JP2015024637A - 防汚易滑性積層ハードコートフィルム - Google Patents

防汚易滑性積層ハードコートフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】タッチパネルに好適な、低摩擦係数で光学用途に使用可能な高い透明性を有すると共に、十分な耐擦傷性を持ち、かつ防汚性を持たせた、積層ハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】金属酸化物を含有させたポリシロキサン系の組成物及び紫外線硬化性化合物を有する表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に、防汚効果を有するケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル薄膜層を設けた積層ハードコートフィルムであって、該積層ハードコート表面が特定の表面粗さを有する積層ハードコートフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明性に優れ、表面の摩擦係数が低く、防汚性および耐擦傷性も良好なハードコートフィルム、特に画面上を指で直接操作するタッチパネル用のハードコートに関する。
現在、スマートフォン等の表示画面を直接指で触って操作する、タッチパネルを使用する機器が多くなっている。この様なタッチパネルの表面は、パネルの傷付防止のためにハードコート処理されているか、ハードコートフィルムが設けられている。ここに用いられるハードコートは、耐擦傷性は当然のことながら、直接指で操作するため、指の油脂がハードコート表面に付着することがあるので、付着した油脂が簡単に拭き取れる、防汚性が要求される。また、画面上の画像情報を鮮明に伝える為には透明性が高いことも要求されている。さらに近年では、パネルに指を接触したまま滑らせる途中で方向を変えたり、2本の指を同時に別方向に滑らせたりといった複雑な操作が必要な場合が有る。この場合、摩擦係数が低い方が、易滑性が高くスムーズな操作が可能である。
防汚効果を有する素材としては、ペルフルオロポリエーテル基を分子主鎖内に含みシリコン原子を含む加水分解性基を主鎖又は側鎖に含むケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物が周知である。しかしながら、該ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物は、非常に高価であるため、該ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物を薄膜の状態でハードコート層表面に設置して使用している方法がある。例えば、特許文献1にはフリーラジカル重合性結合母材中に分散されたシリカ等の無機酸化物粒子を含む硬化性ハードコート層を透明な基材面に設け、該層を硬化し、その後前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物の薄膜の防汚層を前記ハードコート層上に設け、前記防汚層を硬化する工程が記載されている。しかしながら、前記ハードコート層中の無機酸化物粒子は結合材中の有機分子で覆われている。従って、前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物がハードコート表面に密着よく結合しているものではなく、防汚硬化の耐久性の面で実用上耐え得るものではない。又、特許文献1には、前記ハードコート層の表面を少なくとも0.1μmの平均粗さにし、前記防汚層を設けて硬化する工程が記載されているが、これにしても防汚硬化の耐久性の面で実用上十分ではなく、さらにハードコート層の透明性が極端に劣ることになる。
これらを解決する方法として、例えば、特許文献2実施例4には、ハードコート付きアクリル基板にスプレー法でポリシラザン溶液を塗布し、ポリシラザン薄膜(93nm)層を設け、その後、超薄膜の前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物よりなる防汚層(8.5nm)を設けた防汚性ハードコート基材が記載されている。ペルフルオロポリエーテルシラン系は、一般にガラスや金属等には密着がよいとされているので、防汚性の効果からは適しているが、本発明者等が追試した結果では、ポリシラザン膜自身の膜強度が弱いため、積層物全体としての耐擦傷性が十分に確保できない。また、ハードコート層のひび割れの観点からも好ましくない。さらに、易滑性の観点からは、前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物系自体の効果も若干あるが、実用上十分ではない。
前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物薄膜を設けることなく、易滑性を満足するためにハードコート表面の摩擦係数を下げる方法として、従来からハードコート層に粒子を添加する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法は摩擦係数の低減には効果が有るが、粒子の添加量に応じて透明性が低下する。そのため単に基材の片面にハードコート層を設け、摩擦係数を実用域まで下げるべく粒子を添加すると透明性が光学用途としては不適となる矛盾を抱えている。
一方、ハードコート層の観点から、特許文献3には、ポリシロキサン系有機無機縮合物を有し、膜表面から深さ方向0.5μmまで間における炭素含有量の最小値が、膜裏面側における炭素含有量の80%以下の表面が無機化され、さらに紫外線硬化性化合物を有する有機無機複合系ハードコート層が記載されている。該ハードコート層は、透明性、可撓性を低下させることなく高い表面硬度を有し、又、有機基材への密着性、耐湿性を改善すること及び該表面が無機薄膜との密着性が優れていることを目的としたものである。しかしながら、特許文献3に記載の表面無機化膜は、通常ハードコート層の表面が完全な無機膜であるわけではない。このような無機化膜が、防汚性を付与するための前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物薄膜との密着性が良いかどうかは不明である。又、ハードコート層の前記摩擦係数の低減と透明性の両立を実現する方法に関しては、何等記載されていない。
すなわち、タッチパネルに好適な、低摩擦係数で光学用途に使用可能な高い透明性を有すると共に、十分な耐擦傷性を持ち、かつ防汚性を持たせた、積層ハードコートフィルムは,未だ提供されていない。
特表2004−511001 WO2010/038648 WO2008/069217、WO2006/088079
本発明の課題は、タッチパネルに好適な、低摩擦係数で光学用途に使用可能な高い透明性を有すると共に、十分な耐擦傷性を持ち、かつ防汚性を持たせた、積層ハードコートフィルムを提供することである。
本発明者等は、上記課題に取り組み鋭意研究した結果、金属酸化物を含有させたポリシロキサン系の組成物及び紫外線硬化性化合物を有する表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に、防汚効果を有するケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル薄膜層を設けた積層ハードコートフィルムであって、該積層ハードコート表面が特定の表面粗さを有する場合に、相乗的に低摩擦係数と透明性の両立を達成でき、さらに十分な耐擦傷性を持つことを見出し、上記課題を達成でき、本発明を完成した。
第1の発明は、実質的に透明なフィルム基材面に、下記a)〜e)を少なくとも含有する組成物を前記基材面の一方の面に塗工し、該塗工面に少なくとも350nm以下の波長の光を含む紫外線を照射し、紫外線硬化性化合物を硬化させるとともに、該塗工層表面部の炭素含有量が、該塗工層裏面部の炭素含有量に比して少ない構成になっている表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に、ペルフルオロポリエーテル基を分子内主鎖に含み、シリコン原子を含む加水分解性基を側鎖または/および主鎖に含むケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル層を設けた積層ハードコートフィルムであって、該積層ハードコート層の表面平均粗さ(Ra)が、10nm〜50nmで、前記積層ハードコートフィルムのヘイズが3%以下であることを特徴とする積層ハードコートフィルム。
a)紫外線硬化性化合物
b)光重合開始剤
c)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物の硬化物
d)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物又は2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応して表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物
e)金属酸化物粒子
第2の発明は、前記金属酸化物粒子が、電子顕微鏡で観察される1次粒子径が10〜100nmのシリカであることを特徴とする第1の発明に記載の積層ハードコートフィルムである。
第3の発明は、表面最大粗さ(Ry)が15nm〜300nmであることを特徴とする第1の発明、または第2の発明に記載の積層ハードコートフィルムである。
本発明の、金属酸化物を含有させたポリシロキサン系の組成物及び紫外線硬化性化合物を有する表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に、防汚効果を有するケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル薄膜層を設けた積層ハードコートフィルムであって、該積層ハードコート表面が特定の表面粗さを有する場合に、防汚耐久性を有するのみならず、相乗的に低摩擦係数と透明性の両立を達成でき、タッチパネルとしての使用適性を著しく向上でき、さらに、十分な耐擦傷性を有した積層ハードコートフィルムを提供することができる。
本発明の積層ハードコートフィルムは、基材フィルムの一方の面に表面無機化有機無機複合体ハードコート層、さらに該層上に防汚効果を有するケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル層超薄膜層が積層されている。
1−1.基材フィルム
基材フィルムとしては、透明性及び、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、高衝撃ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂、ポリイミドなどのイミド系樹脂などがある。
好ましくは、透明性、耐熱性、機械的強度の点で、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂である。
該基材の厚さは、通常、10〜500μm程度が適用でき、25〜200μmが好ましい。
該基材フィルムは、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材フィルムは、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルムやシートとして使用される。該基材フィルムは、ハードコート層の形成に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
1−2.表面無機化有機無機複合体ハードコート層
本発明の表面無機化有機無機複合体ハードコート層は、
a)紫外線硬化性化合物
b)光重合開始剤
c)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物の硬化物、
d)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物又は2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応して表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物
e)金属酸化物粒子
を少なくとも含有する組成物よりなる層の該塗工面に少なくとも350nm以下の波長の光を含む紫外線を照射し、紫外線硬化性化合物を硬化させるとともに、該塗工層表面部の炭素含有量が、該塗工層裏面部の炭素含有量に比して少ない構成になっている。
ここで、本発明の前記積層ハードコート層表面の表面平均粗さ(Ra)は、10nm〜50nmの範囲であるが、後述するように前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル層はコスト面から超薄膜層であるため、表面無機化有機無機複合体ハードコート層自体の表面平均粗さ(Ra)も、10nm〜50nmの範囲であることが好ましい。平均粗さ(Ra)が50nm以上であると、前記積層ハードコートフィルムの易滑性は増すが透明性が損なわれる。一方、平均粗さ(Ra)が10nm以下であると、透明性は良化するが、実用上十分な易滑性が得られない場合がある。また、ヘイズに関しても、表面無機化有機無機複合体ハードコート層自体のヘイズが3%以下であることが好ましい。
前記表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物の光官能性波長は350nm以下にある。一方、前記紫外線硬化性化合物を硬化させる光開始剤の感光波長は、350nm以下の場合も350nm以上(例えばi線)の場合もある。従って、前記「少なくとも350nm以下の波長の光を含む紫外線を照射」とは、別々の光源を用いても良いし、前記光感応性化合物の感光波長と前記光重合開始剤の感光波長に対応する波長の光を有する一つの光源を、フィルター等を利用して別々に照射しても良いし、フィルターを用いることなく一度に照射しても良いことを意味する。
また、前記表面無機化有機無機複合体ハードコート層における「該塗工層表面部の炭素含有量が、該塗工層裏面部の炭素含有量に比して少ない構成」とは、層表面部から層中心部までの総炭素量が、層裏面部から層中心部までの総炭素量より少ないことを意味する。具体的には、層表面から深さ方向2nmにおける層表面部の炭素含有量が、層裏面から深さ方向10nmにおける層裏面部の炭素含有量の80%以下であることが好ましく、2〜60%であることがさらに好ましい。従って、前記表面無機化有機無機複合体ハードコート層とは、必ずしも該ハードコート層の表面が完全な無機膜で覆われていることを意味するものではない。また、これらに関しては、前記特許文献3の記載を援用することができる。
本発明の表面無機化有機無機複合体ハードコート層は、該ハードコート層形成用組成物の硬化物からなる。該ハードコート層の厚さは、ハードコートフィルムの用途に応じて求められる物性を満たす限り特に制限されないが、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがさらに好ましい。
(紫外線硬化性化合物)
本発明のハードコートフィルムは紫外線硬化性化合物を含む。
本発明の紫外線硬化性化合物とは、光重合開始剤の存在下で紫外線の照射により重合
反応を起こす官能基を有する化合物あるいは樹脂のことであり、(メタ)アクリレー
ト系化合物、エポキシ樹脂、アクリレート系化合物を除くビニル化合物などがある。
官能基の数は、1個以上であれば特に限定はない。
アクリレート系化合物としては、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステ
ル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート 、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー等が挙げられるが、好ましくはポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ポリウレタン(メタ)アクリレートである。
分子量は、他のハードコート層組成物と相溶性を有する限り限度はないが、通常は
質量平均分子量として500〜50,000、好ましくは1,000〜10,000
である。
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ
樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応より得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。または、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物であり、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールを挙げることができる。
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、荒川化学工業(株)製 商品名:ビームセット102、502H、505A−6、510、550B、551B、575、575CB、EM−90、EM92、サンノプコ(株)製 商品名:フォトマー6008、6210、新中村化学工業(株)製 商品名:NKオリゴU−2PPA、U−4HA、U−6HA、H−15HA、UA−32PA、U−324A、U−4H、U−6H、東亜合成(株)製 商品名:アロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960、共栄社化学(株)製 商品名:AH−600、AT606、UA−306H、日本化薬(株)製 商品名:カヤラッドUX−2201、UX−2301、UX−3204、dUX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、日本合成化学工業(株)製 商品名:紫光UV−1700B、UV−3000B、UV−6100B、UV−6300B、UV−7000、UV−7600B、UV−2010B、根上工業(株)製 商品名:アートレジンUN−1255、UN−5200、HDP−4T、HMP−2、UN−901T、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、H−61、HDP−M20、ダイセルユーシービー(株)製 商品名:Ebecryl 6700、204、205、220、254、1259、1290K、1748、2002、2220、4833、4842、4866、5129、6602、8301等を挙げることができる。
又、アクリレート系化合物をのぞくビニル化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレン、不飽和ポリエステルなどがあり、エポキシ樹脂としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどを挙げることができる。
(光重合開始剤)
(a)光照射によりカチオン種を発生させる化合物及び(b)光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等を挙げることができる。光照射によりカチオン種を発生させる化合物としては、例えば、下記式(II)に示す構造を有するオニウム塩を好適例として挙げることができる。このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
[R W]+e[MLe+f−e (II)
(式(II)中、カチオンはオニウムイオンであり、Wは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、又はN≡N−であり、R、R、R及びRは同一又は異なる有機基であり、a、b、c、及びdは、それぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体[MLe+f]の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Lは、例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子であり、eは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、fは、Mの原子価である。)
上記式(II)中における陰イオン(MLe+f)の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF )、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl )等を挙げることができる。
また、式〔ML(OH)〕に示す陰イオンを有するオニウム塩を用いることもできる。さらに、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO )、フルオロスルフォン酸イオン(FSO )、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸陰イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸陰イオン等の他の陰イオンを有するオニウム塩であってもよい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
本発明において用いられる光重合開始剤の配合量は、例えば、(メタ)アクリレート系紫外線硬化性化合物の固形分に対して、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。
なお、本発明においては、必要に応じて増感剤を添加することができる、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用できる。
(有機ケイ素化合物)
本発明の表面無機化有機無機複合体ハードコート層には、式(I)で表される有機ケイ素化合物を含む。
SiX4−n・・・(I)
R及びXは各々次のとおりである。
Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表す。かかる有機基としては、炭化水素基、炭化水素のポリマーからなる基等を挙げることができ、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、又は炭素数1〜10のエポキシアルキル基がより好ましい。また、かかる有機基は、ケイ素原子を含んでいてもよく、ポリシロキサン、ポリビニルシラン、ポリアクリルシラン等のポリマーを含む基であってもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン、メタクリロキシ基等を挙げることができる。また、nは、1又は2を表し、n=1のものが特に好ましい。nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよい。
Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。式(I)の(4−n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。加水分解性基とは、例えば、無触媒、過剰の水の共存下、25℃〜100℃で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基や、シロキサン縮合物を形成することができる基を意味し、具体的には、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基等を挙げることができ、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアシルオキシ基が好ましい。
具体的に、有機ケイ素化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジロキシトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、炭化水素のポリマーからなる基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれるビニル系化合物を共重合したビニル系ポリマーを式(I)のR成分とするものを挙げることができる。
(光感応性化合物)
また、本発明のハードコートフィルムのハードコート層形成用組成物は、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応して表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物、及び/又はそれから誘導される化合物を含有している。
本発明でいう光感応性化合物とは、そのメカニズムの如何によらず、表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物であり、好ましくは、表面から深さ方向2nmにおける表面部の炭素含有量が、炭素量が減少していない部分(膜の場合、例えば、膜裏面から深さ方向10nmにおける裏面部)の炭素含有量の80%以下、より好ましくは2〜60%、さらに好ましくは2〜40%とすることができる化合物であり、特に好ましくは、炭素成分を、その除去量が表面側から漸次減少するように所定深さまで除去することが可能な化合物、すなわち、表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加する膜を形成することができる化合物をいう。具体的には、例えば、350nm以下の波長の光を吸収して励起する化合物を挙げることができる。
本発明のハードコート層に含有される光感応性化合物としては、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましい。これから誘導される化合物としては、例えば、金属キレート化合物の縮合物等がさらに縮合されたもの等を挙げることができる。かかる光感応性化合物及び/又はその誘導体は、上述のように、有機ケイ素化合物と化学結合していてもよく、非結合状態で分散していてもよく、その混合状態のものであってもよい。
金属キレート化合物としては、水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることが好ましく、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることがより好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。また、前記金属キレート化合物としては、β−ケトカルボニル化合物、β−ケトエステル化合物、及びα−ヒドロキシエステル化合物が好ましく、具体的には、アセト酢酸メチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル等のβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、へキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチル−へキサン−2,4−ジオン等のβ−ジケトン類;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸;等が配位した化合物が挙げられる。
金属有機酸塩化合物としては、金属イオンと有機酸から得られる塩からなる化合物であり、有機酸としては、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸類;スルフォン酸、スルフィン酸、チオフェノール等の含硫黄有機酸;フェノール化合物;エノール化合物;オキシム化合物;イミド化合物;芳香族スルフォンアミド;等の酸性を呈する有機化合物が挙げられる。
また、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物は、上記金属キレート化合物及び金属有機酸塩化合物を除くものであり、例えば、金属の水酸化物や、金属アルコラート等を挙げることができる。
金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基が好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。
かかる金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解したものであることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属キレート化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることが好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、金属有機酸塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属有機酸塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることが好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、これら金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における金属としては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉛等が挙げられ、これらの中でもチタン、ジルコニウム、アルミニウムが好ましく、特にチタンが好ましい。これらは2種以上用いることもできる。
本発明の表面層の炭素含有量が、350nm以下の波長の光の照射により減少するメカニズムは、まだ十分に分かっていないが、特許文献3の記載を援用すれば、紫外線照射による酸化分解は、光感応性化合物が吸収した光エネルギーが有機ケイ素化合物の反応性部位へ移行し、何らかの高エネルギー状態(瞬間的な高温状態)を作り出し、酸化分解が起こるものと推察されている。また酸化される部位は、メタクリロキシプロピル基、グリシドキシプロピル基又はアミノ基等、元々酸化され易い部分だけが選択的に酸化されると推測されている。従って、350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物を添加すれば、どのような有機基でも酸化されるわけではない。例えば、通常の樹脂や前記紫外線硬化樹脂などは、光感応性化合物により高圧水銀灯の紫外線を照射しても、酸化されることはない。
(金属酸化物粒子)
ハードコートフィルム表面を粗面化するために、無機粒子や有機粒子を用いることができる。本発明で使用する粒子としては、例えば金属酸化物粒子があげられる。具体的には、メタノール分散アンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾル、あるいは、Si、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In、Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、粒子または複合粒子、金属酸化物粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した粒子、それらの混合物、固溶状態、他の複合状態で含んでいるもの等が例示できる。この中でも、シリカ粒子、チタン酸化物粒子、スズ酸化物粒子、酸化アルミニウム粒子が好ましく例示できる。
金属酸化物粒子は、分散媒、たとえば水やアルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたものがある。分散媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの極性溶媒が挙げられる。また、複合酸化物粒子は、その表面が有機ケイ素化合物又はアミン系化合物で処理され改質されていても良い。この際に用いられる有機ケイ素化合物は、単官能性シラン、あるいは二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等がある。
シリカ粒子は、ハードコート層形成用組成物の他の成分、例えば、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、および該樹脂を溶解する溶剤中での分散性に優れている事が好ましく、シリカ粒子を用いる場合には有機物によって表面処理されていてもよい。用いうる有機物としてはワックス、シランカップリング剤、クロロシラン、アルコキシド化合物等が挙げられる。
金属酸化物粒子の粒径は、電子顕微鏡で観察される1次粒子径が10〜100nmであることが好ましい。「電子顕微鏡で観察される1次粒子径が10〜100nm」とは、例えば透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡によって金属酸化物粒子の粒子径を観察した場合に、1次粒子の粒子径が10〜100nmであることをいい、1次粒子径が10〜100nmとは、ハードコートフィルムに含まれる全ての金属酸化物粒子の粒子径が10〜100nmでなくともよい。
すべての1次粒子のうち、10〜100nmの粒子径のものが50%以上含まれて
いることが好ましく、80%以上含まれていることがさらに好ましい。粒子径の均一
性は、10〜100nmの粒子が含まれている限り特に制限されないが、分散は、動
的光分散法による粒度分布測定において、300nm以上の粒子を含まないことが好
ましく、200nm以上の粒子を含まないことがさらに好ましい。
具体的な金属酸化物ゾルの例として、日産化学工業社製のIPA分散シリカゾル、商品名IPA−ST(平均粒径10〜15nm)、IPA−ST−L(平均粒径40〜50nm)、IPA−ST−ZL(平均粒径70〜100nm)等があげられる。
本発明の有機無機複合体ハードコート層には、該層の物性と機能を損じない限りにおいて、必要に応じて各種の添加剤、例えば、帯電防止剤、分散安定剤 濡れ性調整剤、導電剤、防曇剤等が添加できる。
(有機無機複合体ハードコート層形成用組成物の調整方法)
ハードコート層形成用組成物の調製方法としては、必要に応じて水及び溶媒を加え、ハードコート層形成用組成物の各成分、例えば紫外線硬化性化合物、光重合開始剤、有機ケイ素化合物、光感応性化合物、金属酸化物粒子等を混合する。 具体的には、たとえば、光感応性化合物を溶媒に混合し、所定量の水を加え、(部分)加水分解を行い、続いて、有機ケイ素化合物を添加して(部分)加水分解させる。紫外線硬化性化合物を含有する場合は、紫外線硬化性化合物を、必要に応じて溶媒に溶解して光重合開始剤を添加し、その後、両溶液を混合してもよいし、これらの成分を同時に混合することもできる。また、有機ケイ素化合物と光感応性化合物の混合方法については、有機ケイ素化合物と光感応性化合物を混合した後に、水を加えて(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び光感応性化合物を別々に(部分)加水分解したものを混合する方法を挙げることができる。水や溶媒を加える必要は必ずしもないが、水を加えて(部分)加水分解物としておくことが好ましい。所定量の水の量としては、光感応性化合物の種類にもよるが、例えば、光感応性化合物が2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の場合、金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いることがより好ましい。
また、光感応性化合物が金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物の場合、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いることが好ましく、5〜20モルの水を用いることがより好ましい。
金属酸化物ゾルは、金属酸化物粒子が溶媒に分散されているものを用いることができ、他の成分と配合して調製することができる。例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などでこれらの金属酸化物粒子を処理することにより、分散安定性を向上させることができる。
用いる溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のハードコート層形成用組成物中の固形分としては、1〜75質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。紫外線硬化性化合物を使用する場合、有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、光感応性化合物、紫外線硬化性化合物及び光重合開始剤の全質量に対して、紫外線硬化性化合物は2〜98質量%、好ましくは5〜95質量%である。
また、光感応性化合物の含有量としては、その種類にもよるが、一般的に、有機ケイ素化合物中のSiに対して、光感応性化合物中の金属原子が0.01〜0.5モル当量、好ましくは0.05〜0.2モル当量であることが好ましい。
金属酸化物粒子の配合量は、多すぎるとヘイズの上昇、ハードコート層の耐擦傷性の低下等を引き起こす場合があることから、ハードコート層形成用組成物中の他の硬化後の固形分に対して、好ましくは1〜15重量%にするのが良く、1〜10重量%にするのがより好ましい。
本発明において、有機無機複合体ハードコート層の表面平均粗さ(Ra)は、10nm〜50nmの範囲に設定することが好ましい。更には、表面最大粗さ(Ry)も15nm〜300nmの範囲に設定することが、より好ましい。このためには、電子顕微鏡で観察される1次粒子径が10〜100nmの範囲の同じ1次粒子径の金属酸化物粒子の添加であっても、有機無機複合体ハードコート層形成用組成物中の金属酸化物の分散性によって、該有機無機複合体ハードコート層の表面平均粗さ(Ra)も変わってくる。従って、該ハードコート層形成用組成物中の溶剤やその他の素材や該ハードコート層作製の乾燥加熱条件等によって変わってくる。そこで、用途に応じて、金属酸化物粒子以外のハードコート層形成用組成物及び塗工条件が決定したら、電子顕微鏡で観察される1次粒子径が10〜100nmの範囲の該粒子を数段階に分け、添加量を前記の範囲内で適宜調整して添加検討して、有機無機複合体ハードコート層の表面平均粗さ(Ra)を所定の範囲に設定することもできる。
(有機無機複合体ハードコート層の製造方法)
本発明のハードコートフィルムの製造は、基材フィルムの上に積層して行い得るが、各種の公知の積層方法が使用できる。例えばマイクログラビア塗工、コンマ塗工、バーコーター塗工、エアナイフ塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの方法により形成できる。
基材フィルム上にハードコート層形成用組成物を塗工した後に、先ず加熱処理により溶媒が除去されるとともに、前記有機ケイ素化合物の加水分解・重縮合がさらに進行し、ポリシロキサンへと変化し硬化していく。加熱は通常40〜200℃、好ましくは50〜150℃である。加熱時間は、通常10秒〜30分間、好ましくは3〜20分である。
次に紫外線の照射により紫外線硬化性化合物の硬化と350nm以下の波長の光により、前記表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物が感応し、表面無機化が起こる。
紫外線の照射には、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ等の公知の装置を用いて行うことができ、照射する光としては、250nm〜350nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることが好ましい。但し、紫外線硬化性/光重合開始剤系での感光波長域がi線(365nm)に適しているような場合には、i線をも含む光源が好ましい。通常、高圧水銀灯は、250nm〜320nm及び365nmに比較的強い放射を有するので、上記のような場合には好適である。
照射する光の照射光量としては、例えば、0.1〜100J/cm程度が挙げられ、膜硬化効率(照射エネルギーと硬膜化程度の関係)を考慮すると、0.3〜20J/cm程度であることが好ましく、0.3〜10J/cm程度であることがより好ましい。
1−3. その他の構成
本発明の積層ハードコートフィルムは、必要に応じて基材フィルムと表面無機化有機無機複合体ハードコート層の間にプライマー層や接着層等を有していても良い。又、積層ハードコート層を設けた基材フィルムの反対側には、再剥離可能な粘着層や接着層等を有していても良い。
1−4.ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル層
ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル層は防汚性を有する層である。
防汚処理剤として、ペルフルオロポリエーテル基を主鎖に含み、シリコン原子を含む加水分解性基を側鎖または/及び主鎖に含むケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの効果は、周知であり、これら周知のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物の具体的な例としては、例えば、前記特許文献1および2、特開平9−111223、特開2004−225009、特表2005−508420等に記載されており、本発明においては、これら周知の該ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを使用することができる。
上記ペルフルオロエーテル基は下記式(III−i)で表され、シリコン原子を含む加水分解性基は下記式(III−ii)で表される。式(III−i)においてnは1〜5の整数を、式(III−ii)においてmは0〜2の整数、Xは水酸基または加水分解可能な基をそれぞれ表す。
−(OC2n+1)− (III−i)
−(CH−Si−X (III−ii)
ペルフルオロアルキレンエーテル基内におけるエーテル結合の頻度は特に限定されるものではなく、繰り返し単位として、−(OCF)−、−(OC)−、−(OC)−、−(OC)−等が単独で、または複数組み合わされて形成されているペルフルオロアルキレンエーテル基が使用できる。また、ペルフルオロアルキレンエーテル基の一方の端部は、nが1以上のC2n+1基であることがより好ましい。
主鎖末端または/および側鎖に有するシリコン原子を含む加水分解性基は、塗布時における塗膜形成時に水の作用により分解する基であればよく、上記式(III−ii)で表される。
Xとしては、例えばハロゲン原子、−OR基、−OCOR基、−OC(R)=C(R基、−ON=C(R基、−ON=C(R基等が挙げられる。ここで、Rは脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素数3〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
具体的化合物例としては、前記特許文献1または2、特開平9−111223、特開2004−225009、特表2005−508420等に記載の化合物等をもちいることができる。
これらケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物を用いて、防汚効果を発現させる方法としては、従来、硬化性コーティング組成物中に、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物を含有させる方法、硬化性コーティング層に、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物を真空蒸着させる方法などがあるが、通常ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物のコストが非常に高いため、前記特許文献1,2に記載されているように、該ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物をハードコート層上に薄膜(例えば10nm程度)の状態で積層する方法が、コスト的にも優れている。
一方、前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物層は、通常有機層に積層した場合下層との密着性が非常に悪い。一方、通常ガラス基板や金属基板等には密着性が得られるとされている。しかしながら、前記表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に該ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物層を薄膜状態で設けた場合、前述のごとく、該表面無機化有機無機複合体ハードコート層の表面部は、必ずしも、ガラス基板のように表面が完全に無機化されているとは限らない。このような場合に該ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物層が下地層と密着性が強固になされるか、すなわち、防汚性能の耐久性が維持されるかが不明であるが、本発明者等は該表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に該ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物層を薄膜状態で設けた場合であっても、十分な防汚性能の耐久性が維持されることを見出した。
前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物の塗工溶剤としては、例えば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、ペルフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,5,5,5−ウンデカフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、メチルノナフルオロブチルエーテル、過フッ素化オクタン等のふっ素化溶剤やメチルエチルケトン、エチルアセテート等が使用でき、特に2種類以上の溶剤を選んで混合したものが好ましい。これら塗工液中には、必要に応じて、他の添加剤を加えても良い。
前記塗工液を、前記表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に設ける方法としては、従来のコーティング方法を用いることが出来る。例えば、マイクログラビア、ノッチバー、リバースロールコーティング、スプレー法等が使用できる。防汚性層の厚さは限定するものではないが、前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物のコストが非常に高いので、例えば、5nm〜50nm程度に抑えることが好ましい。
1−5. 積層ハードコートフィルム
本発明のヘイズが3%以下積層ハードコートフィルムは、前記表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に前記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物層を薄膜状態で設けた積層ハードコート層自体の表面平均粗さ(Ra)が、10nm〜50nmの範囲に設定することが好ましく、10nm〜40nmの範囲に設定することがより好ましい。さらには、表面最大粗さ(Ry)も15nm〜300nmの範囲に設定することが好ましい。特に、15nm〜200nmの範囲に設定することがより好ましい。また、ヘイズが3%以下であることが好ましい。但し、本発明においての該ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル化合物よりなる防汚層は非常に薄膜で透明性も高いため、本発明の積層ハードコート層の表面平均粗さ(Ra)や表面最大粗さ(Ry)は、前述のごとく、該前記表面無機化有機無機複合体ハードコート層の表面平均粗さ(Ra)や表面最大粗さ(Ry)に、ほぼ近い対応を示す。又、ヘイズに関しても同様である。
以下、実施例1〜7、比較例1、2により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。
本発明の積層ハードコートフィルムを以下の方法で評価した。評価項目とその方法を説明する。
表面粗さの評価
本発明の積層ハードコートフィルムのハードコート積層面の平均表面粗さ(Ra)、最大表面粗さ(Ry)を、表面粗さ計((株)小坂研究所製 SP−83DS2型)を用いて測定した。
摩擦係数評価
本発明の積層ハードコートフィルムのハードコート積層面の摩擦係数を、摩擦係数測定器(新東科学(株)製HEIDON−14型)を用いて測定し、以下の基準により、易滑性を評価した。
○:動摩擦係数が1.00未満
△:動摩擦係数が1.00以上1.50未満
×:動摩擦係数が1.50以上
耐擦傷性評価
本発明の積層ハードコートフィルムのハードコート積層面を、250gf/cmの荷重をかけたスチールウール(日本スチールウール(株)製ボンスター#0000番)で10往復擦過して、積層ハードコートフィルムの傷付きを目視観察し、次の基準により評価した。
○:傷が確認できない。
×:傷が確認できる。
透明性評価
本発明の積層ハードコートフィルムをヘイズメーター(日本電色工業(株)製NDH2000型)にてヘイズ率の測定を行い、次の基準により評価した。
○:ヘイズ率が3.0%以下である。
×:ヘイズ率が3.0%を越える。
防汚性の評価
本発明の積層ハードコートフィルムのハードコート積層面に油性ペン((株)寺西化学製マジックインキNo.500)で線を記入し、紙ウェス((株)橋本クロス製ハードワイプAX400)で拭き取る作業を100回繰り返し、記入時のインクの弾き具合、拭き取り後の油性ペンのインク残りの状態を目視で観察して以下の基準により評価した。
○:油性ペンのインクを弾き、拭き取り後インクが残らない。
×:油性ペンのインクを弾かず、拭き取り後インクが残る。
[ハードコート層形成用組成物の調製]
1.光感応性化合物の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達株式会社製、T−50、酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)303.03gを(エタノール/酢酸エチル/2−ブタノール=60/20/20:重量%)の混合溶媒584.21gに溶解した後、攪拌しながらイオン交換水112.76g(10倍モル/酸化チタンのモル)をゆっくり滴下し加水分解させた。1日後に溶液をろ過し、黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A液]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
2.有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン264.76g(信越化学工業株式会社製、KBM−1003)と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン190.19g(信越化学工業株式会社製、KBM−503)を(ビニルトリメトキシシラン/3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=70/30:モル比)混合させた有機ケイ素液[B液]を使用した。
3.紫外線硬化性化合物用添加剤の合成
元素比(Ti/Si=1/9)となるように上記[A液]453.09gと上記[B液]454.95gを混合し、さらに、イオン交換水を91.96g(2倍モル/有機ケイ素化合物のモル)をゆっくり滴下し、12時間攪拌した混合液[C液]を作製した。
4.紫外線硬化性化合物溶液
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業株式会社製、紫光UV7600B)を40重量%となるように、(エタノール/酢酸エチル/2−ブタノール=60/20/20:重量%)の混合溶媒に溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Darocure1173)をウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4重量%となるように溶解させ、紫外線硬化性化合物溶液[D液]を作製した。
5.金属酸化物ゾル
金属酸化物ゾルとして、日産化学工業社製のIPA分散シリカゾル、商品名IPA−ST(平均粒径10〜15nm)[シリカゾル1]、IPA−ST−L(平均粒径40〜50nm)[シリカゾル2]、IPA−ST−ZL(平均粒径70〜100nm)[シリカゾル3] を使用した。なお、各ゾルの固形分比は、いずれも30重量%である。
[防汚性層形成用組成物]
ペルフルオロポリエーテル基を主鎖に含み、シリコン原子を含む加水分解性基を側鎖に含むケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルとして、ティーアンドケー社製、商品名NANOSトップコート液を用いた[フッ素樹脂1]。また、ペルフルオロポリエーテル基を主鎖に含み、シリコン原子を含む加水分解性基を主鎖末端に含むケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルとして、信越化学社製、商品名KY−164をフッ素系溶剤で希釈して用いた[フッ素樹脂2]。
[実施例1]
上記[C液]33.8%、上記[D液]60.4%、上記[シリカゾル3]5.7%(単位はすべて重量%)となるように配合し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得た。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物溶液をPETシート(東レ製 100U46)上に、完成後のハードコート層の厚みが5μmになる様に塗工し、80℃−3分間加熱処理を行った。その後、ランプ出力120W/cm、ランプ高10cm、搬送速度6m/分の条件に設定した高圧水銀灯を用いて、2Passにて紫外線照射を行い表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。この時の紫外線積算照射量は600mJ/cmであった。
実施例1の(光感応性化合物+有機ケイ素化合物):(ウレタンアクリルオリゴマー+光開始剤):(シリカ)の固体状態での重量比は、38.4:57.6:4.0である。
その後、上記表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に、ペルフルオロポリエーテル基主鎖に含み、シリコン原子を含む加水分解性基を側鎖に含むケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル溶液[フッ素樹脂1]を塗布し、乾燥して10nmの厚みの防汚層を形成させた。
[実施例2]
実施例1の(光感応性化合物+有機ケイ素化合物):(ウレタンアクリルオリゴマー+光開始剤):(シリカ)の固体状態での重量比を14.6:81.4:4.0としたほかは、実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得て、同様に硬化を行い、表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。その後、前記ハードコート層上に、実施例1と同様に防汚層を形成させた。
[実施例3]
実施例1の(光感応性化合物+有機ケイ素化合物):(ウレタンアクリルオリゴマー+光開始剤):(シリカ)の固体状態での重量比を39.2:58.8:2.0としたほかは、実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得て、同様に硬化を行い、表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。その後、前記ハードコート層上に、実施例1と同様に防汚層を形成させた。
[実施例4]
実施例1の[シリカゾル3]を[シリカゾル2]とし、(光感応性化合物+有機ケイ素化合物):(ウレタンアクリルオリゴマー+光開始剤):(シリカ)の固体状態での重量比を36.4:54.6:9.0としたほかは、実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得て、同様に硬化を行い、表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。その後、前記ハードコート層上に、実施例1と同様に防汚層を形成させた。
[実施例5]
実施例1の[シリカゾル3]を[シリカゾル1]とし、(光感応性化合物+有機ケイ素化合物):(ウレタンアクリルオリゴマー+光開始剤):(シリカ)の固体状態での重量比を35.2:52.8:12.0としたほかは、実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得て、同様に硬化を行い、表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。その後、前記ハードコート層上に、実施例1と同様に防汚層を形成させた。
[実施例6]
実施例1の(光感応性化合物+有機ケイ素化合物):(ウレタンアクリルオリゴマー+光開始剤):(シリカ)の固体状態での重量比を36.4:54.6:9.0としたほかは、実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得て、同様に硬化を行い、表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。その後、前記ハードコート層上に、実施例1と同様に防汚層を形成させた。
[実施例7]
実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得て、同様に硬化を行い、表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。その後、上記表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に、ペルフルオロポリエーテル基主鎖に含み、シリコン原子を含む加水分解性基を主鎖末端に含むケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル溶液[フッ素樹脂2]を塗布、乾燥して10nmの厚みの薄膜防汚層を形成させた。
[比較例1]
実施例1の(光感応性化合物+有機ケイ素化合物):(ウレタンアクリルオリゴマー+光開始剤):(シリカ)の固体状態での重量比を40.0:60.0:0.0としたほかは、実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得て、同様に硬化を行い、表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。その後、前記ハードコート層上に、実施例1と同様に防汚層を形成させた。
[比較例2]
実施例1の(光感応性化合物+有機ケイ素化合物):(ウレタンアクリルオリゴマー+光開始剤):(シリカ)の固体状態での重量比を40.0:60.0:0.0としたほかは、実施例1と同様に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の溶液を得て、同様に硬化を行い、表面無機化有機無機複合体ハードコート層を得た。その後、前記ハードコート層上に、防汚層を形成せずに測定、評価に供した。
実施例、比較例の評価結果を表1、および表2にまとめた。
Figure 2015024637
Figure 2015024637

Claims (3)

  1. 実質的に透明なフィルム基材面に、下記a)〜e)を少なくとも含有する組成物を前記基材面の一方の面に塗工し、該塗工面に少なくとも350nm以下の波長の光を含む紫外線を照射し、紫外線硬化性化合物を硬化させるとともに、該塗工層表面部の炭素含有量が、該塗工層裏面部の炭素含有量に比して少ない構成になっている表面無機化有機無機複合体ハードコート層上に、ペルフルオロポリエーテル基を分子内主鎖
    に含み、シリコン原子を含む加水分解性基を側鎖または/および主鎖に含むケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル層を設けた積層ハードコートフィルムであって、該積層ハードコート層の表面平均粗さ(Ra)が、10nm〜50nmで、前記積層ハードコートフィルムのヘイズが3%以下であることを特徴とする積層ハードコートフィルム。

    a)紫外線硬化性化合物
    b)光重合開始剤
    c)式(I)
    SiX4−n・・・(I)
    (式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物の硬化物
    d)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物又は2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応して表面側の炭素成分を除去することができる光感応性化合物
    e)金属酸化物粒子
  2. 前記金属酸化物粒子が、電子顕微鏡で観察される1次粒子径が10〜100nmのシリカであることを特徴とする請求項1記載の積層ハードコートフィルム。
  3. 表面最大粗さ(Ry)が15nm〜300nmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層ハードコートフィルム。
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