次に、図1から図15の各図に基づき本発明の各実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するにあたり、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
<第1の実施の形態の構成>
(ウェビング巻取装置10の機構的な全体構成の概略)
図2には第1の実施の形態に係るウェビング巻取装置10の全体構成が概略的な正面図により示されている。
この図に示されるように、本ウェビング巻取装置10はフレーム12を備えている。フレーム12は、例えば、厚さ方向が車幅方向に沿い幅方向が概ね車両前後方向に沿った板状の背板14を備えている。背板14の幅方向両端部からは背板14の厚さ方向一方の側へ向けて脚板16、18が延出されている。脚板16、18の各々は厚さ方向が背板14の幅方向に沿った板状に形成されており、この脚板16と脚板18との間にスプール20が設けられている。スプール20は軸方向が脚板16と脚板18との対向方向に沿った略円筒形状とされている。このスプール20には長尺帯状に形成されたウェビング22の長手方向基端側が係止されている。ウェビング22はその長手方向基端側からスプール20の外周部に巻取られており、その先端側はスプール20から車両上方へ引出されている。
上述した脚板16の外側(脚板16の脚板18とは反対側)には、車両が急減速した場合やスプール20がウェビング22を巻取る際の巻取方向にスプール20が急激に回転した場合に作動して、巻取方向とは反対の引出方向へのスプール20の回転を規制するロック機構や、車両が急減速した場合に作動してスプール20を巻取方向に強制的に回転させるプリテンショナ機構等が設けられており、例えば、スプール20の脚板16側の端部は脚板16に一体的に取り付けられたロック機構のハウジングに直接又はトーションシャフト等と称されるエネルギー吸収部材を介して間接的に回転自在に支持されている。なお、これらのロック機構やプリテンショナ機構に関しては基本的に周知の技術であるため、その詳細な説明は省略する。
一方、スプール20の下側にはモータ24が設けられている。モータ24は出力軸26の向きがスプール20の軸方向と同じ向きとされ、出力軸26の先端側は脚板18を通過して脚板18の外側(脚板18の脚板16とは反対側)に設けられたギヤケース30の内側に入り込んでいる。ギヤケース30の内側には、例えば、複数のギヤにより構成された減速ギヤ列等の駆動力伝達手段が設けられている。このギヤケース30の内側にはスプール20に対して実質的に相対回転不能でスプール20よりも脚板18側へ向けて突出した軸部32が脚板18を通過して入り込んでおり、上記の駆動力伝達手段を介してモータ24の出力軸26と軸部32とが機械的に連結されている。これにより、モータ24から出力された駆動力は軸部32に伝わり、更に、軸部32を介してスプール20に伝わってスプール20を巻取方向に回転させる。
さらに、上記の軸部32はギヤケース30を通過してギヤケース30の外側に突出している。ギヤケース30の外側にはスプリングケース34が設けられている。ギヤケース30の外側に突出した軸部32はスプリングケース34の内側に入り込み、スプリングケース34に回転自在に支持されている。スプリングケース34の内側には付勢手段としての渦巻きばね36が設けられている。渦巻きばね36は渦巻き方向外側の端部がスプリングケース34に直接又は間接的に係止されていると共に、渦巻き方向内側の端部が軸部32に直接又は間接的に係止され、軸部32が引出方向に回転すると渦巻きばね36が巻き締められて軸部32、ひいてはスプール20を巻取方向に付勢する。
また、このギヤケース30の内側には図3に示される第2スイッチ手段としての回転検出スイッチ40が収容されている。回転検出スイッチ40は回転体42を備えている。この回転体42は軸部32に対して同軸的且つ一体的に取り付けられている。この回転体42の外周部には複数の押圧突起44が形成されている。押圧突起44は回転体42の周方向に沿って一定間隔毎に形成されている。
この回転体42の回転半径方向外側(図3においては回転体42の上側)にはスイッチ操作部材46が設けられている。スイッチ操作部材46は基部48を備えている。基部48は軸方向が回転体42の中心軸線方向と同じ向きに沿ったシャフト50に回動自在に支持されている。この基部48の外周一部からは被押圧アーム52が基部48の回動半径方向に延出されている。この基部48の先端側は上述した複数の押圧突起44のうち回転体42の周方向に沿って互いに隣り合う回転体42の間に入り込んでいる。このため、被押圧アーム52は回転体42が回転することで押圧突起44に押圧されてシャフト50周りに回動する。
また、基部48の外周部のうち基部48における被押圧アーム52の形成位置に対してシャフト50周りに所定角度ずれた位置からはスイッチ操作アーム54が基部48の回動半径方向に延出されている。この基部48の先端の側方には押しボタン58が押圧された状態でのみ導通状態となるモーメンタリスイッチ56が設けられている。基部48の先端側はスイッチ操作部材46の基部48と対向しており、回転体42が巻取方向に回転することで押圧突起44が被押圧アーム52を押圧すると、図3の矢印A方向にスイッチ操作部材46が回動し、図3にて実線で示されるように、スイッチ操作アーム54が押しボタン58を押圧し、押圧突起44からの押圧が解消されると図3の矢印A方向とは反対の矢印B方向にスイッチ操作部材46が回動し、図3にて二点鎖線で示されるように、スイッチ操作アーム54による押しボタン58の押圧が解消される。
(ウェビング巻取装置10の制御回路80の構成)
次に、上述したモータ24を制御するための制御回路80の構成について説明する。
図1の概略的な回路図に示されるように、制御回路80は第1スイッチ手段としてのリレー82を備えている。リレー82を構成するスイッチ部84の一端は上述したモータ24に接続されていると共に他端がバッテリー86に接続されている。リレー82はコイル88の通電状態で可動接点90がモータ24とバッテリー86との間を導通させるノーマルオープンタイプとされている。このリレー82を構成するコイル88の一端はリレー制御回路92に接続されていると共に他端はアースされている。リレー制御回路92は図示しないトランジスタや抵抗等により構成されており、リレー制御回路92が通電されるとコイル88が通電されるようになっている。
このリレー制御回路92の入力端子はPNP型のトランジスタ94のコレクタ端子に接続されている。このトランジスタ94のエミッタ端子はスイッチオフ時出力回路96の出力端子に接続されている。これに対して、トランジスタ94のベース端子はスイッチオフ時出力回路96の入力端子に接続されている。さらに、トランジスタ94のベース端子とスイッチオフ時出力回路96の入力端子との間には、上述した回転検出スイッチ40のモーメンタリスイッチ56の一端が接続されており、トランジスタ94のベース端子はモーメンタリスイッチ56を介してアースされる。
スイッチオフ時出力回路96の電源入力端子はリレー102を構成するスイッチ部104の一端に接続され、このスイッチ部104を介してバッテリー86に接続されていると共に、上記のリレー制御回路92の電源入力端子がスイッチ部104とスイッチオフ時出力回路96の電源入力端子との間に接続されている。すなわち、リレー制御回路92とスイッチオフ時出力回路96とはリレー102のスイッチ部104が導通状態となった場合に作動するようになっている。
リレー102はコイル106の通電状態で可動接点108によるスイッチ部104の導通状態が解除されるノーマルクローズタイプとされており、リレー102のコイル106はバックルスイッチ112に接続されている。バックルスイッチ112は、ウェビング22に設けられたタングが装着されるバックルに設けられており、本ウェビング巻取装置10に対応したシートに着座した乗員がウェビング22を身体に装着してウェビング22に設けられたタングをバックルに装着するとバックルスイッチ112が導通状態になる。
一方、トランジスタ94のエミッタ端子とスイッチオフ時出力回路96の出力端子との間には、一端がアースされた蓄電手段としての第1コンデンサ122の他端が接続されている。回転検出スイッチ40のモーメンタリスイッチ56の導通が解除された状態、すなわち、スイッチオフ時出力回路96の出力端子からトランジスタ94を介してスイッチオフ時出力回路96の入力端子へと至る回路が閉じられた状態で第1コンデンサ122に電荷が蓄えられるようになっている。
また、トランジスタ94のコレクタ端子とリレー制御回路92の入力端子との間には一端がアースされた蓄電手段としての第2コンデンサ132の他端が接続されている。第2コンデンサ132は第1コンデンサ122よりも静電容量が小さく設定されている。回転検出スイッチ40のモーメンタリスイッチ56が導通状態になってトランジスタ94のベース端子がアースされてトランジスタ94がON状態になり、これにより、第1コンデンサ122に蓄えられた電荷が放出されると、この放出された電荷が第2コンデンサ132に蓄えられるようになっている。
なお、本実施の形態では、リレー82やリレー102を用いた構成であるが、このようなリレー82やリレー102に代わり、トランジスタや電界効果トランジスタ等で構成してもよい。
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本ウェビング巻取装置10の作用並びに効果について説明する。
本ウェビング巻取装置10に対応したシートに着座した乗員がウェビング22を装着するためにウェビング22を引っ張ると、スプール20からウェビング22が引出されてスプール20が引出方向に回転する。これにより、軸部32が引出方向に回転すると、渦巻きばね36が巻き締められる。
このようにしてスプール20から引出されたウェビング22を乗員が身体に掛け回して、ウェビング22に設けられたタングをバックルに装着すると、渦巻きばね36の付勢力でスプール20が巻取方向に回転し、乗員の身体に掛け回されたウェビング22の弛みを解消する。これにより、乗員の身体に対するウェビング22の装着状態になると共に、バックルスイッチ112が導通状態になり、リレー102にいるリレー制御回路92及びスイッチオフ時出力回路96の各電源入力端子とバッテリー86との間の導通が解除される。
一方、例えば、乗員が降車する場合等に、乗員がウェビング22の装着を解除するため、バックルを操作してバックルからタングが抜き取られると、第1コンデンサ122における導通が解除される。これにより、可動接点108によってスイッチ部104が導通状態になり、リレー制御回路92及びスイッチオフ時出力回路96が給電されてリレー制御回路92及びスイッチオフ時出力回路96が作動状態になる。
この状態で回転検出スイッチ40のモーメンタリスイッチ56が導通状態でなければ、スイッチオフ時出力回路96の出力端子からトランジスタ94を介してスイッチオフ時出力回路96の入力端子へと至る回路が閉じられ、第1コンデンサ122に電荷が蓄えられる。
また、上記のように、タングがバックルから抜き取られると、渦巻きばね36の付勢力で軸部32が巻取方向に回転する。軸部32が巻取方向に回転することで回転体42が巻取方向に回転する。回転体42が一定角度回転するたびに押圧突起44が被押圧アーム52を押圧してスイッチ操作部材46をシャフト50周りに回動させると、スイッチ操作アーム54がモーメンタリスイッチ56の押しボタン58を押圧してモーメンタリスイッチ56を導通状態にする。
このように、モーメンタリスイッチ56が導通状態になると、トランジスタ94のベース端子がアースされるので、それまでよりも大きな電流がトランジスタ94のエミッタ端子とベース端子との間を流れ、トランジスタ94がON状態になる。これにより、第1コンデンサ122に蓄えられた電荷が第2コンデンサ132に移り、第2コンデンサ132に電荷が蓄えられる。この第2コンデンサ132に蓄えた電荷によりリレー制御回路92はコイル88に電流を流し、可動接点90でスイッチ部84を導通状態にする。これにより、モータ24が駆動すると、この駆動力が軸部32を介してスプール20に伝わり、スプール20を巻取方向に回転させる。これにより、モータ24の駆動力によるウェビング22の巻取りが開始される。
このように、モータ24の駆動力で軸部32が巻取方向に回転すると、回転体42もまた巻取方向に回転する。これにより、回転検出スイッチ40におけるモーメンタリスイッチ56の導通と導通の解除とが繰り返される。このモーメンタリスイッチ56の導通と導通の解除とが繰り返しにおいて第1コンデンサ122の充電と第1コンデンサ122から第2コンデンサ132への電荷の移動が繰り返され、第2コンデンサ132から電荷が全て放出される前に第2コンデンサ132に断続的に電荷が蓄えられることになる。これにより、リレー82のスイッチ部84の導通状態、すなわち、モータ24の駆動状態が連続し、スプール20にウェビング22が巻取られる。
スプール20にそれ以上ウェビング22を巻取ることができない所謂「全格納状態」になると、軸部32の巻取方向への回転も停止し、回転体42の巻取方向への回転も停止する。この状態で、回転体42の押圧突起44がスイッチ操作部材46の被押圧アーム52を押圧していなければ、第2コンデンサ132の電荷が全て放出されるまでスイッチ部84における導通状態が継続した後、スイッチ部84の導通状態が解除されてモータ24が停止する。
一方、「全格納状態」で回転体42の押圧突起44がスイッチ操作部材46の被押圧アーム52を押圧した状態であれば、第1コンデンサ122及び第2コンデンサ132の双方に蓄えられた電荷が全て放出されるまでスイッチ部84における導通状態が継続した後、スイッチ部84の導通状態が解除されてモータ24が停止する。
以上のように、本ウェビング巻取装置10では、乗員がウェビング22の装着を解除してから「全格納状態」になるまでの間、モータ24の駆動力でウェビング22を巻取って格納できるので、渦巻きばね36の付勢力は乗員の身体にウェビング22が装着された際にウェビング22の弛みを解消できる程度の大きさであればよく、渦巻きばね36の付勢力を小さくすることができる。これにより、乗員がウェビング22を装着した状態でウェビング22から受ける圧迫感を軽減できる。
また、本ウェビング巻取装置10では、上記のように、センサIC等の高価な部品を用いなくても、第1コンデンサ122、132やトランジスタ94、リレー82等で構成される回路によりスプール20にウェビング22を巻取らせてウェビング22を格納するためのモータ24の駆動を制御でき、コストを安価にできる。
さらに、回転体42における押圧突起44の形成角度(回転体42の周方向に沿って隣り合う押圧突起44の間隔)を調整することでモータ24の駆動開始の感度を簡単に調整できる。このため、例えば、車種やウェビング巻取装置10の機種毎にモータ24の駆動開始の感度が異なったとしても、押圧突起44だけを代えればよい。
なお、本実施の形態では、モーメンタリスイッチ56の導通が解除状態で第1コンデンサ122に電荷が蓄えられ、モーメンタリスイッチ56の導通状態で第1コンデンサ122から第2コンデンサ132に電荷が移ってモータ24が駆動される構成であったが、モーメンタリスイッチ56の導通状態で第1コンデンサ122に電荷が蓄えられ、モーメンタリスイッチ56の導通が解除された状態で第1コンデンサ122から第2コンデンサ132に電荷が移ってモータ24が駆動される構成としてもよい。
次に、第2の実施の形態について説明する。
<第2の実施の形態の構成>
(ウェビング巻取装置160の機構的な全体構成の概略)
図4には本実施の形態に係るウェビング巻取装置160の全体構成が概略的な正面図により示されている。
この図に示されるように、本ウェビング巻取装置160ではモータ24の出力軸26が脚板16を通過して脚板16の外側(脚板16の脚板18とは反対側)に設けられたギヤケース30の内側に入り込んでいる。また、本ウェビング巻取装置160では脚板18の外側(脚板18の脚板16とは反対側)では脚板18にスプリングケース34が設けられており、このギヤケース30の内側にはスプール20に対して実質的に相対回転不能でスプール20よりも脚板18側へ向けて突出した軸部35が脚板18を通過して入り込み、スプリングケース34に回転自在に支持されている。
また、本ウェビング巻取装置160ではスプリングケース34の内側には付勢手段としての渦巻きばね36が設けられており、渦巻きばね36の渦巻き方向外側の端部がスプリングケース34に直接又は間接的に係止されていると共に、渦巻き方向内側の端部が軸部35に直接又は間接的に係止され、軸部35が引出方向に回転すると渦巻きばね36が巻き締められて軸部35、ひいてはスプール20を巻取方向に付勢する。
また、このギヤケース30の内側には図5に示される回転プレート172が設けられている。図5に示されるように、回転プレート172は円板部174を備えている。円板部174はスプール20に対して同軸の円板形状に形成されている。円板部174の中央には外周形状が円形の軸支部176が形成されている。軸支部176は円板部174のスプール20とは反対側で円板部174に対して同軸的に形成されている。この円板部174及び軸支部176の中央部に嵌合孔178が形成されている。
嵌合孔178は内周形状が非円形とされており、円板部174及び軸支部176を貫通している。この嵌合孔178に対応して軸部35のスプール20側には嵌合部180が形成されている。嵌合部180は外周形状が嵌合孔178の内周形状と同じ形状に設定されており、嵌合孔178に嵌合部180が嵌め込まれることで、回転プレート172が軸部35、ひいては、スプール20に対する相対回転が基本的に不能な状態でスプール20に対して同軸的に配置される。
一方、回転プレート172のスプール20とは反対側には慣性体としての慣性回転板182が設けられている。慣性回転板182は外径寸法が円板部174の外径寸法よりも小さな円板形状とされている。この慣性回転板182の中央部には円孔184が慣性回転板182に対して同軸的に形成されている。円孔184の内径寸法は軸支部176の外径寸法よりも僅かに大きく、円孔184を軸支部176が貫通して軸支部176が慣性回転板182を回転自在に支持する。
また、上記の回転プレート172にはストッパ192が形成されている。ストッパ192は当接壁194を備えている。当接壁194は厚さ方向が回転プレート172の回転周方向に沿った板状に形成されており、慣性回転板182を介して円板部174とは反対側で且つ慣性回転板182の外周部よりも半径方向内側に設けられる。また、ストッパ192は連結片196を備えている。連結片196は厚さ方向が回転プレート172の回転周方向に沿った板状に形成されている。連結片196は慣性回転板182の半径方向外側に設けられ、連結片196における円板部174の軸方向に沿った一端は円板部174に繋がり、他端は当接壁194に繋がっている。
さらに、ストッパ192よりも引出方向側では回転プレート172にスプリング係止壁202が形成されている。スプリング係止壁202は当接壁204を備えている。当接壁204は厚さ方向が回転プレート172の回転周方向に沿った板状に形成されており、慣性回転板182を介して円板部174とは反対側で且つ慣性回転板182の外周部よりも半径方向内側に設けられる。また、スプリング係止壁202は連結片206を備えている。連結片206は厚さ方向が回転プレート172の回転周方向に沿った板状に形成されている。連結片206は慣性回転板182の半径方向外側に設けられ、連結片206における円板部174の軸方向に沿った一端は円板部174に繋がり、他端は当接壁204に繋がっている。
一方、慣性回転板182の円板部174とは反対側の面にはスプリング係止壁210が形成されている。スプリング係止壁210は厚さ方向が慣性回転板182の回転周方向に沿った板状に形成されており、ストッパ192とスプリング係止壁202との間にスプリング係止壁210が位置している。このスプリング係止壁210とスプリング係止壁202の当接壁204との間には、付勢手段としての圧縮コイルばね212が設けられている。圧縮コイルばね212はその一端がスプリング係止壁202の当接壁204に圧接していると共に他端がスプリング係止壁210に圧接し、スプリング係止壁210がストッパ192の当接壁194に当接するまで回転プレート172に対して慣性回転板182を巻取方向側へ付勢している。
上記の当接壁204の連結片206とは反対側(円板部174の半径方向内側)の端部からは回動規制壁214が巻取方向側へ延出されている。この回動規制壁214の先端(巻取方向側の端部)はスプリング係止壁210と対向しており、慣性回転板182が引出方向側へ所定角度回動するとスプリング係止壁210が回動規制壁214の先端に当接し、回転プレート172に対する慣性回転板182のそれ以上の引出方向への相対回転が規制される。
一方、円板部174においてその半径方向に沿った軸支部176と回動規制壁214との間には、各々が被検出体としての複数の永久磁石222が円板部174の中心周りに一定間隔毎に設けられている。これらの永久磁石222に対応して慣性回転板182には複数の透孔224が慣性回転板182の中心周りに一定角度毎に形成されている。透孔224の数は永久磁石222の数と同じとされており、したがって、慣性回転板182の中心周りに互いに隣り合う透孔224が成す角度は円板部174の中心周りに互いに隣り合う永久磁石222が成す角度と同じである。また、慣性回転板182の中心から慣性回転板182の半径方向に沿った透孔224の形成位置は、円板部174の中心から円板部174の半径方向に沿った永久磁石222の配置位置と同じとされている。
ここで、図6及び図7に示されるように、慣性回転板182に形成されたスプリング係止壁210が円板部174に形成された当接壁194に当接した状態では、永久磁石222に対して透孔224が慣性回転板182の中心周りに互いに隣り合う透孔224が成す角度の半分だけずれるように透孔224の形成位置やスプリング係止壁210の形成位置が設定されている。
さらに、図5に示されるように、スプリング係止壁210が当接壁194に当接した状態から慣性回転板182が円板部174に対して引出方向に相対回転してスプリング係止壁210が回動規制壁214の先端に当接するまでの慣性回転板182の回転角度は慣性回転板182の中心周りに互いに隣り合う透孔224が成す角度の半分になるように回動規制壁214が設定されている。このため、回動規制壁214にスプリング係止壁210が当接するまで慣性回転板182が軸支部176周りに相対回転すると、回転プレート172及び慣性回転板182の軸方向に永久磁石222と透孔224とが対向する。
一方、図4及び図5に示されるように、慣性回転板182の円板部174とは反対側には検出手段としてのホール素子226が配置されている。ホール素子226は回転プレート172及び慣性回転板182の軸方向に永久磁石222や透孔224と対向可能に配置されている。永久磁石222と透孔224とが対向した状態で永久磁石222がホール素子226に対向すると、永久磁石222の磁気をホール素子226が検出する。しかしながら、永久磁石222と透孔224とが対向していない状態で永久磁石222がホール素子226に対向しても、永久磁石222の磁気は慣性回転板182に遮られるため、ホール素子226は永久磁石222の磁気を検出できない。
(ウェビング巻取装置160の制御回路240の構成)
次に、上述したモータ24を制御するための制御回路240の構成について説明する。
図8の概略的な回路図に示されるように、制御回路240は基本的に前記第2の実施の形態における制御回路80と同じ構成である。しかしながら、制御回路240は、制御回路80とは異なり、トランジスタ94のベース端子とスイッチオフ時出力回路96の入力端子との間にNPN型のトランジスタ242のコレクタ端子が接続されている。このトランジスタ242のエミッタ端子はアースされており、トランジスタ242のコレクタ端子とエミッタ端子との間が導通状態になると、トランジスタ94のエミッタ端子とベース端子との間を流れるベース電流が増大し、トランジスタ94のエミッタ端子とコレクタ端子との間が導通状態になる。
トランジスタ242のベース端子は上述したホール素子226の出力端子に接続されており、ホール素子226が永久磁石222の磁気を検出すると、トランジスタ242のベース電流が増加しトランジスタ242のコレクタ端子とエミッタ端子との間が導通する。
<第2の実施の形態の作用、効果>
次に、本ウェビング巻取装置160の作用並びに効果について説明する。
本ウェビング巻取装置160では、例えば、乗員が降車する場合等に、乗員がウェビング22の装着を解除するため、バックルを操作してバックルからタングが抜き取られると、第1コンデンサ122における導通が解除される。これにより、可動接点108によってスイッチ部104が導通状態になり、リレー制御回路92及びスイッチオフ時出力回路96が給電されてリレー制御回路92及びスイッチオフ時出力回路96が作動状態になる。
この状態でトランジスタ242のコレクト端子とエミッタ端子との間が導通状態でなければ、スイッチオフ時出力回路96の出力端子からトランジスタ94を介してスイッチオフ時出力回路96の入力端子へと至る回路が閉じられ、第1コンデンサ122に電荷が蓄えられる。
また、上記のように、タングがバックルから抜き取られると、渦巻きばね36の付勢力で軸部35が巻取方向に回転する。軸部35が巻取方向に回転することで回転プレート172が巻取方向に回転する。これに対して、慣性回転板182は軸支部176に回転可能に支持されており、回転プレート172に対して相対回転が可能である。このため、回転プレート172が巻取方向に回転しても、慣性回転板182が慣性でとどまろうとする。
これにより、回転プレート172に対して慣性回転板182が圧縮コイルばね212の付勢力に抗して相対的に引出方向に回転する。このようにして、スプリング係止壁210が回動規制壁214の先端に当接するまで慣性回転板182が回転プレート172に対して引出方向に相対回転すると、図7に示されるように、永久磁石222と透孔224とが対向する。この状態で回転プレート172及び慣性回転板182が巻取方向に回転すると、回転プレート172及び慣性回転板182の一定角度の回転毎に透孔224を介して永久磁石222とホール素子226とが対向し、ホール素子226が永久磁石222の磁気を検出する。ホール素子226が永久磁石222の磁気を検出することでトランジスタ242のベース電流が増大すると、トランジスタ242のコレクタ端子とエミッタ端子との間が導通状態になる。
このように、トランジスタ242のコレクタ端子とエミッタ端子との間が導通状態になると、トランジスタ94のベース端子がアースされるので、それまでよりも大きな電流がトランジスタ94のエミッタ端子とベース端子との間を流れ、トランジスタ94がON状態になる。これにより、第1コンデンサ122に蓄えられた電荷が第2コンデンサ132に移り、第2コンデンサ132に電荷が蓄えられる。この第2コンデンサ132に蓄えた電荷によりリレー制御回路92はコイル88に電流を流し、可動接点90でスイッチ部84を導通状態にする。これにより、モータ24が駆動すると、この駆動力が軸部35を介してスプール20に伝わり、スプール20を巻取方向に回転させる。これにより、モータ24の駆動力によるウェビング22の巻取りが開始される。
このように、モータ24の駆動力で軸部35が巻取方向に回転すると、回転プレート172及び慣性回転板182もまた巻取方向に回転する。これにより、透孔224を介した永久磁石222とホール素子226との対向状態が断続的に繰り返される。この永久磁石222とホール素子226との対向状態が断続的に繰り返されることで第1コンデンサ122の充電と第1コンデンサ122から第2コンデンサ132への電荷の移動が繰り返され、第2コンデンサ132から電荷が全て放出される前に第2コンデンサ132に断続的に電荷が蓄えられることになる。これにより、リレー82のスイッチ部84の導通状態、すなわち、モータ24の駆動状態が連続し、スプール20にウェビング22が巻取られる。
スプール20にそれ以上ウェビング22を巻取ることができない所謂「全格納状態」になると、軸部35の巻取方向への回転も停止し、回転プレート172の巻取方向への回転も停止する。回転プレート172の巻取方向への回転が停止することで、慣性回転板182は圧縮コイルばね212の付勢力によりスプリング係止壁210がストッパ192に当接するまで巻取方向に回転し、これにより、各透孔224が永久磁石222に対して巻取方向にずれ、図6に示されるように、透孔224と永久磁石222との対向状態が解消される。この状態では、トランジスタ242のコレクタ端子とエミッタ端子との間の導通状態が解消されるので、第2コンデンサ132の電荷が全て放出されるまでスイッチ部84における導通状態が継続した後、スイッチ部84の導通状態が解除されてモータ24が停止する。
以上のように、本ウェビング巻取装置160では、乗員がウェビング22の装着を解除してから「全格納状態」になるまでの間、モータ24の駆動力でウェビング22を巻取って格納できるので、渦巻きばね36の付勢力は乗員の身体にウェビング22が装着された際にウェビング22の弛みを解消できる程度の大きさであればよく、渦巻きばね36の付勢力を小さくすることができる。これにより、乗員がウェビング22を装着した状態でウェビング22から受ける圧迫感を軽減できる。
また、本ウェビング巻取装置160では、上記のように、センサIC等の高価な部品を用いなくても、第1コンデンサ122、132やトランジスタ94、リレー82等で構成される回路によりスプール20にウェビング22を巻取らせてウェビング22を格納するためのモータ24の駆動を制御でき、コストを安価にできる。
<第3の実施の形態の構成>
(ウェビング巻取装置260の機構的な全体構成の概略)
次に、第3の実施の形態について説明する。
図9には本実施の形態に係るウェビング巻取装置260の全体構成が概略的な正面図により示されている。
この図に示されるように、本ウェビング巻取装置260はスプリングケース34の内側に回転プレート172や慣性回転板182等が設けられていない。またスプリングケース34の脚板18とは反対側にはケース262がスプリングケース34に取り付けられており、スプリングケース34に回転自在に支持された軸部35がスプリングケース34を貫通してケース262の内側に入り込んでいる。ケース262の内側には回転体としての回転プレート264が設けられている。
図10に示されるように、回転プレート264はスプール20や軸部35に対して同軸的な円板状に形成されている。回転プレート264の脚板18側の端面には円板形状又は円柱形状のボス266が回転プレート264に対して同軸的に形成されている。回転プレート264には嵌合孔268が形成されている。0168は内周形状が非円形とされており、ボス266における回転プレート264とは反対側の端面にて開口している。
この嵌合孔268に対応して軸部35の端部には嵌合部270が形成されている。嵌合部270は外周形状が嵌合孔268の内周形状と同じ形状に設定されており、嵌合孔268に嵌合部270が嵌め込まれることで、回転プレート264が軸部35、ひいては、スプール20に対する相対回転が基本的に不能な状態でスプール20に対して同軸的に配置される。
一方、回転プレート264の脚板18とは反対側の面には軸部272が形成されている。軸部272は軸方向が回転プレート264の軸方向と同じ方向を向いた円柱形状とされ、回転プレート264の中心から回転プレート264の半径方向外側へ離間した位置に形成されている。回転プレート264の脚板18とは反対側には慣性体としての揺動プレート274が設けられている。揺動プレート274は厚さ方向が回転プレート264の軸方向に沿った平板状とされている。この揺動プレート274の長手方向基端側には円孔276が形成されている。円孔276は内径寸法が軸部272の内径寸法に略等しく(厳密には僅かに大きい)、軸部272が円孔276の内側に入り込むように揺動プレート274が回転プレート264に取り付けられ、これにより、揺動プレート274が軸部272周りに揺動可能に支持される。
これに対して、揺動プレート274の先端側で且つ、揺動プレート274の幅方向略中央よりも引出方向側には取付孔278が形成されている。この取付孔278には所定の重さの質量体280が嵌め込まれている。この取付孔278と円孔276との間(すなわち、揺動プレート274の長手方向中間部)には取付孔282が形成されている。取付孔282は軸部272周りの所定の揺動位置に揺動プレート274が到達した状態で回転プレート264の回転中心と対向するように、その形成位置が設定されている。この取付孔282には磁性体により形成された磁性プレート284が嵌め込まれている。
一方、揺動プレート274よりも巻取方向側では回転プレート264にストッパ286が形成されており、このストッパ286に揺動プレート274が当接するまで軸部272周りに揺動プレート274が揺動すると、図11に示されるように、回転プレート264の回転中心に対して揺動プレート274の全体が巻取方向にずれる。これに対して、揺動プレート274よりも引出方向側では回転プレート264にストッパ288が形成されており、このストッパ286に揺動プレート274が当接するまで軸部272周りに揺動プレート274が揺動すると、図12に示されるように、取付孔282、ひいては、取付孔282に嵌め込まれた磁性プレート284が回転プレート264の回転中心と対向する。
また、図10に示されるように、回転プレート264の脚板18とは反対側には引っ張りコイルばね290が設けられている。引っ張りコイルばね290の一端は円孔276よりも巻取方向側で回転プレート264に設けられた係止ピン292に係止されており、引っ張りコイルばね290の他端は円孔276に形成された設けられた係止ピン294に係止され、揺動プレート274をストッパ286側へ付勢している。
さらに、回転プレート264には取付孔296が形成されている。取付孔296は回転プレート264の中央に形成されており、回転プレート264の脚板18とは反対側の面で開口している。この取付孔296には被検出体としての永久磁石298が取り付けられている。また、回転プレート264の脚板18とは反対側には検出手段としてのホール素子300が設けられている。ホール素子300は回転プレート264の軸方向に沿って永久磁石298と対向するように設けられており、揺動プレート274がストッパ288に当接するまで揺動すると、永久磁石298とホール素子300との間に磁性プレート284が介在する。
(ウェビング巻取装置260の制御回路310の構成)
次に、上述したモータ24を制御するための制御回路310の構成について説明する。
図13の概略的な回路図に示されるように、本実施の形態の制御回路310を前記第2の実施の形態の制御回路240と比べると、トランジスタ94、スイッチオフ時出力回路96、コンデンサ122、及びコンデンサ132を備えていない。また、この制御回路310ではトランジスタ242のエミッタ端子はアースされておらず、リレー制御回路92の入力端子に接続され、コレクタ端子はリレー102を構成するスイッチ部104の一端に接続されて、このスイッチ部104を介してバッテリー86に接続されている。
また、トランジスタ242のベース端子は反転増幅回路312の出力端子に接続されている。反転増幅回路312のプラスの入力端子及びマイナスの入力端子はホール素子300の出力端子に接続されていると共に、反転増幅回路312のマイナスの入力端子とホール素子300の出力端子との間がアースされている。したがって、ホール素子300が永久磁石298の磁気を検出していない状態でトランジスタ242のベース端子に流れる電流が増大する。
<第3の実施の形態の作用、効果>
次に、本ウェビング巻取装置260の作用並びに効果について説明する。
本ウェビング巻取装置260では、乗員がウェビング22の装着を解除するため、バックルを操作してバックルからタングが抜き取られると、渦巻きばね36の付勢力で軸部35が巻取方向に回転する。軸部35が巻取方向に回転することで回転プレート264が巻取方向に回転するが、揺動プレート274が慣性でとどまろうとする。これにより、回転プレート264に対して揺動プレート274が引っ張りコイルばね290の付勢力に抗して軸部272周りに相対的に引出方向に揺動する。
このようにして、揺動プレート274がストッパ288の先端に当接するまで揺動プレート274が回転プレート264に対して引出方向に相対的に揺動すると、図12に示されるように、永久磁石298とホール素子300との間に磁性プレート284が介在し、これにより、ホール素子300は永久磁石298の磁気を検出できなくなる。ホール素子300が永久磁石298の磁気を検出できなくなることでホール素子300から出力される電気信号のレベルが低下すると、反転増幅回路312から出力される信号の電流値が増大し、トランジスタ242のコレクタ端子とエミッタ端子との間が導通状態になり、リレー制御回路92の入力端子に電流が流れる。
リレー制御回路92の入力端子に電流が流れることでリレー制御回路92はコイル88に電流を流し、可動接点90でスイッチ部84を導通状態にする。スイッチ部84が導通状態に切り替わることでモータ24が駆動し、モータ24の駆動力が軸部35を介してスプール20に伝わり、スプール20を巻取方向に回転させる。これにより、モータ24の駆動力によるウェビング22の巻取りが開始される。
このように、モータ24の駆動力で軸部35が巻取方向に回転すると、回転プレート264もまた巻取方向に回転するので、揺動プレート274はストッパ288に当接した状態で維持され、永久磁石298とホール素子300との間に磁性プレート284が介在した状態が維持される。これにより、可動接点90がスイッチ部84を導通した状態が維持されて、モータ24の駆動状態が連続し、スプール20にウェビング22が巻取られる。
スプール20にそれ以上ウェビング22を巻取ることができない所謂「全格納状態」になると、軸部35の巻取方向への回転も停止し、回転プレート264の巻取方向への回転も停止する。回転プレート264の巻取方向への回転が停止することで、揺動プレート274は引っ張りコイルばね290の付勢力により揺動プレート274が係止ピン292に当接するまで巻取方向に回転し、これにより、永久磁石298とホール素子300との間から揺動プレート274が移動し、図11に示されるように、永久磁石298とホール素子300とが直接対向する。
永久磁石298とホール素子300とが直接対向することで、ホール素子300は永久磁石298の磁気を検出するので、ホール素子300から出力される電気信号が増大する。この増大した電気信号が反転増幅回路312に入力されることで反転増幅回路312から出力されてトランジスタ242のベース端子に入力されるベース電流が低下する。これにより、トランジスタ242のコレクタ端子とエミッタ端子との間の導通状態が解消されると、リレー82に流れる電流が低下し、可動接点90によるスイッチ部84の導通状態が解消され、モータ24が停止する。
以上のように、本ウェビング巻取装置260でも前記第2の実施の形態と同様に、乗員がウェビング22の装着を解除してから「全格納状態」になるまでの間、モータ24の駆動力でウェビング22を巻取って格納できるので、渦巻きばね36の付勢力は乗員の身体にウェビング22が装着された際にウェビング22の弛みを解消できる程度の大きさであればよく、渦巻きばね36の付勢力を小さくすることができる。これにより、乗員がウェビング22を装着した状態でウェビング22から受ける圧迫感を軽減できる。
また、本ウェビング巻取装置260では、上記のように、センサIC等の高価な部品を用いなくても、第1コンデンサ122、132やトランジスタ94、リレー82等で構成される回路によりスプール20にウェビング22を巻取らせてウェビング22を格納するためのモータ24の駆動を制御でき、コストを安価にできる。
<第4の実施の形態の構成>
次に、第4の実施の形態について説明する。
(ウェビング巻取装置340の機構的な全体構成の概略)
図14には本実施の形態に係るウェビング巻取装置340の要部の構成が前記第3の実施の形態を説明した概略的な分解斜視図に対応する図により示されている。
この図に示されるように、本ウェビング巻取装置340の要部の構成が基本的に前記第3の実施の形態に係るウェビング巻取装置260と同じであるが、本実施の形態では、回転プレート264に取付孔296が形成されておらず、また、永久磁石298も設けられていない。また、本実施の形態では、取付孔282に磁性プレート284が設けられておらず、代わりに、導電体として被検出体を一態様を構成する銅板342が嵌め込まれている。さらに、本実施の形態はホール素子300を備えておらず、代わりに検出手段としての渦電流センサ344が設けられている。
(ウェビング巻取装置340の制御回路360の構成)
次に、上述したモータ24を制御するための制御回路360の構成について説明する。
図15の概略的な回路図に示されるように、本実施の形態では、制御回路360はセンサ出力回路362に接続されている。センサ出力回路362は高周波交流電源364を備えている。高周波交流電源364が抵抗366等の負荷を介して渦電流センサ344に接続されている。これにより、渦電流センサ344には高周波の交流電流が流れ、渦電流センサ344の周囲に交番磁界が発生する。渦電流センサ344と揺動プレート274に設けられた銅板342とが対向すると、渦電流センサ344にて形成された交番磁界によって銅板342に渦電流が生じる。これにより、この渦電流損により渦電流センサ344に流れる高周波交流電流の電流値が低下する。
この渦電流センサ344と抵抗366との間では整流用のダイオード368の一端が接続されており、ダイオード368は、本実施の形態ではセンサ出力回路362を構成する反転増幅回路312のマイナスの入力端子に接続されている。また、ダイオード368と反転増幅回路312のマイナスの入力端子との間では、平滑用のコンデンサ370の一端が接続されている。
このコンデンサ370の他端はアースされている。上記のように、渦電流センサ344には高周波交流電流が流れ、ダイオード368にも渦電流センサ344に流れる高周波交流電流に応じた高周波交流電流が流れるが、ダイオード368とコンデンサ370とによって直流に整流されて反転増幅回路312のマイナスの入力端子に入力される。さらに、本実施の形態では、反転増幅回路312のプラスの入力端子に基準電位372が接続されており、この基準電位372を介してアースされている。
<第4の実施の形態の作用、効果>
次に、本ウェビング巻取装置340の作用並びに効果について説明する。
本ウェビング巻取装置340では、乗員がウェビング22の装着を解除するため、バックルを操作してバックルからタングが抜き取られると、渦巻きばね36の付勢力で軸部35が巻取方向に回転する。軸部35が巻取方向に回転することで回転プレート264が巻取方向に回転するが、揺動プレート274が慣性でとどまろうとする。これにより、回転プレート264に対して揺動プレート274が引っ張りコイルばね290の付勢力に抗して軸部272周りに相対的に引出方向に揺動する。
このようにして、揺動プレート274がストッパ288の先端に当接するまで揺動プレート274が回転プレート264に対して引出方向に相対的に揺動すると、銅板342と渦電流センサ344とが対向する。銅板342と渦電流センサ344とが対向することで銅板342に渦電流が生じると、この渦電流損により渦電流センサ344に流れる高周波交流電流の電流値が低下し、これに伴い、ダイオード368に入力される高周波交流電流の電流値が低下する。ダイオード368に入力される高周波交流電流の電流値が低下すると、反転増幅回路312に入力される直流電流の電流値が低下し、反転増幅回路312から出力される信号の電流値が増大する。これにより、前記第3の実施の形態と同様にモータ24に駆動電流が流れ、モータ24の駆動力によるウェビング22の巻取りが開始される。
このように、モータ24の駆動力で軸部35が巻取方向に回転すると、回転プレート264もまた巻取方向に回転するので、揺動プレート274はストッパ288に当接した状態で維持され、永久磁石298とホール素子300との間に磁性プレート284が介在した状態が維持される。これにより、可動接点90がスイッチ部84を導通した状態が維持されて、モータ24の駆動状態が連続し、スプール20にウェビング22が巻取られる。
スプール20にそれ以上ウェビング22を巻取ることができない所謂「全格納状態」になると、軸部35の巻取方向への回転も停止し、回転プレート264の巻取方向への回転も停止する。回転プレート264の巻取方向への回転が停止することで、揺動プレート274は引っ張りコイルばね290の付勢力により揺動プレート274が係止ピン292に当接するまで巻取方向に回転し、これにより、銅板342と渦電流センサ344との対向状態が解消される。
銅板342と渦電流センサ344との対向状態が解消されることで、上記の渦電流損が解消されるので、渦電流センサ344に流れる高周波交流電流の電流値が元の値に増加し、これに伴いダイオード368に入力される高周波交流電流の電流値が増加する。ダイオード368に入力される高周波交流電流の電流値が増加すると、反転増幅回路312に入力される直流電流の電流値が増加し、反転増幅回路312から出力される信号の電流値が低下する。これにより、前記第3の実施の形態と同様に可動接点90によるスイッチ部84の導通状態が解消され、モータ24が停止する。
以上のように、本ウェビング巻取装置340でも前記第3の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。