JP2015168029A - 磁気研磨方法及び研磨スラリー - Google Patents

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正典 角田
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Abstract

【課題】樹脂パイプの内面等を精密に研磨することができる磁気研磨方法及び研磨スラリーを提供する。【解決手段】樹脂パイプ1と、樹脂パイプ1内に導入された研磨スラリー2とを相対運動させながら樹脂パイプ1の内面を研磨スラリー2で研磨する磁気研磨方法において、研磨スラリー2を、平均粒径100μm以上の磁性粒子と、該磁性粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径の研磨粒子と、該磁性粒子と該研磨粒子をスラリー状にするスラリー媒体とを有するように構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気研磨方法及び研磨スラリーに関し、更に詳しくは、樹脂パイプの内面等を精密に研磨することができる磁気研磨方法及び研磨スラリーに関する。
半導体分野、医療機器分野、バイオテクノロジー分野等の様々な技術分野で、高精度の精密部品が要求されている。こうした分野では、高純度ガスや高純度流体を輸送するための装置にクリーンパイプが用いられている。このクリーンパイプは、その内面が鏡面仕上げされていることが要求されており、こうした要求に応えるため、磁性砥粒を利用した管内面磁気研磨法が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
特許文献1には、粒径4mmの鋼球を磁性砥粒として管内に入れ、管と、管の外周側に配置した2つの磁石とを相対運動させることにより、その磁性砥粒で管内面を研磨する磁気研磨方法が提案されている。また、特許文献2には、磁気研磨装置を動作させて被研磨管の内面を研磨スラリーで精密に研磨する磁気研磨方法が提案されている。このときの研磨スラリーは、球状の磁性粒子と、その磁性粒子の平均粒径の1/4〜1/1000の範囲の平均粒径からなる研磨粒子と、その磁性粒子と研磨粒子をスラリー状にする媒体とで構成されている。
特開2002−210648号公報 特開2010−52123号公報
近年、樹脂製品が工業、医療、各種日用品等、様々な分野で広く用いられており、樹脂パイプの内面研磨に対する企業ニーズが高まっている。しかしながら、樹脂は温度変化や他の部材に接触しただけでもミクロン単位でサイズが変化してしまうので、精密な研磨が金属材料よりも難しく、特にパイプや複雑な形状の樹脂の研磨は手作業で行われており、自動化に至っていない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、樹脂パイプの内面等を精密に研磨することができる磁気研磨方法及び研磨スラリーを提供することにある。
本発明に係る磁気研磨方法は、樹脂パイプと、該樹脂パイプ内に導入された研磨スラリーと、該樹脂パイプと該研磨スラリーとを相対運動させながら該樹脂パイプの内面を該研磨スラリーで研磨する磁気研磨方法であって、前記研磨スラリーが、平均粒径100μm以上の磁性粒子と、該磁性粒子の平均粒径よりも小さい研磨粒子と、該磁性粒子と該研磨粒子をスラリー状にするスラリー媒体とを有することを特徴とする。
本発明に係る研磨スラリーは、樹脂パイプ内に導入して、該樹脂パイプとの間で相対運動させて該樹脂パイプの内面を研磨する研磨スラリーであって、平均粒径100μm以上の磁性粒子と、該磁性粒子の平均粒径よりも小さい研磨粒子と、該磁性粒子と該研磨粒子をスラリー状にするスラリー媒体とを有することを特徴とする。
本発明に係る研磨スラリーにおいて、前記磁性粒子が電解鉄粉であり、前記研磨粒子がWA砥粒又はGC砥粒であるように構成できる。
本発明に係る磁気研磨方法及び研磨スラリーによれば、樹脂パイプの内面等の研磨を極めて良好に行うことができる。
本発明に係る磁気研磨方法の加工原理を示す模式図である。 本発明に係る磁気研磨方法で用いる研磨スラリーの説明図である。 樹脂パイプ内の研磨スラリーに作用する力学的なモデル図である。 本発明に係る研磨スラリーが樹脂パイプ内を研磨するときの態様を示す模式図である。 実験に用いた磁気研磨装置であり、図1に示した磁気研磨装置と同じ構成からなる装置である。 研磨時間毎に測定した表面粗さRz(最大高さ)を示すグラフである。 研磨加工前後の樹脂パイプの内面の写真である。
以下、本発明に係る磁気研磨方法及び研磨スラリーについて、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有する範囲を包含し、以下に示す説明及び図面等に限定されない。
図1は、本発明に係る磁気研磨方法の加工原理を示す模式図である。図2は、本発明に係る磁気研磨方法で用いる研磨スラリーの説明図である。本発明に係る磁気研磨方法は、図1に示すように、樹脂パイプ1と、その樹脂パイプ1内に導入された研磨スラリー2と、樹脂パイプ1と研磨スラリー2とを相対運動させながら樹脂パイプ1の内面を研磨スラリー2で研磨する研磨方法である。そして、本発明の特徴は、図2に示すように、研磨スラリー2が、平均粒径Dが100μm以上の磁性粒子11と、磁性粒子11の平均粒径Dよりも小さい研磨粒子12と、磁性粒子11と研磨粒子12をスラリー状にするスラリー媒体13とを有することにある。こうした磁気研磨方法で樹脂パイプの内面を極めて良好に研磨することができる。
(磁気研磨装置)
図1において、磁気研磨装置3は、樹脂パイプ1の外部に配置された磁石31(31a〜31d)から研磨スラリー2に変動磁場を与えるが、こうした変動磁場は、研磨スラリー2中の磁性粒子11を磁気吸引して樹脂パイプ1の内面に押し付けるように作用する。そうした磁気研磨装置3としては各種の形態のものを挙げることができるが、図1の例では、樹脂パイプ1の外部に90°間隔で配置された4つの磁石31a〜31dと、2つの磁石間(31aと31b、31cと31d)を接続するヨーク32(32a,32b)と、樹脂パイプ1を回転33させて樹脂パイプ1と磁石31とを相対運動させる回転装置(図示しない)とで構成されている(後述の図5も参照)。なお、磁石31a〜31dは、図1の例では90°の角度となるように樹脂パイプ1の周囲に配置されているが、その角度は必ずしも90°である必要はなく、任意である。
詳しくは、90°に配置された1対のS極31a及びN極31bをヨーク32aで連結してなる複合磁石36aと、90°に配置された1対のS極31c及びN極31dをヨーク32bで連結してなる複合磁石36bとにより、各々磁界が形成されている。複合磁石36aと複合磁石36bとは、樹脂パイプ1の周りに180°の位置関係で対向するように配置され、その2つの複合磁石36a,36bで挟まれるように樹脂パイプ1が配置される。樹脂パイプ1の内部には研磨スラリー2が入っている。なお、図1と図5では、複合磁石36a,36bを固定し、樹脂パイプ1を回転させて樹脂パイプ1と研磨スラリー2とを相対運動させる態様であるが、樹脂パイプ1を固定し、複合磁石36a,36bを回転させて樹脂パイプ1と研磨スラリー2とを相対運動させるものであってもよい。また、複合磁石と樹脂パイプ1とを反対方向に同時に回転させてもよい。相対運動は、樹脂パイプ1と研磨スラリー2と間で起こるものであるが、研磨スラリー2は複合磁石36a,36bに磁気吸引されるので、相対運動は、樹脂パイプ1と磁石(磁界)ということもできる。
磁性粒子11と研磨粒子12を含む研磨スラリー2は、樹脂パイプ1が回転33しても2つの複合磁石36a,36bに磁気吸引されて所定の領域から動かず、回転する樹脂パイプ1の内面に対して相対移動する。この研磨スラリー2の相対移動により、樹脂パイプ1の内面を研磨することができる。
磁石の強さ(磁力)は、複合磁石36を構成する磁石31の種類に依存するが、その強さは特に制限はなく、永久磁石でも電磁石でもよい。永久磁石としては、例えば希土類磁石、フェライト磁石、アルニコマグネット、MA磁石等を挙げることができる。希土類磁石は強力な磁界を得られる点で好ましい。希土類磁石としては、具体的には、ネオジウム磁石(Nd−Fe−B)やサマリウムコバルト磁石(Sm−Co)が好ましく用いられる。
磁石の数や配置にも特に制限はなく、磁石により形成される磁界中に樹脂パイプ1を配置できるような数や配置にすればよい。例えば、樹脂パイプ1を挟んで対向するように一対のN極とS極とを配置してもよいし、あるいは、図1に示すように一対のN極とS極とが隣り合うように配置してもよい。前者の場合には樹脂パイプ1が配置される箇所に均一磁界を形成しやすく、後者の場合には不均一磁界を形成しやすい。通常は、不均一磁界中に樹脂パイプ1を配置することが好ましい。磁石の数は1つでもよいが、樹脂パイプ1が大きい場合には、磁石の数を2以上に増やすことが好ましく、この場合には、一対のN極とS極が隣り合うように配置された磁石を樹脂パイプ1の周りに複数並べて配置することが好ましい。
N極とS極の形状にも特に制限はない。通常は、円柱や多角柱等の柱状の磁石をN極及びS極として用いる。また、磁束密度を高める観点から、N極及び/又はS極の先端を錘台形、例えば円錐台形や角錘台形としてもよい。また、磁石は角部の磁場強度が大きくなることから、N極やS極の先端を切り欠きが入った形状とすることもできる。なお、ヨーク32a,32bについては特に限定されず、一般的にヨークとして用いられているものを用いることができる。例えば、後述する実施例に示す一般構造用圧延鋼材(SS400)等が用いられる。
なお、磁気研磨装置3には、磁石31を振動させるための振動装置を備えていてもよい。
本発明に係る磁気研磨方法では、力を加えると容易に変形したり寸法変化したりする樹脂パイプであっても、図1及び図5に示すような磁気研磨装置で固定して極めて良好な研磨を行うことができる。一方、本発明に係る磁気研磨方法ではなく、切削バイト等で樹脂パイプの内面を研削したり研磨したりする場合は、図1及び図5に示すような磁気研磨装置で固定しただけで変形してしまうので、十分に研磨できる部分と、必要以上に研磨してしまう部分と、研磨が不十分な部分とができてしまうことがある。
(樹脂パイプ)
樹脂パイプ1は、その内面を研磨する対象となるものであり、その材質は、パイプ用として適用されるものであれば特に限定されない。樹脂パイプの材質としては、例えば、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタン、アクリル、MCナイロン(登録商標)、ポリアセタール、ABS樹脂、等を挙げることができる。
樹脂パイプ1の内径は特に限定されず、2mm程度の細径パイプから80mm程度のパイプであってもよい。また、樹脂パイプ1の内径は長手方向に一定でも途中で変化するものであってもよい。なお、樹脂パイプ1は、真っ直ぐでも曲がっていてもよい。樹脂パイプ1が真っ直ぐである場合には、樹脂パイプ1と磁石31のいずれかが回転しながら樹脂パイプ1の長手方向に移動すればよいが、樹脂パイプ1が曲がっている場合には、曲がった樹脂パイプ1は回転しにくいので、磁石31を回転させることがよい。
(研磨スラリー)
研磨スラリー2は、図2に示すように、平均粒径100μm以上の磁性粒子11と、磁性粒子11の平均粒径よりも小さい研磨粒子12と、スラリー媒体13とを有している。この研磨スラリー2は、樹脂パイプ1内に導入されて、その樹脂パイプ1との間で相対運動させて樹脂パイプ1の内面を研磨する。
磁性粒子11は、樹脂パイプ1の内面に当たってその内面の研磨を担う粒子である。この磁性粒子11は、樹脂パイプ内においては磁石の対向位置に保持され、樹脂パイプ1と研磨スラリー2とが相対運動するための必須の要素である。したがって、磁性粒子11は、樹脂パイプ1と研磨スラリー2との相対運動を生じさせる磁気特性や粒径を持っている必要がある。したがって、磁性粒子11の材質としては、磁石に磁気吸引されて樹脂パイプ1の内壁に押し当たるものである。なお、自生攪拌現象35を生じる程度の磁性を有する粒子であってもよい。
磁性粒子11としては、鉄、コバルト、ニッケル、クロムやこれらの酸化物、合金、化合物等、一般に磁性体と呼ばれる元素を全部又は一部に含む粒子が用いられる。具体例としては、電解鉄粉、カルボニル鉄粉、ニッケル粉、Ni−P合金粉又はNi−B合金粉等のニッケル合金粉等を使用することができる。また、高温高圧下の不活性ガス中で鉄と焼結させた球状の酸化アルミニウム粉や、不活性ガス雰囲気中でのアルミニウムと酸化鉄とのテルミット反応の生成物粉等を用いることも可能である。なお、市販されている磁性砥粒(東洋研磨材工業株式会社;KMX−80)や、その他の未市販の磁性砥粒等も用いることができる。また、磁性粒子の表面に、他の材料を被覆してなる粒子であってもよい。
磁性粒子11の大きさは、平均粒径Dが100μm以上であることが好ましい。磁性粒子11の平均粒径Dの上限値は特に限定されないが、例えば500μmとすることができる。特に好ましい平均粒径Dは、140μm以上、400μm以下の範囲内、より好ましくは149μm以上、330μm以下の範囲内である。磁性粒子11の平均粒径Dが100μm未満では、樹脂パイプ1の内面の表面粗さの改善が十分でなく、表面粗さを小さくできず、きれいな内面にすることができないことがある。一方、磁性粒子11の平均粒径Dが例えば500μmを超えると、磁性粒子11が大きすぎて、個々の磁性粒子11の研磨混が残ってしまうことがある。なお、平均粒径Dは、磁性粒子11の電子顕微鏡写真から測定した平均値であり、表面粗さRzは、JIS B 0601(2001)に基づいて測定した最大高さである。
樹脂パイプ1を研磨するための磁性粒子11の平均粒径Dは、鋼管等の金属管の内面を良好に研磨する場合の磁性粒子11の平均粒径が、サブミクロン〜数μm〜数十μmの範囲が好ましいであるのに比べて著しく大きい。その明確な理由は現時点では明らかではないが、樹脂の持つ物性に影響しているものと考えられ、数μm前後の磁性粒子では十分な研磨ができないためであろうと考えられる。
なお、上記範囲内の磁性粒子11について、その粒度分布は特に限定されず、磁性粒子11の形状についても特に限定されない。
研磨粒子12は、磁性粒子11の平均粒径Dよりも小さい。この研磨粒子12の形態は特に制限されず各種の形態ものを用いることができる。研磨粒子12としては、ダイヤモンド粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化セリウム粒子、炭化ケイ素粒子、二酸化ケイ素粒子、酸化クロム粒子、又はそれらの複合体等が挙げられる。また、JIS表示でA、WA、GC、SA、MA、C、MD、CBNとして表されているものを含む、Al、SiC、ZrO、BC、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、MgO、CeO又はヒュームドシリカ等の研磨粒子であってもよい。中でも、WA砥粒又はGC砥粒が好ましい。なお、GC砥粒は、ケイ砂SiOとコークスCとの混合物を電気抵抗炉で加熱し、高温(2000℃)で反応させて製造した緑色炭化ケイ素研磨材である。
研磨粒子12は、磁性粒子11の平均粒径Dよりも小さければよく、例えば、研磨粒子12の粒度としては、#30000(0.32μm)以上、好ましくは#20000(0.50μm)以上、より好ましくは#10000(0.51μm〜0.70μm)以上であり、#1000(11.9μm)以下、好ましくは#2000(6.9μm)以下、より好ましくは#3000以下である。なお、粒度は、累積高さ50%点の粒子径として求めた値であり、その粒度測定方法は、#8000までは電気抵抗法で測定した結果であり、#10000は、沈殿天秤法で測定した結果であり、#20000と#30000はレーザー回折法で測定した結果である。
この範囲の研磨粒子12は、後述する図4に示す態様のように、磁性粒子11と樹脂パイプ1との間に挟まれるようにして樹脂パイプ1を研磨するので、凝集しないで均一分散した微細な研磨粒子12で樹脂パイプ1の内面を精密研磨することができる(後述の図3,4を参照)。
スラリー媒体13は、磁性粒子11と研磨粒子12をスラリー状にする媒体である。スラリー状とする際の好ましい媒体としては、軽油、水の他、一般的に研磨液として用いられる水溶性や油溶性の液体等が挙げられる。なお、スラリー媒体は、研磨粒子12を研磨スラリー2内に分散させるための添加剤を含まないようにしてもよい。スラリー媒体が添加剤を含まないようにしても、磁性粒子11が自生攪拌現象35するようにでき、研磨粒子12を均一分散させることができるので、そうした添加剤は不要にすることができる。
研磨スラリー2においては、研磨スラリー2中に含まれる磁性粒子11の含有量は30重量%〜70重量%の範囲であり、研磨粒子12の含有量は10重量%〜60重量%の範囲であり、これら磁性粒子11と研磨粒子12とをあわせた総含有量は70重量%〜90重量%の範囲であるように構成される。なお、磁性粒子11の含有量は、磁気研磨装置3や磁性粒子11の粒径等の条件とも関係し、例えば自生攪拌現象35を生じやすいように設定してもよいし、また、研磨粒子12の含有量は、樹脂パイプの内面の研磨の程度(粗研磨、通常研磨、仕上研磨等)や研磨効率を考慮して設定してもよい。また、スラリー媒体12の含有量は、調製された研磨スラリー2が樹脂パイプ1と磁石との間の相対運動によっても磁石の対向位置に流体物として留まっているように、ある程度の粘度を有するように設定してもよい。
(研磨挙動)
図3は、樹脂パイプ内の研磨スラリーに作用する力学的なモデル図である。図3に示すように、樹脂パイプ1中に挿入した研磨スラリー2は、磁石31a,31bから磁力線方向と等磁位線方向にそれぞれ磁力FxとFyを受け、磁石31a,31bから引きつけられて磁石付近に保持される。磁力FxとFyは、磁性粒子11の径、磁性粒子11の磁化率、及び磁場の強さとその変化率とに関係する。樹脂パイプ1を回転させると、研磨スラリー2は樹脂パイプ1の内面との間で研磨抵抗ftを受ける。このとき、研磨スラリー2の加工中の挙動は、磁力FxとFy、重力mg及び研磨抵抗ftに関係する。研磨スラリー2を構成する磁性粒子11の粒径と含有割合を一定とすると、樹脂パイプ1の回転速度と磁場の強さの選定によって、小径の研磨粒子12の均一分散化を実現できる。
図4は、本発明に係る研磨スラリーが樹脂パイプ内を研磨するときの態様を示す模式図である。図1及び図3に示す態様において、樹脂パイプ1と研磨スラリー2(磁石31)とを相対運動させると、研磨スラリー2は磁石31から吸引磁力を受けてN・S極間に保持され、その状態で研磨スラリー2と樹脂パイプの内面との間に相対運動が起こる。この相対運動は、研磨スラリー2を構成する磁性粒子11と樹脂パイプの内面との間で抵抗を生じさせるため、場合によっては磁性粒子11に自生攪拌現象が起こり、その磁性粒子11の自生攪拌現象35により研磨粒子12が凝集を起こさずに均一分散され、樹脂パイプの内面の超精密研磨を実現することができる。
このときの態様は図4に示すとおりりであり、凝集しない研磨粒子12は、上記した大粒径の磁性粒子11と樹脂パイプ1の内面との間に挟まれて樹脂パイプの内面を効率的に精密研磨する。
なお、研磨加工が終了した後においては、研磨スラリー2を樹脂パイプ1から分離する。この際、磁気を用いることにより、研磨スラリー2を比較的容易に樹脂パイプ1から分離することができる。樹脂パイプ1の内部の径に対して開口部の径が小さい場合や場所により内径の異なる場合においても、磁気を援用することにより、研磨スラリー2を比較的容易に樹脂パイプ1から分離することができる。具体的には、図1に示すような態様で樹脂パイプ1を研磨した場合には、樹脂パイプ1を磁石31に対して軸方向に相対的に移動させることにより、研磨スラリー2を樹脂パイプ1に対して軸方向に相対的に移動させ、研磨スラリー2を樹脂パイプ1の開口部から排出することができる。
また、本発明に係る磁気研磨方法では、粗研磨、通常研磨、仕上研磨等のように研磨精度の段階毎に適した複数種の研磨スラリー2を準備することにより、段階毎の研磨を行うことができる。具体的には、磁性粒子11の平均粒径Dと研磨粒子12の粒子径dとを変化させた複数の研磨スラリーを準備し、平均粒径D及び粒子径dの大きい粒子(磁性粒子11及び/又は研磨粒子12)を含む研磨スラリーから段階的に樹脂パイプ1内に入れ替えて研磨する。このように、例えば粗研磨、中間研磨又は仕上研磨のいずれで行うかによって、磁性粒子11と研磨粒子12とを適した平均粒径Dと粒子径dとした複数の研磨スラリーを準備し、平均粒径Dと粒子径dの大きい粒子を含む研磨スラリーから段階的に樹脂パイプ1内に入れ替えて研磨すれば、粗研磨、中間研磨、仕上研磨を順次行うことができる。その結果、研磨段階毎に最も適した研磨スラリーを用いることにより、研磨効率を向上させることができる。
実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は以下の実験例に限定されるものではない。
[実施例1]
図5は、実験に用いた磁気研磨装置であり、図1に示した磁気研磨装置と同じ構成からなる装置である。用いた磁気研磨装置は、樹脂パイプ1を回転させるとともに、磁石31を振動させる機能を備えた装置である。磁石31としては、N極、S極、S極、N極の4個のネオジウム永久磁石(18mm×12mm×10mm)を90°間隔で順番に配置し、2つずつヨーク32a,32bで接続して複合磁石36a,36bを構成した。ポリカーボネートパイプ(内径10mm、外径15mm、長さ90mm)を樹脂パイプ1として旋盤チャックに固定し、樹脂パイプと磁石とのクリアランスを1mmとった状態で毎分400の回転数で回転させ、さらに複合磁石36a,36bを振幅2.5mmで振動数0.8Hzで振動させた。
先ず以下の研磨スラリーAで20分間の前研磨を行った後、研磨スラリーBに変更して、5分、10分、15分、20分、25分、30分の本研磨を行った。なお、前研磨と本研磨のいずれも、樹脂パイプの内面と研磨スラリー2との間に相対運動が生じて樹脂パイプの内面を研磨した。
(研磨スラリーA)
研磨スラリー:磁性粒子(平均粒径330μmの電解鉄粉)、研磨粒子(WA砥粒、粒度#3000(約4μm))、スラリー媒体(水溶性研磨液)
研磨スラリーの組成:磁性粒子0.36g、研磨粒子0.04g、研磨スラリー0.1mL
(研磨スラリーB)
研磨スラリー:磁性粒子(平均粒径330μmの電解鉄粉)、研磨粒子(WA砥粒、粒度#20000(約0.5μm))、スラリー媒体(水溶性研磨液)
研磨スラリーの組成:磁性粒子0.15g、研磨粒子0.05g、研磨スラリー0.05mL
[実施例2]
実施例1において、研磨スラリーBを以下の研磨スラリーCに変更した以外は、実施例1と同じにして樹脂パイプの内面研磨を行った。
(研磨スラリーC)
研磨スラリー:磁性粒子(平均粒径149μmの電解鉄粉)、研磨粒子(WA砥粒、粒度#20000(約0.5μm))、スラリー媒体(水溶性研磨液)
研磨スラリーの組成:磁性粒子0.15g、研磨粒子0.05g、研磨スラリー0.05mL
[比較例1]
実施例1において、研磨スラリーBを以下の研磨スラリーDに変更した以外は、実施例1と同じにして樹脂パイプの内面研磨を行った。
(研磨スラリーD)
研磨スラリー:磁性粒子(平均粒径75μmの電解鉄粉)、研磨粒子(WA砥粒、粒度#20000(約0.5μm))、スラリー媒体(水溶性研磨液)
研磨スラリーの組成:磁性粒子0.15g、研磨粒子0.05g、研磨スラリー0.05mL
[比較例2]
実施例1において、研磨スラリーBを以下の研磨スラリーEに変更した以外は、実施例1と同じにして樹脂パイプの内面研磨を行った。
(研磨スラリーE)
研磨スラリー:磁性粒子(平均粒径30μmの電解鉄粉)、研磨粒子(WA砥粒、粒度#20000(約0.5μm))、スラリー媒体(水溶性研磨液)
研磨スラリーの組成:磁性粒子0.15g、研磨粒子0.05g、研磨スラリー0.05mL
[測定及び結果]
図6は、研磨時間毎に測定した表面粗さRz(最大高さ)を示すグラフである。前研磨は20分間行ったときの表面粗さRzと、5分〜30分まで5分間刻みで本研磨したときの表面粗さRzとを測定した。5分間刻みで研磨したときの表面粗さRzは、所定の時間が経過したとき回転を止め、樹脂パイプをエタノールで5分間超音波洗浄し、表面粗さRzを測定した。なお、表面粗さRzの測定は、表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ、型番:SV−624−3D)を用い、JIS B 0601(2001)に基づき、樹脂パイプの内面を円周方向に120°間隔で3箇所測定し、その平均値を採用した。
図6に示すように、前加工の段階で表面粗さRzは約0.5μmであったが、10分以上の本研磨では、磁性粒子11の平均粒径Dが330μmの場合(実施例1)と149μm(実施例2)の場合で大幅な表面粗さRzの改善が確認された。一方、磁性粒子11の平均粒径Dが75μmの場合(比較例1)と30μm(比較例2)の場合は表面粗さRzの改善が見られなかった。平均粒径Dが大きい磁性粒子11は、磁気吸引力が強いため、加工圧力が高まって表面粗さを改善したものと考えられる。表面粗さRzは約0.1μmになり、著しい改善が確認された。
図7(A)は、実施例1における樹脂パイプの内面の加工前後の比較写真である。加工前のA1写真には、樹脂パイプ製作時の加工痕が中央に残っているが、前研磨後のA2写真と、品研磨後のA3写真では、樹脂パイプ製作時の加工痕はほとんど無くなり、精密な内面を得ることができた。また、図7(B)は、実施例1における本研磨後の樹脂パイプの内面の写真である。本研磨した後のB2写真は、下に敷いた文字が透けて見える程内面の透明度が向上しており、精密な内面の創成と透明度の向上が同時に実現できた。
1 樹脂パイプ
2 研磨スラリー
3 磁気研磨装置
11 磁性粒子
12 研磨粒子
13 スラリー媒体
31,31a,31b,31c,31d 磁石
32,32a,32b ヨーク
33 回転
35 自生攪拌現象
36,36a,36b 複合磁石
D 磁性粒子の平均粒径
d 研磨粒子の粒子径

Claims (3)

  1. 樹脂パイプと、該樹脂パイプ内に導入された研磨スラリーと、該樹脂パイプと該研磨スラリーとを相対運動させながら該樹脂パイプの内面を該研磨スラリーで研磨する磁気研磨方法であって、
    前記研磨スラリーが、平均粒径100μm以上の磁性粒子と、該磁性粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径の研磨粒子と、該磁性粒子と該研磨粒子をスラリー状にするスラリー媒体とを有することを特徴とする磁気研磨方法。
  2. 樹脂パイプ内に導入して、該樹脂パイプとの間で相対運動させて該樹脂パイプの内面を研磨する研磨スラリーであって、
    平均粒径100μm以上の磁性粒子と、該磁性粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径の研磨粒子と、該磁性粒子と該研磨粒子をスラリー状にするスラリー媒体とを有することを特徴とする研磨スラリー。
  3. 前記磁性粒子が電解鉄粉であり、前記研磨粒子がWA砥粒又はGC砥粒である、請求項2に記載の研磨スラリー。
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