JP5569718B2 - シアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴 - Google Patents

シアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴 Download PDF

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Description

本発明は電気めっき技術に関し、広い電流密度範囲に渡って銀白色の銅−スズ合金めっきを与えるシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴および、同じ浴の金属濃度と比率を変更することで広い電流密度範囲に渡って淡〜濃黒色のめっき皮膜を与える光沢黒色銅−スズ合金めっき浴に関する。
ニッケルアレルギー対策として従来から使用されているシアン化合物を用いた銅−スズ合金めっき浴は知られているが、シアン化合物は生物に有害であることから水質汚染、大気汚染、作業者の健康などに厳重な管理が必要である。 また、シアン浴は電流効率が低く、厚付けめっきには不向きである。したがって、電気ニッケルめっきの代替として使用するのは不可能か或いはめっき時間が非常に長くなり、生産性が著しく低下するため、工業的生産には不向きな浴である。
また、シアン化合物を含有しない弱酸性領域から弱アルカリ領域の銅−スズ合金めっきに関する特許は種々報告されているが、どの浴も良好な光沢外観を維持しながら10μmを超える厚付けめっきには実用的な範疇ではない。
表面処理産業に於いては近年の環境問題の観点から安全で安定供給が可能であり、危険で有害なシアン化合物を含まない所謂ノーシアン浴に於いて、良好な光沢外観を有し、現在広く使用されている光沢ニッケルめっきに代わる10μm以上の厚付けめっきが短時間で形成可能な光沢銅−スズ合金めっきが求められている。
本発明はニッケルアレルギー対策を初めとする電気ニッケルめっき全般における代替めっきであり、電気ニッケルめっきに取って代わる光沢厚付銅−スズ合金めっき浴を提供しようとするものである。提供しようとするシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴は、ラックめっきおよびバレルめっきを問わず使用可能であり、低電流密度から高電流密度まで安定した合金比率のめっきを可能とする。また、このシアンフリー光沢銅−スズ合金めっきは、光沢ニッケめっきに近い硬さを持ち、皮膜特性として銅−スズ合金めっきは光沢ニッケルめっきよりも耐食性が高いことから光沢ニッケルめっきと置き換えることでさらに高い耐食性が期待できる。さらにシアン化合物を含有せず、pHが中性〜弱アルカリ性領域で使用できることから作業環境、安全性の点で優れる。
本発明は上記のような従来の状況に鑑み、光沢外観でしかも厚付けめっきを可能とするために鋭意検討した結果、アルデヒドアミン系化合物とグリシジルエーテル類と反応させて調製したアルデヒドアミンーグリシジルエーテル系反応物を添加剤として用いることで著しく外観の改善と光沢をもたらし、さらに脂肪族ジカルボン酸またはその塩を添加することで広い電流密度範囲に渡って優れた光沢外観を与えることを見いだした。
すなわち、本発明は、次に示した手段構成による光沢厚膜の形成可能な銅―スズ合金めっき浴である。
(1)2価のスズイオンおよび
(2)2価の銅イオンを含有し、錯化剤として
(3)ピロリン酸塩を含有する水溶液に、次の添加剤;すなわち
(4)アルデヒドアミン系化合物とグリシジルエーテル類との反応物を必須成分として、含有することを特徴とするシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴である。
に(5)脂肪族ジカルボン酸またはその塩を含有する。
本発明のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴は、以上のような構成により、次のような技術的な効果があった。
第一に、高効率で広い電流密度範囲に渡って安定した色調、光沢の厚付け銅−スズ合金めっき皮膜が得られる。既存のめっき液では達成不可能な光沢ニッケルめっきに代替可能な厚付けめっきが可能である。また、めっき手段を選ばず、大型品のめっきに使用されるラックめっきや小型および微小部品に使用されるバレルめっきの何れにも使用可能である。
第二に、ニッケルアレルギー対策を初めとする健康被害や環境負荷への軽減が可能であり、シアン化合物を含まない安全なめっき浴を提供可能とした。
第三に、同一添加剤を使用して、銅とスズの金属濃度と濃度比を変更するだけで光沢黒色めっきが可能であり、さらに従来浴よりも厚付けが可能な光沢黒色銅−スズ合金めっき皮膜を形成された。
以下に本発明によるシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴の組成例を説明するが、本発明はそれにより限定を受けるものではない。
(1)2価のスズイオン源には、塩化スズ(II)、硫酸スズ(II)、ピロリン酸スズ(II)、有機酸スズ(II)(例えば、メタンスルホン酸スズ(II))などの2価のスズ塩を用いることができる。
(2)2価の銅イオン源には、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、ピロリン酸銅、酸化銅などの2価の銅塩を用いることができる。
(3)以上の2種の金属塩を溶解するために用いる錯化剤にはピロリン酸カリウムまたはピロリン酸ナトリウムなどが使用できる。
(4)アルデヒドアミン系化合物と更にそれとグリシジルエーテル類と反応させた反応物に於いて使用するアルデヒドアミン系化合物は、化合物としては、アミノベンズアルデヒド、アミノアセトアルデヒドなどがある。そして、使用するアルデヒドアミン系化合物は、アルデヒド類とアミン類を反応させて調製できる。そのためのアルデヒド類は、脂肪族飽和アルデヒド、脂肪族不飽和アルデヒド、脂肪族ジアルデヒド、芳香族アルデヒド、複素環式アルデヒドおよびアルデヒド誘導体を使用することができる。具体的には脂肪族飽和アルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどである。脂肪族不飽和アルデヒドには、アクロレイン、クロトンアルデヒドなどが使用できる。脂肪族ジアルデヒドでは、グリオキサールなどが使用できる。芳香族アルデヒドでは、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、サリチルアルデヒドなどが使用できる。複素環式アルデヒドではフルフラールなどが使用できる。
また、アルデヒド類と反応させるアミン類としては、脂肪族第一アミンおよび第二アミン、不飽和脂肪族一アミンおよび第二アミン、分枝脂肪族第一アミンおよび第二アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、ポリアミンを使用することができる。具体的には、脂肪族第一アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどが使用できる。脂肪族第二アミンには、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどが使用できる。不飽和脂肪族第一アミンにはアリルアミンがあり、
第二アミンにはジアリルアミンなどがある。分枝脂肪族第一アミンには、イソアミルアミンなどが使用できる。脂環式アミンにはシクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどがある。芳香族アミンでは、アニリン、2メチルアニリン、ベンジルアミン、ジフェニルアミンなどが使用できる。ポリアミンにはジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレントリアミン、ピペラジンなどが使用できる。 さらに高分子のポリアミンとしてジアリル系アミンを用いた3級アミンおよび4級アミンのカチオンポリマーなどの高分子化合物も使用することができる。何れも単独もしくは2種以上複合して用いることができる。このアルデヒド類とアミン類を反応させて生成したアルデヒドアミン系化合物は、自己縮合して、オリゴマーになっている可能性がある。
反応させる割合は、アルデヒド類0.5〜5モルを適量の純水またはイソプロピルアルコール等のアルコール類およびジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の水溶性有機溶剤に溶解し、これに対してアミン類を0.5〜3モルの範囲で常温で撹拌を行いながら徐々に混合する。次に攪拌機で撹拌しながら15℃〜70℃の温度範囲で0.1〜240時間の範囲で反応させる。このようにして調製したアルデヒドアミン系化合物は、次のグリシジルエーテル系化合物との反応に用いられる。
アルデヒドとアミンは比較的容易に反応し、それは以下のような構成反応式を与える。
Figure 0005569718
この脱水縮合反応によりアゾメチン結合をもつ化合物が合成され、一般的に数分子縮合したアルデヒドアミン系化合物が合成される。このように、自己縮合され、オリゴマーを含有したアルデヒドアミン系化合物を、添加剤として用いることが、本発明の以下説明するような技術的効果をもたらせたと考える。
次にアルデヒドアミン系化合物と反応させるグリシジルエーテル類としては、メチルグリシジルエーテル、2−エチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、p-sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリセリン・エピクロルヒドリン0〜1モル付加物のポリグリシジルエーテル、エチレングリコール・エピクロルヒドリン0〜2モル付加物のポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(分子量400〜1000)、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどが使用できる。以上に挙げたような複雑な構造と立体性を有するグリシジルエーテル類が適する。
前述のアルデヒドアミン系化合物0.5〜2モル量に、グリシジルエーテル類1モル量を撹拌しながら混合し、15℃〜70℃の温浴上で0.1時間以上、240時間以内の反応をさせる。なお、沈殿が生成するものについては沈殿を濾別してもかまわない。
めっき浴に用いる濃度は0.01g〜50g/Lの範囲で適用できる。より好適には0.1g〜10g/Lの範囲で使用する。
(5)広い範囲の電流密度を確保するために添加する脂肪族ジカルボン酸またはその塩としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸またはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
これらの脂肪族ジカルボン酸およびその塩は0.005M〜飽和濃度までの濃度範囲で用いることができ、より好ましくは0.01M〜0.05Mである。0.01M以下では効果が低く、0.05M以上は性能が同じで不経済である。
先ず、本発明のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴に必須な成分として用いられる具体的な(1)〜(5)の各成分濃度について説明する。
(1)2価のスズイオンには、2価スズイオンの塩を使用する。例えば、塩化スズ(II)、硫酸スズ(II)、ピロリン酸スズ(II)、有機酸スズ(II)(例えば、メタンスルホン酸スズ(II))、酸化錫(II)などのスズ塩を用いることができる。これらのスズ塩は単独または
適宜混合して使用できる。2価の水溶性スズ塩の濃度は、0.005〜0.25Mの範囲が好ましく、特に0.03〜0.15Mが好ましい。
(2)2価の銅イオンにおいても市販の銅塩を使用する。例えば、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、ピロリン酸銅(II)、酸化銅(II)などの2価の銅塩を用いる。これらの銅塩は単独または適宜混合して使用できる。2価の水溶性銅塩の濃度は、0.01〜0.2Mの範囲が好ましく、特に0.02〜0.09Mが好ましい。スズおよび銅濃度が上記範囲から外れると光沢の得られる範囲が狭くなり、均一な光沢めっき皮膜を得ることが困難になる。
(3)2価のスズイオンおよび2価の銅イオンの錯化剤としては、ピロリン酸塩(ピロリン酸カリウムおよびピロリン酸ナトリウム)を使用する。使用するピロリン酸塩濃度はスズイオンと銅イオンの合計モル数の1.5倍モル濃度以上のピロリン酸塩が必要である。1.5倍以下であると金属塩を溶解することができず、沈殿が生じる。具体的には合計金属モル数の2〜35倍モルが適当であり、より好適には3〜20倍モルである。35倍モル以上は特に性能の向上が無く、不経済である。
本発明のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴は、2種類の色調の異なる外観のめっき皮膜を得ることができる。その色調はニッケルめっきやスペキュラ合金と酷似する銀白色めっき皮膜および装飾めっきなどに使用される光沢黒色外観のめっき皮膜である。黒色めっきを得るための銅濃度は0.004M〜0.08M、スズ濃度を0.005M〜0.06M、金属比が銅:スズ=1:1〜2.5:1であることが望ましい。銅:スズが1未満であると黒色めっきが得られず白色ないし黄色の皮膜であり、銅:スズが2.5を超えると均一な黒色めっきが得られなくなる。添加剤であるアルデヒドアミン系化合物とグリシジルエーテル類の反応割合は好ましくは2:1が望ましい。
(4)本発明のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴に必須成分として用いるアルデヒドアミン系化合物とグリシジルエーテル系化合物の反応物の調製方法について述べる。
初めにアルデヒドアミン系化合物の具体的な調製方法を示すが以下の説明により限定されるものではない。
アルデヒド類としてアセトアルデヒド、アミン類としてジエチルアミンを使用して以下の反応物を得た。アセトアルデヒド50gと水100gを混合し、これにジエチルアミン110gを撹拌しながら徐々に加え、全て加え終わったら60℃の温浴上で60〜120分反応させる。
以上のようにして調製したアルデヒドアミン系化合物にグリシジルエーテル類としてグリシドールを反応させる。上記の反応物にグリシドール70gを撹拌しながら徐々に加える。全て加え終わったら60℃の温浴上で120分間反応させる。
めっき浴への添加濃度は0.01g〜50g/Lの範囲で使用することが可能であり、より好適には0.1g〜20g/Lである。沈殿がある場合は濾過して用いる。
(5)本発明によると、脂肪族ジカルボン酸およびその塩は、(4)と併用することにより光沢めっきが得られる電流密度範囲を拡大させる作用を持つことが見出された。これにより、低電流密度で使用されるバレルめっきから比較的高い電流密度が用いられるラックめっきまで対応することができる。脂肪族ジカルボン酸およびその塩としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
これらの脂肪族ジカルボン酸およびその塩は0.005M〜飽和濃度までの濃度範囲で用いることができ、より好ましくは0.01M〜0.05Mであり、0.01M以下では効果が低く、0.05M以上は性能が同じで不経済である。
本発明によると、シアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴に必須成分として用いる添加剤(4)、(5)は、得られるめっき皮膜に光沢性とレベリング性を与え、安定した合金組成の皮膜が広い電流密度範囲に渡って高い電流効率で均一に電着させる働きをもたらすことを見出した。具体的な添加濃度は、添加剤(4)で合成したアルデヒドアミンーグリシジルエーテル反応物は、0.01g〜50g/Lの範囲で使用する。より好適には0.1g〜10g/Lの範囲で使用する。反応物中に沈殿がある場合は取り除いても効果は変わらない。0.1g/L以下では十分な光沢が得られず、10g/L以上では光沢性の向上変化が無く、不経済である。さらに50g/L以上では、例えば、クラックの発生原因などにより、皮膜特性の劣化の原因となる。
本発明のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴のpHは、好適には、6〜10の範囲で適用する。pH6以下ではピロリン酸がオルトリン酸に加水分解される速度が増し、浴管理が困難になる。また、pH10以上では良好な光沢外観のめっき皮膜が得られなくなる。
浴のpH調整のためには既存の無機酸や有機スルホン酸(メタンスルホン酸など)が使用し、アルカリとしては無機の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)が使用する。
本発明のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴を用いて、ラックめっきおよび回転バレルめっき等において良好な光沢外観のめっき皮膜を得ることができる。この時用いる浴温度は15℃〜50℃の範囲で使用することが可能であり、より好ましくは25℃〜40℃である。15℃以下ではめっき速度が低下し、また40℃以上では2価スズの4価スズへの酸化速度が速くなり不経済である。
陽極には純スズ板、塩化物を含まない浴を用いた場合には、不溶性のステンレス板、白金めっきチタン板などの市販のめっき用陽極が使用することができる。また、本発明のアルデヒドアミン系化合物とグリシジルエーテル類の反応物を用いることにより、本来起こるはずのスズ陽極への銅置換現象が押さえられ、スズ陽極の使用を可能としている。これにより、金属塩の補給は銅塩のみで長期間にわたってめっきが可能となり、めっきコストを下げることが可能となった。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。実施例1−3は、ラックめっき法であり、実施例4はバレルめっき法であり、実施例5は、ラックめっきにより黒色めっき膜の形成であり、実施例6はバレルめっき法である。また、使用した添加剤の合成法を表1および2に示した。実施例中の添加剤記号は表2に示したものである。
Figure 0005569718
Figure 0005569718
(1)硫酸第一スズ 0.1M
(2)硫酸銅 0.05M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)添加剤A 1g/L
(5)シュウ酸 3g/L
(6)pH 8.0
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に浴温30℃、2A/dmの電流密度でラックにて30分間のめっきを行った。めっき外観は鏡面光沢の均一な銀白色の良好なめっき皮膜が得られた。めっき膜厚は約20μmであった。
(1)メタンスルホン酸スズ 0.15M
(2)ピロリン酸銅 0.08M
(3)ピロリン酸カリウム 0.8M
(4)添加剤B 1g/L
(5)マロン酸 5g/L
(6)pH 9.0
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に浴温30℃、0.2A/dmの電流密度でラックにて60分間のめっきを行った。めっき外観は鏡面光沢の均一な銀白色の良好なめっき皮膜が得られた。めっき膜厚は約4μmであった。
(1)塩化第一スズ 0.19M
(2)塩化銅 0.15M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)添加剤C 5g/L
(5)コハク酸二ナトリウム 10g/L
(6)pH 7.0
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に浴温35℃、4A/dmの電流密度でラックにて15分間のめっきを行った。めっき外観は鏡面光沢の均一な銀白色の良好なめっき皮膜が得られた。めっき膜厚は約15μmであった。
(1)メタンスルホン酸スズ 0.05M
(2)ピロリン酸銅 0.03M
(3)ピロリン酸カリウム 0.8M
(4)添加剤A 1g/L
(5)グルタル酸 6g/L
(6)pH 8.0
よりなるめっき浴で、真鍮製スナップ部品にバレルめっき装置を用いて投入量を40%容量として、浴温30℃、電流密度0.3A/dmで30分間のめっきを行った。めっき外観は鏡面光沢の均一な銀白色の良好なめっき皮膜が得られた。部品の色調バラツキやめっきムラも見られなかった。めっき膜厚は約3μmであった。
(1)メタンスルホン酸スズ 0.02M
(2)ピロリン酸銅 0.02M
(3)ピロリン酸カリウム 0.8M
(4)添加剤A 2g/L
(5)マレイン酸 5g/L
(6)pH 7.5
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に浴温30℃、0.5A/dmの電流密度でラックにて30分間のめっきを行った。めっき外観は鏡面光沢の均一な青黒色の良好なめっき皮膜が得られた。めっき膜厚は約4μmであった。
(1)メタンスルホン酸スズ 0.01M
(2)ピロリン酸銅 0.01M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)B添加剤B 2g/L
(5)マロン酸 5g/L
(6)pH 7.5
よりなるめっき浴で、真鍮製スナップ部品にバレルめっき装置を用いて投入量を40%容量として、浴温30℃、電流密度0.3A/dmで30分間のめっきを行った。めっき外観は鏡面光沢の均一な青黒色の良好なめっき皮膜が得られた。部品の色調バラツキやめっきムラも見られなかった。めっき膜厚は約3μmであった。
以下、本発明の範囲外のめっき浴による比較例を示す。比較例1−4、6は、ラックめっき法であり、比較例5、7はバレルめっき法である。
比較例1
(1)硫酸第一スズ 0.1M
(2)ピロリン酸銅 0.05M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)コハク酸二ナトリウム 5g/L
(5)pH 8.0
よりなるめっき浴で、浴温30℃、電流密度2A/dmでラックにて30分間のめっきを行った。めっき外観は無光沢の赤茶色の不均一な粉状のめっき皮膜が得られた。
比較例2
(1)硫酸第一スズ 0.14M
(2)硫酸銅 0.1M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)ジエチルアミン110g/Lとグリシドール70g/Lの反応物
1.0g/L
(5)マロン酸ナトリウム 5g/L
(6)pH 8.0
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に2A/dmの電流密度でラックにて30分間のめっきを行った。めっき外観は無光沢〜半光沢の均一な白色めっき皮膜であった。めっき膜厚は約12μmであった。
比較例3
(1)硫酸第一スズ 0.14M
(2)硫酸銅 0.1M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)ジエチルアミン110g/Lとグリシドール70g/Lの反応物
1.0g/L
(5)アセトアルデヒド 0.1g/L
(6)マロン酸 5g/L
(7)pH 8.0
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に浴温30℃、2A/dmの電流密度でラックにて30分間のめっきを行った。めっき外観は比較例1と同様、無光沢〜半光沢の均一な白色めっき皮膜であった。めっき膜厚は約12μmであった。
比較例4
(1)硫酸第一スズ 0.14M
(2)硫酸銅 0.1M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)アセトアルデヒド50g/Lとジエチルアミン110g/Lの反応物
1.0g/L
(5)マロン酸 5g/L
(6)pH 8.0
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に浴温30℃、2A/dmの電流密度でラックにて30分間のめっきを行った。めっき外観は局部的に光沢のある不均一な銀白色めっき皮膜が得られた。めっき膜厚は約9μmであった。
比較例5
(1)硫酸第一スズ 0.14M
(2)硫酸銅 0.1M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)アセトアルデヒド50g/Lとジエチルアミン110g/Lの反応物
1.0g/L
(5)グリシドール 0.5g/L
(6)マロン酸 5g/L
(7)pH 8.0
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に2A/dmの電流密度でラックにて30分間のめっきを行った。めっき外観は局部的に光沢のある不均一な銀白色めっき皮膜が得られた。めっき膜厚は約9μmであった。
比較例6
(1)硫酸第一スズ 0.14M
(2)硫酸銅 0.1M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)ホルムアルデヒド 0.1g/L
(5)メチルアミン 0.1g/L
(6)グリシドール 1.0g/L
(5)マロン酸 5g/L
(6)pH 8.0
よりなるめっき浴で、研磨した銅板に2A/dmの電流密度でラックにて30分間のめっきを行った。めっき外観は不均一な褐色めっき皮膜が得られた。めっき膜厚は粉末状であり、膜厚測定は不可能であった。
比較例7
(1)硫酸第一スズ 0.14M
(2)硫酸銅 0.1M
(3)ピロリン酸カリウム 0.9M
(4)ジエチルアミン110g/Lとグリシドール70g/Lの反応物
1.0g/L
(5)マロン酸 5g/L
(6)pH 8.0
よりなるめっき浴で、真鍮製スナップ部品にバレルめっき装置を用いて投入量を40%容量として、浴温30℃、電流密度0.15A/dmで30分間のめっきを行った。めっき外観は光沢感のある白色めっき皮膜が得られたが、個々の部品に色調バラツキやめっきムラが発生した。断面観察による膜厚測定ではめっき厚が薄く、ほとんど計測不可能であった。

Claims (4)

  1. 2価スズイオンと2価銅イオンを含有し、錯化剤としてピロリン酸塩を含有する溶液に、アルデヒドアミン系化合物とグリシジルエーテル類と反応させたアルデヒドアミンーグリシジルエーテル反応生成物と脂肪族ジカルボン酸またはその塩を必須成分とする添加剤を含有することを特徴とするシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴。
  2. アルデヒドアミン系化合物は、アルデヒドアミンあるいはアルデヒド類とアミン類を反応させて合成したアルデヒドアミン類である請求項1記載のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴。
  3. アルデヒドアミン系化合物に対するグリシジルエーテル類の混合比(モル比)が、0.5〜2までの反応物である請求項1あるいは請求項2記載のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴。
  4. 2価銅塩濃度が0.004M〜0.08Mの範囲、2価スズ濃度が0.005M〜0.06Mの範囲で、金属比を銅:スズ=1:1〜2.5:1の範囲にすることにより、優雅な黒色光沢めっきを形成することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のシアンフリー光沢銅−スズ合金めっき浴。
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