(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図10を参照して説明する。
図1に示すように、電気掃除機1Aは、掃除機本体2と、ホース3と、手元操作スイッチSW等が設けられた操作管4と、継手管(管)としての延長管5と、第1の吸込具6および第2の吸込具7とを備えて構成されている。第1の吸込具6の根元部に第2の吸込具7の先端部が接続され、第2の吸込具7の根元部に延長管5の先端部が接続され、延長管5の根元部に操作管4の先端部が接続され、操作管4の根元部にホース3が接続され、ホース3の根元部が掃除機本体2の前端部に接続される。なお、第2の吸込具7は、延長管5と操作管4との間に接続してもよく、しなくてもよい。また、以下の説明で各部の方向を言うときには、図2に示す方向を基準とする。
図2に示すように、掃除機本体2の上面には、開閉自在な蓋体2aが設けられており、蓋体2aを開くことにより、集塵ケース10が収容される集塵ケース室2bが露出するようになっている。なお、第1実施形態に係る電気掃除機1Aは、紙パックを使用しないタイプであり、集塵ケース10内に塵埃を直接溜めるタイプであるが、紙パックを使用するタイプにも適用可能である。
集塵ケース10は、前面にホース3からの塵埃が流入する流入口(図示せず)が形成され、後面に濾過フィルタ13(図4参照)が取り付けられて構成されている。また、集塵ケース10は、集塵ケース室2bに対して着脱自在に設けられており、清掃終了後等に定期的に集塵ケース室2bから取り出される。そして、集塵ケース10の内部に捕集された塵埃がごみ箱等に捨てられる。集塵ケース室2bは、掃除機本体2の内部の前側に形成されている。
図3に示すように、掃除機本体2は、上下方向(鉛直方向)の略上半分の外形を成す上本体ケース2Aと、略下半分の外形を成す下本体ケース2Bとが組み合わされて掃除機本体2の外観が構成されている。なお、図3は、集塵ケース10を取り外した状態である。
掃除機本体2の内部には、右後側に電動送風機20Aが配置され、電動送風機20Aの左側にコードリール30が配置されている。前側の集塵ケース10(図2参照)と、後側の電動送風機20Aおよびコードリール30との間には、掃除機本体2の内部を前後に区画する中央区画壁11が配置されている。
中央区画壁11は、集塵ケース10から出た空気を電動送風機20Aに導くダクトを形成している。また、中央区画壁11には、集塵ケース10に設けられた濾過フィルタ13(図4参照)を叩くことで、濾過フィルタ13の集塵ケース10の内側に付着した塵埃を除去する除塵装置12が設けられている。
除塵装置12は、濾過フィルタ13を叩く打撃除塵子12a、打撃除塵子12aを駆動させるシリンダ12b、打撃除塵子12aを一方向(前方)に付勢するコイルばね(図示せず)などで構成されている。
前記した除塵装置12では、コードリール30の電源コード31の引き出し(コード引き出し)、ないし電源コード31の巻き取り(コード巻き取り)に伴い、コードリール30のリール部32に設けられた大径の歯車Gの回転力が、小径の中間ギアg1、小径の伝達ギアg2を介してシリンダ12bに伝達されるようになっている。
なお、除塵装置12は、コード引き出し時およびコード巻き取り時の双方において動作するものに限定されず、シリンダ12bに一方向のみの回転が伝わるクラッチ機構(図示せず)を設けて、コード巻き取り時にはシリンダ12bが回転しないようにしてもよい。または、コード引き出し時にシリンダ12bが回転しないものであってもよい。
また、除塵装置12は、コードリール30の動作時の力に基づいて動作するものに限定されず、電動機(モータ)を用いて、コード引き出し時やコード巻き取り時に、図示しない制御部の制御によって電動機を駆動し、除塵装置12を作動させるようにしてもよい。
また、中央区画壁11は、打撃除塵子12aの下流側に、中央部が同心円状に配置される環状の支骨群11aと、該支骨群11aの外側に放射状に延びる支骨群11bとで構成されている。
これにより、集塵ケース10の濾過フィルタ13(図4参照)を通過した排気(空気)は、除塵装置12の打撃除塵子12aの枠状の隙間、中央区画壁11の支骨群11a,11bの隙間を通って電動送風機20Aに向けて排出される。
図4に示すように、電動送風機20Aは、電動機部(図示せず)の周囲およびファン部(図示せず)の円周を覆うモータケース21、該モータケース21の周囲を覆う外ケース22、防振キャップ23、防振ゴム24を備えて構成されている。
モータケース21は、ファン部が前方を向くように横置きされ、前面に集塵ケース10からの排気を吸引する吸気口21aが形成され、後部に吸気口から吸い込んだ空気をモータケース21の外部に排出する排気孔21bが形成されている。
外ケース22は、モータケース21を収容するとともに、下部に排気孔21bからの排気を外ケース22の外部に排出する排出口22aが形成されている。なお、外ケース22は、合成樹脂などで形成され、掃除機本体2の下本体ケース2Bにねじなどを用いて固定されている。また、外ケース22の上部には、制御基板70が搭載されている。
防振キャップ23は、電動機部(不図示)の後部に配置され、外ケース22との間に介装されてモータケース21を弾性支持するように構成されている。
防振ゴム24は、ファン部の周囲を覆うように略環状に形成され、モータケース21の前面に嵌合している。また、防振ゴム24は、前面部分が中央区画壁11に形成された円環状リブ11cに密着し、外周面部分が外ケース22と密着してモータケース21を弾性支持するように構成されている。
これにより、電動送風機20Aの吸気口21aから吸気された排気は、モータケース21内のファン部および電動機部を通って排気孔21bから排出され、外ケース22の排出口22aから掃除機本体2の底部(下本体ケース2Bの底面2t)に向けて排出される。なお、モータケース21の排気孔21bと外ケース22の排出口22aとの間には、電動機部側のモータケース21を取り囲むようにフィルタ25が周状に配置されている。
図5に示すように、コードリール30は、電源コード31が巻き取られたリール部32が下本体ケース2Bに支持されている。なお、詳細には図示していないが、コードリール30の空間は、リール部32の壁によって電動送風機20Aの空間と仕切られている。
これにより、図5(a)に示すように、電動送風機20Aの排出口22a(図4参照)から排出された排気は、コードリール30の中央部を通り、そして図5(b)に示すように、巻回された電源コード31に向けて放射状に広がり、電源コード31の収納口50Aに形成された隙間を通って掃除機本体2から水平方向後方に向けて排出される。
図6に示すように、掃除機本体2の後部には、第1の排気口40A、電源コード31の収納口50A、第2の排気口60Aが設けられている。なお、本実施形態では、第1の排気口40A、収納口50A、第2の排気口60Aが、すべて上本体ケース2Aに設けられているので、例えば、上本体ケース2Aのみに第2の排気口60Aの加工を施せばよいのでコスト的に安価である。
第1の排気口40Aは、掃除機本体2の上部に形成され、上下方向に細長いスリット状の長孔41が複数形成され、各長孔41が左右方向に等間隔で配置されて構成されている。また、第1の排気口40Aは、斜め上向きの面に形成されている(図4参照)。ただし、第1の排気口40Aは、水平な向きの面に形成されてもよい。
各長孔41内には、複数の補強リブ42が上下方向に間隔を置いて形成されている。各補強リブ42の上面42aおよび下面42bは、いずれも水平方向に沿って形成されている(図4参照)。したがって、第1の排気口40Aが形成される面は斜め上向きとなっているが、第1の排気口40Aから出る排気は、補強リブ42の水平面に沿って掃除機本体2から水平方向に排出されるようになっている。ただし、各補強リブ42の上面42aおよび下面42bを、水平方向に対して斜め上向きに形成し、第1の排気口40Aから出る排気を、掃除機本体2から斜め上向きに排出されるようにしてもよい。
収納口50Aは、横向き(水平方向後向き)に略四角形状となるようにして開口し、コード巻き取り時またはコード引き出し時の通路となり、電源コード31のプラグPGが横向きの状態で収容されるように構成されている。また、収納口50Aは、掃除機本体2の左右方向の中央と、第1の排気口40Aの左端との間に位置している。なお、長孔41は、収納口50Aが位置する領域が短く形成され、収納口50Aが長孔41側に入り込むようになっている。
なお、運転時には電源コード31(図5参照)が熱くなるので、冷却のために電源コード31に対して空気(排気)が流れるように構成されており、電源コード31を冷却後に収納口50Aの隙間から空気が掃除機本体2から外部に排出されるようになっている。本実施形態では、収納口50Aは、第1の排気口40Aに含まれるものとする。
第2の排気口60Aは、収納口50Aを挟んで、第1の排気口40Aの下側に形成されている。また、第2の排気口60Aは、左右方向に延びる横長形状を呈し、左右方向中央よりも左寄りに配置された収納口50Aの下側まで延びて形成されている。
なお、掃除機本体2の後部には、第1の排気口40Aと第2の排気口60Aとの間に、電気掃除機1Aの収納時に掃除機本体2を立てて収納する際に床面に当接して支持する支持部T1が後方に向けて突出して形成されている(図4参照)。
図7に示すように、第2の排気口60Aは、合成樹脂などで一体に形成された排気部材61が、掃除機本体2(図6参照)後部に形成された所定の切欠き孔(図示せず)に嵌着されることによって取り付けられている。このように、第1の排気口40Aが形成された上本体ケース2Aに対して、第2の排気口60Aを取り付けるための切欠き孔を形成するだけでよいので、設計変更を容易かつ安価に行うことができる。
排気部材61は、略四角横長形状の枠体62を有している。枠体62は、上下方向の上側の枠を構成する上枠部62a、下側の枠を構成する下枠部62b、左側の枠を構成する左枠部62c、右側の枠を構成する右枠部62dで構成されている。よって、上枠部62aの内側の壁面と、下枠部62bの内側の壁面と、左枠部62cの内側の壁面と、右枠部62dの内側の壁面とによって、第2の排気口の流路Rが構成されている。排気部材61の開口断面形状は、略四角横長形状の代わりに、略小判形状、略楕円形状、略円形状でもよい。
また、排気部材61は、枠体62の内側に、第2の排気口60A(図4参照)を左右方向に横断する2本の横リブ63a,63bが形成されている。横リブ63a,63bは、それぞれ左右両端が枠体62の左枠部62c、右枠部62dまで延びて形成され、互いに上下方向に間隔を開けて平行に配置されている。2本の横リブ63a,63bが配置されることによって、流路Rが上下方向に3つに区画されている。ただし、2本の横リブ63a,63bはなくてもよい。
また、排気部材61は、枠体62の内側に、第2の排気口60A(図4参照)を上下方向に横断する2本の縦リブ64,64が形成されている。各縦リブ64は、側面視において略三角状に形成されている。2本の縦リブ64,64が配置されることによって、流路が左右方向に3つに区画されている。ただし、2本の縦リブ64,64はなくてもよい。
また、排気部材61は、縦リブ64と縦リブ64との間に、第2の排気口60Aを上下方向に横断する2本の補強リブ65,65が形成されている。また、縦リブ64と左枠部62cとの間には、上下方向に横断する補強リブ66が形成され、縦リブ64と右枠部62dとの間にも、同様に上下方向に横断する補強リブ66が形成されている。ただし、2本の補強リブ65,65はなくてもよい。そして、枠体62、2本の横リブ63a,63b、2本の縦リブ64,64、2本の補強リブ65,65によって、第2の排気口60Aの各穴の開口断面形状は、略四角形状となるが、第2の排気口60Aの各穴の開口断面形状は、略小判形状、略楕円形状、略円形状でもよい。
図8に示すように、排気部材61は、上枠部62aの内壁面である上壁面62a1の長さをL1とし、下枠部62bの内壁である下壁面62b1の長さをL2としたときに、長さL1が長さL2よりも長くなるように形成されている。なお、上壁面62a1の長さL1とは、排気(空気)と接する面における排気の入口縁部から出口縁部までの長さを意味している。また、下壁面62b1の長さL2も、上壁面62a1と同様に、排気(空気)と接する面における排気の入口縁部から出口縁部までの長さを意味している。
また、排気部材61の横リブ63aは、上向きの壁面63a1の長さをL3とし、下向きの壁面63a2の長さをL4としたときに、長さL3と長さL4とが同じ長さになるように形成されている。また、壁面63a1の長さL3および壁面63a2の長さL4は、上壁面62a1の長さL1よりも短く形成されている。なお、長さL3と長さL4は同じ長さに限定されるものではなく、L3>L4(ただし、L1>L3)としてもよい。
また、排気部材61の横リブ63bは、上向きの壁面63b1の長さをL5とし、下向きの壁面63b2の長さをL6としたときに、長さL5と長さL6とが同じ長さになるように形成されている。また、壁面63b1の長さL5および壁面63b2の長さL6は、壁面63a2の長さL4よりも短く形成され、かつ、下壁面62b1の長さL2よりも長くなるように形成されている。なお、前記と同様に、L5とL6は同じ長さに限定されるものではなく、L5>L6(ただし、L6>L2、L4>L5)としてもよい。
また、排気部材61は、上壁面62a1、下壁面62b1および壁面63a1,63a2,63b1,63b2は、水平方向に対して前側よりも後側が高くなるように上向きで、かつ、水平方向に対して角度α(例えば、15度)となるように形成されている(図8参照)。
また、排気部材61は、枠体62の後端部に外側方に向かって鍔部62eが形成されている。すなわち、上枠部62aについては、鉛直方向上方に向かって、下枠部62bについては、鉛直方向下方に向かって、左枠部62cについては、左側方に向かって、右枠部62dについては、右側方に向かって延出している。なお、図8では上下方向のみ図示している。
鍔部62eは、その前面62e1が掃除機本体2の後部パネル2p(図9参照)と同一面となるように形成されている。したがって、上壁面62a1、下壁面62b1および壁面63a1,63a2、63b1,63b2によって構成される流路Rが、掃除機本体2の内側に向けて突出するように形成されている(図4参照)。
すなわち、排気部材61の上壁面62a1が掃除機本体2の内側に突出するように構成されている。よって、掃除機本体2の後部パネル2pの表面からは、鍔部62eの厚み分のみが外側に突出するようになっている。換言すると、上壁面62a1が形成される上枠部62aの掃除機本体2の内部への形成量(突出量)は、下壁面62b1が形成される下枠部62bの掃除機本体2の内部への形成量(突出量)よりも大きくなるように構成されている。
なお、本実施形態では、第2の排気口60Aを構成する排気部材61を別部材(別ピース)で構成したが、これに限定されるものではなく、掃除機本体2の上本体ケース2Aに第2の排気口60Aとしての流路Rを直接に(一体に)形成してもよい。
図9に示すように、電動送風機20Aの排出口22aから排出された排気は、白抜き矢印において、(a)で示すように、電動送風機20Aと掃除機本体2の後部パネル2pとの間に形成された排気流路R1を上昇する。そして、白抜き矢印の(b)および(c)で示すように、第1の排気口40Aから水平方向の後方に向けて排出される。同時に、白抜き矢印(d)で示すように、電動送風機20Aの排出口22aと第1の排気口40Aとの間に形成された第2の排気口60Aから水平方向に対して斜め上向きに排出される。
また、電動送風機20Aの排出口22aから排出された排気は、コードリール30側にも導かれ、コードリール30の中心部を通って、電源コード31を外周方向に向かって放射状に流れる(図5(a)参照)。このとき、排気が電源コード31と電源コード31との隙間を流れることにより、電源コード31が冷却される。電源コード31の外側に排出された排気は、収納口50Aの隙間から掃除機本体2の後方に向けて水平方向に排出され(図5(b)参照)、同時に第2の排気口60Aの左寄りの部分から水平方向に対して上向きに排出される。
このように、図9において白抜き矢印の(c)で示すように、第1の排気口40Aおよびコードリール30の収納口50A(図5(b)参照)から水平方向後方へ排出された排気は、図9において白抜き矢印の(d)で示すように、第2の排気口60Aから斜め上向きに排出された排気と掃除機本体2の後方において干渉し、その結果、図9において白抜き矢印の(e)で示すように、水平方向に対して上向きの排気となって後方へ流れるようになる。
さらに説明すると、図10に示すように、第2の排気口60Aから排出される排気は、白抜き矢印で示すように、上壁面62a1と壁面63a1との間に形成される流路、壁面63a2と壁面63b1との間に形成される流路、壁面63b2と下壁面62b1との間に形成される流路を通過する際、上壁面62a1、下壁面62b1、壁面63a1,63a2,63b1,63b2の傾きαに沿って流れる。しかし、上壁面62a1、下壁面62b1、壁面63a1,63a2,63b1,63b2を通過した排気は、傾きαよりも大きい傾きβ、つまり傾きαよりもさらに上向きとなって第2の排気口60Aから排出されるようになる。
つまり、上壁面62a1の長さL1(図8参照、以下同様)が壁面63a1の長さL3よりも長く形成されているので、上壁面62a1に沿って流れる排気の摩擦が、壁面63a1に沿って流れる排気の摩擦よりも大きくなることで、第2の排気口60Aを出たときの排気の角度が、上壁面62a1側に傾いた状態で第2の排気口60Aの流路Rから排出されることになる。このような効果をコアンダ効果という。
同様に、壁面63a2の長さL4が壁面63b1の長さL5よりも長く形成されているので、壁面63a2側にさらに傾いた状態で第2の排気口60Aの流路Rから排出される。また、壁面63b2および下壁面62b1についても同様にして、壁面63b2側にさらに傾いた状態で第2の排気口60Aの流路Rから排出される。
また、第1の排気口40Aは、第2の排気口60Aよりも、掃除機本体2内の電動送風機20Aの排気流路R1上、下流側に位置している、つまり、電動送風機20Aから第1の排気口40Aに至るまでの排気流路の間に第2の排気口60Aが位置するので、第2の排気口60Aから第1の排気口40Aまでの間において圧力損失が生じて、上流側の第2の排気口60Aからの方が第1の排気口40Aよりも勢いよく排気が出ることになる(流速が速い)。また、第2の排気口60Aを掃除機本体2の後部パネル2pに対して内側に突出させて流路Rを構成しているので、電動送風機20Aと後部パネル2pとの間の排気流路R1が狭まることで、排気流路R1から第2の排気口60Aに排気が流れ込み易くなり、第2の排気口60Aからの排気が出易くなっている。さらに、掃除機本体2内に突出した第2の排気口60Aの開口面は、水平方向ではなく、斜め上向きであり、つまり、第2の排気口60Aの下壁面よりも上壁面のほうが掃除機本体2内に突出している。よって、掃除機本体2内に突出した第2の排気口60Aの開口面が、排気流路R1内の下から上へ向かって流れる排気の向きにわずかに対向することとなるため、排気流路R1から第2の排気口60Aに排気が流れ込み易くなり、第2の排気口60Aからの排気が出易くなっている。したがって、第2の排気口60Aからの排気が、第1の排気口40Aからの排気に干渉して打ち勝って、第1の排気口40Aから水平に排出される排気を上向きにできるようになっている。
ちなみに、排気の音については、電動送風機20Aから第1の排気口40Aまでの流路の長さを長く設定することにより、排気音を低減できるようになっている。しかし、第1の排気口40Aから排気を多く出すと、床面の塵埃を巻き上げることになる。そこで、第1の排気口40Aよりも流速が速い上流側に第2の排気口60Aを設けて、第2の排気口60Aから少量の排気を上向きに排出することにより、排気音を過度に大きくすることなく、床面の塵埃の巻き上げを抑制することが可能になる。第2の排気口60Aの開口面積を、第1の排気口40Aの開口面積よりも大きくして、第2の排気口60Aからの排気の流速を速めてもよい。
以上説明したように、第1実施形態の電気掃除機1Aでは、第2の排気口60Aの流路が水平方向に対して斜め上向きに形成され、上壁面62a1の長さが下壁面63b1の長さよりも長く形成されているので、第2の排気口60Aからの排気を第1の排気口40Aからの水平方向の排気と干渉させることが、より小さい傾きの面(より少ない上向きの面)により可能となり、全体として上向きの排気とすることができ(図9参照)、床面の塵埃の巻き上げを抑制することが可能になる。
しかも、第1実施形態では、第2の排気口60Aの孔が真上ではなく、水平方向に対して上向き、しかも前記したコアンダ効果を利用してより小さい傾きに設定されているので、液体や塵埃などの異物の侵入を効果的に抑制することができる。また、第1実施形態では、第2の排気口60Aからの排気が斜め上向きに設定されているので、排気が使用者の衣服や顔などに当たるのを防止することができ、使用者が不快に感じるのを防止できる。また、第1実施形態では、第2の排気口60Aが、掃除機本体2の後部パネル2pの表面から後方へほとんど突出することがないので(本実施形態では、鍔部62eの厚み分のみ突出)、換言すると第2の排気口60Aが、支持部T1と車輪Wの接点Q1とを結ぶ直線(破線)よりも前方(掃除機本体2を立てた状態では上方)に位置しているので(図4参照)、掃除機本体2の車輪Wの位置を後方に移動させる必要がなく、掃除機本体2が大型化することがない。
また、第1実施形態では、上壁面62a1(第1の排気口に近い壁面)の長さL1が壁面63a1(前記近い壁面に対向する壁面)の長さL3より長く形成されている。また、壁面63a2(第1の排気口に近い壁面)の長さL4は、壁面63b1(前記近い壁面に対向する壁面)の長さL5より長く形成されている。また、壁面63b2(第1の排気口に近い壁面)の長さL6は、下壁面62b1(前記近い壁面に対向する壁面)の長さL2より長く形成されている。したがって、上壁面62a1、下壁面62b1、壁面63a1,63a2,63b1,63b2の傾きαよりもさらに上向き(傾きβ)の排気とすることができる。このようにして、より小さい傾きの面(より少ない上向きの面)により構成された流路Rで排気を第1の排気口40Aからの排気と干渉させ、全体として斜め上向きの排気とすることができる。よって、床面の塵埃の巻き上げを防止することができる。
また、換言すると、第1実施形態では、上壁面62a1の掃除機本体2(後部パネル2p)の内側への形成量(突出量)は、第2の排気口60Aの流路Rを形成する壁面のうち下壁面62b1の掃除機本体2(後部パネル2p)の内側への形成量(突出量)よりも長い(大きく)形成されているので、より小さい傾きの面による流路Rからの排気を第1の排気口40Aからの排気と干渉させることができ、全体として斜め上向きの排気とすることができる。
また、第1実施形態では、第2の排気口60Aを電源コード31の収納口50Aと上下に重なる位置まで延ばして構成、つまり収納口50Aの下側に第2の排気口60Aが位置しているので、収納口50Aを横向き(水平方向の向き)に配置して排気を水平方向に排出したとしても、第2の排気口60Aからの斜め上向きの排気によって収納口50Aからの排気を斜め上向きの排気とすることが可能になる。したがって、電源コード31の冷却風(排気)の出口となる収納口50Aからの排気による床面の塵埃の巻き上げについても抑制することが可能になる。第1の排気口40Aからの排気の向きが斜め上向きである場合は、第2の排気口60Aを第1の排気口40Aの下側に形成せずに、収納口50Aの下側にのみ形成してもよい。
また、第1実施形態では、第2の排気口60Aが電動送風機20Aの排出口22aから第1の排気口40Aに至るまでの排気流路R1の途中に形成され、第2の排気口60Aの流路Rを形成する上壁面62a1が、掃除機本体2の内側である排気流路の流路内に飛び出して形成されているので(図10等参照)、第2の排気口60Aから排気が出易くなり、しかも流速が速い状態の排気を第2の排気口60Aから排出できるので、第1の排気口40Aからの排気を上向きにすることが可能になる。
(第2実施形態)
図11は第2実施形態の電気掃除機を示す外観斜視図、図12は図11の電気掃除機の縦断面図である。なお、第1実施形態では、紙パックを使用しない、塵埃を排出することによって繰り返し使用可能な集塵ケース方式の電気掃除機1Aを例に挙げて説明したが、第2実施形態は、交換が必要な紙パック式の電気掃除機1Bを参照して説明する。また、第3実施形態は、第2実施形態と同様、紙パック式の電気掃除機1Cである。このように、本発明の電気掃除機は、非紙パック方式および紙パック方式のいずれにも適用することができる。
なお、第2実施形態に係る電気掃除機1Bに搭載される電動送風機20B(図12参照)は、モータケース21の上部に集塵性能の高いフィルタ25s(HEPA、ULPAなど)が配置され、フィルタ25sの上部に、フィルタ25sから出た排気(空気)を掃除機本体2の底部に導くカバー部材26を備えている。したがって、モータケース21から出た排気の全量は、フィルタ25sを通り、カバー部材26によってモータケース21の右側面(紙面裏側)を通り、電動送風機20Bの底側に導かれるようになっている。
図11に示すように、第2実施形態の電気掃除機1Bは、掃除機本体2の後部に第1の排気口40B、収納口50B、第2の排気口60B1,60B2を有している。なお、掃除機本体2の後部は、後方に向く後面2p1と、斜め後方に向けられる後面2p2とを有する後部パネル2p(図12参照)を有している。
第1の排気口40Bは、6角形状に形成された貫通孔43を複数有し、貫通孔43が上下方向に複数(本実施形態では5個)配置され、かつ、左右方向に複数(本実施形態では11個)配置されて構成されている。なお、各貫通孔43は、後部パネル2pの後面2p2に形成され、後面2p2に対して直交する向き(ほぼ直交する向き)に貫通して形成されている。すなわち、第1の排気口40Bの貫通孔43からは、排気が斜め上向きに排出されるようになっている。
収納口50Bは、第1の排気口40Bに含まれるものであり、貫通孔43の左側に配置されている。この収納口50Bは、第1実施形態の収納口50Aと同様に、コード巻き取り時またはコード引き出し時の通路となり、電源コード31のプラグPGが横向きの状態で収容されている。
第2の排気口60B1は、第1の排気口40Bの下側に位置し、第1の排気口40Bから収納口50Bまで左右方向に細長く形成されている。また、第2の排気口60B1は、掃除機本体2の後部パネル2pと一体に形成されている。なお、第2の排気口60B1は、第1実施形態の第2の排気口60Aと同様に別部材で形成されるものであってもよい。
また、第2の排気口60B1は、左右方向に細長い開口部68(図11参照)を有し、該開口部68内に左右方向に間隔を開けて補強リブ68sが形成されている。また、第2の排気口60B1は、その上側の壁を構成する壁面68aが掃除機本体2(後部パネル2p)の内側に向けて延び、下側の壁を構成する壁面68bが壁面68aに対向して形成されている。また、第2の排気口60B1は、水平方向に対して斜め上向きとなるように流路R3が形成されている。
また、壁面68aの長さL10(図12参照)は、壁面68bの長さL11より長く形成されている。なお、長さL10および長さL11は、排気の入口縁部(内側)から出口縁部(外側)までの長さを意味している。したがって、排気が第2の排気口60B1から斜め上向きに排出される際、いわゆるコアンダ効果によって、壁面68aおよび壁面68bの傾きよりも大きい傾き、つまり第1の排気口40B側にさらに傾いた状態で第2の排気口60B1の流路R3から排出される。
第2の排気口60B2は、第1の排気口40Bの上側に位置し、第1の排気口40Bから収納口50Bまで左右方向に細長く形成されている。すなわち、第2の排気口60B2は、第2の排気口60B1とで、収納口50Bを含む第1の排気口40Bを上下で挟むように構成されている。
また、第2の排気口60B2は、その上側の壁を構成する壁面69aが掃除機本体2(後部パネル2p)の内側に向けて延び、下側の壁を構成する壁面69bが壁面69aに対向して形成されている。また、第2の排気口60B2は、後面2p2に形成され、水平方向に対して斜め後方上向きとなるように形成されている。
また、壁面69bの長さL13は、壁面69aの長さL12より長く形成されている。なお、長さL12および長さL13は、排気の入口縁部(内側)から出口縁部(外側)までの長さを意味している。したがって、排気が第2の排気口60B2から斜め上向きに排出される際、いわゆるコアンダ効果によって、壁面69aおよび壁面69bの傾きよりも小さい傾き、つまり第1の排気口40B側にさらに傾いた状態で第2の排気口60B2の流路R4から排出される。
なお、第1の排気口40Bと第2の排気口60B1との間の後部パネル2pの後面2p1には、掃除機本体2を立てて収納するときに、床面に当接する支持部T2が形成されている。
このような第2実施形態の電気掃除機1Bでは、第2の排気口60B1の流路を形成する壁面のうち第1の排気口40Bからの排気に近い壁面68aの長さL10が、第2の排気口60B1の流路を形成する壁面のうち前記近い壁面に対向する壁面68bの長さL11よりも長く形成されているので、第2の排気口60B1からの排気が第1の排気口40Bからの排気側に傾いた状態で排出される。また、第2実施形態では、第2の排気口60B2の流路を形成する壁面のうち第1の排気口40Bからの排気に近い壁面69bの長さL13が、第2の排気口60B2の流路を形成する壁面のうち前記近い壁面に対向する壁面69aの長さL12よりも長く形成されているので、第2の排気口60B2からの排気が第1の排気口40Bからの排気側に傾いた状態で排出される。
ところで、後部パネル2pに形成される貫通孔43は、薄い板に孔が形成されているものであるため、貫通孔43から排気が出る際に拡散して排出されることがある。そこで、第2実施形態によれば、第1の排気口40Bからの排気が拡散して排出されたとしても、第2の排気口60B1からの排気と第2の排気口60B2からの排気とで第1の排気口40Bからの排気を挟みながら前記拡散を防止して、上向きの排気の流れとすることにより、排気の流れが整えられて、塵埃の巻き上げを抑制することが可能になる。
しかも、第2実施形態では、第2の排気口60B1,60B2の開口部68,69が真上の向きではなく、水平方向に対して斜め上向きに設定されているので、液体や塵埃などの異物の侵入を抑制することができる。また、第2実施形態では、第2の排気口60B1,60B2からの排気が斜め上向きに設定されているので、排気が使用者の衣服や顔などに当たるのを防止することができ、使用者が不快に感じるのを防止できる。また、第2実施形態では、第2の排気口60B1は、収納時に掃除機本体2を立てたときに、支持部T2と車輪Wの床面との接点Q2とを結ぶ直線(破線)よりも前方(立てた状態では上方)に位置しているので(図12参照)、第2の排気口60B1,60B2を設けたとしても、掃除機本体2の車輪Wの位置を後方に移動させる必要がなく、掃除機本体2が大型化することがない。
また、第2実施形態によれば、第2の排気口60B1,60B2を電源コード31の収納口50Bと上下に重なる位置まで延ばして構成したので、収納口50Bを横向き(水平方向)に配置したとしても、第2の排気口60B1,60B2からの各排気を収納口50Bからの排気と干渉させて挟み込むことで、全体として斜め上向きの排気とすることができる。したがって、電源コード31の冷却風(排気)の出口となる収納口50Bからの排気による床面の塵埃の巻き上げを抑制することが可能になる。
また、第2実施形態では、第2の排気口60B1が電動送風機20Bの排出口から第1の排気口40Bに至るまでの排気流路R1の途中に形成され、第2の排気口60B1の流路を形成する上壁面68aが、掃除機本体2の内側である排気流路R1の流路内に飛び出して形成されているので、排気流路R1が第2の排気口60B1の部分で流路が狭まり、第2の排気口60B1から排気が出易くなり、流速が速い状態の排気を第2の排気口60B1から排出することで、第1の排気口40Bからの排気の拡散を防止できる。
(第3実施形態)
図13は第3実施形態に係る電気掃除機を示す外観斜視図、図14は図13に示す電気掃除機の縦断面図である。なお、以下に示す第3実施形態は参考形態である。第3実施形態に係る電気掃除機1Cは、掃除機本体2の後部に第1の排気口40C、第2の排気口60Cを備えている。なお、第1の排気口40Cは、第2実施形態での第1の排気口40Bよりも全体として広い開口面積を有している。また、電動送風機20Cは、前記した電動送風機20Aと同様に、モータケース21が外ケース22によって支持されており、外ケース22の底部に形成された排出口22aを介して排気が排出されるようになっている。
すなわち、第1の排気口40Cは、上下方向および左右方向に配列された複数の貫通孔44で構成され、貫通孔44で構成された第1の排気口40Cの左側に電源コード31の収納口50Cを有している。収納口50Cは、前記した収納口50A,50Bと同様に、水平方向後方に向けて開口し、プラグPGが横向きで収容されるようになっている。
第2の排気口60Cは、収納口50Cを含む第1の排気口40Cの上部に配置され、左右方向に細長い開口部71を有し、該開口部71内に左右方向に間隔を開けて補強リブ71sが形成されている。この第2の排気口60Cは、後方に向けて斜め上向きに設定されている(図14参照)。なお、掃除機本体2の後部には、第1の排気口40Cの下側に、掃除機本体2を立てて収納したときに床面に当接する支持部T3が形成されている。
第3実施形態では、第1の排気口40Cからの排気が上向きに拡散して排出されたとしても、第2の排気口60Cからの排気によって前記拡散を防止して、斜め上向きの排気の流れとなり、排気の流れが整えられるので、塵埃の巻き上げを抑制することが可能になる。
しかも、第3実施形態では、第2の排気口60Cの開口部71が真上の向きではなく、斜め上向きに設定されているので、排気が使用者の衣服や顔などに当たるのを防止することができ、使用者が不快に感じるのを防止できる。また、第2の排気口60Cは、収納時に掃除機本体2を立てたときに、支持部T3と車輪Wの床面との接点Q3とを結ぶ直線(破線)よりも前方(立てた状態では上方)に位置しているので(図14参照)、掃除機本体2の車輪Wの位置を後方に移動させる必要がなく、掃除機本体2が大型化することがない。
また、第3実施形態によれば、第2の排気口60Cを電源コード31の収納口50Cと上下に重なる位置まで延ばして構成したので、収納口50Cを横向き(水平方向)に配置したとしても、第2の排気口60Cからの排気を収納口50Cからの排気と干渉させることで、全体として斜め上向きの整った排気とすることができる。したがって、電源コード31の冷却風(排気)の出口となる収納口50Cからの排気による床面の塵埃の巻き上げを抑制することが可能になる。
なお、前記した各実施形態では、第1の排気口と第2の排気口を上下の関係となるように配置した場合を例に挙げて説明したが、このような関係に限定されず、第1の排気口と第2の排気口を左右に配置して、第1の排気口からの排気と第2の排気口からの排気とを干渉させて、全体として排気を掃除機本体2の側方へ上向きに設定するようにしてもよい。