JP3858858B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動時などに回生を行う際、車両の姿勢を制御して回生効率を向上させる車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、環境保全若しくは省資源エネルギー化などの観点から、エンジンとモータの2種類の駆動源を利用したハイブリットシステムを車両に搭載するケースが多くなってきている。ハイブリットシステムは、シリーズハイブリッド方式とパラレルハイブリッド方式とに大別される。前者は、エンジンから得られる出力をモータの充電(「回生」と呼ぶ。)に専ら利用し、モータの駆動力により車両を走行させる。後者は、モータ及びエンジンの双方を使用して車両を走行させると共に、制動時などに車両から得られる駆動力により回生を実行する。これにより、全加速、登板走行、減速などの車両の各走行状態に応じて、エンジン及びモータを効果的に使い分け、燃費向上、出力トルクの向上などを図ることとしている。
【0003】
上記のパラレルハイブリット方式を採用する車両に関して、エンジンを駆動源とするエンジン駆動系統と、モータを駆動源とするモータ駆動系統とを互いに独立して設け、車両の制動時にモータを発電して回生を行うパラレルハイブリット自動車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−18708号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示されるパラレルハイブリット自動車では、制動時などの車両の姿勢状態を考慮することなく、単に制動時などにモータにより回生を実行することとしている。ところが、車両が高速走行する場合、又は勾配のある坂道を走行する場合など、制動時などにおける車両の各走行状態に応じて、車両の姿勢は変化する。このため、制動時における車両の姿勢状態によっては、モータを発電するための車輪と路面とのグリップ状態が悪くなり、回生効率が低下するなどの問題が生じうる。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、制動時などに車両の姿勢を制御して、回生効率の向上を図ることが可能な車両の制御装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、車両の制御装置は、車両の前輪の駆動力により電力エネルギーを生成して回生動作を行うモータと、前記前輪と車体との間及び後輪と前記車体との間に設けられ、前記前輪と前記車体及び/又は前記後輪と前記車体との距離を調整する懸架手段と、を備え、前記懸架手段は、前記回生動作中には、前記車両の速度に応じて、前記前輪と前記車体との距離が、前記後輪と前記車体との距離より小さくなるように前記距離を調整することを特徴とする。
【0008】
上記の車両の制御装置によれば、モータは前輪の駆動力を利用して発電し、回生を行う。電子制御サスペンション装置などの懸架手段は、回生動作中には、前輪と車輪との距離、即ち前輪の車高が、後輪と車体との距離、即ち後輪の車高よりも小さくなるように制御する。これにより、回生動作中には、前輪側により大きな荷重がかかることになり、前輪を確実に路面にグリップさせることができる。よって、前輪の駆動力を効率よく回生動作に利用することができるようになり、回生量を向上させることが可能となる。
【0009】
上記の車両の制御装置の一態様では、前記懸架手段は、前記前輪と前記車体との距離を短くすることにより、及び/又は、前記後輪と前記車体との距離を長くすることにより、前記距離を調整することができる。この態様によれば、懸架手段は、前輪の車高を低くするか、又は後輪の車高を高くするか、もしくはその両方を行うことにより、前輪の車高を後輪の車高よりも小さくすることができる。
【0010】
上記の車両の制御装置の一態様では、前記懸架手段は、前記車両の速度が速いほど、前記前輪と前記車体との距離と前記後輪と前記車体との距離との差が小さくなるように前記距離を調整することができる。回生動作の効率を上げるという観点では車速の如何に拘わらず前輪への荷重を大きくすることが好ましいのであるが、高速走行時などにあまり前輪への荷重を大きくし過ぎると、走行が不安定となり危険を伴うことが考えられる。そこで、車両の速度が早いほど、懸架手段による調整量、即ち前輪への意図的な荷重を行う程度を小さくすることにより、走行の安全性を確保しつつ回生量の増大を図ることが可能となる。
【0011】
本発明の他の観点では、車両の制御装置は、車両の前輪の駆動力により電力エネルギーを生成して回生動作を行うモータと、前記前輪と車体との間に設けられ、走行中の前記車体の姿勢変化を減衰させる減衰量を調整する懸架手段と、を備え、前記懸架手段は、前記車両の速度に応じて、前記回生動作を実行しているときの前記減衰量が、前記回生動作を実行していないときの前記減衰量より大きくなるように前記減衰量を調整する。
【0012】
上記の車両の制御装置によれば、モータは前輪の駆動力を利用して発電し、回生を行う。電子制御サスペンション装置などの懸架手段は、車両の速度に応じて、前記回生動作を実行しているときの前記減衰量が、前記回生動作を実行していないときの前記減衰量より大きくなるように前記減衰量を調整する。よって、これにより、回生動作中には、前輪側により大きな荷重がかかることになり、前輪を確実に路面にグリップさせることができる。よって、前輪の駆動力を効率よく回生動作に利用することができるようになり、回生量を向上させることが可能となる。
【0013】
上記の車両の制御装置の一態様では、前記懸架手段は、前記車両の速度が速いほど、前記減衰量の調整量を小さくすることができる。回生動作の効率を上げるという観点では車速の如何に拘わらず前輪への荷重を大きくすることが好ましいのであるが、高速走行時などにあまり前輪への荷重を大きくし過ぎると、走行が不安定となり危険を伴うことが考えられる。そこで、車両の速度が早いほど、懸架手段による調整量、即ち前輪への意図的な荷重を行う程度を小さくすることにより、走行の安全性を確保しつつ回生量の増大を図ることが可能となる。
【0014】
上記の車両の制御装置の一態様は、前記車両が走行している路面の勾配を検出する路面勾配検出手段を備え、前記懸架手段は、前記路面勾配の上り勾配が大きくなるほど前記調整量を大きくすることができる。車両が上り勾配を走行している場合には、車両の荷重は自然に後輪側にかかりやすくなる。そこで、上り勾配の走行時には、その勾配が大きくなるほど、調整量を大きくして、前輪側に十分な荷重がかかるようにする。これにより、路面の傾斜に拘わらず、回生量を増大させることが可能となる。
【0015】
上記の車両の制御装置の一態様は、前記電力エネルギーを充電するバッテリーと、前記バッテリーの残容量を検出する残容量検出手段とを備え、前記懸架手段は、前記バッテリーの残容量が小さいほど前記調整量を大きくすることができる。バッテリーの残容量が少ない場合は、より効率的に回生を行うことが求められるので、懸架手段は前輪側への荷重の割合をより大きくする。これにより、バッテリーを速やかに充電することが可能となる。
【0016】
本発明の他の観点では、車両の制御装置は、少なくとも車両の制動時及び/又は減速時の状態を検出する車両状態検出手段と、前記車両状態検出手段の検出結果に基づいて、前記制動時及び/又は前記減速時における前記車両の速度を検出する速度センサと、前記車両状態検出手段の検出結果に基づいて、前記制動時及び/又は前記減速時に、車両の前輪の駆動力により電力エネルギーを生成して回生動作を行うモータと、前記前輪と前記車体との距離、及び、前記後輪と前記車体との距離を検出する車高センサと、前記前輪と前記車体との間及び前記後輪と前記車体との間に設けられ、前記前輪と前記車体及び/又は前記後輪と前記車体との距離を調整する懸架手段と、を備え、前記懸架手段は、前記車両の速度に応じて、前記車高センサにより検出された前記前輪と前記車体との距離が、前記後輪と前記車体との距離より小さくなるように前記距離を調整する。
【0017】
上記の車両の制御装置によれば、例えばアクセル開度センサやブレーキセンサなどの出力に基づいて、車両が減速中又は制動中であるか否かを判定する。そして、減速中又は制動中である場合にはモータによる回生動作を行うとともに、速度センサにより車両の速度を検出する。また、車高センサにより前輪及び後輪の車高を検出する。そして、車高制御機能を有する電子制御サスペンションなどの懸架手段は、車両の速度に応じて、前輪の車高が後輪の車高よりも小さくなるように制御する。これにより、回生動作中には、前輪側により大きな荷重がかかることになり、前輪を確実に路面にグリップさせることができる。よって、前輪の駆動力を効率よく回生動作に利用することができるようになり、回生量を向上させることが可能となる。
【0018】
本発明の他の観点では、車両の制御装置は、少なくとも車両の制動時及び/又は減速時の状態を検出する車両状態検出手段と、前記車両状態検出手段の検出結果に基づいて、前記制動時及び/又は前記減速時における前記車両の速度を検出する速度センサと、前記車両状態検出手段の検出結果に基づいて、前記制動時及び/又は前記減速時に、車両の前輪の駆動力により電力エネルギーを生成して回生動作を行うモータと、前記前輪と車体との間に設けられ、前記車両の走行中における前記車体の姿勢変化を減衰させる減衰量を調整する懸架手段と、を備え、前記懸架手段は、前記車両の速度に応じて、前記回生動作を実行しているときの前記減衰量が、前記回生動作を実行していないときの前記減衰量より大きくなるように前記減衰量を調整する。
【0019】
上記の車両の制御装置によれば、例えばアクセル開度センサやブレーキセンサなどの出力に基づいて、車両が減速中又は制動中であるか否かを判定する。そして、減速中又は制動中である場合にはモータによる回生動作を行うとともに、速度センサにより車両の速度を検出する。そして、減衰量制御機能を有する電子制御サスペンションなどの懸架手段は、車両の速度に応じて、前記回生動作を実行しているときの前記減衰量が、前記回生動作を実行していないときの前記減衰量より大きくなるように前記減衰量を調整する。これにより、回生動作中には、前輪側により大きな荷重がかかることになり、前輪を確実に路面にグリップさせることができる。よって、前輪の駆動力を効率よく回生動作に利用することができるようになり、回生量を向上させることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0021】
[車両の概略構成]
まず、本発明に係る制御装置を備える車両の概略構成を説明する。なお、以下に説明する車両100は、本発明に係る制御装置を4WD(四輪駆動)仕様のFR車両(エンジン前置き後輪駆動方式)に適用したものである。但し、本発明の適用はこれに限られるものではなく、エンジン前置き前輪駆動車において、前輪をエンジン及び電動機で駆動する車両や、エンジン前置き前輪駆動車において後輪側に電動機が配置され、この電動機で後輪を駆動する車両についても適用可能である。
【0022】
図1に、本発明に係る制御装置を備える車両100のシステム構成を示す。車両100は、図1に示すように、エンジン1と、発電機2と、ベルト3と、インバータ4と、高電圧バッテリー5と、前輪駆動部6と、自動変速機7と、油圧制御装置8と、プロペラシャフト9と、後輪駆動部10と、ECU15と、12Vバッテリー16と、DC/DCコンバータ17と、を備える。
【0023】
エンジン1は、燃焼室内の混合気を爆発させて動力を発生する内燃機関である。燃焼室内での混合気の燃焼によるピストンの往復運動は、コンロッド(図示略)を介してクランクシャフト(図示略)の回転運動に変換される。クランクシャフトは自動変速機7を介して後輪駆動部10に動力を伝達する。また、このような動力伝達系とは別に、クランクシャフトの一端はクランクシャフトプーリ(図示略)に接続される。このクランクシャフトプーリは、ベルト3により、発電機2に設けられたプーリとの間で動力の伝達が可能とされている。
【0024】
発電機2は、永久磁石型同期式モータなどから成り、エンジンルーム内に設けられる。発電機2は、エンジン1が発生する動力を利用して発電を行う。また、発電機2は、電源ケーブルを通じてインバータ4と接続される。このため、発電機2によって発生された電力は、電源ケーブルを通じてインバータ4へ供給される。
【0025】
インバータ4は、主として発電機2の発電電力量および前輪の左右に各々設けられた電動機6a、6bに対し、発電量および駆動力を制御する装置であり、電源ケーブルを通じて発電機2、高電圧バッテリー5、電動機6a、6b、12Vバッテリー16及びDC/DCコンバータ17と夫々接続される。インバータ4は、発電機2からの電力供給を受けると、ECU15からの指令信号に基づき、その電力を所定の電圧に変換する。そして、インバータ4は、前輪の左右に各々設けられた電動機6a、6bに対して電力供給(破線矢印30参照)を行うと共に、それらの駆動、発電、あるいは停止の制御を行う。よって、インバータ4は、ECU15からの指令信号に基づいて電動機6a、6bを制御することにより、前輪駆動部6に対する動力の伝達、或いは遮断を行うことができる。
【0026】
また、インバータ4及びDC/DCコンバータ17は、発電機2によって発生された電力の供給を受けると、その電力を高電圧バッテリー5及び12Vバッテリー16の充電を行うのに適した直流電圧に変換し、高電圧バッテリー5及び12Vバッテリー16の充電を行うことができる。これを「回生」と呼ぶ。DC/DCコンバータ17は、インバータ4と12Vバッテリー16との間に配置され、インバータ4からの電圧を変圧して12Vバッテリー16を充電する。
【0027】
また、インバータ4は、電動機6a、6bを制御することにより、左右の前輪を夫々独立して駆動させることが可能である。例えば、インバータ4は、車両100の走行状態に応じて電動機6a、6bを制御することにより、左右の前輪のうち片輪のみに回転駆動力を付与し、他方の片輪に対しては回転駆動力を阻止(回生)することが可能である。これにより、車両100は、走行状態(例えば、凹凸路面走行、登坂走行、低μ走行など)に応じた動力性能を得ることが可能である。
【0028】
高電圧バッテリー5は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウム電池などの2次電池とすることができる。高電圧バッテリー5は電動機6a、6bなどに対して電力供給を行い、それらを動作させる。また、高電圧バッテリー5は、例えば、2つの電動機6a、6bなどを円滑に動作させるため、高電圧(42V以上)を定格電圧とすることができる。一方、12Vバッテリー16は、エアコンなどの補機類を作動させたり、電動機6a、6bなどに対して電力供給を行い、それを動作させることが可能である。
【0029】
前輪駆動部6は、図示しない減速機、ドライブシャフト、左右の前輪、及び電動機6a、6bなどから構成される。減速機は、主として左右の前輪の回転速度を調整する機構である。具体的には、車両100が直線道路を走行するときは、減速機は、左右の前輪を同一の速度で回転させる。一方、車両100が旋回運動を行うときは左右の前輪の回転速度差が生じるため、減速機はそれらの回転速度を調整して、スムーズな旋回運動を可能とする。
【0030】
電動機6a、6bは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する永久磁石型同期式モータなどが好適であり、左右の前輪を駆動させる位置に夫々設けられる。電動機6a、6bは、回転シャフトとなるロータ(図示略)と、磁界の変化によってロータを回転させるステータ(図示略)とを有する。電動機6a、6bは、インバータ4からの電力供給(破線矢印30)を受けると、その内部においてステータの磁界が刻々と変化し、これによりロータが回転する。
【0031】
また、電動機6a、6bの各ロータの一端に設けられたピニオンギアは、減速機の外歯歯車と噛合っている。そのため、電動機6a、6bが回転駆動することにより、ドライブシャフトを左右独立に回転させ、左右の前輪を夫々駆動させることができる。また、減速機は、電磁クラッチを有している。このため、電動機6a、6bからの回転駆動力が不要である場合には、ECU15は電磁クラッチを作動させて電動機6a、6bから前輪駆動部6への動力伝達を遮断することができる。よって、車両100の状態に応じて、適宜電動機6a、6bによるアシストを行うことができる。
【0032】
自動変速機7は、トルクコンバータ72と、複数個のプラネタリーギヤを有する多段変速機構71と、から構成され、これらトルクコンバータ72、及び多段変速機構71が並べて配置される。
【0033】
トルクコンバータ72は、エンジン1と多段変速機構71との間に設けられる。トルクコンバータ72は、作動流体を利用することにより、エンジン1から出力される回転トルクを断続的に多段変速機構71へ伝達するクラッチとしての機能と、その回転トルクを増大させて多段変速機構71へ伝達する機能とを有する。
【0034】
ロックアップクラッチ72aは、トルクコンバータ72の内部に設けられる。ロックアップクラッチ72aは、ECU15からの指令信号に基づき、油圧制御装置8によって、ポンプ羽根車側と多段変速機構71の入力軸との機械的な係合又は解放を行うクラッチである。よって、ロックアップクラッチ72aの係合、つまりポンプ羽根車と多段変速機構71の入力軸との機械的な係合を行うことにより、エンジン1から得られる回転トルクをそのまま多段変速機構71の入力軸に伝達することができる。
【0035】
多段変速機構71は、トルクコンバータ72とプロペラシャフト9との間に設けられ、前進5段(第1速〜第5速)、後進1段の各変速段に対応する複数のギア(プラネタリーギア)などを有する。多段変速機構71は、ECU15からの指令信号に基づき、油圧制御装置8を作動させることにより、低速段から高速段への変速操作(シフトアップ)、或いは高速段から低速段への変速操作(シフトダウン)を実行する。
【0036】
油圧制御装置8は、多段変速機構71の近傍に設けられ、主としてソレノイドバルブなどから構成される。油圧制御装置8は、ECU15からの指令信号に基づいて、ソレノイドバルブなどを制御してトルクコンバータ72、及び多段変速機構71の制御を行う。油圧制御装置8がトルクコンバータ72の制御を行う場合、例えば、ECU15からの指令信号に基づき、油圧により作動するソレノイドバルブなどを制御してロックアップクラッチ72aの係合又は解放を行う。また、油圧制御装置8が多段変速機構71の制御を行う場合、例えば、例えば、ECU15からの指令信号に基づき、油圧により作動するソレノイドバルブなどを制御して、シフトチェンジなどの変速操作を行う。
【0037】
プロペラシャフト9は、自動変速機7と、後輪駆動部10及びディファレンシャルとの間に設けられ、エンジン1などから得られる駆動トルクを後輪駆動部10へ伝達する推進軸である。
【0038】
後輪駆動部10は、図示しない減速機、ドライブシャフト、左右の後輪、上記したサスペンション装置11などから構成される。減速機は、車両100の走行状態に応じて、左右の後輪の回転速度を調整する機構である。
【0039】
ECU15(Engine Control Unit)は、入出力装置、記憶装置、中央処理演算装置などのマイクロコンピュータを中心として構成され、車両100のシステムを統括制御する。ECU15は、車両100に搭載された各センサなどからの入力情報などに基づいて、車両100を最適な状態に制御する。具体的には、ECU15は、エンジン回転数センサ20からクランクシャフトの回転数(エンジン回転数)の検出信号を、車速センサ21から車速の検出信号を、アクセル開度センサ22からアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)の検出信号を、加速度センサ23から車体100aの上下方向の加速度(上下加速度)の検出信号を、車高センサ50から車高の検出信号を、ブレーキセンサ26からブレーキペダルの踏み込み量の検出信号をそれぞれ受け取るとともに、その他各センサ27からの出力信号を受け取り、所定の制御を実行する。
【0040】
[サスペンション装置]
次に、サスペンション装置について説明する。サスペンション装置は、車両100の車高及び減衰量を夫々調整する装置である。図2は、車高及び減衰量の調整機構を備えるサスペンション装置200の左前輪系の概略構成を示す図である。サスペンション装置200は、流体圧シリンダを用いた流体圧式サスペンションとして前後左右輪が独立に同一の構成として構成されている。なお、図2には左前輪系のみを示し、他の系(右前輪系および左右後輪系)の図示は省略した。以下、サスペンション装置200について左前輪系に基づき説明するが、他の系についても同様であることは勿論である。
【0041】
図示のように、サスペンション装置200は、車体を懸架するアクチュエータ214と、減衰量を変化させる減衰量可変用可変絞り220と、所定の気体(例えば窒素など)を密封し作動流体(実施例ではオイル)の流出入により作動流体の圧力を吸収するガスバネ224と、制御用バルブ226と、アクチュエータ214に作動流体を給排する作動流体給排部230と、車両100の車高を検出する車高センサ50と、を備える。サスペンション装置200の各構成要素は、図1にも示したECU15により制御される。
【0042】
アクチュエータ214は、車輪212を支持するサスペンション部材213と車体との間、即ち車輪と車体との間に介装された一種のシリンダピストン装置であり、コイルスプリング215とシリンダピストン216とから構成されている。アクチュエータ214は、シリンダピストン216のシリンダに作動流体を給排することにより、そのピストンを上下させて、車輪と車体との間隔、即ち車高を変更する。アクチュエータ214のシリンダピストン216は、管路228により減衰量可変用可変絞り220およびガスバネ224と連絡している。
【0043】
管路228に取り付けられた減衰量可変用可変絞り220は、管路228の作動流体の流路の有効開口面積を変化させるものであり、減衰量可変用可変絞り220に並設されたモータ222により動作する。減衰量可変用可変絞り220は、作動流体の流路の有効開口面積を変化させることにより、車体の上下動に伴う管路228内の作動流体の流動に対する減衰量を変更することができる。減衰量可変用可変絞り220を動作させるモータ222は、ECU15からの制御信号Sig1により駆動制御される。したがって、サスペンション装置200は、制御用バルブ226が閉ポジションの状態では、アクチュエータ214と減衰量可変用可変絞り220とガスバネ224とにより、一般的な減衰量可変機構付のサスペンション装置として機能する。
【0044】
管路228に設けられた制御用バルブ226は、管路228内の作動流体の自由な流動を許す開ポジションと、作動流体給排部230側からアクチュエータ214側への作動流体の流動は阻止するがアクチュエータ214側から作動流体給排部230側への所定圧力以上の作動流体の流動は許すポジションとからなる2ポジションのソレノイドバルブとして構成されており、作動流体給排部230とアクチュエータ214との作動流体の流動を規制する。制御用バルブ226の2ポジションのうち、閉ポジションの所定圧力は車両100の通常の走行では生じない程度の圧力に設定されている。したがって、制御用バルブ226は車両100の通常の走行では閉ポジションとなる。なお、制御用バルブ226は、ECU15からの制御信号Sig2により制御される。
【0045】
作動流体給排部230は、管路242に設けられたポンプ232と、管路242から分岐した管路244に設けられた減圧バルブ238と、管路242および管路244の端部に接続され作動流体を貯留するリザーバ240とを備える。作動流体給排部230は、管路242と管路228とにより制御用バルブ226を介してアクチュエータ214に接続されている。したがって、制御用バルブ226を開ポジションとした状態で、作動流体給排部230のポンプ232で作動流体をアクチュエータ214のシリンダピストン216へ圧送することによりシリンダピストン216を押し上げて車体を上昇させることができる。また、減圧バルブ238を開としてシリンダピストン216の作動流体をリザーバ240へ導出することにより車体を降下させることができる。
【0046】
ポンプ232は、小型で、作動流体を高圧で圧送することができるポンプ、例えばプランジャポンプとして構成されており、並設されているモータ234により制御される。管路242のポンプ232の吐出側には、作動流体の逆流を防止するためのチェックバルブ236が取り付けられている。減圧バルブ238は、管路244内の作動流体の自由な流動を許す開ポジションと、管路244内の作動流体の流動を阻止する閉ポジションとからなる2ポジションのソレノイドバルブとして構成されている。モータ234はECU15から与えられる制御信号Sig3により駆動制御され、減圧バルブ238はECU15から与えられる制御信号Sig4より駆動制御される。このように、ECU15からの制御信号Sig3及びSig4に基づいて、車両100の車高が制御される。
【0047】
車高センサ50は、車体とサスペンション部材213とに取り付けられ、車体に対するサスペンション部材213の相対的な位置を検出することにより、アクチュエータ214の伸縮の程度、即ち車高を検出する。車高センサ50が検出した値は検出信号Sig5としてECU15へ入力される。
【0048】
サスペンション装置200との関係では、ECU15は、モータ222、制御用バルブ226、モータ234及び減圧バルブ238へそれぞれ制御信号Sig1〜Sig4を供給してそれらの動作を制御する。
【0049】
次に、上記のサスペンション装置200による車高制御及び減衰量制御について説明する。
【0050】
まず、車高制御について説明する。車高制御は、車両100の車高を、予め決定された目標車高値(「Ht」とする。)に維持するための制御であり、前述のようにECU15が作動流体給排部230を制御することにより実行される。
【0051】
具体的には、まずECU15は車高センサ50からの検出信号Sig5を受信し、その時点における検出車高値(「Hd」とする。)を目標車高値Htと比較する。検出車高値Hdが目標車高値Htよりも小さい場合、車高を上昇させるため、ECU15は減圧バルブ238を閉ポジションとし、制御バルブ226を開ポジションとする。さらに、ECU15はモータ234を駆動してポンプ232を動作させる。これにより、作動流体がリサーバ240から管路242及び管路228を通ってアクチュエータ214のシリンダピストン216に送られ、車高が上昇する。
【0052】
一方、検出車高値Hdが目標車高値Htよりも大きい場合、車高を下降させるため、ECU15は制御用バルブ226を開ポジションとするとともに減圧バルブ238を開ポジションとする。これにより、シリンダピストン216内の作動流体がリザーバ240へ移動し、その結果、車高が下降する。こうして、車高制御が行われる。
【0053】
次に、減衰量制御について説明する。減衰量制御は、ECU15が各種センサ(図1に示すその他センサ27)からの検出信号に基づいて求めた車両100の状態に応じて、減衰量可変用可変絞り220の絞りの程度(開口面積)を制御するものである。ここで、車両100の状態には、加振状態と制振状態の2つの状態がある。加振状態は、アクチュエータ214が縮むと共に車体が上向きに動く状態とアクチュエータ214が伸びたままで車体が下向きに動き出す状態の2つの状態を含む。一方、制振状態は、車体の動きは上向きのままでアクチュエータ214が伸びようとする状態と車体の動きは下向きのままでアクチュエータ214が縮もうとする状態の2つを含む。減衰量制御は、車両100が加振状態のときなどに、サスペンションをソフト側にするために減衰量可変用可変絞り220を開いて減衰量を小さくし、制振状態のときには、サスペンションをハード側にするために減衰量可変用可変絞り220を絞って減衰量を大きくする。こうした減衰量制御により、路面の凹凸に対して車輪だけが上下し、車体は空間にアクチュエータ214を介して固定される状態に車両100の状態がより近づくようサスペンション装置200が制御される。よって、減衰量制御により、車輪の路面に対する荷重やグリップ力を調整することができる。
【0054】
[回生量の制御]
次に、本実施形態に係る回生量の制御方法について述べる。なお、以下は後輪駆動車についての説明である。まず、概要を説明すると、本発明の回生量の制御は制動時又は減速時における車両100の姿勢をサスペンション装置200によって制御することにより、前輪を確実に路面にグリップ(接触)させ、電動機6a、6bから得られる回生量を向上させる。このため、制動時又は減速時の車速Vに応じて、サスペンション装置200により前輪の重量(以下、「荷重」とも呼ぶ。)を制御し、前輪と路面とのグリップ状態を良好にする。
【0055】
前輪を路面に確実にグリップさせる具体的な方法としては、サスペンション装置200による前述の車高制御を利用する方法と、減衰量制御を利用する方法とがある。車高制御を利用する方法は、制動時又は減速時の車速Vに応じて、前輪側の車高が後輪側の車高より低くなるように制御する。一方、減衰量制御を利用する方法は、車速Vに応じて、前輪の減衰量を大きくすることでサスペンション装置200をハード側に設定し、前輪側の路面に対する荷重を大きくする。
【0056】
なお、「制動時」とは、運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態をいい、「減速時」とは、運転者がアクセルを戻した状態、つまりアクセルオフの状態(エンジンブレーキ状態)をいう。また、「荷重」とは、車両100の前後輪が夫々路面に対して及ぼす力をいう。
【0057】
次に、図3を参照して、車両100の走行状態、前輪荷重、回生量の関係について説明する。図3(a)は、前輪荷重と、車速Vと、回生量との関係を示すグラフである。また、図3(b)は、路面勾配と前輪荷重との関係を示すグラフである。
【0058】
図3(a)は、X軸、Y軸、Z軸からなる3次元グラフであり、X軸には前輪荷重が示され、Y軸には車速Vが示され、Z軸には回生量が示されている。また、図3(a)のグラフでは、それらの各軸に示される前輪荷重、車速V、回生量は、原点0から離れるにしたがい増大する。
【0059】
車速Vと回生量との関係については、一般的に車速Vが高速になればなる程、前輪の回転速度も高速になり、これに連動して電動機6a、6bの回転速度も高速になる。そのため、電動機6a、6bはより多くの電力を発電することができる。この電動機6a、6bにより発電された全ての電力はインバータ4を介して高電圧バッテリー5およびDC/DCコンバータ17を介して12Vバッテリー16に供給されるため、回生量が大きくなる。一方、前輪荷重と回生量との関係については、前輪荷重が大きくなればなる程、前輪の路面に対するグリップ状態は良好となり、前輪の回転を効率的に(低損失で)電動機6a、6bへ伝達することができるようになる。よって、電動機6a、6bはより多くの電力を発電することができ、回生量を大きくすることができる。
【0060】
図3(a)には、制動時又は減速時の車両100の各走行状態(符号P1〜P4)が一例として示されている。車両100が走行状態P1のときは、車両100は低速走行しているため車速Vが小さく、かつ、路面に対する前輪荷重も小さい。よって、電動機6a、6bから得られる回生量は小さい。車両100が走行状態P2のときは、車両100は走行状態P1と同様に低速走行しているため車速Vが小さいが、路面に対する前輪荷重は走行状態P1よりも大きい。よって、走行状態P1と比較して、前輪荷重が大きい分、電動機6a、6bから得られる回生量は大きい。
【0061】
また、車両100が走行状態P3のときは、車両100は高速走行しているため車速Vは大きいが、路面に対する前輪荷重は走行状態P1と同様に小さい。よって、走行状態P1と比較すると、車速Vが大きい分、電動機6a、6bから得られる回生量は大きい。また、車両100が走行状態P4のときは、車両100は高速走行しているため車速Vは大きく、かつ、前輪荷重も大きいため、回生量は最も大きくなる。
【0062】
このように、前輪荷重、車速V、回生量の関係については、前輪荷重が大きいほど、また、車速Vが大きいほど、回生量は大きい。
【0063】
次に、図3(b)のグラフについて説明する。図3(b)には、横軸に路面勾配(上り)、縦軸に前輪荷重が夫々示されている。また、図3(b)には、路面勾配(上り)と前輪荷重との関係を示す波形w1が一例として示されている。
【0064】
図3(b)に示す波形w1からは、路面勾配が大きくなればなる程、前輪荷重は小さくなることがわかる。これは、車両100の重量が後輪側へシフトするからである。したがって、路面勾配(上り)が大きくなることにより前輪荷重は小さくなり、前輪と路面とのグリップ力が低下して電動機6a、6bから得られる電力(回生量)も小さくなる。よって、路面勾配(上り)が大きいときは、サスペンション装置200を制御して路面に対する前輪荷重を大きくすることが好ましい。そうすることにより、路面勾配の大きさに応じて、前輪と路面とのグリップ状態が常に良好になるように制御することができ、吸収される回生量の増大を図ることができる。
【0065】
一方、路面勾配(下り)に関しては図示していないが、力学的な観点から路面勾配(下り)が大きな場合には前輪荷重はより大きくなるので、回生量は増加することになる。よって、基本的には、路面勾配(下り)が大きいときは、自然に前輪荷重が大きくなる傾向にあるので、前輪荷重を増加させるための特別な処理を行う必要はない。ただし、路面勾配(下り)の程度が小さい場合、上り勾配の時と同様にサスペンション装置200を制御して路面に対する前輪荷重を大きくし、回生量の増大を図ることとしても良い。
【0066】
以上のように、基本的には、回生時には前輪荷重が増大するようにサスペンション装置200による車高制御又は減衰量制御を実行することにより、回生量を増加させることができる。但し、車両100の走行の安全性を考慮すると、前輪荷重の制御量には限界がある。高速走行中にあまり前輪荷重の度合いを大きくしすぎると、車両100の荷重状態が不安定となりうる。特に制動又は減速時には車両100の重量が前輪側へ移行する傾向があるため、これに加えてさらに本発明による意図的な前輪荷重を行うと、車両100の重心位置が前方に移動し過ぎることが考えられる。よって、回生量を増大させるための制御は、あくまで車両100の走行の安定性を損なわない範囲内で行わなければならない。
【0067】
図4(a)に、車速Vと、サスペンション装置200による重量配分の制御量との関係の一例をグラフC1として示す。ここで、重量配分の制御量とは、前述の車高制御又は減衰量制御の制御量である。この例では、車速Vが増加するにつれて、重量配分の制御量、即ち前輪荷重の度合いを小さめにすることにより、走行時における不安定性を低下させる。また、車速Vが所定の速度Va(ある程度の高速に設定される)を超えた場合は、前輪荷重の度合いを急激に低下させている。これにより、高速走行時における車両100の走行安定性を確保している。
【0068】
なお、図4(a)に示すのは車速Vに応じて重量配分の制御量を制御する場合の制御特性の一例にすぎず、これとは異なる制御特性を用いて制御を行うことももちろん可能である。例えば、車速Vが所定速度Vaを超えた場合は重量配分の制御量を0とし、サスペンション装置200による意図的な前輪荷重を行わないこととしてもよい。また、車速Vと略反比例するように制御量を減少させることとしてもよいし、所定速度毎に制御量を段階的に減少させることとしてもよい。
【0069】
[回生量の制御例]
次に、具体的な回生量の制御処理例について、図4乃至図6を参照して説明する。
【0070】
図5は、制動時又は減速時における回生の際、車速Vに応じて前輪の車高をサスペンション装置200により制御して、回生量の向上を図る回生量制御処理を示す。なお、本例では車速Vに応じて、前輪の車高を図4(b)に例示する制御特性により3段階で調整する。その制御特性例を図4(b)に示しており、横軸は車速Vを示し、縦軸は前後輪の車高差を示している。具体的には、車速Vが所定値V1未満の場合は前輪車高が後輪車高よりFH1だけ低くなるようにし、車速Vが所定値V1以上V2未満の場合は前輪の車高が後輪の車高よりFH2だけ低くなるようにし、車速Vが所定値V2以上の場合は前輪の車高が後輪の車高よりFH3だけ低くなるようにする。なお、図4(b)から理解されるように、この制御特性では、前述のように車速Vが大きくなるほど前輪の車高の制御量を小さくして高速走行時の安定性を確保している。
【0071】
なお、以下の処理は、ECU15が各種センサからの出力信号に基づいてサスペンション装置200を制御することにより実行される。
【0072】
先ず、ECU15は走行状態にある車両100が減速又は制動を開始したか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、ECU15がアクセル開度センサ22の出力信号に基づいて減速の開始を検出し、ブレーキセンサ26の出力信号に基づいて車両100の制動開始を検出する。車両100の減速又は制動が開始すると(ステップS1;Yes)、ECU15は車速センサ21を通じて、車両100の車速Vを読み込む(ステップS2)。次に、ECU15は、車高センサ50を通じて、車両100の前輪及び後輪の車高を夫々読み込む(ステップS3)。
【0073】
次に、ECU15は、電動機6a、6bにより回生が開始されたか否か判定する(ステップS4)。電動機6a、6bにより回生が開始されるまでは(ステップS4;No)、車速V及び前後輪の車高は刻々と変化するため、それらのデータを常に最新データとすべく、ECU15はステップS2及びS3を繰り返す。電動機6a、6bにより回生が開始されると(ステップS4;Yes)、ECU15は、前輪の車高と、後輪の車高とを比較する(ステップS5)。
【0074】
後輪の車高が前輪の車高より高いときは(ステップS5;No)、前輪の路面に対する荷重は後輪の路面に対する荷重より大きくなる。このため、前輪と路面とのグリップ状態は良好であり回生量も大きくなるので、そのまま処理を終了する。一方、前輪の車高が後輪の車高より高い場合には(ステップS5;Yes)、処理はステップS6へ移行する。
【0075】
次に、ECU15は、図4(b)に示す制御特性に従って前輪の車高を制御する。具体的には、ECU15は、減速又は制動中の車速Vと所定値V1とを比較する(ステップS6)。車速Vが所定値V1より小さいときは(ステップS6;No)、ECU15は前輪の車高が後輪の車高よりFH1だけ低くなるようにサスペンション装置200を制御する(ステップS8)。これにより、前輪の路面に対する荷重は、後輪の路面に対する荷重に比べて大きくなる。よって、前輪と路面とのグリップ状態が良好になるため、回生量を大きくすることができる。一方、車速Vが所定値V1以上のときには(ステップS6;Yes)、処理はステップS7へ移行する。
【0076】
次に、ECU15は、車速Vと所定値V2とを比較する(ステップS7)。
車速Vが所定値V2より小さいときは、ECU15は前輪の車高が後輪の車高よりFH2だけ低くなるようにサスペンション装置200を制御する(ステップS9)。一方、車速Vが所定値V2以上のときには(ステップS7;Yes)ステップS10へ移行し、ECU15は前輪の車高が後輪の車高よりFH3だけ低くなるようにサスペンション装置200を制御する。こうして、前輪と路面とのグリップ状態が良好になり、回生量も大きくなる。
【0077】
なお、基本的にはステップS8乃至S10において、前輪の車高を後輪の車高より低くするため、サスペンション装置200を制御して前輪の車高を変化させる。但し、その代わりに、後輪の車高を変化させる、即ち高くするように制御することも可能である。また、前輪の車高と後輪の車高のそれぞれを変化させることとしてもよい。つまり、前輪の車高を低くすると同時に後輪の車高を高くすることにより、前輪に十分な荷重がなされるように制御してもよい。
【0078】
次に、サスペンション装置200により減衰量を制御することによる回生量制御処理について説明する。図6は、減衰量制御による回生量制御処理例のフローチャートである。
【0079】
図6に示す制御例においては、図4(c)に示す制御特性に従ってサスペンション装置200の減衰量が制御される。図4(c)において、横軸は車両100の速度Vを示し、縦軸は減衰量を示す。車速Vが所定値V3未満である場合には減衰量はATT1に設定され、車速Vが所定値V3以上V4未満である場合には減衰量はATT2に設定され、車速Vが所定値V4以上である場合には減衰量はATT3に設定される。なお、この制御特性においても、車速Vの増加に応じて減衰量を小さくすることとして、車両100の高速走行時の安全性を確保している。
【0080】
図6を参照すると、まず、ECU15は車両100が減速又は制動中であるか否かを判定し(ステップS11)、減速中又は制動中である場合には、車速Vを読み込む(ステップS12)。次に、回生が開始されたか否かを判定し(ステップS13)、回生が開始すると、車速Vが所定値V3以上であるか否かを判定する(ステップS14)。車速Vが所定値V3未満である場合は(ステップS14;No)、ECU15はサスペンション装置200の減衰量をATT1に設定し(ステップS16)、処理を終了する。
【0081】
一方、車速Vが所定値V3以上である場合は(ステップS14;Yes)、次にECU15は車速Vが所定値V4以上であるか否かを判定する(ステップS15)。車速Vが所定値V4未満である場合、ECU15はサスペンション装置200の減衰量をATT2に設定する(ステップS17)。一方、車速Vが所定値V4以上である場合、ECU15は減衰量をATT3に設定する(ステップS18)。そして、処理を終了する。
【0082】
以上の処理により、車両100の減速又は制動に伴う回生中には、サスペンション装置200による減衰量制御により、回生量の増大が図られる。また、制御される減衰量は車速Vに応じて変化するので、特に高速走行時などにおける安全性を確保することが可能となる。なお、上記の例では、前輪の減衰量のみを変化させているが、必要に応じて同時に後輪の減衰量を変化させることとしてもよい。
【0083】
[変形例]
以上説明した制御例では、回生量を増大させるために、サスペンション装置200による車高制御と減衰量制御のいずれか一方を行う場合を示したが、両制御を組み合わせて実行することも可能である。
【0084】
また、上記の制御に加えて、さらに高電圧バッテリー5の容量を考慮した制御を行うことも可能である。即ち、車両100の減速又は制動時に回生を行う際、高電圧バッテリー5の残容量を検出し、残容量が少ない場合には、前輪への荷重がより大きくなるように車高制御又は減衰量制御を行うことができる。これにより、高電圧バッテリー5を迅速に充電することができる。
【0085】
また、上記の実施例は、エンジン前置き後輪駆動車の前輪を電動機で駆動するタイプの車両について本発明を適用した場合を説明したが、これ以外にも、例えばエンジン前置き前輪駆動車において、前輪をエンジン及び電動機で駆動する車両にも適用可能である。この場合には、前輪の減衰量の制御及び高さの制御(即ち、前輪と車体との距離を後輪と車体との距離よりより小さくする制御)などは、上述の実施例と同様に行うことができる。
【0086】
さらには、本発明を、エンジン前置き前輪駆動車において後輪側に電動機が配置され、この電動機で後輪を駆動する車両について適用することも可能である。なお、この場合には、前輪と後輪の減衰力及び高さの制御を上述の実施例と逆にする必要がある。即ち、後輪のサスペンションによる減衰量については、サスペンション装置による後輪の減衰量が回生動作中以外の減衰量より大きくなるように減衰量を制御する。また、車両の高さについては、回生動作中には後輪と車体との距離が前輪と車体との距離よりも小さくなるように制御を行う。
【0087】
また、FF車(エンジン前置き前輪駆動車)の場合は、本発明の制御により、電動機6a、6bで得られる回生量に加えて、発電機2の回生量を増加させることも可能である。例えば、車両減速時にフューエルカット制御、ロックアップクラッチ制御を行い、電動機2をエンジンに連れ回して走行するような場合である。この場合も、前輪と路面とのグリップ状態が良好になり、電動機2の回生量を大きくすることができる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両の制御装置によれば、制動時及び/又は減速時に回生を行う際、その時点の車速に応じて、回生のための動力を生成する車輪(上記の例では前輪)が路面に対して確実にグリップするように車両の姿勢を制御する。より具体的には、サスペンション装置の車高制御により、前輪部と車体との間の距離が、後輪部と車体との間の距離より短くなるように車高を調整することができる。また、サスペンション装置の減衰量制御により、前輪への荷重が大きくなるように制御することができる。さらに、その制御量を車両の速度に応じて設定することができる。よって、制動時又は減速時の車両拳動を安定させつつ、路面に対する前輪部の荷重を大きくして、回生量の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回生量の制御を行う車両のシステム構成を示す。
【図2】前後輪の車高及び減衰量を制御するサスペンション装置のシステム構成を示す。
【図3】回生量、車速及び前輪荷重との関係、又は路面勾配と前輪荷重との関係を夫々示すグラフである。
【図4】車両の速度と、サスペンション装置による制御量との関係を示すグラフである。
【図5】サスペンション装置による車高制御を利用する回生量制御処理例のフローチャートを示す。
【図6】サスペンション装置による減衰量制御を利用する回生量制御処理例のフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 発電機
3 ベルト
4 インバータ
5 高電圧バッテリー
6 前輪駆動部
7 自動変速機
8 油圧制御装置
9 プロペラシャフト
10 後輪駆動部
15 ECU
16 12Vバッテリー
17 DC/DCコンバータ
100 車両
200 サスペンション装置

Claims (9)

  1. 車両の前輪の駆動力により電力エネルギーを生成して回生動作を行うモータと、
    前記前輪と車体との間及び後輪と前記車体との間に設けられ、前記前輪と前記車体及び/又は前記後輪と前記車体との距離を調整する懸架手段と、を備え、
    前記懸架手段は、前記回生動作中には、前記車両の速度に応じて、前記前輪と前記車体との距離が、前記後輪と前記車体との距離より小さくなるように前記距離を調整することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記懸架手段は、前記前輪と前記車体との距離を短くすることにより、及び/又は、前記後輪と前記車体との距離を長くすることにより、前記距離を調整することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記懸架手段は、前記車両の速度が速いほど、前記前輪と前記車体との距離と前記後輪と前記車体との距離との差が小さくなるように前記距離を調整することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  4. 車両の前輪の駆動力により電力エネルギーを生成して回生動作を行うモータと、
    前記前輪と車体との間に設けられ、走行中の前記車体の姿勢変化を減衰させる減衰量を調整する懸架手段と、を備え、
    前記懸架手段は、前記車両の速度に応じて、前記回生動作を実行しているときの前記減衰量が、前記回生動作を実行していないときの前記減衰量より大きくなるように前記減衰量を調整することを特徴とする車両の制御装置。
  5. 前記懸架手段は、前記車両の速度が速いほど、前記減衰量の調整量を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。
  6. 前記車両が走行している路面の勾配を検出する路面勾配検出手段を備え、前記懸架手段は、前記路面勾配の上り勾配が大きくなるほど前記調整量を大きくすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  7. 前記電力エネルギーを充電するバッテリーと、前記バッテリーの残容量を検出する残容量検出手段とを備え、前記懸架手段は、前記バッテリーの残容量が小さいほど前記調整量を大きくすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  8. 少なくとも車両の制動時及び/又は減速時の状態を検出する車両状態検出手段と、
    前記車両状態検出手段の検出結果に基づいて、前記制動時及び/又は前記減速時における前記車両の速度を検出する速度センサと、
    前記車両状態検出手段の検出結果に基づいて、前記制動時及び/又は前記減速時に、車両の前輪の駆動力により電力エネルギーを生成して回生動作を行うモータと、
    前記前輪と前記車体との距離、及び、前記後輪と前記車体との距離を検出する車高センサと、
    前記前輪と前記車体との間及び前記後輪と前記車体との間に設けられ、前記前輪と前記車体及び/又は前記後輪と前記車体との距離を調整する懸架手段と、を備え、
    前記懸架手段は、前記車両の速度に応じて、前記車高センサにより検出された前記前輪と前記車体との距離が、前記後輪と前記車体との距離より小さくなるように前記距離を調整することを特徴とする車両の制御装置。
  9. 少なくとも車両の制動時及び/又は減速時の状態を検出する車両状態検出手段と、
    前記車両状態検出手段の検出結果に基づいて、前記制動時及び/又は前記減速時における前記車両の速度を検出する速度センサと、
    前記車両状態検出手段の検出結果に基づいて、前記制動時及び/又は前記減速時に、車両の前輪の駆動力により電力エネルギーを生成して回生動作を行うモータと、
    前記前輪と車体との間に設けられ、前記車両の走行中における前記車体の姿勢変化を減衰させる減衰量を調整する懸架手段と、を備え、
    前記懸架手段は、前記車両の速度に応じて、前記回生動作を実行しているときの前記減衰量が、前記回生動作を実行していないときの前記減衰量より大きくなるように前記減衰量を調整することを特徴とする車両の制御装置。
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