JP5568346B2 - 真空断熱材 - Google Patents
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また、特許文献2の真空断熱材では、芯材をシリカ粉体と無機繊維とを有する成形体とし、芯材の厚み方向において、表面層の繊維の含有率を内部層よりも大きくすることで、粉体の飛散を抑制し、粉落ちや削れを抑制するようにしている。
一方、プレス圧を低くすると、断熱性能は確保できるものの、成形体が型崩れし易く、外袋に挿入して減圧すると、成形体の型崩れの影響が外袋の表面にしわなどの凹凸となって表れるという問題がある。
これにより、成形体の密度を高めることなく強固な成形体にでき、断熱性能を確保できるとともに、成形体の型崩れを防止して表面の平滑な真空断熱材を得ることができる。
本発明における真空断熱材は、無機粉末による芯材を外被材で覆って内部を減圧密封した真空断熱材であり、芯材1は、図1に示すように、内側に飛び出した繊維2aを有する不織布2の内袋3に無機粉末4を収納して圧縮成形した成形体で構成されている。
そして、不織布2の表面を引っかくようにする金属ブラシやローラーの表面状態や太さ、密度、処理時間、荷重により不織布2の表面から飛び出す繊維2a、例えば垂直方向に飛び出す繊維2aの平均本数をコントロールすることができる。
平均繊維本数が3本/ cm2未満であると繊維2aと無機粉末4の絡み合いの効果が小さく、十分な強度が得られ難い。不織布2から垂直方向に飛び出した繊維2aの1平方センチメートルあたりの平均繊維本数は、5本/ cm2以上とすることが好ましく、成形体の密度を抑えて必要な強度を確保でき、また、熱伝導率を小さくして断熱性能を確保できると同時に、成形体の型崩れや割れなどを防止して真空断熱材の表面の平滑性を確保することができる。
この内袋3に収納する無機粉末4の常温での含水率は3〜10wt%程度が好ましい。無機粉末4が粒子表面に水分を有することで、内袋3に収納した状態で、密度を低く抑えながら、型崩れの起こらない強固な成形品を作ることが出来るが、含水率が3%以下である場合、成形性が悪く、強固な成形品とするためには密度が高くなり、その結果、断熱性能が悪化する。一方、内袋3に収納する無機粉末4の常温での含水率が10%以上の場合には、プレス固化した後の乾燥工程時間が長くなるため好ましくない。
なお、真空断熱材としては、断熱性能を確保する上で、無機粉末4は乾燥状態とする必要がある。
これにより、成形体の密度を高めることなく強固な成形体にでき、断熱性能を確保できるとともに、成形体の型崩れを防止して表面の平滑な真空断熱材を得ることができる。
また、無機粉末の含有水分を利用した常温でのプレス固化で成形体を得ることができるため作業性が良く、経済的である。
ここでは、次のようにして真空断熱体の作製を行なった。
内袋とする不織布(ストラテックRW2040:出光ユニテック製)の片面を金属ブラシ(スチール製)で引っかき、繊維を毛羽立たせる加工を施した。
ここでは、金属ブラシのブラシ毛密度を50、75、100本/cm2と変えることで、不織布から飛び出した繊維の平均本数が3、5、10本/cm2で、長さ約5mmとなるよう調整した。
金属ブラシのブラシ毛密度が50本/cm2の場合、不織布繊維が3本/cm2
金属ブラシのブラシ毛密度が75本/cm2の場合、不織布繊維が5本/cm2
金属ブラシのブラシ毛密度が100本/cm2の場合、不織布繊維が10本/cm2であった。
この不織布から飛び出した繊維の平均本数については、上記処理を施した不織布を5cm2にカットし、電子顕微鏡により観察しその平均本数を求めた。
成形体を外被材としてのアルミ蒸着系複層フィルムの外袋に挿入し、乾燥の工程を経て、内部を減圧しながら開口部をシールすることで真空断熱材を作製した。
この真空断熱材のサイズは600×600mm、厚さは10mmとした。
参考例1では、内袋として不織布面の内面から飛び出した繊維の平均本数が1本/cm2のものを用い、粉末成形体のプレス固化密度を0.28g/cm3とした。
この真空断熱材では、その結果を、表1中に示すように、熱伝導率は、0.0052W/m・Kであり、表面平滑性は、5個中2個の真空断熱材で型崩れが見られたものの、概ね良好な結果となった。
実施例1では、内袋として不織布面の内面から飛び出した繊維の平均本数が3本/cm2のものを用い、粉末成形体のプレス固化密度を0.28g/cm3(参考例1と同様)とした。
この真空断熱材では、その結果を、表1中に示すように、熱伝導率は、0.0052W/m・Kであり、表面平滑性は、5個中1個の真空断熱材で型崩れが見られたものの、概ね良好な結果となった。
実施例2では、内袋として不織布面の内面から飛び出した繊維の平均本数が5本/cm2のものを用い、粉末成形体のプレス固化密度を0.21g/cm3とした。
この真空断熱材では、その結果を、表1中に示すように、熱伝導率は、0.0048W/m・Kであり、表面平滑性は、5個中1個の真空断熱材で型崩れが見られたものの、概ね良好な結果となった。
実施例3では、内袋として不織布面の内面から飛び出した繊維の平均本数が5本/cm2のもの(実施例2と同様)を用い、粉末成形体のプレス固化密度を0.24g/cm3とした。
この真空断熱材では、その結果を、表1中に示すように、熱伝導率は、0.0050W/m・Kであり、表面平滑性は、すべての真空断熱材で型崩れが見られず表面形状は平滑で良好な結果となった。
実施例4では、内袋として不織布面の内面から飛び出した繊維の平均本数が10本/cm2のものを用い、粉末成形体のプレス固化密度を0.28g/cm3(参考例1、実施例1と同様)とした。
この真空断熱材では、その結果を、表1中に示すように、熱伝導率は、0.0052W/m・Kであり、表面平滑性は、すべての真空断熱材で型崩れが見られず表面形状は平滑で良好な結果となった。
比較例1では、図2に示すように、内袋3として不織布2の内面から飛び出した繊維が全くないもの(平均本数が0本/cm2のもの)を用いた。また、粉末成形体を得るため、そのプレス固化密度を0.35g/cm3とした。
この真空断熱材では、その結果を、表1中に示すように、粉末成形体を得るためプレス固化密度を高めたことから熱伝導率は、0.0062W/m・Kと大きく、真空断熱材として必要な断熱性能を確保できなかった。
比較例2では、図2に示すように、内袋3として不織布2の内面から飛び出した繊維が全くないもの(平均本数が0本/cm2のもの)を用いた。また、粉末成形体のプレス固化密度を0.28g/cm3(参考例1、実施例1、4と同様)とし、比較例1より低くした。
この真空断熱材では、その結果を、表1中に示すように、粉末成形体を得るためプレス固化密度を低めたことから熱伝導率は、0.0052W/m・Kとなったものの、表面平滑性は、5個中4個の真空断熱材で型崩れが見られ、製品表面が凸凹形状になり、真空断熱材として必要な平滑性を確保できなかった。
2 不織布
2a 繊維
3 内袋
4 無機粉末
Claims (2)
- 無機粉末による芯材を外被材で覆って内部を減圧密封した真空断熱材であって、
前記芯材は、ひっかき加工を施して内側に飛び出した繊維を有する不織布の内袋に収納して圧縮成形した成形体で構成され、
前記内袋のひっかき加工を施して内側に飛び出した繊維は、長さが前記真空断熱材の厚さの1/2以下であり、かつ平均繊維本数が3本/cm 2 以上であることを特徴とする真空断熱材。 - 前記成形体を構成する無機粉末が、湿式シリカであることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
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