JP5572258B1 - 線香 - Google Patents

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Abstract

【課題】煙の量が少なく、刺激臭や炭素臭がせず、鮮やかに染色でき、灰が崩れ落ちやすい線香を提供する。
【解決手段】線香の基材として、活性アルミナを用いる。線香に、20重量%以上の活性アルミナと、漢薬香料と、特定の無機化合物と、バインダとを含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、線香に関する。より詳細には、活性アルミナを基材とした線香に関する。
線香は、一般的には仏壇や墓前などに供えるなどの仏事に用いるものであるが、近年では、香りを楽しむ目的で用いられる多様な香りを有する室内用の線香も製造されている。このような仏壇用または室内用の線香は、通常、タブ樹皮粉末や白樺樹皮粉末等を木質基材とし、これに漢薬香料(例えば、白檀、丁子、沈香、桂皮、乳香、伽羅等)や合成香料などと共に、助燃剤、防腐剤、バインダ等を添加し、その混合物を混練した後、成形、乾燥することにより製造されている。
この種の線香は、草木粉末その他の天然基材を主成分として使用しているため、燃焼の際に多量の煙を発し、その煙に含まれる抹香臭さや異臭が使用者に嫌悪感を与えたり、所望の香りを阻害するなどの問題があった。また、木質基材由来のタール分が煙と共に運ばれて壁に付着し、壁を汚したり、特有の刺激臭がすることがあった。また、カビが生えることがあった。
このような問題に対処するために、本出願人は、発煙量を低減する手段として、基材として木炭の粉末を使用した線香を提案した(特許文献1)。さらに、天然の木質基材の一部を、ヤシ殻活性炭などの粉末である炭素粉末(炭粉末)に置き換えた線香を提案した(特許文献2、特許文献3)。
特開昭50−58245号公報 特開平9−136820号公報 特開2004−75581号公報
このように、天然の木質基材の一部を、木炭の粉末や活性炭の粉末などの炭粉末に置き換えることにより、発煙量はかなり低減され、また、刺激臭や壁の汚れの問題もかなり低減することができた。しかしながら、従来の刺激臭に代わるものとして、炭独特の臭い(炭素臭)が感じられるようになり、漢薬香料等による好ましい香りがやや阻害される傾向があった。また、炭粉末を主成分とすることにより、黒色が強くなり、染料その他の着色剤を添加しても、黒みがかった色合いの製品しか得られないという問題があった。さらに、依然として一部使用されているタブ樹皮等の木質基材により、貯蔵条件が悪い場合にはカビが発生することもあった。本発明の目的は、これらの問題が解決された新しい線香を提供することにある。
本発明者は、従来の草木粉末等の天然基材を用いている場合には、カビの発生や刺激臭などの問題が避けられず、一方、炭粉末を用いている場合には、炭素臭や製品の黒色化の問題が避けられないと考えた。そこで、これまでには用いられてこなかった線香用の新しい基材を鋭意探索した。線香の基材として用いるためには、火を点けることができ、途中で立ち消えせずに燃焼が持続することが必要であり、また、従来の線香と同様の燃焼挙動(例えば、灰の落ち方などの燃焼の様子)を示すことが好ましい。
そのような従来の基材に代わる線香用の新しい基材を探索した結果、本発明者は、従来の草木粉末や炭粉末に代えて、活性アルミナを線香用の基材として用いた場合に、従来の線香と同様に火を点けることができ、途中で立ち消えせずに燃焼を持続させることができ、また、燃焼の進行に従って灰が順次崩れ落ちることを見出した。さらに、この活性アルミナを基材とした新規な線香は、従来の線香に感じられるような刺激臭や炭素臭が全くなく、カビが発生しにくく、また、より鮮やかな色に着色できることを見出した。すなわち、本発明は、これらに限定されないが、以下を含むものである。
1.20重量%以上の活性アルミナ、
漢薬香料、
水酸化アルミニウム、雲母、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びタルクからなる群から選択される1種又は2種以上の無機化合物、及び
バインダ
を含んでなる、線香。
2.活性アルミナが30重量%以上の量で含まれる、上記1に記載の線香。
3.活性アルミナと漢薬香料とが、合計で、50重量%以上の量で含まれる、上記1または2に記載の線香。
4.樹皮粉末を含まない、上記1〜3のいずれか1つに記載の線香。
5.炭粉末を含まない、上記1〜4のいずれか1つに記載の線香。
本発明の線香は、従来の線香に感じられるような刺激臭や炭素臭がなく、カビが発生しにくく、また、従来の線香に比べてより鮮やかな色に染色することができる。また、本発明の線香は、これまで線香の基材として用いられたことのないまったく新しい材料(活性アルミナ)を基材とするにもかかわらず、従来の線香と同様の燃焼挙動を示し、従来の線香と同様に使用することができる。特に、本発明の線香は、従来の線香と同様に、燃焼の進行に伴い灰が崩れ落ちやすいという特徴を有する。線香を香炉に立てて使用する場合、灰が崩れ落ちにくく長く残る場合には、長く残った灰が重さに耐えかねて崩れた際に香炉の外にはみ出してこぼれることがあり、香炉の周りを汚すことがある。灰が長く残らず、短いうちに順次落ちることは、線香を香炉に立てて使用する場合に灰が香炉の外にこぼれ落ちる可能性が減るため、香炉の周囲を汚しにくいという点で、有利である。
本発明の線香(製造例4、左)と、比較の線香(比較例1、右)の燃焼の進行する様子を示した写真である。なお、本出願と同日付けで、物件提出書により、図1のカラー写真を提出した。 草木粉末を基材とする線香(比較例2、上)、炭粉末を基材とする線香(比較例3、中央)、及び本発明の線香(製造例4、下)のそれぞれについての写真である。なお、本出願と同日付けで、物件提出書により、図2のカラー写真を提出した。
本発明は、線香に関するものである。本明細書において、線香とは、直線状に成形されたもののみならず、うずまき状や、所望の形状となるように折り曲げられたような形を有するもの(例えば、特許文献2の図2に示されるようなもの)も含む。上記の「灰が崩れ落ちやすい」という効果を十分に利用するという点からは、直線状に成形された線香が本発明に最も適しているといえる。線香の断面の形状は特に限定されず、一般的には円形であるが、線香としての強度が保てるならば、角形や星形など他の形状であってもよい。線香の長さは特に限定されず、通常の使用態様に合わせて適宜設定されればよい。線香の太さ(径)も特に限定されないが、通常、「線香」と呼ぶためには、太さ(径)に対して長さが十分に長いものであるといえる。
本発明の線香は、直接火を点けて燃焼させることにより、香りを発生させるものである。
本発明の線香は、基材として活性アルミナを用いることを最大の特徴とする。従来、活性アルミナなどの無機質材料は、燃焼を調整する剤、特に、燃焼を抑制して燃焼時間を調整する剤として少量添加されることはあったものの(例えば、特許文献2)、草木粉末や炭粉末のような燃焼用の基材に代わるものとして用いられたことはない。本発明者は、様々な材料について検討を行った結果、活性アルミナを、草木粉末や炭粉末に代えて基材として用いた場合に、意外にも、従来の草木粉末や炭粉末と同様に着火し、また、立ち消えせずに燃焼が持続することを見出した。
活性アルミナとは、アルミナ(酸化アルミニウム)を熱処理することにより活性化(多孔質化)したものである。本発明では、中心粒径が小さいもの、具体的には250μm以下、特に、中心粒径が1.5μm〜200μmの活性アルミナを用いると、燃焼が安定化しやすいので好ましい。その他の性質としては、これらに限定されないが、嵩比重(重装)が0.2〜1.2g/cm程度、BET比表面積が100〜350m/g程度のものは好ましい。このような活性アルミナは市販されている。
線香における活性アルミナの量は、20重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上である。活性アルミナの量が少ない場合には、燃焼を維持するために草木粉末や炭粉末等を添加する必要が生じる。活性アルミナの量の上限は、他の材料の種類や量に応じて適宜決定されるが、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは75重量%以下である。
本発明の線香は、従来の草木粉末(樹皮粉末など)や炭粉末に代わり、活性アルミナを基材とすることを特徴としており、草木粉末や炭粉末は含まないことが最も好ましい。草木粉末や炭粉末を含むと、煙の量が増え、また、刺激臭や炭素臭がすることがある。しかしながら、従来の基材としての草木粉末や炭粉末の一部を活性アルミナに置き換えることによっても、従来の線香の問題である多量の煙や刺激臭、炭素臭がある程度緩和されるという効果は得られる。したがって、本発明の線香は、草木粉末や炭粉末は含まないことが最も好ましいといえるものの、基材として草木粉末や炭粉末を少量含むものも包含することとする。この場合、草木粉末や炭粉末などの活性アルミナ以外の基材の使用量は、20重量%未満、好ましくは15重量%以下である。草木粉末や炭粉末の量が増えると、煙の量が増える、刺激臭または炭素臭が感じられる、部屋の壁が汚れる、カビが発生しやすくなる等の問題が生じ得る。草木粉末としては、従来から線香の基材として用いられている草木の粉末、例えば、草や木の葉、茎、幹或いは樹皮を粉末状にしたものを挙げることができる。具体的には、例えば、慣用されるタブ樹皮粉末や白樺樹皮粉末を挙げることができる。本発明の線香にはこれらが含まれないことが好ましいが、上記の通り、これらを少量含むものを本発明の範囲から除外するわけではない。なお、ここでいう基材としての草木粉末には、白檀や沈香等の香木の粉末は含まないものとする。炭粉末としては、木、鋸屑などの木質、またはミルクパック再生パルプ、古紙、再生紙、使用済切符、印刷不良品その他の紙廃棄物、あるいは石炭を原料とする粉末などの任意のものを挙げることができる。品質の安定化及び均一化の観点からは炭粉末の中でも活性炭の粉末がより好ましい。活性炭としては、木炭、ヤシ殻炭、鋸屑などの木質あるいは石炭を原料とする任意の活性炭を挙げることができる。
本発明の線香は、活性アルミナに加え、漢薬香料、特定の無機化合物、及びバインダを含む。漢薬香料は、香りを付与すると共に、燃焼を補助する役割も果たすものであり、線香中に、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上の量で含有される。燃焼を安定に持続させるという観点からは、活性アルミナと漢薬香料との合計量が、線香の50重量%以上となることが好ましく、65重量%以上となることがさらに好ましい。漢薬香料の量の上限は、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下である。漢薬香料の量が多すぎると、むしろ香料本来の香りが楽しめなくなる場合がある。漢薬香料の材料としては、木香、甘松香、白檀、カッ香、香附子香、冷陵香、安息香、乳香、桂皮、丁子、ウイキョウ、没薬、竜脳、貝香、唐木香、沈香、伽羅など公知のものを使用すればよい。
本発明の線香は、水酸化アルミニウム、雲母、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びタルクからなる群から選択される1種または2種以上の無機化合物を含む。これらの無機化合物は、燃焼を和らげて燃焼速度を調整したり、また、線香に白色を与えて線香を染色しやすくするために用いられる。これらの無機化合物の添加量は、所望の特性に応じて適宜変更することができるが、好ましくは、合計で、5〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。これら無機化合物の量が少なすぎる場合には、燃焼が速くなり過ぎることがあり、また、これら無機化合物の量が多すぎる場合には、燃焼が抑制されすぎて立ち消えしやすくなるおそれがある。
本発明の線香は、バインダを含む。バインダとしては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、デンプングリコール酸ナトリウムやデンプンリン酸エステルナトリウムなどのデンプン誘導体、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸誘導体、ポリビニルアルコール、グアーガム及びその誘導体など有機系バインダが好適である。バインダは、通常、5〜25重量%、好ましくは5〜15重量%添加される。添加量が5重量%未満では、添加効果が十分に得られず、25重量%を超えると、線香を燃焼させたときにバインダ臭が出るようになる傾向がある。
本発明の線香には、燃焼を補助する助燃剤を添加してもよい。そのような助燃剤としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウムなどの硝酸塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウムなどの過塩素酸塩などが挙げられる。助燃剤の量は、所望の燃焼速度に応じて適宜設定すればよいが、通常、13重量%以下、好ましくは2〜10重量%程度である。助燃剤の含有量が13重量%を超えると、燃焼速度が極めて速くなり過ぎることがある。助燃剤は通常、水に溶かして使用されるが、そのまま粉末として添加しても良く、その場合、粒径が細かいほど燃焼が安定するので、粒径150μm以下、好ましくは1〜100μmのものを使用すればよい。
線香には、香料として、前記漢薬香料以外に、必要に応じて液体香料を添加してもよい。液体香料は、漢薬香料の香りを損なわない程度の量で用いることが好ましい。液体香料としては、天然香料及び合成香料があり、これらは市販のものを使用すればよい。また、植物などから抽出されるエッセンシャルオイルを使用しても良い。前記エッセンシャルオイルとしては、例えば、アニスシード、アーモンドビター、アミリス、アンジェリカルート、ウインターグリーン、エレミ、オールスパイスベリー、オレンジ、オニオン、オレンジマンダリン、オレンジスウィート、カジェプット、カラマスルート、カンファーホワイト、カルダモンシード、カモマイルジャーマン、カモマイルローマン、カモマイルワイルド、ガルバナム、ガーリック、キャロットシード、クローブバッズ、コリアンダーシード、クミンシード、バジルスウィート、ベンゾインアブソルート、ベルガモット、バーチスウィート、サイプレス、サンダルウッド、シナモンバーク、シダーリーフ、シダーアトラス、シダーウッドレッド、セロリーシード、シナモンバーク、シナモンリーフ、シトロネラ、スペアミント、スプルース、セイジクラリー、セイジダルマティアン、セイバリーサマー、バニラ、バーボン、ユーカリ、ユーカリレモン、フェンネルビター、フェンネルスウィート、ファーニードル、フランキンセンス、ジェラニューム、ジンジャー、グレープフルーツ、タイムレッド、タイムホワイト、トルーバルサム、ヘリクリサム、ホップフラワー、ヒソップ、ジャスミンアブソルート、ジュニパーベリー、ライム、ラバディン、ラベンダー、ラベンダーフラワー、ラベンダースパイク、レモン、レモングラス、ローレルリーフ、ロベジルート、マージョラムスウィート、マージョラムワイルド、マートル、ミラーガム、メリッサ、ネロリ、ナツメグ、パルマロサ、パチョリ、ペッパーブラック、ペパーミント、ペルーバルサム、ペティグレイン、パイン、ローズアブソルート、ローズオットー、ローズマリー、ローズウッド、マリーゴールド、タンジェリン、ティートゥリーなどが挙げられる。
自然色以外の色を線香に付与するために、着色剤を添加してもよい。着色剤は、燃焼や香りに影響が出ない程度の量で用いることが好ましい。そのような着色剤としては、例えば、食用色素(例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用緑色3号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号)、無機顔料(酸化鉄、二酸化チタン)、天然系色素(例えば、β−カロチン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5'−リン酸エステルナトリウム)、天然系色素誘導体(銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、鉄クロロフィリンナトリウム、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム)、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、ウラニン、セダーウッドなどが挙げられる。
本発明の線香は、活性アルミナ、漢薬香料、無機化合物、及びバインダ等の粉末を所定の割合で混合し、その混合物に対して必要に応じて着色剤や液体香料を水と共に加え、十分に混練し、得られた混練物を成形して乾燥することにより製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
(実施例1)
以下の表1に記載の配合に従って、材料を混合した。活性アルミナとしては、市販の中心粒径40〜50μm、比表面積150m/g、嵩比重1.1g/cm、細孔容積0.30cm/gのものを用いた。得られた混合粉末に、助燃剤(硝酸塩)、染料、及び液体香料を予め溶解または懸濁させた水を添加し、混練した。助燃剤、染料、及び液体香料の添加量は、混合粉末100重量部に対し、それぞれ2重量部、2重量部、及び5重量部である。得られた混練物を油圧成型機で線状に押出し、一定寸法に切断した後に乾燥させて、線香を製造した。
製造例1の線香は、従来の基材である木粉の一部を活性アルミナに置き換えたものである。製造例1の線香は、従来の木粉または炭粉末のみを基材とする線香に比べて、煙の量が少し減少した。また、着色は従来のものに比べて鮮やかであり、香りは繊細で抹香臭さ(いわゆる線香臭さ)はあまりしなかった。刺激臭も少なかった。
製造例2及び3の線香は、基材として活性アルミナを用いたものである。製造例2及び3の線香は、従来の線香に比べて、煙の量がかなり少なく、着色が非常に鮮やかなものとなった。香りは繊細であり、抹香臭さは全くなかった。また、刺激臭、炭素臭も全く感じられなかった。製造例3の線香は、特に、ピュアーな香りが際立っていた。
製造例1〜3の線香のいずれも、従来の草木粉末または炭粉末を基材とした線香と同様に、火を点けることができ、また途中で立ち消えせずに燃焼が持続するものであった。
(実施例2)
以下の表2に記載の配合に従って、材料を混合した。得られた混合粉末に、助燃剤(硝酸塩)、染料、及び液体香料を予め溶解または懸濁させた水を添加し、混練した。助燃剤、染料、及び液体香料の添加量は、混合粉末100重量部に対し、それぞれ2重量部ずつである。得られた混練物を油圧成型機で線状に押出し、一定寸法に切断した後に乾燥させて、線香を製造した。
得られた線香のそれぞれを香炉に立てて火を点けて、燃焼の進行する様子を写真に撮った。結果を図1に示す。なお、本出願と同日付けで、物件提出書により、図1のカラー写真を提出した。図1の写真の左のものは、本発明の活性アルミナを基材とした線香(製造例4)である。図1の写真の右のものは、活性アルミナと同じ無機化合物である水酸化アルミニウムを基材とした比較の線香(比較例1)である。図1より明らかなように、本発明の線香(製造例4)は、燃焼の進行に伴って灰が落ちるため、線香に残る灰(残灰)が短い。それに対し、比較例1の線香は、同じ無機化合物である水酸化アルミニウムを基材とするにもかかわらず、燃焼が進行しても灰がなかなか崩れ落ちずに残ることがわかる。
(実施例3)
従来の草木粉末を基材としている線香(比較例2)、炭粉末を基材としている線香(比較例3)、及び上記製造例4と同様の配合で製造した線香のそれぞれの「色の冴え」を比較するために、それぞれの線香の写真を図2に示す。なお、本出願と同日付けで、物件提出書により、図2のカラー写真を提出した。なお、比較例2及び3の線香は、以下の表3に記載の配合に従って混合粉末が調製され、得られた混合粉末100重量部に対し、比較例2については助燃剤1重量部、染料2〜3重量部、液体香料3〜4重量部、及び防かび剤0.5重量部を水と共に添加し、また、比較例3については液体香料2〜4重量部、及び防かび剤0.5重量部を水と共に添加して、混練、押出、切断、及び乾燥して、線香を製造した。
図2の写真中の上のものが比較例2の線香、中央のものが比較例3の線香、下のものが本発明の線香である。本発明の線香は、比較例2の線香に比べて、鮮やかな発色が見られることがわかる(物件提出書で提出したカラー写真を参照のこと)。比較例3の線香には染料を含ませていないが、これにたとえ染料を配合したとしても、基材の黒い色の影響が強いため、いわゆる「どす黒い色」しか出せないことを本発明者は確認している。
(実施例4)
本発明の線香(製造例2及び3、防かび剤が入っていない)と、従来の線香(比較例2及び3、防かび剤が入っている)を、27〜30℃の温度でかつ85〜90%の相対湿度下に置いた。結果、比較例2の線香(草木粉末を基材とする)は、2〜3日でかびが発生し、比較例3の線香(炭粉末を基材とする)は、4〜5日でかびが発生した。一方、製造例2及び3の線香(活性アルミナを基材とする)では、4週間を経過してもかびが発生しなかった。本発明の線香は、防かび剤が入っていないにもかかわらず、従来の線香(防かび剤が入っている)よりも高い防かび性を有している。

Claims (4)

  1. 20重量%以上の活性アルミナ、
    漢薬香料、
    水酸化アルミニウム、雲母、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びタルクからなる群から選択される1種又は2種以上である無機化合物、及び
    バインダ
    を含んでなり、
    草木粉末(ただし、香木の粉末は含まない)の含有量が、20重量%未満であり、
    炭粉末を含まない、線香。
  2. 活性アルミナが30重量%以上の量で含まれる、請求項1に記載の線香。
  3. 活性アルミナと漢薬香料とが、合計で、50重量%以上の量で含まれる、請求項1または2に記載の線香。
  4. 樹皮粉末を含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の線香。
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