JP5567401B2 - タイヤ用ゴム組成物及び重荷重用タイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物及び重荷重用タイヤ Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた重荷重用タイヤに関する。
近年、燃料費の高騰や環境規制の導入により、自動車の低燃費化の要求が強くなっており、タイヤ部材の中でも、特にタイヤにおける占有比率の高いトレッドを製造するためのゴム組成物に対し、優れた低燃費性能が要求されている。低燃費性能を改善する方法としては、ゴム成分を天然ゴムやブタジエンゴムで構成すること、フィラーとしてシリカを配合すること、フィラーを減量すること、などが一般に知られている。
しかし、このような方法では、ゴム強度が低下し、耐摩耗性能が悪化するため、低燃費性能と耐摩耗性能の両立は難しい。特に高いゴム強度が必要とされるトラック・バス用タイヤにおいて充分な性能を確保することは困難である。また、タイヤには低燃費性能や耐摩耗性能の他、優れた耐劣化性能を有することも要求され、これらの性能をバランス良く改善することが望まれている。
例えば、特許文献1には、天然ゴム、エポキシ化天然ゴムに微粒子酸化亜鉛を配合したゴム組成物が開示され、石油外資源の含有比率を高めながら硬度を維持できることが記載されている。しかし、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランスよく改善する点については、未だ改善の余地を残している。
特開2007−169431号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分及び下記式(1)で表される化合物を含有し、上記ゴム成分100質量%中、リン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムを40〜95質量%、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムを5〜60質量%含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 0005567401
(式(1)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
上記タイヤ用ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対してシリカを10〜60質量部含有することが好ましい。
上記改質天然ゴムは、トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下であることが好ましく、また、窒素含有量が0.3質量%以下であることが好ましい。更に、上記改質天然ゴムは、天然ゴムラテックスをケン化処理して得られるものが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、重荷重用タイヤのトレッドに使用されることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤに関する。
本発明によれば、リン含有量が少ない改質天然ゴム、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム及び特定の化合物を含むタイヤ用ゴム組成物であるので、該ゴム組成物を重荷重用タイヤのトレッドに使用することにより、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランス良く改善した重荷重用タイヤを提供できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、リン含有量が200ppm以下である改質天然ゴム(HPNR)及び希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)を併用したゴム成分に対して、架橋剤として上記式(1)で表される化合物が配合されている。天然ゴム(NR)中に含まれるリン脂質を低減、除去したHPNR(好ましくはタンパク質やゲル分も除去したHPNR)を用いることでNRの使用に比べて、更なる低燃費化を図ることができる。
しかし、HPNRをNRのケン化処理などによって合成する際、その合成時にNR中の劣化防止成分も除去されるため、ゴムの劣化が速くなり、結果として、耐摩耗性能や耐劣化性能などの性能に劣ってしまう。また、シリカ配合系にHPNRを使用した場合、より低燃費化を実現できるものの、耐摩耗性能が低下する傾向がある。ブタジエンゴムを使用することで耐摩耗性能の低下をある程度は抑制できるが、シリカ配合系において、その効果は充分ではない。
これに対し、本発明では、ゴム成分としてHPNRとともにシス含量が高く、かつビニル含量が少ない希土類系BRを使用しているため、良好な耐摩耗性能を確保することができ、また、低燃費化も図ることができる。更に、上記式(1)で表される化合物を上記ゴム成分と併用することで、結合エネルギーが高く、熱安定性が高いCC結合をゴム組成物に保有させることが可能となるため、良好な低燃費性能を維持しながら、耐摩耗性能及び耐劣化性能を改善できる。その結果、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランス良く改善できる。
上記改質天然ゴム(HPNR)は、リン含有量が200ppm以下である。200ppmを超えると、貯蔵中にゲル量が増加し、加硫ゴムのtanδが上昇する傾向があり、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランス良く改善できないおそれがある。該リン含有量は、150ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。ここで、リン含有量は、たとえばICP発光分析等、従来の方法で測定することができる。リンは、リン脂質(リン化合物)に由来するものである。
改質天然ゴム中のゲル含有率は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。20質量%を超えると、ムーニー粘度が高くなるなど、加工性が低下する傾向があり、また、上記バランスを改善できないおそれもある。ゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定した値を意味し、以下においては単に「ゲル含有率」または「ゲル分」と称することがある。ゲル分の含有率の測定方法は次のとおりである。まず、天然ゴム試料を脱水トルエンに浸し、暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×10rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
改質天然ゴムは、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。「実質的にリン脂質が存在しない」とは、天然ゴム試料をクロロホルムで抽出し、抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在しない状態を表す。−3ppm〜1ppmに存在するリンのピークとは、リン脂質におけるリンのリン酸エステル構造に由来するピークである。
改質天然ゴムにおいて、窒素含有量は0.3質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましい。窒素含有量が0.3質量%を超えると、貯蔵中にムーニー粘度が上昇する傾向があり、また、上記バランスを改善できないおそれもある。窒素はタンパク質に由来する。窒素含有量は、例えばケルダール法等、従来の方法で測定することができる。
改質天然ゴムの製造方法としては、天然ゴムラテックスをケン化処理し、ケン化天然ゴムラテックスを得る工程(A)、及び得られたケン化天然ゴムラテックスをゴム中に含まれるリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄する工程(B)を含む製法などが挙げられる。具体的には、先ず天然ゴムラテックスをアルカリでケン化処理してケン化天然ゴムラテックスを調製し、次いで、該ケン化天然ゴムラテックスを凝集させて得られた凝集ゴムを、ゴム中に含まれるリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄し、乾燥する方法などにより改質天然ゴム(ケン化天然ゴム)を製造できる。
上記製造方法において、ケン化処理は、天然ゴムラテックスに、アルカリと、必要に応じて界面活性剤を添加して所定温度で一定時間、静置することにより行うことができる。なお、必要に応じて撹拌等を行っても良い。上記製造方法によれば、ケン化により分離したリン化合物が洗浄除去されるので、天然ゴムのリン含有量を抑えることができる。また、ケン化処理により、天然ゴム中の蛋白質が分解されるので、天然ゴムの窒素含有量を抑えることができる。本発明では、天然ゴムラテックスにアルカリを添加してケン化できるが、天然ゴムラテックスに添加することにより、効率的にケン化処理を行えるという効果がある。
天然ゴムラテックスはヘビア樹の樹液として採取され、ゴム分のほか水、蛋白質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、ヘビア樹をタッピングして出てくる生ラテックス、あるいは遠心分離法によって濃縮した精製ラテックスを使用できる。更に、生ゴムラテックス中に存在するバクテリアによる腐敗の進行を防止し、ラテックスの凝固を避けるために、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックスであってもよい。
ケン化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物等が挙げられ、ケン化処理の効果や天然ゴムラテックスの安定性への影響の観点から、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いることが好ましい。
アルカリの添加量は特に限定されないが、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましい。該添加量の上限は12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下が更に好ましく、5質量部以下が特に好ましい。アルカリの添加量が0.1質量部未満では、ケン化処理に時間がかかってしまうおそれがある。また逆にアルカリの添加量が12質量部を超えると天然ゴムラテックスが不安定化するおそれがある。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能である。陰イオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤があげられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤があげられる。両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤があげられる。なかでも、陰イオン性界面活性剤が好ましく、スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1.1質量部以上が更に好ましく、2.0質量部以上が特に好ましい。該添加量の上限は6.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.5質量部以下が更に好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量部未満では、ケン化処理時に天然ゴムラテックスが不安定化するおそれがある。また逆に添加量が6.0質量部を超えると天然ゴムラテックスが安定化しすぎて凝固が困難になるおそれがある。また、1.1質量部以上である場合には、天然ゴム中のリン含有量、窒素含有量、ゲル含有率をより低減することができる。
ケン化処理の温度は、アルカリによるケン化反応が十分な反応速度で進行しうる範囲、および天然ゴムラテックスが凝固等の変質を起こさない範囲で適宜、設定できるが、通常は20〜70℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。また処理の時間は、天然ゴムラテックスを静置して処理を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行うことと、生産性を向上することとを併せ考慮すると3〜48時間が好ましく、3〜24時間がより好ましい。
ケン化反応終了後、凝集させたゴムを破砕し、洗浄処理を行うことにより、リン含有量を低減できる。凝集方法としては、例えば、ギ酸等の酸を添加し、pHを調整する方法が挙げられる。また、洗浄処理としては、例えばゴム分を水で希釈して洗浄後、遠心分離処理を行い、ゴム分を取り出す方法が挙げられる。遠心分離する際は、まず天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるように水で希釈する。次いで、5000〜10000rpmで1〜60分間遠心分離すればよく、所望のリン含有量になるまで洗浄を繰り返せばよい。洗浄処理終了後、乾燥することにより、本発明における改質天然ゴムが得られる。
上記製造方法では、天然ゴムラテックス採取後15日以内にケン化、洗浄及び乾燥の工程を終了することが好ましい。より好ましくは10日以内、更に好ましくは5日以内である。採取後固形化せずに15日を超えて放置しておくとゲル分が増大していくためである。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の改質天然ゴムの含有量は、40質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上である。40質量%未満であると、優れた低燃費性能が得られないおそれがある。該含有量は、95質量%以下であり、好ましくは92質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。95質量%を超えると、耐摩耗性能や耐劣化性能が悪化するおそれがある。
本発明のゴム組成物では、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)が使用されるが、上記希土類元素系触媒としては、公知のものを使用でき、例えば、ランタン系列希土類元素化合物、有機アルミニウム化合物、アルミノキサン、ハロゲン含有化合物、必要に応じてルイス塩基を含む触媒が挙げられる。なかでも、ランタン系列希土類元素化合物としてネオジム(Nd)含有化合物を用いたNd系触媒が特に好ましい。
ランタン系列希土類元素化合物としては、原子番号57〜71の希土類金属のハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコラート、チオアルコラート、アミド等が挙げられる。なかでも、前述のとおり、Nd系触媒の使用が高シス含量、低ビニル含量のBRが得られる点で好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、AlR(式中、R、R、Rは、同一若しくは異なって、水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)で表されるものを使用できる。アルミノサンとしては、鎖状アルミノキサン、環状アルミノキサンが挙げられる。ハロゲン含有化合物としては、AlX 3−k(式中、Xはハロゲン、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基、kは1、1.5、2又は3を表す。)で表されるハロゲン化アルミニウム;MeSrCl、MeSrCl、MeSrHCl、MeSrClなどのストロンチウムハライド;四塩化ケイ素、四塩化錫、四塩化チタン等の金属ハロゲン化物が挙げられる。ルイス塩基は、ランタン系列希土類元素化合物を錯体化するのに用いられ、アセチルアセトン、ケトン、アルコール等が好適に用いられる。
上記希土類元素系触媒は、ブタジエンの重合の際に、有機溶媒(n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン等)に溶解した状態で用いても、シリカ、マグネシア、塩化マグネシウム等の適当な担体上に担持させて用いてもよい。重合条件としては、溶液重合又は塊状重合のいずれでもよく、好ましい重合温度は−30〜150℃であり、重合圧力は他の条件に依存して任意に選択してもよい。
上記希土類系BRは、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が好ましくは35以上、より好ましくは40以上、更に好ましくは44以上である。35未満であると、未加硫ゴム組成物の粘度が低く、加硫後に適正な厚みを確保できないおそれがある。該ムーニー粘度は、好ましくは55以下、より好ましくは50以下である。55を超えると、未加硫ゴム組成物が硬くなりすぎて、スムーズなエッジで押し出すことが困難になるおそれがある。
なお、ムーニー粘度は、ISO289、JIS K6300に準じて測定される。
上記希土類系BRは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.5以上である。1.2未満であると、加工性の悪化が顕著になる傾向がある。該Mw/Mnは、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。5を超えると、耐摩耗性能の改善効果が少なくなる傾向がある。
上記希土類系BRのMwは、好ましくは30万以上、より好ましくは50万以上、更に好ましくは55万以上であり、また、好ましくは150万以下、より好ましくは120万以下である。更に、上記希土類系BRのMnは、好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上であり、また、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下である。MwやMnが下限未満であると、耐摩耗性能や低燃費性能が悪化する傾向がある。上限を超えると、加工性の悪化が懸念される。
なお、本発明において、Mw、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、標準ポリスチレンより換算した値である。
上記希土類系BRのシス含量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは96質量%以上、更に好ましくは97質量%以上であり、100質量%であってもよい。また、上記希土類系BRのビニル含量は、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下であり、0質量%であってもよい。シス含量が95質量%未満の場合やビニル量が1.0質量%を超える場合、耐摩耗性能の改善効果が少なくなる傾向がある。
なお、本発明において、希土類系BRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)及びシス含量(シス−1,4−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム成分100質量%中の希土類系BRの含有量は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性能を充分に改善できない場合がある。該希土類系BRの含有量は、60質量%以下、好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、特に好ましくは32質量%以下である。60質量%を超えると、HPNRの含有量が少なくなり、低燃費性能が悪化する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のHPNR及び希土類系BRの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは100質量%である。80質量%未満であると、低燃費性能、耐摩耗性能及び加工性がバランス良く得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物において、他に使用できるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、シリカを含むことが好ましい。これにより、補強性が高まるとともに低燃費性能が改善され、本発明の効果が良好に得られる。シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの平均一次粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上である。10nm未満の場合、シリカが分散しにくくなり、低燃費性能や加工性が低下する傾向がある。また、シリカの平均一次粒子径は、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である。40nmを超えると、ゴム強度が低下し、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
なお、シリカの平均一次粒子径は、例えば、シリカを電子顕微鏡で観察し、任意の粒子50個について粒子径を測定し、その平均値より求めることができる。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは120m/g以上、より好ましくは140m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。120m/g未満であると、充分な補強性が得られない傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。250m/gを超えると、シリカの分散性が低下する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは12質量部以上である。10質量部未満では、充分な低燃費性能が得られないおそれがある。また、該シリカの含有量は、好ましくは60質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。60質量部を超えると、加工性が低下する傾向がある。
本発明では、シリカとともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられ、なかでも、加工性が良好であるという点から、スルフィド系シランカップリング剤を用いることが好ましい。また、スルフィド系シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどが挙げられ、なかでも、加工性が良好であるという点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。2質量部未満では、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、13質量部以下がより好ましい。15質量部を超えると、シランカップリング剤の配合による耐摩耗性能の改善効果がみられず、コストの増大に見合った効果が得られない傾向がある。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができ、本発明の効果が良好に得られる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は70m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましく、105m/gが更に好ましい。70m/g未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、120m/g以下が更に好ましい。200m/gを超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなる傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。10質量部未満では、補強性を充分に改善できないおそれがある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。70質量部を超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなる傾向がある。
本発明のゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは35質量部以上、更に好ましくは45質量部以上である。また、上記合計含有量は、好ましくは130質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。上記範囲内とすることにより、優れた耐摩耗性能が得られる。また、上記配合量のフィラーをHPNR及び希土類系BRとともに使用することで、通常のフィラー量を減量しなくても良好な低燃費性能も得られる。
本発明では、下記式(1)で表される化合物が使用される。これにより、結合エネルギーが高く、熱安定性が高いCC結合をゴム組成物に保有させることができるため、良好な低燃費性能を維持しながら、耐摩耗性能及び耐劣化性能を改善できる。
Figure 0005567401
(式(1)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
Aのアルキレン基(炭素数2〜10)としては、特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のものがあげられるが、なかでも、直鎖状のアルキレン基が好ましい。炭素数は4〜8が好ましい。アルキレン基の炭素数が1では、熱的な安定性が悪く、アルキレン基を有することによる効果が得られない傾向があり、炭素数が11以上では、−S−S−A−S−S−で表される架橋鎖の形成が困難になる傾向がある。
上記条件を満たすアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基などがあげられる。なかでも、ポリマー間に−S−S−A−S−S−で表される架橋がスムーズに形成され、熱的にも安定であるという理由から、ヘキサメチレン基が好ましい。
及びRとしては、チッ素原子を含む1価の有機基であれば特に限定されないが、芳香環を少なくとも1つ含むものが好ましく、炭素原子がジチオ基に結合したN−C(=S)−で表される結合基を含むものがより好ましい。R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、製造の容易さなどの理由から同一であることが好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、1,2−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンなどがあげられる。なかでも、熱的に安定であり、分極性に優れるという理由から、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。
上記式(1)で表される化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは0.7質量部以上である。0.1質量部未満であると、添加による効果が小さい傾向がある。該含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下、特に好ましくは1.5質量部以下である。10質量部を超えると、架橋密度が高くなり過ぎて、耐摩耗性能が悪化するおそれがある。
本発明では、通常、架橋剤(加硫剤)として硫黄が使用される。
硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などが挙げられる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上である。0.1質量部未満であると、加硫速度が遅くなり、生産性が悪化するおそれがある。該硫黄の含有量は、好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは1.7質量部以下、更に好ましくは1.3質量部以下である。2.5質量部を超えると、老化後のゴム物性変化が大きくなるおそれがある。
本発明のゴム組成物に硫黄が使用される場合、硫黄及び上記式(1)で表される化合物の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.2質量部以上である。該合計含有量は、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、特に好ましくは2質量部以下である。上記範囲内にすることにより、本発明の効果が良好に得られる。
本発明では、通常、加硫促進剤が使用される。加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、N,N’−ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられる。なかでも、加硫速度をコントロールしやすいという理由からTBBS、CBS、DZなどのスルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、TBBSがより好ましい。
本発明では、通常老化防止剤が使用され、耐劣化性能に優れる点から、アミン系老化防止剤が好適に使用される。アミン系老化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン系(p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミンなど)、p−フェニレンジアミン系(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)など)などのアミン誘導体が挙げられる。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.2質量部以上、より好ましくは1.4質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。NRのケン化処理時に劣化防止成分が除去され、耐劣化性能が低下する傾向があるが、上記範囲内の老化防止剤の配合により良好な耐劣化性能が得られる。
本発明のゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下であり、含まないことが特に好ましい。本発明では、HPNRにより良好な加工性が得られ、オイル量を減量できるため、オイルの配合に伴う耐摩耗性能や耐劣化性能の低下を防止できる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛、ワックスなどを必要に応じて適宜配合することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、重荷重用タイヤ(特にトラック・バス用)のトレッド(キャップトレッド)に好適に使用できる。
本発明の重荷重用タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどのタイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の重荷重用タイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴムラテックス:タイテックス社から入手したフィールドラテックスを使用
界面活性剤:花王(株)製のEmal−E(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
NR:TSR20
HPNR(ケン化天然ゴム):下記製造例1
Co系BR1:宇部興産(株)製のBR150B(Co系触媒を用いて合成したBR、シス含量:97.0質量%、ビニル含量:1.5質量%、ML1+4(100℃):40、Mw:52.0×10、Mn:15.0×10、Mw/Mn:3.3)
Co系BR2:宇部興産(株)製のBR150L(Co系触媒を用いて合成したBR、シス含量:98.2質量%、ビニル含量:1.0質量%、ML1+4(100℃):43、Mw:54.2×10、Mn:22.1×10、Mw/Mn:2.4)
Nd系BR1:ランクセス(株)製のブナCB24(Nd系触媒を用いて合成したBR、シス含量:97.6質量%、ビニル含量:0.4質量%、ML1+4(100℃):45、:Mw:59.7×10、Mn:22.2×10、Mw/Mn:2.7)
Nd系BR2:JSR(株)製のBR730(Nd触媒を用いて合成したBR、シス含量:96.6質量%、ビニル含量:0.8質量%、ML1+4(100℃):51、Mw:57.7×10、Mn:30.7×10、Mw/Mn:1.9)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:111m/g)
シリカ:デグッサ社製のULTRASIL VN3(NSA:175m/g、平均一次粒子径:15nm)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX 6PPD)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
VP KA9188:ランクセス社製のVP KA9188(1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
(ケン化天然ゴムの作製)
製造例1
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、Emal−E10gとNaOH20gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整し、凝集させた。凝集したゴムを粉砕し、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後110℃で2時間乾燥して固形ゴム(ケン化天然ゴム)を得た。
製造例1により得られた固形ゴム及びTSRについて以下に示す方法により、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率を測定した。結果を表1に示す。
(窒素含有量の測定)
窒素含有量は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業社製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、製造例で得られたケン化天然ゴム又はTSRのサンプル約10mgを秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
(リン含有量の測定)
ICP発光分析装置(ICPS−8100、島津製作所(株)製)を使用してリン含有量を求めた。
また、リンの31P−NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー社製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDClに溶解して測定した。
(ゲル含有率の測定)
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
Figure 0005567401
表1に示すように、ケン化天然ゴム(HPNR)は、TSRに比べて、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率が低減していた。また、製造例1において得られた改質天然ゴムから抽出した抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークを検出しなかった。
<実施例及び比較例>
表2に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄、加硫促進剤及びVP KA9188以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤及びVP KA9188を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型でプレスし、加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物を下記にて評価し、結果を表2に示した。
なお、TSRを用いた比較例では、TSR100質量部に対してしゃっ解剤を0.2質量部添加し、素練りした後、冷却したものを使用した。
(発熱性能指数)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例2のtanδを100として、各配合のtanδを指数表示した。数値が小さいほど発熱しにくく、低燃費性能に優れることを示す。
(発熱性能指数)=(各配合のtanδ)/(比較例2のtanδ)×100
(耐摩耗性能指数)
岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/min、負荷荷重3.0kg、かつ落砂量15g/minでスリップ率20%の条件下にて上記加硫ゴム組成物のランボーン摩耗量を測定した。ランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例2の容積損失量を100として、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。数値が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能指数)=(比較例2の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
(耐劣化性能指数)
上記加硫ゴム組成物を80℃のオーブンで7日間熱劣化させ、これを劣化品とした。
JIS K6251に準じて引張試験を行い、上記劣化品の破断伸びを測定した。比較例2の破断伸びを100として、下記計算式により、各配合の破断伸びを指数表示した。数値が大きいほど、耐劣化性能に優れることを示す。
(耐劣化性能指数)=(各配合の破断伸び)/(比較例2の破断伸び)×100
Figure 0005567401
表2より、シリカ配合系においてHPNR、Nd系BR及びKA9188を使用した実施例では、耐摩耗性能、耐劣化性能及び低燃費性能をバランス良く改善でき、顕著な改善効果がみられた。一方、上記成分を併用していない比較例は、実施例に比べて性能が劣っており、特にNd系BRやKA9188を配合しない場合、耐摩耗性能及び耐劣化性能が大きく劣っていた。

Claims (6)

  1. ゴム成分及び下記式(1)で表される化合物を含有し、
    前記ゴム成分100質量%中、リン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムを40〜95質量%、ネオジム含有化合物を用いて合成されたブタジエンゴムを5〜60質量%含むタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0005567401
    (式(1)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
  2. 前記ゴム成分100質量部に対してシリカを10〜60質量部含有する請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記改質天然ゴムは、トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下、窒素含有量が0.3質量%以下である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記改質天然ゴムは、天然ゴムラテックスをケン化処理して得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 重荷重用タイヤのトレッドに使用される請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤ。
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