JP5567457B2 - 点火プラグ及びその点火プラグの製造方法 - Google Patents

点火プラグ及びその点火プラグの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、点火プラグ及びその点火プラグの製造方法に関する。
一般に点火プラグは、軸方向に貫通する貫通孔を備えた主体金具と、軸方向に延びる軸孔を有し前記主体金具の貫通孔に装着される絶縁体と、該絶縁体の軸孔の先端側に装着される中心電極と、前記主体金具に基端部が配置され他端部が前記中心電極とギャップを介して対向する接地電極と、を有する。そして、前記接地電極を主体金具と別体に形成し、該接地電極の基端部を主体金具の先端面に溶接により接合するようにした技術が例えば特許文献1に記載されている。
特開2002−222686号公報
前記のように主体金具に接地電極を直に溶接して溶融接合した場合、溶融比率等のバラツキにより接合強度が安定しないおそれがあり、また、長時間の熱負荷により、接地電極と主体金具の溶融合金部が酸化腐食等して接合強度が低下するおそれがある。実際、主体金具に接地電極を直に溶接した点火プラグを試作して後述する接合強度試験(図17の比較例参照)を行ったところ、未使用の状態から2000時間使用した状態で接合強度が1/2〜1/3程度にまで低下することが確認された。このことは、例えばコージェネレーション用エンジンのように高出力で連続運転するものに従来の点火プラグを使用した場合、接地電極の接合強度が低下してぐらつく可能性があり、最悪の事態として接地電極が主体金具から脱落し燃焼室内に落下する可能性があることを示している。
本発明は上記に鑑みなされたもので、その目的は、主体金具に別体の接地電極を接合する点火プラグにおいて接地電極の接合強度及び耐久性を向上させることにあり、また、そのような点火プラグの製造を可能とする製造方法を提供することにある。
点火プラグは、請求項1に記載したように、軸方向に貫通する貫通孔を備えた主体金具と、軸方向に延びる軸孔を有し、前記主体金具の貫通孔に装着される絶縁体と、該絶縁体の軸孔の先端側に装着される中心電極と、前記主体金具に基端部が配置され他端部が前記中心電極とギャップを介して対向する接地電極と、を有する。
そして、本発明の点火プラグは、前記主体金具の先端内部に拡径部を形成すると共に該拡径部に円筒状の止め金具を嵌めて該止め金具の後端部と前記拡径部後端の段部に前記接地電極の前記基端部を挟んで固定するものであり、前記止め金具の外周面と前記拡径部の内周面との間に隙間が形成され、一方、前記拡径部後端の段部と前記止め金具の後端部とが抵抗溶接により接合されており、さらに前記主体金具又は前記止め金具の先端開口部をキャップ部材で覆うことにより着火室を形成してなることを特徴とする。
また、本発明は、請求項2に記載したように、前記接地電極が、前記止め金具又は前記主体金具の少なくともいずれか一方に接合されている請求項1に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項3に記載したように、前記主体金具及び前記止め金具が、前記軸方向において互いに接合される接合面を有している請求項1又は2に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項4に記載したように、前記止め金具と前記主体金具との前記接合面における接合面積が、前記接地電極と前記主体金具との前記接合面における接合面積以上である請求項3に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項に記載したように、前記止め金具の外周面又は前記拡径部の内周面の少なくとも一方に凹状部が形成されており、該凹状部により前記隙間が形成されている請求項1〜4に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項に記載したように、前記凹状部が前記止め金具又は前記拡径部の先端側に設けられている請求項に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項に記載したように、前記凹状部が前記止め金具の前記接地電極の接合位置より先端側に設けられている請求項1〜6に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項に記載したように、前記隙間の少なくとも一部に絶縁材が設けられている請求項1〜7の何れか1項に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項に記載したように、前記絶縁材の熱伝導率が空気の熱伝導率以上である請求項に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項10に記載したように、前記主体金具及び前記止め金具が、互いに接合される接合面を有し、前記主体金具の接合面及び前記止め金具の接合面の少なくとも何れか一方に突起部が設けられるとともに、前記突起部を用いて前記接合面同士が接合されている請求項1〜9の何れか1項に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項1に記載したように、前記主体金具が加締め部を有し、該加締め部が加締められていることにより前記止め金具が固定されている請求項1〜1の何れか1項に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項1に記載したように、前記主体金具と前記止め金具とがレーザーにより溶接されている請求項1〜1の何れか1項に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項1に記載したように、前記主体金具及び前記止め金具が、それぞれ鉄合金又はNi合金で形成されている請求項1〜1の何れか1項に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項1に記載したように、前記接地電極が、Pt合金又はIr合金で形成されている請求項1〜1の何れか1項に記載の点火プラグを提供する。
また、本発明は、請求項1に記載したように、軸方向に貫通する貫通孔を備えた主体金具と、軸方向に延びる軸孔を有し、前記主体金具の貫通孔に装着される絶縁体と、該絶縁体の軸孔の先端側に装着される中心電極と、前記主体金具内に基端部が配置され他端部が前記中心電極とギャップを介して対向する接地電極と、を有する点火プラグの製造方法であって、前記接地電極の基端部を前記主体金具との間で固定する止め金具を使用し、前記接地電極を前記止め金具に固定する第1工程と、前記第1工程により接地電極を固定した止め金具を、前記接地電極が前記止め金具と前記主体金具との間に配置されるように装着して固定する第2工程と、を有し、前記第2工程は、前記第1工程により接地電極を固定した止め金具を前記主体金具に装着する第3工程と、前記第3工程で主体金具に装着された止め金具を接合する第4工程と、を有し、前記第4工程は、前記止め金具の先端に溶接治具を当接して前記主体金具と前記止め金具とを抵抗溶接により接合する第9工程を有し、前記第9工程において、前記溶接治具は、前記止め金具の端部に抜き差し可能な状態に嵌合して該止め金具で位置決めされる凸部を有している点火プラグの製造方法を提供する。
また、本発明は、請求項16に記載したように、前記第9工程において、前記止め金具の内径と前記凸部の外径との半径差をλとし、前記主体金具の内径と前記溶接治具の前記主体金具の内周面に対向する部分の外径との半径差をλとしたとき、λ>λである請求項15に記載の点火プラグの製造方法を提供する。
また、本発明は、請求項17に記載したように、前記第9工程において、前記主体金具の内周面と前記溶接治具の外周面との間に絶縁材を設ける請求項15に記載の点火プラグの製造方法を提供する。
また、本発明は、請求項8に記載したように、前記第4工程において、前記主体金具及び前記止め金具は、互いに接合される接合面を有し、前記主体金具の接合面及び前記止め金具の接合面の少なくとも何れか一方に突起部が設けられるとともに、前記突起部を用いて前記接合面同士が接合され、前記突起部は、該突起部を有する接合面における前記突起部を有する接合面への該突起部の投影面積の割合が、前記突起部を有する接合面全体の15%以上50%以下である請求項15〜17の何れか1項に記載の点火プラグの製造方法を提供する。
また、本発明は、請求項9に記載したように、前記主体金具と前記止め金具とを接合した後、前記主体金具又は前記止め金具の先端開口部に、前記主体金具又は前記止め金具の開口部を覆うことにより着火室を形成するキャップ部材を接合する請求項18の何れか1項に記載の点火プラグの製造方法を提供する。
また、本発明は、請求項0に記載したように、前記主体金具に加締め部を形成し、該主体金具と前記止め金具とを固定した後、前記加締め部を加締めて前記止め金具を固定する請求項19の何れか1項に記載の点火プラグの製造方法を提供する。
また、本発明は、請求項1に記載したように、前記主体金具に前記止め金具を固定した後、前記主体金具と前記止め金具とをレーザーにより溶接する請求項1〜2の何れか1項に記載の点火プラグの製造方法を提供する。
本発明の点火プラグは、止め金具によって接地電極が主体金具に固定されるため、接地電極の接合強度や耐久性が向上し、長時間の熱負荷を受けても接地電極の接合強度が低下しにくい。また、熱負荷に対する耐久性は、請求項2に記載したように、接地電極の基端部を止め金具又は主体金具の少なくともいずれか一方に接合することにより、さらに高めることができる。なお、ここで「接合」には、溝等の隙間に接地電極の基端部を挟み込ませる手段の他、溶接やろう付け等、2つの部材同士を一体的に取り扱い得るようにする全ての手段が含まれる。
また、主体金具の先端内部に拡径部を形成して該拡径部に円筒状にした止め金具を接合し、該拡径部後端の段部と止め金具の後端部に接地電極を挟んで接合することにより、着火室の深い位置に対しても高い接合強度をもって接地電極が接合できる。
また、止め金具の外周面と拡径部の内周面との間に隙間が形成されていて前記拡径部後端の段部と前記止め金具の後端部とが抵抗溶接により接合されている場合には、止め金具と拡径部の限定された接触部に溶接電流が集中するため、止め金具の溶接強度が高くなる。また、前記隙間は、請求項に示したように止め金具の外周面又は拡径部の内周面の少なくとも一方に凹状部を設けて形成するようにすれば、凹状部以外の部分で止め金具と拡径部が嵌まり合うため、止め金具の拡径部内での位置決めが容易になる。
また主体金具又は止め金具の先端開口部を覆うことにより着火室を形成するキャップ部材を有する場合には、該キャップ部材によっても止め金具が固定されるため、止め金具惹いては接地電極の接合強度を高めることが可能である。
また、請求項3のように主体金具と止め金具は、前記軸方向において互いに接合される接合面を設けることにより接合強度を高めることができ、惹いては接地電極の接合強度を高めることができる。
この場合、請求項4のように止め金具と主体金具との接合面における接合面積を、接地電極と主体金具との接合面における接合面積以上にすることで、より確実に接合強度を高くすることができる。
また、請求項のように前記凹状部を止め金具又は拡径部の先端側に設けるようにすれば、前記止め金具と前記拡径部との間の前記隙間が拡径部の先端側に形成され、逆に接地電極が接合される後端側で止め金具と拡径部が接触するため、内燃機関の運転時に接地電極に加わる熱が止め金具と拡径部の後端側の接触部を通って外部に逃げやすくなる。
また、請求項のように前記凹状部が止め金具の先端側であって接地電極の接合位置より先端側に設けられている場合には、接地電極の基端部と止め金具の接合部分の体積が減少しないため、接地電極の十分な接合強度が確保できる。
また、請求項のように止め金具と拡径部の隙間の少なくとも一部に絶縁材が設けられている場合には、絶縁材により止め金具と拡径部の溶接電流を必要な箇所に集中させ得ることはもちろん、絶縁材を介して拡径部と止め金具が嵌まり合うため、止め金具の拡径部内での位置決めが容易になる。
また、請求項のように前記絶縁材の熱伝導率を空気の熱伝導率以上とすることにより、隙間よりさらに接地電極の熱引きが向上する。
また、請求項1のように主体金具の接合面及び止め金具の接合面の少なくとも何れか一方に突起部を設け、該突起部を用いて接合面同士を接合することにより止め金具を固定するようにすれば、止め金具惹いては接地電極の接合強度を高めることができる。
また、請求項1のように主体金具に加締め部を形成し、該加締め部を加締めることにより止め金具を固定するようにすれば、止め金具惹いては接地電極の接合強度を高めることができる。
また、請求項1のように主体金具と止め金具とをレーザーにより溶接することによって止め金具を固定するようにすれば、止め金具惹いては接地電極の接合強度を高めることができる。
また、請求項1のように主体金具と止め金具のそれぞれを鉄合金又はNi合金で形成することにより、融点が同じか又は融点が近い合金同士で接合の容易性・確実性を高めることができるから、主体金具と止め金具の接合強度を高めて接地電極の接合を確実にすることができる。なお、ここで鉄合金又はNi合金とは、鉄又はNiを主成分とする合金のことをいい、主体金具と止め金具が同じ合金で形成される組み合わせと、主体金具と止め金具のどちらか一方が鉄合金で他方がNi合金である組み合わせのいずれをも含む。
また、請求項1のように接地電極をPt合金又はIr合金で形成することにより、接地電極の耐久性を向上させることができることはもちろん、止め金具で接地電極を固定することで、接地電極をPt合金又はIr合金で形成した場合に主体金具との線膨脹の差が大きくて熱負荷の影響を受けやすい、というマイナス要因を解消できる。
以上の点火プラグは、請求項11の方法により製造可能であり、そうして製造した点火プラグは、上記の効果を奏し得る。
特に、請求項15の製造方法によれば、溶接治具の凸部を止め金具の端部に嵌めて抵抗溶接するようにしたため、止め金具によって溶接治具の位置ずれが抑制できる。したがって、溶接治具が主体金具に接触してそこから溶接電流の多くが主体金具に流れてしまう不具合が防止でき、惹いては溶接部分に溶接電流を集中させて安定した溶接強度を得ることができる。
また、請求項16の製造方法によれば、止め金具の内径と溶接治具の凸部の外径との半径差をλとし、主体金具の内径と、溶接治具の主体金具の内周面に対向する部分の外径との半径差をλとしたとき、λ>λ となるようにしたことより、溶接治具の主体金具への接触防止がより確実になる。
また、請求項17の製造方法によれば、主体金具の内周面と溶接治具の外周面との間に設けた絶縁材によって、溶接治具が主体金具に接触してそこから溶接電流の多くが主体金具に流れてしまう不具合が防止でき、惹いては溶接部分に溶接電流を集中させて安定した溶接強度を得ることができる。また、絶縁材の厚みを除いて溶接治具の外径を最大限大きくできることより、溶接治具と止め金具の接触面積が大きくなって電気抵抗が小さくなるため、溶接治具の消耗が抑制される。
一部拡大図を含む点火プラグの一部断面正面図である。 先端側から見た点火プラグの正面図である。 点火プラグの要部を示す先端側から見た斜視図である。 点火プラグの要部を示す先端側から見た分解斜視図である。 点火プラグの製造工程を示す先端側から見た分解斜視図である。 点火プラグの製造工程を示す先端側から見た分解斜視図である。 他の点火プラグの要部を示す一部断面正面図である。 (a),(b)は他の点火プラグの要部を示す一部断面正面図である。 他の点火プラグの要部を示す一部断面正面図である。 図9の点火プラグを先端側から見た正面図である。 プレチャンバープラグの要部を示す断面正面図である。 図11のY−Y線断面図である。 図11を分解して示す断面正面図である。 止め金具と接地電極とを分解して示す斜視図である。 止め金具に接地電極を接合した状態を示す斜視図である。 突起部の面積割合と接地電極の接合強度との関係を示すグラフである。 接地電極の接合強度と運転時間との関係を示すグラフである。 図17のグラフの比較例とした点火プラグの要部を示す断面正面図である。 図18の点火プラグを先端側から見た正面図である。 抵抗溶接時の状態を示す要部の縦断面図である。 抵抗溶接時の状態を示す要部の縦断面図である。 抵抗溶接時の状態を示す要部の縦断面図である。 止め金具の縦断面図である。 抵抗溶接時の状態を示す要部の縦断面図である。 止め金具の縦断面図である。 止め金具の縦断面図である。 抵抗溶接時の状態を示す要部の縦断面図である。 抵抗溶接時の状態を示す要部の縦断面図である。 各技術手段による接合強度試験の結果を示すグラフである。 凹状部の位置と溶接強度との関係を示すグラフである。
[実施形態1]
以下に本発明の実施形態1を図面を参照しつつ説明する。
実施形態1の点火プラグは、図1に示したように、主体金具1と、該主体金具1に装着される絶縁体2と、該絶縁体2に装着される中心電極3と、その中心電極3が配置された方向を先端としたときに主体金具1の先端部に基端部4aが配置されて他端部が中心電極3の側周面に直接又は間接にギャップGを介して対向する接地電極4と、該接地電極4の基端部4aに隣接して配置される止め金具5と、を備えている。
前記主体金具1は、例えば鉄合金である低炭素鋼か或はNi合金により形成され、軸方向に延びる貫通孔6を軸中心に形成した筒状体であり、シリンダヘッド等のプラグ取付孔(図示せず)に螺合するネジ軸部7を軸方向の先端に有し、後端にプラグレンチが係合する工具係合部8を有する。
前記絶縁体2は、軸方向に延びる軸孔9を軸中心に形成した例えばアルミナ製の筒状体であり、先端側の略半分弱を主体金具1の後端側から貫通孔6に通して装着される。
前記中心電極3は、絶縁体2の軸孔9に装着された中実丸棒体であり、その先端面が主体金具1の先端開口部10より前記止め金具5の厚さとほぼ同じ分だけ突出するようになっている。
前記接地電極4は、角材形である断面長方形の棒状に形成されており、例えばPt合金又はIr合金で形成されている。この接地電極4は、図2,図3に示したように主体金具1の円形である先端面1aの弦方向に延びる片持ち梁形態となるように基端部4aが該先端面1aに配置され、自由な他端側が中心電極3の側周面にギャップG(図2参照)をおいて直接又は間接に対向する。図示した接地電極4は、中心電極3の側周面に直接対向するものの例示であるが、接地電極4を絶縁体2の側周面に対向させて中心電極3の側周面に対しては間接に対向させるようにしてもよい。そうした場合は、絶縁体2の表面を経由する沿面放電形態で中心電極3に火花放電が伝播する。
前記止め金具5は、主体金具1の先端面1aと同じ外径で中心に主体金具1の先端面1aと同じ内径の孔11を設けた平座金形状であり、主体金具1と同じ鉄合金の低炭素鋼或はNi合金でできている。この止め金具5は、主体金具1に対向する面を接合面5jとして主体金具1の先端面1a、すなわち主体金具1の接合面1jに溶接等の接合手段で固定される。止め金具5の接合面5jには、前記接地電極4の基端部4aが嵌まる接合用の溝12が設けられており、この溝12に接地電極4が圧入されるか或はろう付けや溶接により接合されている。従って、全ての接地電極4の基端部4aは、止め金具5と主体金具1との間に固定されている。また、主体金具1と止め金具5の接合面1j,5jにおける接合面積は、接地電極4の主体金具1に対する接合面積以上になるように大きさが設定され、これにより主体金具1と止め金具5の接合強度を十分に確保することができる。
加えて止め金具5の接合面5jには、図4に示したように主体金具1の接合面1jに頂角を向けた断面三角形状の突起部13がリング状に突設されており、この突起部13によって主体金具1と止め金具5の接合面1j,5j同士が後述する抵抗溶接で確実に接合されるようになっている。
なお、突起部13は、該突起部13を有する止め金具5の接合面5jにおける該突起部13の投影面積、すなわち図2において2本の想像線で挟まれた部分の面積の割合が、突起部13を有する止め金具5の接合面5j全体の15%以上50%以下であるように設定されている。この突起部13の投影面積の接合面5jに対する割合の範囲は、次の接合強度試験により裏付けられる。
すなわち、まず、実施形態1の点火プラグにおいて、止め金具5(材質:低炭素鋼)の接合面5j全体に対する突起部13の前記投影面積の割合が、5%、15%、25%、40%、50%、60%になるように形状を設定し、後述する製造方法により、接地電極4(材質:Pt−20Ir合金)を接合した止め金具5を抵抗溶接で主体金具1(材質:低炭素鋼)に接合した。
次に、主体金具1の貫通孔6に絶縁体2に替えて試験用の押圧棒を差込み、接地電極4を止め金具5方向に押圧して接合部の接合強度を測定した(以下、この方法による試験を単に「接合強度試験」という。)。
その結果は、図16のグラフに示したとおりであり、前記割合が15%〜50%になるように突起部13を形成した場合に、十分な接合強度を発揮することが判る。
次に実施形態1の点火プラグの製造方法について説明する。
まず、点火プラグの製造工程は、接地電極4と止め金具5以外の部品を主体金具1に組み付ける従来通りの組付け工程と、その組付け工程の後、図5のように接地電極4を止め金具5の溝12に圧入するか或は嵌め込んで溶接或はろう付けし、そうして全ての接地電極4を止め金具5に固定する第1工程と、この第1工程により接地電極4を固定した止め金具5を、図3に示したように接地電極4が止め金具5と主体金具1との間に配置されるように装着して固定する第2工程と、からなる。
そして、前記第2工程はさらに、第1工程により接地電極4を固定した止め金具5(図5参照)を主体金具1の先端面1aに当接させた状態に装着する第3工程と、該第3工程で主体金具1に装着された止め金具5を接合する第4工程と、に分けることができる。実施形態1においてこの第4工程は、主体金具1と止め金具5との間に電流を流して接合面1j,5j同士を溶融接合させる抵抗溶接であり、その際、実施形態1では止め金具5に設けた突起部13の尖った部分に電流が集中して高温になるから溶接が確実になり安定した接合強度が得られる。
また、実施形態1の点火プラグは、前記組付け工程の後、前記第1工程〜第4工程とは異なる別の工程、すなわち、図6のように接地電極4を主体金具1の先端面1aに溶接又はろう付けし、そうして全ての接地電極4を主体金具1に固定する第5工程と、この第5工程により接地電極4を固定した主体金具1に止め金具5を、図3に示したように接地電極4が止め金具5と主体金具1との間に配置されるように装着して固定する第6工程と、によっても製造できる。
そして、前記第6工程はさらに、前記第5工程により接地電極4を固定した主体金具1に前記止め金具5を装着する第7工程と、該第7工程で主体金具1に装着された止め金具5を接合する第8工程と、に分けることができる。実施形態1においてこの第8工程は、前記第4工程と同じであるため説明を省略する。
なお、第5工程〜第8工程では、説明の便宜上図4に示した主体金具1と止め金具5をそのまま使用したが、好ましくは、図示しないが接地電極4を接合するための溝と突起部を主体金具1の先端面1aに形成し、一方、止め金具5を単純な平座金形状にするのがよい。そうすることにより接地電極4の位置決めが主体金具1側の溝を使って容易になり、また、止め金具5は単純な平座金形状で方向性がないため、主体金具1の先端に載せるだけで装着できるから作業性が非常によい。
以上の方法で実施形態1の点火プラグは製造できるが、それよりさらに接地電極4の接合強度を高める必要がある場合は、図7に示したように主体金具1の先端面1aの外周囲に止め金具5を囲うように短筒状の加締め部15を突設し、該加締め部15を加締めて止め金具5を固定するようにしてもよい。また、そのような加締め部15を設けることなく、図8(a)に示したように主体金具1と止め金具5との隣接部16をレーザーにより溶接するか、或は図8(b)に示したように主体金具1の先端面1aに凹部17を形成して該凹部17に止め金具5を嵌合させ、そうして主体金具1と止め金具5との隣接部16をレーザーにより溶接するようにしてもよい。
図17のグラフは、止め金具5を主体金具1に抵抗溶接して固定した実施形態1の点火プラグと、その止め金具5を加締め部15によって補強した点火プラグと、同じく止め金具5をレーザー溶接によって補強した点火プラグについて、接地電極4の接合部に関する前記接合強度試験と同じ試験を行った結果を示すものである。なお、比較のため図18、図19に示したように鉄合金製の主体金具1の先端面1aに、Pt−20Ir合金製の接地電極4を直に溶接して(図19符合W参照)同様の接合強度試験を行い、その結果を図17のグラフに示した。
この結果より、主体金具1に固定した止め金具5を、加締めやレーザー溶接により補強することで、接地電極4の接合強度を確実に向上させ得ることが判る。
以上、本発明の実施形態1を、複数極の接地電極4を有する点火プラグで説明したが、図9,図10に示したように1極の接地電極4を有する点火プラグにも同様に適用できる。この場合、止め金具5は平座金形状である必要はなく、少なくとも接地電極4の基端部4aがカバーできる形状であればよい。
[実施形態2]
図11〜図15は、実施形態2の点火プラグを示すものである。なお、実施形態2において実施形態1と同一又は同機能の構成要素には、図11〜図15に実施形態1と同一の符合を付して説明を省略する。
実施形態2の点火プラグは、主体金具1の先端部に着火室18を有するものであり(以下、「プレチャンバープラグ」ともいう。)、中心電極3の先端が主体金具1の先端より後端側に配置されていて先端開口部10がキャップ部材19で覆われている。
前記キャップ部材19は、着火室18と内燃機関の燃焼室とを連絡する孔20を有し、該孔20から燃焼室の未燃混合気を着火室18内に取り込むと共にその未燃混合気に着火して発生する火炎ジェットを前記孔20から燃焼室に噴出させる。
実施形態2の止め金具5は、図14に示したように円筒状であり、主体金具1の先端内部に形成した段付き孔形状の拡径部21に内嵌するようになっている。この止め金具5の後端部には、接地電極4の基端部4aを挟んで接合する溝12と、抵抗溶接用の突起部13が形成されており、その止め金具5の後端部が接合面5jとなって主体金具1の拡径部21の段部22たる接合面1jに当接する。したがって接地電極4は、主体金具1の段部22と止め金具5の後端部(溝12の奥端部を含む。)との間に挟まれた状態で接合される。
なお、実施形態2において、止め金具5に形成した接地電極4接合用の溝12は、図14,図15に示したように周方向の外側に開放されている。このように止め金具5の溝12を周方向の外側に開放させておけば、接地電極4と溝12の接触面積が最大になって電気抵抗を小さくすることができる。また、内燃機関の運転時に接地電極4に加わる熱は、主体金具1のネジ軸部7を介して内燃機関の本体側に逃げるが、前記のように止め金具5の溝12を周方向の外側に開放させておくことで接地電極4の基端部4aの端面が主体金具1に直接接触するため、接地電極4からネジ軸部7への熱の伝達が効率よく行える。したがって接地電極4が高温に晒され難くなる。この効果は実施形態1の止め金具5の溝12を周方向の外側に開放させた場合にも当てはまる。
止め金具5は、軸方向の長さが拡径部21の長さよりキャップ部材19の厚さ相当分だけ短く形成されており、その寸法関係により主体金具1に止め金具5を嵌め込んだ装着状態で主体金具1の先端開口部10に一段奥まった開口段部23が形成され、その開口段部23にキャップ部材19が嵌って固定される。もちろん、止め金具5の軸方向の長さを拡径部21と同じにして前記開口段部23を設けない場合には、キャップ部材19側の外周に係止段部を設けて止め金具5の先端開口部に嵌めるようにしてもよい。
次に、プレチャンバープラグの製造は、実施形態1と同じ工程で主体金具1と接地電極4と止め金具5とを装着・接合した後(かかる工程の詳細は後述する。)、全ての接地電極4のギャップGを適正値に調整してから、キャップ部材19を主体金具1に固定して完了する。キャップ部材19の主体金具1への固定は、図11に示したように隣接部24をレーザー等で溶接するか、或は、図示しないが主体金具1の先端に図7に示したと同等の加締め部を設けて加締めることにより行える。
したがって実施形態2では、主体金具1に対し止め金具5を固定する手段として、実施形態1と同じレーザーによる溶接や加締め部15を設ける場合の他、キャップ部材19と主体金具1との隣接部24をレーザー等で溶接するか或は加締め部を設けて固定し、そのキャップ部材19を介して止め金具5を固定することも選択できる。なお、止め金具5の固定と接地電極4の接合強度との関係を表す図16,図17の試験結果は、もちろん実施形態2にも当て嵌まる。
次に、実施形態2における主体金具1と接地電極4と止め金具5とを装着・接合する工程の詳細について説明すると、当該工程は、図14、図15のように接地電極4を止め金具5の溝12に圧入するか或は嵌め込んで溶接或はろう付けし、そうして全ての接地電極4を止め金具5に固定する第1工程と、この第1工程により接地電極4を固定した止め金具5を、図11と図13の想像線に示したように接地電極4が止め金具5と主体金具1との間に配置されるように装着して固定する第2工程と、からなる。
そして、前記第2工程はさらに、第1工程により接地電極4を固定した止め金具5(図15参照)を主体金具1の拡径部21内に納めて、止め金具5の接合面5j(厳密には突起部13)を主体金具1の接合面1j(段部22)に当接させた状態(図13想像線参照)に装着する第3工程と、該第3工程で主体金具1に装着された止め金具5を接合する第4工程と、に分けることができる。
実施形態2においてこの第4工程は、図13に想像線で示したように、止め金具5の先端に丸軸形状の溶接治具25を押し当て、該溶接治具25から主体金具1と止め金具5の間に電流を流して接合面1j,5j同士を溶融接合させる抵抗溶接であり、その際、実施形態2でも止め金具5に設けた突起部13の尖った部分に電流が集中して高温になるから溶接が確実になり安定した接合強度が得られる。
また、実施形態2における主体金具1と接地電極4と止め金具5とを装着・接合する工程は、前記第1工程〜第4工程とは異なる別の工程、すなわち、図示しないが接地電極4を主体金具1の拡径部21の段部22に溶接又はろう付けし、そうして全ての接地電極4を主体金具1に固定する第5工程と、この第5工程により接地電極4を固定した主体金具1に止め金具5を、接地電極4が止め金具5と主体金具1との間に配置されるように装着して固定する第6工程と、によっても製造できる。
そして、前記第6工程はさらに、前記第5工程により接地電極4を固定した主体金具1に前記止め金具5を装着する第7工程と、該第7工程で主体金具1に装着された止め金具5を接合する第8工程と、に分けることができる。実施形態2においてこの第8工程は、実施形態2の前記第4工程と同じであるため説明を省略する。
なお、実施形態2の前記第1工程〜第4工程により主体金具1と接地電極4と止め金具5とを装着・接合して図13に示した構造の試作品を複数製造し、その試作品について前記した接合強度試験を実施したところ、図29のグラフに「比較例」として示したように接合強度にバラツキがあり、目標とする接合強度(約1300N以上)に達しないものも含まれていた。
そこでその原因について検討したところ、本来接合面1j,5jに集中して加わるべき溶接電流がそれ以外のところからも流れて分散している、という結論に達したため、その問題を解決すべく技術手段1〜5を開発した。以下にそれらの技術手段1〜5について説明するが、上記現象は、前記第5〜第8工程により主体金具1と接地電極4と止め金具5とを装着・接合した場合にも同様に起こり得るものであり、したがって以下の技術手段1〜5はそれらにも当然に当て嵌まる。
[技術手段1]
前記溶接電流は、溶接治具25の外周面が拡径部21の内周面に接触してそこから主体金具1に流れる場合があった(図13符合P参照。)。そこで図20に示したように溶接治具25を、止め金具5の端部に抜き差し可能な状態に嵌合し得る凸部25aを端部に形成して段付き丸軸形状とし、その凸部25aを止め金具5に嵌めて溶接治具25を拡径部21のほぼ中心に且つ拡径部21との間に隙間を保って位置決めし得るようにした。これにより溶接治具25と主体金具1の接触を断った状態を保ちつつ止め金具5に通電して抵抗溶接により接合することができる(第9工程又は第10工程)。
この場合、溶接治具25の凸部25aと止め金具5の間には、抜き差し可能な嵌め合いにすることを目的として図20の拡大図に示したように遊び程度の半径差λが設けられている。したがって溶接治具25の主体金具1(拡径部21)の内周面に対向する部分の外径は、拡径部21の内径との半径差をλとしたとき、λ>λとなるように設定すればよい。なお、溶接治具25と拡径部21との隙間、つまりλ−λは、好ましくは0.1mm以上にするのがよい。
以上の技術手段1から次のような技術的思想が把握できる。
「前記止め金具は、円筒状に形成してその後端部に前記第1工程で接地電極を固定し、
前記主体金具は、その先端内部に前記止め金具が径方向の隙間を保持して遊嵌し得る内径の拡径部を形成して該拡径部に前記第3工程で前記止め金具を装着し、
さらに前記止め金具の先端に、軸端に凸部を有する段付き丸軸形状である溶接治具の該凸部を挿入し、そうして前記止め金具で前記拡径部内に前記隙間を保った状態に位置決めされつつ前記溶接治具から通電し、そうして前記第4工程で前記拡径部後端の段部と前記止め金具の後端部とを抵抗溶接により接合するようにした請求項1に記載の点火プラグの製造方法。」
[技術手段2]
上記のように溶接治具25の外周面が拡径部21の内周面に接触して溶接電流がそこから主体金具1に流れる場合に対して、図21(特に図中拡大図)に示したように溶接治具25の外周面に例えばフッ素樹脂、シリコングリス等の絶縁材26を皮膜状に形成する。この絶縁材26によって主体金具1の内周面と溶接治具25の外周面とが絶縁されるため、溶接治具25から主体金具1への溶接電流の流れが遮断される。また、溶接治具25の絶縁材26を含んだ外径を拡径部21内に整合する大きさにすることにより、溶接治具25と止め金具5の接触面積が大きくなって電気抵抗が小さくなるため、溶接治具25の消耗が抑制される。
この技術手段2を採用(但し、絶縁材=フッ素樹脂)して図13に示した構造の試作品を複数製造し、その試作品について前記接合強度試験を行った。その結果は図29のグラフに「技術手段2」として示したとおりであり、それによれば比較例に比べて接合強度が高いレベルで安定することが判る。
以上の技術手段2から次のような技術的思想が把握できる。
「前記止め金具は、円筒状に形成してその後端部に前記第1工程で接地電極を固定し、
前記主体金具は、その先端内部に前記止め金具が嵌まり得る内径の拡径部を形成して該拡径部に前記第3工程で前記止め金具を装着し、
さらに前記止め金具の先端に外周面を絶縁体で被覆した丸軸形状の溶接治具を当てて通電し、そうして前記第4工程で前記拡径部後端の段部と前記止め金具の後端部とを抵抗溶接により接合するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の点火プラグの製造方法。」
[技術手段3]
前記溶接電流は、止め金具5の外周面と、主体金具1の拡径部21の内周面との接触面全体から分散する。これに対して図22、図24に示したように止め金具5の外周面と拡径部21の内周面との間に隙間27を形成して接触面積を減少させ、そうして止め金具5と拡径部21の接触面からの分散を抑制する。前記隙間27は、図22、図23のように止め金具5の外周面に凹状部28を設けて形成するか、図24のように主体金具1の拡径部21に凹状部29を設けて形成するか、或は図示しないが主体金具1と止め金具5の両方に凹状部28,29を設けて形成する。
このように止め金具5の外周面と拡径部21の内周面との間に隙間27を形成して接触面積を減少させた場合には、止め金具5と拡径部21の限定された接触部に溶接電流が集中するため、止め金具5惹いては接地電極4の溶接強度が高くなる。
このことを実証するため、図22、図23のように止め金具5の外周面に凹状部28を設けて止め金具5の外周面と拡径部21の内周面との間に隙間27を形成し、図23のように止め金具5の後端部から凹状部28までの距離HBを数段階に設定すると共にこれに技術手段2の溶接治具25を用いて複数種類の試作品を製作し、その試作品に対し前記した接合強度試験を行った。その結果を図30のグラフに示す。なお、図30のグラフにおいて横軸は、止め金具5の全高をHAとして(HB/HA)×100(%)を示している。したがって横軸が100%の値を示している試作品は、止め金具5に凹状部28がない図13の構造であり、よってその試作品のデータは図29のグラフの「技術手段2」のデータと同じである。また、本接合強度試験の横軸が40%の値を示している試作品のデータも、図29のグラフ中「技術手段3」として示されているデータと同じである。
この図30のグラフにより、止め金具5の外周面と拡径部21の内周面との間に隙間27を形成して接触面積を減少させるほど、接地電極4の接合強度が高まることが判る。
また、この結果から、止め金具5の軸方向に対する溶接強度を確保する上で、止め金具5の後端部と拡径部21の段部22との端面同士の溶接をメインとすべきであることが判り、これより止め金具5と主体金具1間の溶接時に形成される溶融部の関係は、端面部溶融面積≧外周部溶融面積とするのがよい。
技術手段3において、止め金具5に凹状部28を設ける手段は図23に示したものに限定されず、例えば図25に示したように止め金具5の先端側をテーパ状に縮径させて凹状部28とするか、或は図26に示したように止め金具5の胴部に凹溝を形成して凹状部28としてもよい。また、ここでは図示しないが、図23、図25を逆向きにして止め金具5の後端側に向けて凹状部28を形成するようにしてもよい。もっとも図23、図25のように凹状部28を止め金具5の先端側に設ける場合の方が、内燃機関の運転時に接地電極4に加わる熱が止め金具5と主体金具1との溶接部分から外部に逃げやすくなるため、接地電極4に加わる熱負荷が軽減できる。
また、止め金具5の凹状部28の位置は、接地電極4の接合位置より止め金具5の先端側に設けるとよい。つまり図23において止め金具5の後端から接地電極4の接合位置までの長さをHCとし、同じく凹状部28までの長さをHBとしたとき、HC<HBにするのである。こうすることにより接地電極4の基端部4aと止め金具5の接合部分の体積が減少しないため、接地電極4の十分な接合強度が確保できる。
[技術手段4]
前記のように溶接電流が、止め金具5の外周面と主体金具1の拡径部21の内周面との接触面から分散する場合に対して、図27に示したように止め金具5の外径を主体金具1の拡径部21の内径より小さくして止め金具5の外周面と主体金具1の拡径部21の内周面との間に隙間27ができるように設定し、その隙間27の全部に例えばフッ素樹脂、シリコングリス等の絶縁材30を設けるようにする。具体的には止め金具5の外周に絶縁材30を皮膜状に塗布してそれを拡径部21に装着する。そして、この止め金具5の先端部に技術手段1又は2の溶接治具25を当てて溶接電流を流すと、この絶縁材30により止め金具5と拡径部21の接触面にあった電路が遮断されるため、止め金具5と拡径部21の溶接ポイントに効果的に溶接電流を集中させることができる。また、絶縁材30を介して拡径部21と止め金具5とが密に嵌まり合うため、拡径部21内での止め金具5の位置決めが容易になる。
この技術手段4に技術手段2の溶接治具25を使って複数の試作品を製造し、その試作品に対して前記接合強度試験を行った。その結果を図29のグラフに「技術手段4」として示す。試作品に使用した絶縁材30はシリコングリスである。
なお、前記絶縁材30は、熱伝導率が空気の熱伝導率以上であるものを使用することにより、隙間27のみで絶縁する場合に比べて放熱性が向上し、熱負荷の影響を軽減させ得る効果がある。先に絶縁材30として例示したフッ素樹脂やシリコングリスはその条件を満たす。
その他、絶縁材30として好ましくは、絶縁耐力0.1kV/mm以上、厚み0.1mm以上とするのがよい。
[技術手段5]
前記技術手段4が、止め金具5の外周面と主体金具1の拡径部21の内周面との間の全部に絶縁材30を設けたのに対し、技術手段5は、技術手段3の止め金具5の凹状部28による隙間27に絶縁材30を設けたものである。絶縁材30は技術手段4と同じであるため説明を省略する。
この技術手段5に技術手段2の溶接治具25を使って試作品を複数製造し、その試作品に対して前記接合強度試験を行った。その結果を図29のグラフに「技術手段5」として示す。試作品に使用した絶縁材30はシリコングリスである。
以上、実施形態2の製造方法について説明したが、各工程における主体金具1や止め金具15或は溶接治具25の図面上の向きは専ら説明の便宜に基づくものであり、上下の向きを限定するものではない。
ところで本発明において接地電極4は、3極以上を片持ち梁形態で弦方向に等間隔に配置した場合、図2,図12に示したように各接地電極4の先端と他の接地電極4の側面との間に接触防止のための隙間が設けられているが、その隙間の大きさは、接地電極4の主体金具1と止め金具5で挟まれた接合部分の長さより小さくなっている。これにより、もし万が一基端部4aの接合が外れて接地電極4が主体金具1と止め金具5の間で移動するような事態が発生したとしても、接地電極4の先端が他の接地電極4の側面に当たって止まるため、内燃機関の燃焼室や着火室18の内部に落下するおそれはない。
以上、本発明を実施形態1,2について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態1,2に限定されるものではない。例えば、実施形態1,2では抵抗溶接用の突起部13を止め金具5の端部に突設したが、該突起部13を主体金具1の接合面1jに突設するようにしてもよい。
また、上記技術手段1と技術手段2は、組み合わせて実施することも可能であり、さらに技術手段1,2又はこれらの組み合せと、技術手段3〜5はどのように組み合わせてもよいし、或は各技術手段1〜5を単独で使用してもよい。
1 …主体金具
1j…接合面
2 …絶縁体
3 …中心電極
4 …接地電極
4a…基端部
5 …止め金具
5j…接合面
6 …貫通孔
9 …軸孔
10…先端開口部
13…突起部
15…加締め部
18…着火室
19…キャップ部材
21…拡径部
22…段部
25…溶接治具
25a…凸部
26,30…絶縁材
27…隙間
28,29…凹状部
G …ギャップ

Claims (21)

  1. 軸方向に貫通する貫通孔を備えた主体金具と、
    軸方向に延びる軸孔を有し、前記主体金具の貫通孔に装着される絶縁体と、
    該絶縁体の軸孔の先端側に装着される中心電極と、
    前記主体金具に基端部が配置され他端部が前記中心電極とギャップを介して対向する接地電極と、を有する点火プラグであって、
    前記主体金具の先端内部に拡径部を形成すると共に該拡径部に円筒状の止め金具を嵌めて該止め金具の後端部と前記拡径部後端の段部に前記接地電極の前記基端部を挟んで固定するものであり、
    前記止め金具の外周面と前記拡径部の内周面との間に隙間が形成され、一方、前記拡径部後端の段部と前記止め金具の後端部とが抵抗溶接により接合されており、
    さらに前記主体金具又は前記止め金具の先端開口部をキャップ部材で覆うことにより着火室を形成してなることを特徴とする点火プラグ。
  2. 前記接地電極は、前記止め金具又は前記主体金具の少なくともいずれか一方に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の点火プラグ。
  3. 前記主体金具及び前記止め金具は、前記軸方向において互いに接合される接合面を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の点火プラグ。
  4. 前記止め金具と前記主体金具との前記接合面における接合面積は、前記接地電極と前記主体金具との前記接合面における接合面積以上であることを特徴とする請求項3に記載の点火プラグ。
  5. 前記止め金具の外周面又は前記拡径部の内周面の少なくとも一方に凹状部が形成されており、該凹状部により前記隙間が形成されていることを特徴とする請求項1〜4に記載の点火プラグ。
  6. 前記凹状部が前記止め金具又は前記拡径部の先端側に設けられていることを特徴とする請求項に記載の点火プラグ。
  7. 前記凹状部が前記止め金具の前記接地電極の接合位置より先端側に設けられていることを特徴とする請求項1〜6に記載の点火プラグ。
  8. 前記隙間の少なくとも一部に絶縁材が設けられていることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の点火プラグ。
  9. 前記絶縁材の熱伝導率が空気の熱伝導率以上であることを特徴とする請求項に記載の点火プラグ。
  10. 前記主体金具及び前記止め金具は、互いに接合される接合面を有し、前記主体金具の接合面及び前記止め金具の接合面の少なくとも何れか一方に突起部が設けられるとともに、前記突起部を用いて前記接合面同士が接合されていることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の点火プラグ。
  11. 前記主体金具は加締め部を有し、該加締め部が加締められていることにより前記止め金具が固定されていることを特徴とする請求項1〜1の何れか1項に記載の点火プラグ。
  12. 前記主体金具と前記止め金具とがレーザーにより溶接されていることを特徴とする請求項1〜1の何れか1項に記載の点火プラグ。
  13. 前記主体金具及び前記止め金具は、それぞれ鉄合金又はNi合金で形成されていることを特徴とする請求項1〜1の何れか1項に記載の点火プラグ。
  14. 前記接地電極は、Pt合金又はIr合金で形成されていることを特徴とする請求項1〜1の何れか1項に記載の点火プラグ。
  15. 軸方向に貫通する貫通孔を備えた主体金具と、
    軸方向に延びる軸孔を有し、前記主体金具の貫通孔に装着される絶縁体と、
    該絶縁体の軸孔の先端側に装着される中心電極と、
    前記主体金具内に基端部が配置され他端部が前記中心電極とギャップを介して対向する接地電極と、を有する点火プラグの製造方法であって、
    前記接地電極の基端部を前記主体金具との間で固定する止め金具を使用し、
    前記接地電極を前記止め金具に固定する第1工程と、
    前記第1工程により接地電極を固定した止め金具を、前記接地電極が前記止め金具と前記主体金具との間に配置されるように装着して固定する第2工程と、を有し、
    前記第2工程は、
    前記第1工程により接地電極を固定した止め金具を前記主体金具に装着する第3工程と、
    前記第3工程で主体金具に装着された止め金具を接合する第4工程と、
    を有し、
    前記第4工程は、前記止め金具の先端に溶接治具を当接して前記主体金具と前記止め金具とを抵抗溶接により接合する第9工程を有し、
    前記第9工程において、前記溶接治具は、前記止め金具の端部に抜き差し可能な状態に嵌合して該止め金具で位置決めされる凸部を有していることを特徴とする点火プラグの製造方法。
  16. 前記第9工程において、前記止め金具の内径と前記凸部の外径との半径差をλとし、前記主体金具の内径と前記溶接治具の前記主体金具の内周面に対向する部分の外径との半径差をλとしたとき、λ>λであることを特徴とする請求項15に記載の点火プラグの製造方法。
  17. 前記第9工程において、前記主体金具の内周面と前記溶接治具の外周面との間に絶縁材を設けることを特徴とする請求項15に記載の点火プラグの製造方法。
  18. 前記第4工程において、
    前記主体金具及び前記止め金具は、互いに接合される接合面を有し、前記主体金具の接合面及び前記止め金具の接合面の少なくとも何れか一方に突起部が設けられるとともに、前記突起部を用いて前記接合面同士が接合され、
    前記突起部は、該突起部を有する接合面における前記突起部を有する接合面への該突起部の投影面積の割合が、前記突起部を有する接合面全体の15%以上50%以下であることを特徴とする請求項15〜17の何れか1項に記載の点火プラグの製造方法。
  19. 前記主体金具と前記止め金具とを接合した後、前記主体金具又は前記止め金具の先端開口部に、前記主体金具又は前記止め金具の開口部を覆うことにより着火室を形成するキャップ部材を接合することを特徴とする請求項18の何れか1項に記載の点火プラグの製造方法。
  20. 前記主体金具に加締め部を形成し、該主体金具と前記止め金具とを固定した後、前記加締め部を加締めて前記止め金具を固定することを特徴とする請求項19の何れか1項に記載の点火プラグの製造方法。
  21. 前記主体金具に前記止め金具を固定した後、前記主体金具と前記止め金具とをレーザーにより溶接することを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の点火プラグの製造方法。
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