以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、電波発射源検出センサをETCシステムに用いた例を説明するが、電波発射源検出センサを利用するシステムはETCシステムに限定される訳ではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動料金収受システム10と、車両Vに搭載されたETC(Electronic Toll Collection)車載器20との構成を示す模式図の一例である。
図1に示す自動料金収受システム10は、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses) STD−T55の規格に適合するシステムである。自動料金収受システム10は、ガントリ11、路側器12、車両検出器13〜15、信号処理部16及び電波発射源検出センサ17を備える。
ガントリ11は、レーンを跨ぐように設置される。ガントリ11には、路側器12及び電波発射源検出センサ17が固定される。車両検出器13〜15は、通過する車両Vを検出し、車両Vを検出した旨を路側器12へ通知する。
路側器12は、自レーン中の所定のエリアへ通信の開始を通知する通知信号を送信するように、送信ビームを形成する。また、路側器12は、自レーンの第1の受信エリアに存在するETC車載器20からの応答信号を受信するように、第1の受信ビームを形成する。
路側器12は、車両検出器13が車両Vを検出した場合、自レーン中の所定のエリアへ向けて、通知信号を送信する。なお、路側器12は、常に何らかの信号を送信しており、車両検出器13が車両Vを検出した場合に、通信の開始を通知する信号を送信するように信号を切り替えても構わない。ETC車載器20は、路側器12からの通知信号を受信すると、応答信号を路側器12及び電波発射源検出センサ17へ返す。路側器12は、ETC車載器20からの応答信号を受信する。
路側器12は、ガントリ11に固定され、電波発射源検出センサ17と接続線18,19(図2で図示する。)により接続する。路側器12は、接続線18を介して電波発射源検出センサ17へ同期信号を出力する。また、路側器12は、接続線19を介して電波発射源検出センサ17から、ETC車載器20からの応答信号についての識別判定結果を受信する。なお、識別判定結果とは、路側器12が受信した応答信号が「有効」、「無効」又は「不明」のいずれであるかを評価するものであり、詳細については後程説明する。
路側器12は、ETC車載器20からの応答信号に基づき、信号処理部16と共に、ETC車載器20に対する課金処理を行う。このとき、路側器12は、電波発射源検出センサ17からの識別判定結果を、この課金処理における一つの判断要素として用いる。例えば、識別判定結果が「有効」である場合には、路側器12及び信号処理部16により、ETC車載器20に対する課金処理が行われるようにしても良い。
路側器12は、車両検出器13が車両Vを検出した後に車両検出器14が車両Vを検出した場合、車両Vが前進していることを認識する。また、路側器12は、車両検出器15が車両Vを検出した場合、車両Vが自レーンを通過したことを認識する。
図2は、第1の実施形態に係る路側器12及び電波発射源検出センサ17と、ETC車載器20との機能構成の一例を示すブロック図である。
電波発射源検出センサ17は、図2に示すように、アンテナ部171、受信部172及び判定処理部173を備える。
アンテナ部171は、例えば、縦横に複数ずつ配置されたアンテナ素子を備える。電波発射源検出センサ17は、これらの複数のアンテナ素子により第2の受信ビームを形成する。本実施形態では、仰角方向のビーム幅は、縦方向に配置されたアンテナ素子のビームを絞ることにより、例えば、45度以下となるように設定される。また、方位角方向のビーム幅は、アンテナ素子間の横方向の距離を例えば0.5λとすることで、例えば、±90度となるように設定される。これにより、自レーン及び自レーンの両隣に位置する隣接レーンにおける、路側器12の直下からETCレーンの入口方向へ5mの範囲が、第2の受信エリアとなる。図3に示す斜線のエリアは、第1の実施形態に係る第2の受信エリアの一例を示す模式図である。第2の受信ビームは、第1の受信ビームよりもビーム幅が広く、第2の受信エリアは、第1の受信エリアよりも広い。アンテナ部171は、第2の受信ビームにより応答信号を受信する。
受信部172は、アンテナ部171で受信された応答信号を、中間周波数帯のIF信号に変換し、判定処理部173へ出力する。
図4は、第1の実施形態に係る電波発射源検出センサ17の判定処理部173の機能構成の一例を示すブロック図である。判定処理部173は、例えばマイクロプロセッサからなるCPU(Central Processing Unit)を備えたもので、次のように構成される。すなわち、判定処理部173は、検波部1731、方向特定部1732と、レーン識別判定部1733とを備える。
検波部1731は、受信部172からのIF信号から、路側器12からの同期信号に基づいて必要信号を検波する。検波部1731は、検波結果を方向特定部1732へ出力する。
方向特定部1732は、検波部1731からの検波結果に基づいて、電波強度を測定する。また、方向特定部1732は、検波部1731からの検波結果に基づいて、方位角方向における電波の到来方向を特定する。方向特定部1732は、電波強度情報及び到来方向情報をレーン識別判定部1733へ出力する。
レーン識別判定部1733は、図5に示すように、到来方向情報を用いて、アンテナ部171により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。例えば、本実施形態では、仰角45度以下及び方位角±12度の信号は自レーンからの信号であるとし、それ以外の信号は他レーンからの信号であるとする。また、レーン識別判定部1733は、電波強度情報を用いて、アンテナ部171により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。レーン識別判定部1733は、これらの判定結果を用いて、アンテナ部171で受信した応答信号が有効なものであるか否かを判定する。
具体的な判定方法は、図6乃至図9に基づいて説明する。
レーン識別判定部1733は、電波強度が予め設定した閾値を超え、かつ、応答信号が自レーンから到来するか否かを判断する。レーン識別判定部1733は、図6に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーンから到来すると判断する場合、応答信号は「有効」であると判定する。レーン識別判定部1733は、応答信号が「有効」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
また、レーン識別判定部1733は、図7に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が他レーンからのみ到来すると判断する場合、応答信号は「無効」であると判定する。レーン識別判定部1733は、応答信号が「無効」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
また、レーン識別判定部1733は、図8に示すように、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーン及び他レーンの複数方向から到来すると判断する場合、応答信号は「不明」であると判定する。また、レーン識別判定部1733は、図9に示すように、電波強度が閾値を超えない場合、応答信号は「不明」であると判定する。なお、「不明」とは判定不能である旨を示す。レーン識別判定部1733は、応答信号が「不明」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
次に、以上のように構成された自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ17との動作を詳細に説明する。図10は、第1の実施形態に係る自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ17との動作を示すシーケンス図である。
まず、路側器12は、所定の期間毎に接続線18を介し、同期信号を電波発射源検出センサ17へ出力する。
路側器12は、車両検出器13から車両Vを検出した旨の通知を受けると(シーケンスS101)、FCMS(Frame Control Message Slot)信号及びMDS(Message Data Slot)信号等の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ送信する(シーケンスS102)。ETC車載器20は、路側器12からの通知信号を受信すると、ACTS(Activation Slot)信号、ACKC(Activation Channel)信号又はMDS信号等の応答信号を路側器12及び電波発射源検出センサ17へ送信する。
電波発射源検出センサ17は、ETC車載器20からの応答信号を受信し(シーケンスS103)、検波部1731により、応答信号に含まれる例えばACTS信号を、同期信号に同期して検波する(シーケンスS104)。電波発射源検出センサ17は、検波結果に基づき、方向特定部1732により、電波強度を測定し、電波の到来方向を特定する(シーケンスS105)。そして、電波発射源検出センサ17は、電波強度情報及び到来方向情報に基づき、レーン識別判定部1733により、ACTS信号に対する識別判定を行う(シーケンスS106)。電波発射源検出センサ17は、識別判定結果を路側器12へ接続線19を介して出力する(シーケンスS107)。
路側器12は、ETC車載器20からの応答信号と、電波発射源検出センサ17からの識別判定結果とを受信する。路側器12は、識別判定結果を、ETC車載器20に対して課金処理を行う上での一つの判断要素として用いる(シーケンスS108)。
次に、上述の電波発射源検出センサ17の実施例を図11及び図12に示す。図11は、第1の実施形態に係る路側器12と電波発射源検出センサ17とがガントリ11に固定された際の外観図の例を示す図である。また、図12は、第1の実施形態に係る電波発射源検出センサ17の構造の一例を示す図である。
図12における電波発射源検出センサ17は、前方がレドーム174、後方が放熱板175により覆われた筐体内に、アンテナ部171としてのアンテナ素子176−1〜176−nと、受信部172としての周波数コンバータ177−1〜177−n及びローカル信号生成基板178と、判定処理部173としての信号処理基板179とを備える。
アンテナ素子176−1〜176−nは、ETC車載器20からの応答信号を受信する。周波数コンバータ177−1〜177−nは、アンテナ素子176−1〜176−nで受信された応答信号を、ローカル信号生成基板178で生成されたローカル信号に基づいてIF信号に変換する。信号処理基板179は、周波数コンバータ177−1〜177−nからIF信号を受信し、応答信号に対する識別判定処理を行い、識別判定結果を路側器12へ出力する。
以上のように、上記第1の実施形態では、電波発射源検出センサ17は、第2の受信ビームにより応答信号を受信し、受信した応答信号の電波強度及び到来方向を取得する。電波発射源検出センサ17は、電波強度及び到来方向に基づき、電波発射源検出センサ17が受信した応答信号が「有効」、「無効」又は「不明」であるかを識別判定する。これにより、電波発射源検出センサ17は、自レーンから到来し、かつ、所定の電波強度以上の電波強度を有する応答信号を、その他の信号と識別することが可能となる。
また、上記第1の実施形態では、電波発射源検出センサ17は、同期信号により路側器12と同期することで、路側器12から通知信号が送信されるタイミングを把握する。ここで、ETC車載器20が通知信号を受け取ってからACTS信号、ACKC信号又はMDS信号等の応答信号を返す期間は予め設定されている。このため、電波発射源検出センサ17は、ETC車載器20から応答信号が送信されるタイミングを把握することが可能である。つまり、電波発射源検出センサ17は、応答信号に含まれる信号のうち所望の信号(上記実施形態では、ACTS信号)を正確に検波することが可能となる。
したがって、第1の実施形態に係る電波発射源検出センサ17は、到来した電波が自レーンからのものか、他レーンからのものかを識別することができる。
そして、路側器12は、識別判定結果を、ETC車載器に対して課金処理を行う上での判断要素の一つとして扱う。例えば、識別判定結果が「有効」である場合には、応答信号を送信したETC車載器に対して課金処理を行い、識別判定結果が「無効」及び「不明」である場合には、その応答信号を送信したETC車載器に対しては課金処理を行わない。これにより、路側器12は、隣接レーンに存在する車両に搭載されたETC車載器との誤通信が低減されると考えられる。
なお、上記第1の実施形態では、検波部1731によりACTS信号を検波する例について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、検波部1731により、ACTS信号に代えて、ACKC信号又はMDS信号を検波するようにしても構わない。なお、第1の実施形態でACTS信号を検波することとした理由は、ACTS信号が応答信号の中で最先の信号だからである。
また、上記第1の実施形態では、方向特定部1732により、方位角方向における電波の到来方向を特定する例について説明したが、本実施形態は、これに限定される訳ではない。例えば、方向特定部1732は、方位角方向に加え、仰角方向における電波の到来方向を特定するようにしても構わない。これにより、電波発射源検出センサ17は、仰角方向における車両の位置も把握することが可能となる。このとき、電波発射源検出センサ17は、応答信号の識別判定結果に加えて、応答信号の位置情報も路側器12へ出力しても構わない。路側器12は、応答信号の位置情報を取得することで、自レーンに2台以上の車両が存在する場合についても対応することが可能となる。
なお、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、アンテナ部及び受信部を簡素化することが可能である。また、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、応答信号の到来方向を特定するまでの処理時間が短くて済むというメリットがある。
また、上記第1の実施形態では、電波発射源検出センサ17は、応答信号に含まれる信号のうち、いずれか一つを検波し、検波した信号についての識別判定処理を行う例について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、応答信号に含まれる全ての信号を検波し、それぞれの信号毎に識別判定処理を行うようにしても構わない。このとき、電波発射源検出センサ17は、それぞれの信号についての識別判定結果を路側器12へ出力する。路側器12は、それぞれの信号についての識別判定結果を、車載器に対して課金処理を行う上での一つの判断要素とする。例えば、路側器12は、全ての信号の識別判定結果が「有効」である場合にのみ、車載器に対して課金処理を行うようにしても良い。これより、一つの信号のみについて識別判定を行う場合より、誤通信を行うおそれが低くなる。
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態に係る路側器12及び電波発射源検出センサ110と、ETC車載器20との機能構成の一例を示すブロック図である。図13における電波発射源検出センサ110は、第1の実施形態における電波発射源検出センサ17と同様に、自動料金収受システム10に具備される。路側器12は、接続線19により電波発射源検出センサ110と接続する。
電波発射源検出センサ110は、図13に示すように、アンテナ部1101、受信部1102及び判定処理部1103を備える。
アンテナ部1101は、例えば、縦横に複数ずつ配置されたアンテナ素子を備える。電波発射源検出センサ110は、これらの複数のアンテナ素子により第2の受信ビームを形成する。本実施形態では、仰角方向のビーム幅は、例えば、45度以下となるように設定され、方位角方向のビーム幅は、例えば、±90度となるように設定される。アンテナ部1101は、この第2の受信ビームにより応答信号を受信する。さらに、電波発射源検出センサ110は、複数のアンテナ素子により、路側器12方向に第3のビームを形成しており、路側器12からの通知信号を受信する。
受信部1102は、アンテナ部1101で受信された応答信号を中間周波数帯の応答IF信号に変換し、判定処理部1103へ出力する。また、受信部1102は、アンテナ部1101で受信された通知信号を中間周波数帯の通知IF信号に変換し、判定処理部1103へ出力する。
図14は、第2の実施形態に係る電波発射源検出センサ110の判定処理部1103の機能構成を示すブロック図である。判定処理部1103は、例えばマイクロプロセッサからなるCPUを備えたもので、次のように構成される。すなわち、判定処理部1103は、検波部11031、方向特定部11032及びレーン識別判定部11033を備える。
検波部11031は、受信部1102からの通知IF信号と同期して、受信部1102からの応答IF信号から必要信号を検波する。検波部11031は、検波結果を方向特定部11032へ出力する。
方向特定部11032は、検波部11031からの検波結果に基づいて、電波強度を測定する。また、方向特定部11032は、検波部11031からの検波結果に基づいて、方位角方向における電波の到来方向を特定する。方向特定部11032は、電波強度情報及び到来方向情報をレーン識別判定部11033へ出力する。
レーン識別判定部11033は、到来方向情報を用いて、アンテナ部1101により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。例えば、本実施形態では、仰角45度以下及び方位角±12度の信号は自レーンからの信号であるとし、それ以外の信号は他レーンからの信号であるとする。また、レーン識別判定部11033は、電波強度情報を用いて、アンテナ部1101により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。レーン識別判定部11033は、これらの判断結果を用いて、アンテナ部1101で受信した応答信号が有効なものであるか否かを判定する。
すなわち、レーン識別判定部11033は、電波強度が予め設定した閾値を超え、かつ、応答信号が自レーンから到来すると判断する場合、応答信号は「有効」であると判定する。レーン識別判定部11033は、応答信号が「有効」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
また、レーン識別判定部11033は、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が他レーンからのみ到来すると判断する場合、応答信号は「無効」であると判定する。レーン識別判定部11033は、応答信号が「無効」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
また、レーン識別判定部11033は、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーン及び他レーンの複数方向から到来すると判断する場合、応答信号は「不明」であると判定する。また、レーン識別判定部11033は、電波強度が閾値を超えない場合、応答信号は「不明」であると判定する。レーン識別判定部11033は、応答信号が「不明」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
次に、以上のように構成された自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ110との動作を詳細に説明する。図15は、第2の実施形態に係る自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ110との動作を示すシーケンス図である。
路側器12は、車両検出器113から車両Vを検出した旨の通知を受けると(シーケンスS151)、FCMS信号及びMDS信号等の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ送信する(シーケンスS152)。電波発射源検出センサ110は、通知信号を受信し(シーケンスS153)、路側器12と同期する(シーケンスS154)
ETC車載器20は、路側器12からの通知信号を受信すると、ACTS信号、ACKC信号又はMDS信号等の応答信号を路側器12及び電波発射源検出センサ110へ送信する。
電波発射源検出センサ110は、ETC車載器20からの応答信号を受信し(シーケンスS155)、検波部11031により、応答信号に含まれる例えばACTS信号を検波する(シーケンスS156)。電波発射源検出センサ110は、検波結果に基づき、方向特定部11032により、電波強度を測定し、電波の到来方向を特定する(シーケンスS157)。そして、電波発射源検出センサ110は、電波強度情報及び到来方向情報に基づき、レーン識別判定部11033により、ACTS信号に対する識別判定を行う(シーケンスS158)。電波発射源検出センサ110は、識別判定結果を路側器12へ接続線19を介して出力する(シーケンスS159)。
路側器12は、ETC車載器20からの応答信号と、電波発射源検出センサ110からの識別判定結果とを受信する。路側器12は、識別判定結果を、ETC車載器20に対して課金処理を行う上での一つの判断要素として用いる(シーケンスS1510)。
以上のように、上記第2の実施形態では、電波発射源検出センサ110は、路側器12からの通知信号に基づいて路側器12と同期するようにしている。これにより、路側器12から同期信号が無い場合であっても、電波発射源検出センサ110は、路側器12と同期することとなる。このため、電波発射源検出センサ110は、ETC車載器20から応答信号が送信されるタイミングを把握することが可能となる。ここで、ETC車載器20が通知信号を受け取ってからACTS信号、ACKC信号又はMDS信号等の応答信号を返す期間は予め設定されている。つまり、電波発射源検出センサ110は、応答信号に含まれる信号のうち所望の信号を正確に検波することが可能となる。
なお、上記第2の実施形態では、検波部11031によりACTS信号を検波する例について説明したが、これに限定される訳ではない。検波部11031では、ACTS信号に代えてACKC信号又はMDS信号を検波するようにしても構わない。
また、上記第2の実施形態では、方向特定部11032により、方位角方向における電波の到来方向を特定する例について説明したが、本実施形態は、これに限定される訳ではない。例えば、方向特定部11032は、方位角方向に加え、仰角方向における電波の到来方向を特定するようにしても構わない。これにより、電波発射源検出センサ110は、仰角方向における車両の位置も把握することが可能となる。このとき、電波発射源検出センサ110は、応答信号の識別判定結果に加えて、応答信号の位置情報も路側器12へ出力しても構わない。路側器12は、応答信号の位置情報を取得することで、自レーンに2台以上の車両が存在する場合についても対応することが可能となる。
なお、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、アンテナ部及び受信部を簡素化することが可能である。また、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、応答信号の到来方向を特定するまでの処理時間が短くて済むというメリットがある。
また、上記第2の実施形態では、電波発射源検出センサ110は、応答信号に含まれる信号のうち、いずれか一つを検波し、検波した信号についての識別判定処理を行う例について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、応答信号に含まれる全ての信号を検波し、それぞれの信号毎に識別判定処理を行うようにしても構わない。このとき、電波発射源検出センサ110は、それぞれの信号についての識別判定結果を路側器12へ出力する。路側器12は、それぞれの信号についての識別判定結果を、車載器に対して課金処理を行う上での一つの判断要素とする。例えば、路側器12は、全ての信号の識別判定結果が「有効」である場合にのみ、車載器に対して課金処理を行うようにしても良い。これより、一つの信号のみについて識別判定を行う場合より、誤通信を行うおそれが低くなる。
(第3の実施形態)
図16は、第3の実施形態に係る路側器12及び電波発射源検出センサ111と、ETC車載器20との機能構成の一例を示すブロック図である。図16における電波発射源検出センサ111は、第1の実施形態における電波発射源検出センサ17と同様に、自動料金収受システム10に具備される。路側器12は、接続線19により電波発射源検出センサ111と接続される。
電波発射源検出センサ111は、図16に示すように、アンテナ部1111、受信部1112及び判定処理部1113を備える。
アンテナ部1111は、例えば、縦横に複数ずつ配置されたアンテナ素子を備える。電波発射源検出センサ111は、これらの複数のアンテナ素子により第2の受信ビームを形成する。本実施形態では、仰角方向のビーム幅は、例えば、45度以下となるように設定され、方位角方向のビーム幅は、例えば、±90度となるように設定される。アンテナ部1111は、この第2の受信ビームにより応答信号を受信する。
受信部1112は、アンテナ部1111で受信された応答信号を中間周波数帯のIF信号に変換し、判定処理部1113へ出力する。
図17は、第3の実施形態に係る電波発射源検出センサ111の判定処理部1113の機能構成を示すブロック図である。判定処理部1113は、例えばマイクロプロセッサからなるCPUを備えたもので、次のように構成される。すなわち、判定処理部1113は、検波部11131、方向特定部11132と、レーン識別判定部11133とを備える。
検波部11131は、受信部1112からのIF信号に含まれる全ての信号を検波する。検波部11131は、検波結果を方向特定部11132へ出力する。
方向特定部11132は、検波部11131からの検波結果に基づいて、電波強度を測定する。また、方向特定部11132は、検波部11131からの検波結果に基づいて、方位角方向における電波の到来方向を特定する。方向特定部11132は、電波強度情報及び到来方向情報をレーン識別判定部11133へ出力する。
レーン識別判定部11133は、到来方向情報を用いて、アンテナ部1111により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。例えば、本実施形態では、仰角45度以下及び方位角±12度の信号は自レーンからの信号であるとし、それ以外の信号は他レーンからの信号であるとする。また、レーン識別判定部11133は、電波強度情報を用いて、アンテナ部1111により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。レーン識別判定部11133は、これらの判定結果を用いて、アンテナ部1111で受信した応答信号が有効なものであるか否かを判定する。
すなわち、レーン識別判定部11133は、電波強度が予め設定した閾値を超え、かつ、応答信号が自レーンから到来すると判断する場合、応答信号は「有効」であると判定する。レーン識別判定部11133は、応答信号が「有効」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
また、レーン識別判定部11133は、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が他レーンからのみ到来すると判断する場合、応答信号は「無効」であると判定する。レーン識別判定部11133は、応答信号が「無効」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
また、レーン識別判定部11133は、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーン及び他レーンの複数方向から到来すると判断する場合、応答信号は「不明」であると判定する。また、レーン識別判定部11133は、電波強度が閾値を超えない場合、応答信号は「不明」であると判定する。レーン識別判定部11133は、応答信号が「不明」である旨の識別判定結果を接続線19を介して路側器12へ出力する。
次に、以上のように構成された自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ111ついて詳細に説明する。図18は、第3の実施形態に係る自動料金収受システム10における路側器12と電波発射源検出センサ111との動作を示すシーケンス図である。
路側器12は、車両検出器113から車両Vを検出した旨の通知を受けると(シーケンスS181)、FCMS信号及びMDS信号等の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ送信する(シーケンスS182)。ETC車載器20は、路側器12からの通知信号を受信すると、ACTS信号、ACKC信号又はMDS信号等の応答信号を路側器12及び電波発射源検出センサ111へ送信する。
電波発射源検出センサ111は、ETC車載器20からの応答信号を受信し(シーケンスS183)、検波部11131により、応答信号に含まれる全ての信号を検波する(シーケンスS184)。なお、ここでは、全ての信号とは、例えば、ACTS信号、ACKC信号及びMDS信号であるとする。電波発射源検出センサ111は、検波結果に基づき、方向特定部11132により、ACTS信号、ACKC信号及びMDS信号の電波強度を測定し、ACTS信号、ACKC信号及びMDS信号の到来方向を特定する(シーケンスS185)。そして、電波発射源検出センサ111は、電波強度情報及び到来方向情報に基づき、レーン識別判定部11133により、ACTS信号、ACKC信号及びMDS信号に対する識別判定を行う(シーケンスS186)。電波発射源検出センサ111は、ACTS信号、ACKC信号及びMDS信号に対する識別判定結果を路側器12へ接続線19を介して出力する(シーケンスS187)。
路側器12は、ETC車載器20からの応答信号と、電波発射源検出センサ111からの三つの識別判定結果とを受信する。路側器12は、識別判定結果を、ETC車載器20に対して課金処理を行う上での一つの判断要素として用いる(シーケンスS188)。例えば、路側器12は、全ての信号の識別判定結果が「有効」である場合にのみ、車載器に対して課金処理を行うようにしても良い。
以上のように、上記第3の実施形態では、電波発射源検出センサ111は、IF信号に含まれる全ての信号それぞれに対して識別判定処理を行うようにしている。これにより、路側器12と同期していない場合であっても、ETC車載器20からの応答信号に対して識別判定処理を行うことが可能となる。また、ACTS信号、ACKC信号及びMDS信号のうちいずれかの信号のみに対して識別判定を行う場合より、識別判定の精度を向上させることが可能となる。
また、上記第3の実施形態では、方向特定部11132により、方位角方向における電波の到来方向を特定する例について説明したが、本実施形態は、これに限定される訳ではない。例えば、方向特定部11132は、方位角方向に加え、仰角方向における電波の到来方向を特定するようにしても構わない。これにより、電波発射源検出センサ111は、仰角方向における車両の位置も把握することが可能となる。このとき、電波発射源検出センサ111は、応答信号の識別判定結果に加えて、応答信号の位置情報も路側器12へ出力しても構わない。路側器12は、応答信号の位置情報を取得することで、自レーンに2台以上の車両が存在する場合についても対応することが可能となる。
なお、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、アンテナ部及び受信部を簡素化することが可能である。また、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、応答信号の到来方向を特定するまでの処理時間が短くて済むというメリットがある。
(第4の実施形態)
図19は、第4の実施形態に係る自動料金収受システム30と、車両Vに搭載されたETC車載器20との構成を示す模式図の一例である。
図19に示す自動料金収受システム30は、ARIB STD−T55の規格に適合するシステムである。自動料金収受システム30は、ガントリ11、路側器31、車両検出器13〜15及び信号処理部16を備える。路側器31は、ガントリ11に固定される。
図20は、第4の実施形態に係る路側器31の機能構成の一例を示すブロック図である。図20において路側器31は、第1のアンテナ部311、送信部312、受信部313、サーキュレータ314、第2のアンテナ部315、判定処理部316及び制御部317を備える。なお、図20では、第1のアンテナ部311と、第2のアンテナ部315とは、分離して形成されるように示されているが、これらは接触して形成されていても構わない。
第1のアンテナ部311及び第2のアンテナ部315は、例えば、縦横に複数ずつ配置されたアンテナ素子をそれぞれ備える。路側器31は、第1のアンテナ部311の複数のアンテナ素子により、自レーン中の所定のエリアへ通知信号を送信するように、送信ビームを形成する。また、路側器31は、第1のアンテナ部311の複数のアンテナ素子により、自レーンの第1の受信エリアに存在するETC車載器20からの応答信号を受信するように、第1の受信ビームを形成する。
また、路側器31は、第2のアンテナ部315の複数のアンテナ素子により、第2の受信ビームを形成する。本実施形態では、仰角方向のビーム幅は、縦方向に配置されたアンテナ素子のビームを絞ることにより、例えば、45度以下となるように設定される。また、方位角方向のビーム幅は、アンテナ素子間の横方向の距離を例えば0.5λとすることで、例えば、±90度となるように設定される。これにより、自レーン及び自レーンの両隣に位置する隣接レーンにおける、路側器31の直下からETCレーンの入口方向へ5mの範囲が、第2の受信エリアとなる。ここで、第2の受信ビームは、第1の受信ビームよりもビーム幅が広く、第2の受信エリアは、第1の受信エリアよりも広い。
送信部312は、制御部317からの送信制御に従い、通知信号を生成する。送信部312は、生成した通知信号を、サーキュレータ314を介して第1のアンテナ部311から自レーン中の所定のエリアへ向けて送信する。
受信部313は、第1のアンテナ部311により受信された応答信号を受信する。受信部313は、第1のアンテナ部311により受信された応答信号を中間周波数帯の第1のIF信号に変換し、制御部317へ出力する。また、受信部313は、第2のアンテナ部315により受信された応答信号を受信する。受信部313は、第2のアンテナ部315により受信された応答信号を中間周波数帯の第2のIF信号に変換し、判定処理部316へ出力する。
図21は、第4の実施形態に係る路側器31の判定処理部316の機能構成の一例を示すブロック図である。判定処理部316は、例えばマイクロプロセッサからなるCPUを備えたもので、次のように構成される。すなわち、判定処理部316は、検波部3161、方向特定部3162と、レーン識別判定部3163とを備える。
検波部3161は、受信部313からの第2の応答IF信号から、必要信号を検波する。検波部3161は、検波結果を方向特定部3162へ出力する。
方向特定部3162は、検波部3161からの検波結果に基づいて、電波強度を測定する。また、方向特定部3162は、検波部3161からの検波結果に基づいて、方位角方向における電波の到来方向を特定する。方向特定部3162は、電波強度情報及び到来方向情報をレーン識別判定部3163へ出力する。
レーン識別判定部3163は、到来方向情報を用いて、第2のアンテナ部315により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。例えば、本実施形態では、仰角45度以下及び方位角±12度の信号は自レーンからの信号であるとし、それ以外の信号は他レーンからの信号であるとする。また、レーン識別判定部3163は、電波強度情報を用いて、第2のアンテナ部315により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。レーン識別判定部3163は、これらの判定結果を用いて、第2のアンテナ部315で受信した応答信号が有効なものであるか否かを判定する。
すなわち、レーン識別判定部3163は、電波強度が予め設定した閾値を超え、かつ、応答信号が自レーンから到来すると判断する場合、応答信号は「有効」であると判定する。レーン識別判定部3163は、応答信号が「有効」である旨の識別判定結果を制御部317へ出力する。
また、レーン識別判定部3163は、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が他レーンからのみ到来すると判断する場合、応答信号は「無効」であると判定する。レーン識別判定部3163は、応答信号が「無効」である旨の識別判定結果を制御部317へ出力する。
また、レーン識別判定部3163は、電波強度が閾値を超え、かつ、応答信号が自レーン及び他レーンの複数方向から到来すると判断する場合、応答信号は「不明」であると判定する。また、レーン識別判定部3163は、電波強度が閾値を超えない場合、応答信号は「不明」であると判定する。レーン識別判定部3163は、応答信号が「不明」である旨の識別判定結果を制御部317へ出力する。
制御部317は、送信部312に対して、送信制御を行う。また、制御部317は、受信部313からの第1のIF信号に基づき、信号処理部16と共に、ETC車載器20に対する課金処理を行う。このとき、制御部317は、判定処理部316からの識別判定結果を、この課金処理における一つの判断要素として用いる。例えば、識別判定結果が「有効」である場合には、制御部317及び信号処理部16により、ETC車載器20に対する課金処理が行われるようにしても良い。
次に、以上のように構成された路側器31の判定処理部316の動作について詳細に説明する。図22は、第4の実施形態に係る判定処理部316における識別判定処理を示すフローチャートである。
まず、路側器31は、車両検出器113から車両Vを検出した旨の通知を受けると、FCMS信号及びMDS信号等の通知信号を自レーン中の所定のエリアへ送信する。ETC車載器20は、路側器31からの通知信号を受信すると、ACTS信号、ACKC信号又はMDS信号等の応答信号を路側器31へ送信する。
路側器31は、ETC車載器20からの応答信号を、第1及び第2のアンテナ部により受信し、受信部313で第1及び第2のIF信号に変換する。受信部313は、第1のIF信号を制御部317へ出力し、第2のIF信号を判定処理部316へ出力する。
判定処理部316は、受信部313からの第2のIF信号に含まれる例えばACTS信号を、検波部3161により検波する(ステップS221)。判定処理部316は、検波結果に基づき、方向特定部3162により、電波強度を測定し、電波の到来方向を特定する(ステップS222)。そして、判定処理部316は、電波強度情報及び到来方向情報に基づき、レーン識別判定部3163により、ACTS信号に対する識別判定を行う(ステップS223)。判定処理部316は、識別判定結果を制御部317へ出力する(ステップS224)。
制御部317は、受信部313からの第1のIF信号と、判定処理部316からの識別判定結果を受信する。制御部317は、識別判定結果を、ETC車載器20に対して課金処理を行う上での一つの判断要素として用いる。
以上のように、上記第4の実施形態では、判定処理部316は、第2のアンテナ部315により受信される応答信号の電波強度及び到来方向を取得する。判定処理部316は、電波強度及び到来方向に基づき、第2のアンテナ部315で受信された応答信号が「有効」、「無効」又は「不明」であるかを識別判定する。これにより、路側器31は、自レーンから到来し、かつ、所定の電波強度以上の電波強度を有する応答信号を、その他の信号と識別することが可能となる。
したがって、第4の実施形態に係る路側器31は、到来した電波が自レーンからのものか、他レーンからのものかを識別することができる。
そして、制御部317は、識別判定結果を、ETC車載器に対して課金処理を行う上での判断要素の一つとして扱う。例えば、識別判定結果が「有効」である場合には、応答信号を送信したETC車載器に対して課金処理を行い、識別判定結果が「無効」及び「不明」である場合には、その応答信号を送信したETC車載器に対しては課金処理を行わない。これにより、路側器31は、隣接レーンに存在する車両に搭載されたETC車載器との誤通信が低減されると考えられる。
なお、上記第4の実施形態では、検波部3161によりACTS信号を検波する例について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、検波部3161により、ACTS信号に代えて、ACKC信号又はMDS信号を検波するようにしても構わない。
また、上記第4の実施形態では、方向特定部3162により、方位角方向における電波の到来方向を特定する例について説明したが、本実施形態は、これに限定される訳ではない。例えば、方向特定部3162は、方位角方向に加え、仰角方向における電波の到来方向を特定するようにしても構わない。これにより、路側器31は、仰角方向における車両の位置も把握することが可能となる。このとき、判定処理部316は、応答信号の識別判定結果に加えて、応答信号の位置情報も制御部317へ出力しても構わない。制御部317は、応答信号の位置情報を取得することで、自レーンに2台以上の車両が存在する場合についても対応することが可能となる。
なお、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、アンテナ部及び受信部を簡素化することが可能である。また、方位角のみにより識別判定処理を行う場合は、方位角及び仰角により識別判定処理を行う場合と比較して、応答信号の到来方向を特定するまでの処理時間が短くて済むというメリットがある。
また、上記第4の実施形態では、判定処理部316は、応答信号に含まれる信号のうち、いずれか一つを検波し、検波した信号についての識別判定処理を行う例について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、応答信号に含まれる全ての信号を検波し、それぞれの信号毎に識別判定処理を行うようにしても構わない。このとき、判定処理部316は、それぞれの信号についての識別判定結果を制御部317へ出力する。制御部317は、それぞれの信号についての識別判定結果を、車載器に対して課金処理を行う上での一つの判断要素とする。例えば、制御部317は、全ての信号の識別判定結果が「有効」である場合にのみ、車載器に対して課金処理を行うようにしても良い。これより、一つの信号のみについて識別判定を行う場合より、誤通信を行うおそれが低くなる。
(第5の実施形態)
図23は、第5の実施形態に係る自動料金収受システム40と、車両Vに搭載されたETC車載器20との構成を示す模式図の一例である。
図23に示す自動料金収受システム40は、ARIB STD−T55の規格に適合するシステムである。自動料金収受システム40は、第1のガントリ11、路側器12、車両検出器13〜15、信号処理部16、第2のガントリ112及び電波発射源検出センサ113を備える。
第1のガントリ11は、車両検出器15の略直上に路側器12が位置するように、レーンを跨いで設置される。本実施形態では、路側器12は、地面から例えば5mの位置に設置される。
第2のガントリ112は、車両検出器14,15の中央の略直上に電波発射源検出センサ113が位置するように、レーンを跨いで設置される。本実施形態では、電波発射源検出センサ113は、地面から例えば6mの位置に設置される。
電波発射源検出センサ113の機能構成は、図2の電波発射源検出センサ17と同様であり、アンテナ部1131、受信部1132及び判定処理部1133を備える。
アンテナ部1131は、例えば、縦横に複数ずつ配置されたアンテナ素子を備える。電波発射源検出センサ113は、これらの複数のアンテナ素子により第2の受信ビームを形成する。本実施形態では、仰角方向のビーム幅は、縦方向に配置されたアンテナ素子のビームを絞ることにより、例えば、±22度となるように設定される。また、方位角方向のビーム幅は、アンテナ素子間の横方向の距離を例えば0.5λとすることで、例えば、±90度となるように設定される。図24は、電波発射源検出センサ113により形成される第2の受信ビームをレーンの正面から見た図である。
これにより、自レーン及び自レーンの両隣に位置する隣接レーンにおける、路側器12の直下からETCレーンの入口方向へ4mの範囲が、第2の受信エリアとなる。図25に示す斜線のエリアは、第5の実施形態に係る第2の受信エリアの一例を示す模式図である。第2の受信ビームは、第1の受信ビームよりもビーム幅が広く、第2の受信エリアは、第1の受信エリアよりも広い。アンテナ部1131は、第2の受信ビームにより応答信号を受信する。
受信部1132は、アンテナ部1131で受信された応答信号を、中間周波数帯のIF信号に変換し、判定処理部1133へ出力する。
判定処理部1133の機能構成は、図4の判定処理部173と同様であり、検波部11331、方向特定部11332及びレーン識別判定部11333を備える。
検波部11331は、受信部1132からのIF信号から、路側器12からの同期信号に基づいて必要信号を検波する。検波部11331は、検波結果を方向特定部11332へ出力する。
方向特定部11332は、検波部11331からの検波結果に基づいて、電波強度を測定する。また、方向特定部11332は、検波部11331からの検波結果に基づいて、方位角方向における電波の到来方向を特定する。方向特定部11332は、電波強度情報及び到来方向情報をレーン識別判定部11333へ出力する。
レーン識別判定部11333は、到来方向情報を用いて、アンテナ部1131により受信された応答信号が自レーンからの信号か、他レーンからの信号かを判断する。例えば、本実施形態では、図24に示すように、仰角±22度以内、方位角±16.7度の信号は自レーンからの信号であるとし、それ以外の信号は他レーンからの信号であるとする。これにより、地上0mにおいて、路側器12の真下からレーンの入口方向に4m先の範囲、かつ、電波発射源検出センサ113の真下において、3mの幅からの信号を自レーンからの信号と判断することとなる。
また、レーン識別判定部11333は、電波強度情報を用いて、アンテナ部1131により受信された応答信号の電波強度が予め設定した閾値を超えるか否かを判断する。レーン識別判定部11333は、これらの判定結果を用いて、アンテナ部1131で受信した応答信号が有効なものであるか否かを判定する。
以上のように、上記第5の実施形態では、電波発射源検出センサ113を車両検出器14,15の中央の略直上に設置するようにしている。これにより、ETC車載器が高い位置に設置されるトラック等の大型車両が通過する場合であっても、ETC車載器からの応答信号を正確に受信することが可能となる。
(その他の実施形態)
上記第1乃至第3の実施形態では、電波発射源検出センサをARIB STD−T55の規格に適合するETCシステムに用いる例を説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、電波発射源検出センサは、ARIB STD−T75の規格に適合するDSRC(Dedicated Short Range Communication)システムに用いても構わない。また、第1乃至第3の実施形態に係る電波発射源検出センサは、有料道路の他に、例えば、駐車場等で用いられても構わない。
同様に、上記第4の実施形態に係る路側器も、ARIB STD−T75の規格に適合するDSRC(Dedicated Short Range Communication)システムに用いても構わない。また、第4の実施形態に係る路側器も、有料道路の他に、例えば、駐車場等で用いられても構わない。
また、上記第1乃至第3の実施形態では、電波発射源検出センサが有料道路等のETCシステムで用いられる場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、上記第1、第2、第3及び第5の実施形態に係る自動料金収受システムを遊園地等の入場ゲートとして用いる場合であっても構わない。この場合、歩行者に、ETC車載器に相当する応答器を保持させ、第1、第2、第3及び第5の実施形態に係る電波発射源検出センサにより、応答信号の到来方向を識別するようにする。同様に、上記第4の実施形態に係る路側器も、例えば、遊園地等の入場ゲートとしての自動料金収受システムに利用されても構わない。この場合、第4の実施形態に係る路側器により、応答信号の到来方向を識別するようにする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。