以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、電波発射源検出センサをETCシステムに用いた例を説明するが、電波発射源検出センサを利用するシステムはETCシステムに限定される訳ではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動料金収受システム10と、車両Vに搭載されたETC(Electronic Toll Collection)車載器20との構成を示す模式図の一例である。
図1に示す自動料金収受システム10は、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses) STD−T55の規格に適合するシステムである。自動料金収受システム10は、ガントリ11、路側器12、車両検出器13〜15、信号処理部16及び電波発射源検出センサ17を備える。
ガントリ11は、レーンを跨ぐように設置される。ガントリ11には、路側器12及び電波発射源検出センサ17が固定される。車両検出器13〜15は、通過する車両Vを検出し、車両Vを検出した旨を路側器12へ通知する。
路側器12は、自レーン中の所定のエリアへ通信の開始を通知する通知信号を送信するように、送信ビームを形成する。また、路側器12は、自レーンの第1の受信エリアに存在するETC車載器20からの応答信号を受信するように、第1の受信ビームを形成する。
路側器12は、車両検出器13が車両Vを検出した場合、自レーン中の所定のエリアへ向けて、予め設定された周波数で通知信号を送信する。なお、路側器12は、常に何らかの信号を送信しており、車両検出器13が車両Vを検出した場合に、通信の開始を通知する信号を送信するように信号を切り替えても構わない。ETC車載器20は、路側器12からの通知信号を受信すると、通知信号の周波数に応じた周波数の応答信号を路側器12及び電波発射源検出センサ17へ返す。路側器12は、ETC車載器20からの応答信号を受信する。
路側器12は、電波発射源検出センサ17へ同期信号を出力する。これにより、電波発射源検出センサ17は、路側器12と同期することとなる。なお、電波発射源検出センサ17は、路側器12からの通知信号を受信し、この通知信号に基づいて路側器12と同期するようにしても構わない。
路側器12は、ETC車載器20から応答信号を受信すると、ETC車載器20と通信を開始する。このとき、路側器12は、信号処理部16と共に、ETC車載器20に対する課金処理を行う。
路側器12は、電波発射源検出センサ17から誤通信通知を受信した場合、又は、隣接レーンに設置された自動料金収受システム10の電波発射源検出センサ17から誤通信通知を受信した場合、ETC車載器20が他レーンに存在すると判断し、ETC車載器20との通信を終了すると共に、ETC車載器20に対する課金処理を中断する。
路側器12は、車両検出器13が車両Vを検出した後に車両検出器14が車両Vを検出した場合、車両Vが前進していることを認識する。また、路側器12は、車両検出器15が車両Vを検出した場合、車両Vが自レーンを通過したことを認識する。
図2は、第1の実施形態に係る路側器12及び電波発射源検出センサ17と、ETC車載器20との機能構成の一例を示すブロック図である。
電波発射源検出センサ17は、図2に示すように、アンテナ部171、受信部172及び判定処理部173を備える。
アンテナ部171は、例えば、縦横に複数ずつ配置されたアンテナ素子を備える。電波発射源検出センサ17は、これらの複数のアンテナ素子により第2の受信ビームを形成する。本実施形態では、仰角方向のビーム幅は、縦方向に配置されたアンテナ素子のビームを絞ることにより、例えば、45度以下となるように設定される。また、方位角方向のビーム幅は、アンテナ素子間の横方向の距離を例えば0.5λとすることで、例えば、±90度となるように設定される。これにより、自レーン及び自レーンの両隣に位置する隣接レーンにおける、路側器12の直下からETCレーンの入口方向へ5mの範囲が、第2の受信エリアとなる。図3に示す斜線のエリアは、第1の実施形態に係る第2の受信エリアの一例を示す模式図である。第2の受信ビームは、第1の受信ビームよりもビーム幅が広く、第2の受信エリアは、第1の受信エリアよりも広い。アンテナ部171は、第2の受信ビームにより応答信号を受信する。
受信部172は、アンテナ部171で受信された応答信号を、中間周波数帯のIF信号に変換し、判定処理部173へ出力する。
図4は、第1の実施形態に係る電波発射源検出センサ17の判定処理部173の機能構成の一例を示すブロック図である。判定処理部173は、例えばマイクロプロセッサからなるCPU(Central Processing Unit)を備えたもので、次のように構成される。すなわち、判定処理部173は、検波部1731、方向特定部1732と、誤通信判定部1733とを備える。
検波部1731は、受信部172からのIF信号から、路側器12からの同期信号に基づいて必要信号を検波する。このとき、検波部1731は、路側器12の受信周波数に応じた検波周波数で必要信号を検波する。検波部1731は、検波結果を方向特定部1732へ出力する。
方向特定部1732は、検波部1731からの検波結果に基づいて、電波強度を測定する。また、方向特定部1732は、検波部1731からの検波結果に基づいて、方位角方向における電波の到来方向を特定する。方向特定部1732は、電波強度情報及び到来方向情報を誤通信判定部1733へ出力する。
誤通信判定部1733は、図5に示すように、到来方向情報を用いて、アンテナ部171により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。例えば、本実施形態では、仰角45度以下及び方位角±12度の信号は自レーンからの信号であるとし、それ以外の信号は他レーンからの信号であるとする。また、誤通信判定部1733は、電波強度情報を用いて、アンテナ部171により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。誤通信判定部1733は、これらの判定結果を用いて、路側器12が誤通信を行っているか否かを判定する。
具体的な判定方法は、図6乃至図9に基づいて説明する。
誤通信判定部1733は、電波強度が予め設定した閾値を超え、かつ、応答信号が他レーンから到来するか否かを判断する。誤通信判定部1733は、図6に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーンから到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「正常」であると判定する。
また、誤通信判定部1733は、図7に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が他レーンからのみ到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「誤り」であると判定する。誤通信判定部1733は、ETC車載器20との通信が「誤り」であると判定した場合、自己のシステムの路側器12、及び、応答信号が到来した方向の隣接レーンに設置されるシステムの路側器12へ誤通信通知を出力する。
また、誤通信判定部1733は、図8に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーン及び他レーンの複数方向から到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「判定不能」であると判定する。なお、図8のような場合、誤通信判定部1733は、ETC車載器20との通信が誤りであると判定し、誤通信通知を出力するようにしても構わない。また、誤通信判定部1733は、図9に示すように、電波強度が閾値を超えない場合、ETC車載器20との通信は「判定不能」であると判定する。
次に、以上のように構成された自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ17との動作を詳細に説明する。図10は、自動料金収受システム10−1〜10−3がレーン1〜3にそれぞれ設置された場合の一例を示す模式図である。図10では、レーン1〜3に自動料金収受システム10−1〜10−3がそれぞれ設置される。
また、図10では、自動料金収受システム10−1,10−3の路側器12−1,12−3は、周波数f1の通知信号を送信し、周波数f1の応答信号を受信する。また、自動料金収受システム10−2の路側器12−2は、周波数f2の通知信号を送信し、周波数f2の応答信号を受信する。
また、図10では、自動料金収受システム10−1,10−3の電波発射源検出センサ17−1,17−3は、検波部1731−1,1731−3により、受信部172−1,172−3からのIF信号から、周波数f1に応じた必要信号を検波する。また、自動料金収受システム10−2の電波発射源検出センサ17−2は、検波部1731−2により、受信部172−2からのIF信号から、周波数f2に応じた必要信号を検波する。
図11は、レーン2を走行する車両V2に搭載されたETC車載器20−2が、路側器12−1と通信を行う場合の一例を示す模式図である。図11では、路側器12−1から周波数f1で送信された通知信号は、レーン1を走行する車両V1で反射され、車両V2に搭載されたETC車載器20−2により受信される。ETC車載器20−2は、通知信号に応じ、周波数f1の応答信号を送信する。これにより、路側器12−1とETC車載器20−2との間の通信が開始される。
図12は、図11に示す路側器12−1によるETC車載器20−2に対する課金処理の開始、路側器12−1によるETC車載器20−2に対する課金処理の中断、及び、路側器12−1,12−2による新たな通信相手の検索を実行する際の、路側器12−1,12−2及び電波発射源検出センサ17−1の動作を示すシーケンス図である。
路側器12−1,12−2は、所定の期間毎に同期信号を電波発射源検出センサ17−1,17−2へそれぞれ出力する。
路側器12−1は、車両検出器13−1から車両V1を検出した旨の通知を受けると(シーケンスS121)、FCMS(Frame Control Message Slot)信号及びMDS(Message Data Slot)信号等の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ周波数f1で送信する(シーケンスS122)。また、路側器12−2は、車両検出器13−2から車両V2を検出した旨の通知を受けると(シーケンスS123)、自レーン中の所定のエリアへ周波数f2で通知信号を送信する(シーケンスS124)。
図11において、路側器12−1からの通知信号は、車両V1で反射され、車両V2に搭載されたETC車載器20−2で受信される。ETC車載器20−2は、周波数f1の通知信号を受信すると、ACTS(Activation Slot)信号、ACKC(Activation Channel)信号又はMDS信号等の応答信号を周波数f1で送信する。
路側器12−1は、ETC車載器20−2からの応答信号を受信し(シーケンスS125)、ETC車載器20−2との通信を開始すると共に、ETC車載器20−2に対する課金処理を開始する(シーケンスS126)。
電波発射源検出センサ17−1は、ETC車載器20−2からの応答信号を受信し(シーケンスS127)、検波部1731−1により、応答信号に含まれる周波数f1の例えばACTS信号を、同期信号に同期して検波する(シーケンスS128)。電波発射源検出センサ17−1は、検波結果に基づき、方向特定部1732−1により、電波強度を測定し、電波の到来方向を特定する(シーケンスS129)。そして、電波発射源検出センサ17−1は、電波強度情報及び到来方向情報に基づき、誤通信判定部1733−1により、路側器12−1とETC車載器20−2とが誤通信を行っているか否かを判定する(シーケンスS1210)。電波発射源検出センサ17−1は、図7に示す結果が得られた場合、路側器12−1とETC車載器20−2とが誤通信を行っていると判定し、路側器12−1,12−2へ誤通信通知を出力する(シーケンスS1211)。
路側器12−1は、電波発射源検出センサ17−1から誤通信通知を受けると、ETC車載器20−2に対する課金処理を中断し、周波数f1で通知信号を再度送信する(シーケンスS1212)。
路側器12−2は、シーケンスS124で送信した通知信号に対する車両V2からの応答信号が無い状態で、電波発射源検出センサ17−1から誤通信通知を受けると、周波数f2で通知信号を再度送信する(シーケンスS1213)。
次に、上述の電波発射源検出センサ17の実施例を図13及び図14に示す。図13は、第1の実施形態に係る路側器12と電波発射源検出センサ17とがガントリ11に固定された際の外観図の例を示す図である。また、図14は、第1の実施形態に係る電波発射源検出センサ17の構造の一例を示す図である。
図14における電波発射源検出センサ17は、前方がレドーム174、後方が放熱板175により覆われた筐体内に、アンテナ部171としてのアンテナ素子176−1〜176−nと、受信部172としての周波数コンバータ177−1〜177−n及びローカル信号生成基板178と、判定処理部173としての信号処理基板179とを備える。
アンテナ素子176−1〜176−nは、ETC車載器20からの応答信号を受信する。周波数コンバータ177−1〜177−nは、アンテナ素子176−1〜176−nで受信された応答信号を、ローカル信号生成基板178で生成されたローカル信号に基づいてIF信号に変換する。信号処理基板179は、周波数コンバータ177−1〜177−nからIF信号を受信し、応答信号に対する識別判定処理を行い、識別判定結果を路側器12へ出力する。
以上のように、上記第1の実施形態では、電波発射源検出センサ17は、受信した応答信号から、自レーンに設置された路側器12の受信周波数に応じた検波周波数で必要信号を検波し、検波結果に基づいて電波強度及び到来方向を取得する。電波発射源検出センサ17は、電波強度及び到来方向に基づき、路側器12とETC車載器20との通信が「正常」であるか、「誤り」であるかを判定する。そして、電波発射源検出センサ17は、ETC車載器20との通信が「誤り」である場合、自レーン及び隣接レーンの路側器へ誤通信通知を出力するようにしている。これにより、路側器12とETC車載器20との間の誤通信を中断させることが可能となる。
したがって、第1の実施形態に係る電波発射源検出センサ17は、所定のレーンに設置された路側器と、その隣接レーンに存在する車載器との間で確立された誤通信を中断し、車載器に対する誤課金を防止することができる。
なお、上記第1の実施形態では、検波部1731によりACTS信号を検波する例について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、検波部1731により、ACTS信号に代えて、ACKC信号又はMDS信号を検波するようにしても構わない。なお、第1の実施形態でACTS信号を検波することとした理由は、ACTS信号が応答信号の中で最先の信号だからである。
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係る電波発射源検出センサ17の判定処理部173の機能構成の一例を示すブロック図である。図15に示す判定処理部173は、検波部1731、方向特定部1732と、誤通信判定部1735とを備える。
検波部1734は、受信部172からのIF信号から、路側器12からの同期信号に基づいて必要信号を検波する。このとき、検波部1734は、隣接するレーンに設置された路側器12の受信周波数に応じた検波周波数で必要信号を検波する。
誤通信判定部1735は、方向特定部1732からの到来方向情報を用いて、アンテナ部171により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。また、誤通信判定部1735は、方向特定部1732からの電波強度情報を用いて、アンテナ部171により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。誤通信判定部1735は、これらの判定結果を用いて、路側器12が誤通信を行っているか否かを判定する。
具体的な判定方法は、図16乃至図19に基づいて説明する。
誤通信判定部1735は、電波強度が予め設定した閾値を超え、かつ、応答信号が自レーンから到来するか否かを判断する。誤通信判定部1735は、図16に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーンから到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「誤り」であると判定する。誤通信判定部1735は、ETC車載器20との通信が「誤り」であると判定した場合、隣接するレーンに設置されるシステムの路側器12へ誤通信通知を出力する。
また、誤通信判定部1735は、図17に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が他レーンからのみ到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「正常」であると判定する。
また、誤通信判定部1735は、図18に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーン及び他レーンの複数方向から到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「判定不能」であると判定する。なお、図18のような場合、誤通信判定部1735は、ETC車載器20との通信が誤りであると判定し、誤通信通知を出力するようにしても構わない。また、誤通信判定部1735は、図19に示すように、電波強度が閾値を超えない場合、ETC車載器20との通信は「判定不能」であると判定する。
次に、以上のように構成された自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ17との動作を詳細に説明する。図20は、第2の実施形態に係る自動料金収受システム10−1〜10−3がレーン1〜3にそれぞれ設置された場合の一例を示す模式図である。図20では、レーン1〜3に自動料金収受システム10−1〜10−3がそれぞれ設置される。
また、図20では、自動料金収受システム10−1,10−3の路側器12−1,12−3は、周波数f1の通知信号を送信し、周波数f1の応答信号を受信する。また、自動料金収受システム10−2の路側器12−2は、周波数f2の通知信号を送信し、周波数f2の応答信号を受信する。
また、図20では、自動料金収受システム10−1,10−3の電波発射源検出センサ17−1,17−3は、検波部1731−1,1731−3により、受信部172−1,172−3からのIF信号から、周波数f2に応じた必要信号を検波する。また、自動料金収受システム10−2の電波発射源検出センサ17−2は、検波部1731−2により、受信部172−2からのIF信号から、周波数f1に応じた必要信号を検波する。
図21は、レーン2を走行する車両V2に搭載されたETC車載器20−2が、路側器12−1と通信を行う場合の一例を示す模式図である。図21では、路側器12−1から周波数f1で送信された通知信号は、レーン1を走行する車両V1で反射され、車両V2に搭載されたETC車載器20−2により受信される。ETC車載器20−2は、通知信号に応じ、周波数f1の応答信号を送信する。これにより、路側器12−1とETC車載器20−2との間の通信が開始される。
図22は、図21に示す路側器12−1によるETC車載器20−2に対する課金処理の開始、路側器12−1によるETC車載器20−2に対する課金処理の中断、及び、路側器12−1,12−2による新たな通信相手の検索を実行する際の、路側器12−1,12−2及び電波発射源検出センサ17−2の動作を示すシーケンス図である。
路側器12−1は、車両検出器13−1から車両V1を検出した旨の通知を受けると(シーケンスS221)、周波数f1の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ送信する(シーケンスS222)。また、路側器12−2は、車両検出器13−2から車両V2を検出した旨の通知を受けると(シーケンスS223)、周波数f2の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ送信する(シーケンスS224)。
図21において、路側器12−1からの通知信号は、車両V1で反射され、車両V2に搭載されたETC車載器20−2で受信される。ETC車載器20−2は、周波数f1の通知信号を受信すると、周波数f1の応答信号を送信する。
路側器12−1は、ETC車載器20−2からの応答信号を受信し(シーケンスS225)、ETC車載器20−2との通信を開始すると共に、ETC車載器20−2に対して課金処理を開始する(シーケンスS226)。
電波発射源検出センサ17−2は、ETC車載器20−2からの応答信号を受信し(シーケンスS227)、検波部1731−2により、同期信号に同期して応答信号から周波数f1に応じた必要信号を検波する(シーケンスS228)。電波発射源検出センサ17−2は、検波結果に基づき、方向特定部1732−2により、電波強度を測定し、電波の到来方向を特定する(シーケンスS229)。そして、電波発射源検出センサ17−2は、電波強度情報及び到来方向情報に基づき、誤通信判定部1735−2により、路側器12−1とETC車載器20−2とが誤通信を行っているか否かを判定する(シーケンスS2210)。電波発射源検出センサ17−2は、図16に示す結果が得られた場合、路側器12−1とETC車載器20−2とが誤通信を行っていると判定し、路側器12−1〜12−3へ誤通信通知を出力する(シーケンスS2211)。
路側器12−1は、電波発射源検出センサ17−1から誤通信通知を受けると、ETC車載器20−2に対する課金処理を中断し、周波数f1で通知信号を再度送信する(シーケンスS2212)。
路側器12−2は、シーケンスS224で送信した通知信号に対する車両V2からの応答信号が無い状態で、電波発射源検出センサ17−1から誤通信通知を受けると、周波数f2で通知信号を再度送信する(シーケンスS2213)。
路側器12−3は、レーン3では車両が検出されていないため、電波発射源検出センサ17−1から誤通信通知を受けてもそのままの状態を維持する。
なお、図22では、電波発射源検出センサ17−2は、図16に示す結果が得られた場合、路側器12−1〜12−3へ誤通信通知を出力する例について説明しているが、路側器12−2へは誤通信通知を出力しなくても構わない。路側器12−2は、車両検出器13が車両V2を検出した場合、自レーン中の所定のエリアへ向けて、周波数f2の通知信号を予め設定された周期で送信する。
以上のように、上記第2の実施形態では、上記第2の実施形態では、電波発射源検出センサ17は、受信した応答信号から、隣接レーンに設置された路側器12の受信周波数に応じた検波周波数で必要信号を検波し、検波結果に基づいて電波強度及び到来方向を取得する。電波発射源検出センサ17は、電波強度及び到来方向に基づき、路側器12とETC車載器20との通信が「正常」であるか、「誤り」であるかを判定する。そして、電波発射源検出センサ17は、ETC車載器20との通信が「誤り」である場合、自レーン及び隣接レーンの路側器へ誤通信通知を出力するようにしている。これにより、路側器12とETC車載器20との間の誤通信を中断させることが可能となる。
したがって、第2の実施形態に係る電波発射源検出センサ17は、所定のレーンに設置された路側器と、その隣接レーンに存在する車載器との間で確立された誤通信を中断し、車載器に対する誤課金を防止することができる。
(第3の実施形態)
図23は、第3の実施形態に係る電波発射源検出センサ17の判定処理部173の機能構成の一例を示すブロック図である。図23に示す判定処理部173は、検波部1736、方向特定部1737と、誤通信判定部1738とを備える。
検波部1736は、受信部172からのIF信号から、路側器12からの同期信号に基づいて必要信号を検波する。このとき、検波部1736は、自レーン及び隣接レーンに設置された路側器12の受信周波数に応じた検波周波数で必要信号を検波する。検波部1736は、周波数毎の検波結果を方向特定部1737へ出力する。
方向特定部1737は、検波部1736からの周波数毎の検波結果に基づいて、周波数毎に電波強度を測定する。また、方向特定部1737は、検波部1731からの周波数毎の検波結果に基づいて、方位角方向における電波の到来方向を周波数毎に特定する。方向特定部1737は、周波数毎の電波強度情報及び到来方向情報を誤通信判定部1738へ出力する。
誤通信判定部1738は、方向特定部1737からの到来方向情報を用いて、アンテナ部171により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを周波数毎に判断する。また、誤通信判定部1738は、方向特定部1737からの電波強度情報を用いて、アンテナ部171により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを周波数毎に判断する。誤通信判定部1738は、これらの判定結果を用いて、路側器12が誤通信を行っているか否かを判定する。
具体的な判定方法は、図24乃至図27に基づいて説明する。
誤通信判定部1738は、自レーンの路側器12に対応する検波周波数での検波結果に基づく電波強度が予め設定した閾値を超え、かつ、自レーンの路側器12の受信周波数に対応する応答信号が他レーンから到来するか否かを判断する。誤通信判定部1738は、図24に示すように、自レーンの路側器12に対応する検波周波数での検波結果に基づく電波強度が閾値を超え、かつ、自レーンの路側器12の受信周波数に対応する応答信号が自レーンから到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「正常」であると判定する。
また、誤通信判定部1738は、図25に示すように、自レーンの路側器12に対応する検波周波数での検波結果に基づく電波強度が閾値を超え、かつ、自レーンの路側器12の受信周波数に対応する応答信号が他レーンからのみ到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「誤り」であると判定する。誤通信判定部1738は、ETC車載器20との通信が「誤り」であると判定した場合、自己のシステムの路側器12、及び、その応答信号が到来した方向の隣接レーンに設置されるシステムの路側器12へ誤通信通知を出力する。
また、誤通信判定部1738は、図26に示すように、自レーンの路側器12に対応する検波周波数での検波結果に基づく電波強度が閾値を超え、かつ、自レーンの路側器12の受信周波数に対応する応答信号が自レーン及び他レーンの複数方向から到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「判定不能」であると判定する。なお、図26のような場合、誤通信判定部1738は、ETC車載器20との通信が誤りであると判定し、誤通信通知を出力するようにしても構わない。
また、誤通信判定部1738は、隣接レーンの路側器12に対応する検波周波数での検波結果に基づく電波強度が予め設定した閾値を超え、かつ、隣接レーンの路側器12の受信周波数に対応する応答信号が自レーンから到来するか否かを判断する。誤通信判定部1738は、図24に示すように、隣接レーンの路側器12に対応する検波周波数での検波結果に基づく電波強度が閾値を超え、かつ、隣接レーンの路側器12の受信周波数に対応する応答信号が自レーンから到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「誤り」であると判定する。誤通信判定部1738は、ETC車載器20との通信が「誤り」であると判定した場合、自己のシステムの路側器12、及び、その応答信号が到来した方向の隣接レーンに設置されるシステムの路側器12へ誤通信通知を出力する。
また、誤通信判定部1738は、図25に示すように、隣接レーンの路側器12に対応する検波周波数での検波結果に基づく電波強度が閾値を超え、かつ、隣接レーンの路側器12の受信周波数に対応する応答信号が他レーンからのみ到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「正常」であると判定する。
また、誤通信判定部1738は、図26に示すように、隣接レーンの路側器12に対応する検波周波数での検波結果に基づく電波強度が閾値を超え、かつ、隣接レーンの路側器12の受信周波数に対応する応答信号が自レーン及び他レーンの複数方向から到来すると判断する場合、ETC車載器20との通信は「判定不能」であると判定する。なお、図26のような場合、誤通信判定部1738は、ETC車載器20との通信が誤りであると判定し、誤通信通知を出力するようにしても構わない。
また、誤通信判定部1737は、図27に示すように、電波強度が閾値を超えない場合、ETC車載器20との通信は「判定不能」であると判定する。
次に、以上のように構成された自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ17との動作を詳細に説明する。図28は、第3の実施形態に係る自動料金収受システム10−1〜10−3がレーン1〜3にそれぞれ設置された場合の一例を示す模式図である。図28では、レーン1〜3に自動料金収受システム10−1〜10−3がそれぞれ設置される。
また、図28では、自動料金収受システム10−1,10−3の路側器12−1,12−3は、周波数f1の通知信号を送信し、周波数f1の応答信号を受信する。また、自動料金収受システム10−2の路側器12−2は、周波数f2の通知信号を送信し、周波数f2の応答信号を受信する。
また、図28では、自動料金収受システム10−1〜10−3の電波発射源検出センサ17−1〜17−3は、検波部1731−1〜1731−3により、受信部172−1〜172−3からのIF信号から、周波数f1,f2の信号成分を検波する。
図29は、レーン2を走行する車両V2に搭載されたETC車載器20−2が、路側器12−1と通信を行う場合の一例を示す模式図である。図29では、路側器12−1から周波数f1で送信された通知信号は、レーン1を走行する車両V1で反射され、車両V2に搭載されたETC車載器20−2により受信される。ETC車載器20−2は、通知信号に応じ、周波数f1の応答信号を送信する。これにより、路側器12−1とETC車載器20−2との間で通信が開始される。
図30は、図29に示す路側器12−1によるETC車載器20−2に対する課金処理の開始、路側器12−1によるETC車載器20−2に対する課金処理の中断、及び、路側器12−1,12−2による新たな通信相手の検索を実行する際の、路側器12−1,12−2及び電波発射源検出センサ17−1,17−2の動作を示すシーケンス図である。
路側器12−1は、車両検出器13−1から車両V1を検出した旨の通知を受けると(シーケンスS301)、周波数f1の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ送信する(シーケンスS302)。また、路側器12−2は、車両検出器13−2から車両V2を検出した旨の通知を受けると(シーケンスS303)、周波数f2の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ送信する(シーケンスS304)。
図29において、路側器12−1からの通知信号は、車両V1で反射され、車両V2に搭載されたETC車載器20−2で受信される。ETC車載器20−2は、周波数f1の通知信号を受信すると、周波数f1の応答信号を送信する。
路側器12−1は、ETC車載器20−2からの応答信号を受信し(シーケンスS305)、ETC車載器20−2との通信を開始すると共に、ETC車載器20−2に対して課金処理を開始する(シーケンスS306)。
電波発射源検出センサ17−1は、ETC車載器20−2からの応答信号を受信し(シーケンスS307)、検波部1736−1により、同期信号に同期して応答信号から周波数f1の必要信号を検波する(シーケンスS308)。電波発射源検出センサ17−1は、検波結果に基づき、方向特定部1737−1により、電波強度を測定し、電波の到来方向を特定する(シーケンスS309)。そして、電波発射源検出センサ17−1は、電波強度情報及び到来方向情報に基づき、誤通信判定部1738−1により、路側器12−1とETC車載器20−2とが誤通信を行っているか否かを判定する(シーケンスS3010)。電波発射源検出センサ17−1は、レーン1の周波数と対応する周波数の応答信号について、図25に示す結果が得られた場合、路側器12−1とETC車載器20−2とが誤通信を行っていると判定し、路側器12−1,12−2へ誤通信通知を出力する(シーケンスS3011)。
電波発射源検出センサ17−2は、ETC車載器20−2から応答信号を受信し(シーケンスS3012)、検波部1736−2により、同期信号に同期して応答信号から周波数f1の必要信号を検波する(シーケンスS3013)。電波発射源検出センサ17−2は、検波結果に基づき、方向特定部1737−2により、電波強度を測定し、電波の到来方向を特定する(シーケンスS3014)。そして、電波発射源検出センサ17−2は、電波強度情報及び到来方向情報に基づき、誤通信判定部1738−2により、路側器12−1とETC車載器20−2とが誤通信を行っているか否かを判定する(シーケンスS3015)。電波発射源検出センサ17−2は、レーン2の周波数と非対応の周波数の応答信号について、図24に示す結果が得られた場合、路側器12−1とETC車載器20−2とが誤通信を行っていると判定し、路側器12−1,12−2へ誤通信通知を出力する(シーケンスS3016)。
路側器12−1は、電波発射源検出センサ17−1,17−2から誤通信通知を受けると、ETC車載器20−2に対する課金処理を中断し、周波数f1で通知信号を再度送信する(シーケンスS3017)。
路側器12−2は、シーケンスS304で送信した通知信号に対する車両V2からの応答信号が無い状態で、電波発射源検出センサ17−1,17−2から誤通信通知を受けると、周波数f2で通知信号を再度送信する(シーケンスS3018)。
以上のように、上記第3の実施形態では、電波発射源検出センサ17は、自レーン及び隣接レーンに設置された路側器12の受信周波数に応じた検波周波数で応答信号を受信し、これら検波結果に基づいて電波強度及び到来方向を取得する。自レーン及び隣接レーンにそれぞれ設置された電波発射源検出センサ17−1,17−2は、電波強度及び到来方向に基づき、路側器12とETC車載器20との通信が「正常」であるか、「誤り」であるかを判定する。そして、電波発射源検出センサ17−1,17−2は、ETC車載器20との通信が「誤り」である場合、自レーン及び隣接レーンの路側器12−1,12−2へ誤通信通知を出力するようにしている。これにより、路側器12とETC車載器20との間の誤通信を中断させることが可能となる。
したがって、第3の実施形態に係る電波発射源検出センサ17は、所定のレーンに設置された路側器と、その隣接レーンに存在する車載器との間で確立された誤通信を中断し、車載器に対する誤課金を防止することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、自動料金収受システム10が図1に示す構成を取る場合について説明した。しかしながら、自動料金収受システム10の構成は図1に限定される訳ではない。図31は、自動料金収受システム10と、車両Vに搭載されたETC車載器20との構成のその他の例を示す模式図である。
図31に示す自動料金収受システム10は、第1のガントリ11、路側器12、車両検出器13〜15、信号処理部16、第2のガントリ112及び電波発射源検出センサ113を備える。
第1のガントリ11は、車両検出器15の略直上に路側器12が位置するように、レーンを跨いで設置される。本実施形態では、路側器12は、地面から例えば5mの位置に設置される。
第2のガントリ112は、車両検出器14,15の中央の略直上に電波発射源検出センサ113が位置するように、レーンを跨いで設置される。本実施形態では、電波発射源検出センサ113は、地面から例えば6mの位置に設置される。
電波発射源検出センサ113の機能構成は、図2の電波発射源検出センサ17と同様であり、アンテナ部、受信部及び判定処理部を備える。
アンテナ部は、例えば、縦横に複数ずつ配置されたアンテナ素子を備える。電波発射源検出センサ113は、これらの複数のアンテナ素子により第2の受信ビームを形成する。図31の例では、仰角方向のビーム幅は、縦方向に配置されたアンテナ素子のビームを絞ることにより、例えば、±22度となるように設定される。また、方位角方向のビーム幅は、アンテナ素子間の横方向の距離を例えば0.5λとすることで、例えば、±90度となるように設定される。図32は、電波発射源検出センサ113により形成される第2の受信ビームをレーンの正面から見た際の一例を示す図である。
これにより、自レーン及び自レーンの両隣に位置する隣接レーンにおける、路側器12の直下からETCレーンの入口方向へ4mの範囲が、第2の受信エリアとなる。図33に示す斜線のエリアは、電波発射源検出センサ113の第2の受信エリアの一例を示す模式図である。
判定処理部の機能構成は、図4の判定処理部173と同様であり、検波部、方向特定部及び誤通信判定部を備える。
誤通信判定部は、到来方向情報を用いて、アンテナ部により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。例えば、図31、図32に示すように、仰角±22度以内、方位角±16.7度の信号は自レーンからの信号であるとし、それ以外の信号は他レーンからの信号であるとする。これにより、地上0mにおいて、路側器12の真下からレーンの入口方向に4m先の範囲、かつ、電波発射源検出センサ113の真下において、3mの幅からの信号を自レーンからの信号と判断することとなる。
また、誤通信判定部は、電波強度情報を用いて、アンテナ部により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。誤通信判定部は、これらの判定結果を用いて、路側器12とETC車載器20との通信が誤りであるか否かを判定する。
このように、電波発射源検出センサ113を車両検出器14,15の中央の略直上に設置することで、ETC車載器が高い位置に設置されるトラック等の大型車両が通過する場合であっても、ETC車載器からの応答信号を正確に受信することが可能となる。
また、上記各実施形態では、方向特定部1732により、方位角方向における電波の到来方向を特定する例について説明したが、本実施形態は、これに限定される訳ではない。例えば、方向特定部1732は、方位角方向に加え、仰角方向における電波の到来方向を特定するようにしても構わない。これにより、電波発射源検出センサ17は、仰角方向における車両の位置も把握することが可能となる。このとき、電波発射源検出センサ17は、応答信号の識別判定結果に加えて、応答信号の位置情報も路側器12へ出力しても構わない。路側器12は、応答信号の位置情報を取得することで、自レーンに2台以上の車両が存在する場合についても対応することが可能となる。
なお、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、アンテナ部及び受信部を簡素化することが可能である。また、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、応答信号の到来方向を特定するまでの処理時間が短くて済むというメリットがある。
また、上記各実施形態では、電波発射源検出センサ17は、路側器12と同期する。電波発射源検出センサ17は、このことを利用し、受信した応答信号から一つの必要信号を検波し、検波した必要信号についての誤通信判定処理を行う例について説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、電波発射源検出センサ17は、路側器12と同期していなくても構わない。このとき、電波発射源検出センサ17は、応答信号に含まれる全ての信号を検波し、それぞれの信号毎に誤通信処理を行うようにする。電波発射源検出センサ17は、それぞれの信号について誤通信通知を路側器12へ出力する。そして、路側器12は、それぞれの誤通信通知に基づいてETC車載器20との通信が「誤り」であるか否かを判定する。例えば、路側器12は、誤通信通知を1つでも受信すれば、ETC車載器20との通信が「誤り」であると判定するようにしても良い。これより、一つの信号のみについて誤通信判定を行う場合より精度が高くなる。
また、上記各実施形態では、路側器12、電波発射源検出センサ17及びETC車載器20が、図2に示すように構成される場合を例に説明した。しかしながら、図2のように路側器12と電波発射源検出センサ17とが必ずしも分離されている必要はなく、図34に示すように、路側器12と電波発射源検出センサ17とが一体となって路側器31を構成するようにしても構わない。
図34は、路側器31の機能構成の一例を示すブロック図である。図34において路側器31は、第1のアンテナ部311、送信部312、受信部313、サーキュレータ314、第2のアンテナ部315、判定処理部316及び制御部317を備える。なお、図34では、第1のアンテナ部311と、第2のアンテナ部315とは、分離して形成されるように示されているが、これらは接触して形成されていても構わない。
第1のアンテナ部311及び第2のアンテナ部315は、例えば、縦横に複数ずつ配置されたアンテナ素子をそれぞれ備える。路側器31は、第1のアンテナ部311の複数のアンテナ素子により、自レーン中の所定のエリアへ通知信号を送信するように、送信ビームを形成する。また、路側器31は、第1のアンテナ部311の複数のアンテナ素子により、自レーンの第1の受信エリアに存在するETC車載器20からの応答信号を受信するように、第1の受信ビームを形成する。
また、路側器31は、第2のアンテナ部315の複数のアンテナ素子により、第2の受信ビームを形成する。本実施形態では、仰角方向のビーム幅は、縦方向に配置されたアンテナ素子のビームを絞ることにより、例えば、45度以下となるように設定される。また、方位角方向のビーム幅は、アンテナ素子間の横方向の距離を例えば0.5λとすることで、例えば、±90度となるように設定される。これにより、自レーン及び自レーンの両隣に位置する隣接レーンにおける、路側器31の直下からETCレーンの入口方向へ5mの範囲が、第2の受信エリアとなる。ここで、第2の受信ビームは、第1の受信ビームよりもビーム幅が広く、第2の受信エリアは、第1の受信エリアよりも広い。
送信部312は、制御部317からの送信制御に従い、通知信号を生成する。送信部312は、生成した通知信号を、サーキュレータ314を介して第1のアンテナ部311から自レーン中の所定のエリアへ向けて送信する。
受信部313は、第1のアンテナ部311により受信された応答信号を受信する。受信部313は、第1のアンテナ部311により受信された応答信号を中間周波数帯の第1のIF信号に変換し、制御部317へ出力する。また、受信部313は、第2のアンテナ部315により受信された応答信号を受信する。受信部313は、第2のアンテナ部315により受信された応答信号を中間周波数帯の第2のIF信号に変換し、判定処理部316へ出力する。
判定処理部316の機能構成は図4の判定処理部173と同様であり、検波部、方向特定部及び誤通信判定部を備える。検波部は、受信部313からの第2のIF信号から、必要信号を検波する。このとき検波部は、第1のアンテナ部311の受信周波数に応じた検波周波数で必要信号を検波する。方向特定部は、検波部からの検波結果に基づいて、電波強度を測定する。また、方向特定部は、検波部からの検波結果に基づいて、方位角方向における電波の到来方向を特定する。誤通信判定部は、到来方向情報を用いて、第2のアンテナ部315により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。また、誤通信判定部は、電波強度情報を用いて、第2のアンテナ部315により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。誤通信判定部は、これらの判定結果を用いて、ETC車載器20との通信が誤りであるか否かを判定する。
制御部317は、送信部312に対して、送信制御を行う。また、制御部317は、受信部313からの第1のIF信号に基づき、信号処理部16と共に、ETC車載器20に対する課金処理を行う。制御部317は、判定処理部316からの誤通信通知を受信した場合、又は、隣接レーンに設置された自動料金収受システム10の路側器31から誤通信通知を受信した場合、ETC車載器20が他レーンに存在すると判断し、ETC車載器20との通信を終了すると共に、ETC車載器20に対する課金処理を中断する。
また、上記各実施形態では、電波発射源検出センサをARIB STD−T55の規格に適合するETCシステムに用いる例を説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、電波発射源検出センサは、ARIB STD−T75の規格に適合するDSRC(Dedicated Short Range Communication)システムに用いても構わない。また、上記各実施形態に係る電波発射源検出センサは、有料道路の他に、例えば、駐車場等で用いられても構わない。
また、上記各実施形態では、電波発射源検出センサが有料道路等のETCシステムで用いられる場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、上記各実施形態に係る自動料金収受システムを遊園地等の入場ゲートとして用いる場合であっても構わない。この場合、歩行者に、ETC車載器に相当する応答器を保持させ、電波発射源検出センサにより、路側器と応答器との間の通信が誤りであるか否かを判定するようにする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。