JP5568817B2 - 能動光学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

(技術分野)
本発明は、制御電圧の適用によって色が変化する表面及び表面コーティングとしての能動素子の分野及び電子ディスプレイの分野に属するものであり、より詳細にはマトリックスディスプレイ及びインジケーターで使用される素子の分野に属するものである。
(従来技術)
種々の素子が異なる電子ディスプレイでイメージ及び情報を可視化するために使用され、ディスプレイは主に能動ディスプレイ及び受動ディスプレイの2つのグループに分けられる。
受動ディスプレイでは、制御シグナルはマトリックス粒子の反射レベルを変化させ、外部光の使用により可視イメージを形成し、前記光は制御電極の間に形成される電場に従って反射又は吸収される。受動ディスプレイのエネルギー消費量は少なく、強い外部光の環境で容易に読むことができる。能動ディスプレイと比較したときの受動ディスプレイの主な欠点は、低いコントラストレベル、狭い視野角及び遅い反応時間であり、これらのディスプレイの主な利点は低エネルギー消費量である。受動ディスプレイは、例えば電力消費量が問題である腕時計、計算機及び携帯電話のようなバッテリー駆動装置で使用される。
能動ディスプレイでは、イメージは異なる強度のマトリックス発光の各ドットによって形成される。マトリックスの各ドットは、薄膜技術又はドットの変化をスピードアップする他の発光素子(プラズマソリューションなど)によって作られるトランジスターによってオン又はオフできる発光ダイオードからなる。この種のディスプレイはより多くのエネルギー源を必要するが、イメージのコントラストはより良く、受動ディスプレイよりも広いイメージ視野角を有する。能動ディスプレイは、例えば電力消費量が問題となることがそれほど多くないより大きな携帯用及び固定された主駆動装置で使用される。能動ディスプレイの主な欠点は、光強度が極めて低いことであり、イメージは強い外部光(例えば、直接の太陽光)の環境でそれほど容易に認識可能ではなく、またその製造コスト及びエネルギー消費量は相対的に高く、その将来性を制限している。
また、電磁石(プレート(一面に着色光及び他の面に暗い光)はその一面又は他の面を観察者に向ける)に供給される電気パルスの分極に頼るいわゆる電磁情報テーブル(electromagnetic info table)(スコアボード)も一般に認められている。コイルを使用するため、ドットを非常に小さくすることは不可能であり、装置の機械的非作動率(inertness)は非常に高い。このことは、この種のディスプレイの実行領域を大きく制限する。
同様のディスプレイから分かるいくつかの異なる特許が存在する。大きな数表(スコアーボード)を作製するために使用される、米国特許第4288788号に記載されている静電気ディスプレイは一般に認められている。数字を作るために大きなストライプ用電気素子が使用される。これらの素子を使用して、8の字の表示パターンが構成できる。数字を可視化するために、いくつかの素子が制御電圧を用いて充電され、必要なストライプが光の面又は暗い面を観察者に向ける。米国特許第4163162号では、電磁石が静電気アクチュエーターに置き換えられた数表(スコアボード)及び方法が記載されている。これらの解決手段の主な欠点は、高電圧を必要とすることであり、その最小の物理的サイズはより小さい高解像度ディスプレイで使用することが不可能であることを意味している。
国際特許出願第03/034140号には、粒子の光の透過又は反射が適用される電場によって異なる単分子層から作られるディスプレイが記載されている。
本発明の目的に最も似た目的が、電気ペーパーディスプレイ(イメージがペーパー内に配置された小さなエレクトレット粒子を用いて形成される)を形成する米国特許第6054071号に記載されている。これらの粒子は、電場が適用された場合に分極する。電力を加えると、着色剤が特定の分極を有する粒子の極を覆い、イメージがペーパーに形成される。この解決手段の欠点は、イメージ構成プロセスにおいて、粒子が非常に複雑な解決手段を実現したペーパーディスプレイの内部で分極及び着色されることである。結果は本発明と似ているが、原理は異なっている。本発明は、比較される予め分極され、かつ、着色された粒子の観察者への配向を変えるものであるために、異なっている。
(発明の要約)
本発明は、エマルジョンに懸濁された、予め分極され、かつ、予め着色された微粒子を使用してその配向を変える制御電圧を適用することによってイメージを形成する能動素子の構成に関するものである。
本発明の目的は、高速反応時間及び高視度を持つ、高コントラスト及び低エネルギー消費量のマトリックスディスプレイ及び表面の構成を可能にする能動素子を作り出すことである。
本発明に記載された能動素子は、以下の利点を有するエレクトレットエマルジョンをベースとするディスプレイ及び表面の形成を可能にする:
−カラーディスプレイを形成するために精密で高価な光フィルターを使用する必要が無いため、技術的に簡便、高生産量及び低生産コスト;
−イメージの高コントラストレベル;
−低エネルギー消費量;
−制御電圧をオフにした後のイメージの高い保持力;
−強い外部光の条件下でのイメージの良い可視性;及び
−使用した物理現象のときの固有の安定性による長寿命。
上記特徴は、制御電圧をオン及びオフにした場合に色を変えることができる種々のディスプレイ及びインジケーター並びに表面及び表面コーティングのための本発明の使用を可能にする。
本発明により形成される能動素子は、予め分極され、かつ、予め着色された浮遊する微粒子であって、異なる色の極を持つ微粒子を含むエマルジョンをベースとする。ディスプレイドットの色はどの極が観察者に向くかによって変わる。前記粒子はエレクトレット材料から作られ、電場が制御電圧によって加えられたときにその配向を変えるように予め分極されている。制御電極間の電場の分極が変わると、粒子の配向も変わる。
本発明は、また一般に認められた方法によってカラーディスプレイを形成することができる(カラーイメージは異なる原色成分のイメージの光混合によって形成される)。
(図面の簡単な説明)
本発明は、添付の図面を参照して説明される。
本発明に基づく1つの実施態様を用いるマトリックスディスプレイにおける能動素子の側断面図である。 図1のマトリックスディスプレイの正面図である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、以下の実施態様を用いて説明される。本発明の実際の態様及び使用可能性はこれらの実施態様によって制限されない。実施態様1〜3は能動素子を形成する異なる方法を記載する。実施態様4は能動素子の使用法を説明する。
実施態様1.本発明に基づく能動素子の製造方法
本発明に基づく能動素子を形成するために、非重合エレクトレット材料(例えば、テフロン(登録商標))をフォトクロミック顔料(photochromal pigment)(例えば、UV照射で脱色/漂白される顔料)と混合する。得られる混合物を適した同一密度の非混合中性液体(例えば、フッ素炭素)中に乳化する。混合物を制御された圧力及び温度にさらし、これによりエレクトレット液体(環境ではない)中で粒子を重合する。次いで、得られる混合物を高温で高電場にさらし、その中(例えば、混合物が流れる細いパイプ中(エマルジョンの連続及び高容量生産を可能にする))で冷却し、それによって粒子は電荷を得る。
荷電した粒子を、次いで透明パイプ中、その1つの極の色を変化させる分極電場下で高UV照射にさらす。
この用途で、非常に低いエネルギー消費量のデバイス中での使用に適合させるエレクトレットエマルジョンの良い絶縁性能のために、イメージは制御電圧をオフにした後維持される。
エレクトレットエマルジョンの形成は連続生産プロセスであるべきである。
実施態様2.本発明に基づく能動素子の製造方法2
この実施態様において、液体モノマーの重合の代わりに、容易に溶融するエレクトレットを使用して(例えば、ワックス)能動素子を得る。使用したエレクトレットはキャリア液体(中性液体、例えばフッ素炭素)中で溶融した状態で乳化される。
形成したエマルジョンを高温で高電場にさらして冷却し(例えば、混合物が流れる細いパイプ中)、それによって粒子は電荷を得る。
荷電した粒子を、透明パイプ中、その1つの極の色を変化させる分極電場下で高UV照射にさらす。
実施態様3.本発明に基づく能動素子の製造方法3
この実施態様は、能動素子を得る別の方法として、異なる色を持つ両面を有するエレクトレット材料の2重層フィルムを形成する。このフィルムは、横方向の高い直流電場中で加熱され、前記フィルムの前記材料が表面を横切って安定した分極を得る温度で冷却される。得られるフィルムの1面は1つの極性を持ち、他の面は反対の極性を持つ。前記フィルムを非常に小さな断片にカットし、球状粒子を形成するために、前記断片をボールミルで磨き、又は静かに成形する(soft moulded)。前記断片は、必要な場合には、適した乳化剤を使用して同じ密度を有する液体環境に混合される。
本発明において前記方法に従って形成された能動素子はエレクトレットエマルジョンをベースとし、それはエマルジョンとして中性液体中に予め分極され、かつ、予め着色されたエレクトレット材料の微粒子を含み、使用した前記粒子の各極は異なる色を有する。
実施態様4.電子装置のマトリックスディスプレイ及び色を変えることができる表面及び表面コーティングにおける、本発明に基づいた能動素子の使用
本発明に基づく能動素子は、例えば電子装置(コンピューター、TV、携帯電話、インジケーターなど)並びに色を変えることができる表面及び表面コーティングで使用するマトリックスディスプレイを製造するために使用できる。上記エレクトレットエマルジョンをベースとし、中性液体中のエマルジョンとして予め分極されたエレクトレット材料の粒子を含み、粒子の両極が異なる色で着色されている能動素子を透明な外板(1)でできているディスプレイ又は表面コーティングの2つの層の間に配置し、それに透明制御電極(2)を配置する。それから短い距離(ディスプレイの大きさと比較して)で、内板(3)を配置し、それに他の制御電極(4)を配置する。制御電極(2及び4)の間のギャップに、同じ密度を持つ液体中に懸濁され、かつ、観察者に対するその配向を変えることができる固体エレクトレット粒子(5)を含むエレクトレットエマルジョンを満たす。粒子(5)を直流で予め分極させ、粒子の各極は異なる色を持つ。
イメージの形成及び表面コーティングの色の変化は、エレクトレット粒子のどの面が観察者に向くかによって異なり、制御電極間の電圧の極性によって制御される。イメージを形成するために、分極の変更により、粒子の1つの面又は他の面が外板(1)に向き、マトリックスの対応するドットを明るい又は暗い色にするように、又は着色した粒子を使用して1つの色又は他の色にするように、制御電極(2及び4)間の制御電圧を変える。カラーディスプレイは、異なる色粒子からできるストライプ(又はその他の形状)からなる。
本発明に基づく溶液中で使用される粒子(5)は非常に小さく(0.1〜100μm)、低い(100V未満)制御電圧を調整することによって非常にシャープなイメージを可視化できる。粒子(5)は同じ密度を持つ中性キャリア中に懸濁され、早く、正確な制御(回転)を可能にする。中性キャリアは制御電極又は粒子(5)で使用される材料と反応しない。中性キャリアは非常に良い絶縁体であり、制御電圧が切られた後も形成されたイメージを維持することができる(例えば、フッ素炭素を使用した場合、電荷は数週間維持される)。このため、ディスプレイのエネルギー消費量は非常に低く、エネルギーは制御電極によって形成されるコンデンサーの過充電についてのみ消費される。
本発明に基づく能動素子を用いて、電子装置の高解像度及び低電力消費量を有するマトリックスディスプレイを製造することが可能である。ディスプレイの分解能は1インチ当たり1000ドット以下とすることができ(場合によってはそれよりも高い)、能動素子を使用する目的に応じて変えることができる。より高い解像度を得るためには、より小さな粒子を使用すべきである。粒子(5)の最小値は使用した材料の特性によって決定され、ナノメートルの10分の1で測定できる。
能動素子の使用の目的に従って、及び可能な限り高いコントラストレベルを達成するために、いずれの場合にも、異なるフォトクロミック顔料を選択できる。白黒ディスプレイの製造のために黒及び白であってもよい。カラーディスプレイのために1つの原色で着色されても良い。又は、色を変える表面のために2つの異なる色で着色されても良い。2つの異なる漂白顔料を使用して異なる色で粒子の各極を着色することができる。
ディスプレイ又は表面コーティングにおいてマルチカラーイメージを得るために、主色を有する異なるストライプを使用する。ストライプを組合せることによって、要求された色を光学ブレンドに基づいて得ることができる。
本発明の主題は使用したエレクトレット材料を含む上記例によって限定されない。

Claims (3)

  1. エレクトレットの分散系をベースとする表示装置の製造方法であって、
    重合していないエレクトレット材料を、UV照射により脱色するフォトクロミック顔料と混合し、
    得られた混合物を、この混合物と混合可能ではなく、この混合物と同じ密度の電気的に中性である中性液体中に分散させ、
    重合していないエレクトレット材料とフォトクロミック顔料の混合物を溶融状態で重合させてエレクトレットを形成し、
    得られたエレクトレットの分散系を電場に曝し、次いで細いパイプの中で冷却することにより、エレクトレットを分極させ、
    透明なパイプ中で分極されたエレクトレットを含む分散系に電場をかけ、エレクトレットの配向を一定の配向にそろえるとともに、UV光を照射することにより、分極したエレクトレットの一方の極を脱色する、表示装置の製造方法。
  2. 中性液体がフッ化炭素である請求項1に記載の製造方法。
  3. エレクトレットが、固体重合フッ化炭素である請求項1に記載の製造方法。
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