JP5797152B2 - 撥水膜 - Google Patents

撥水膜 Download PDF

Info

Publication number
JP5797152B2
JP5797152B2 JP2012094256A JP2012094256A JP5797152B2 JP 5797152 B2 JP5797152 B2 JP 5797152B2 JP 2012094256 A JP2012094256 A JP 2012094256A JP 2012094256 A JP2012094256 A JP 2012094256A JP 5797152 B2 JP5797152 B2 JP 5797152B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
metal
organic
compound
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012094256A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013220608A (ja
Inventor
肥高 友也
友也 肥高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Nippon Soda Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Soda Co Ltd filed Critical Nippon Soda Co Ltd
Priority to JP2012094256A priority Critical patent/JP5797152B2/ja
Publication of JP2013220608A publication Critical patent/JP2013220608A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5797152B2 publication Critical patent/JP5797152B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、ポリシロキサン系有機無機複合薄膜の外側に金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を有する撥水膜に関する。
従来、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂を基材の表面にコーティングすることにより、基材に対して撥水性を付与することが行われている。
例えば特許文献1には、金属アルコキシドの重縮合物、金属酸化物微粒子とフルオロアルキル基またはアルキル基を有するシラン化合物の混合液を基材に塗布し、乾燥させ、加熱してフルオロアルキル基またはアルキル基が露出した微細な凹凸構造を表面に有する多孔質の金属酸化物層をガラスの表面に形成させることを特徴とするガラスの表面改質方法が記載されている。
また、特許文献2には、あらかじめ基材表面に凹凸を形成し、その上にフロロカーボン基及びクロロシリル基を含む物質を混合した非水系溶媒又は、フロロカーボン基及びアルコキシシラン基を含む物質を混合した溶媒を塗布して、基材表面にフッ素を含む単分子膜を形成して撥水撥油膜を作製する方法が記載されている。
また、特許文献3には、基材表面に直接又は微粒子融着用の被膜を介して融着した撥水撥油膜防汚性反射板が記載されている。
しかしながら、これらの撥水膜は基体との撥水性、基体との密着性などの点で十分ではなかった。
他方、本出願人は、光感応性化合物の存在下に有機ケイ素化合物に紫外線を照射することにより、表面が非常に高い硬度を有すると共に、内部及び裏面側が適当な硬度を有しつつ、かつ基体との密着性に優れた有機無機複合膜を開発した(特許文献4参照)。さらに、膜の表面を無機質にすることにより、有機樹脂の欠点である劣化を防ぎ、耐湿性や耐熱性に優れた有機無機複合膜を開発した(特許文献5参照)。
また、活性水素を含む基材の表面上への化学吸着膜製造方法において、少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤の加水分解物を含有する有機溶媒溶液を、基材表面に接触させることによる化学吸着膜の製造方法を開発してきた(特許文献6等)。
特開2000−1787号公報 特許第2809889号公報 特開2008−246959号公報 WO2006/088079号パンフレット WO2008/069217号パンフレット WO2003/076064号パンフレット
本発明者らは、特許文献4,5に記載の有機無機複合膜に特許文献6等に記載の化学吸着膜を積層して撥水膜を作製してみたが、従来の撥水膜より優れた撥水膜は得られなかった。
そのため、本発明は、従来の撥水膜より優れた撥水膜を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に取り組み、鋭意研究した結果、有機無機複合膜に金属酸化物粒子を含有させて、化学吸着膜を積層することにより、高い撥水性を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)第1層として、
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、
b)金属キレート化合物、有機酸金属塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を含有する有機無機複合膜を有し、
第1層の外側に第2層として金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を有する撥水膜、
(2)第1層の有機無機複合膜表面の炭素含有量が、裏面側の炭素含有量の80%以下であることを特徴とする上記(1)に記載の撥水膜、
(3)第1層が、さらに有機高分子化合物を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の撥水膜、
(4)金属酸化物又は金属水酸化物粒子の一次粒子径が10nm〜20μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の撥水膜、及び、
(5)金属界面活性剤が、式(II)
Mxt−s (II)
〔式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正の整数を表し、sが2以上の場合、Rは、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、各Xは同一であっても、相異なっていてもよいが、Xのうち、少なくとも一個は加水分解性基である。〕で示される金属系界面活性剤であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の撥水膜に関する。
有機無機複合膜に金属酸化物又は金属水酸化物粒子を含有させて、その上に化学吸着膜を積層することにより、高い撥水性を付与することができる。
本発明により得られる撥水膜は、低汚染材料、着氷雪防止材料等に有用である。
本発明の撥水膜は、
第1層として、
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、
b)金属キレート化合物、有機酸金属塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を含有し、さらには、必要に応じて紫外線硬化性化合物の重合した有機高分子化合物を含有する有機無機複合膜を有し、
第1層の外側に第2層として金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を有する。
なお、本発明の撥水膜は、通常、基体上に設けるが、単独で使用することも可能である。
以下に詳細に説明する。
(1) 第1層(有機無機複合膜)
本発明の有機無機複合膜は、
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物(以下、単に、有機ケイ素化合物ということがある。)の縮合物を主成分とし、
b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物、及び/又はそれから誘導される化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を必須成分として含有する。
本発明の有機無機複合膜には、有機ケイ素化合物の縮合物に光感応性化合物及び/又はその誘導体が非結合状態で分散されてなるものや、有機ケイ素化合物の縮合物に光感応性化合物及び/又はその誘導体が結合してなるもの(例えば、Si−O−M結合を有するもの(Mは光感応性化合物中の金属原子を表す。))や、その混合状態からなるものが包含される。
任意成分として、有機高分子化合物、光重合開始剤等などを含有していてもよい。
また、本発明の有機無機複合膜は、金属酸化物又は金属水酸化物粒子を含有するために、その表面は平滑ではなく凹凸を有している。
膜中の各成分の含有割合は、有機無機複合膜形成用溶液中の各配合成分の含有割合と同様である。
(有機ケイ素化合物の縮合物)
本発明の有機ケイ素化合物は、以下の式(I)で表される。
SiX4−n (I)
式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。
ここで、Rで表される「Siに炭素原子が直接結合する有機基」としては、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素のポリマーからなる基等を挙げることができる。
上記「置換されていてもよい炭化水素基」及び「置換されていてもよい炭化水素のポリマーからなる基」の炭化水素基としては、通常、炭素数1〜30の炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルケニル基である。
また、上記「炭化水素基」又は「炭化水素のポリマーからなる基」には、酸素原子、窒素原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい。
「炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
なお、炭素数10を超える長鎖のアルキル基としては、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
「炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基」は、いずれか1カ所以上に炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の直鎖、又は分岐鎖のアルケニル基を意味し、例えば、エテニル基、プロパ−1−エン−1−イル基、プロパ−2−エン−1−イル基、プロパ−1−エン−2−イル基、ブタ−1−エン−1−イル基、ブタ−2−エン−1−イル基、ブタ−3−エン−1−イル基、ブタ−1−エン−2−イル基、ブタ−3−エン−2−イル基、ペンタ−1−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−1−イル基、ペンタ−1−エン−2−イル基、ペンタ−4−エン−2−イル基、3−メチル−ブタ−1−エン−1−イル基、ヘキサ−1−エン−1−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基、ヘプタ−1−エン−1−イル基、ヘプタ−6−エン−1−イル基、オクタ−1−エン−1−イル基、オクタ−7−エン−1−イル基等が挙げられる。
「炭素数3〜8のシクロアルケニル基」は、いずれか1カ所以上に炭素−炭素二重結合を有し、かつ環状部分を有する炭素数3〜8のアルケニル基を意味し、例えば、1−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロペンテン−1−イル基、1−シクロヘキセン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基、3−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられる。
「アルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロパ−1−イン−1−イル基、プロパ−2−イン−1−イル基、ブタ−1−イン−1−イル基、ブタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−1−イン−1−イル基、ペンタ−4−イン−1−イル基、ヘキサ−1−イン−1−イル基、ヘキサ−5−イン−1−イル基、ヘプタ−1−イン−1−イル基、オクタ−1−イン−1−イル基、オクタ−7−イン−1−イル基等が挙げられる。
「シクロアルキルアルキル基」としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロへキシルエチル基、シクロヘプチルメチル基等が挙げられる。
「アリールアルキル基」としては、例えば、C6−10アリールC1−8アルキル基として、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、8−フェニル−n−オクチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
「アリールアルケニル基」としては、例えば、C6−10アリールC2−8アルケニル基として、スチリル基、3−フェニル−プロパ−1−エン−1−イル基、3−フェニル−プロパ−2−エン−1−イル基、4−フェニル−ブタ−1−エン−1−イル基、4−フェニル−ブタ−3−エン−1−イル基、5−フェニル−ペンタ−1−エン−1−イル基、5−フェニル−ペンタ−4−エン−1−イル基、8−フェニル−オクタ−1−エン−1−イル基、8−フェニル−オクタ−7−エン−1−イル基、ナフチルエテニル基等が挙げられる。
「酸素原子を有する炭化水素基」としては、エポキシ基、エポキシアルキル基、グリシドキシプロピル基等のオキシラン環(エポキシ基)を有する基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシメチル基などが挙げられる。
ここで、エポキシアルキル基としては炭素数3〜10の直鎖又は分岐鎖のエポキシアルキル基が好ましく、例えばエポキシメチル基、エポキシエチル基、エポキシ−n−プロピル基、エポキシイソプロピル基、エポキシ−n−ブチル基、エポキシイソブチル基、エポキシ−t−ブチル基、エポキシ−n−ペンチル基、エポキシイソペンチル基、エポキシネオペンチル基、エポキシ−2−メチルブチル基、エポキシ−2,2−ジメチルプロピル基、エポキシ−n−ヘキシル基等が挙げられる。
「窒素原子を有する炭化水素基」としては−NR’(式中、R’は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、各R’は互いに同一でも異なっていてもよい。)を有する基、又は−N=CR’’(式中、R’’は水素原子又はアルキル基を表し、各R’’は互いに同一でも異なっていてもよい。)を有する基が好ましく、アルキル基としては上記と同じものが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、アントラセン−1−イル基、フェナントレン−1−イル基等が挙げられる。
例えば、−NR’を有する基としては、―CH−NH基、−C−NH基、−CH−NH−CH基等が挙げられる。−N=CR’’を有する基としては、−CH−N=CH−CH基、−CH−N=C(CH基、−C−N=CH−CH基等が挙げられる。
「ケイ素原子を有する炭化水素」としては、例えば、ポリシロキサン、ポリビニルシラン、ポリアクリルシラン等のポリマーを含む基が挙げられる。
上記「置換されていてもよい」の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、メタクリロキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基としては、Rにおけるものと同じものを例示することができる。
上記のうち、350nm以下の波長の光の照射によって分解される基としては、ビニル基、オキシラン環を有する基、−NR’(式中、R’は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、各R’は互いに同一でも異なっていてもよい。)を有する基、又は−N=CR’’(式中、R’’は水素原子又はアルキル基を表し、各R’’は互いに同一でも異なっていてもよい。)を有する基が挙げられる。
また、有機ケイ素化合物の式(I)中、nは、1又は2を表し、n=1のものが特に好ましい。nが2のとき、各Rは同一でも異なっていてもよい。また、これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
式(I)において、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。式(I)の(4−n)が2以上のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。加水分解性基とは、例えば、無触媒、過剰の水の共存下、25℃〜100℃で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基や、シロキサン縮合物を形成することができる基を意味し、具体的には、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基等を挙げることができ、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアシルオキシ基が好ましい。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基等が挙げられ、炭素数1〜6のアシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。ハロゲンとしてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。イソシアネート基としては、例えば、アルキル基に結合したイソシアネート基、シクロアルキル基に結合したイソシアネート基、アリール基に結合したイソシアネート基、シクロアルキル基が置換したアルキル基に結合したイソシアネート基、アリール基が置換したアルキル基に結合したイソシアネート基等が挙げられる。
具体的に、原料となる有機ケイ素化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルジメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、炭化水素のポリマーからなる基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれるビニル系化合物を共重合したビニル系ポリマーを式(I)のR成分とするものを挙げることができる。
なお、本発明の有機無機複合薄膜における主成分となる有機ケイ素化合物の縮合物は、これらの有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物がさらに縮合したものを意味する。
(光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物)
本発明の「光感応性化合物」とは、そのメカニズムの如何によらず、表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物であり、好ましくは、膜表面から深さ方向0.5μmまでの間における炭素含有量の最小値が、膜裏面側における炭素含有量の80%以下、より好ましくは2〜60%、さらに好ましくは2〜40%とすることができる化合物であり、特に好ましくは、炭素成分を、その除去量が表面側から漸次減少するように所定深さまで除去することが可能な化合物、すなわち、表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加する膜を形成することができる化合物をいう。具体的には、例えば、350nmよりも長い波長の光には感応せず、350nm以下の波長の光を吸収して励起する化合物を挙げることができる。
ここで、350nm以下の波長の光とは、350nm以下のいずれかの波長の光を成分とする光源を用いてなる光、好ましくは、350nm以下のいずれかの波長の光を主成分とする光源を用いてなる光、すなわち、最も成分量の多い波長が350nm以下である光源を用いてなる光を意味する。
本発明の有機無機複合膜における光感応性化合物としては、金属キレート化合物、有機酸金属塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましい。これから誘導される化合物としては、例えば、金属キレート化合物の縮合物等がさらに縮合されたもの等を挙げることができる。かかる光感応性化合物及び/又はその誘導体は、上述のように、有機ケイ素化合物と化学結合していてもよく、非結合状態で分散していてもよく、その混合状態のものでもよい。
金属キレート化合物としては、水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることが好ましく、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることがより好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。また、前記金属キレート化合物としては、β−ケトカルボニル化合物、β−ケトエステル化合物、及びα−ヒドロキシエステル化合物が好ましく、具体的には、アセト酢酸メチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル等のβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、へキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチル−へキサン−2,4−ジオン等のβ−ジケトン類;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸;等が配位した化合物が挙げられる。
有機酸金属塩としては、金属イオンと有機酸から得られる塩からなる化合物であり、有機酸としては、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸類;スルフォン酸、スルフィン酸、チオフェノール等の含硫黄有機酸;フェノール化合物;エノール化合物;オキシム化合物;イミド化合物;芳香族スルフォンアミド;等の酸性を呈する有機化合物が挙げられる。
また、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物は、上記金属キレート化合物及び有機酸金属塩を除くものであり、例えば、金属の水酸化物や、金属アルコラート等を挙げることができる。
金属化合物、金属キレート化合物又は有機酸金属塩における加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基が好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。
かかる金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解したものであることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属キレート化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることが好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、有機酸金属塩の加水分解物及び/又は縮合物としては、有機酸金属塩1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることが好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、これら金属化合物、金属キレート化合物又は有機酸金属塩における金属としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、鉛(Pb)等が挙げられ、これらの中でもチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)が好ましく、特にチタン(Ti)が好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上用いることもできる。
(金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子)
本発明の金属酸化物粒子としては、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト等の粒子が挙げられ、金属水酸化物粒子としては、水酸化ケイ素、水酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化ジルコニウム、水酸化コバルト等の粒子が挙げられる。粒子の形状としては、球状、多孔質粉末、鱗片状、繊維状等が挙げられる。アドマテックス社製の、アドマファインSQ表面処理シリーズ等のシランカップリング処理された粒子も使用できる。粒子の大きさは、一次粒子径が10nm〜20μmであり、50nm〜5μmであることがより好ましい。
金属酸化物又は金属水酸化物粒子を含有させることにより、表面を凹凸にすることができ、撥水効果を発現できる。
(任意成分)
1)有機高分子化合物
本発明の有機無機複合膜は、さらに有機高分子化合物を含有していてもよい。
本発明の有機高分子化合物とは、特に限定されるものではなく、熱硬化性化合物でも紫外線硬化性化合物でも使用できる。好ましくは、光重合開始剤の存在下で紫外線硬化性化合物(紫外線の照射により重合反応を起こす官能基を有する化合物あるいは樹脂)を、光重合開始剤の存在下で紫外線の照射により重合反応させたものである。たとえば、(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ樹脂、アクリレート系化合物を除くビニル化合物などを重合反応させたものが例示される。官能基の数は、1個以上であれば特に限定されない。
原料となるアクリレート系化合物としては、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー等が挙げられるが、好ましくはポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ポリウレタン(メタ)アクリレートである。
分子量は、有機無機複合膜形成用組成物に溶解する限り限度はないが、通常は質量平均分子量として500〜50,000、好ましくは1,000〜10,000である。
また、紫外線照射により重合反応を起こして生成した重合物が硬化物である。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。または、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
ポリウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物であり、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、荒川化学工業(株)製商品名:ビームセット102、502H、505A−6、510、550B、551B、575、575CB、EM−90、EM92、サンノプコ(株)製商品名:フォトマー6008、6210、新中村化学工業(株)製商品名:NKオリゴU−2PPA、U−4HA、U−6HA、H−15HA、UA−32PA、U−324A、U−4H、U−6H、東亜合成(株)製商品名:アロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960、共栄社化学(株)製商品名:AH−600、AT606、UA−306H、日本化薬(株)製商品名:カヤラッドUX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、日本合成化学工業(株)製商品名:紫光UV−1700B、UV−3000B、UV−6100B、UV−6300B、UV−7000、UV−7600B、UV−2010B、根上工業(株)製商品名:アートレジンUN−1255、UN−5200、HDP−4T、HMP−2、UN−901T、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、H−61、HDP−M20、ダイセルユーシービー(株)製商品名:Ebecryl6700、204、205、220、254、1259、1290K、1748、2002、2220、4833、4842、4866、5129、6602、8301等を挙げることができる。
また、アクリレート系化合物をのぞくビニル化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレン、不飽和ポリエステルなどがあり、エポキシ樹脂としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどを挙げることができる。
2)光重合開始剤
本発明の光重合開始剤は、(a)光照射によりカチオン種を発生させる化合物及び(b)光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等を挙げることができる。
光照射によりカチオン種を発生させる化合物としては、例えば、下記式に示す構造を有するオニウム塩を好適例として挙げることができる。
[R W]+e[MLe+f−e
(式中、カチオンはオニウムイオンであり、Wは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、又はN≡N−であり、R、R、R及びRは同一又は異なる有機基であり、a、b、c、及びdは、それぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体[MLe+f]の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Lは、例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子であり、eは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、fは、Mの原子価である。)
このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
上記式中における陰イオン(MLe+f)の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF )、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl )等を挙げることができる。
また、式〔ML(OH)〕に示す陰イオンを有するオニウム塩を用いることもできる。さらに、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO )、フルオロスルフォン酸イオン(FSO )、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸陰イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸陰イオン等の他の陰イオンを有するオニウム塩でもよい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光照射により活性ラジカル種を発生させる化合物としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
本発明において用いられる光重合開始剤の配合量は、有機高分子化合物の原料の紫外線硬化性化合物の固形分に対して、通常、0.01〜20質量%配合する。
なお、本発明においては、必要に応じて増感剤を添加することができる、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用できる。
3)その他
本発明の有機無機複合膜には、得られる塗膜の硬度向上を目的として4官能シランやコロイド状シリカを含有することもできる。4官能シランとしては、例えば、テトラアミノシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ(メタ)アクリロキシシラン、テトラキス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、テトラキス(2−ビニロキシエトキシ)シラン、テトラグリシジロキシシラン、テトラキス(2−ビニロキシブトキシ)シラン、テトラキス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。また、コロイド状シリカとしては、水分散コロイド状シリカ、メタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの有機溶媒分散コロイド状シリカを挙げることができる。
また、本発明の有機無機複合膜には、得られる塗膜の着色、厚膜化、下地への紫外線透過防止、防蝕性の付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、別途、充填材を含有することもできる。
この充填材としては、例えば有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーンブラック、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
その他、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤、各種界面活性剤、前記以外のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を含有することもできる。
(有機無機複合膜の作製)
1)有機無機複合膜形成用組成物の調製
本発明の有機無機複合膜形成用組成物は、
a)式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、
b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の光感応性化合物、及び
c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
を必須成分として含有する。任意成分として上記有機無機複合膜の項において記載した成分を含有してもよい。
さらに、水及び/又は溶媒を含有することが好ましい。
式(I)で表される有機ケイ素化合物、光感応性化合物、金属酸化物又は金属水酸化物粒子及び任意成分としては、有機無機複合膜において例示したものと同様のものを挙げることができる。
ただし、有機無機複合膜に高分子化合物を含有させる場合は、紫外線の照射により重合反応を起こす官能基を有する化合物あるいは樹脂である紫外線硬化性化合物を使用する。
用いる溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の有機無機複合膜形成用組成物中の固形分(有機ケイ素化合物、光感応性化合物、金属酸化物又は金属水酸化物粒子、及び必要に応じて添加されるその他の成分)としては、1〜75質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、光感応性化合物、金属酸化物又は金属水酸化物粒子、及び必要に応じて添加されるその他の成分の全質量(全固形分)に対して、有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物の含有量は、
i)有機無機複合膜形成用組成物が高分子化合物を含まない場合には、1〜60質量%であり、好ましくは10〜50質量%であり、
ii)有機無機複合膜形成用組成物が高分子化合物を含む場合には、0.5〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、高分子化合物は1〜50質量%である。
同じく全固形分に対して、金属酸化物又は金属水酸化物粒子の配合量は、10質量%〜95質量%、好ましくは40質量%〜90質量%である。
光感応性化合物の配合量としては、その種類にもよるが、一般的に、有機ケイ素化合物中のSiに対して、光感応性化合物中の金属原子が0.01〜0.5モル当量、好ましくは0.05〜0.2モル当量であることが好ましい。
本発明の有機無機複合膜形成用組成物の調製方法としては、必要に応じて水及び/又は溶媒を加え、有機ケイ素化合物、光感応性化合物、及び金属酸化物又は金属水酸化物粒子を混合する。
具体的には、例えば、光感応性化合物を溶媒に混合し、所定量の水を加え、(部分)加水分解を行い、続いて、有機ケイ素化合物を添加して(部分)加水分解させる。有機高分子化合物を含有させる場合は、原料である紫外線硬化性化合物を溶媒に溶解して光重合開始剤を添加し、その後、両溶液を混合する。これら4成分は、同時に混合することもできる。
また、有機ケイ素化合物と光感応性化合物の混合方法については、有機ケイ素化合物と光感応性化合物を混合した後に、水を加えて(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び光感応性化合物を別々に(部分)加水分解したものを混合する方法を挙げることができる。水や溶媒を加える必要は必ずしもないが、水を加えて(部分)加水分解物としておくことが好ましい。所定量の水の量としては、光感応性化合物の種類にもよるが、例えば、光感応性化合物が2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の場合、金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いることがより好ましい。また、光感応性化合物が金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物の場合、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いることが好ましく、5〜20モルの水を用いることがより好ましい。
金属酸化物又は金属水酸化物粒子の添加は、上記工程の最後に行うことができる。具体的には例えば、上記工程で調製された溶液に、直接粒子を添加しても、アルコール等の有機溶媒に分散させた後に添加してもよい。添加後、攪拌することで本発明の有機無機複合膜形成用組成物とすることができる。
2)有機無機複合膜の作製
本発明の有機無機複合系薄膜は、(A)上述した有機無機複合薄膜形成用組成物を基体上に塗布し、乾燥する工程(B)プラズマ処理もしくはUVオゾン処理を施す工程を経ることにより製造できる。
有機無機複合膜形成用組成物が、熱硬化性化合物または紫外線硬化性化合物等の高分子化合物を含む場合は、(A)の工程の後に、熱硬化性化合物を加熱して硬化させる工程、あるいは紫外線硬化性化合物に紫外線を照射して硬化させる工程を設けてもよい。
本発明の薄膜が形成可能な基体としては、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック等が挙げられる。従来、薄膜のプラスチック基体への形成は困難であり、ガラス等の無機基体に限定されていたが、本発明の薄膜は、形成の難しいプラスチック基体であっても、容易に皮膜形成でき、プラスチック製品に対しても適している。かかるプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルスルフォンが挙げられる。
塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等を挙げることができる。また、形成する膜厚としては、特に制限されるものではなく、例えば、0.1〜200μm程度である。
塗布して形成した膜の乾燥処理としては、例えば、40〜200℃で、0.5〜120分程度行うことが好ましく、60〜120℃で、1〜60分程度行うことがより好ましい。
上記「350nm以下の波長を含む光」とは、350nm以下の波長のみならず、350nmよりも長い波長の紫外線も有するという意味である。これは、光感応性化合物が350nm以下の波長を必須とするのに対し、紫外線硬化性化合物を配合する場合は紫外線硬化性化合物が350nmを超える波長、好ましくは365nm付近に感光性を有するからである。
350nm以下の波長を含む光の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ等の公知の装置を用いて行うことができ、照射する光としては、150〜350nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることが好ましく、250〜310nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることがより好ましい。かかる範囲の波長に感応し、350nm、好ましくは310nmを超える光に反応しないものであれば、太陽光によりほとんど影響を受けることはない。また、照射する光の照射光量としては、例えば、0.1〜100J/cm程度が挙げられ、膜硬化効率(照射エネルギーと膜硬化程度の関係)を考慮すると、0.2〜20J/cm程度であることが好ましく、0.5〜10J/cm程度であることがより好ましい。
なお、350nm以下の波長の光の照射とは、350nm以下のいずれかの波長の光を成分とする光源を用いる照射、好ましくは、350nm以下のいずれかの波長の光を主成分とする光源を用いる照射、すなわち、最も成分量の多い波長が350nm以下の光源を用いる照射をいう。
本発明に置いてプラズマ処理とは、窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理、あるいはヘリウム、アルゴンなどの希ガス雰囲気でのグロープラズマ処理である。
より具体的には、電極対の少なくとも一方を誘電体で被覆した平行平板電極間に、高周波数の高電圧を印加することでプラズマを発生させ、該電極間に基材層を保持する方法、あるいは該電極間で該基材層を移動させる方法が挙げられる。プラズマ処理には、大気圧プラズマ処理と真空プラズマ処理があるが、大気圧プラズマ処理では真空プラズマ処理に比して活性種の密度が高いために、高速、高効率で電極表面の処理ができ、また処理時に真空にする必要がないために、少ない工程数で処理ができるといった利点がある。
大気圧プラズマ処理は、大気圧プラズマ発生装置(例えば、(株)魁半導体製の大気圧プラズマ装置S−5000、積水化学工業(株)製の常圧プラズマ表面処理装置RDシリーズ等)を用いて行うことができる。
本発明においてUVオゾン処理とは、薄膜にUV(紫外線)を照射し、空気中の酸素をオゾンに変化させ、このオゾン及び紫外線により当該薄膜を改質することを意味する。
UV光源は、UV照射により酸素をオゾンに変化させることができれば、特に制限されない。UV光源としては、低圧水銀ランプが挙げられる。低圧水銀ランプは185nmと254nmのUV光を発生し、185nm線が酸素をオゾンに変化させることができる。照射の際の照度は、用いる光源により異なるが、一般的に数十〜数百mW/cmのものが使用されている。また、集光や拡散することで照度を変更することができる。照射時間は、ランプの照度及び前記未処理層の種類により異なるが、通常、1分〜24時間である。処理温度は、通常、10〜200℃である。また、UVの照射量(即ち、紫外線量)は、通常1mJ/cm以上であり、好ましくは1〜100000mJ/cmであり、より好ましくは10〜100000mJ/cmである。
本発明における有機無機複合膜は、上記(B)工程を経ることで、膜表面部の炭素原子含有量が膜の内部(基材との接合部付近)の炭素原子含有量に比して少なくなり、膜表面にシラン化合物の濃縮層を形成する。
そのため、上記(C)工程におけるプラズマ処理及びUVオゾン処理を施しても、膜表面のシラン化合物のみが反応し、膜内部の有機高分子化合物はほぼ影響を受けない。その結果、(C)工程の前後でAFM測定による平均粗さを比較しても、変化が見られない。
(2)第2層(金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層)
本発明においては、上記有機無機複合膜の外側に、さらに金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を設ける。金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層としては、好ましくは単分子膜である。
以下に、金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層の作製法について説明する。
金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層は、たとえば、WO2008―059840号パンフレット等に記載されているように、「少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤」、「該金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物」及び水を含む有機溶媒溶液(以下、「第2層有機薄膜形成用溶液」という)に、前記有機無機複合膜を接触させることにより作製することができる。
(金属界面活性剤)
金属界面活性剤は、「少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属界面活性剤」が好ましく、そのような金属系界面活性剤としては、式(II)
Mxt−s (II)
〔式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正整数を表し、sが2以上の場合、Rは、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、Xは同一であっても、相異なっていてもよいが、Xのうち、少なくとも一個は加水分解性基である。〕で示される金属系界面活性剤が挙げられる。
式(II)中、「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基」の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−オクタデシル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、n−デシニル基、n−オクタデシニル基等のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
「置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基」のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜30のハロゲン化アルケニル基、炭素数1〜30のハロゲン化アリール基等が挙げられる。ここで、「ハロゲン化アルキル基」のアルキル基、「ハロゲン化アルケニル基」のアルケニル基、「ハロゲン化アリール基」のアリール基としては、上記「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基」の炭化水素基として例示されているものと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜30のアルキル基中の水素原子の2個以上がハロゲン原子に置換された基が好ましく、炭素数1〜30のアルキル基中の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されたフッ素化アルキル基がより好ましい。また、フッ素化アルキル基が分岐構造を有する場合には、分岐部分は炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜2の短鎖であるのが好ましい。
「連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基」の炭化水素基及び「連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基」のハロゲン化炭化水素基としては、具体的には、前記置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基及び置換基を有していてもよいハロゲン化炭化水素基のハロゲン化炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記連結基は、炭化水素基若しくはハロゲン化炭化水素基の炭素−炭素結合間、又は炭化水素基の炭素と後述する金属原子Mとの間に存在するのが好ましい。
連結基の具体例としては、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−C(=O)O−又は−C(=O)NR51−(式中、R51は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;を表す。)等が挙げられる。
これらの中でも、撥水性、耐久性の観点から、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフッ素化アルキル基、又は連結基を含む炭素数1〜30のフッ素化アルキル基が好ましい。
Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。加水分解性基としては、水と反応して分解する基であれば特に制約されない。例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基;置換基を有していてもよいアシルオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;イソシアネート基;シアノ基;アミノ基;又はアミド基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等が挙げられる。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。これらの置換基としては、カルボキシル基、アミド基、イミド基、エステル基、水酸基等が挙げられる。これらの中でも、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、又はイソシアネート基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシルオキシ基がより好ましい。
Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる1種の原子を表す。これらの中でも、原料の入手容易性、反応性等の観点から、ケイ素原子が好ましい。
上記式(II)で示される金属系界面活性剤としては、例えば、下記に示すシランカップリング剤が挙げられる。以下においてはMがSiであり、R1が炭化水素基である場合
であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
CH(CHSi(OCH、CH(CH11Si(OCH、CH(CH13Si(OCH、CH(CH15Si(OCH、CH(CH17Si(OCH、CH(CH19Si(OCH、CH(CH21Si(OCH、CH(CH17Si(OCHCH、CH(CH17SiCl、CH(CHSi(OCHCH、CH(CHSiCl、CH(CHSi(CH)(OCHCH、CH(CHSi(CH)(OCH、CHCHO(CH15Si(OCH、CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH、CH(CHSi(CH(CHSi(OCH、CHCOO(CH15Si(OCH、CHCHO(CH15Si(OC、CH(CHSi(CH(CH15Si(OC、CH(CHSi(CH(CHSi(OC、CHCOO(CH15Si(OC
CHCHO(CH15Si(OCH)(OH)、CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH)(OH)、CH(CHSi(CH(CHSi(OCH)(OH)、CHCOO(CH15Si(OCH)(OH)、CHCHO(CH15Si(OC)(OH)、CH(CHSi(CH(CH15Si(OC)(OH)、CH(CHSi(CH(CHSi(OC)(OH)、CHCOO(CH15Si(OC)(OH)
CHCHO(CH15Si(OCH(OH)、CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH(OH)、CH(CHSi(CH(CHSi(OCH(OH)、CHCOO(CH15Si(OCH(OH)、CHCHO(CH15Si(OC(OH)、CH(CHSi(CH(CH15Si(OC(OH)、CH(CHSi(CH(CHSi(OC(OH)、CHCOO(CH15Si(OC(OH)、
CHCHO(CH15Si(OH)、CH(CHSi(CH(CH15Si(OH)、CH(CHSi(CH(CHSi(OH)、CHCOO(CH15Si(OH)、CHCHO(CH15Si(OH)、CH(CHSi(CH(CH15Si(OH)、CH(CHSi(CH(CHSi(OH)、CHCOO(CH15Si(OH)、CH(CHSi(NCO)、CH(CH10Si(NCO)、CH(CH11Si(NCO)等。
また、これらの化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(金属界面活性剤と相互作用し得る化合物)
「金属界面活性剤と相互作用し得る化合物」とは、金属界面活性剤に作用して加水分解縮重合させる触媒であり、金属酸化物;金属水酸化物;金属アルコキシド類;金属アルコキシド類部分加水分解生成物;金属アルコキシド類加水分解生成物;キレート化又は配位化された金属化合物;酸触媒及びその他のシラノール縮合触媒から選ばれる少なくとも1種が使用される。
金属酸化物として、具体的には、メタノールシリカゾル、IPA−ST、IPA−ST−UP、IPA−ST−ZL、NPC−ST−30、DMAC−ST、MEK−ST、MIBK−ST、XBA−ST、PMA−ST(以上、いずれも日産化学工業(株)社製オルガノシリカゾルの商品名を表す。)等を例示することができる。
金属水酸化物としては、金属の水酸化物であれば、どのような製造方法で得られたものであってもよい。金属水酸化物の製造方法としては、後述の金属アルコキシド類を加水分解する方法、金属塩を金属水酸化物と反応させる方法等が挙げられる。また、金属水酸化物として市販されているものを、所望により精製して使用することもできる。
金属アルコキシド類としては、Si(OCH、Si(OC、Si(OC−i)、Si(OC−t)等のケイ素アルコキシド;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC−i)、Ti(OC等のチタンアルコキシド;Ti[OSi(CH、Ti[OSi(C等のテトラキストリアルキルシロキシチタン;Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等のジルコニウムアルコキシド;Al(OCH、Al(OC、Al(OC−i)、Al(OC等のアルミニウムアルコキシド;Ge(OC等のゲルマニウムアルコキシド;In(OCH、In(OC、In(OC−i)、In(OC等のインジウムアルコキシド;Sn(OCH、Sn(OC、Sn(OC−i)、Sn(OC等のスズアルコキシド;Ta(OCH、Ta(OC、Ta(OC−i)、Ta(OC等のタンタルアルコキシド;W(OCH、W(OC、W(OC−i)、W(OC等のタングステンアルコキシド;Zn(OC等の亜鉛アルコキシド;Pb(OC等の鉛アルコキシド;等が挙げられる。これらの金属アルコキシド類は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属アルコキシド類部分加水分解生成物は、金属アルコキシド類を完全に加水分解する前に得られるものであって、例えば、金属酸化物ゾルの前駆体、またはオリゴマーの状態で存在するもの等を挙げることができる。
金属アルコキシド類部分加水分解生成物としては、具体的には、有機溶媒中、酸、塩基及び分散安定化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の非存在下、凝集せずに安定に分散している性質を有する分散質を好ましく例示することができる。この場合、分散質とは、分散系中に分散している微細粒子のことをいい、具体的には、コロイド粒子等を例示することができる。ここで凝集せずに安定に分散している状態とは、有機溶媒中、酸、塩基及び/又は分散安定化剤の非存在下、加水分解生成物の分散質が、凝結して不均質に分離していない状態をいい、好ましくは透明で均質な状態をいう。また透明とは、可視光における透過率が高い状態をいい、具体的には、分散質の濃度を酸化物換算で0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対照試料を有機溶媒とし、光の波長を550nmとする条件で測定した分光透過率で表して、好ましくは80〜100%の透過率を表す状態をいう。加水分解生成物の分散質の粒子径は特に限定されないが、可視光における高い透過率を得るためには、1〜100nmの範囲であることが好ましく、1〜50nmの範囲であることがより好ましく、1〜10nmの範囲であることがさらに好ましい。
金属アルコキシド類の部分加水分解生成物の製造方法としては、有機溶媒中、酸、塩基、及び/又は分散安定化剤の非存在下、上記例示した金属アルコキシド類に対し0.5〜2.0倍モル未満の水を用い、−100℃から有機溶媒還流温度範囲で加水分解する方法を好ましく例示することができる。
本発明に用いられる金属アルコキシド加水分解生成物は、金属アルコキシド類の2倍当量以上の水で加水分解することによって得られる生成物である。該加水分解生成物は、金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類の2倍当量以上の水で加水分解することによって得られたものであっても、金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類の2倍当量未満の水で部分加水分解することによって、金属アルコキシド類の部分加水分解生成物を得た後、この部分加水分解生成物を、さらに所定量の水(先の部分加水分解に使用した水の量との合計で金属アルコキシド類の2倍当量以上となる量の水)で加水分解することによって得られたものであってもよい。
キレート化又は配位化された金属化合物は、金属化合物の溶液に、該金属化合物の金属と錯体を形成し得るキレート化剤又は配位化合物を添加することで、調製することができる。キレート化剤又は配位化合物としては、金属水酸化物、金属アルコキシド類、又は金属アルコキシド類を水で処理して得られた加水分解生成物の金属にキレート化又は配位して、錯体を形成し得るものであれば特に限定されない。
キレート化剤又は配位化合物としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸類;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アレイン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;安息香酸、トルイル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲノカルボン酸類;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のβ−ケトエステル類;テトラヒドロフラン、フラン、フランカルボン酸、チオフェン、チオフェンカルボン酸、ピリジン、ニコチン酸、イソニコチン酸等の複素環化合物類;等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸触媒としては、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等の鉱酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等を例示することができ、さらには、光照射によって酸を発生する光酸発生剤、具体的には、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等を例示することができる。
その他のシラノール縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート等を例示することができる。
具体的には、酢酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、チタンテトラエトキサイド、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイド、チタンビス(アセチルアセトニル)ジプロポキサイド等を例示することができる。
少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤、該金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物及び水を含む有機溶媒溶液中における水の含有量は、10ppm〜2000ppmが好ましい。水分含量を所定量範囲内になるように調整するか又は保持する方法としては、(i)前記有機溶媒溶液に接触して水層を設ける方法、(ii)水分を含ませた保水性物質を共存させておく方法、(iii)水分を含む気体を吹き込む方法、等を挙げることができる。
(第2層有機薄膜形成用溶液の調製)
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液は2通りの方法で作製することができる。
1)一工程法
一工程法は、有機溶媒中、金属界面活性剤及びそれと相互作用し得る化合物とを混合して得られる第2層有機薄膜形成用溶液を基板と接触させることにより、前記基板表面に有機薄膜を形成する有機薄膜形成方法である。当該第2層有機薄膜形成用溶液は、水分を所定量含有するものであり、かつ、前記金属界面活性剤の加水分解生成物である水酸基含有化合物を20〜2000ppm、好ましくは50〜500ppm、特に好ましくは200〜400ppm含有する。
水分量は、第1層の有機無機複合膜、金属界面活性剤、金属界面活性剤と相互作用し得る化合物(触媒)、有機溶媒等の種類に応じて選択される。
本発明において使用される有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、及びシリコーン系溶媒が挙げられ、炭化水素系溶媒が好ましく、沸点が100〜250℃の炭化水素系溶媒が特に好ましい。
具体的には、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン等の炭化水素系溶媒;CBrClCF、CClFCFCCl、CClFCFCHFCl、CFCFCHCl、CFCBrFCBrF、CClFCClFCFCCl、Cl(CFCFCl)Cl、Cl(CFCFCl)CFCCl、Cl(CFCFCl)Cl等フロン系溶媒、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等のフッ化炭素系溶媒;ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等のシリコーン系溶媒;が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機薄膜の形成を促進活性化させるのに十分な量とは、例えば、ディップ法により前記溶液を基板に接触させる場合、接触時間10分以内、好ましくは5分以内で、緻密で均質な有機薄膜を1度にしかも無機粉体全面に形成させることができる程度をいう。
水分含有量としては、50ppm以上から有機溶媒の飽和水分量の範囲が好ましいが、飽和水分量は溶媒により異なるので、使用する溶媒により適宜範囲を決定する。
ここで示す水分量は、第2層有機薄膜形成用溶液の一部を採取してカールフィッシャー法で測定した値を示し、その方法原理を用いた装置で測定した値であれば、測定装置については特に限定されない。第2層有機薄膜形成用溶液が均一である場合には、均一な溶液を一部採取して測定し、有機溶媒層と水分層が2層となっている場合には、有機溶媒層より一部採取して測定し、有機溶媒中に水分層が分散し分離不可能な状態な場合には、その分散液をそのまま採取して測定した値を示す。
第2層有機薄膜形成用溶液中の水分含有量を所定範囲内にする方法として、具体的には、
(a)第2層有機薄膜形成用溶液に接触して水層を設ける方法、
(b)第2層有機薄膜形成用溶液中に、保水性物質に水を含ませた状態で共存させる方法、
(c)第2層有機薄膜形成用溶液を、水分を含む気体に接触させる方法、
(d)適宜水を添加する方法、
等を例示することができる。
これらの方法は単独で用いても、2以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(a)〜(d)の方法において、用いる水は中性であれば特に制限されないが、純水又は蒸留水を用いるのが好ましい。また、用いる有機溶媒は、無水のものでも、あらかじめ一定量の水分を含むものでも構わない。
2)二工程法
二工程法は、第1工程で第2層有機薄膜形成用補助剤を作製し、第2工程で、当該第2層有機薄膜形成用補助剤と金属界面活性剤を混合して行う。
第1工程 第2層有機薄膜形成用補助剤の調製
第2層有機薄膜形成用補助剤は、金属界面活性剤と、それと相互作用し得る化合物(以下、単に触媒ということがある)を混合して得ることができる。
第2層有機薄膜形成用補助剤は、より具体的には、金属界面活性剤を、触媒の存在下、有機溶媒中、水で処理することによって調製することができる。
本発明においては、前記第2層有機薄膜形成用補助剤中、前記金属界面活性剤を、触媒1モルに対して、0.5〜8.0モル含むのが好ましく、1.5〜5.0モル含むのがより好ましい。
前記金属界面活性剤を、有機溶媒中、触媒の存在下、水で処理する方法としては、金属界面活性剤及び触媒の有機溶媒溶液に水を添加する方法などが挙げられる。触媒は、水を含む有機溶媒の状態で使用されるのが一般的である。
また、急激な反応を抑えるためには、添加する水は有機溶媒等で希釈したものであるのが好ましい。第2層有機薄膜形成用補助剤の調製に用いる有機溶媒としては、前記有機溶媒が使用される。
第2工程 有機薄膜形成用溶液の調製
第2工程では、金属界面活性剤、有機溶媒、第2層有機薄膜形成用補助剤、及び所望により水の混合物を撹拌することにより、第2層有機薄膜形成用溶液を作製する。
金属界面活性剤は、第2層有機薄膜形成用補助剤を作製するときに使用するものと同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液の調製に用いる第2層有機薄膜形成用補助剤の使用量は、形成する有機薄膜の物性に影響を与えない量であれば特に制限されないが、新たに混合する金属界面活性剤1モルに対して酸化物換算モル数で、通常0.001〜1モル、好ましくは0.001〜0.2モルである。
より具体的には、(a)前記第2層有機薄膜形成用補助剤及び金属界面活性剤の有機溶媒溶液に水を添加する方法、(b)金属界面活性剤と水の混合溶液に、前記第2層有機薄膜形成用補助剤を添加する方法等が挙げられる。
有機溶媒としては、有機薄膜形成用補助剤の調製に用いる有機溶媒と同様のものが用いられる。
前記金属界面活性剤、有機溶媒、第2層有機薄膜形成用補助剤及び水の混合物の撹拌温度は、通常−100℃〜+100℃、好ましくは−20℃〜+50℃である。撹拌時間は、通常、数分から数時間である。
また、この場合においては、均一な第2層有機薄膜形成用溶液を得るために、超音波処理を施すことも好ましい。
調製した第2層有機薄膜形成用溶液中に、金属酸化物等を含む析出物が生じる場合があるが、これらの析出物等の不純物は、不純物のない緻密な単分子の有機薄膜を得るためには、ここで除去しておくのが好ましい。析出物は、濾過、デカント等の操作で簡便に除去することができる。
第2層有機薄膜形成用溶液の水分含量は、具体的には10ppm以上が好ましく、より好ましくは50ppmから有機溶媒への飽和水分含量の範囲(より具体的には、50〜3000ppmの範囲)である。
前記第2層有機薄膜形成用溶液の水分含量を所定量範囲内になるように調整するか又は保持する方法としては、(i)前記有機薄膜形成用溶液に接触して水層を設ける方法、(ii)水分を含ませた保水性物質を共存させておく方法、(iii)水分を含む気体を吹き込む方法、等が挙げられる。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液は保存安定性に優れるものであり、40〜60日間、室温(20〜30℃)で密封保存した後においても、良好な有機薄膜を形成することができる。すなわち、本発明の第2層有機薄膜形成用溶液は、調製後、時間の経過とともに含まれる金属界面活性剤の残存量が徐々に減少し、水酸基含有化合物が生成する。
(第1層表面への第2層の作製)
第2層の有機薄膜は、上記のようにして得られた第2層有機薄膜形成用溶液を第1層の有機無機複合膜と接触させることにより、前記第1層の有機無機複合膜上に形成される。
本発明においては、前記第2層有機薄膜形成用溶液に含まれる水分含有量を所定範囲内に保持しながら、同一溶液を用いて、第1層の有機無機複合膜と接触させることを繰り返すことが好ましく、前記有機溶媒溶液中の水分量を50〜1000ppmの範囲に保持することがより好ましい。
ここで所定範囲とは、上記した水分量の所定範囲と同じ意味を表し、水分量をそのような範囲に保持することにより、液を交換することなく接触させる工程を複数回繰り返し行なっても、緻密で均質な有機薄膜を形成することができる。この方法によれば、同一溶液を用いて、第1層の有機無機複合膜に対して1回の接触工程操作で、接触した全面に緻密で均質な有機薄膜を、短時間の接触時間で形成することができる。
この場合、同一溶液とは、1回の接触工程操作を行った後その溶液の全部又は一部を廃棄して新たな溶液に交換する場合を除く意味であり、後述するように、何らかの方法で水分量を所定範囲内に保持した溶液は、同一溶液として含むものとする。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液を第1層の有機無機複合膜表面に接触する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、ディップ法、スプレー法等が挙げられ、これらの中でも、ディップ法が好ましい。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液を第1層の有機無機複合膜表面に接触する温度は、第2層有機薄膜形成用溶液が安定性を保てる温度範囲であれば、特に制限されない。通常、室温から溶液の調製に用いた溶媒の還流温度までの範囲で行うことができる。接触に好適な温度とするには、本発明溶液を加熱するか、無機粉体そのものを加熱すればよい。
また、膜形成を促進するために超音波を用いることもできる。第1層の有機無機複合膜表面に接触する工程は、1度に長い時間行っても、短時間の接触を数回に分けて行ってもよい。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液を第1層の有機無機複合膜表面に接触した後、膜表面に付着した余分な試剤、不純物等を除去するために、洗浄工程を設けることもできる。洗浄工程を設けることにより、より膜厚を制御することができる。洗浄方法は、表面の付着物を除去できる方法であれば、特に制限されない。具体的には、用いたオクタデシルトリメトキシシラン又はそのオリゴマーを溶解し得る溶媒中に基板を浸漬させる方法;真空中又は常圧下で大気中に放置して蒸発させる方法;乾燥窒素ガス等の不活性ガスを吹き付けて吹き飛ばす方法;等が挙げられる。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液を第1層の有機無機複合膜表面に接触又は洗浄した後は、第1層の有機無機複合膜表面上に形成された膜を安定化させるために、第1層の有機無機複合膜を加熱するのが好ましい。加熱する温度は、第1層の有機無機複合膜、形成された有機薄膜の安定性等によって適宜選択することができる。
本発明の第2層有機薄膜形成用溶液を第1層の有機無機複合膜表面に接触すると、前記溶液中の金属界面活性剤が第1層の有機無機複合膜表面に吸着され、薄膜が形成される。金属界面活性剤が第1層の有機無機複合膜表面に吸着される機構の詳細は明らかではないが、第1層の有機無機複合膜表面に活性水素を有する場合には次のように考えることができる。すなわち、第2層有機薄膜形成用溶液中においては、金属界面活性剤の加水分解性基が水により加水分解された状態となっている。この状態の金属界面活性剤が第1層の有機無機複合膜表面の活性水素と反応して、基板と強固な化学結合を形成してなる薄膜が形成される。この薄膜は、基板の活性水素と反応して形成されるものであって、単分子膜となる。
本発明の方法は、単分子膜の製造にも2層以上の多層膜の製造にも用いることができ、特に単分子膜の製造に好適に用いることができる。また、物理的な吸着により表面に膜を形成させる方法としても用いることができる。
本発明の方法により形成される第2層有機薄膜としては、特に制約されないが、結晶性の有機薄膜であるのが好ましい。本発明の方法により形成される第2層有機薄膜が結晶性であることは、このものを、薄膜X線回折装置を使用して測定することにより確認することができる。
本発明の方法により形成される第2層有機薄膜の膜厚は、単分子膜の場合には、金属界面活性剤の有機基の鎖長にほぼ等しい厚さになる。
本発明により形成される第2層有機薄膜は、化学吸着膜であるのが好ましく、化学吸着膜としては、金属−酸素結合を介して共有結合した有機薄膜を例示することができる。
本発明により形成される第2層有機薄膜は、自己集合膜であるのが好ましい。ここで自己集合膜とは、外部からの強制力なしに秩序だった構造を形成してなる膜を意味する。自己集合膜を形成する分子は、自己集合膜形成用溶液の調製に用いた金属界面活性剤から得られたものである。金属界面活性剤の分子は、自己集合膜形成用溶液中で、溶媒により溶媒和されて単独に存在するのではなく、幾つかが集まって集合体を形成している。
集合体の形態は、分子が、疎水性部分同士、又は親水性部分同士で分子間力、配位結合、又は水素結合等により集合した形態;膜を形成する分子が、共有結合により結合して集合した形態;水等の他の媒体が、核もしくは仲介としてミセル等を形成した形態;又はこれらが組み合わさった形態;等である。
集合体の形状は特に限定されず、球状、鎖状、帯状等いずれの形状であってもよい。
また、集合体のゼーター電位(界面動電電位)の値は、同一溶媒中における基板のゼーター電位の値よりも大きいことが好ましい。集合体のゼーター電位がプラスで、基板のゼーター電位がマイナスであるのが特に好ましい。このようなゼーター電位値を有する集合体を形成する自己集合膜形成用溶液を用いると、結晶性を有した緻密な単分子膜を製造することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(1)第1層有機無機複合膜形成用溶液の調製
1)感応性化合物及び有機ケイ素化合物を含有する溶液の調製
[調製例1−1]
1.酸化チタンナノ分散液の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)48.4gをソルミックス(登録商標)AP−7(日本アルコール販売株式会社製、主成分エタノール)93.5gに溶解した後、攪拌しながら純水18.0g(10倍モル/酸化チタンのモル)を加えた。この溶液を40℃に加温しながら2時間攪拌し加水分解させた。黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−1]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
2.有機ケイ素化合物添加溶液の調製
酸化チタンナノ分散液[A−1]159.9gに、有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)(CH=CHSiO1.5としてのSP値:7.00)93.4gと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(CH=CH(CH)C(=O)O−(CHSiO1.5としてのSP値:9.48)67.1gを室温で混合させ、純水1.8gを加え、室温で15時間攪拌して有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]を得た。
[調製例1−2]
1.酸化チタンナノ分散液の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(酸化チタン換算固形分量:16.5重量%)27.6gをソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)53.2gに溶解した後、攪拌しながら純水10.3gを加えた。この溶液を40℃に加温しながら2時間攪拌し加水分解させた。黄色透明な酸化チタン換算濃度5重量%の酸化チタンナノ分散液[A−2]を得た。酸化チタンの平均粒径は4.1nmで単分散性であった。
2.有機ケイ素化合物添加溶液の調製
酸化チタンナノ分散液[A−2]91.1gに、有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)(CH=CHSiO1.5としてのSP値:7.00)53.2gと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(CH=CH(CH)C(=O)O−(CHSiO1.5としてのSP値:9.48)38.2gを室温で混合させ、純水17.5gを加え、室温で15時間攪拌して有機ケイ素化合物添加溶液[B−2]を得た。
2)紫外線硬化性化合物添加溶液の調製
[調製例1−3]
紫外線硬化性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマー158.1gを、MIBK127.5gに溶解させた。この溶液に光重合開始剤として、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル) −2−モルフォリノプロパン−1−オンをウレタンアクリレートオリゴマーの固形分に対して4質量%になるように加え、さらに室温で30分間撹拌し、有機ケイ素化合物添加溶液[B−2]58.1gを加えて、紫外線硬化性化合物添加溶液[C−1]を得た。
3)第1層有機無機複合膜形成用溶液の調製
[調製例1−4]
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して90質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が17重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−1]を調製した。
[調製例1−5]
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して120質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16.7重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−2]を調製した。
[調製例1−6]
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して150質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16.5重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−3]を調製した。
[調製例1−7]
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して300質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が15.9重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−4]を調製した。
[調製例1−8]
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、α−アルミナ(平均粒径1.0μm−2.0μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して100質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が28重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−5]を調製した。
[調製例1−9]
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、金属酸化物として、シリカ粒子(平均粒径0.4μm)を、有機ケイ素化合物添加溶液の固形分に対して200質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−6]を調製した。
[調製例1−10]
紫外線硬化性化合物添加溶液[C−1]に、金属酸化物として、オルガノシリカゾル(平均1次粒径0.07μm−0.1μm)を、紫外線硬化性化合物添加溶液溶液の固形分に対して400質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16.4重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−7]を調製した。
[調製例1−11]
紫外線硬化性化合物添加溶液[C−1]に、金属酸化物として、シリカ粒子(平均粒径0.4μm)を、紫外線硬化性化合物添加溶液の固形分に対して200質量%となる量を添加し、次いで、全固形分濃度が16.0重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を添加し分散させた第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−8]を調製した。
[比較調製例1−1]
有機ケイ素化合物添加溶液[B−1]に、固形分濃度が16.0重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を含まない第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−9]を調製した。
[比較調製例1−2]
紫外線硬化性化合物添加溶液[C−1]2.5gに、固形分濃度が16.0重量%になるようにソルミックスAP−7(日本アルコール販売株式会社製)で希釈して、金属酸化物を含まない第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−10]を調製した。
(2)第2層有機薄膜形成用溶液の調製
1)第2層有機薄膜形成用補助剤の調製
[調製例2−1]
200mlの四つ口フラスコに、室温でオクタデシルトリメトキシシラン(純度95%)16.0gを仕込み、テトラブトキシチタン5.7gを加え、ソルベッソ(登録商標)150:76.7gを加えて希釈した。
この溶液に25℃で蒸留水1.7gを加え、室温で24時間反応させて第2層有機薄膜形成用補助剤[E−1]を得た。
2)希釈前の第2層有機薄膜形成溶液の調製
[調製例2−2]
1000mlの四つ口フラスコに、室温でオクタデシルトリメトキシシラン(純度95%)31.3gを仕込み、前記第2層有機薄膜形成用補助剤A:0.094gを加え、ソルベッソ150:68.6gを加えて希釈した。
この溶液に蒸留水1.3gを加え、60℃で24時間反応させて希釈前の第2層有機薄膜形成溶液[E−2]を得た。
3)第2層有機薄膜形成用溶液の調製
[調製例2−3]
1000mlの四つ口フラスコに、室温で前記希釈前の第2層有機薄膜形成溶液[E−2]20gを仕込み、ソルベッソ150:480gを加え希釈し、第2層有機薄膜形成溶液[E−3]を得た。
(3)撥水膜形成
[実施例1〜8及び比較例1、2]
第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−1〜8]、及び金属酸化物を含まない第1層有機無機複合膜形成用溶液[D−9]及び[D−10]各1.0gを、BeHaus製自重式スプレーガンを用い、約0.1〜0.2g/secの吐出速度でガラス基板にスプレー製膜し、温風循環型乾燥機にて150℃、5分間加熱した。
続いて、UVオゾン洗浄装置(アイグラフィックス社製)で10分間処理を行い、第2層有機薄膜形成溶液[E−3]に10分間浸漬し、NSクリーン100で洗浄後に60℃で乾燥させて、撥水膜形成基板を得た。
成膜面における静的接触角を測定したところ、以下の通りであった。
Figure 0005797152

Claims (3)

  1. 第1層として、
    a)式(I)
    SiX4−n・・・(I)
    (式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、
    b)金属キレート化合物、有機酸金属塩、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、かつ350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物、及び
    c)金属酸化物又は金属水酸化物粒子
    を含有し、第1層の有機無機複合膜表面の炭素含有量が、裏面側の炭素含有量の80%以下である有機無機複合膜を有し、
    第1層の外側に第2層として
    金属界面活性剤が、式(II)
    Mx t−s (II)
    〔式中、R は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正の整数を表し、sが2以上の場合、R は、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、各Xは同一であっても、相異なっていてもよいが、Xのうち、少なくとも一個は加水分解性基である。〕で示される金属界面活性剤の加水分解縮合物である単分子膜の層を有する撥水膜。
  2. 第1層が、さらに有機高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の撥水膜。
  3. 金属酸化物又は金属水酸化物粒子の一次粒子径が10nm〜20μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水膜。
JP2012094256A 2012-04-17 2012-04-17 撥水膜 Expired - Fee Related JP5797152B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012094256A JP5797152B2 (ja) 2012-04-17 2012-04-17 撥水膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012094256A JP5797152B2 (ja) 2012-04-17 2012-04-17 撥水膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013220608A JP2013220608A (ja) 2013-10-28
JP5797152B2 true JP5797152B2 (ja) 2015-10-21

Family

ID=49591937

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012094256A Expired - Fee Related JP5797152B2 (ja) 2012-04-17 2012-04-17 撥水膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5797152B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016016641A (ja) * 2014-07-10 2016-02-01 日本曹達株式会社 機能性を有する積層体
US11613820B2 (en) 2017-07-26 2023-03-28 Nippon Shokubai Co., Ltd. Diaphragm for alkaline water electrolysis, method for producing same, and method for producing inorganic-organic composite membrane
EP3919654A4 (en) * 2019-01-30 2022-12-28 Nippon Shokubai Co., Ltd. ALKALINE WATER ELECTROLYSIS DIAPHRAGM WITH ELECTRODE, ITS PRODUCTION METHOD AND WATER ELECTROLYSIS DEVICE

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3150133B2 (ja) * 1991-01-23 2001-03-26 松下電器産業株式会社 撥水撥油性面と親水性面を有する物品及びその製造方法
WO1999029635A1 (fr) * 1997-12-09 1999-06-17 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Plaque de verre antireflet, son procede de production et composition de revetement antireflet
JPH11171594A (ja) * 1997-12-15 1999-06-29 Nippon Sheet Glass Co Ltd 撥水性ガラス物品およびその製造方法
CN100503029C (zh) * 2002-03-12 2009-06-24 日本曹达株式会社 化学吸附膜制造方法及其中所用的制造化学吸附膜用溶液
US20080113188A1 (en) * 2006-11-09 2008-05-15 Shah Pratik B Hydrophobic organic-inorganic hybrid silane coatings
JP5570007B2 (ja) * 2009-02-06 2014-08-13 日本曹達株式会社 有機無機複合体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013220608A (ja) 2013-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5468265B2 (ja) 有機無機複合体
WO2013118201A1 (ja) 有機無機複合薄膜
JP5600165B2 (ja) インプリント用レプリカモールドの製造方法
TWI439510B (zh) 有機無機複合體及其形成用組合物
JP5826832B2 (ja) 離型剤組成物及びそれを用いた転写箔
EP2161126A1 (en) Molding sheet for forming hard coat layer
KR101589021B1 (ko) 유기 무기 복합체 및 그 형성용 조성물
JP5570007B2 (ja) 有機無機複合体
JP5797152B2 (ja) 撥水膜
JP5883305B2 (ja) 有機無機複合系薄膜
JP5503316B2 (ja) 微細凹凸パターン形成用シート
JP2014015547A (ja) 有機無機複合薄膜
JP5946729B2 (ja) 有機無機複合薄膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141001

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150813

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150818

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5797152

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees