JP5797152B2 - 撥水膜 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、金属アルコキシドの重縮合物、金属酸化物微粒子とフルオロアルキル基またはアルキル基を有するシラン化合物の混合液を基材に塗布し、乾燥させ、加熱してフルオロアルキル基またはアルキル基が露出した微細な凹凸構造を表面に有する多孔質の金属酸化物層をガラスの表面に形成させることを特徴とするガラスの表面改質方法が記載されている。
また、特許文献2には、あらかじめ基材表面に凹凸を形成し、その上にフロロカーボン基及びクロロシリル基を含む物質を混合した非水系溶媒又は、フロロカーボン基及びアルコキシシラン基を含む物質を混合した溶媒を塗布して、基材表面にフッ素を含む単分子膜を形成して撥水撥油膜を作製する方法が記載されている。
また、特許文献3には、基材表面に直接又は微粒子融着用の被膜を介して融着した撥水撥油膜防汚性反射板が記載されている。
しかしながら、これらの撥水膜は基体との撥水性、基体との密着性などの点で十分ではなかった。
また、活性水素を含む基材の表面上への化学吸着膜製造方法において、少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤の加水分解物を含有する有機溶媒溶液を、基材表面に接触させることによる化学吸着膜の製造方法を開発してきた(特許文献6等)。
そのため、本発明は、従来の撥水膜より優れた撥水膜を提供することを課題とする。
(1)第1層として、
a)式(I)
RnSiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、
b)金属キレート化合物、有機酸金属塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を含有する有機無機複合膜を有し、
第1層の外側に第2層として金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を有する撥水膜、
(2)第1層の有機無機複合膜表面の炭素含有量が、裏面側の炭素含有量の80%以下であることを特徴とする上記(1)に記載の撥水膜、
(3)第1層が、さらに有機高分子化合物を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の撥水膜、
(4)金属酸化物又は金属水酸化物粒子の一次粒子径が10nm〜20μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の撥水膜、及び、
(5)金属界面活性剤が、式(II)
R3 SMxt−s (II)
〔式中、R3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正の整数を表し、sが2以上の場合、R3は、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、各Xは同一であっても、相異なっていてもよいが、Xのうち、少なくとも一個は加水分解性基である。〕で示される金属系界面活性剤であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の撥水膜に関する。
本発明により得られる撥水膜は、低汚染材料、着氷雪防止材料等に有用である。
第1層として、
a)式(I)
RnSiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、
b)金属キレート化合物、有機酸金属塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を含有し、さらには、必要に応じて紫外線硬化性化合物の重合した有機高分子化合物を含有する有機無機複合膜を有し、
第1層の外側に第2層として金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を有する。
なお、本発明の撥水膜は、通常、基体上に設けるが、単独で使用することも可能である。
以下に詳細に説明する。
本発明の有機無機複合膜は、
a)式(I)
RnSiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物(以下、単に、有機ケイ素化合物ということがある。)の縮合物を主成分とし、
b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物、及び/又はそれから誘導される化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を必須成分として含有する。
本発明の有機無機複合膜には、有機ケイ素化合物の縮合物に光感応性化合物及び/又はその誘導体が非結合状態で分散されてなるものや、有機ケイ素化合物の縮合物に光感応性化合物及び/又はその誘導体が結合してなるもの(例えば、Si−O−M結合を有するもの(Mは光感応性化合物中の金属原子を表す。))や、その混合状態からなるものが包含される。
任意成分として、有機高分子化合物、光重合開始剤等などを含有していてもよい。
膜中の各成分の含有割合は、有機無機複合膜形成用溶液中の各配合成分の含有割合と同様である。
本発明の有機ケイ素化合物は、以下の式(I)で表される。
RnSiX4−n (I)
式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。
上記「置換されていてもよい炭化水素基」及び「置換されていてもよい炭化水素のポリマーからなる基」の炭化水素基としては、通常、炭素数1〜30の炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルケニル基である。
なお、炭素数10を超える長鎖のアルキル基としては、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
「シクロアルキルアルキル基」としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロへキシルエチル基、シクロヘプチルメチル基等が挙げられる。
「アリールアルケニル基」としては、例えば、C6−10アリールC2−8アルケニル基として、スチリル基、3−フェニル−プロパ−1−エン−1−イル基、3−フェニル−プロパ−2−エン−1−イル基、4−フェニル−ブタ−1−エン−1−イル基、4−フェニル−ブタ−3−エン−1−イル基、5−フェニル−ペンタ−1−エン−1−イル基、5−フェニル−ペンタ−4−エン−1−イル基、8−フェニル−オクタ−1−エン−1−イル基、8−フェニル−オクタ−7−エン−1−イル基、ナフチルエテニル基等が挙げられる。
なお、本発明の有機無機複合薄膜における主成分となる有機ケイ素化合物の縮合物は、これらの有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物がさらに縮合したものを意味する。
本発明の「光感応性化合物」とは、そのメカニズムの如何によらず、表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物であり、好ましくは、膜表面から深さ方向0.5μmまでの間における炭素含有量の最小値が、膜裏面側における炭素含有量の80%以下、より好ましくは2〜60%、さらに好ましくは2〜40%とすることができる化合物であり、特に好ましくは、炭素成分を、その除去量が表面側から漸次減少するように所定深さまで除去することが可能な化合物、すなわち、表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加する膜を形成することができる化合物をいう。具体的には、例えば、350nmよりも長い波長の光には感応せず、350nm以下の波長の光を吸収して励起する化合物を挙げることができる。
本発明の金属酸化物粒子としては、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト等の粒子が挙げられ、金属水酸化物粒子としては、水酸化ケイ素、水酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化ジルコニウム、水酸化コバルト等の粒子が挙げられる。粒子の形状としては、球状、多孔質粉末、鱗片状、繊維状等が挙げられる。アドマテックス社製の、アドマファインSQ表面処理シリーズ等のシランカップリング処理された粒子も使用できる。粒子の大きさは、一次粒子径が10nm〜20μmであり、50nm〜5μmであることがより好ましい。
1)有機高分子化合物
本発明の有機無機複合膜は、さらに有機高分子化合物を含有していてもよい。
本発明の有機高分子化合物とは、特に限定されるものではなく、熱硬化性化合物でも紫外線硬化性化合物でも使用できる。好ましくは、光重合開始剤の存在下で紫外線硬化性化合物(紫外線の照射により重合反応を起こす官能基を有する化合物あるいは樹脂)を、光重合開始剤の存在下で紫外線の照射により重合反応させたものである。たとえば、(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ樹脂、アクリレート系化合物を除くビニル化合物などを重合反応させたものが例示される。官能基の数は、1個以上であれば特に限定されない。
分子量は、有機無機複合膜形成用組成物に溶解する限り限度はないが、通常は質量平均分子量として500〜50,000、好ましくは1,000〜10,000である。
また、紫外線照射により重合反応を起こして生成した重合物が硬化物である。
本発明の光重合開始剤は、(a)光照射によりカチオン種を発生させる化合物及び(b)光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等を挙げることができる。
光照射によりカチオン種を発生させる化合物としては、例えば、下記式に示す構造を有するオニウム塩を好適例として挙げることができる。
[R1 aR2 bR3 cR4 dW]+e[MLe+f]−e
(式中、カチオンはオニウムイオンであり、Wは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、又はN≡N−であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なる有機基であり、a、b、c、及びdは、それぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体[MLe+f]の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Lは、例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子であり、eは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、fは、Mの原子価である。)
このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
また、式〔MLf(OH)−〕に示す陰イオンを有するオニウム塩を用いることもできる。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸陰イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸陰イオン等の他の陰イオンを有するオニウム塩でもよい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の有機無機複合膜には、得られる塗膜の硬度向上を目的として4官能シランやコロイド状シリカを含有することもできる。4官能シランとしては、例えば、テトラアミノシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ(メタ)アクリロキシシラン、テトラキス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、テトラキス(2−ビニロキシエトキシ)シラン、テトラグリシジロキシシラン、テトラキス(2−ビニロキシブトキシ)シラン、テトラキス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。また、コロイド状シリカとしては、水分散コロイド状シリカ、メタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの有機溶媒分散コロイド状シリカを挙げることができる。
この充填材としては、例えば有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーンブラック、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
1)有機無機複合膜形成用組成物の調製
本発明の有機無機複合膜形成用組成物は、
a)式(I)
RnSiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、
b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の光感応性化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を必須成分として含有する。任意成分として上記有機無機複合膜の項において記載した成分を含有してもよい。
さらに、水及び/又は溶媒を含有することが好ましい。
式(I)で表される有機ケイ素化合物、光感応性化合物、金属酸化物又は金属水酸化物粒子及び任意成分としては、有機無機複合膜において例示したものと同様のものを挙げることができる。
ただし、有機無機複合膜に高分子化合物を含有させる場合は、紫外線の照射により重合反応を起こす官能基を有する化合物あるいは樹脂である紫外線硬化性化合物を使用する。
有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、光感応性化合物、金属酸化物又は金属水酸化物粒子、及び必要に応じて添加されるその他の成分の全質量(全固形分)に対して、有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物の含有量は、
i)有機無機複合膜形成用組成物が高分子化合物を含まない場合には、1〜60質量%であり、好ましくは10〜50質量%であり、
ii)有機無機複合膜形成用組成物が高分子化合物を含む場合には、0.5〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、高分子化合物は1〜50質量%である。
同じく全固形分に対して、金属酸化物又は金属水酸化物粒子の配合量は、10質量%〜95質量%、好ましくは40質量%〜90質量%である。
具体的には、例えば、光感応性化合物を溶媒に混合し、所定量の水を加え、(部分)加水分解を行い、続いて、有機ケイ素化合物を添加して(部分)加水分解させる。有機高分子化合物を含有させる場合は、原料である紫外線硬化性化合物を溶媒に溶解して光重合開始剤を添加し、その後、両溶液を混合する。これら4成分は、同時に混合することもできる。
また、有機ケイ素化合物と光感応性化合物の混合方法については、有機ケイ素化合物と光感応性化合物を混合した後に、水を加えて(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び光感応性化合物を別々に(部分)加水分解したものを混合する方法を挙げることができる。水や溶媒を加える必要は必ずしもないが、水を加えて(部分)加水分解物としておくことが好ましい。所定量の水の量としては、光感応性化合物の種類にもよるが、例えば、光感応性化合物が2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の場合、金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いることがより好ましい。また、光感応性化合物が金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物の場合、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いることが好ましく、5〜20モルの水を用いることがより好ましい。
金属酸化物又は金属水酸化物粒子の添加は、上記工程の最後に行うことができる。具体的には例えば、上記工程で調製された溶液に、直接粒子を添加しても、アルコール等の有機溶媒に分散させた後に添加してもよい。添加後、攪拌することで本発明の有機無機複合膜形成用組成物とすることができる。
本発明の有機無機複合系薄膜は、(A)上述した有機無機複合薄膜形成用組成物を基体上に塗布し、乾燥する工程(B)プラズマ処理もしくはUVオゾン処理を施す工程を経ることにより製造できる。
有機無機複合膜形成用組成物が、熱硬化性化合物または紫外線硬化性化合物等の高分子化合物を含む場合は、(A)の工程の後に、熱硬化性化合物を加熱して硬化させる工程、あるいは紫外線硬化性化合物に紫外線を照射して硬化させる工程を設けてもよい。
本発明の薄膜が形成可能な基体としては、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック等が挙げられる。従来、薄膜のプラスチック基体への形成は困難であり、ガラス等の無機基体に限定されていたが、本発明の薄膜は、形成の難しいプラスチック基体であっても、容易に皮膜形成でき、プラスチック製品に対しても適している。かかるプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルスルフォンが挙げられる。
塗布して形成した膜の乾燥処理としては、例えば、40〜200℃で、0.5〜120分程度行うことが好ましく、60〜120℃で、1〜60分程度行うことがより好ましい。
350nm以下の波長を含む光の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ等の公知の装置を用いて行うことができ、照射する光としては、150〜350nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることが好ましく、250〜310nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることがより好ましい。かかる範囲の波長に感応し、350nm、好ましくは310nmを超える光に反応しないものであれば、太陽光によりほとんど影響を受けることはない。また、照射する光の照射光量としては、例えば、0.1〜100J/cm2程度が挙げられ、膜硬化効率(照射エネルギーと膜硬化程度の関係)を考慮すると、0.2〜20J/cm2程度であることが好ましく、0.5〜10J/cm2程度であることがより好ましい。
なお、350nm以下の波長の光の照射とは、350nm以下のいずれかの波長の光を成分とする光源を用いる照射、好ましくは、350nm以下のいずれかの波長の光を主成分とする光源を用いる照射、すなわち、最も成分量の多い波長が350nm以下の光源を用いる照射をいう。
より具体的には、電極対の少なくとも一方を誘電体で被覆した平行平板電極間に、高周波数の高電圧を印加することでプラズマを発生させ、該電極間に基材層を保持する方法、あるいは該電極間で該基材層を移動させる方法が挙げられる。プラズマ処理には、大気圧プラズマ処理と真空プラズマ処理があるが、大気圧プラズマ処理では真空プラズマ処理に比して活性種の密度が高いために、高速、高効率で電極表面の処理ができ、また処理時に真空にする必要がないために、少ない工程数で処理ができるといった利点がある。
そのため、上記(C)工程におけるプラズマ処理及びUVオゾン処理を施しても、膜表面のシラン化合物のみが反応し、膜内部の有機高分子化合物はほぼ影響を受けない。その結果、(C)工程の前後でAFM測定による平均粗さを比較しても、変化が見られない。
本発明においては、上記有機無機複合膜の外側に、さらに金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を設ける。金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層としては、好ましくは単分子膜である。
以下に、金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層の作製法について説明する。
金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層は、たとえば、WO2008―059840号パンフレット等に記載されているように、「少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤」、「該金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物」及び水を含む有機溶媒溶液(以下、「第2層有機薄膜形成用溶液」という)に、前記有機無機複合膜を接触させることにより作製することができる。
金属界面活性剤は、「少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属界面活性剤」が好ましく、そのような金属系界面活性剤としては、式(II)
R3 SMxt−s (II)
〔式中、R3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正整数を表し、sが2以上の場合、R3は、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、Xは同一であっても、相異なっていてもよいが、Xのうち、少なくとも一個は加水分解性基である。〕で示される金属系界面活性剤が挙げられる。
式(II)中、「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基」の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−オクタデシル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、n−デシニル基、n−オクタデシニル基等のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜30のアルキル基中の水素原子の2個以上がハロゲン原子に置換された基が好ましく、炭素数1〜30のアルキル基中の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されたフッ素化アルキル基がより好ましい。また、フッ素化アルキル基が分岐構造を有する場合には、分岐部分は炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜2の短鎖であるのが好ましい。
前記連結基は、炭化水素基若しくはハロゲン化炭化水素基の炭素−炭素結合間、又は炭化水素基の炭素と後述する金属原子Mとの間に存在するのが好ましい。
連結基の具体例としては、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−C(=O)O−又は−C(=O)NR51−(式中、R51は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;を表す。)等が挙げられる。
これらの中でも、撥水性、耐久性の観点から、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフッ素化アルキル基、又は連結基を含む炭素数1〜30のフッ素化アルキル基が好ましい。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等が挙げられる。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。これらの置換基としては、カルボキシル基、アミド基、イミド基、エステル基、水酸基等が挙げられる。これらの中でも、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、又はイソシアネート基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシルオキシ基がより好ましい。
であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、これらの化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
「金属界面活性剤と相互作用し得る化合物」とは、金属界面活性剤に作用して加水分解縮重合させる触媒であり、金属酸化物;金属水酸化物;金属アルコキシド類;金属アルコキシド類部分加水分解生成物;金属アルコキシド類加水分解生成物;キレート化又は配位化された金属化合物;酸触媒及びその他のシラノール縮合触媒から選ばれる少なくとも1種が使用される。
金属アルコキシド類部分加水分解生成物としては、具体的には、有機溶媒中、酸、塩基及び分散安定化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の非存在下、凝集せずに安定に分散している性質を有する分散質を好ましく例示することができる。この場合、分散質とは、分散系中に分散している微細粒子のことをいい、具体的には、コロイド粒子等を例示することができる。ここで凝集せずに安定に分散している状態とは、有機溶媒中、酸、塩基及び/又は分散安定化剤の非存在下、加水分解生成物の分散質が、凝結して不均質に分離していない状態をいい、好ましくは透明で均質な状態をいう。また透明とは、可視光における透過率が高い状態をいい、具体的には、分散質の濃度を酸化物換算で0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対照試料を有機溶媒とし、光の波長を550nmとする条件で測定した分光透過率で表して、好ましくは80〜100%の透過率を表す状態をいう。加水分解生成物の分散質の粒子径は特に限定されないが、可視光における高い透過率を得るためには、1〜100nmの範囲であることが好ましく、1〜50nmの範囲であることがより好ましく、1〜10nmの範囲であることがさらに好ましい。
金属アルコキシド類の部分加水分解生成物の製造方法としては、有機溶媒中、酸、塩基、及び/又は分散安定化剤の非存在下、上記例示した金属アルコキシド類に対し0.5〜2.0倍モル未満の水を用い、−100℃から有機溶媒還流温度範囲で加水分解する方法を好ましく例示することができる。
キレート化剤又は配位化合物としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸類;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アレイン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;安息香酸、トルイル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲノカルボン酸類;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のβ−ケトエステル類;テトラヒドロフラン、フラン、フランカルボン酸、チオフェン、チオフェンカルボン酸、ピリジン、ニコチン酸、イソニコチン酸等の複素環化合物類;等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、酢酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、チタンテトラエトキサイド、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイド、チタンビス(アセチルアセトニル)ジプロポキサイド等を例示することができる。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液は2通りの方法で作製することができる。
1)一工程法
一工程法は、有機溶媒中、金属界面活性剤及びそれと相互作用し得る化合物とを混合して得られる第2層有機薄膜形成用溶液を基板と接触させることにより、前記基板表面に有機薄膜を形成する有機薄膜形成方法である。当該第2層有機薄膜形成用溶液は、水分を所定量含有するものであり、かつ、前記金属界面活性剤の加水分解生成物である水酸基含有化合物を20〜2000ppm、好ましくは50〜500ppm、特に好ましくは200〜400ppm含有する。
水分含有量としては、50ppm以上から有機溶媒の飽和水分量の範囲が好ましいが、飽和水分量は溶媒により異なるので、使用する溶媒により適宜範囲を決定する。
ここで示す水分量は、第2層有機薄膜形成用溶液の一部を採取してカールフィッシャー法で測定した値を示し、その方法原理を用いた装置で測定した値であれば、測定装置については特に限定されない。第2層有機薄膜形成用溶液が均一である場合には、均一な溶液を一部採取して測定し、有機溶媒層と水分層が2層となっている場合には、有機溶媒層より一部採取して測定し、有機溶媒中に水分層が分散し分離不可能な状態な場合には、その分散液をそのまま採取して測定した値を示す。
(a)第2層有機薄膜形成用溶液に接触して水層を設ける方法、
(b)第2層有機薄膜形成用溶液中に、保水性物質に水を含ませた状態で共存させる方法、
(c)第2層有機薄膜形成用溶液を、水分を含む気体に接触させる方法、
(d)適宜水を添加する方法、
等を例示することができる。
これらの方法は単独で用いても、2以上を組み合わせて用いてもよい。
二工程法は、第1工程で第2層有機薄膜形成用補助剤を作製し、第2工程で、当該第2層有機薄膜形成用補助剤と金属界面活性剤を混合して行う。
第2層有機薄膜形成用補助剤は、金属界面活性剤と、それと相互作用し得る化合物(以下、単に触媒ということがある)を混合して得ることができる。
第2層有機薄膜形成用補助剤は、より具体的には、金属界面活性剤を、触媒の存在下、有機溶媒中、水で処理することによって調製することができる。
また、急激な反応を抑えるためには、添加する水は有機溶媒等で希釈したものであるのが好ましい。第2層有機薄膜形成用補助剤の調製に用いる有機溶媒としては、前記有機溶媒が使用される。
第2工程では、金属界面活性剤、有機溶媒、第2層有機薄膜形成用補助剤、及び所望により水の混合物を撹拌することにより、第2層有機薄膜形成用溶液を作製する。
金属界面活性剤は、第2層有機薄膜形成用補助剤を作製するときに使用するものと同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液の調製に用いる第2層有機薄膜形成用補助剤の使用量は、形成する有機薄膜の物性に影響を与えない量であれば特に制限されないが、新たに混合する金属界面活性剤1モルに対して酸化物換算モル数で、通常0.001〜1モル、好ましくは0.001〜0.2モルである。
また、この場合においては、均一な第2層有機薄膜形成用溶液を得るために、超音波処理を施すことも好ましい。
第2層の有機薄膜は、上記のようにして得られた第2層有機薄膜形成用溶液を第1層の有機無機複合膜と接触させることにより、前記第1層の有機無機複合膜上に形成される。
本発明の方法により形成される第2層有機薄膜としては、特に制約されないが、結晶性の有機薄膜であるのが好ましい。本発明の方法により形成される第2層有機薄膜が結晶性であることは、このものを、薄膜X線回折装置を使用して測定することにより確認することができる。
本発明の方法により形成される第2層有機薄膜の膜厚は、単分子膜の場合には、金属界面活性剤の有機基の鎖長にほぼ等しい厚さになる。
また、集合体のゼーター電位(界面動電電位)の値は、同一溶媒中における基板のゼーター電位の値よりも大きいことが好ましい。集合体のゼーター電位がプラスで、基板のゼーター電位がマイナスであるのが特に好ましい。このようなゼーター電位値を有する集合体を形成する自己集合膜形成用溶液を用いると、結晶性を有した緻密な単分子膜を製造することができる。
1)感応性化合物及び有機ケイ素化合物を含有する溶液の調製
[調製例1−1]
1.酸化チタンナノ分散液の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)48.4gをソルミックス(登録商標)AP−7(日本アルコール販売株式会社製、主成分エタノール)93.5gに溶解した後、攪拌しながら純水18.0g(10倍モル/酸化チタンのモル)を加えた。この溶液を40℃に加温しながら2時間攪拌し加水分解させた。黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−1]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
2.有機ケイ素化合物添加溶液の調製
酸化チタンナノ分散液[A−1]159.9gに、有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)(CH2=CHSiO1.5としてのSP値:7.00)93.4gと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(CH2=CH(CH3)C(=O)O−(CH2)3SiO1.5としてのSP値:9.48)67.1gを室温で混合させ、純水1.8gを加え、室温で15時間攪拌して有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]を得た。
1.酸化チタンナノ分散液の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)27.6gをソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)53.2gに溶解した後、攪拌しながら純水10.3gを加えた。この溶液を40℃に加温しながら2時間攪拌し加水分解させた。黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−2]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
2.有機ケイ素化合物添加溶液の調製
酸化チタンナノ分散液[A−2]91.1gに、有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)(CH2=CHSiO1.5としてのSP値:7.00)53.2gと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(CH2=CH(CH3)C(=O)O−(CH2)3SiO1.5としてのSP値:9.48)38.2gを室温で混合させ、純水17.5gを加え、室温で15時間攪拌して有機ケイ素化合物添加溶液[B−2]を得た。
[調製例1−3]
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー158.1gを、MIBK127.5gに溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル) −2−モルフォリノプロパン−1−オンをウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4質量%になるように加え、さらに室温で30分間撹拌し、有機ケイ素化合物添加溶液[B−2]58.1gを加えて、紫外線硬化性化合物添加溶液[C−1]を得た。
[調製例1−4]
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して90質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が17重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−1]を調製した。
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して120質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16.7重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−2]を調製した。
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して150質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16.5重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−3]を調製した。
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して300質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が15.9重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−4]を調製した。
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、α−アルミナ(平均粒径1.0μm−2.0μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して100質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が28重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−5]を調製した。
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、シリカ粒子(平均粒径0.4μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して200質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−6]を調製した。
紫外線硬化性化合物添加溶液[C−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、紫外線硬化性化合物添加溶液溶液の固形分に対して400質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16.4重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−7]を調製した。
紫外線硬化性化合物添加溶液[C−1]に、金属酸化物として、シリカ粒子(平均粒径0.4μm)を、紫外線硬化性化合物添加溶液の固形分に対して200質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16.0重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−8]を調製した。
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、固形分濃度が16.0重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を含まない第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−9]を調製した。
紫外線硬化性化合物添加溶液[C−1]2.5gに、固形分濃度が16.0重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を含まない第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−10]を調製した。
1)第2層有機薄膜形成用補助剤の調製
[調製例2−1]
200mlの四つ口フラスコに、室温でオクタデシルトリメトキシシラン(純度95%)16.0gを仕込み、テトラブトキシチタン5.7gを加え、ソルベッソ(登録商標)150:76.7gを加えて希釈した。
この溶液に25℃で蒸留水1.7gを加え、室温で24時間反応させて第2層有機薄膜形成用補助剤[E−1]を得た。
[調製例2−2]
1000mlの四つ口フラスコに、室温でオクタデシルトリメトキシシラン(純度95%)31.3gを仕込み、前記第2層有機薄膜形成用補助剤A:0.094gを加え、ソルベッソ150:68.6gを加えて希釈した。
この溶液に蒸留水1.3gを加え、60℃で24時間反応させて希釈前の第2層有機薄膜形成溶液[E−2]を得た。
[調製例2−3]
1000mlの四つ口フラスコに、室温で前記希釈前の第2層有機薄膜形成溶液[E−2]20gを仕込み、ソルベッソ150:480gを加え希釈し、第2層有機薄膜形成溶液[E−3]を得た。
[実施例1〜8及び比較例1、2]
第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−1〜8]、及び金属酸化物を含まない第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−9]及び[D−10]各1.0gを、BeHaus製自重式スプレーガンを用い、約0.1〜0.2g/secの吐出速度でガラス基板にスプレー製膜し、温風循環型乾燥機にて150℃、5分間加熱した。
続いて、UVオゾン洗浄装置(アイグラフィックス社製)で10分間処理を行い、第2層有機薄膜形成溶液[E−3]に10分間浸漬し、NSクリーン100で洗浄後に60℃で乾燥させて、撥水膜形成基板を得た。
成膜面における静的接触角を測定したところ、以下の通りであった。
Claims (3)
- 第1層として、
a)式(I)
RnSiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、
b)金属キレート化合物、有機酸金属塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を含有し、第1層の有機無機複合膜表面の炭素含有量が、裏面側の炭素含有量の80%以下である有機無機複合膜を有し、
第1層の外側に第2層として
金属界面活性剤が、式(II)
R 3 S Mx t−s (II)
〔式中、R 3 は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正の整数を表し、sが2以上の場合、R 3 は、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、各Xは同一であっても、相異なっていてもよいが、Xのうち、少なくとも一個は加水分解性基である。〕で示される金属界面活性剤の加水分解縮合物である単分子膜の層を有する撥水膜。 - 第1層が、さらに有機高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の撥水膜。
- 金属酸化物又は金属水酸化物粒子の一次粒子径が10nm〜20μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水膜。
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