運転モードである。この運転モードは、図3に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が蒸発器として使用され、中間熱交換器23が蒸発器として使用される。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転され、空調用利用側熱交換器28が蒸発器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が不使用であり、中間熱交換器23が凝縮器として使用される。この瞬間沸き上げ運転モードは、たくさんのお湯が一時的に必要となった場合など、給湯負荷が一時的に高まる場合に適した運転モードである。
「急冷却運転モード」は、中間熱交換器23を介して空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒と給湯用冷媒回路6を流れる給湯用冷媒とで熱交換を行いながら、空調用冷媒回路5による冷房運転と、給湯用冷媒回路6による給湯運転とを行う運転モードである。この運転モードは、図3に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が不使用であり、中間熱交換器23が蒸発器として使用される。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が所定の使用回転数(Max回転数)で運転され、空調用利用側熱交換器28が蒸発器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が凝縮器として使用され、中間熱交換器23が凝縮器として使用される。この急冷却運転モードは、夏季において瞬時に室内を冷却したい場合に適した運転モードである。
「排熱風ゼロ運転モード」は、中間熱交換器23を介して空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒と給湯用冷媒回路6を流れる給湯用冷媒とで熱交換を行いながら、空調用冷媒回路5による冷房運転と、給湯用冷媒回路6による給湯運転とを行う運転モードである。この運転モードは、図3に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が不使用であり、中間熱交換器23が蒸発器として使用される。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転(後に停止)され、空調用利用側熱交換器28が蒸発器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が不使用であり、中間熱交換器23が凝縮器として使用される。この排熱風ゼロ運転モードは、空調用熱源側熱交換器24から熱風を出したくないような状況での運転に適した運転モードである。
「省エネ運転モード」は、中間熱交換器23を介して空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒と給湯用冷媒回路6を流れる給湯用冷媒とで熱交換を行いながら、空調用冷媒回路5による冷房運転と、給湯用冷媒回路6による給湯運転とを行う運転モードである。この運転モードは、図3に示すように、給湯サイクルにおいて、給湯用圧縮機41が運転され、給湯用利用側熱交換器42が凝縮器として使用され、給湯用熱源側熱交換器44が不使用であり、中間熱交換器23が蒸発器として使用される。一方、空調サイクルでは、空調用圧縮機21が運転(後に停止)され、空調用利用側熱交換器28が蒸発器として使用され、空調用熱源側熱交換器24が不使用であり、中間熱交換器23が凝縮器として使用される。この省エネ運転モードは、とにかく電気代を抑えて給湯・冷房運転を行いたい場合に適した運転モードである。
続いて、上記した各運転モードの詳細について、図4〜図19を参照しながら説明する。なお、図4、図5、図9〜図12において、熱交換器に付された白色の太矢印は熱の流れを示しており、各回路5、6、8、9に付された矢印は、冷媒または流体が各回路を流れる向きを示している。また、白色の二方弁は開状態であることを示し、黒色の二方弁は閉状態であることを示している。また、膨張弁35c、35d、49a、49cは、白色の場合は開状態であり、黒色の場合は閉状態であることを示している。また、四方弁22、53に描かれた円弧状の実線は、四方弁を流れる流体の流路を示している。また、空調用室外ファン25および給湯用室外ファン45は、白色の場合は運転中であることを示しており、黒色の場合は停止中であることを示している。また、点線で示されている熱交換器は、その運転モードにおいて使用されていない、即ち、冷媒が流れていないことを示している。
まず、「冷房・給湯単独運転モード」における冷媒と熱搬送媒体の流れについて、図4を参照しながら詳しく説明する。
空調用冷媒回路5では、空調用圧縮機21の吐出口21bより吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用熱源側熱交換器24に流入する。空調用熱源側熱交換器24内を流れる高温高圧のガス冷媒は、空調用室外ファン25から送られてくる大気へ放熱して凝縮し、液化する。この高圧の液冷媒は、空調用冷媒タンク26を流れた後に所定の開度に調節された空調用膨張弁27で減圧、膨張し、低温低圧の気液二相冷媒となり、空調用利用側熱交換器28に流入する。空調用利用側熱交換器28内を流れる気液二相冷媒は、空調用冷温水循環回路8内を流れる高温の冷水から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用圧縮機21の吸込口21aに流入し、空調用圧縮機21により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
空調用冷温水循環回路8では、空調用利用側熱交換器28を流れる空調用冷媒に放熱した冷水は、空調用冷温水循環ポンプ52を駆動することにより、空調用冷温水配管55aを通って、室内熱交換器61に流入する。室内熱交換器61では、空調用冷温水循環回路8内の冷水と、住宅60内の高温の空気とで熱交換が行われ、住宅60の空気が冷却される。つまり、住宅60の室内が冷房される。このとき、室内熱交換器61を流れる冷水は、住宅60内の空気から吸熱して昇温される。この昇温された冷水は、空調用冷温水循環ポンプ52により空調用冷温水配管55b、55cを流れていき、再び空調用利用側熱交換器28を流れる間に空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒と熱交換を行って、冷却される。
一方、給湯用冷媒回路6では、給湯用圧縮機41で圧縮され高温高圧となったガス冷媒は、給湯用利用側熱交換器42に流入する。給湯用利用側熱交換器42内を流れる高温高圧のガス冷媒は、給湯流路9内を流れる水へ放熱して凝縮し、液化する。そして、液化した高圧の冷媒は、給湯用冷媒タンク46を流れた後に所定の開度に調節された給湯用膨張弁43で減圧、膨張して、低温低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、給湯用熱源側熱交換器44を流れる間に、給湯用室外ファン45から送られてくる大気から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、給湯用圧縮機41の吸込口41aに流入し、給湯用圧縮機41により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
給湯流路9では、給水口78に流入した水は、給湯用配管72内を流れて給湯用利用側熱交換器42へと導かれる。給湯用利用側熱交換器42に流入した水は、給湯用利用側熱交換器42にて、給湯用冷媒回路6を流れる給湯用冷媒から吸熱して、高温の湯に変化する。この湯は、給湯用配管73内を流れて貯湯タンク70にて蓄えられ、利用者の要求により、給湯口79から給湯負荷側へと導かれていく。
この運転モードNo.1では、二方弁35a、35b、49b、49dにより、中間熱交換器23へ冷媒が流れる流路は閉鎖されており、空調用冷媒と給湯用冷媒との間での熱交換は行われない。
次に、「暖房・給湯単独運転モード」における冷媒と熱搬送媒体の流れについて、図5を参照しながら詳しく説明する。
空調用冷媒回路5では、空調用圧縮機21の吐出口21bより吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用利用側熱交換器28に流入する。空調用利用側熱交換器28内を流れる高温高圧のガス冷媒は、空調用冷温水回路8内を流れる温水へ放熱して凝縮し、液化する。この高圧の液冷媒は、所定の開度に調節された空調用膨張弁27で減圧、膨張し、低温低圧の気液二相冷媒となり、空調用冷媒タンク26を通って空調用熱源側熱交換器24に流入する。空調用熱源側熱交換器24内を流れる気液二相冷媒は、空調用室外ファン25から送られてくる大気から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用圧縮機21の吸込口21aに流入し、空調用圧縮機21により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
空調用冷温水循環回路8では、空調用利用側熱交換器28を流れる空調用冷媒から吸熱して昇温された温水は、空調用冷温水循環ポンプ52を駆動することにより、空調用冷温水配管55aを通って、室内熱交換器61に流入する。室内熱交換器61では、空調用冷温水循環回路8内の温水と、住宅60内の低温の空気とで熱交換が行われ、住宅60の空気が加熱される。つまり、住宅60の室内が暖房される。このとき、室内熱交換器61を流れる温水は、住宅60内の空気へ放熱して冷却される。この冷却された温水は、空調用冷温水循環ポンプ52により空調用冷温水配管55b、55cを流れていき、再び空調用利用側熱交換器28を流れる間に空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒と熱交換を行って、昇温される。
なお、給湯用冷媒回路6における給湯用冷媒の流れ、給湯流路9における水の流れは、「冷房・給湯単独運転モード」と同じであるため、ここでの説明は省略する。また、この「暖房・給湯単独運転モード」では、二方弁35a、35b、49b、49dにより、中間熱交換器23へ冷媒が流れる流路は閉鎖されており、空調用冷媒と給湯用冷媒との間での熱交換は行われない。
次に、「スケジュール運転モード」における冷媒および熱搬送媒体の流れと、この運転モードにおける制御について、図6〜図11を参照しながら説明する。スケジュール運転モードでは、制御装置1aが、空調用冷媒回路5が必要とする放熱量および給湯用冷媒回路6が必要とする吸熱量を演算して比較し、その比較結果に基づいて「制御1モード」、「制御2モード」、「制御3モード」の何れかのモードを決定し、その決定に従って空調給湯システムの運転を制御している。そこで、まず、制御装置1aが行う制御処理の手順について、図6〜図8を参照しながら説明する。
スケジュール運転が開始されると、まず、ステップS1で制御装置1aは、各種データの受信処理を行う。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標湯温(沸き上げ温度)、目標湯量(流量)、および水道水温度のデータを受信すると共に、空調サイクルにおける目標温度(設定温度)、目標風量、および室内温度のデータを受信する。なお、給湯サイクルの目標湯温および目標湯量は、リモコンの設定により制御装置1aに入力されるデータであり、水道水温度は温度センサTH1から入力されるデータである。また、空調サイクルの目標温度および目標風量は、リモコンの設定より制御装置1aに入力されるデータであり、室内温度は温度センサTH20から入力されるデータである。
次いで、ステップS2に進み、制御装置1aは、ステップS1で受信した各種データに基づいて演算処理を行う。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標能力(Qh)、給湯用圧縮機41の目標回転数、給湯用圧縮機41の目標吐出温度(Td)、および給湯用圧縮機41の入力(Whcomp)を演算すると共に、空調サイクルにおける目標能力(Qc)、空調用圧縮機21の目標回転数、空調用冷媒の目標蒸発温度(Te)、および空調用圧縮機21の入力(Wccomp)を演算する。次いで、ステップS3に進み、制御装置1aは、給湯サイクルの目標能力(Qh)と圧縮機入力(Whcomp)との差から給湯吸熱量を演算すると共に、空調サイクルの目標能力(Qc)と圧縮機入力(Wccomp)との和から空調放熱量を演算する。
次いで、ステップS4に進んで、制御装置1aは、ステップS3で演算した給湯吸熱量と空調放熱量とが等しいか否か、即ち、現在の状態が第3負荷状態であるかを判定する。なお、このステップS4では、給湯吸熱量と空調放熱量との差が予め定めた数値範囲にある場合に、両者は等しいと判定される。ステップS4でYesと判定された場合には、ステップS5に進み、制御装置1aは、「制御1モード」の処理を行う。具体的には、制御装置1aは、中間熱交換器23の出入口の二方弁35a、35b、49b、49dを開け、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを閉め、空調用熱源側熱交換器24の出入口にある第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dを閉める。つまり、制御装置1aは、給湯吸熱量と空調放熱量とが等しいため、中間熱交換器23のみを用いて冷房運転と給湯運転を行うことができる状態にする。
次いで、ステップS6に進み、制御装置1aは、ステップS2での演算結果に従って給湯サイクルおよび空調サイクルの運転を制御する。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、給湯用室外ファン45を停止すると共に、目標吐出温度(Td)となるように給湯用膨張弁43の弁開度を制御する。また、制御装置1aは、空調サイクルにおいて、目標回転数となるように空調用圧縮機21を制御し、空調用室外ファン25を停止すると共に、目標蒸発温度(Te)となるように空調用膨張弁27の弁開度を制御する。そして、次のステップでリターンとなって、スケジュール運転の処理を抜ける。
一方、ステップS4でNoと判定された場合には、ステップS7に進み、制御装置1aは、給湯吸熱量が空調放熱量未満かを判定する。給湯吸熱量が空調放熱量未満であると判定された場合、即ち、現在の状態が第1負荷状態の場合には、制御装置1aは、「制御2モード」の処理を行い、給湯吸熱量が空調放熱量を超えていると判定された場合、即ち、現在の状態が第2負荷状態の場合には、制御装置1aは、「制御3モード」の処理を行う。
次に、制御2モードの処理について説明する。この制御2の処理では、図6に示すように、まず、ステップS8において、制御装置1aが、中間熱交換器23の出入口の二方弁35a、35b、49b、49dを開け、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを閉め、空調用熱源側熱交換器24の出入口にある第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dを開ける。つまり、制御装置1aは、給湯吸熱量より空調放熱量の方が大きいため、空調放熱量と給湯吸熱量との差に相当する差分熱量を空調用熱源側熱交換器24から大気に放熱しながら冷房運転と給湯運転を行うことができる状態にする。
次いで、ステップS9に進み、制御装置1aは、各種データの受信処理を行う。具体的には、制御装置1aは、ステップS3で演算した給湯吸熱量および空調放熱量のデータと、温度センサTH19から入力された外気温度のデータを受信する。そして、ステップS10に進み、制御装置1aは、ステップS9で受信した各種データに基づいて、給湯サイクルにおける給湯用冷媒の目標蒸発温度(Te)と、空調サイクルにおける空調用冷媒の目標凝縮温度(Tc)を演算する。
次いで、ステップS11に進み、制御装置1aは、ステップS9での演算結果に従って給湯サイクルおよび空調サイクルの運転を制御する。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、給湯用室外ファン45を停止すると共に、目標蒸発温度(Te)となるように給湯用膨張弁43の弁開度を制御する。また、制御装置1aは、空調サイクルにおいて、目標回転数となるように空調用圧縮機21を制御し、目標凝縮温度(Tc)となるように空調用室外ファン25の回転数を制御すると共に、目標凝縮温度(Tc)となるように空調用膨張弁27の弁開度を制御する。
次いで、ステップS12に進み、制御装置1aは、給湯サイクルの目標蒸発温度(Te)になっているか否かを判定する。ステップS12でYesと判定された場合は、ステップS13に進んで、制御装置1aは、空調サイクルの目標凝縮温度(Tc)になっているか否かを判定する。ステップS13でYesと判定された場合には、ステップS15に進み、制御装置1aは、給湯サイクルの運転が目標給湯能力(Qh)となっているかを確認すると共に、空調サイクルの運転が目標空調能力(Qc)となっているかを確認する。そして、ステップS15でYesと判定された場合には、次のステップでリターンとなって、スケジュール運転の処理を抜ける。なお、ステップS15でNoと判定された場合には、ステップS11に戻る。
一方、ステップS12でNoと判定された場合には、ステップS11に戻り、制御装置1aは、給湯サイクルの目標蒸発温度(Te)となるまで、給湯用膨張弁43の弁開度を調整する。このように、制御2モードの処理では、給湯吸熱量が空調放熱量より小さいため、まず、熱量の小さい給湯サイクルが目標蒸発温度(Te)になるように制御している。そして、ステップS13でNoと判定された場合には、ステップS14にて第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dの開度を調整する(少し閉める)。そして、ステップS11に戻り、制御装置1aは、空調サイクルの目標凝縮温度(Tc)となるまで、第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dの開度を調整する。このように、制御2モードの処理では、制御装置1aは、給湯サイクルが目標蒸発温度(Te)になった後に、空調サイクルの運転を制御しているのである。
ここで、空調サイクルを目標凝縮温度(Tc)にするための制御の順番は、空調用室外ファン25の回転数の調整(ステップS11)を行うのが先であり、それでも空調サイクルが目標凝縮温度(Tc)にならない場合(ステップS14でNoの場合)に、空調用熱源側熱交換器24の出入口にある第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dの開度を補助的に調整するようにしている。つまり、制御装置1aは、空調用室外ファン25の回転数を制御しても、空調用熱源側熱交換器24の熱交換量と、ステップS3で求めた給湯吸熱量と空調放熱量との差に相当する差分熱量との間の差が予め定めた範囲外にある場合に、その差を補うように第1膨張弁35cと第2膨張弁35dの開度を調整して、交換する熱量のバランスを保つように制御しているのである。
制御3モードの処理では、図7に示すように、まず、ステップS16において、制御装置1aが、中間熱交換器23の出入口の二方弁35a、35b、49b、49dを開け、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを開け、空調用熱源側熱交換器24の出入口にある第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dを閉める。つまり、制御装置1aは、空調放熱量より給湯吸熱量の方が大きいため、給湯吸熱量と空調放熱量との差に相当する差分熱量を給湯用熱源側熱交換器44にて大気から吸熱しながら冷房運転と給湯運転を行うことができる状態にする。
次いで、ステップS17に進み、制御装置1aは、各種データの受信処理を行う。具体的には、制御装置1aは、ステップS3で演算した給湯吸熱量および空調放熱量のデータと、温度センサTH19から入力された外気温度のデータを受信する。そして、ステップS18に進み、制御装置1aは、ステップS17で受信した各種データに基づいて、給湯サイクルにおける給湯用冷媒の目標蒸発温度(Te)と、空調サイクルにおける空調用冷媒の目標凝縮温度(Tc)を演算する。
次いで、ステップS19に進み、制御装置1aは、ステップS18での演算結果に従って給湯サイクルおよび空調サイクルの運転を制御する。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、目標蒸発温度(Te)となるように給湯用室外ファン45の回転数を制御すると共に、目標蒸発温度(Te)となるように給湯用膨張弁43の弁開度を制御する。また、制御装置1aは、空調サイクルにおいて、目標回転数となるように空調用圧縮機21を制御し、空調用室外ファン25を停止すると共に、目標凝縮温度(Tc)となるように空調用膨張弁27の弁開度を制御する。
次いで、ステップS20に進み、制御装置1aは、空調サイクルの目標凝縮温度(Tc)になっているか否かを判定する。ステップS20でYesと判定された場合は、ステップS21に進んで、制御装置1aは、給湯サイクルの目標蒸発温度(Te)になっているか否かを判定する。ステップS21でYesと判定された場合には、ステップS23に進み、制御装置1aは、給湯サイクルの運転が目標給湯能力(Qh)となっているかを確認すると共に、空調サイクルの運転が目標空調能力(Qc)となっているかを確認する。そして、ステップS23でYesと判定された場合には、次のステップでリターンとなって、スケジュール運転の処理を抜ける。なお、ステップS23でNoと判定された場合には、ステップS19に戻る。
一方、ステップS20でNoと判定された場合には、ステップS19に戻り、制御装置1aは、空調サイクルの目標凝縮温度(Tc)となるまで、空調用膨張弁27の弁開度を調整する。このように、制御3モードの処理では、空調放熱量が給湯吸熱量より小さいため、まず、熱量の小さい空調サイクルが目標凝縮温度(Tc)になるようするように制御している。そして、ステップS21でNoと判定された場合には、ステップS22にて第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cの開度を調整する(少し閉める)。そして、ステップS19に戻り、制御装置1aは、給湯サイクルの目標蒸発温度(Te)となるまで、第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cの開度を調整する。このように、制御3モードの処理では、制御装置1aは、空調サイクルが目標凝縮温度(Tc)になった後に、給湯サイクルの運転を制御しているのである。
ここで、給湯サイクルを目標蒸発温度(Te)にするための制御の順番は、給湯用室外ファン45の回転数の調整(ステップS19)を行うのが先であり、それでも給湯サイクルが目標蒸発温度(Te)にならない場合(ステップS21でNoの場合)に、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cの開度を補助的に調整するようにしている。つまり、制御装置1aは、給湯用室外ファン45の回転数を制御しても、給湯用熱源側熱交換器44の熱交換量と、ステップS3で求めた給湯吸熱量と空調放熱量との差に相当する差分熱量との間の差が予め定めた範囲外にある場合に、その差を補うように第3膨張弁49aと第4膨張弁49dの開度を調整して、交換する熱量のバランスを保つように制御しているのである。
次に、スケジュール運転モードでの冷媒および熱搬送媒体の流れについて、図9〜図11を参照しながら説明する。最初に、「制御1モード」について図9を用いて説明する。制御1モードでは、第1膨張弁35c、第2膨張弁35d、第3膨張弁49a、および第4膨張弁49cは閉じており、空調用室外ファン25および給湯用室外ファン45は停止している。
空調用冷媒回路5では、空調用圧縮機21の吐出口21bより吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、中間熱交換器23に流入する。中間熱交換器23内を流れる高温高圧のガス冷媒は、中間熱交換器23を流れる低温の給湯用冷媒へ放熱して凝縮し、液化する。この高圧の液冷媒は、空調用冷媒タンク26を流れた後に所定の開度に調節された空調用膨張弁27で減圧、膨張し、低温低圧の気液二相冷媒となり、空調用利用側熱交換器28に流入する。空調用利用側熱交換器28内を流れる気液二相冷媒は、空調用冷温水循環回路8内を流れる高温の冷水から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用圧縮機21の吸込口21aに流入し、空調用圧縮機21により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
空調用冷温水循環回路8では、空調用利用側熱交換器28を流れる空調用冷媒に放熱した冷水は、空調用冷温水循環ポンプ52を駆動することにより、空調用冷温水配管55aを通って、室内熱交換器61に流入する。室内熱交換器61では、空調用冷温水循環回路8内の冷水と、住宅60内の高温の空気とで熱交換が行われ、住宅60の空気が冷却される。つまり、住宅60の室内が冷房される。このとき、室内熱交換器61を流れる冷水は、住宅60内の空気から吸熱して昇温される。この昇温された冷水は、空調用冷温水循環ポンプ52により空調用冷温水配管55b、55cを流れていき、再び空調用利用側熱交換器28を流れる間に空調用冷媒回路5を流れる空調用冷媒と熱交換を行って、冷却される。
一方、給湯用冷媒回路6では、給湯用圧縮機41で圧縮され高温高圧となったガス冷媒は、給湯用利用側熱交換器42に流入する。給湯用利用側熱交換器42内を流れる高温高圧のガス冷媒は、給湯流路9内を流れる水へ放熱して凝縮し、液化する。そして、液化した高圧の冷媒は、給湯用冷媒タンク46を流れた後に所定の開度に調節された給湯用膨張弁43で減圧、膨張して、低温低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、中間熱交換器23を流れる間に、中間熱交換器23を流れる高温の空調用冷媒から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、給湯用圧縮機41の吸込口41aに流入し、給湯用圧縮機41により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
給湯流路9では、給水口78に流入した水は、給湯用配管72内を流れて給湯用利用側熱交換器42へと導かれる。給湯用利用側熱交換器42に流入した水は、給湯用利用側熱交換器42にて、給湯用冷媒回路6を流れる給湯用冷媒から吸熱して、高温の湯に変化する。この湯は、給湯用配管73内を流れて貯湯タンク70にて蓄えられ、利用者の要求により、給湯口79から給湯負荷側へと導かれていく。
このように、制御1モードでは、給湯吸熱量と空調放熱量が等しいため、空調用熱源側熱交換器24および給湯用熱源側熱交換器44を使用せず、中間熱交換器23のみを使用して、空調サイクルの排熱を給湯サイクルに利用した空調給湯システムの運転が可能である。よって、この制御1モードによれば、空調サイクルの排熱を無駄にすることなく、システム全体の効率化を図ることができる。
次に、「制御2モード」について図10を用いて説明する。制御2モードでは、第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dは開いているが、第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cは閉じている。また、空調用室外ファン25は回転しているが、給湯用室外ファン45は停止している。
空調用冷媒回路5では、空調用圧縮機21の吐出口21bより吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、中間熱交換器23および空調用熱源側熱交換器24に流入する。中間熱交換器23内を流れる高温高圧のガス冷媒は、中間熱交換器23を流れる低温の給湯用冷媒へ放熱して凝縮し、液化すると同時に、空調用熱源側熱交換器24内を流れる高温高圧のガス冷媒は、空調用室外ファン25から送られてくる大気へ放熱して凝縮し、液化する。この高圧の液冷媒は、空調用冷媒タンク26を流れた後に所定の開度に調節された空調用膨張弁27で減圧、膨張し、低温低圧の気液二相冷媒となり、空調用利用側熱交換器28に流入する。空調用利用側熱交換器28内を流れる気液二相冷媒は、空調用冷温水循環回路8内を流れる高温の冷水から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用圧縮機21の吸込口21aに流入し、空調用圧縮機21により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
一方、給湯用冷媒回路6では、給湯用圧縮機41で圧縮され高温高圧となったガス冷媒は、給湯用利用側熱交換器42に流入する。給湯用利用側熱交換器42内を流れる高温高圧のガス冷媒は、給湯流路9内を流れる水へ放熱して凝縮し、液化する。そして、液化した高圧の冷媒は、給湯用冷媒タンク46を流れた後に所定の開度に調節された給湯用膨張弁43で減圧、膨張して、低温低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、中間熱交換器23を流れる間に、中間熱交換器23を流れる高温の空調用冷媒から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、給湯用圧縮機41の吸込口41aに流入し、給湯用圧縮機41により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
なお、制御2モードにおける空調用冷温水循環回路8の冷水の流れ、および給湯流路9における水の流れは、制御1モードと同じであるため、ここでの説明は省略する。
このように、制御2モードでは、給湯吸熱量より空調放熱量の方が大きいため、空調放熱量と給湯吸熱量との差に相当する差分熱量は、空調用熱源側熱交換器24から大気に放熱される。このとき、給湯サイクルでは、給湯用熱源側熱交換器44は使用されていない。つまり、給湯サイクルでは、中間熱交換器23のみを使用して、空調サイクルの排熱を給湯サイクルに利用した空調給湯システムの運転が可能である。よって、この制御2モードによれば、空調サイクルの排熱を無駄にすることなく、システム全体の効率化を図ることができる。
次に、「制御3モード」について図11を用いて説明する。制御3モードでは、第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dは閉じているが、第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cは開いている。また、空調用室外ファン25は停止しているが、給湯用室外ファン45は回転している。
空調用冷媒回路5では、空調用圧縮機21の吐出口21bより吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、中間熱交換器23に流入する。中間熱交換器23内を流れる高温高圧のガス冷媒は、中間熱交換器23を流れる低温の給湯用冷媒へ放熱して凝縮し、液化する。この高圧の液冷媒は、空調用冷媒タンク26を流れた後に所定の開度に調節された空調用膨張弁27で減圧、膨張し、低温低圧の気液二相冷媒となり、空調用利用側熱交換器28に流入する。空調用利用側熱交換器28内を流れる気液二相冷媒は、空調用冷温水循環回路8内を流れる高温の冷水から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用圧縮機21の吸込口21aに流入し、空調用圧縮機21により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
一方、給湯用冷媒回路6では、給湯用圧縮機41で圧縮され高温高圧となったガス冷媒は、給湯用利用側熱交換器42に流入する。給湯用利用側熱交換器42内を流れる高温高圧のガス冷媒は、給湯流路9内を流れる水へ放熱して凝縮し、液化する。そして、液化した高圧の冷媒は、給湯用冷媒タンク46を流れた後に所定の開度に調節された給湯用膨張弁43で減圧、膨張して、低温低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、中間熱交換器23および給湯用熱源側熱交換器44を流れる間に、中間熱交換器23を流れる高温の空調用冷媒および給湯用室外ファン45から送られてくる大気からそれぞれ吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、給湯用圧縮機41の吸込口41aに流入し、給湯用圧縮機41により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
なお、制御3モードにおける空調用冷温水循環回路8の冷水の流れ、および給湯流路9における水の流れは、制御1モードと同じであるため、ここでの説明は省略する。
このように、制御3モードでは、空調放熱量より給湯吸熱量の方が大きいため、給湯吸熱量と空調放熱量との差に相当する差分熱量は、給湯用熱源側熱交換器44にて大気から吸熱される。このとき、空調サイクルでは、空調用熱源側熱交換器24は使用されていない。つまり、空調サイクルの排熱は、中間熱交換器23のみを介して給湯サイクルに放熱している。別言すれば、空調サイクルの排熱は、全て給湯サイクルに利用されている。よって、この制御3モードによれば、空調サイクルの排熱を無駄にすることなく、システム全体の効率化を図ることができる。
次に、「強暖房運転モード」における冷媒と熱搬送媒体の流れについて、図12を参照しながら詳しく説明する。強暖房運転モードでは、二方弁35a、35bが開いており、二方弁49b、49dが閉じており、膨張弁35c、35d、49a、49cは開いている。よって、給湯用冷媒は、中間熱交換器23には流れずに、給湯用熱源側熱交換器44のみに流れ、空調用冷媒は中間熱交換器23と空調用熱源側熱交換器24の両方に流れるようになっている。
空調用冷媒回路5では、空調用圧縮機21の吐出口21bより吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用利用側熱交換器28に流入する。空調用利用側熱交換器28内を流れる高温高圧のガス冷媒は、空調用冷温水回路8内を流れる温水へ放熱して凝縮し、液化する。この高圧の液冷媒は、所定の開度に調節された空調用膨張弁27で減圧、膨張し、低温低圧の気液二相冷媒となり、空調用冷媒タンク26を通って空調用熱源側熱交換器24および中間熱交換器23に流入する。空調用熱源側熱交換器24内を流れる気液二相冷媒は、空調用室外ファン25から送られてくる大気から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。一方、中間熱交換器23内を流れる気液二相冷媒は、給湯用冷媒の流れていないプレートから多少は吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、四方弁22を通って、空調用圧縮機21の吸込口21aに流入し、空調用圧縮機21により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
一方、給湯用冷媒回路6では、給湯用圧縮機41で圧縮され高温高圧となったガス冷媒は、給湯用利用側熱交換器42に流入する。給湯用利用側熱交換器42内を流れる高温高圧のガス冷媒は、給湯流路9内を流れる水へ放熱して凝縮し、液化する。そして、液化した高圧の冷媒は、給湯用冷媒タンク46を流れた後に所定の開度に調節された給湯用膨張弁43で減圧、膨張して、低温低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、給湯用熱源側熱交換器44を流れる間に、給湯用室外ファン45から送られてくる大気から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。そして、給湯用熱源側熱交換器44を出た低圧のガス冷媒は給湯用圧縮機41の吸込口41aに流入し、給湯用圧縮機41により再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。
なお、空調用冷温水循環回路8における温水の流れは、「暖房・給湯単独運転モード」と同じであるため、ここでの説明は省略する。また、給湯流路9における水の流れは、「冷房・給湯単独運転モード」と同じであるため、同様に、ここでの説明は省略する。
ここで、強暖房運転モードの大きな特徴は、給湯用冷媒の流れていない中間熱交換器23を空調サイクルにおいて蒸発器として用いている点にある。つまり、中身が空のプレートの伝熱面からも吸熱して少しでも空調用冷媒回路5による暖房運転の能力を高めている点がこのモードの特徴である。よって、冬季で住宅60の室内が十分に暖まり難いような場合に、この強暖房運転モードによる運転を行うのが効果的である。
次に、「瞬間沸き上げ運転モード」における冷媒および熱搬送媒体の流れと、この運転モードにおける制御について説明するが、冷媒および熱搬送媒体の流れについては、スケジュール運転モードの「制御3モード」(図11参照)と同じであるため、ここでの説明は省略し、瞬間沸き上げ運転モードの制御についてのみ図13および図14を用いて説明することにする。
瞬間沸き上げ運転モードが開始されると、まず、ステップS101で制御装置1aは、温度センサTH21から入力されるタンク温度が給湯可能な温度以下であるか否かを判定する。ステップS101でYesの場合には、制御装置1aは、給湯吸熱量が空調放熱量よりも大であるか否かをステップS102で判定する。給湯吸熱量の方が空調放熱量より大きい場合には、ステップS103に進み、制御装置1aは、中間熱交換器23の出入口の二方弁35a、35b、49b、49dを開け、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを開け、空調用熱源側熱交換器24の出入口にある第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dを閉める。つまり、制御装置1aは、空調放熱量より給湯吸熱量の方が大きいため、給湯吸熱量と空調放熱量との差に相当する差分熱量を給湯用熱源側熱交換器44にて大気から吸熱しながら冷房運転と給湯運転を行うことができる状態にする。
次いで、ステップS104に進み、制御装置1aは、各種データの受信処理を行う。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標湯量、目標湯温、水道水温度(温度センサTH1からの入力)、室外温度(温度センサTH19からの入力)を受信する。さらに、制御装置1aは、空調サイクルにおける目標温度、目標風量、室内温度(温度センサTH20からの入力)、室外温度(温度センサTH19からの入力)を受信する。そして、ステップS105に進み、制御装置1aは、ステップS104で受信した各種データに基づいて、空調サイクルにおける目標能力、空調用圧縮機21の回転数、空調用室外ファン25の回転数、空調用圧縮機21の吐出温度、空調用圧縮機21の消費電力、および放熱量を演算する。
次いで、ステップS106に進み、制御装置1aは、ステップS105で演算した空調サイクルの放熱量のデータを受信すると共に、給湯サイクルにおける目標湯量、目標湯温、水道水温度、室外温度のデータを受信する。そして、次のステップS107に進み、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標能力、給湯用圧縮機41の回転数、給湯用室外ファン45の回転数、給湯用圧縮機41の吐出温度、および給湯用圧縮機21の消費電力を演算する。そして、ステップS108に進み、制御装置1aは、先ほど行った演算結果に従って給湯サイクルおよび空調サイクルの運転を制御する。
具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、目標回転数となるように給湯用室外ファン45の回転数を制御すると共に、目標能力となるように給湯用膨張弁43の弁開度を制御する。また、制御装置1aは、空調サイクルにおいて、目標回転数となるように空調用圧縮機21を制御し、空調用室外ファン25を停止すると共に、目標能力となるように空調用膨張弁27の弁開度を制御する。
次いで、ステップS109に進み、制御装置1aは、給湯サイクルおよび空調サイクルはそれぞれ目標能力になっているか否かを判定する。ステップS109でYesと判定された場合は、ステップS110に進んで、制御装置1aは、給湯加水の必要があるか否かを判定する。加水の必要がある場合には、ステップS111に進んで、制御装置1aは、タンク戻り弁(図示せず)を閉じ、水回路弁(図示せず)を開けて加水する。一方、ステップS110でNoの場合には、ステップS112に進んで、制御装置1aは、タンク戻り弁(図示せず)を閉じ、水回路弁(図示せず)を閉じる。つまり、加水を行わない。そして、ステップS113にて、給湯口79を経由して給湯負荷側(図示せず)の蛇口からお湯が供給される。そして、次のステップでリターンとなって、瞬間沸き上げ運転モードの処理を抜ける。なお、ステップS109でNoの場合には、ステップS108に戻り、ステップS101でNoと判定された場合、およびステップS102でNoと判定された場合には、リターンとなって瞬間沸き上げ運転モードの処理を抜ける。
このように、瞬間沸き上げ運転モードは、給湯サイクルにおいて、中間熱交換器23と給湯用熱源側熱交換器44の両方を蒸発器として用いて運転することにより、たくさんのお湯が必要な場合など高い給湯要求にも対応できる運転モードであると言える。
次に、「急冷却運転モード」における冷媒および熱搬送媒体の流れと、この運転モードにおける制御について説明するが、冷媒および熱搬送媒体の流れについては、スケジュール運転モードの「制御2モード」(図10参照)と同じであるため、ここでの説明は省略し、急冷却運転モードの制御についてのみ図15を用いて説明することにする。
急冷却運転モードが開始されると、まず、ステップS201で制御装置1aは、冷房要求は冷房単独運転の最大能力以上であるか否かを判定する。ステップS201でYesの場合には、制御装置1aは、空調放熱量が給湯吸熱量よりも大であるか否かをステップS202で判定する。空調放熱量の方が給湯吸熱量より大きい場合には、ステップS203に進み、制御装置1aは、中間熱交換器23の出入口の二方弁35a、35b、49b、49dを開け、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを閉め、空調用熱源側熱交換器24の出入口にある第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dを開ける。つまり、制御装置1aは、給湯吸熱量より空調放熱量の方が大きいため、給湯吸熱量と空調放熱量との差に相当する差分熱量を空調用熱源側熱交換器24から大気に放熱しながら冷房運転と給湯運転を行うことができる状態にする。
次いで、ステップS204に進み、制御装置1aは、各種データの受信処理を行う。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標湯量、目標湯温、水道水温度(温度センサTH1からの入力)、室外温度(温度センサTH19からの入力)を受信する。さらに、制御装置1aは、空調サイクルにおける目標温度、目標風量、室内温度(温度センサTH20からの入力)、室外温度(温度センサTH19からの入力)データを受信する。そして、ステップS205に進み、制御装置1aは、ステップS204で受信した各種データに基づいて、空調サイクルにおける目標能力、空調用圧縮機21の吐出温度、空調用圧縮機21の消費電力、および放熱量を演算する。
次いで、ステップS206に進み、制御装置1aは、ステップS205で演算した空調サイクルの放熱量のデータを受信すると共に、給湯サイクルにおける目標湯量、目標湯温、水道水温度、室外温度のデータを受信する。そして、次のステップS207に進み、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標能力、給湯用圧縮機41の回転数、給湯用室外ファン45の回転数、給湯用圧縮機41の吐出温度、および給湯用圧縮機21の消費電力を演算する。そして、ステップS208に進み、制御装置1aは、先ほど行った演算結果に従って給湯サイクルおよび空調サイクルの運転を制御する。
具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、給湯用室外ファン45を停止するよう制御すると共に、目標能力となるように給湯用膨張弁43の弁開度を制御する。また、制御装置1aは、空調サイクルにおいて、所定の回転数となるように空調用圧縮機21を制御し、所定の回転数となるように空調用室外ファン25の回転を制御すると共に、目標能力となるように空調用膨張弁27の弁開度を制御する。ここでは、空調用圧縮機21の所定の回転数は最大使用回転数に設定しているが、最大回転数に限るものではない。また、空調用室外ファン25の所定の回転数も最大使用回転数に設定しているが、最大回転数に限るものではない。
次いで、ステップS209に進み、制御装置1aは、給湯サイクルおよび空調サイクルはそれぞれ目標能力になっているか否かを判定する。ステップS209でYesと判定された場合は、次のステップでリターンとなって、急冷却運転モードの処理を抜ける。なお、ステップS209でNoの場合には、ステップS208に戻り、ステップS201でNoと判定された場合、およびステップS202でNoと判定された場合には、リターンとなって急冷却運転モードの処理を抜ける。
このように、急冷却運転モードは、空調サイクルにおいて、中間熱交換器23と空調用熱源側熱交換器24の両方を凝縮器として用いて運転することにより、住宅60の室内を急冷却したいなどの冷房単独運転の最大能力を超える冷房要求にも対応することができる。
次に、「排熱風ゼロ運転モード」における冷媒および熱搬送媒体の流れと、この運転モードにおける制御について説明するが、冷媒および熱搬送媒体の流れについては、スケジュール運転モードの「制御1モード」(図9参照)と同じであるため、ここでの説明は省略し、排熱風ゼロ運転モードの制御についてのみ図16および図17を用いて説明することにする。この排熱風ゼロ運転モードでは、空調放熱量が給湯吸熱量より大きい場合であっても、空調放熱量に合うように給湯運転の能力(負荷)を高めるようにして、冷房排熱が出ないように制御している点に大きな特徴がある。即ち、排熱風ゼロ運転モードでは、空調放熱量と給湯吸熱量との差に相当する差分熱量を、空調用熱源側熱交換器24を介して大気に放熱するのではなく、給湯運転の負荷を高めるようにして空調放熱量と給湯吸熱量との熱量のバランスを図ることにより、空調用熱源側熱交換器24を用いることなく中間熱交換器23のみによる熱交換で冷房運転と給湯運転を行うことを可能にしているのである。以下、その制御について説明する。
排熱風ゼロ運転モードが開始されると、まず、ステップS301で制御装置1aは、空調放熱量が給湯吸熱量よりも大であるか否かを判定する。空調放熱量の方が給湯吸熱量より大きい場合には、ステップS302に進み、制御装置1aは、中間熱交換器23の出入口の二方弁35a、35b、49b、49dを開け、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを閉め、空調用熱源側熱交換器24の出入口にある第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dを閉める。
次いで、ステップS303に進み、制御装置1aは、各種データの受信処理を行う。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標湯量、目標湯温、水道水温度(温度センサTH1からの入力)、室外温度(温度センサTH19からの入力)を受信する。さらに、制御装置1aは、空調サイクルにおける目標温度、目標風量、室内温度(温度センサTH20からの入力)、および室外温度(温度センサTH19からの入力)のデータを受信する。そして、ステップS304に進み、制御装置1aは、ステップS303で受信した各種データに基づいて、空調サイクルにおける目標能力、空調用圧縮機21の回転数、空調用室外ファン25の回転数、空調用圧縮機21の吐出温度、空調用圧縮機21の消費電力、および放熱量を演算する。
次いで、ステップS305に進み、制御装置1aは、ステップS304で演算した空調サイクルの放熱量のデータを受信すると共に、給湯サイクルにおける目標湯量、目標湯温、水道水温度、室外温度のデータを受信する。そして、次のステップS306に進み、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標能力、給湯用圧縮機41の回転数、給湯用室外ファン45の回転数、および給湯用圧縮機41の吐出温度を演算する。そして、ステップS307に進み、制御装置1aは、先ほど行った演算結果に従って給湯サイクルおよび空調サイクルの運転を制御する。
具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、給湯用室外ファン45を停止するよう制御すると共に、目標能力となるように給湯用膨張弁43の弁開度を制御する。また、制御装置1aは、空調サイクルにおいて、目標回転数となるように空調用圧縮機21を制御し、目標回転数となるように空調用室外ファン25の回転を制御すると共に、目標能力となるように空調用膨張弁27の弁開度を制御する。
次いで、ステップS308に進み、制御装置1aは、給湯サイクルおよび空調サイクルはそれぞれ目標能力になっているか否かを判定する。ステップS308でYesと判定された場合には、ステップS309に進んで、制御装置1aは、貯湯タンク70に蓄えられた湯が、貯湯量(貯湯タンク70に蓄えることができる量)を満たしているかを判定する。貯湯量が満たされていない場合(ステップS309でNoの場合)は、そのまま運転が続行され(ステップS310)、ステップS309に戻る。
一方、ステップS309でYesの場合には、次のステップS311に進み、制御装置1aは、ドレン弁71bを開放して、貯湯タンク70内のお湯をドレン配管71aから外部に排出する。次いで、制御装置1aは、ステップS312に進んで、空調サイクルの運転を停止する。つまり、制御装置1aは、空調用圧縮機21および空調用室外ファン25の運転を停止する。そして、ステップS313に進んで、制御装置1aは、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを開け、中間熱交換器23の出入口の二方弁49b、49dを閉める。
次いで、制御装置1aは、ステップS314に進んで、各種データを受信する。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおける現在時刻、沸き上げ完了目標時間、貯湯タンク内温度(温度センサTH21からの入力)、水道水温度(温度センサTH1からの入力)、室外温度(温度センサTH19からの入力)を受信する。そして、ステップS315に進み、制御装置1aは、ステップS314で受信した各種データに基づいて、給湯サイクルにおける目標能力、給湯用圧縮機41の回転数、給湯用室外ファン45の回転数、給湯用圧縮機21の吐出温度、給湯用圧縮機21の消費電力、および給湯用膨張弁43の弁開度を演算する。次いで、ステップS316に進み、制御装置1aは、先ほど行った演算結果に従って給湯サイクルの運転を制御する。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、目標回転数となるよう給湯用室外ファン45の回転を制御する。そして、次のステップでリターンとなって、排熱風ゼロ運転モードの処理を抜ける。なお、ステップS308でNoの場合には、ステップS307に戻り、ステップS301でNoと判定された場合には、リターンとなって排熱風ゼロ運転モードの処理を抜ける。
このように、排熱風ゼロ運転モードは、給湯サイクルにおいて中間熱交換器23を蒸発器として用い、空調放熱量が給湯吸熱量より大きい場合であっても、空調放熱量に合うように給湯運転の能力(負荷)を高めるようにして空調排熱を給湯サイクルに放熱して給湯運転を行うようにしている。そして、排熱風ゼロ運転モードでは、貯湯タンク70内のお湯が一杯になったら、お湯をドレン配管71aから外部に排出するようにしている。つまり、空調排熱を一旦お湯を沸かすために利用し、その後、不要となったお湯を外部に排出することで、空調排熱を外気に放出することができる。よって、例えば、近所の住宅の窓が開いているために、空調用室外ファン25を回すと熱風がその窓から入り込む可能性があるので、空調用室外ファン25をなるべく回さずに運転したいといった要求に、この排熱風ゼロ運転モードは答えることができる。
次に、「省エネ運転モード」における冷媒および熱搬送媒体の流れと、この運転モードにおける制御について説明するが、冷媒および熱搬送媒体の流れについては、スケジュール運転モードの「制御1モード」(図9参照)と同じであるため、ここでの説明は省略し、省エネ運転モードの制御についてのみ図18および図19を用いて説明することにする。この省エネ運転モードでは、給湯吸熱量と空調放熱量が等しい第3負荷状態であれば、制御装置1aは、そのままシステムを運転する。一方、給湯吸熱量より空調放熱量が大きい第1負荷状態、もしくは空調放熱量より給湯吸熱量の方が大きい第2負荷状態のときには、制御装置1aは、第3負荷状態となるように給湯運転をコントロールしている。そして、制御装置1aは、目標時間までに目標湯量および目標湯温になるように、現在時間と残り時間と運転能力を考慮しながら給湯運転を行い、必要ならば、制御装置1aは、冷房運転が途中でも、省エネ運転モードを停止して、通常の排熱回収運転(即ち、スケジュール運転モード)に切替えるようシステムの制御を行う。
省エネ運転モードが開始されると、まず、ステップS401で制御装置1aは、空調放熱量と給湯吸熱量とが等しいか(空調放熱量と給湯吸熱量との差が予め定めた範囲内にあるか)否かを判定する。空調放熱量と給湯吸熱量とが等しいとみなされた場合には、ステップS402に進み、制御装置1aは、中間熱交換器23の出入口の二方弁35a、35b、49b、49dを開け、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを閉め、空調用熱源側熱交換器24の出入口にある第1膨張弁35cおよび第2膨張弁35dを閉める。つまり、制御装置1aは、給湯吸熱量と空調放熱量とが等しいバランスであるため、中間熱交換器23のみを用いた冷房運転と給湯運転を行うことができる状態にする。
次いで、ステップS403に進み、制御装置1aは、各種データの受信処理を行う。具体的には、制御装置1aは、空調サイクルにおける目標温度、目標風量、目標風量、室内温度(温度センサTH20からの入力)、および室外温度(温度センサTH19からの入力)のデータを受信する。そして、ステップS404に進み、制御装置1aは、ステップS403で受信した各種データに基づいて、空調サイクルにおける目標能力、空調用圧縮機21の回転数、空調用室外ファン25の回転数、空調用圧縮機21の吐出温度、空調用圧縮機21の消費電力、および放熱量を演算する。
次いで、ステップS405に進み、制御装置1aは、ステップS404で演算した空調サイクルの放熱量のデータを受信すると共に、給湯サイクルにおける目標湯量、目標湯温、水道水温度、室外温度のデータを受信する。そして、次のステップS406に進み、制御装置1aは、給湯サイクルにおける目標能力、給湯用圧縮機41の回転数、給湯用室外ファン45の回転数、給湯用圧縮機41の吐出温度、および給湯用圧縮機41の消費電力を演算する。そして、ステップS407に進み、制御装置1aは、先ほど行った演算結果に従って給湯サイクルおよび空調サイクルの運転を制御する。
具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、給湯用室外ファン45を停止するよう制御すると共に、目標能力となるように給湯用膨張弁43の弁開度を制御する。また、制御装置1aは、空調サイクルにおいて、目標回転数となるように空調用圧縮機21を制御し、空調用室外ファン25を停止するよう制御すると共に、目標能力となるように空調用膨張弁27の弁開度を制御する。
次いで、ステップS408に進み、制御装置1aは、給湯サイクルおよび空調サイクルはそれぞれ目標能力になっているか否かを判定する。ステップS408でYesと判定された場合には、ステップS409に進んで、制御装置1aは、空調サイクルの運転を停止して給湯サイクルのみによる給湯単独運転を開始する。つまり、制御装置1aは、空調用圧縮機21および空調用室外ファン25の運転を停止する。そして、ステップS410に進んで、制御装置1aは、給湯用熱源側熱交換器44の出入口にある第3膨張弁49aおよび第4膨張弁49cを開け、中間熱交換器23の出入口の二方弁49b、49dを閉める。
次いで、制御装置1aは、ステップS411に進んで、各種データを受信する。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおける現在時刻、沸き上げ完了目標時間、貯湯タンク内温度(温度センサTH21からの入力)、水道水温度(温度センサTH1からの入力)、室外温度(温度センサTH19からの入力)を受信する。そして、ステップS412に進み、制御装置1aは、ステップS411で受信した各種データに基づいて、給湯サイクルにおける目標能力、給湯用圧縮機41の回転数、給湯用室外ファン45の回転数、給湯用圧縮機21の吐出温度、給湯用圧縮機21の消費電力、および給湯用膨張弁43の弁開度を演算する。
次いで、ステップS413に進み、制御装置1aは、先ほど行った演算結果に従って給湯サイクルの運転を制御する。具体的には、制御装置1aは、給湯サイクルにおいて、目標回転数となるように給湯用圧縮機41を制御し、目標回転数となるよう給湯用室外ファン45の回転を制御する。そして、次のステップでリターンとなって、省エネ運転モードの処理を抜ける。なお、ステップS408でNoの場合には、ステップS407に戻り、ステップS401でNoと判定された場合には、リターンとなって省エネ運転モードの処理を抜ける。このように、省エネ運転モードは、空調排熱を全て給湯運転に利用しながら運転を行うため、省エネ性に優れた運転モードであると言える。
以上、説明したように本発明の第1の実施の形態例に係る空調給湯システムによれば、空調放熱量が給湯吸熱量より大きい場合には、空調サイクルにおいて、中間熱交換器23と空調用熱源側熱交換器24にて放熱しながら冷房運転を行い、給湯サイクルにおいて、中間熱交換器23から吸熱しながら給湯運転を行うことができる。また、空調放熱量が給湯吸熱量より小さい場合には、空調サイクルにおいて、中間熱交換器23にて放熱しながら冷房運転を行い、給湯サイクルにおいて、中間熱交換器23および給湯用熱源側熱交換器44から吸熱しながら給湯運転を行うことができる。また、空調放熱量と給湯吸熱量とが等しい場合には、空調サイクルと給湯サイクルとの間の熱の授受を、中間熱交換器23を介して行いながら冷房運転と給湯運転とを行うことができる。
つまり、本実施の形態例に係る空調給湯システムによれば、空調放熱量と給湯吸熱量との大小関係に応じた冷房運転および給湯運転を行うことができる。
また、本実施の形態例に係る空調給湯システムによれば、空調放熱量と給湯吸熱量の差に相当する差分熱量のみを空調用熱源側熱交換器24または給湯用熱源側熱交換器44を介して熱交換するよう制御されたシステムになっているため、システム全体の効率が向上する。
また、本実施の形態例に係る空調給湯システムでは、「冷房・給湯単独運転モード」、「暖房・給湯単独運転モード」、「スケジュール運転モード」、「強暖房運転モード」、「瞬間沸き上げ運転モード」、「急冷却運転モード」、「排熱風ゼロ運転モード」、「省エネ運転モード」の8つの運転モードを備えているので、多彩な運転要求に答えることができ、利便性が高まる。
次に、本発明の第2の実施の形態例に係る空調給湯システムについて説明するが、先に述べた第1の実施の形態例に係る空調給湯システムと同一の構成の部分は、同一の符号を付して、その説明は省略している。本発明の第2の実施の形態例に係る空調給湯システムは、図20に示すように、中間熱交換器23と給湯用熱源側熱交換器44とが直列に接続され、かつ、中間熱交換器23と空調用熱源側熱交換器24とが直列に接続されている点が特徴となっている。
より具体的に説明すると、空調用冷媒回路5における四方弁22と空調用膨張弁27との間の冷媒配管に、四方弁22側から、二方弁35a、中間熱交換器23、二方弁35b、第1膨張弁35c、空調用熱源側熱交換器24、第2膨張弁35d、空調用冷媒タンク26の順にそれぞれが直列に組み込まれている。そして、空調用冷媒回路5には、中間熱交換器23をバイパスするための空調用バイパス配管101が接続され、この空調用バイパス配管101には空調用バイパス弁35eが取り付けられている。
同様に、給湯用冷媒回路6における給湯用圧縮機41と給湯用膨張弁43との間の冷媒配管に、給湯用圧縮機41側から、二方弁49d、中間熱交換器23、二方弁49b、第4膨張弁49c、給湯用熱源側熱交換器44、第3膨張弁49aの順にそれぞれが直列に組み込まれている。そして、給湯用冷媒回路6には、中間熱交換器23をバイパスするための給湯用バイパス配管201が接続され、この給湯用バイパス配管201には給湯用バイパス弁49eが取り付けられている。
この第2の実施の形態例に係る空調給湯システムによっても、二方弁35a、35b、49b、49d、膨張弁35c、35d、49a、49c、バイパス弁35e、49eを適宜に開閉制御すれば、第1の実施の形態例に係る空調給湯システムと同様の運転を行うことができる。
次に、本発明の第3の実施の形態例に係る空調給湯システムについて説明するが、先に述べた第1の実施の形態例に係る空調給湯システムと同一の構成の部分は、同一の符号を付して、その説明は省略している。本発明の第3の実施の形態例に係る空調給湯システムは、図21に示すように、空調用熱源側熱交換器324と給湯用熱源側熱交換器444とが共に複数のパスを備えた構成となっている点が特徴となっている。
より具体的に説明すると、空調用冷媒回路5に設けられた空調用熱源側熱交換器324は、2パスの流路が形成されおり、必要に応じて一方のパスを閉鎖し、他方のパスのみに空調用冷媒を流すことができる構成となっている。また、閉鎖されたパスに残った空調用冷媒を空調用圧縮機21の吸込側に戻すために、空調用熱源側熱交換器324と空調用圧縮機21の吸込側とは、空調用冷媒戻り配管301で接続されている。なお、この空調用冷媒戻り配管301には空調用仕切弁301aが設けられており、この空調用仕切弁301aを開けると、空調用熱源側熱交換器324に残っている空調用冷媒が空調用冷媒戻り配管301を流れて空調用圧縮機21の吸込側に戻るようになっている。
給湯用冷媒回路6に設けられた給湯用熱源側熱交換器444も同様に、2パスの流路が形成されおり、必要に応じて一方のパスを閉鎖し、他方のパスのみに給湯用冷媒を流すことができる構成となっている。また、閉鎖されたパスに残った給湯用冷媒を給湯用圧縮機41の吸込側に戻すために、給湯用熱源側熱交換器444と給湯用圧縮機41の吸込側とは、給湯用冷媒戻り配管401で接続されている。なお、この給湯用冷媒戻り配管401には給湯用仕切弁401aが設けられており、この給湯用仕切弁401aを開けると、給湯用熱源側熱交換器444に残っている給湯用冷媒が給湯用冷媒戻り配管401を流れて給湯用圧縮機41の吸込側に戻るようになっている。
この第3の実施の形態例に係る空調給湯システムによれば、第1の実施の形態例に係る空調給湯システムの運転を行うことができることに加えて、空調用熱源側熱交換器324のパス数を制御装置1aが切替えることにより、空調用熱源側熱交換器324の熱交換量を調整することができる。また、給湯用熱源側熱交換器444についても、制御装置1aがパス数を切替えることにより、給湯用熱源側熱交換器444の熱交換量を調整することができる。なお、熱交換器のパス数については、空調給湯システムの仕様に応じて適宜選択すれば良い。