JP4377898B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Description
そして、このようなハイブリッド車両の制御装置において、例えば、車速センサにより検出される車両の速度(車速)が車速の目標値であるセット車速に追従するようにして車両を走行駆動させる定速走行装置を備える制御装置が知られており、この定速走行装置は、検出された車速とセット車速との速度偏差が生じると、この速度偏差を打ち消すようにして内燃機関およびモータから出力されるトルクを増減させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなロックアップ手段を備えたハイブリッド車両の制御装置においては、例えば、アクセルペダル踏み込み量や車速等の車両状態量に対して、パラレル運転を継続する領域を拡大することによって、燃費効率を向上させることが望まれている。
請求項2に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、第2の伝達経路による走行状態に切り換えられた後も、第1の所定時間は、要求トルクが第1の伝達経路による走行状態時のロックアップ上限トルクに係る所定トルクの要求トルクに保持される。
請求項3に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、従来のように目標速度に達したときに、要求トルクが第1の伝達経路によって出力可能な値になっても、第2の伝達経路による走行状態から第1の伝達経路に走行状態に切り換わらない。
請求項4に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、要求トルクが十分安定した値になってから、第1の伝達経路を用いた走行へ切り換えることができる。
図1は本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の制御装置およびこれを適用したハイブリッド車両の構成を示し、モータおよび内燃機関(エンジン)の駆動力の固定ギアによる伝達経路の構成を示す図である。図2はハイブリッド車両の制御装置の機能ブロック図である。図3は本実施形態のハイブリッド車両における駆動力特性図である。図3において横軸は車速を示し、縦軸は駆動力および走行抵抗を示す。
本実施の形態のハイブリッド車両50は、内燃機関Eの駆動力を左右の駆動輪(前輪または後輪)DWに伝達して車両を走行させる第1の伝達経路と、駆動用モータGM2の駆動力を駆動輪DWに伝達して車両を走行させる第2の伝達経路とを備え、これらの第1の伝達経路と第2の伝達経路を択一的に選択または併用して走行するように構成されたものである。
先ず、第1の伝達経路を説明する。図1に示すように多気筒、例えば、6気筒からなる内燃機関Eのクランク軸ESは、フライホイルFWを介してセルモータを兼ねるジェネレータモータGM1のロータ軸PSの一端に直結され、ロータ軸PSの他端にはエンジン出力ギア22が設けられている。エンジン出力ギア22は、アイドル軸23aの一端に設けられたオーバドライブギア23に噛み合い、内燃機関EおよびジェネレータモータGM1の駆動力をアイドル軸23aに伝える。アイドル軸23aの他端には、アイドル軸23aとアイドル軸44aを接続、または切断するロックアップクラッチ(ロックアップ手段)21が設けられている。ロックアップクラッチ21に接続される被駆動側のアイドル軸44aの他端には終減速小歯車であるファイナルドライブギア24が配され、これに噛み合うように終減速大歯車であるファイナルドリブンギア25が設けられている。ファイナルドリブンギア25はディファレンシャルギアDEFと組み合わされており、アイドル軸44aに伝達された駆動力は、ファイナルドリブンギア25に入力された後に、ディファレンシャルギアDEFを介して左右のディファレンシャル軸から駆動輪DWに出力される。
なお、この第1の伝達経路はエンジン出力ギア22とオーバドライブギア23のギア比、およびファイナルドライブギア24とファイナルドリブンギア25のギア比の積で決まる固定の第1の減速比を有している。
また、ジェネレータモータGM1が内燃機関EをアシストするときのジェネレータモータGM1の駆動力も、前記第1の伝達経路で駆動輪DWに伝えられる。
第2の伝達経路は、モータギア26、アイドルギア27、このアイドルギア27と同軸にアイドル軸44aによって駆動されるファイナルドライブギア24、このファイナルドライブギア24に噛み合うファイナルドリブンギア25、およびこのファイナルドリブンギア25から入力され駆動輪DWを駆動するディファレンシャルギアDEFから構成されている。この第2の伝達経路により駆動用モータGM2の駆動力が駆動輪DWへ伝達される。
なお、この第2の伝達経路はモータギア26とアイドルギア27のギア比、およびファイナルドライブギア24とファイナルドリブンギア25のギア比の積で決まる固定の第2の減速比を有している。
エンジン出力ギア22、オーバドライブギア23、ファイナルドライブギア24、ファイナルドリブンギア25、モータギア26、アイドルギア27、およびこれらの各ギアの軸は、内燃機関E、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2による駆動輪DWの駆動に対する減速機RGを構成している。
なお、図3の走行抵抗特性曲線bは、駆動輪DWの転がり抵抗と、空気抵抗等車速に応じて増加する抵抗を加算したものである。
以下に、内燃機関E、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2を動作させる構成について説明する。
ジェネレータモータGM1は、例えば、3相のDCブラシレスモータ等からなり、PDU2Aに接続されている。PDU2Aは、例えば、半導体スイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路を具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータを備え、ジェネレータモータGM1と電力(ジェネレータモータGM1の力行、つまり駆動動作時に、ジェネレータモータGM1に供給される供給電力や、回生動作時にジェネレータモータGM1から出力される回生電力)の授受を行なう高圧系のバッテリ3、例えば、ニッケル−水素バッテリが接続されている。
そして、ジェネレータモータGM1の駆動および回生動作は、ハイブリッド車両の制御装置(以下、制御装置と称する)1からの制御指令を受けてPDU2Aにより行われる。すなわち、PDU2Aは、例えば、ジェネレータモータGM1の駆動時には、制御装置1から出力されるトルク指令にもとづき、バッテリ3から出力される直流電力を3相交流電力に変換してジェネレータモータGM1へ供給する。一方、ジェネレータモータGM1の回生動作時には、ジェネレータモータGM1から出力される3相交流電力を直流電力に変換してバッテリ3を充電する。
そして、駆動用モータGM2の駆動および回生動作は、制御装置1からの制御指令を受けてPDU2Bにより行われる。すなわち、PDU2Bは、例えば、駆動用モータGM2の駆動時には、制御装置1から出力されるトルク指令にもとづき、バッテリ3から出力される直流電力、またはジェネレータモータGM1が内燃機関Eにより駆動されて発電して、PDU2Aにおいて直流変換された電力を、3相交流電力に変換して駆動用モータGM2へ供給する。一方、駆動用モータGM2の回生動作時には、駆動用モータGM2から出力される3相交流電力を直流電力に変換してバッテリ3を充電する。
なお、駆動用モータGM2は、ジェネレータモータGM1よりも駆動力が大きく、内燃機関Eにより駆動されたジェネレータモータGM1が発電した電力で駆動輪DWを駆動するシリーズ運転モードのとき、図3に示す最大出力特性曲線cの駆動力特性を発揮するようになっている。
すなわち、前記ハイブリッドエアコンコンプレッサ6は、少なくとも内燃機関Eの駆動力または空調装置用モータの駆動力のいずれか一方の駆動力により、駆動負荷量、例えば、冷媒の吐出容量が可変制御される。
なお、ハイブリッドエアコンコンプレッサ6における「ハイブリッド」とは、内燃機関Eと空調装置用モータの何れでも駆動できることを意味している。
すなわち、内燃機関Eは、片側のバンクの3つの気筒が休止した状態の3気筒運転(休筒運転)と、両方のバンクの6気筒全部が駆動する6気筒運転(全筒運転)とが切り換えられることとなる。
そして、内燃機関Eは制振装置[図1中、ACM(Active Control Engine Mount)と表示]19を介して車体に搭載され、制振装置19は、内燃機関Eの運転状態つまり3気筒運転(休筒運転)と6気筒運転(全筒運転)との切換に伴う車体振動の発生を抑制するようになっている。この制振装置19は、制御装置1の制御による図示しない制振用モータの回転駆動により動作し、そのために制御装置1はPDU2Aを制御して、ジェネレータモータGM1に必要に応じてそのための電力の発電をさせる。
電子制御スロットル20は、例えば、運転者による図示しないアクセルペダルの操作量に係るアクセルペダル踏み込み量や、例えば、車速(車両の速度)VPやエンジン回転速度NE等の車両の運転状態や、例えば、内燃機関Eと、ジェネレータモータGM1と、駆動用モータGM2との間のトルク配分等にもとづいて制御装置1にて算出されるスロットル開度に応じて、図示しないETCSドライバを駆動し、スロットルバルブを直接的に制御する。
なお、電動オイルポンプ28は、図示しないがバッテリ3から電力供給され、制御装置1により駆動制御される。
例えば、図2に示すように、ハイブリッド・マネジメントECU36は、内燃機関Eへの燃料供給を制御するA/F(空燃比)制御部41と、点火タイミングを制御するIG(イグニッション)制御部42と、後記するトルク・パワー・マネジメント部43と、エネルギ・マネジメント部45と、ロックアップクラッチ21を制御するロックアップクラッチ油圧制御部(図2中、LC油圧制御部と表示)47とを備えて構成されている。
ハイブリッド・マネジメントECU36の前記した機能構成部は、例えば、ハイブリッド・マネジメントCPU(図2中、ハイブリッドMG−CPUと表示)46におけるプログラム処理によって行われる。
トルク・パワー・マネジメント部43において、ドライバ要求トルク算出部51は、例えば、アクセルペダル踏み込み量APと、エンジン回転速度NEと、車速VPと、「パーキング」、「ドライブ」、「バック」等のシフトポジションSHと、ブレーキペダルの操作状態BRK_SWと、ハイブリッド車両50の制動時に駆動輪DWがロックされることをブレーキデバイス29によって防止するアンチロックブレーキ動作の作動状態ABSとの各検出信号にもとづき、ハイブリッド車両50の運転者のアクセル操作に応じて運転者から要求されるトルク値であるドライバ要求トルクを算出し、後記する第1トルク選択部52へ出力する。
なお、以下で用いる内燃機関Eへの要求トルク、ジェネレータモータGM1への制限トルクおよび要求トルク、駆動用モータGM2への制限トルクおよび要求トルクなどは原則としてクランク軸のトルク(以下、クランク端トルクと称する)に換算した値として扱う。そのため、駆動用モータGM2のトルクは第1の伝達経路と第2の伝達経路の減速比の差を補正してクランク端トルクに換算して扱うものとする。
また、クルーズコントロール(C/C)制御部(クルーズコントロール手段)53は、例えば、車速センサS1にて検出される車速VPが、ハイブリッド車両50の走行速度の目標値であるセット車速(目標速度)VCとなるように内燃機関E、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2を制御する定速走行制御時や、先行車両に対して所定車間距離を維持した状態で追従する追従走行制御時等のように、予めハイブリッド車両50の運転者の入力操作に応じて設定された所定の走行条件を満たす走行制御時、つまりクルーズコントロールの制御時に目標とされるトルク値であるC/C要求トルクを算出し、後記する第1トルク選択部52へ出力する。
第1トルク選択部52は、ドライバ要求トルクまたはC/C要求トルクのいずれか大きい方のトルク値を選択し、後記する第2トルク選択部55へ出力する。これにより、例えば、クルーズコントロールの制御時であっても、ハイブリッド車両50の運転者によるアクセル操作に応じたドライバ要求トルクがC/C要求トルクを超える場合には、ドライバ要求トルクに応じたトルクが出力されるようになっている。
第2トルク選択部55は、第1トルク選択部52から入力されるトルク値、またはVSAECU31から入力されるハイブリッド車両50の挙動を安定化させるVSA要求トルクの、いずれか小さい方のトルク値を選択し、このトルク値を駆動輪DWの実質的な回転に対する目標のトルク値として設定し、第1加算部56へ出力する。
また、補機トルク−エンジンフリクション算出部[図2中、補記トルク(HAC)−ENGフリション算出部と表示]57は、例えば空調装置の突出圧(PD)にもとづき、補機駆動に要する補機トルクを算出すると共に、内燃機関Eの暖機運転完了後のエンジンフリクションの値を基準とした際の低温状態でのエンジンフリクションの増大分にもとづき、内燃機関Eのエンジンフリクションに係るトルク値を算出し、第1加算部56へ出力する。
第1加算部56は、駆動輪DWの実質的な回転に対する前記目標のトルク値と補機トルク−エンジンフリクション算出部57から入力されるトルク値とを加算して得た値を、パワープラント(つまり内燃機関E、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2)から出力されるパワープラントトルクに対する要求パワープラント(P/P)トルクとして設定し、トルク配分算出部58と、後記するモード切換制御部59のパラレル/シリーズ切換制御部59aと、に入力される。
なお、要求P/Pトルクは、前記したようにクランク端トルクに換算して扱われる。
モード切換制御部59は、前記したパラレル運転モード、シリーズ運転モードの切換制御を行なうパラレル/シリーズ切換制御部59aと、内燃機関Eの休筒運転と全筒運転との切換制御をする気筒休止制御部59bを備えている。
パラレル/シリーズ切換制御部59aでは、入力された前記要求P/Pトルクに対して、車速VPに応じた、内燃機関Eの出力可能なエンジントルク(出力可能なエンジントルクの上限値)と、ジェネレータモータGM1に対する第1のモータ制限トルクおよび駆動用モータGM2にたいする第2のモータ制限トルク(モータから出力可能なモータトルクの上限値)とを算出して、パラレル運転モードまたはシリーズ運転モードの選択をし、そのパラレル運転モードまたはシリーズ運転モードの選択結果、出力可能なエンジントルクおよび第1および第2のモータ制限トルクは気筒休止制御部59bおよびトルク配分算出部58に出力される。第1および第2のモータ制限トルクについては、モータ要求トルクの算出の説明のところに後記する。
また、パラレル/シリーズ切換制御部59aは、パラレル運転モードとシリーズ運転モードの切換制御において用いる、LC上限トルク(ヒスHi)、LC上限トルク(ヒスLow)を算出し、それらとパラレル運転モードまたはシリーズ運転モードの選択結果などにもとづきロックアップクラッチ油圧制御部47にロックアップクラッチ12の接続/切断の制御をさせる。LC上限トルク(ヒスHi)およびLC上限トルク(ヒスLow)の算出方法、ロックアップクラッチ12の接続/切断の制御の詳細については、図4から図6を参照しながら説明するパラレル運転モードとシリーズ運転モードの切換制御のところに後記する。
気筒休止制御部59bは、パラレル運転モードまたはシリーズ運転モードの選択結果、出力可能なエンジントルク、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2に対する第1、第2のモータ制限トルク、ならびに要求P/Pトルクに応じて休筒運転の実行有無を判定している。
トルク配分算出部58は、パラレル/シリーズ切換制御部59aおよび気筒休止制御部59bから出力される内燃機関E、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2に対する、所定運転状態を指定する運転モードと、それぞれのクランク端トルクに換算した後記する第1および第2のモータ制限トルク、後記する出力可能なエンジントルクならびに要求P/Pトルクにもとづき、内燃機関Eの休筒運転の実行有無に係る休筒判断と、内燃機関E、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2への各トルク指令のためのパワープラント(P/P)トルクの配分を設定する。
パラレル/シリーズ切換制御部59aは、パラレル運転モード時において、例えば、高圧電装系ECU35から出力されるバッテリ(BATT)保護制限電力またはエネルギ・マネジメント部45から出力される充放電制限電力量のいずれか小さい方にもとづいて、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2のそれぞれの出力可能なモータトルクを算出する。そして、算出された前記ジェネレータモータGM1の出力可能なモータトルクと高圧電装系ECU35から出力されるジェネレータモータ巻線保護制限トルク(図2中、GM1巻線保護制限トルクと表示)とのいずれか小さい方を第1のモータ制限トルクとし、算出された前記駆動用モータGM2の出力可能なモータトルクと高圧電装系ECU35から出力される駆動用モータ巻線保護制限トルク(図2中、GM2巻線保護制限トルクと表示)とのいずれか小さい方を第2のモータ制限トルクとして、トルク配分算出部58および気筒休止制御部59bへ出力する。
また、高圧電装系ECU35から出力されるバッテリ(BATT)保護制限電力は、例えば、バッテリ3および補助バッテリ4および他の高圧電装機器の温度状態に応じて設定されるバッテリ3の出力電力の制限値であり、ジェネレータモータ巻線保護制限トルクおよび駆動用モータ巻線保護トルクは、ジェネレータモータGM1、駆動用モータGM2の温度状態に応じて、それぞれに対して設定されるジェネレータモータGM1、駆動用モータGM2それぞれの出力トルクの制限値である。
パラレル/シリーズ切換制御部59aは、シリーズ運転モード時において、例えば、高圧電装系ECU35から出力されるジェネレータモータ巻線保護制限トルクと、駆動用モータ巻線保護制限トルクとを、それぞれ第1のモータの制限トルクおよび第2のモータの制限トルクとして設定し、トルク配分算出部58および気筒休止制御部59bへ出力する。
算出された駆動用モータ要求トルクまたは高圧電装系ECU35から出力される駆動用モータ巻線保護制限トルクのいずれか小さい方を第2のモータ要求トルクとする。
このジェネレータモータ要求トルク算出に当たっては、前記第2のモータ要求トルクにもとづいて、PDU2A、2Bにおける電力変換におけるロス分も加算して、発電機として機能するときのジェネレータモータ要求トルクを算出する。そして算出されたジェネレータモータ要求トルクまたは高圧電装系ECU35から出力されるジェネレータモータ巻線保護制限トルクのいずれか小さい方を第1のモータ要求トルクとする。
そして、算出された第1および第2のモータ要求トルクを気筒休止制御部59bとトルク配分算出部58に出力する。
トルク配分算出部58にて算出された内燃機関Eのトルク指令は減算部60に入力されており、減算部60は内燃機関Eのトルク指令から後記するフィードバック(以下、F/Bと称する)処理部67から入力されるトルク値を減算して得た値を後記する目標スロットル開度算出部(図2中、目標TH算出部と表示する)61へ入力する。目標スロットル開度算出部61は、入力されたトルク値にもとづいて、前記のETCSドライバ64の駆動に係るスロットル開度THに対する目標値を算出し、第3トルク選択部62へ出力する。
なお、アイドル制御部63から出力されるアイドル開度は、例えば、内燃機関Eのアイドル運転時において、エンジン回転速度NEが所定回転速度未満となることを防止するためのスロットル開度THに対する制限値である。
F/B処理部67は、トルク配分算出部58にて算出された内燃機関Eのトルク指令に対して、例えば、エアーフローメータ66の検出値にもとづくエンジントルクの算出誤差や、例えば、内燃機関Eの応答特性や経年劣化や内燃機関Eの量産時における性能ばらつき等をフィードバック処理によって補正するものであって、エンジントルク算出部65にて算出されたエンジントルクを減算部60へ入力する。
なお、ジェネレータモータGM1が発電機として作動している場合は、モータECU33は、ジェネレータモータ実トルクとして、負荷としての負のトルクを算出する。
また、モータECU33には、トルク・パワー・マネジメント部43のトルク配分算出部58にて算出されたジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2に対するそれぞれのトルク指令が高圧電装系ECU35を介して入力されており、モータECU33は、入力されたそれぞれのトルク指令にもとづき、実際にジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2から出力されるモータ実トルクを算出し、高圧電装系ECU35を介してトルク・パワー・マネジメント部43の第3加算部68へ入力する。
次に、前記したようにモード切換制御部59における、パラレル運転モードとシリーズ運転モードの切換、および気筒休止制御について説明する。ここで気筒休止制御とは、ハイブリッド車両50の一時停車中、発進時などの全筒休筒は含まず、例えば、6気筒の内燃機関Eにおける全筒運転と3/6気筒休止などの部分気筒休止運転との切換制御のことである。
パラレル運転モードとシリーズ運転モードの切換および気筒休止制御については、モータ要求トルク、モータ制限トルクにもとづいて柔軟に制御されるとして「モード切換制御部の概要」のところに前記したが、モード切換制御部59において、基本的に図3に示すような横軸に車速VPをとり、縦軸に駆動輪DWの駆動力をとった、予め設定した駆動特性マップを記憶しており、駆動特性マップの各領域は、駆動力と車速をパラメータに設定されており、駆動力を必要に応じてクランク端トルクに換算して、ドライバ要求トルク、またはC/C要求トルクにもとづいてパラレル運転モード、シリーズ運転モードの切換制御および気筒休止制御をする。
例えば、図3における車速V1〜V3の領域Aは、内燃機関Eを休筒運転し、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2ともアシスト作動しない状態で走行する「休筒ロックアップ」モードである。
車速V2〜V3の領域B2は、領域Aより駆動力が大きくて車速範囲の高い側であるが、前記「休筒ロックアップ」モードにジェネレータモータGM1によるアシストを組み合わせた「休筒ロックアップ+ジェネレータモータアシスト」モードである。内燃機関Eへの要求トルクによっては、全筒運転で、ジェネレータモータGM1、駆動用モータGM2とも作動させない「全筒ロックアップ」モードとなる。
車速V2〜V3の領域C2は、領域B2より駆動力が大きい場合であるが、前記「全筒ロックアップ」モードとなる。
車速V1〜V2の領域D1は、領域C1より駆動力が大きい場合であるが、前記「全筒ロックアップ」モードに駆動用モータGM2のアシストを組み合わせた「全筒ロックアップ+駆動用モータアシスト」モードである。
車速V2〜V3の領域D2は、領域C2より駆動力が大きい場合であるが、前記「全筒ロックアップ」モードにジェネレータモータGM1のアシストを組み合わせた「全筒ロックアップ+ジェネレータモータアシスト」モードである。
そして、前記した領域外の、車速0から最高速度Vmaxまでの駆動用モータの最大出力特性曲線cより下側の白地の領域SRがシリーズ運転モードの領域である。
前記の特開2005−42699号公報記載のような休筒運転と全筒運転の切換制御を行なうことによって、車速VPだけによって休筒運転と全筒運転の切換制御を行なう場合にハンチングを生じて、クルーズコントロールの制御時に乗員に違和感を生じさせることが防止できる。また、休筒運転時間を長くすることによる燃費効率の向上が得られる。
次に、図4から図6を参照しながら本実施の形態の特徴であるクルーズコントロールの制御時のパラレル運転モードとシリーズ運転モードの切換制御の方法について説明する。図4および図5は、クルーズコントロールの制御時のパラレル運転モードとシリーズ運転モードの切換制御の流れを示すフローチャートであり、図6は定速走行時における車速VP、C/C要求トルク、HEV側およびC/C側のフラグ値、ロックアップクラッチの状態およびハイブリッド車両50の走行路の勾配の時間変化の一例を示すグラフである。
この制御は、主にC/C制御部53とパラレル/シリーズ切換制御部59aにおいて処理される。前記したC/C制御部53から出力されるC/C要求トルクに対する第2トルク選択部55における小さい方のトルク値の選択および第1加算部56における加算は、ここでのパラレル運転モードとシリーズ運転モードの切換制御の本質的な部分ではないので、説明を単純化するため無視する。
また、制御装置1は、図1に示した各種センサ以外に、図示しないハイブリッド車両50の加速度を検出する加速度センサ、ハイブリッド車両50が走行している道路の勾配を車体の姿勢変化から検出する勾配センサを備え、ハイブリッド・マネジメントECU36に各センサの検出信号が入力されている。ハイブリッド・マネジメントECU36におけるこの制御は、所定の時間周期の繰り返し処理で行われている。
例えば、図6の下から2つ目の走行道路の勾配の時間変化を示した曲線例のように、平坦道路を定速走行中に、地点P1から地点P2までの上り道路が存在し、その後、地点P2から地点P3まで平坦道路が続き、さらに地点P3から地点P4までの上り道路の後、平坦道路が続くとすると、車速VPはセット車速VCから落ち始め、予め設定した車速偏差の制限値ΔVS、例えば、3km/hに近づいていくとする。
ここで、ロックアップクラッチ上限トルクとは、ロックアップクラッチ(図4、図5ではLCと表示)21を接続した状態で、車速VPに応じた内燃機関Eの可能な最大駆動力(出力可能なエンジントルクの上限値)と、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2の少なくとも一方の駆動力を内燃機関Eにアシスト作動させるときの、出力可能なモータトルク(出力可能なモータトルクの上限値)を加算したものである。
ステップS103では、C/C制御部53は、ロックアップクラッチ21が接続状態(LC−ON)か否かをチェックする。LC−ONの場合(Yes)はステップS104へ進み、ロックアップクラッチ21が切断状態(LC−OFF)の場合(No)は、ステップS118へ進む。
これらのC/C側LC−OFF要求フラグF_CCLC−OFFおよびHEV側LC−OFF判定フラグF_HEVLC−OFFの値は、C/C制御部53からパラレル/シリーズ切換制御部59aに出力される。
ステップS109では、パラレル/シリーズ切換制御部59aは、F_CCLC−OFF=0か否かをチェックする。F_CCLC−OFF=0の場合(Yes)はステップS110へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS117へ進む。ここでは、ステップS106においてF_CCLC−OFF=0なので、ステップS110へ進む。
ステップS110では、パラレル/シリーズ切換制御部59aは、ロックアップクラッチ21を接続状態継続として、次の繰り返し処理に戻る。
この一連の繰り返し処理で、ステップS104において、ステップS102で算出されたC/C目標トルクが、車速VPをセット車速VCに維持しようと増加され、ステップS101にて算出されたLC上限トルク(ヒスHi)以上になる。その場合(Yes)は、ステップS111へ進み、C/C制御部53において、VC−VP(ΔV)がΔVS以下か否かをチェックする。ΔVS以下の場合(Yes)は、ステップS112へ進み、そうでない場合は、ステップS113へ進む。
ステップS112では、C/C制御部53は、LC上限トルク(ヒスHi)をC/C要求トルクとして[C/C要求トルク=LC上限トルク(ヒスHi)]、ステップS106へ移行する。その後、S107〜S110と進み、次の繰り返し処理に戻る。
このようにすることによって、ステップS112の処理がなされているときに、運転者がアクセルペダルを操作してドライバ要求トルクが「C/C中の上限要求トルク」を超えたとき、第2トルク選択部55に入力される要求トルクはLC上限トルク(ヒスHi)に固定されず、この時点でシリーズ運転モードに切り換わって、運転者の加速意思が優先される。
その後、ステップS116では、C/C制御部53は、C/C要求トルク=LC上限トルク(ヒスHi)として、ステップS107へ進む。次のステップS108ではF_HEVLC−OFF=0(Yes)なのでS109へ進む。そして、F_CCLC−OFF=1(S109、No)なのでS117へ進み、ステップS117において、パラレル/シリーズ切換制御部59aが、ロックアップクラッチ21を切断状態(LC−OFF)にして、つまり、LC油圧制御部47に油圧低下を指令し、次の繰り返し処理に戻る。
ステップS117における状態は、図6における地点P4を通過時の状態であり、車速VPがセット車速−3km/hを割り込み、C/C側LC−OFF要求フラグが「1」の状態となり、ロックアップクラッチ21が切断状態(LC−OFF)となり、それまでのパラレル運転モードからシリーズ運転モードに切り替わったタイミングである。
ステップS114では、タイマTAがスタートし、タイマTAが設定値TLA未満の間、つまり、地点P4から地点P5までの間、C/C要求トルクをLC上限トルク(ヒスHi)にホールドして、シリーズ運転モードに切り換わった直後の急激なトルク変動が発生すること、つまり加速ショックを防止する。
この場合は、図6において地点P5を通過しても、C/C要求トルクはLC上限トルク(ヒスLow)より大きいので(S122、Yes)、ステップS123へ進み、HEV側LC−OFF判定フラグF_HEVLC−OFF=1として、S108、S117へと進み、次の繰り返し処理に戻る。
ステップS120、S124、S125、S121、S122、S123、S108〜S110は、図6における地点P8通過の状態に対応し、C/C要求トルクがLC上限トルク(ヒスLow)以下となって(S122、No)、HEV側LC−OFF判定フラグF_HEVLC−OFF=0となっても、タイマTBが設定値TLB以上になった時点で、初めて、ロックアップクラッチ21を接続状態に戻し、シリーズ運転モードからパラレル運転モードに切り換えることを示している。
なお、本実施の形態におけるC/C制御部53におけるフローチャートのステップS101は、本発明の上限エンジントルク算出手段と上限モータトルク算出手段を、ステップS112は、トルク制限手段を構成する。
以上のように本実施の形態によれば、パラレル運転モードにおけるクルーズコントロールの制御による走行状態において、パワープラントトルクに対する目標トルクが、例えば、車速VPに応じた内燃機関Eの出力可能なエンジントルクとジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2の少なくとも一方のアシスト作動時の出力可能トルクとを加算した値であるLC上限トルク(ヒスHi)を超えた場合であっても、パワープラントトルクに対する要求トルクをLC上限トルク(ヒスHi)に制限し、ハイブリッド車両50の乗員に違和感を与えることがない程度の減速を許容することによって、ロックアップ状態を継続させ、パラレル運転モードからシリーズ運転モードへと切り換えるタイミングを遅延させることによって燃費効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、LC上限トルクの算出、ジェネレータモータGM1および駆動用モータGM2のモータ要求トルク等をクランク端トルクで算出して、一元的に処理しているので、第1トルク選択部52、第2トルク選択部55、第1加算部56等での演算処理が簡単になる。
なお、クランク端トルクに統一する代わりに、駆動輪DWの駆動力に統一して演算処理するようにしても良い。
さらに、タイマTBを設定してC/C要求トルクの安定を判定してシリーズ運転モードのクルーズコントロールの制御による走行状態からパラレル運転モードのクルーズコントロールの制御による走行状態に切り換える代わりに、C/C要求トルクがLC上限トルク(ヒスLow)を下回った後の、所定時間内のC/C要求トルクの移動平均を監視して、その移動平均の時間変化が所定値以内であることを判定して、切り換えることとしても良い。
2A、2B パワードライブユニット
3 バッテリ
4 補助バッテリ
5 ダウンバータ
21 ロックアップクラッチ(ロックアップ手段)
22 エンジン出力ギア
23 オーバドライブギア
23a、24a アイドル軸
24 ファイナルドライブギア
25 ファイナルドリブンギア
26 モータギア
26a モータ軸
27 アイドルギア
33 モータECU
35 高圧電装系ECU
45 エネルギ・マネジメント部
47 ロックアップクラッチ油圧制御部
50 ハイブリッド車両
51 ドライバ要求トルク算出部
53 クルーズコントロール制御部(クルーズコントロール手段)
58 トルク配分算出部
59 モード切換制御部
59a パラレル/シリーズ切換制御部
59b 気筒休止制御部
DEF ディファレンシャルギア
E 内燃機関
ES クランク軸
GM1 ジェネレータモータ
GM2 駆動用モータ
DW 駆動輪
ES クランク軸
PS ロータ軸
RG 減速機
Claims (5)
- 内燃機関の駆動力を、駆動輪へ伝達する第1の伝達経路と、駆動用モータの駆動力を、前記駆動輪へ伝達する第2の伝達経路とを備え、前記第1の伝達経路の減速比である第1の減速比は、内燃機関の駆動力のみにより車両が達成可能な最高速度を得られない値に固定設定された構成とする一方で、前記最高速度を、第2の減速比に固定した前記第2の伝達経路により達成可能な構成とし、前記第1の伝達経路および前記第2の伝達経路を択一的に選択または併用して走行するハイブリッド車両の制御装置であって、
車両の運転状態に応じて、前記第2の伝達経路を用いた走行と、前記第1の伝達経路を用いた走行と、を切り換えるロックアップ手段と、
少なくとも、車両の速度を所定の目標速度に追従させるように車両を走行駆動させる要求トルクを設定してクルーズコントロールの制御を行なう、または前記車両を先行車両に対して所定の車間距離を維持して走行させる要求トルクを設定してクルーズコントロールの制御を行なう、いずれか一方の制御を行なうクルーズコントロール手段と、
前記第1の伝達経路を用いた運転時に、前記内燃機関から出力可能なエンジントルクの上限値を算出する上限エンジントルク算出手段と、
前記内燃機関の出力を、前記駆動用モータにより補助するアシスト動作時に、前記駆動用モータから出力可能なモータトルクの上限値を算出する上限モータトルク算出手段と、
前記ロックアップ手段および前記クルーズコントロール手段の作動時に、前記内燃機関と前記駆動用モータとからなるパワープラントから出力可能なパワープラントトルクに対する要求トルクを、前記エンジントルクの上限値と前記モータトルクの上限値とを加算して得たロックアップ上限トルクに係る所定トルクと同等の値以下に制限するトルク制限手段と、を備え、
前記クルーズコントロール手段は、前記トルク制限手段の作動時に、前記ロックアップ上限トルクに係る所定トルクにもとづき前記要求トルクを設定し、
前記車両の速度が前記目標速度から所定速度を減算して得た速度以下に低下したときに、ロックアップ手段によるロックアップを解除して、前記第2の伝達経路を用いた走行を行なわせることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記トルク制限手段の作動時に、前記車両の速度が前記目標速度から所定速度を減算して得た速度以下に低下したときに、前記ロックアップ手段によるロックアップを解除する時点で、前記ロックアップ上限トルクに係る所定トルクと同等の値以下の要求トルクに第1の所定時間維持させることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記第2の伝達経路を用いた走行時に、前記車両の速度が前記目標速度から所定速度を減算して得た速度以上となり、前記要求トルクがヒステリシスを有する前記ロックアップ上限トルクの低ロックアップ上限トルク以下となった後に、前記ロックアップ手段を作動させて前記第1の伝達経路を用いた走行へ切り換えることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記要求トルクが低ロックアップ上限トルク以下となり、かつ、第2の所定時間が経過した後に、第1の伝達経路を用いた走行へ切り換えることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記トルク制限手段の作動時に、前記車両の速度が前記目標速度から所定速度を減算して得た速度以下に低下したときに、前記ロックアップ手段によるロックアップを解除する時点で、前記ロックアップ上限トルクに係る所定トルクと同等の値以下の要求トルクに前記第1の所定期間維持させ、
その後、前記クルーズコントロール手段は、前記車両の速度を所定の目標速度に追従させるようにして車両を走行駆動させる前記要求トルク、または前記車両を先行車両に対して所定の車間距離を維持して走行させる前記要求トルクを、第2の伝達経路を用いた走行状態に対して設定してクルーズコントロールの制御をすることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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