JP5571512B2 - 投射結像光学系およびプロジェクタ装置 - Google Patents
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この結像光学系では、画像表示面が「レンズ系の光軸に直交する方向へ、光軸からずらされて設定」され、画像表示面からの光は、レンズ系を所謂「斜光線」として通過し、凹面鏡により「画像表示面がずらされている側」へ反射されて投射面上に拡大された投射画像を結像させる。
このような投射方式を「斜め投射方式」と呼び、斜め投射における結像光束を「斜め光束」と呼ぶ。
画像表示面を光軸に近づけることはまた、投射画像の像質を良好に保つ上からも好ましい。即ち、光学系の収差の面からしても、斜め光束の傾きが小さいほど「収差の補正」が容易になるからである。
即ち、上記の如く、投射画像の大画面化が求められている状況においては、大画面の投射画像を実現するために、投射結像光学系は必然的に「広画角」である必要があり、上記の如き光学構成では、レンズ系において像側、即ち凹面鏡側に位置するレンズは口径の大きなものになる。
「画像表示面」は、反射型や透過型の液晶パネルや、デジタルミラーデバイス等の画像表示手段における画像を表示する面であり、液晶パネルにおけるパネル面、デジタルマイクロミラーデバイス(所謂「DMD」)におけるデジタルマイクロミラーの配列面等である。
固定レンズ部は、光軸Aを有する。可動レンズ部は光軸Bを有する。光軸Aと光軸Bとは互いに平行である。
画像表示面は、固定レンズ部の光軸Aに直交する方向へずれて配置される。
画像表示面に表示された画像が投射結像光学系により、スクリーン等の投射面上に拡大して結像投射される。
即ち、画像表示面に表示された画像は、固定レンズ部、可動レンズ部および凹面鏡により拡大され、スクリーン等の投射面上に投射画像として結像投射される。
画像表示面からの光は、固定レンズ部、可動レンズ部を透過し、可動レンズ部から射出した光束は凹面鏡により反射され、結像光束となって投射面へ向かう。即ち、投射面上の投射画像は、画像表示面上の画像と、投射結像光学系により共役関係に結ばれる。
「固定枠」は円筒状であって、筒内に固定レンズ部を固定的に保持する。固定枠が、固定的であるとは「固定レンズ部の保持に関して」であり、画像表示面との位置関係においては光軸方向へ移動可能であることができる。
「可動枠」は、円筒状であって、固定枠に固定的に接合される。
可動枠は、可動レンズ部を構成する複数のレンズを、光軸B方向へ平行移動可能となるように保持する。
光軸Bは、可動部を構成する複数のレンズが共有する光軸であり、この光軸Bは「固定レンズ部を構成する複数の円形レンズが共有する光軸A」と同一であることができるが、固定レンズ部の光軸Aと、可動レンズ部の光軸Bとは「光軸直交方向に相互に平行にずれている」ことも可能である。
このように、光軸Aと光軸Bとは、互いに平行であって、互いに重なりあて同一直線をなすこともあり、光軸Aの方向と光軸Bの方向とは「同方向」であるので、以下においては、特に区別を必要とする場合を除き、これらを単に「光軸」と称する。
可動レンズ部を構成する複数のレンズのうち、物体側(固定レンズ部側)には、少なくとも1枚の円形レンズが配置され、像側(凹面鏡側)には、少なくとも1枚の「異形レンズ」が配置される。即ち、可動レンズ群は、最小限で、光源側の1枚の円形レンズと、像側の1枚の異形レンズとで構成され得る。
即ち、異形レンズは上記「投射画像の結像に有効に寄与できるレンズ領域」即ち「投射画像の結像に寄与する有効光束の光束断面」を最小限のレンズ形状として含み、この光束断面と略同形の形状をレンズ形状として有するのである。
そして、凹面鏡により投射面へ向かって「光軸よりも画像表示面のずらされている側」へ反射される投射結像光束が、可動枠と干渉しない範囲で、可動枠に最近接するように、固定枠および可動枠およびこれらに保持されるレンズ、凹面鏡、画像表示面の位置関係を設定する。
投射結像光学系における広画角を実現するため、異形レンズの「設計された円形レンズとしてのレンズ径」が、最大ガラスレンズのレンズ径よりも大きい場合もある。
この「固定異形レンズ」は、その光軸対称レンズ形状における投射画像の結像に寄与する有効光束の光束断面を含み、その設計上の円形レンズ形状よりも小さい形状を有する。
「固定異形レンズを固定的に保持する保持枠」は、可動枠における最も像側の異形レンズの「最も像側の位置に応じた光軸方向の端部」に対し、凹面鏡による投射結像光束を避ける方向へずれて段差を形成している。
請求項2記載の投射結像光学系における「固定異形レンズを保持する保持枠」は、可動枠と一体的に形成されていることができる(請求項3)。
固定異形レンズは、これをプラスチックレンズとすれば、固定異形レンズ自体を成型により容易に且つ安価に製造でき、ガラスレンズをカットして固定異形レンズにするよりも製造コストが安くて済む。
また、固定異形レンズをガラスレンズで構成すると、これをプラスチックで形成する場合よりもコストの面では若干不利になるが、固定異形レンズは移動しないので、移動のエネルギは不要であり、また、ガラスレンズは機械的な強度がプラスチックレンズよりも強く、環境辺土の影響も受け難いので、これを可動レンズ群のプラスチックレンズによる異形レンズよりも像側に配置することにより、可動レンズ群における最も像側の異形レンズを、ガラスレンズによる固定異形レンズにより有効に保護することができる。
また、固定異形レンズの枚数は2枚以上であってもよいが、このような固定異形レンズを加えることにより、投射結像光学系の設計の自由度が増え、性能の向上を図ることができる。
この発明のプロジェクタ装置は、上記請求項1または2または3の投射結像光学系を有するプロジェクタ装置である(請求項4)。
請求項2や3の投射結像光学系のように、可動レンズ群の最も像側の異形レンズと凹面鏡との間に「固定異形レンズ」を配することにより、結像性能をより高めることができ、なおかつ、凹面鏡により反射された結像光束を遮光することなく、斜め光束の光軸に対する傾きを小さくできる。
図1は、実施の1形態を説明図的に示している。
図1において、符号PNは、画像表示手段としての液晶パネルを示している。
即ち、この実施の形態では、前述の光軸Aと光軸Bとが、共通の光軸AXをなしているのである。
レンズL22、L23はプラスチックレンズであり、これらは「異形レンズ」である。
液晶パネルPNは、図1において、光軸AXよりも上方へずらして配置されている。
液晶パネルPNからの光束は、固定レンズ部L1に「光軸AXに対して傾いて」入射し、斜め光束となって固定レンズ部L1を透過し、可動レンズ部L2のレンズL21、レンズL22、L23を透過して、光軸AXに対して下向きに傾いた斜め光束CFとして可動レンズ部L2から射出する。
図1に示すように、結像光束はスクリーンSCへの光路上で一旦集光したのち発散しつつスクリーンSCに到達する。
従って、可動レンズ部L2の、最も物体側にあるレンズL21は、その「光軸方向の移動領域」のどの位置にあっても「斜め光束に対する結像作用」を作用させる必要があり、このためにレンズL21は大径にならざるを得ない。
この実施の形態では、レンズL21を大径の円形ガラスレンズとするのである。
上述のように、固定枠10は、中枠11と外枠12で構成され、固定レンズ部L1のレンズL11、L12、L13は中枠11に組み付けられ、中枠11が外枠12に組み付けられている。
固定枠の大径部分12Aには、接合リングLNが嵌合され、この接合リングLNに、可動枠の内枠21の係合部分21Aが嵌合することにより、内枠21と外枠10とが固定的に接合する。
外枠21には、レンズL21、L22、L23を移動させるためのカム溝が形成されており、外枠21が回転すると、これらカム溝を通して保持枠23L21〜25L23に係合するカム機構により、各保持枠が光軸AX方向へ変位して、レンズL21〜L23を移動させ、上記補正を実現する。
固定枠10は、固定レンズ部L1を構成する円形レンズのうちの最大のものの外径に略等しい内径を有する。
可動レンズ部L2は、物体側に少なくとも1枚の円形レンズL21を有するとともに、像側の1枚以上のレンズが異形レンズL22、L23であり、可動レンズ部の物体側の、1枚以上の円形レンズのうち、最大径のものは円形ガラスレンズL21である。
異形レンズL22、L23はプラスチックレンズであって、光軸対称レンズ形状(円形状)における投射画像の結像に寄与する有効光束の光束断面を含み、この光束断面と略同形の形状を有する。
凹面鏡RFにより投射面SCへ向かって、光軸AXよりも画像表示面PNのずらされている側へ反射される投射結像光束が、可動枠20と干渉しない範囲で、可動枠20に最近接するように、固定枠および可動枠およびこれらに保持されるレンズ、凹面鏡、画像表示面の位置関係が設定されている。
図4は、請求項2、3の投射結像光学系の実施の1形態を示す図である。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては、図1におけると同一の符号を付し、これらについては、上述の説明を援用する。
画像表示手段としての液晶パネルPN、レンズL11、L12、L13で構成される固定レンズ部L1、この固定レンズ部L1を固定的に保持する固定枠10の部分は、構造的には図1の実施の形態のものと同様である。
固定枠10の外枠12は、図1の形態と同様、光軸AXに対して偏心した大径部分12Aをなして接合リングLNに嵌合し、この接合リングLNに可動枠20Aの内枠21Aが嵌合することにより、可動枠20は、固定枠10と固定的に接合される。
固定枠の大径部分12Aには、接合リングLNが嵌合され、この接合リングLNに、可動枠20Aの内枠21Aの係合部分が嵌合することにより、内枠21と外枠10とが固定的に接合する。
可動レンズ部L2をなすレンズL21、L22、L23を設けられる可動枠20Aは、内枠21Aと外枠22Aとを有している。内枠21Aの物体側は、固定枠の外枠12の像側端部の大径部分12Aの内径と同じ内径の係合部分を有し、上記の如く、この係合部分が接合リングLNに嵌合する。
可動レンズ部L2をなすレンズL21、L22、L23は、図1の実施の形態のものと同様で、これらを光軸A方向へ変位させる機構も、図1の実施の形態と同様である。
図4における符号RFは凹面鏡を示している。
図4において符号L3は「固定異形レンズ」を示す。
固定異形レンズL3は、可動枠20Aの内枠21Aの凹面鏡RFに対向する面部分に固定的に設けられている。
液晶パネルPNは、図4において、光軸AXよりも上方へずらして配置され、液晶パネルPNからの光束は、固定レンズ部L1に「光軸AXに対して傾いて」入射し、斜め光束となって固定レンズ部L1を透過し、可動レンズ部L2のレンズL21、レンズL22、L23を透過し、さらに、固定異形レンズL3を透過して、光軸AXに対して下向きに傾いた斜め光束CFとして固定異形レンズL3から射出する。
射出した斜め光束CFは凹面鏡RFに入射し、凹面鏡RFにより図の斜め右方向へ反射されて結像光束RFXとなり、「投射面」であるスクリーンSCに投射され、スクリーンSC上に「画像表示面に表示された画像を拡大した投射画像」を結像する。
結像光束RFXはスクリーンSCへの光路上で一旦集光したのち発散しつつスクリーンSCに到達する。
スクリーンSC上に投射される投射画像の拡大倍率は、物体距離と像距離とを調整して変化させる。物体距離は、固定レンズ部L1と液晶パネルPNとの間隔を調整することにより変化され、像距離は凹面鏡RFとスクリーンSCとの光軸方向距離を調整して変化される。
このように倍率を調整されてスクリーンSC上に結像投射された投射画像と、画像を表示された液晶パネルPNの画像表示面とは、固定レンズ部L1、可動レンズ部L2、固定異形レンズL3と凹面鏡RFとにより共役関係に結ばれる。
投射画像の倍率を上記の如く変化させると、像面がスクリーンSCに対して倒れたり、投射画像の形状が台形になったりするので、これを補正する必要があり、可動レンズ部L2の各レンズL21、L22、L23の光軸方向への変位により上記補正を行なう点は、図1の実施の形態と同様である。
固定異形レンズL3は、この実施の形態ではガラスレンズである。固定異形レンズL3の形状は「その光軸対称レンズ形状における投射画像の結像に寄与する有効光束の光束断面を含み、その設計上の円形レンズ形状よりも小さい。
図5は、図4の部分拡大図である。固定異形レンズL3は、固定部材30により可動枠の内枠21Aの凹面鏡RF側の側面部に固定されているが、固定異形レンズL3を固定的に保持する保持枠である可動枠における最も像側の異形レンズL23の最も像側の位置に応じた光軸方向の端部21AGに対し、凹面鏡RFによる投射結像光束RFXを避ける方向へずれて段差21STを形成している。
この段差21STが形成されているので、投射結像光束RFXは保持枠に「ケラれる」ことがない。
なお、内枠21Aの「段差部21STを有する部分」の形状は、例えば、図5において、図面に直交する方向に平坦な「棚形状」でもよい。固定異形レンズL3は、固定されて変異させられることがないので、これを保持する部分が円筒形状である必要がないからである。そして、この場合、固定異形レンズ13の形状は「段差部21STを有する部分」の断面形状に合わせた形状であってよい。
このような投射結像光学系を用いても、天井の低い室内でも良好な投射画像を表示できる性能良好なプロジェクタ装置を実現できる。
L1 固定レンズ部
L2 可動レンズ部
RF 凹面鏡
SC スクリーン(投射面)
20 可動枠
L21 円形ガラスレンズ
L22、L23 異形レンズ
Claims (4)
- 光軸Aを有する固定レンズ部、上記光軸Aに平行な光軸Bを有する可動レンズ部、および凹面鏡を、物体側から上記順序に配置し、上記固定レンズ部を円筒状の固定枠に保持させ、上記固定枠に固定的に接合された円筒状の可動枠に上記可動レンズ部を、この可動レンズ部を構成する複数のレンズが光軸B方向へ平行移動可能となるように保持させ、上記光軸Aに対して、光軸直交方向にずらして配置された画像表示面に表示された画像を、上記固定レンズ部、可動レンズ部および凹面鏡により拡大して、投射画像として投射面上に結像投射する投射結像光学系であって、
上記固定レンズ部は、複数の円形レンズを光軸A方向へ配してなり、
上記固定枠は、上記固定レンズ部を構成する円形レンズのうちの最大のものの外径に略等しい内径を有し、
上記可動レンズ部は、物体側に少なくとも1枚の円形レンズを有するとともに、像側の1枚以上のレンズが異形レンズであり、
上記可動レンズ部の物体側の、1枚以上の円形レンズのうち、少なくとも最大径のものは円形ガラスレンズであり、
上記異形レンズはプラスチックレンズであって、光軸対称レンズ形状における投射画像の結像に寄与する有効光束の光束断面を含み、この光束断面と略同形の形状を有し、
上記固定枠の中心軸は上記光軸Aに合致し、
上記可動枠の回転中心軸が、上記光軸Bに対し、上記画像表示面と逆向きにずらされることにより、上記固定枠と可動枠の中心軸が互いに平行に分離し、
上記円筒状の可動枠の内径が、上記最大径の円形ガラスレンズの外周と、最大径の異形レンズの外周に略外接し、
上記凹面鏡により投射面へ向かって、上記光軸よりも上記画像表示面のずらされている側へ反射される投射結像光束が、上記可動枠と干渉しない範囲で、上記可動枠に最近接するように、上記固定枠および可動枠およびこれらに保持されるレンズ、凹面鏡、上記画像表示面の位置関係が設定されていることを特徴とする投射結像光学系。 - 請求項1記載の投射結像光学系の、可動レンズ部と凹面鏡との間に、固定異形レンズを有し、
この固定異形レンズは、その光軸対称レンズ形状における投射画像の結像に寄与する有効光束の光束断面を含み、その設計上の円形レンズ形状よりも小さい形状を有し、
上記固定異形レンズを固定的に保持する保持枠は、可動枠における最も像側の異形レンズの最も像側の位置に応じた光軸B方向の端部に対し、凹面鏡による投射結像光束を避ける方向へずれて段差を形成していることを特徴とする投射結像光学系。 - 請求項2記載の投射結像光学系において、
固定異形レンズを保持する保持枠が、可動枠と一体的に形成されていることを特徴とする投射結像光学系。 - 請求項1〜3の任意の1に記載の投射結像光学系を用いるプロジェクタ装置。
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