JP5569998B2 - ペースト材料 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂材料などの対象物に対して緻密な削り作用による表面処理を行うためのペースト材料に関するもので、より具体的には、磁界の作用により連動して流動する磁気研磨液(ペースト材料)において、緻密な削り作用を発揮する組成についての改良に関する。
樹脂材料は、軽量であることからガラス,金属,セラミックスなどの代替材料として期待があり、軽量化のため各種工業製品への用途が広がっている。そうした中、樹脂材料にあっては表面処理について要求が厳しくなってきており、例えば、プラスチックレンズなどの透明樹脂部材では表面は高度な鏡面に仕上げる必要がある。また、金属部材の代替とするには、機械的強度に優れた樹脂部材の表面に金属メッキを施すが、メッキ処理前の下地として鏡面処理および不純物の除去が必要となる。
鏡面仕上げが行い得る精密研磨の技術として、いわゆる磁気研磨法と呼ばれる技術がよく知られている。これは、磁性流体(MF:Magnetic Fluid)や磁気粘性流体(MRF:Magneto Rheological Fluid)を研磨粒子と混合させ、磁界により混合液を運動させることで研磨を行っている。
研磨バイトには永久磁石を備えて磁界発生源とし、その研磨バイトの周りに磁気研磨液(ペースト材料)を付着させると、磁気吸引力によりMFやMRF中の強磁性粒子(例えば、鉄粒子),マグネタイト粒子が、多数凝集して磁気クラスタを形成する。この磁気クラスタは、磁束に沿うので研磨対象に対立して針状に多数が立ち並ぶ態様を採る。よって、磁気研磨液が研磨バイトに付着して磁気ブラシとなる。
磁気ブラシあるいは研磨対象が回転動作することにより、両者間の相対運動により磁気ブラシが研磨対象の表面を接触した状態で移動する。その結果、研磨対象の表面の凹凸は研磨粒子を伴う磁気ブラシが研磨し、より平滑な表面を得ることができ、非接触の流体研磨が行える。
このような磁界の作用により非接触の流体研磨を行うための磁気研磨液に関しては、例えば特許文献1などに見られるような技術の開示がある。特許文献1には、強磁性粒子である鉄と研磨粒子である非磁性のアルミナとを混合した組成が示されている。
特開平6−116549号公報
しかし、樹脂材料は融点およびガラス転移点が著しく低く、比較的に軟らかいことから、微細な傷や白濁等が残ってしまい、鏡面仕上げなどの表面処理は容易ではない。つまり、表面処理を行う際は温度上昇に非常に敏感であり、摩擦による温度上昇が大きい方法は困難が大きく、このため、精密研磨が行い得る磁気研磨法(非接触の流体研磨)であっても高度に鏡面を得ることは容易ではない。
なお、別の方法として、有機溶媒や酸,アルカリ等により化学的に表面処理する方法もあるが、樹脂材料へ使用することでは反応性が大きすぎて溶解量の制御が困難である問題がある。
磁気研磨法における問題点としては、MFによる磁気研磨では、磁界を作用させた際に磁性粒子の固定が弱く、研磨効率が低いため長時間の磁気研磨が必要になる。また、MFは粒子径10nm程度の磁性粒子を均一に分散させたものであるため、研磨加工後の洗浄が困難であり、微小な隙間に磁性粒子がつまってしまい、除去できなくなる問題が起きる。MRFによる磁気研磨では、磁気クラスタの制御が難しく、研磨対象の表面に深いスクラッチ痕ができ易く、精細な仕上げ加工への適用に改善の余地がある。
前述した特許文献1などがそうであるように、磁気研磨液を構成する研磨粒子には一般にアルミナ等の非磁性粒子を使用している。しかし、磁気研磨の際は、磁気研磨液には研磨バイトの回転運動による大きな遠心力が作用し、そして研磨バイトの磁石による磁界の分布の影響から、非磁性粒子の一部は磁気クラスタにトラップされなく、磁気ブラシから染み出してしまう問題がある。そのため、染み出した非磁性粒子が加工面を汚染し、磁気研磨液中から研磨粒子の分量が減ることでの研磨効率の低下が起きる。
また、特許文献1などのように、強磁性粒子は鉄(金属材料)とし、これと非磁性の研磨粒子(アルミナ)とを混合させる組成は、両者の結合性が悪く、壊れやすいため寿命が短くなり、品質の安定性の面で不安がある。
この発明は上述した課題を解決するもので、その目的は、樹脂材料などの表面処理が困難な部材であっても高度に鏡面仕上げを行うことができ、緻密な削り作用による表面処理の作業を高効率に行うことができるペースト材料を提供することにある。
上述した目的を達成するために、本発明に係るペースト材料は、アクリル樹脂材料などの対象物に対して緻密な削り作用による表面処理を行うために、前記対象物と非接触に対面する磁界発生源の周辺に存在させ、磁界の作用により連動させるペースト材料であって、フェライト焼結体の塊を機械力で粉砕した鋭利な角部を有するフェライト粒子および溶媒成分の植物油脂を含むものとした。
前記フェライト粒子は、MnZnフェライトとするとよい。また、前記フェライト粒子は、粒子径が100μm以上から400μm以下であり、室温での飽和磁束密度が400mT以上であることを特徴とするとよい。
本発明では、ペースト材料は組成をフェライト粒子および溶媒を含むものとし、フェライト粒子は、いわゆる磁気研磨において磁気クラスタを形成する機能と、研磨のための研磨材(砥粒)の機能を発揮することになる。つまり、フェライト粒子は、酸化鉄を主成分とするセラミックスであり大半が強磁性を示し、磁化を持つため磁界をかけることで当該粒子は磁気クラスタを形成する。そして、セラミックスであるフェライト粒子は、対象物とした樹脂材料等に比べて十分に硬く、よって研磨のための砥粒として機能させることができ、磁気クラスタそのものが、緻密な削りを行う磁気ブラシとなる。したがって、緻密な削り作用による表面処理の作業、例えば鏡面仕上げなどを良好に行うことができる。
この場合、磁気クラスタそのものが、緻密な削りを行う磁気ブラシとなり、砥粒であるフェライト粒子は磁界発生源の磁界により磁気ブラシ内に留まり染み出すことがない。したがって、加工面の汚染がなく、砥粒の減少がないため、緻密な削り作用による表面処理を高効率に行うことができる。
そして、フェライト粒子が磁化を持ち、これによる磁気クラスタそのものが研磨のための磁気ブラシとなるので、磁気バイトにつく磁気ブラシの付着度が高くなり、研磨バイトに連動する磁気ブラシのレスポンスが向上し、これによっても研磨効率が高くなる。
また、対象物の表面に有機物などの汚れが付着している場合、有機物は対象物と硬度が同程度であるため削り取ることが容易であり、フェライト粒子による磁気ブラシの緻密な削り作用によって簡単に除去することができ、対象物の表面を傷つけることなく表面処理としていわゆる洗浄が行える。
研磨力を得るには、フェライト粒子は角部を持たせた形状がよい。粒子形状に角部を持たせるには、焼結体を機械力により粉砕した粒子を使用するとよい。
ペースト材料(磁気研磨液)において、研磨の可否は磁気ブラシの強さに依存し、磁気ブラシが十分に強くないと研磨はできなくなる。この磁気ブラシの強さは、これを形成する粒子一つ当たりの磁化の強さに依存する。つまり、フェライト粒子の飽和磁束密度が大きいほど強く、また粒子径が大きいほど強くなる。十分な研磨力を得るには、フェライト粒子の粒子径が100μm以上にすることが好ましい。しかし、粒子径が大きくなると、研磨対象の表面に対する傷が大きくなるため、上限は400μm以下とすることがよい。
フェライト粒子には十分な飽和磁化が必要となるので、飽和磁束密度の大きいMnZnフェライトを使用することが好ましく、飽和磁束密度は400mT以上にするの良い。溶媒として植物油脂を使用することは、安全性および価格等から好ましいと言える。
また、ペースト材料は、その溶媒中に、当該溶媒に不溶解性の低融点樹脂を混合することにより、低融点樹脂と溶媒とが、相溶性により形状を維持しつつ応力による流動性のあるものとすることができる。外力が作用しない無応力となる際は、低融点樹脂が、溶媒中のフェライト粒子を保持するので沈降を抑えることができる。そして、外力の作用時には溶媒の流動性により流動することができる。
低融点樹脂を少量だけ混合した場合、フェライト粒子と溶媒の分離を引き起こすが、フェライト粒子の間に低融点樹脂が存在するため分散性はよくなり、混合が容易になるので少量の混合であっても有効である。この低融点樹脂の混合量は、当該低融点樹脂の融点,粒子径および磁気研磨液の形状維持度,粘度に応じて決定することになる。
低融点の樹脂の融点は、例えば100℃以下程度のものとする。これは、融点が100℃程度の樹脂の分子量は、1000程度であるが、融点が120℃程度の樹脂の分子量は10000程度となり、硬くなる。そして、100℃を越えた温度付近で、分子量が急激に増加する分岐点となる。そのため、係る増加する前の100℃以下の樹脂が低融点の樹脂といえる。
さらに、低融点樹脂は、融点が低すぎると環境温度の変化により液体化してフェライト粒子の沈降を引き起こすため融点は40℃以上が好ましい。しかし、高温すぎると硬くなり、溶媒との相溶性が低下するため上限は80℃以下がよい。
本発明に係るペースト材料では、フェライト粒子が、磁気クラスタを形成する機能と、緻密な削り作用の機能とを発現するので、磁気クラスタそのものが研磨のための磁気ブラシとなる。よって、砥粒であるフェライト粒子は、磁界の作用により磁気ブラシ内に留まり染み出すことがなく、加工面を汚染しなく砥粒の減少がないため、緻密な削り作用による表面処理を高効率に行うことができる。その結果、樹脂材料などの表面処理が困難な部材であっても高度に鏡面仕上げを行うことができる。
この場合、フェライト粒子が磁化を持ち、これによる磁気クラスタそのものが研磨のための磁気ブラシとなるので、磁気バイトにつく磁気ブラシの付着度が高くなり、研磨バイトに連動する磁気ブラシのレスポンスが向上し、これによっても研磨効率が高くなる。
また、対象物の表面に付着した有機物などの汚れは、対象物と硬度が同程度であるため削り取ることが容易であり、フェライト粒子による磁気ブラシの緻密な削り作用によって簡単に除去することができ、対象物の表面を傷つけることなく表面処理としていわゆる洗浄が行える。
図1は本発明の好適な一実施の形態を示している。本発明に係るペースト材料は、いわゆる磁気研磨に使用し、磁気研磨において緻密な削り作用を発揮させることで、樹脂材料等の表面について鏡面仕上げや汚れ(付着物)の除去が行えるようになっている。
磁気研磨を行う構成には磁界発生源(永久磁石20)を有する研磨バイト2を備え、研磨対象1はy軸ステージ3に固定し、その研磨対象1に対して研磨バイト2が非接触に対面する配置とし、研磨対象1との間にペースト材料(磁気研磨液4)を存在させ、研磨バイト2にはこれと連係させた駆動手段5を起動することにより所定の運動動作を行わせ、そしてy軸ステージ3を起動することにより研磨対象1にはy軸について所定の運動動作を行わせ、磁気研磨液4に生成した磁気クラスタにより流体研磨を行うようになっている。
研磨バイト2は、先端に永久磁石20を設けて磁界の発生源としている。磁界発生源としては永久磁石20に限らず、例えば電磁石なども好ましく適用でき、磁気研磨液4に対して磁界を作用し得るものであればよい。磁界の発生は時間的に定常的である必要はなく、時間的に変動的な磁界を発生させることもよい。
駆動手段5は、少なくともx軸,z軸について多軸制御の機能を有するものとし、当該駆動手段5を起動することにより研磨バイト2には回転動作およびx軸,z軸について所定に移動する運動動作を行わせる。もちろん、一軸方向に往復運動させるようにしてもよい。駆動手段5としては例えばNC工作機を用いればよく、ボール盤,旋盤,NC旋盤,フライス盤などの回転軸(チャック部)に研磨バイト2の軸部を取り付けし、着脱を行うようにする。
磁気研磨液4は、フェライト粒子および溶媒との2成分を含む。溶媒には植物油脂を用いている。この磁気研磨液4は研磨対象1と研磨バイト2との狭間へ供給手段により供給するようになっている。
フェライト粒子は、酸化鉄を主成分とするセラミックスであり大半が強磁性を示し、磁化を持つため磁界をかけることで当該粒子は磁気クラスタを形成する。そして、セラミックスであるフェライト粒子は、研磨対象1とした樹脂材料等に比べて十分に硬く、よって研磨のための砥粒として機能させることができ、磁気クラスタそのものが、緻密な削り作用による表面処理を行うための磁気ブラシとなる。
本実施形態では、フェライト粒子は、粒子径を100μm以上から400μm以下とし、平均粒子径で言えば100μmあるいは220μmのものが該当する。このフェライト粒子としては、室温での飽和磁束密度が400mT以上のものがよく、砥粒としての効率を良好にするため非球形粒子とし、好ましくは鋭い角部を有する形状とすることがよい。そこで、フェライト粒子は、例えばMnZnフェライトの粉末から形成することがよい。
磁気研磨液4には、低融点樹脂をさらに混在させることもよい。この場合、低融点樹脂は溶媒に溶解しない不溶解性で低融点の樹脂材料から形成し、平均粒子径を数μmから数百μmとすることがよい。低融点樹脂の融点は40℃以上から80℃以下とし、低融点樹脂の形状は例えば球形状とすればよく、あるいは繊維状等の非球形状に形成することもよい。植物油脂に溶解しない樹脂材料としては、例えばポリエチレン、ポリスチレンなどがある。この低融点樹脂の形状は、球形の他に繊維状等の非球形粒子でもよい。
研磨バイト2の運動動作は、例えば研磨対象1の表面に関してくまなく走査する動作としたり、あるいはy軸ステージ3および駆動手段5の動作設定により、研磨対象1にはx−y平面について所定の運動動作を行わせることもよい。このとき、研磨バイト2の周辺には磁気研磨液4を供給し、研磨バイト2には当該軸方向において正逆反転する回転動作を行わせる。あるいは所定に振動させる振動動作を行わせることもよい。
研磨バイト2と研磨対象1との間には磁気研磨液4が存在し、当該磁気研磨液4はフェライト粒子を含み、永久磁石20により磁気研磨液4に時間的に定常的あるいは変動的な磁界が加わると磁気クラスタが生成する。つまり、磁気研磨液中のフェライト粒子が、磁気吸引力により多数凝集して磁気クラス夕となる。そして前述したように、フェライト粒子は研磨のための砥粒として機能し、磁気クラスタそのものが、緻密な削りを行う磁気ブラシとなる。磁気ブラシは、磁束に沿って研磨対象1に対立して針状に多数が立ち並び、砥粒作用を行うフェライト粒子が研磨対象1の表面に抑えつけられる。このとき、研磨バイト2と研磨対象1とは相対運動することから、フェライト粒子は研磨対象1の表面上を接触しつつ運動して緻密な削りを行う。よって、緻密な削り作用による表面処理を行うことができる。
このように、ペースト材料(磁気研磨液4)は組成をフェライト粒子および溶媒を含むものとし、フェライト粒子は、いわゆる磁気研磨において磁気クラスタを形成する機能と、研磨のための研磨材(砥粒)の機能を発揮することになる。
この場合、磁気クラスタそのものが、緻密な削りを行う磁気ブラシとなり、砥粒であるフェライト粒子は永久磁石20の磁界により磁気ブラシ内に留まり染み出すことがない。したがって、加工面の汚染がなく、砥粒の減少がないため、緻密な削り作用による表面処理を高効率に行うことができる。その結果、樹脂材料などの表面処理が困難な部材であっても高度に鏡面仕上げを良好に行うことができる。
そして、フェライト粒子が磁化を持ち、これによる磁気クラスタそのものが研磨のための磁気ブラシとなるので、磁気バイトにつく磁気ブラシの付着度が高くなり、研磨バイトに連動する磁気ブラシのレスポンスが向上し、これによっても研磨効率が高くなる。
また、研磨対象1の表面に有機物などの汚れが付着している場合、有機物は当該研磨対象1と硬度が同程度であるため削り取ることが容易であり、フェライト粒子による磁気ブラシの緻密な削り作用によって簡単に除去することができ、研磨対象1の表面を傷つけることなく表面処理としていわゆる洗浄が行える。
フェライト粒子を研磨材として機能させることでは、一般に研磨材として知られるアルミナ,ダイヤ,炭化ケイ素等と比較して硬度が劣るため、研磨対象1が、例えばガラスや金型材などの硬い材料に対しては研磨力で不安があるが、樹脂材料やアルミニウムなどの比較的に軟らかい材料に対しては十分に研磨力が高く、高効率に研磨が行える。
研磨力を得るには、フェライト粒子は非球形粒子とし、好ましくは鋭い角部を持たせた形状がよい。粒子形状に鋭い角部を持たせるには、焼結体を機械力により粉砕した粒子を使用するとよい。
ペースト材料(磁気研磨液4)において、研磨の可否は磁気ブラシの強さに依存し、磁気ブラシが十分に強くないと研磨はできなくなる。この磁気ブラシの強さは、これを形成する粒子一つ当たりの磁化の強さに依存し、つまり、フェライト粒子の飽和磁束密度が大きいほど強く、また粒子径が大きいほど強くなる。十分な研磨力を得るには、フェライト粒子の粒子径が100μm以上にするのが好ましい。しかし、粒子径が大きくなると、研磨対象の表面に対する傷が大きくなるため、上限は400μm以下とするとよい。
フェライト粒子には十分な飽和磁化が必要となるので、飽和磁束密度の大きいMnZnフェライトを使用することが好ましく、飽和磁束密度は400mT以上にしたい。
溶媒として植物油脂を使用することは、安全性および価格等から好ましいと言える。また、ペースト材料はその溶媒中に、当該溶媒に不溶解性の低融点樹脂を混合することにより、低融点樹脂と溶媒とが、相溶性により形状を維持しつつ応力による流動性のあるものとすることができる。外力が作用しない無応力となる際は、低融点樹脂が、溶媒中のフェライト粒子を保持するので沈降を抑えることができる。そして、外力の作用時には溶媒の流動性により流動することができる。
低融点樹脂は溶媒に溶解しない樹脂材料から形成するので、その溶媒との干渉がなく、研磨能力を良好に得ることができ、高度に精密な表面研磨が行える。
低融点樹脂を少量だけ混合した場合、フェライト粒子と溶媒の分離を引き起こすが、フェライト粒子の間に低融点樹脂が存在するため分散性はよくなり、混合が容易になるので少量の混合であっても有効である。この低融点樹脂の混合量は、当該低融点樹脂の融点,粒子径および磁気研磨液の形状維持度,粘度に応じて決定することになる。
低融点樹脂は、融点が低すぎると環境温度の変化により液体化してフェライト粒子の沈降を引き起こすため融点は40℃以上が好ましい。しかし、高温すぎると硬くなり、溶媒との相溶性が低下するため上限は80℃以下がよい。
(実験による検証)
図1に示す磁気研磨のための構成により試料の研磨を行った。つまり、研磨能力に関する本発明の効果を実証するため、ペースト材料(磁気研磨液4)は組成を変更した複数を用意し、それぞれの磁気研磨液4により試料の研磨を行い、研磨後の表面粗さRa(算術平均粗さ),Ry(最大粗さ)を評価した。
磁気研磨液4は組成として、フェライト粉末(MnZnフェライト)と、溶媒(植物油)とを表1に示すwt%とし、これらを均一に混合することにより2種類の実施例を調製した。実施例1と実施例2との相違点はフェライト粒子の平均粒子径であり、実施例1は平均粒子径を100μmとし、実施例2では平均粒子径を220μmとした。試料1から試料5,試料7から試料10,試料12から試料14は全て比較例であり、これら比較例ではさらに鉄粉末(磁性粒子)をそれぞれ表1に示すwt%の割合で添加した。
MnZnフェライトは室温での飽和磁束密度が約510mTのものを使用した。なお、フェライト粒子は、平均粒子径15μmでは粒子径4μmから50μmのものを含み、平均粒子径100μmでは粒子径40μmから200μmのものを含み、平均粒子径220μmでは粒子径100μmから400μmのものを含み、平均粒子径400μmでは粒子径250μmから700μmのものを含んでいる。
Figure 0005569998
研磨対象1は、アクリル樹脂からなる板片(Ry=5.7μm)とし、その表面の研磨を行った。この研磨対象1にはx軸方向に、2mm/secで30mmの往復運動を行わせた。磁界発生源の永久磁石20にはネオジウム磁石を用い、研磨時間は2分とした。表面粗さは表面粗さ段差計により測定し、これにはテンコール社製P−10を使用した。研磨対象の研磨を行ったところ、表2に示す結果を得た。

Figure 0005569998
表2から明らかなように、フェライト粒子を平均粒子径15μmとした場合、鉄粉末を加えていない試料1や、少量だけ加えた試料2,3では研磨が不可または弱く、一定量の鉄粉末を混合することで研磨が可能となる。フェライト粒子の平均粒子径が100μmになると、鉄粉末を加えなくても研磨が可能となり、鉄粉末を混合することで逆に研磨力は若干劣化してくる。さらに、フェライト粒子の平均粒子径を220μmあるいは400μmにすることでは傷が入り始める。
つまり、フェライト粒子は、平均粒子径が小さい場合では鉄粉末により磁化(磁気モーメント)を増して磁気ブラシを強固にする必要がある。しかし、平均粒子径が大きくなり粒子一つ当たりの飽和磁束密度が増すことではフェライト粒子のみで研磨が可能になる。ただし、平均粒子径が大きくなると傷も大きくなることを確認した。
図2は、研磨対象について表面粗さの測定結果を示すグラフであり、研磨前の表面粗さと、実施例1および試料1での研磨後の表面粗さを表示している。同図から明らかなように、実施例1は研磨後の表面粗さが大幅に改善されており、良好な鏡面が得られた。
さらに、磁気研磨液4としては、フェライト粉末をNiCuZnフェライトに変更した組成も用意し、試料の研磨および評価を行った。つまり、磁気研磨液4は各成分を表3に示すwt%とし、NiCuZnフェライトは室温での飽和磁束密度が約300mTのものを使用した。
表3に示す試料15から試料24は全て比較例であり、試料15,19,21では磁性粒子(鉄粉末)を全く添加しない組成としたが、他は表3に示すwt%の割合で添加した。

Figure 0005569998

研磨対象の研磨を行ったところ、表4に示す結果を得た。

Figure 0005569998
表4から明らかなように、NiCuZnフェライトにあっては、MnZnフェライトと同様に平均粒子径を100μmとした場合でも、鉄粉末を加えていない試料21や、少量だけ加えた試料22では研磨が不可となり、一定量の鉄粉末を混合することで研磨が可能となる。これは、NiCuZnフェライトはMnZnフェライトに比べて飽和磁束密度が小さいため、平均粒子径が大きくなっても磁束密度が足りなかったことを示し、鉄粉末を加えて磁束密度を増す必要があることを確認した。さらに、フェライト粒子の平均粒子径を220μmにすることでは、MnZnフェライトと同様に傷が入り始める。
試料21〜24では、フェライト粒子は焼結体の塊を粉砕したものではなく、ペレットをそのまま焼成したものを使用したが、研磨力が弱いことを確認した。これは、ペレットをそのまま焼成することでは、焼結体は球状を維持したままになるので、フェライト粒子に鋭い角部がないため研磨力が落ちたと言える。よって、フェライト粒子には一般的な研磨材と同様に、鋭い角部があることが好ましい。
また、磁気研磨液4に対して低融点樹脂を加えることでの分散性を評価した。これには表5に示すように、実施例1について低融点(67℃)の低融点樹脂を、溶媒の20wt%を加えて調製し、調製から1週間後の分散性を検査した。その結果、低融点樹脂を加えたものでは、クリームのように形状を維持し、研磨力が調製直後と同程度に保たれていることを確認した。

Figure 0005569998
本発明の好適な一実施の形態を示す側面図である。 研磨対象について表面粗さの測定結果を示すグラフであり、研磨前の表面粗さと、実施例1および試料1での研磨後の表面粗さを表示している。
符号の説明
1 研磨対象
2 研磨バイト
20 永久磁石
3 y軸ステージ
4 磁気研磨液(ペースト材料)
5 駆動手段

Claims (3)

  1. アクリル樹脂材料の対象物に対して緻密な削り作用による表面処理を行うために、前記対象物と非接触に対面する磁界発生源の周辺に存在させ、磁界の作用により連動させるペースト材料であって、
    フェライト焼結体の塊を機械力で粉砕した鋭利な角部を有するフェライト粒子および溶媒成分の植物油脂を含むことを特徴とするペースト材料。
  2. 前記フェライト粒子は、MnZnフェライトであることを特徴とする請求項1に記載のペースト材料。
  3. 前記フェライト粒子は、粒子径が100μm以上から400μm以下であり、室温での飽和磁束密度が400mT以上であることを特徴とするある請求項1または2記載のペースト材料。
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