本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、本実施形態に係る産業用車両の概略構成図である。本実施形態に係る産業用車両であるフォークリフト1は、車両本体2と、積載部3と、制御部4とを含む。なお、図1に示すフォークリフト1は、カウンターバランスフォークリフトであるが、リーチフォークリフトなど他の種類の産業用車両でもよい。
図1に示すように、車両本体2は、車輪により走行可能に構成され、本実施形態では、2つの前輪21および2つの後輪22により走行可能に構成されている。車両本体2は、
走行駆動部5および制動部6を有している。
走行駆動部5は、車輪(本実施形態では前輪21)を回転可能に支持する車軸23を正逆回転させることで、車両本体2を前進走行または後進走行させるものである。この走行駆動部5は、電気モータまたはエンジンなどの駆動源を有している。走行駆動部5は、アクセルペダル51による駆動操作量に応じて、前輪21の回転速度、すなわち車両本体2の走行速度を加速させるように駆動源を駆動する。また、走行駆動部5は、走行方向切替部である走行切替レバー52による切替操作に応じて、車軸23の回転方向、すなわち車両本体2の前進または後進の走行方向を切り替えるように構成されている。また、走行駆動部5は、車軸23の回転速度、すなわち車両本体2の走行速度を検出する速度検出部53を有している。
制動部6は、車輪(本実施形態では前輪21)を制動するものである。制動部6は、ブレーキペダル61による制動操作量に応じて、前輪21の回転速度、すなわち車両本体2の走行速度を減速させるように制動する。
なお、図には明示しないが、車両本体2は、操舵ハンドルにより車輪(本実施形態では後輪22)を操舵することで、進行方向が変えられるように構成されている。
積載部3は、荷物100を積載するためのもので、車両本体2に対して昇降可能に設けられている。積載部3は、荷物100を積載するフォーク31を有し、このフォーク31がマスト32により昇降自在に支持されている。マスト32は、上下方向に延在され、その下端が車両本体2の前部に固定されている。
また、積載部3は、フォーク31をマスト32に沿って昇降させるリフトシリンダ33を有している。リフトシリンダ33は、油圧の給排によりロッド33aを移動させることができる。このため、積載部3は、リフトシリンダ33に対して作動油を給排させる荷役駆動部35を有している。荷役駆動部35は、例えば、エンジンまたは電気モータからなるポンプ駆動源により、ポンプを駆動してタンクに貯留されている作動油を加圧するものであり、バルブの切り替えにより、ポンプで加圧された作動油をリフトシリンダ33に対して供給または排出することで、リフトシリンダ33を作動させる。この荷役駆動部35は、車両本体2に設けられた荷役レバー36によって操作される。
また、リフトシリンダ33は、ロッド33aの先端部にガイドローラ34aが装着されている。ガイドローラ34aは、一端部が昇降自在なフォーク31に連結され、他端部が固定のマスト32に連結されたワイヤ34bの中間部を案内する。このため、積載部3は、荷役レバー36の操作に応じ、荷役駆動部35によりリフトシリンダ33に油圧を給排すると、ロッド33aが上下に伸縮移動し、ガイドローラ34aを介したワイヤ34bの移動に伴って、フォーク31を引き上げたり引き下ろしたりすることで、フォーク31が昇降される。このため、フォーク31に積載された荷物100が昇降される。
また、積載部3は、フォーク31に積載される荷物100の重量を検出する重量検出部37と、フォーク31における昇降高さを検出する高さ検出部38とを備えている。本実施形態において、重量検出部37は、リフトシリンダ33に供給される油圧により荷物100の重量を検出する。また、高さ検出部38は、リフトシリンダ33におけるロッド33aの伸縮長さによりフォーク31における昇降高さを検出する。
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、このCPUの他に、処理プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、記憶装置とを含むコンピュータシステムである。
この制御部4は、アクセルペダル51による駆動操作量の入力情報iAに応じた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。また、制御部4は、走行切替レバー52による切替操作の入力情報iBに応じた走行切替制御指令ibにより走行駆動部5を制御する。また、制御部4は、ブレーキペダル61による制動操作量の入力情報iCに応じた制動制御指令icにより制動部6を制御する。また、制御部4は、荷役レバー36による荷役操作量の入力情報iDに応じた荷役制御指令idにより荷役駆動部35を制御する。また、制御部4は、速度検出部53により検出される車両本体2の走行速度を速度情報iEとして入力する。また、制御部4は、重量検出部37により検出される荷物100の重量を重量情報iFとして入力する。また、制御部4は、高さ検出部38により検出されるフォーク31における昇降高さを昇降高さ情報iGとして入力する。
(実施形態1)
図2は、本実施形態に係る産業用車両の制御ブロック図であり、図3は、加速時の振動発生の説明図であり、図4は、加速時における通常操作量と補正操作量とを比較する説明図であり、図5は、通常操作時の車両本体の加速度と補正操作時の車両本体の加速度とを比較する説明図であり、図6は、荷物の振動減衰の説明図であり、図7は、本実施形態に係る産業用車両の制御ブロック図であり、図8は、制動時の振動発生の説明図であり、図9は、制動時における通常操作量と補正操作量とを比較する説明図であり、図10は、通常操作時の車両本体の加速度と補正操作時の車両本体の加速度とを比較する説明図であり、図11は、荷物の振動減衰の説明図である。
図2に示すように、制御部4は、アクセルペダル51による駆動操作量(a)の入力情報iAを入力し、この駆動操作量(a)が所定の閾値を超えたか否かを判断する駆動操作量判断部4aを有している。また、制御部4は、速度検出部53により検出される車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを入力し、この走行速度(v)が所定の速度以下であるか否かを判断する走行速度判断部4bを有している。また、制御部4は、入力した駆動操作量(a)の時間積分を行う積分器4cを有している。また、制御部4は、予め設定された操作パターン4dが記憶されている。操作パターン4dは、駆動操作量(a)に伴う積載部3の振動減衰に対応するもので、シミュレーションや実験によって得られる。
ここで、積載部3の振動は、図3(a)に示すように、例えば、車両本体2の前進走行での加速時において、積載部3に積載された荷物100は、慣性力によって後方に移動し、これに伴い積載部3が後方に倒れ込むように振れる。その後、図3(b)に示すように、車両本体2が等速になると、積載部3が前方に倒れ込むように揺れ戻しが発生し、この揺れが前後に往復することで振動が発生する。この振動は、低速走行時からの加速や、停止時からの加速において顕著に発生する。操作パターン4dは、車両本体2が等速になって積載部3が前方に倒れ込んで後方に戻る際に合わせて、加速を一旦小さくする態様で駆動操作量を抑えるように、駆動操作量(a)を補正することで積載部3(荷物100)の振動を減衰させるものである。
この制御部4は、駆動操作量(a)の入力情報iAを駆動操作量判断部4aに入力し、当該駆動操作量(a)が所定の閾値であって積載部3に振動が発生する速度になり得る所定の駆動操作量を超えた場合(a1)、駆動操作量(a)の入力情報iAを走行速度判断部4bに出力する。一方、制御部4は、駆動操作量判断部4aに入力した駆動操作量(a)が所定の閾値を超えていない場合(a2)、駆動操作量(a)に応じた通常操作量に基づいた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。
また、制御部4は、車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを走行速度判断部4bに入力し、当該走行速度(v)が所定の速度以下であって低速または停止である場合(v1)、駆動操作量(a)の入力情報iAを積分器4cに出力し、時間積分する。一方、制御部4は、走行速度判断部4bに入力した走行速度(v)が所定の速度以下でない場合(v2)、駆動操作量(a)に応じた通常操作量に基づいた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。
そして、制御部4は、積分器4cで時間積分した駆動操作量(a)に対応する駆動操作量の操作パターン4dに基づいて補正した駆動制御指令ia’により走行駆動部5を制御する。具体的には、図4に示すように、駆動操作量が通常操作量(破線で示す)の場合は、所定の速度とするために一定の操作量となるが、補正操作量(実線で示す)の場合は、一旦駆動操作量が抑えられる。このため、図5に示すように、通常操作量における車両本体2の加速度(破線で示す)では、一定の加速度になり、補正操作量における車両本体2の加速度(実線で示す)では、一旦加速度が低下する傾向になる。その一方で、図6に示すように、通常操作量における積載部3の加速度のように上下に変化して振動が発生するものが、補正操作量における積載部3の加速度のように上下の変化が抑えられ、すなわち加速時での積載部3の振動が減衰される。
また、図7に示すように、制御部4は、ブレーキペダル61による制動操作量(b)の入力情報iCを入力し、この制動操作量(b)が所定の閾値を超えたか否かを判断する制動操作量判断部4eを有している。また、制御部4は、速度検出部53により検出される車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを入力し、この走行速度(v)が所定の速度以下であるか否かを判断する走行速度判断部4bを有している。また、制御部4は、入力した制動操作量(b)の時間積分を行う積分器4fを有している。また、制御部4は、予め設定された操作パターン4gが記憶されている。操作パターン4gは、制動操作量(b)に伴う積載部3の振動減衰に対応するもので、シミュレーションや実験によって得られる。
ここで、積載部3の振動は、図8(a)に示すように、例えば、車両本体2の前進走行での制動時において、積載部3に積載された荷物100は、慣性力によって前方に移動し、これに伴い積載部3が前方に倒れ込むように振れる。その後、図8(b)に示すように、車両本体2が停止すると、積載部3が後方に倒れ込むように揺れ戻しが発生し、この揺れが前後に往復することで振動が発生する。この振動は、低速走行時からの制動において顕著に発生する。操作パターン4gは、車両本体2が停止して積載部3が後方に倒れ込んで前方に戻る際に合わせて、減速が一旦小さくする態様で制動操作量(b)を抑えるように、制動操作量(b)を補正することで積載部3(荷物100)の振動を減衰させるものである。
この制御部4は、制動操作量(b)の入力情報iCを制動操作量判断部4eに入力し、当該制動操作量(b)が所定の閾値であって積載部3に振動が発生する速度になり得る所定の制動操作量を超えた場合(b1)、制動操作量(b)の入力情報iCを走行速度判断部4bに出力する。一方、制御部4は、制動操作量判断部4eに入力した制動操作量(b)が所定の閾値を超えていない場合(b2)、制動操作量(b)に応じた通常操作量に基づいた制動制御指令icにより制動部6を制御する。
また、制御部4は、車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを走行速度判断部4bに入力し、当該走行速度(v)が所定の速度以下であって低速または停止である場合(v1)、制動操作量(b)の入力情報iCを積分器4fに出力し、時間積分する。一方、制御部4は、走行速度判断部4bに入力した走行速度(v)が所定の速度以下でない場合(v2)、制動操作量(b)に応じた通常操作量に基づいた制動制御指令icにより制動部6を制御する。
そして、制御部4は、積分器4fで時間積分した制動操作量(b)に対応する制動操作量の操作パターン4gに基づいて補正した制動制御指令ic’により制動部6を制御する。具体的には、図9に示すように、制動操作量が通常操作量(破線で示す)の場合は、所定の速度とするために一定の操作量となるが、補正操作量(実線で示す)の場合は、一旦駆動操作量が抑えられる。このため、図10に示すように、通常操作量における車両本体2の加速度(破線で示す)では、一定の加速度になり、補正操作量における車両本体2の加速度(実線で示す)では、一旦加速度が上昇する傾向になる。その一方で、図11に示すように、通常操作量における積載部3の加速度のように上下に変化して振動が発生するものが、補正操作量における積載部3の加速度のように上下の変化が抑えられ、すなわち制動時での積載部3の振動が減衰される。
このように、本実施形態の産業用車両としてのフォークリフト1は、車輪21,22により走行可能に構成された車両本体2と、駆動操作量(a)に応じた駆動制御指令iaにより車輪21を駆動する走行駆動部5と、制動操作量(b)に応じた制動制御指令icにより車輪21を制動する制動部6と、車両本体2に対して昇降可能に設けられており荷物100が積載される積載部3と、を備えるもので、駆動操作量(a)または制動操作量(b)が所定の閾値を超え、かつ車両本体2の走行速度(v)が所定の速度以下の場合、前記操作量(a,b)に伴う積載部3の振動減衰に対応するように予め設定された操作パターン4d,4gに基づいて、駆動制御指令iaまたは制動制御指令icを補正する制御部4を備える。
このフォークリフト1によれば、加速時または制動時において、それぞれの操作量に伴う積載部3の振動減衰に対応する操作パターン4d,4gを用いて駆動制御指令iaまたは制動制御指令icを補正することで、加減速時における積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。
(実施形態2)
図12および図13は、本実施形態に係る産業用車両の制御ブロック図であり、図14および図15は、本実施形態に係る産業用車両の他の制御ブロック図である。本実施形態の産業用車両は、上述した実施形態1に対し、制御部4の構成が異なる。したがって、本実施形態の説明において、上述した実施形態1と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、制御部4は、予め設定された操作パターン4hが記憶されている。操作パターン4hは、荷物100の重量(w)および積載部3の昇降高さ(h)に応じて駆動操作量(a)に伴う積載部3の振動減衰に対応するもので、シミュレーションや実験によって得られる。具体的に、操作パターン4hは、荷物100の重量(w)が増すほど慣性力が大きくなるため、これに合わせたものとなる。また、操作パターン4hは、積載部3の昇降高さ(h)が高くなるほど時間あたりの振動数が少なくなるため、これに合わせたものとなる。なお、図12に示す実施形態では、荷物100の重量(w)、および積載部3の昇降高さ(h)を数段階(3段階)に分けており、これに伴い操作パターン4hが3段階に分けられている。ここでの操作パターン4hは、3つの操作パターンが3段階の荷物100の重量(w)に対応している。そして、制御部4は、高さ検出部38により検出される昇降高さ情報iGを入力し、昇降高さ(h)がどの段階に対応するかを判断する昇降高さ判断部4iを有している。
この制御部4は、駆動操作量(a)の入力情報iAを駆動操作量判断部4aに入力し、当該駆動操作量(a)が所定の閾値であって積載部3に振動が発生する速度になり得る所定の駆動操作量を超えた場合(a1)、駆動操作量(a)の入力情報iAを走行速度判断部4bに出力する。一方、制御部4は、駆動操作量判断部4aに入力した駆動操作量(a)が所定の閾値を超えていない場合(a2)、駆動操作量(a)に応じた通常操作量に基づいた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。
また、制御部4は、車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを走行速度判断部4bに入力し、当該走行速度が所定の速度以下であって低速または停止である場合(v1)、駆動操作量(a)の入力情報iAを積分器4cに出力し、時間積分する。一方、制御部4は、走行速度判断部4bに入力した走行速度(v)が所定の速度以下でない場合(v2)、駆動操作量(a)に応じた通常操作量に基づいた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。
また、制御部4は、重量検出部37により検出される荷物100の重量(w)である重量情報iFを入力する。さらに、制御部4は、積分器4cで時間積分した駆動操作量(a)に対応する駆動操作量の各操作パターン4hに重量情報iFを付与する。そして、制御部4は、高さ検出部38により検出される積載部3の昇降高さ(h)である昇降高さ情報iGを昇降高さ判断部4iに入力し、対応する昇降高さ(h)の段階の操作パターン4hを選択し、この操作パターン4hに基づいて補正した駆動制御指令ia’により走行駆動部5を制御する。
また、図13に示すように、制御部4は、予め設定された操作パターン4jが記憶されている。操作パターン4jは、荷物100の重量(w)および積載部3の昇降高さ(h)に応じて制動操作量(b)に伴う積載部3の振動減衰に対応するもので、シミュレーションや実験によって得られる。具体的に、操作パターン4jは、荷物100の重量(w)が増すほど慣性力が大きくなるため、これに合わせたものとなる。また、操作パターン4jは、積載部3の昇降高さ(h)が高くなるほど時間あたりの振動数が少なくなるため、これに合わせたものとなる。なお、図13に示す実施形態では、荷物100の重量(w)、および積載部3の昇降高さ(h)を数段階(3段階)に分けており、これに伴い操作パターン4jが3段階に分けられている。ここでの操作パターン4jは、3つの操作パターンが3段階の荷物100の重量(w)に対応している。そして、制御部4は、高さ検出部38により検出される昇降高さ情報iGを入力し、昇降高さ(h)がどの段階に対応するかを判断する昇降高さ判断部4iを有している。
この制御部4は、制動操作量(b)の入力情報iCを制動操作量判断部4eに入力し、当該制動操作量(b)が所定の閾値であって積載部3に振動が発生する速度になり得る所定の制動操作量を超えた場合(b1)、制動操作量(b)の入力情報iCを走行速度判断部4bに出力する。一方、制御部4は、制動操作量判断部4eに入力した制動操作量(b)が所定の閾値を超えていない場合(b2)、制動操作量(b)に応じた通常操作量に基づいた制動制御指令icにより制動部6を制御する。
また、制御部4は、車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを走行速度判断部4bに入力し、当該走行速度(v)が所定の速度以下であって低速または停止である場合(v1)、制動操作量(b)の入力情報iCを積分器4fに出力し、時間積分する。一方、制御部4は、走行速度判断部4bに入力した走行速度(v)が所定の速度以下でない場合(v2)、制動操作量(b)に応じた通常操作量に基づいた制動制御指令icにより制動部6を制御する。
また、制御部4は、重量検出部37により検出される重量情報iFを入力する。さらに、制御部4は、積分器4cで時間積分した制動操作量(b)に対応する制動操作量の各操作パターン4jに重量情報iFを付与する。そして、制御部4は、高さ検出部38により検出される昇降高さ情報iGを昇降高さ判断部4iに入力し、対応する昇降高さ(h)の段階の操作パターン4jを選択し、この操作パターン4jに基づいて補正した制動制御指令icにより制動部6を制御する。
このように、本実施形態の産業用車両としてのフォークリフト1は、積載部3に積載される荷物100の重量(w)を検出する重量検出部37と、積載部3における昇降高さ(h)を検出する高さ検出部38とを備え、操作パターン4h,4jが、荷物100の重量(w)および積載部3の昇降高さ(h)に応じて前記操作量に伴う積載部3の振動減衰に対応するように設定されており、制御部4は、重量検出部37および高さ検出部38からの入力に応じた操作パターン4h,4jに基づいて、駆動制御指令iaまたは制動制御指令icを補正する。
このフォークリフト1によれば、加速時または制動時において、それぞれの操作量に伴う積載部3の振動減衰に対応する操作パターン4h,4jを用いて駆動制御指令または制動制御指令を補正することで、加減速時における積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。しかも、このフォークリフト1によれば、荷物100の重量(w)や、積載部3の昇降高さ(h)が変わっても、これに対応して正確に積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。
ところで、上述した本実施形態では、荷物100の重量(w)、および積載部3の昇降高さ(h)を数段階(3段階)に分けており、これに伴い操作パターン4h,4jが3段階に分けられているが、荷物100の重量(w)、および積載部3の昇降高さ(h)をリニアに設定してもよい。具体的には、図14に示すように、制御部4は、リニアな駆動操作量(a)に伴う荷物100の重量(w)および積載部3の昇降高さ(h)の変化にリニアに対応する操作パターン4h’が予め設定されており、重量検出部37および高さ検出部38からの入力に応じた操作パターン4h’に基づいて、駆動制御指令iaを補正する。また、図15に示すように、制御部4は、リニアな制動操作量(b)に伴う荷物100の重量(w)および積載部3の昇降高さ(h)の変化にリニアに対応する操作パターン4j’が予め設定されており、重量検出部37および高さ検出部38からの入力に応じた操作パターン4j’に基づいて、駆動制御指令制動制御指令icを補正する。なお、この場合、段階的に昇降高さ(h)を判断する昇降高さ判断部4iは不要となる。
このフォークリフト1によれば、フォークリフト1によれば、荷物100の重量(w)や、積載部3の昇降高さ(h)がリニアに変わっても、これに対応して正確に積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。
(実施形態3)
図16および図17は、本実施形態に係る産業用車両の制御ブロック図である。本実施形態の産業用車両は、上述した実施形態1に対し、制御部4の構成が異なる。したがって、本実施形態の説明において、上述した実施形態1と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図16に示すように、制御部4は、予め設定された操作パターン4mが記憶されている。操作パターン4mは、走行方向(F/R)に応じて駆動操作量(a)に伴う積載部3の振動減衰に対応するもので、シミュレーションや実験によって得られる。具体的に、操作パターン4mは、前進走行(F)の場合は、最初に積載部3(荷物100)が後方に振れるため、これに合わせたものとなる。また、操作パターン4mは、後進走行(R)の場合は、最初に積載部3(荷物100)が前方に振れるため、これに合わせたものとなる。そして、制御部4は、走行切替レバー52による切替操作の入力情報iBを入力し、走行方向(F/R)がどちらであるかを判断する走行方向判断部4nを有している。
この制御部4は、駆動操作量(a)の入力情報iAを駆動操作量判断部4aに入力し、当該駆動操作量(a)が所定の閾値であって積載部3に振動が発生する速度になり得る所定の駆動操作量を超えた場合(a1)、駆動操作量(a)の入力情報iAを走行速度判断部4bに出力する。一方、制御部4は、駆動操作量判断部4aに入力した駆動操作量(a)が所定の閾値を超えていない場合(a2)、駆動操作量(a)に応じた通常操作量に基づいた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。
また、制御部4は、車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを走行速度判断部4bに入力し、当該走行速度が所定の速度以下であって低速または停止である場合(v1)、駆動操作量(a)の入力情報iAを積分器4cに出力し、時間積分する。一方、制御部4は、走行速度判断部4bに入力した走行速度(v)が所定の速度以下でない場合(v2)、駆動操作量(a)に応じた通常操作量に基づいた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。
また、制御部4は、走行切替レバー52による切替操作の入力情報iBを走行方向判断部4nに入力し、対応する走行方向(F/R)の操作パターン4mを選択し、この操作パターン4mに基づいて補正した駆動制御指令ia’により走行駆動部5を制御する。
また、図17に示すように、制御部4は、予め設定された操作パターン4mが記憶されている。操作パターン4pは、走行方向(F/R)に応じて駆動操作量(b)に伴う積載部3の振動減衰に対応するもので、シミュレーションや実験によって得られる。具体的に、操作パターン4pは、前進走行(F)の場合は、最初に積載部3(荷物100)が前方に振れるため、これに合わせたものとなる。また、操作パターン4pは、後進走行(R)の場合は、最初に積載部3(荷物100)が後方に振れるため、これに合わせたものとなる。そして、制御部4は、走行切替レバー52による切替操作の入力情報iBを入力し、走行方向(F/R)がどちらであるかを判断する走行方向判断部4nを有している。
この制御部4は、制動操作量(b)の入力情報iCを制動操作量判断部4eに入力し、当該制動操作量(b)が所定の閾値であって積載部3に振動が発生する速度になり得る所定の制動操作量を超えた場合(b1)、制動操作量(b)の入力情報iCを走行速度判断部4bに出力する。一方、制御部4は、制動操作量判断部4eに入力した制動操作量(b)が所定の閾値を超えていない場合(b2)、制動操作量(b)に応じた通常操作量に基づいた制動制御指令icにより制動部6を制御する。
また、制御部4は、車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを走行速度判断部4bに入力し、当該走行速度(v)が所定の速度以下であって低速または停止である場合(v1)、制動操作量(b)の入力情報iCを積分器4fに出力し、時間積分する。一方、制御部4は、走行速度判断部4bに入力した走行速度(v)が所定の速度以下でない場合(v2)、制動操作量(b)に応じた通常操作量に基づいた制動制御指令icにより制動部6を制御する。
また、制御部4は、走行切替レバー52による切替操作の入力情報iBを走行方向判断部4nに入力し、対応する走行方向(F/R)の操作パターン4mを選択し、この操作パターン4mに基づいて補正した制動制御指令ic’により制動部6を制御する。
このように、本実施形態の産業用車両としてのフォークリフト1は、車両本体2の前進または後進を切り替える走行切替レバー(走行方向切替部)52を備え、操作パターン4m,4pが、走行方向(F/R)に応じて駆動操作量(a)または制動操作量(b)に伴う積載部3の振動減衰に対応するようにそれぞれ設定され、制御部4は、走行切替レバー52からの入力に応じた操作パターン4m,4pに基づいて、駆動制御指令iaまたは制動制御指令icを補正する。
このフォークリフト1によれば、加速時または制動時において、それぞれの操作量に伴う積載部3の振動減衰に対応する操作パターン4m,4pを用いて駆動制御指令または制動制御指令を補正することで、加減速時における積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。しかも、このフォークリフト1によれば、走行方向(F/R)が変わっても、これに対応して正確に積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。
なお、本実施形態のフォークリフト1は、実施形態1のみに限らず、実施形態2においても走行方向(F/R)に対応して駆動制御指令iaまたは制動制御指令icを補正してもよく、これにより、さらに荷物100の重量(w)や、積載部3の昇降高さ(h)が変わっても、これに対応して正確に積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。
(実施形態4)
図18および図19は、本実施形態に係る産業用車両の制御ブロック図であり、図20は、本実施形態に係る産業用車両の作用の説明図であり、図21および図22は、本実施形態に係る産業用車両の他の制御ブロック図である。本実施形態の産業用車両は、上述した実施形態1に対し、制御部4の構成が異なる。したがって、本実施形態の説明において、上述した実施形態1と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図18に示すように、制御部4は、予め設定された操作パターン4sが記憶されている。操作パターン4sは、駆動操作量(a)に伴う積載部3の振動減衰に対応するもので、その振動減衰量(d)が異なるように設定されている。なお、図18に示す実施形態では、振動減衰量(d)を大から小の数段階(5段階)に分けており、これに伴い操作パターン4sが5段階に分けられている。そして、制御部4は、振動減衰量(d)の異なる操作パターン4sを選択的に切り換える減衰量切替部4rを有している。この減衰量切替部4rは、車両本体2に切替スイッチとして設けられる。また、制御部4は、減衰量切替部4rによる切替操作の入力情報iHを入力し、どの段階に対応する操作パターン4sに切り替えられたかを判断する減衰量切替判断部4tを有している。
この制御部4は、駆動操作量(a)の入力情報iAを駆動操作量判断部4aに入力し、当該駆動操作量(a)が所定の閾値であって積載部3に振動が発生する速度になり得る所定の駆動操作量を超えた場合(a1)、駆動操作量(a)の入力情報iAを走行速度判断部4bに出力する。一方、制御部4は、駆動操作量判断部4aに入力した駆動操作量(a)が所定の閾値を超えていない場合(a2)、駆動操作量(a)に応じた通常操作量に基づいた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。
また、制御部4は、車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを走行速度判断部4bに入力し、当該走行速度が所定の速度以下であって低速または停止である場合(v1)、駆動操作量(a)の入力情報iAを積分器4cに出力し、時間積分する。一方、制御部4は、走行速度判断部4bに入力した走行速度(v)が所定の速度以下でない場合(v2)、駆動操作量(a)に応じた通常操作量に基づいた駆動制御指令iaにより走行駆動部5を制御する。
また、制御部4は、減衰量切替部4rによる切替操作の入力情報iHを減衰量切替判断部4tに入力し、対応する減衰量の操作パターン4sを選択し、この操作パターン4sに基づいて補正した駆動制御指令ia’により走行駆動部5を制御する。
また、図19に示すように、制御部4は、予め設定された操作パターン4uが記憶されている。操作パターン4uは、制動操作量(b)に伴う積載部3の振動減衰に対応するもので、その振動減衰量(d)が異なるように設定されている。なお、図19に示す実施形態では、振動減衰量(d)を大から小の数段階(5段階)に分けており、これに伴い操作パターン4uが5段階に分けられている。そして、制御部4は、振動減衰量(d)の異なる操作パターン4uを選択的に切り換える減衰量切替部4rを有している。この減衰量切替部4rは、車両本体2に切替スイッチとして設けられる。また、制御部4は、減衰量切替部4rによる切替操作の入力情報iHを入力し、どの段階に対応する操作パターン4sに切り替えられたかを判断する減衰量切替判断部4tを有している。
この制御部4は、制動操作量(b)の入力情報iCを制動操作量判断部4eに入力し、当該制動操作量(b)が所定の閾値であって積載部3に振動が発生する速度になり得る所定の制動操作量を超えた場合(b1)、制動操作量(b)の入力情報iCを走行速度判断部4bに出力する。一方、制御部4は、制動操作量判断部4eに入力した制動操作量(b)が所定の閾値を超えていない場合(b2)、制動操作量(b)に応じた通常操作量に基づいた制動制御指令icにより制動部6を制御する。
また、制御部4は、車両本体2の走行速度(v)である速度情報iEを走行速度判断部4bに入力し、当該走行速度(v)が所定の速度以下であって低速または停止である場合(v1)、制動操作量(b)の入力情報iCを積分器4fに出力し、時間積分する。一方、制御部4は、走行速度判断部4bに入力した走行速度(v)が所定の速度以下でない場合(v2)、制動操作量(b)に応じた通常操作量に基づいた制動制御指令icにより制動部6を制御する。
また、制御部4は、減衰量切替部4rによる切替操作の入力情報iHを減衰量切替判断部4tに入力し、対応する減衰量の操作パターン4sを選択し、この操作パターン4sに基づいて補正した制動制御指令ic’により制動部6を制御する。
このように、本実施形態の産業用車両としてのフォークリフト1は、操作パターン4s,4uが、振動減衰量(d)が異なるように設定され、異なる振動減衰量(d)に操作パターン4s,4uを切り替える減衰量切替部4rを備え、制御部4は、減衰量切替部4rからの入力に応じた操作パターン4s,4uに基づいて、駆動制御指令iaまたは制動制御指令icを補正する。
図5に示すように、加速時においては、補正操作量における車両本体2の加速度(実線で示す)は、振動減衰の際に一旦加速度が低下する傾向になる。また、図10に示すように、制動時においては、補正操作量における車両本体2の加速度(実線で示す)は、振動減衰の際に一旦加速度が上昇する傾向になる。これらは、車両本体2の振動としてあらわれるため、車両本体2を操作する操作者の乗り心地が低下する傾向となる。
そこで、本実施形態のフォークリフト1では、図20に示すように、減衰量切替部4rの操作により振動減衰量(d)が小さくなるように切り替えることで車両本体2の加速度(一点鎖線で示す)を低減した乗り心地優先の運転パターンを選択することが可能になる。一方、図20に示すように、減衰量切替部4rの操作により振動減衰量(d)が大きくなるように切り替えることで積載部3(荷物100)の加速度(実線で示す)を低減した荷物優先の運転パターンを選択することが可能になる。
ところで、上述した本実施形態では、操作パターン4s,4uが5段階に分けられているが、当該操作パターン4s,4uをリニアに振動減衰量(d)が異なるように設定し、減衰量切替部4rの操作による振動減衰量(d)をリニアに切り替える設定してもよい。具体的には、図21に示すように、制御部4は、振動減衰量(d)がリニアに異なる操作パターン4s’が予め設定されており、減衰量切替部4rの操作によるリニアな振動減衰量(d)の切り替えに応じた操作パターン4s’に基づいて、駆動制御指令iaを補正する。また、図22に示すように、制御部4は、振動減衰量(d)がリニアに異なる操作パターン4u’が予め設定されており、減衰量切替部4rの操作によるリニアな振動減衰量(d)の切り替えに応じた操作パターン4u’に基づいて、制動制御指令icを補正する。なお、この場合、どの段階に対応する操作パターン4sに切り替えられたかを判断する減衰量切替判断部4tは不要となる。
なお、本実施形態のフォークリフト1は、実施形態1のみに限らず、実施形態2においても振動減衰量(d)の切り替えに対応して駆動制御指令iaまたは制動制御指令icを補正してもよく、これにより、さらに荷物100の重量(w)や、積載部3の昇降高さ(h)が変わっても、これに対応して正確に積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。
また、本実施形態のフォークリフト1は、実施形態1のみに限らず、実施形態3においても振動減衰量(d)の切り替えに対応して駆動制御指令iaまたは制動制御指令icを補正してもよく、これにより、さらに走行方向(F/R)が変わっても、これに対応して正確に積載部3(荷物100)の揺れを低減することが可能になる。