JP5570007B2 - 有機無機複合体 - Google Patents

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本発明は、金属酸化物粒子を含有する有機無機複合体に関し、詳しくは、表面側における炭素含有率が内部における炭素含有率に比して少なく、表面が無機化した有機無機複合体であって、さらに金属酸化物粒子を含有することによって表面に凹凸のある有機無機複合体、また、それを形成するための組成物に関する。本発明の金属酸化物粒子含有有機無機複合体は、タッチパネルや各種表示画面におけるアンチグレア膜又はアンチニュートンリング膜として好適に用いられる。
現在、市販品のシラン系コート剤の原料としては、主として3官能のシランが用いられており、かかる3官能シランにより、適度な硬さと柔軟性を持つポリシロキサンが形成される。しかしながら、3官能シランの膜ではハードコート性が充分ではない。そこで、3官能シランに、4官能シランやコロイダルシリカを混合することでハードコート性を補っているが、膜を硬くすれば、ヒビ割れやすくなり、密着性が悪くなるという問題がある。
シラン系のコート剤としては、例えば、エポキシ基を有する3官能アルコキシシラン化合物を含有する防汚膜形成用組成物(例えば、特許文献1参照)がある。また、光触媒を含有したシラン系コート剤も提案されており、光酸発生剤、架橋剤、硬化触媒等を使用して、膜を硬化している(例えば、特許文献2,3参照)。さらに、材料中の金属系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するシラン系の有機−無機複合傾斜材料も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
発明者らは、光感応性化合物の存在下に有機ケイ素化合物に紫外線を照射することにより、表面が非常に高い硬度を有すると共に、内部及び裏面側が適当な硬度を有しつつ、かつ基体との密着性に優れた有機無機複合体を提供した(特許文献5参照)。しかしながら、基材への密着性、耐湿性において、さらなる改善が望まれていた。
一方、ハードコート膜としては、UV硬化樹脂としてアクリレート系樹脂等を用いることが知られている。たとえば、特許文献6には、(メタ)アクリル酸エステル混合物(A)、光重合開始剤(B)、エチレン性不飽和基含有ウレタンオリゴマー(C)、コロイダルシリカゾル(D)及び希釈剤(E)を含有するハードコートフィルムが記載されており、得られたフィルムは、鉛筆硬度、カール、基材への密着性が良好であることが記載されている。
また、特許文献7には、(A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子と、重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子、(B)分子内にウレタン結合及び2以上の重合性不飽和基を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する硬化性組成物を用いることが記載されており、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び高屈折率を有するとともに耐擦傷性並びに基材及び低屈折率層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得ることが記載されている。
さらに、特許文献8には、有機ケイ素化合物の加水分解物と金属酸化物微粒子の混合物、(B)多官能アクリレート又はメタクリレート、(C)光重合開始剤を配合してなることを特徴とする紫外線硬化性ハードコート樹脂組成物が記載されており、帯電防止剤の表面へのブリード、透明性の低下、耐湿性の劣化等を実用的に許容できる範囲内に収めることができ、かつハードコートとしての機能(耐擦傷性、表面硬度、耐湿性、耐溶剤・薬品性等)を満足することが記載されている。
しかしながら、これらのアクリレート系樹脂等を用いるハードコート膜は、耐摩耗性に関しては無機膜よりも劣るため、硬度の高い金属酸化物ゾルを添加することにより改善を図っている。しかし、この方法では金属酸化物粒子の表面が多くの樹脂で覆われており、必ずしも十分な効果は期待できなかった。特に、粒径の大きな金属酸化物粒子を含有させて、膜の表面に凹凸を形成させるアンチグレア膜、アンチニュートンリング膜の場合、金属酸化物粒子の表面を樹脂が覆っていないと、磨耗試験で粒径の大きな金属酸化物粒子が、脱落する問題があった。
これらの課題に対し、発明者らは既に、ポリシロキサン系の有機無機複合体に紫外線硬化性化合物を配合することにより、表面が非常に高い硬度を有すると共に、基体との密着性及び耐湿性に優れた有機無機複合体を製造することができることを見い出している(特許文献9)。しかしながら、前記有機無機複合体の光反射特性については検討されていなかった。
さらに、従来、金属酸化物の微粒子をハードコート用組成物に添加し、ハードコートの表面に凹凸を付与することで、アンチグレアハードコート膜とすることは知られていた(特許文献10)が、ハードコート膜の表面はいずれも樹脂等の有機成分で、表面が無機化したアンチグレアハードコート膜は知られていなかった。
特開平10−195417号公報 特開2002−363494号公報 特開2000−169755号公報 特開2000−336281号公報 WO2006/088079号公報 特開2002−235018号公報 特開2005−272702号公報 特開2001−214092号公報 WO2008/069217号公報 特開2008−158536号公報
本発明の課題は、表面が内部より高い硬度を有するポリシロキサン系の有機無機複合体にアンチグレア性やアンチニュートンリング性を付与し、高い表面硬度とアンチグレア性やアンチニュートンリング性とを両立する有機無機複合体を提供することである。
本発明者らは、上記課題に取り組み鋭意研究した結果、ポリシロキサン系の有機無機複合体と紫外線硬化性化合物を配合した有機無機複合体に、さらに金属酸化物粒子を含有させることで、表面が非常に高い硬度を有すると同時に、アンチグレア性、アンチニュートンリング性を有する優れた有機無機複合体を製造することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、
b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物、
c)紫外線硬化性化合物の硬化物、及び
d)金属酸化物粒子
を含有する有機無機複合体であって、該有機無機複合体表面の10点平均粗さが0.1μm〜5μmであることを特徴とする有機無機複合体や、
[2]
有機無機複合体表面の炭素含有量が、裏面側の炭素含有量の80%以下であることを特徴とする、[1]に記載の有機無機複合体や、
[3]
b)の化合物における金属が、Ti、Al、Zr又はSnであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の有機無機複合体や、
[4]
c)の紫外線硬化性化合物が、(メタ)アクリレート系紫外線硬化性化合物であることを特徴とする[1]〜[3]に記載の有機無機複合体や、
[5]
d)の金属酸化物粒子が多孔質粉末であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の有機無機複合体や、
[6]
d)の金属酸化物粒子の一次粒子径が0.05μm〜0.2μmであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の有機無機複合体に関する。
また、本発明は、
[7]
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、
b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物、
c)紫外線硬化性化合物、及び
d)粒径0.05μm〜5μmの金属酸化物粒子
を含有することを特徴とする、有機無機複合体形成用組成物や、
[8]
b)の化合物における金属が、Ti、Al、Zr又はSnであることを特徴とする[7]に記載の有機無機複合体形成用組成物や、
[9]
有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、光感応性化合物、紫外線硬化性化合物及び金属酸化物粒子の全質量に対して、紫外線硬化性化合物が2〜98質量%であることを特徴とする[7]又は[8]に記載の有機無機複合体形成用組成物や、
[10]
d)の金属酸化物粒子が多孔質粉末であることを特徴とする、[7]〜[9]のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
[11]
d)の金属酸化物粒子の一次粒子径が0.05μm〜0.2μmであることを特徴とする、[7]〜[9]のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物に関する。
さらに、本発明は、
[12]
有機無機複合体が、アンチグレア膜又はアンチニュートンリング膜であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の有機無機複合体や、
[13]
有機無機複合体形成用組成物が、アンチグレア膜又はアンチニュートンリング膜用組成物であることを特徴とする、[7]〜[11]のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物に関する。
本明細書において、「膜表面から深さ方向0.5μmまでの間における炭素含有量の最小値」とは、ESCA分析によって膜表面から深さ方向への炭素含有量を測定したときに得られる炭素含有量のグラフにおける、膜表面から深さ方向0.5μmまでの深さごとの炭素含有量の測定値の最小値を意味する。測定は、WO2008/069217号公報に記載された方法によることができる。
また、有機無機複合体の裏面側における炭素含有量とは、膜表面から炭素含有量が漸次増加している深さよりさらに深部の、炭素含有量が一定に達している時の値であり、必ずしも裏面の値でなくてもよい。本発明のほとんどの膜は、炭素含有量が漸次増加している深さより内部では炭素の含有量が膜の厚さ方向で一定になっており、裏面の値と異ならない。
本発明によれば、表面が非常に高い硬度を有すると共に、内部及び裏面側が適当な硬度を有しつつ、かつ基体との密着性、耐湿性に優れた有機無機複合体であって、アンチグレア性、アンチニュートンリング性を有する有機無機複合体を提供することができる。
本発明の有機無機複合体は、表面が極性の高いSiO状の構造を有しているので、各種の膜を積層した時の層間密着性に優れている。シランカップリング処理による表面処理も可能で、表面を撥水撥油性に変えたり、アミノ基を導入し、メッキ密着性を付与したり、各種処理が容易である。また、金属酸化物粒子による表面凹凸のために表面の滑り性が良好であり、滑り性と撥水撥油性を両立することができるため、例えば、タッチパネル表面に好適に用いることができる。
さらに、本発明の有機無機複合体は、耐湿性が良好である特性を有する。一般に、ハードコート膜に金属酸化物粒子を添加すると耐湿性は劣るものと考えられていたが、本発明の有機無機複合体は、金属酸化物粒子を含有するにも関わらず良好な耐湿性を示す。
(有機無機複合体)
本発明の有機無機複合体は、
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物(以下、単に、有機ケイ素化合物ということがある。)の縮合物を主成分とし、
b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物、及び/又はそれから誘導される化合物、
c)紫外線硬化性化合物の硬化物、及び
d)金属酸化物粒子
を含有する。本発明の有機無機複合体には、有機ケイ素化合物の縮合物に光感応性化合物及び/又はその誘導体が非結合状態で分散されてなるものや、有機ケイ素化合物の縮合物に光感応性化合物及び/又はその誘導体が結合してなるもの(例えば、Si−O−M結合を有するもの(Mは光感応性化合物中の金属原子を表す。))や、その混合状態からなるものが包含される。
本発明の有機無機複合体は、金属酸化物粒子を含有するために、その表面は平滑ではなく凹凸を有している。具体的には、表面の10点平均粗さが0.1〜5μmであり、より好ましくは0.5〜2μmである。表面の10点平均粗さとは、具体的には、JIS B
0601に示すように、断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分において、平均線に平行、かつ、断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をμmで表したものをいう。10点の測定値の平均値を10点平均表面粗さとした。10点平均粗さの測定には、例えば、走査型プローブ顕微鏡や光干渉を用いた三次元非接触表面形状計測システムを用いることができる。具体的には走査型プローブ顕微鏡はセイコーインスツルメンツ社製「SPI3800N(SPA400)」、光干渉を用いた三次元非接触表面形状計測システムは菱化システム社製を使用できる。いずれの方法でも、測定値は変わらない。
(有機ケイ素化合物)
本発明の有機ケイ素化合物の式(I)中、R及びXは各々次のとおりである。
Rは、Siに炭素原子が直接結合する有機基を表す。かかる有機基としては、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素のポリマーからなる基等を挙げることができ、置換されていてもよい炭素数1〜30の炭化水素基でもよく、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数10より長鎖のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基又は置換されていてもよい炭素数3〜8のシクロアルケニル基が好ましく、芳香環を有していてもよい。
また、かかる有機基は、酸素原子、窒素原子、又はケイ素原子を含んでいてもよく、ポリシロキサン、ポリビニルシラン、ポリアクリルシラン等のポリマーを含む基でもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン、メタクリロキシ基等を挙げることができ、ハロゲンとしてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖、又は分岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基があり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基等が挙げられ、炭素数10より長鎖のアルキル基としては、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基とは、いずれか1カ所以上に炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基を意味し、例えば、エテニル基、プロパ−1−エン−1−イル基、プロパ−2−エン−1−イル基、プロパ−1−エン−2−イル基、ブタ−1−エン−1−イル基、ブタ−2−エン−1−イル基、ブタ−3−エン−1−イル基、ブタ−1−エン−2−イル基、ブタ−3−エン−2−イル基、ペンタ−1−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−1−イル基、ペンタ−1−エン−2−イル基、ペンタ−4−エン−2−イル基、3−メチル−ブタ−1−エン−1−イル基、ヘキサ−1−エン−1−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基、ヘプタ−1−エン−1−イル基、ヘプタ−6−エン−1−イル基、オクタ−1−エン−1−イル基、オクタ−7−エン−1−イル基等が挙げられる。
炭素数3〜8のシクロアルケニル基とは、いずれか1カ所以上に炭素−炭素二重結合を有し、かつ環状部分を有する炭素数3〜8のアルケニル基を意味し、例えば、1−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロペンテン−1−イル基、1−シクロヘキセン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基、3−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられる。
芳香環を有する有機基としては、例えば、C6−10アリールC1−8アルキル基として、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、8−フェニル−n−オクチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。またC6−10アリールC2−6アルケニル基として、スチリル基、3−フェニル−プロパ−1−エン−1−イル基、3−フェニル−プロパ−2−エン−1−イル基、4−フェニル−ブタ−1−エン−1−イル基、4−フェニル−ブタ−3−エン−1−イル基、5−フェニル−ペンタ−1−エン−1−イル基、5−フェニル−ペンタ−4−エン−1−イル基、8−フェニル−オクタ−1−エン−1−イル基、8−フェニル−オクタ−7−エン−1−イル基、ナフチルエテニル基等が挙げられる。
酸素原子を有する基としては、エポキシ基、エポキシアルキル基、グリシドキシプロピル基等のオキシラン環(エポキシ基)を有する基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシメチル基などが挙げられる。
酸素原子を有する基のうち、エポキシアルキル基としては炭素数3〜10の直鎖又は分岐鎖のエポキシアルキル基が好ましく、例えばエポキシメチル基、エポキシエチル基、エポキシ−n−プロピル基、エポキシイソプロピル基、エポキシ−n−ブチル基、エポキシイソブチル基、エポキシ−t−ブチル基、エポキシ−n−ペンチル基、エポキシイソペンチル基、エポキシネオペンチル基、エポキシ−2−メチルブチル基、エポキシ−2,2−ジメチルプロピル基、エポキシ−n−ヘキシル基等が挙げられる。オキシラン環以外にさらに酸素原子を有する基としては、グリシドキシプロピル基等が挙げられる。
窒素原子を有する基としては−NR’(式中、R’は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、各R’は互いに同一でも異なっていてもよい。)を有する基、又は−N=CR’’(式中、R’’は水素原子又はアルキル基を表し、各R’’は互いに同一でも異なっていてもよい。)を有する基が好ましく、アルキル基としては上記と同じものが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、アントラセン−1−イル基、フェナントレン−1−イル基等が挙げられる。
例えば、−NR’を有する基としては、―CH−NH基、−C−NH基、−CH−NH−CH基等が挙げられる。−N=CR’’を有する基としては、−CH−N=CH−CH基、−CH−N=C(CH基、−C−N=CH−CH基等が挙げられる。
上記のうち、350nm以下の波長の光の照射によって分解される基としては、ビニル基を有する基、オキシラン環を有する基、−NR’(式中、R’は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、各R’は互いに同一でも異なっていてもよい。)を有する基、又は−N=CR’’(式中、R’’は水素原子又はアルキル基を表し、各R’’は互いに同一でも異なっていてもよい。)を有する基が挙げられる。
ここで、ビニル基を有する基としては、エテニル基(ビニル基)、プロパ−2−エン−1−イル基、ブタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−1−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基、ヘプタ−6−エン−1−イル基、オクタ−7−エン−1−イル基等のアルケニル基、メタクリルメチル基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシメチル基等のビニルカルボニル基を有する基等を有する基が挙げられる。オキシラン環を有する基、−NR’を有する基、−N=CR’’を有する基は、上記のとおりである。
また、有機ケイ素化合物の式(I)中、nは、1又は2を表し、n=1のものが特に好ましい。nが2のとき、各Rは同一でも異なっていてもよい。また、これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。式(I)の(4−n)が2以上のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。加水分解性基とは、例えば、無触媒、過剰の水の共存下、25℃〜100℃で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基や、シロキサン縮合物を形成することができる基を意味し、具体的には、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基等を挙げることができ、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアシルオキシ基が好ましい。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基等が挙げられ、炭素数1〜6のアシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。ハロゲンとしてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。イソシアネート基としては、例えば、アルキル基に結合したイソシアネート基、シクロアルキル基に結合したイソシアネート基、アリール基に結合したイソシアネート基、シクロアルキル基が置換したアルキル基に結合したイソシアネート基、アリール基が置換したアルキル基に結合したイソシアネート基等が挙げられる。
具体的に、有機ケイ素化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルジメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランをあげることができる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、炭化水素のポリマーからなる基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれるビニル系化合物を共重合したビニル系ポリマーを式(I)のR成分とするものを挙げることができる。
なお、本発明の有機無機複合体における主成分となる有機ケイ素化合物の縮合物は、後述する本発明の有機無機複合体の製造方法及び有機無機複合体形成用組成物における有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物がさらに縮合したものを意味する。
(光感応性化合物)
本発明の光感応性化合物とは、そのメカニズムの如何によらず、表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物であり、好ましくは、膜表面から深さ方向0.5μmまでの間における炭素含有量の最小値が、膜裏面側における炭素含有量の80%以下、より好ましくは2〜60%、さらに好ましくは2〜40%とすることができる化合物であり、特に好ましくは、炭素成分を、その除去量が表面側から漸次減少するように所定深さまで除去することが可能な化合物、すなわち、表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加する膜を形成することができる化合物をいう。具体的には、例えば、350nm以下の波長の光を吸収して励起する化合物を挙げることができる。
ここで、350nm以下の波長の光とは、350nm以下のいずれかの波長の光を成分とする光源を用いてなる光、好ましくは、350nm以下のいずれかの波長の光を主成分とする光源を用いてなる光、すなわち、最も成分量の多い波長が350nm以下の光源を用いてなる光を意味する。
本発明の有機無機複合体における光感応性化合物としては、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましい。これから誘導される化合物としては、例えば、金属キレート化合物の縮合物等がさらに縮合されたもの等を挙げることができる。かかる光感応性化合物及び/又はその誘導体は、上述のように、有機ケイ素化合物と化学結合していてもよく、非結合状態で分散していてもよく、その混合状態のものでもよい。
金属キレート化合物としては、水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることが好ましく、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることがより好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。また、前記金属キレート化合物としては、β−ケトカルボニル化合物、β−ケトエステル化合物、及びα−ヒドロキシエステル化合物が好ましく、具体的には、アセト酢酸メチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル等のβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、へキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチル−へキサン−2,4−ジオン等のβ−ジケトン類;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸;等が配位した化合物が挙げられる。
金属有機酸塩化合物としては、金属イオンと有機酸から得られる塩からなる化合物であり、有機酸としては、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸類;スルフォン酸、スルフィン酸、チオフェノール等の含硫黄有機酸;フェノール化合物;エノール化合物;オキシム化合物;イミド化合物;芳香族スルフォンアミド;等の酸性を呈する有機化合物が挙げられる。
また、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物は、上記金属キレート化合物及び金属有機酸塩化合物を除くものであり、例えば、金属の水酸化物や、金属アルコラート等を挙げることができる。
金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基が好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。
かかる金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解したものであることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属キレート化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることが好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、金属有機酸塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属有機酸塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることが好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、これら金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における金属としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、鉛(Pb)等が挙げられ、これらの中でもチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)が好ましく、特にチタン(Ti)が好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上用いることもできる。
(紫外線硬化性化合物)
本発明の紫外線硬化性化合物とは、光重合開始剤の存在下で紫外線の照射により重合反応を起こす官能基を有する化合物あるいは樹脂のことであり、(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ樹脂、アクリレート系化合物を除くビニル化合物などがある。官能基の数は、1個以上であれば特に限定はない。
アクリレート系化合物としては、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート 、エポキシ(メタ)アクリレート 、ポリアミド(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート 、ポリスチリル(メタ)アクリレート 、ポリカーボネートジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート 、ヘ
キサンジオールジ(メタ)アクリレート 、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー等が挙げられるが、好ましくはポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ポリウレタン(メタ)アクリレートである。
分子量は、有機無機複合体形成用組成物に溶解する限り限度はないが、通常は質量平均分子量として500〜50,000、好ましくは1,000〜10,000である。
また、紫外線照射により重合反応を起こして生成した重合物が硬化物である。
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。または、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物であり、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、荒川化学工業(株)製商品名:ビームセット102、502H、505A−6、510、550B、551B、575、575CB、EM−90、EM92、サンノプコ(株)製商品名:フォトマー6008、6210、新中村化学工業(株)製 商品名:NKオリゴU−2PPA、U−4HA、U−6HA、H−15HA、UA−32PA、U−324A、U−4H、U−6H、東亜合成(株)製商品名:アロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960、共栄社化学(株)製商品名:AH−600、AT606、UA−306H、日本化薬(株)製商品名:カヤラッドUX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、日本合成化学工業(株)製商品名:紫光UV−1700B、UV−3000B、UV−6100B、UV−6300B、UV−7000、UV−7600B、UV−2010B、根上工業(株)製商品名:アートレジンUN−1255、UN−5200、HDP−4T、HMP−2、UN−901T、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、H−61、HDP−M20、ダイセルユーシービー(株)製商品名:Ebecryl 6700、204、205、220、254、1259、1290K、1748、2002、2220、4833、4842、4866、5129、6602、8301等を挙げることができる。
また、アクリレート系化合物をのぞくビニル化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレン、不飽和ポリエステルなどがあり、エポキシ樹脂としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどを挙げることができる。
(光重合開始剤)
本発明の光重合開始剤は、(a)光照射によりカチオン種を発生させる化合物及び(b)光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等を挙げることができる。
光照射によりカチオン種を発生させる化合物としては、例えば、下記式(II)に示す構造を有するオニウム塩を好適例として挙げることができる。
このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
[R W]+e[MLe+f−e (II)
(式(II)中、カチオンはオニウムイオンであり、Wは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、又はN≡N−であり、R、R、R及びRは同一又は異なる有機基であり、a、b、c、及びdは、それぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体[MLe+f]の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Lは、例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子であり、eは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、fは、Mの原子価である。)
上記式(II)中における陰イオン(MLe+f)の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF )、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl )等を挙げることができる。
また、式〔ML(OH)〕に示す陰イオンを有するオニウム塩を用いることもできる。さらに、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO )、フルオロスルフォン酸イオン(FSO )、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸陰イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸陰イオン等の他の陰イオンを有するオニウム塩でもよい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
本発明において用いられる光重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリレート系紫外線硬化性化合物の固形分に対して、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。
なお、本発明においては、必要に応じて増感剤を添加することができる。例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用できる。
(金属酸化物粒子)
本発明の金属酸化物粒子としては、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルトの粒子等が挙げられる。粒子の形状としては、球状、多孔質粉末、鱗片状、繊維状等が挙げられるが、多孔質粉末状であることがより好ましい。多孔質であることにより凝集粒径が1μm以上でもコート液中にある間は均一に分散することができる。多孔質の粒子としては、富士シリシア化学社製のサイリシア等が挙げられる。アドマテックス社製の、アドマファインSQ表面処理シリーズ等のシランカップリング処理された粒子も使用できる。粒子の大きさは、アンチグレア性及びアンチニュートンリング性が得られる限り特に制限されるものではないが、凝集粒子径が1μm〜5μmであることが好ましく、2μm〜3μmであることがより好ましい。添加量は、組成物の固形分として、2wt%〜10wt%であることが好ましく、3wt%〜5wt%であることがより好ましい。
また、本発明の金属酸化物粒子としては、1次粒子径が0.05〜0.2μmであるコロイド状金属酸化物粒子も使用できる。ここでの1次粒子とは電子顕微鏡で観察できる粒子のことである。この粒子として、コロイダルシリカなどが良く知られており、日産化学工業社製IPA−ST−ZLなどが挙げられる。添加量は、10wt%〜40wt%であることが好ましく、15wt%〜30wt%であることがより好ましい。本粒子はコロイド状の分散液であるので、コート液に単に混合することで均一な分散液が簡便にでき、また、沈降などによる不均一になる問題も少ない。また、本粒子は粒子径が可視光以下の大きさなので、塗膜中に均一に分散されるとアンチグレア性やアンチニュートンリング性は得られないが、本塗料組成においては、この効果が認められ、特異的な現象である。比較例に示したが、UV硬化樹脂だけに混合しても、クリアーな塗膜しか得られなかった。
本発明の金属酸化物粒子含有有機無機複合体は、金属酸化物粒子を含有することで、有機無機複合体の表面に凹凸が生じて光の乱反射が起こるためにアンチグレア性が発現し、また、表面の滑り性が良好である。さらに、膜の表面に金属酸化物粒子が表出しており、有機樹脂に被覆されていない表面があることにより撥水・撥油製のシランカップリング処理が可能で、このことより、手垢付着防止機能や、さらに滑り性が向上する。さらに、表面の凹凸によってフィルムを重ね合わせた場合の膜間距離を制御することができ、ニュートンリング(光干渉縞)の発生を抑制することもできる(アンチニュートンリング性)。
(有機無機複合体形成用組成物の塗布)
本発明の有機無機複合体が形成可能な基体としては、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック等が挙げられる。これらのうちでは、プラスチックが好適に挙げられ、具体的には、タッチパネル用のプラスチック基板等が挙げられる。従来、薄膜のプラスチック基体への形成は困難であり、ガラス等の無機基体に限定されていたが、本発明の薄膜は、形成の難しいプラスチック基体であっても、容易に皮膜形成でき、プラスチック製光学部品に対しても適している。かかるプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルスルフォンが挙げられる。
また、有機無機複合体形成用組成物の塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等を挙げることができる。また、形成する膜厚としては、特に制限されるものではなく、例えば、0.05〜200μm程度である。
有機無機複合体形成用組成物を塗布して形成した膜の乾燥処理としては、例えば、40〜200℃で、1〜120分程度行うことが好ましく、60〜120℃で、10〜60分程度行うことがより好ましい。
(有機無機複合体の製造方法)
本発明の有機無機複合体の製造方法としては、光感応性化合物、紫外線硬化性化合物、金属酸化物粒子、及び、光重合開始剤の存在下、有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物に、350nm以下の波長を含む光を照射する方法を挙げることができ、後述する有機無機複合体形成用組成物を用いることができる。
350nm以下の波長を含む光の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ等の公知の装置を用いて行うことができ、照射する光としては、150〜350nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることが好ましく、250〜310nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることがより好ましい。かかる範囲の波長に感応し、350nm、好ましくは310nmを超える光に反応しないものであれば、太陽光によりほとんど影響を受けることはない。また、照射する光の照射光量としては、例えば、0.1〜100J/cm程度が挙げられ、膜硬化効率(照射エネルギーと膜硬化程度の関係)を考慮すると、0.2〜20J/cm程度であることが好ましく、0.5〜10J/cm程度であることがより好ましい。
なお、350nm以下の波長の光の照射とは、350nm以下のいずれかの波長の光を成分とする光源を用いる照射、好ましくは、350nm以下のいずれかの波長の光を主成分とする光源を用いる照射、すなわち、最も成分量の多い波長が350nm以下の光源を用いる照射をいう。
本発明の製造方法に用いる有機ケイ素化合物としては、縮合物であることが好ましく、その平均粒径が、50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。また、本発明の製造方法において用いる光感応性化合物としては、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましく、その平均粒径としては、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。これにより、有機無機複合体(有機無機複合系薄膜)の透明性を向上させることができる。これらの平均粒子径は、例えば、Malvern Instruments Ltd製 HPPSを用いて測定することができる。
(有機無機複合体形成用組成物)
本発明の有機無機複合体形成用組成物は、
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、
b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の光感応性化合物、
c)紫外線硬化性化合物、及び
d)粒径0.05μm〜5μmの金属酸化物粒子
を含有する組成物であれば特に制限されるものではなく、さらに、水及び/又は溶媒を含有することが好ましい。式(I)で表される有機ケイ素化合物及び光感応性化合物としては、上述したものと同様である。紫外線硬化性化合物及び金属酸化物粒子も上述したものと同様であるが、金属酸化物粒子としては、粒径が0.05μm〜5μmのものが好ましい。
用いる溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の有機無機複合体形成用組成物中の固形分(有機ケイ素成分、光感応性化合物成分、紫外線硬化性化合物及び金属酸化物粒子)としては、1〜75質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、光感応性化合物、紫外線硬化性化合物及び金属酸化物粒子の全質量に対して、紫外線硬化性化合物は2〜98質量%、好ましくは5〜95質量%である。
光感応性化合物の含有量としては、その種類にもよるが、一般的に、有機ケイ素化合物中のSiに対して、光感応性化合物中の金属原子が0.01〜0.5モル当量、好ましくは0.05〜0.2モル当量であることが好ましい。
本発明の有機無機複合体形成用組成物には、得られる塗膜の硬度向上を目的として4官能シランやコロイド状シリカを添加することもできる。4官能シランとしては、例えば、テトラアミノシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ(メタ)アクリロキシシラン、テトラキス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、テトラキス(2−ビニロキシエトキシ)シラン、テトラグリシジロキシシラン、テトラキス(2−ビニロキシブトキシ)シラン、テトラキス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。また、コロイド状シリカとしては、水分散コロイド状シリカ、メタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの有機溶媒分散コロイド状シリカを挙げることができる。
また、本発明の有機無機複合体形成用組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化、下地への紫外線透過防止、防蝕性の付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、別途、充填材を添加・分散させることも可能である。
この充填材としては、例えば有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーンブラック、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
なお、本発明の有機無機複合体形成用組成物には、その他、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤、各種界面活性剤、前記以外のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を添加することもできる。
(有機無機複合体形成用組成物の調製方法)
本発明の有機無機複合体形成用組成物の調製方法としては、必要に応じて水及び/又は溶媒を加え、有機ケイ素化合物、光感応性化合物、紫外線硬化性化合物及び金属酸化物粒子を混合する。
具体的には例えば、光感応性化合物を溶媒に混合し、所定量の水を加え、(部分)加水分解を行い、続いて、有機ケイ素化合物を添加して(部分)加水分解させる。一方、紫外線硬化性化合物を溶媒に溶解して光重合開始剤を添加し、その後、両溶液を混合する。
これら4成分は、同時に混合することもでき、また、有機ケイ素化合物と光感応性化合物の混合方法については、有機ケイ素化合物と光感応性化合物を混合した後に、水を加えて(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び光感応性化合物を別々に(部分)加水分解したものを混合する方法を挙げることができる。水や溶媒を加える必要は必ずしもないが、水を加えて(部分)加水分解物としておくことが好ましい。所定量の水の量としては、光感応性化合物の種類にもよるが、例えば、光感応性化合物が2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の場合、金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いることがより好ましい。また、光感応性化合物が金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物の場合、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いることが好ましく、5〜20モルの水を用いることがより好ましい。
金属酸化物粒子の添加は、上記工程の最後に行うことができる。具体的には例えば、上記工程で調製された溶液に、直接粒子を添加しても、アルコール等の有機溶媒に分散させた後に添加してもよい。添加後、攪拌することで本発明の有機無機複合体形成用組成物とすることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[実施例1]
1.光感応性化合物の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達製、T−50、酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)303.03gをエタノール/酢酸エチル(=50/50:重量%)の混合溶媒584.21gに溶解した後、攪拌しながらイオン交換水112.76g(10倍モル/酸化チタンのモル)を加えた。この溶液を40℃に加温しながら2時間攪拌し加水分解させた。次に溶液をろ過し、黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−1]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
2.有機ケイ素化合物の調整
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン179.91g[B−1](信越化学工業株式会社製、KBM−1003)と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン301.55g[B−2](信越化学工業株式会社製、KBM−503)を(ビニルトリメトキシシラン/3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=50/50:モル比)混合させた液[C−1]を使用した。
次に、元素比(Ti/Si=1/9)となるように[A−1]431.05gと[C−1]481.47gを混合し、さらに、イオン交換水を87.48g(2倍モル/有機ケイ素化合物のモル)を加え、70℃に加温し3時間攪拌した液[D−1]を作製した。
3.紫外線硬化性化合物溶液の調整
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業製、紫光UV7600B)を40重量%となるように、エタノール/酢酸エチル(=50/50:重量%)の混合溶媒に溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティケミカル製、Irgacure127)をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4部加え、溶液[E−1]を作製した。
4.有機無機複合体形成用組成物の調整
固形分の割合が70重量%/30重量%=[D−1]/[E−1]となるように上記[D−1]液732.57gと[E−1]液267.43gを混合させ、塗膜形成用溶液[F−1]を作製した。
5.金属酸化物の添加
金属酸化物として、富士シリシア化学製SYLYSIA310P(平均粒径2.7μm凝集シリカ粉末)を、[F−1]の固形分に対して4重量%の割合で添加し分散させ[G−1]を作製した。
[比較例1]
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業製、紫光UV7600B)を40重量%となるように、エタノール/酢酸エチル/2−ブタノール(=60/20/20:重量%)の混合溶媒に溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Darocure1173)をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4重量%となるように溶解させ、溶液[E−2]を作製した。これに、金属酸化物として富士シリシア化学製SYLYSIA310P(平均粒径2.7μm凝集シリカ粉末)を、[E−2]の固形分に対して4重量%の割合で添加し分散させ[G−2]を作製した。
[比較例2]
元素比(Ti/Si=1/9)となるように[A−1]453.09gと[C−1]454.95gを混合し、さらに、イオン交換水を91.96g(2倍モル/有機ケイ素化合物のモル)を加え、70℃に加温し3時間攪拌した液[D−1]を作製した。これに金属酸化物として、富士シリシア化学製SYLYSIA310P(平均粒径2.7μm凝集シリカ粉末)を、[D−1]の固形分に対して4重量%の割合で添加し分散させ[G−3]を作製した。
(試験例A)
A−1.塗膜形成
塗膜形成用組成物[G−1〜3]をガラス基板にディップ製膜し、温風循環型乾燥器にて150℃、5分間加熱した。続いて、集光型高圧水銀灯(365nm、313nm、254nmの波長の光を主成分とするUV光、アイグラフィックス社製、1灯型、120W/cm、ランプ高9.8cm、コンベア速度5m/分)により、積算照射量2000mJ/cmの紫外線を照射して薄膜を得た。
A−2.鉛筆硬度
JIS K5600−5−4の鉛筆法に準拠して鉛筆硬度試験を行った。
A−3.密着性
JIS K5600−5−6のクロスカット法に準拠して密着性試験を行った。剥離が見られないものを○、剥離が見られるものを×とした。
A−4.アンチグレア性能
塗膜表面に反射した蛍光灯の輪郭が鮮明に見えるものを×、塗膜のアンチグレア効果により蛍光灯の輪郭がぼやけて見えるものを○とした。
A−5.耐湿性
恒温恒湿槽(ナガノ科学機械製作所製LH−30)を温度60℃、湿度95%RHに設定し、槽内にて塗膜を1000時間静置させた。○:外観異常なし、×:剥離発生
試験結果を下記表1に示す。
Figure 0005570007
[実施例2]
1.光感応性化合物の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達製、T−50、酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)303.03gをエタノール/酢酸エチル/2−ブタノール(=60/20/20:重量%)の混合溶媒584.21gに溶解した後、攪拌しながらイオン交換水112.76g(10倍モル/酸化チタンのモル)を加えた。この溶液を40℃に加温しながら2時間攪拌し加水分解させた。次に溶液をろ過し、黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−1]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
2.有機ケイ素化合物の調整
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン264.76g[B−1](信越化学工業株式会社製、KBM−1003)と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン190.19g[B−2](信越化学工業株式会社製、KBM−503)を(ビニルトリメトキシシラン/3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=70/30:モル比)混合させた液[C−2]を使用した。
次に、元素比(Ti/Si=1/9)となるように[A−1]453.09gと[C−2]454.95gを混合し、さらに、イオン交換水を91.96g(2倍モル/有機ケイ素化合物のモル)を加え、70℃に加温し3時間攪拌した液[D−2]を作製した。
3.紫外線硬化性化合物溶液の調整
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業製、紫光UV7630B)を40重量%となるように、エタノール/酢酸エチル/2−ブタノール(=60/20/20:重量%)の混合溶媒に溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Darocure1173)をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4重量%となるように溶解させ、溶液[E−3]を作製した。
4.有機無機複合体形成用組成物の調整
固形分の割合が10重量%/90重量%=[D−2]/[E−3]となるように上記[D−2]液と[E−3]液を混合させ、塗膜形成用溶液[F−2]を作製した。
5.金属酸化物の添加
金属酸化物として、富士シリシア化学製SYLYSIA310P(平均粒径2.7μm凝集シリカ粉末)を、[F−2]の固形分に対して4重量%の割合で添加し分散させ[G−4]を作製した。
[比較例3]
金属酸化物として、富士シリシア化学製SYLYSIA310P(平均粒径2.7μm凝集シリカ粉末)を、[F−2]の固形分に対して1重量%の割合で添加し分散させ[G−5]を作製した。
(試験例B)
B−1.塗膜形成
塗膜形成用組成物[G−4]を厚さ188μmのPETフィルム(東洋紡製コスモシャインA4300)にバーコータにて製膜し、温風循環型乾燥器にて60℃、3分間加熱した。続いて、集光型高圧水銀灯(365nm、313nm、254nmの波長の光を主成分とするUV光、アイグラフィックス社製、1灯型、120W/cm、ランプ高9.8cm、コンベア速度5m/分)により、積算照射量300mJ/cmの紫外線を照射して薄膜を得た。
B−2.密着性
JIS K5600−5−6のクロスカット法に準拠して密着性試験を行った。剥離が見られないものを○、剥離が見られるものを×とした。
B−3.アンチニュートンリング性能
製膜したPETフィルムを、塗工面がガラス基板と向き合うように貼り合わせ、身塗工面側からPETフィルムを指で押し、密着させた。この部分を3波長型蛍光灯の下で観察し、ニュートンリングが発生したものを×、ニュートンリングが見えないものを○とした。
試験結果を下記表2に示す。
Figure 0005570007
[実施例3]
金属酸化物として、富士シリシア化学製SYLYSIA310P(平均粒径2.7μm凝集シリカ粉末)を[F−2]の固形分に対して2重量%の割合で添加した以外は実施例2と同様にしてコーティング剤[G−6]を得た。
[実施例4]
金属酸化物として、富士シリシア化学製SYLYSIA310P(平均粒径2.7μm凝集シリカ粉末)を[F−2]の固形分に対して5重量%の割合で添加した以外は実施例2と同様にしてコーティング剤[G−7]を得た。
[比較例4]
金属酸化物として、富士シリシア化学製SYLYSIA310P(平均粒径2.7μm凝集シリカ粉末)を[F−2]の固形分に対して1重量%の割合で添加した以外は実施例2と同様にしてコーティング剤[G−8]を得た。
(試験例C)
C−1.塗膜形成
塗膜形成用組成物[G−4]を厚さ188μmのPETフィルム(東洋紡製コスモシャインA4300)にバーコータにて製膜し、温風循環型乾燥器にて60℃、3分間加熱した。続いて、集光型高圧水銀灯(365nm、313nm、254nmの波長の光を主成分とするUV光、アイグラフィックス社製、1灯型、120W/cm、ランプ高9.8cm、コンベア速度5m/分)により、積算照射量300mJ/cmの紫外線を照射して薄膜を得た。
C−2.10点平均粗さの測定
セイコーインスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡「SPI3800N(SPA400)」を用いて、得られた塗膜の表面形状を観察した。
試験結果を下記表3に示す。
Figure 0005570007
[参考例]
塗膜の形成:塗膜形成用組成物[G−3]を厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板にディップコートを用いて製膜した。この時、ディップ引上速度は10〜100cm/minの間で設定した。この塗膜を温風循環型乾燥器にて150℃、3分間加熱した。続いて、集光型高圧水銀灯(365nm、313nm、254nmの波長の光を主成分とするUV光、アイグラフィックス社製、1灯型、120W/cm、ランプ高9.8cm、コンベア速度5m/分)により、積算照射量2000mJ/cmの紫外線を照射して薄膜を得た。
10点平均粗さの測定:セイコーインスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡「SPI3800N(SPA400)」を用いて、得られた塗膜の表面形状を観察した。
試験結果を下記表4に示す。
Figure 0005570007
[実施例5]
1.光感応性化合物の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達製、T−50、酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)303.03gをエタノール584.21gに溶解した後、攪拌しながらイオン交換水112.76g(10倍モル/酸化チタンのモル)を加えた。この溶液を40℃に加温しながら2時間攪拌し加水分解させた。次に溶液をろ過し、黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−2]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
2.有機ケイ素化合物の調整
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン264.76g[B−1](信越化学工業株式会社製、KBM−1003)と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン190.19g[B−2](信越化学工業株式会社製、KBM−503)を(ビニルトリメトキシシラン/3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=70/30:モル比)混合させた液[C−2]を使用した。
次に、元素比(Ti/Si=1/9)となるように[A−2]453.09gと[C−2]454.95gを混合し、さらに、イオン交換水を91.96g(2倍モル/有機ケイ素化合物のモル)を加え、24時間攪拌した液[D−3]を作製した。
3.紫外線硬化性化合物溶液の調整
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業製、紫光UV7600B)を40重量%となるように、メチルイソブチルケトンに溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカル製Irgacure907をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4部加え、溶液[E−1]を作製した。
4.有機無機複合体形成用組成物の調整
固形分の割合が10重量%/90重量%=[D−3]/[E−1]となるように上記[D−3]液と[E−1]液を混合させ、塗膜形成用溶液[F−3]を作製した。
5.金属酸化物の添加
金属酸化物として、日産化学工業製SiO分散ゾルIPA−ST−ZL(平均粒径0.07μm−0.1μm)を、[F−3]の固形分に対して20重量%の割合で添加し分散させ[G−9]を作製した。
[比較例5]
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業製、紫光UV7600B)を40重量%となるように、メチルイソブチルケトンに溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Darocure907をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4部加え、溶液[E−1]を作製した。これに、金属酸化物として、日産化学工業製SiO分散ゾルIPA−ST−ZL(平均粒径0.07μm−0.1μm)を、[F−3]の固形分に対して30重量%の割合で添加し分散させ[G−10]を作製した。
(試験例D)
D−1.塗膜形成
塗膜形成用組成物[G−9]を厚さ188μmのPETフィルム(東洋紡製コスモシャインA4300)にバーコーターにて成膜し、温風循環型乾燥器にて100℃、3分間加熱した。続いて、集光型高圧水銀灯(365nm、313nm、254nmの波長の光を主成分とするUV光、アイグラフィックス社製、120W/cm、ランプ高9.8cm、コンベア速度5m/分)により、積算照射量350mJ/cmの紫外線を照射して薄膜を得た。
D−2.鉛筆硬度
JIS K5600−5−4の鉛筆法に準拠して鉛筆硬度試験を行った。
D−3.耐擦傷性
スチールウール♯0000(商品名:ボンスター 日本スチールウール製)を用い、荷重200gをかけ、塗膜表面を20回擦過した後の傷を評価した。
D−4.ヘイズ率
塗膜のヘイズ率を、ヘイズメーター(日本電色工業製)を用いて測定した。
D−5.平面粗さ
光干渉方式を用いた三次元非接触表面形状計測システム(菱化システム製)を用いて塗膜表面を観察し、算出された10点平均粗さRZJISを使用した。
試験結果を下記表5に示す。
Figure 0005570007

Claims (8)

  1. a)式(I)
    SiX4−n・・・(I)
    (式中、RはSiに炭素原子が直接結合する、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい炭化水素のポリマーからなる基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、
    b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、該金属がTi、Al、Zr又はSnである、膜表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物及び/又はそれらの縮合物
    c)紫外線硬化性化合物の硬化物、及び
    d)粒子径が1μm〜5μmである凝集粒子であって、その添加量が2wt%〜10wt%であるか、又は粒子径が0.05μm〜0.2μmである一次粒子であって、その添加量が10wt%〜40wt%である、ケイ素、チタン、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム又はコバルトの酸化物粒子
    を含有する有機無機複合薄膜であって、
    該有機無機複合薄膜表面の10点平均粗さが0.5μm〜2μmであることを特徴とする有機無機複合薄膜
    (但し、紫外線硬化性化合物及び/又は式(I’)
    SiX 4−n ・・・(I’)
    (式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物の硬化物、及び
    金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物又は2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応して表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物を含有し、
    電子顕微鏡で観察される1次粒子径が50〜150nmの金属酸化物粒子をハードコート層形成用組成物の固形分の合計重量に対して1〜15重量%含有し、膜厚が1〜20μmであるハードコート層を有し、ヘイズ率が2%以下であるハードコートフィルムを除く)
  2. c)の紫外線硬化性化合物が、(メタ)アクリレート系紫外線硬化性化合物であることを特徴とする請求項に記載の有機無機複合薄膜
  3. d)の金属酸化物粒子が多孔質粉末であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機無機複合薄膜
  4. a)式(I)
    SiX4−n・・・(I)
    (式中、RはSiに炭素原子が直接結合する、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい炭化水素のポリマーからなる基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、
    b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、該金属がTi、Al、Zr又はSnである、膜表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物
    c)紫外線硬化性化合物、及び
    d)粒子径が1μm〜5μmである凝集粒子であって、その添加量が2wt%〜10wt%であるか、又は粒子径が0.05μm〜0.2μmである一次粒子であって、その添加量が10wt%〜40wt%である、ケイ素、チタン、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム又はコバルトの酸化物粒子
    を含有することを特徴とする、有機無機複合薄膜形成用組成物
    (但し、
    (a)電子顕微鏡で観察される1次粒子径が50〜150nmの、有機溶剤を分散媒とした金属酸化物、
    (b)紫外線硬化性化合物、
    (c)式(I’)
    SiX 4−n ・・・(I’)
    (式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物、
    (d)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物又は2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応して表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物、
    (e)光重合開始剤、
    (f)有機溶剤
    を含有し、固形分の割合が、固形分の合計重量に対し、
    (a)1〜15重量%
    (b)+(c)85〜98重量%
    (d)0.1〜20重量%
    であるハードコート層形成用組成物を除く)
  5. 有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、膜表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物、紫外線硬化性化合物及び酸化物粒子の全質量に対して、紫外線硬化性化合物が2〜98質量%であることを特徴とする請求項に記載の有機無機複合薄膜形成用組成物。
  6. d)の金属酸化物粒子が多孔質粉末であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の有機無機複合薄膜形成用組成物。
  7. 有機無機複合薄膜が、アンチグレア膜又はアンチニュートンリング膜であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の有機無機複合薄膜
  8. 有機無機複合薄膜形成用組成物が、アンチグレア膜又はアンチニュートンリング膜用組成物であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の有機無機複合薄膜形成用組成物。
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