JP5508121B2 - タイヤ用ゴム組成物及び重荷重用タイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物及び重荷重用タイヤ Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた重荷重用タイヤに関する。
近年、燃料代の高騰や環境規制の導入により、車の低燃費化への要求が強くなってきており、タイヤ部材の中でも、タイヤにおける占有比率の高いトレッドを製造するためのゴム組成物に対して、優れた低燃費性能が要求されている。
低燃費性能を改善するためには、天然ゴムやブタジエンゴムをゴム成分として使用する方法が一般的である。低燃費性能を更に改善する方法として、シリカをフィラーとして使用する方法や、フィラーを減量する方法などが知られている。しかし、これらの方法を用いると、ゴム強度が低下し、耐摩耗性能が悪化する傾向があり、低燃費性能と耐摩耗性能とを高次元で両立させることは困難であった。また、上記ゴム組成物においては、低燃費性能や耐摩耗性能の他、耐劣化性能も要求されており、これらの性能をバランス良く改善する方法が望まれていた。
特許文献1には、石油外資源の含有比率を高めるために、天然ゴム及びエポキシ化天然ゴムを用いたゴム組成物が開示されている。しかし、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランスよく改善する点については、未だ改善の余地を残している。
特開2007−169431号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分、シリカ及び下記式(2)で表される化合物を含み、上記ゴム成分は、リン含有量が200ppm以下である改質天然ゴムと下記式(1)で表される化合物により変性された変性ブタジエンゴムとを含み、上記ゴム成分100質量%中、改質天然ゴムの含有量が40〜95質量%であり、変性ブタジエンゴムの含有量が5〜60質量%であり、上記ゴム成分100質量部に対して、下記式(2)で表される化合物の含有量が0.1〜10質量部であり、シリカの含有量が10〜60質量部であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 0005508121
(式(1)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基又は環状エーテル基を表す。nは整数を表す。)
Figure 0005508121
(式(2)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
上記改質天然ゴムのトルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下であることが好ましい。
上記改質天然ゴムは、クロロホルム抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在せず、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。
上記改質天然ゴムの窒素含有量が0.3質量%以下であることが好ましい。
上記改質天然ゴムは、天然ゴムラテックスをケン化処理して得られたものであることが好ましい。
上記ゴム組成物は、重荷重用タイヤのトレッドに使用されることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤに関する。
本発明によれば、改質天然ゴム、特定の変性ブタジエンゴム、シリカ及び特定の化合物を含むタイヤ用ゴム組成物であるので、該ゴム組成物を重荷重用タイヤのトレッドに使用することにより、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランス良く改善した重荷重用タイヤを提供できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、リン含有量が200ppm以下である改質天然ゴム(HPNR)、上記式(1)で表される化合物により変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)、シリカ及び上記式(2)で表される化合物を含む。天然ゴム(NR)中に含まれるタンパク質やゲル分、リン脂質を低減、除去した改質天然ゴム(HPNR)を用いることでNRの使用に比べて、更なる低燃費化を図ることができる。
しかし、HPNRをNRのケン化処理などによって合成する際、その合成時にNR中の劣化防止成分も除去されるため、ゴムの劣化が速くなり、結果として、耐摩耗性能や耐劣化性能などの性能に劣ってしまう。また、HPNRとシリカを併用した場合、更に大きな低燃費化を実現できるものの、耐摩耗性能が低下する傾向がある。ブタジエンゴムを使用することで耐摩耗性能の低下をある程度は抑制できるが、シリカ配合系において、その効果は充分ではない。
これに対し、本発明では、ゴム成分としてHPNRとともに変性BRを使用しているため、低燃費性能をより改善できるとともに、良好なシリカの分散性が得られ、耐摩耗性能も改善でき、これらを良好に両立できる。また、上記式(2)で表される化合物を上記成分と併用することで、結合エネルギーが高く、熱安定性が高いCC結合をゴム組成物に保有させることができるため、良好な低燃費性能を維持しながら、耐摩耗性能及び耐劣化性能を改善することができる。その結果、低燃費性能、耐摩耗性能及び耐劣化性能をバランス良く改善できる。
上記改質天然ゴム(HPNR)は、リン含有量が200ppm以下である。200ppmを超えると、貯蔵中にゲル量が増加し、加硫ゴムのtanδが上昇する傾向がある。該リン含有量は、150ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。ここで、リン含有量は、たとえばICP発光分析等、従来の方法で測定することができる。リンは、リン脂質(リン化合物)に由来するものである。
改質天然ゴム中のゲル含有率は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。20質量%を超えると、ムーニー粘度が高くなるなど、加工性が低下する傾向がある。ゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定した値を意味し、以下においては単に「ゲル含有率」または「ゲル分」と称することがある。ゲル分の含有率の測定方法は次のとおりである。まず、天然ゴム試料を脱水トルエンに浸し、暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×10rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
改質天然ゴムは、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。「実質的にリン脂質が存在しない」とは、天然ゴム試料をクロロホルムで抽出し、抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在しない状態を表す。−3ppm〜1ppmに存在するリンのピークとは、リン脂質におけるリンのリン酸エステル構造に由来するピークである。
改質天然ゴムにおいて、窒素含有量は0.3質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましい。窒素含有量が0.3質量%を超えると、貯蔵中にムーニー粘度が上昇する傾向がある。窒素はタンパク質に由来する。窒素含有量は、例えばケルダール法等、従来の方法で測定することができる。
改質天然ゴムの製造方法としては、例えば、天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化し、ケン化後凝集させたゴムを洗浄し、その後乾燥することにより製造する方法が挙げられる。ケン化処理は、天然ゴムラテックスに、アルカリと、必要に応じて界面活性剤を添加して所定温度で一定時間、静置することにより行う。なお、必要に応じて撹拌等を行っても良い。上記製造方法によれば、ケン化により分離したリン化合物が洗浄除去されるので、天然ゴムのリン含有量を抑えることができる。また、ケン化処理により、天然ゴム中の蛋白質が分解されるので、天然ゴムの窒素含有量を抑えることができる。本発明では、天然ゴムラテックスにアルカリを添加してケン化できるが、天然ゴムラテックスに添加することにより、効率的にケン化処理を行えるという効果がある。
天然ゴムラテックスはヘビア樹の樹液として採取され、ゴム分のほか水、蛋白質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、ヘビア樹をタッピングして出てくる生ラテックス、あるいは遠心分離法によって濃縮した精製ラテックスを使用できる。更に、生ゴムラテックス中に存在するバクテリアによる腐敗の進行を防止し、ラテックスの凝固を避けるために、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックスであってもよい。
ケン化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物等が挙げられ、ケン化処理の効果や天然ゴムラテックスの安定性への影響の観点から、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いることが好ましい。
アルカリの添加量は特に限定されないが、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、上限は12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下が更に好ましく、5質量部以下が特に好ましい。アルカリの添加量が0.1質量部未満では、ケン化処理に時間がかかってしまうおそれがある。また逆にアルカリの添加量が12質量部を超えると天然ゴムラテックスが不安定化するおそれがある。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能である。陰イオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤があげられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤があげられる。両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤があげられる。なかでも、陰イオン性界面活性剤が好ましく、スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1.1質量部以上が更に好ましく、2.0質量部以上が特に好ましく、上限は6.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.5質量部以下が更に好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量部未満では、ケン化処理時に天然ゴムラテックスが不安定化するおそれがある。また逆に界面活性剤の添加量が6.0質量部を超えると天然ゴムラテックスが安定化しすぎて凝固が困難になるおそれがある。また、1.1質量部以上である場合には、天然ゴム中のリン含有量、窒素含有量、ゲル含有率をより低減することができる。
ケン化処理の温度は、アルカリによるケン化反応が十分な反応速度で進行しうる範囲、および天然ゴムラテックスが凝固等の変質を起こさない範囲で適宜、設定できるが、通常は20〜70℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。また処理の時間は、天然ゴムラテックスを静置して処理を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行うことと、生産性を向上することとを併せ考慮すると3〜48時間が好ましく、3〜24時間がより好ましい。
ケン化反応終了後、凝集させたゴムを破砕し、洗浄処理を行う。凝集方法としては、例えば、ギ酸等の酸を添加し、pHを調整する方法が挙げられる。また、洗浄処理としては、例えばゴム分を水で希釈して洗浄後、遠心分離処理を行い、ゴム分を取り出す方法が挙げられる。遠心分離する際は、まず天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるように水で希釈する。次いで、5000〜10000rpmで1〜60分間遠心分離すればよく、所望のリン含有量になるまで洗浄を繰り返せばよい。洗浄処理終了後、ケン化処理天然ゴムラテックスが得られる。ケン化処理天然ゴムラテックスを乾燥することにより、本発明における改質天然ゴムが得られる。
上記製造方法では、天然ゴムラテックス採取後15日以内にケン化、洗浄及び乾燥の工程を終了することが好ましい。より好ましくは10日以内、更に好ましくは5日以内である。採取後固形化せずに15日を超えて放置しておくとゲル分が増大していくためである。
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の改質天然ゴムの含有量は、40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。40質量%未満であると、優れた低燃費性能が得られないおそれがある。該含有量は、95質量%以下であり、好ましくは85質量%以下である。95質量%を超えると、耐摩耗性能や耐劣化性能が悪化するおそれがある。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、下記式(1)で表される化合物により変性されたブタジエンゴム(変性BR)を含む。変性BRを含むことにより、変性BRの変性基がシリカなどのフィラーと結合するため、ゴムの運動によるエネルギーロスを低減することができ、低燃費性能を向上できる。また、シリカの分散性を改善でき、耐摩耗性も向上できる。
なお、変性ブタジエンゴムとしては、末端に変性基を有するものであっても、主鎖中に変性基を有するものであってもよいが、変性が容易であるという点から、末端変性基を有するものが好ましい。
Figure 0005508121
上記式(1)で表される化合物において、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基などの炭素数1〜8のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)などが挙げられる。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基などの炭素数5〜8のシクロアルコキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基などの炭素数6〜8のアリールオキシ基など)も含まれる。
上記シリルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、ジエチルイソプロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基など)などが挙げられる。
上記アセタール基としては、例えば、−C(RR′)−OR″、−O−C(RR′)−OR″で表される基を挙げることができる。前者としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、t−ブトキシメチル基、ネオペンチルオキシメチル基などが挙げられ、後者としては、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、i−プロポキシメトキシ基、n−ブトキシメトキシ基、t−ブトキシメトキシ基、n−ペンチルオキシメトキシ基、n−ヘキシルオキシメトキシ基、シクロペンチルオキシメトキシ基、シクロヘキシルオキシメトキシ基などを挙げることができる。
、R及びRとしては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。これにより、フィラーの分散性の改善効果を高めることができる。
上記式(1)で表される化合物において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基又は環状エーテル基を表す。
及びRのアルキル基としては、例えば、上記アルキル基と同様の基を挙げることができる。
及びRの環状エーテル基としては、例えば、オキシラン基、オキセタン基、オキソラン基、オキサン基、オキセパン基、オキソカン基、オキソナン基、オキセカン基、オキセト基、オキソール基などのエーテル結合を1つ有する環状エーテル基、ジオキソラン基、ジオキサン基、ジオキセパン基、ジオキセカン基などのエーテル結合を2つ有する環状エーテル基、トリオキサン基などのエーテル結合を3つ有する環状エーテル基などが挙げられる。なかでも、フィラーの分散性の改善効果が大きいという点から、エーテル結合を1つ有する炭素数2〜7の環状エーテル基が好ましく、エーテル結合を1つ有する炭素数3〜5の環状エーテル基がより好ましい。また、環状エーテル基は環骨格内に不飽和結合を有していないことが好ましい。
及びRとしては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1〜2)が好ましく、エチル基がより好ましい。これにより、フィラーの分散性の改善効果を高め、耐摩耗性能を向上できる。
n(整数)としては、2〜5が好ましい。これにより、フィラーの分散性の改善効果を高めることができる。更には、nは2〜4がより好ましく、3が最も好ましい。nが1以下であると変性反応が阻害される場合があり、nが6以上であると変性剤としての効果が薄れる。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルブトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、ジメチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジメチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジメチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジエトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジエチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジエトキシメチルシラン、下記式(3)〜(10)で表される化合物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、フィラーの分散性の改善効果が大きいという点から、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005508121
上記式(1)で表される化合物(変性剤)によるブタジエンゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報、特表2003−514078号公報などに記載されている方法など、従来公知の手法を用いることができる。例えば、ブタジエンゴムと変性剤とを接触させればよく、ブタジエンゴムを重合し、該重合体ゴム溶液中に変性剤を所定量添加する方法、ブタジエンゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法などが挙げられる。
変性されるブタジエンゴム(BR)としては特に限定されず、高シス含有量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRなどを使用できる。また、特表2003−514078号公報などに記載されているランタン系列希土類含有化合物を含む触媒を用いて重合して得られたBRも使用できる。
変性BRのビニル含量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。ビニル含量が35質量%を超えると、低燃費性能が悪化する傾向がある。ビニル含量の下限は特に限定されない。
なお、本明細書において、変性BRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム成分100質量%中の変性BRの含有量は、5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性能や耐摩耗性能を充分に改善できないおそれがある。該変性BRの含有量は、60質量%以下であり、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。60質量%を超えると、HPNRの配合比率が少なくなり、所望の機械的強度が得られなくなるおそれがある。
ゴム成分100質量%中のHPNR及び変性BRの合計含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%である。70質量%未満であると、低燃費性能及び耐摩耗性能の両立が困難となる場合がある。
上記改質天然ゴム及び変性ブタジエンゴム以外に本発明に使用されるゴム成分としては、一般にタイヤ用ゴム組成物に使用されるジエン系ゴム等が挙げられる。ジエン系ゴムの具体例としては、上記改質天然ゴム以外の天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エポキシ化天然ゴムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、シリカが使用される。変性BRとともにシリカを含有することにより、低燃費性能を向上できる。シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは120m/g以上である。80m/g未満であると、シリカの補強効果が小さいため、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは220m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。250m/gを超えると、シリカの分散性が低下する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは12質量部以上である。10質量部未満では、充分な低燃費性能が得られないおそれがある。また、シリカの含有量は、60質量部以下であり、好ましくは45質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは18質量部以下である。60質量部を超えると、加工性が低下する傾向がある。
本発明では、シリカとともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられ、なかでも、加工性が良好であるという点から、スルフィド系シランカップリング剤を用いることが好ましい。また、スルフィド系シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどが挙げられ、なかでも、加工性が良好であるという点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。
シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。2質量部未満では、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、13質量部以下がより好ましい。15質量部を超えると、シランカップリング剤の配合による耐摩耗性能の改善効果がみられず、コストの増大に見合った効果が得られない傾向がある。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は90m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましく、105m/gが更に好ましい。90m/g未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、120m/g以下が更に好ましい。200m/gを超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなる傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。10質量部未満では、補強性を充分に改善できないおそれがある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。70質量部を超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなる傾向がある。
本発明のゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは35質量部以上、更に好ましくは45質量部以上である。また、上記合計含有量は、好ましくは130質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。上記範囲内とすることにより、良好な耐摩耗性能が得られる。また、上記合計含有量を減量しなくても良好な低燃費性能が得られる。
本発明では、下記式(2)で表される化合物が使用される。該化合物を配合することにより、結合エネルギーが高く、熱安定性が高いCC結合をゴム組成物に保有させることができるため、良好な低燃費性能を維持しながら、耐摩耗性能及び耐劣化性能を改善することができる。
Figure 0005508121
(上記式(2)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
アルキレン基としては、特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のものがあげられるが、なかでも、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
アルキレン基の炭素数は2〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。アルキレン基の炭素数が1では、熱的な安定性が悪く、S−S結合から得られるメリットが得られない傾向があり、アルキレン基の炭素数が11以上では、S架橋鎖以上の長さとなってしまい、−S−に置換して、置き換わることが困難となる傾向がある。
上記条件を満たすアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基などがあげられる。なかでも、ポリマー/ポリマー間の硫黄架橋にスムーズに置換し、熱的にも安定であるという理由から、ヘキサメチレン基が好ましい。
及びRとしては、チッ素原子を含む1価の有機基であれば特に限定されないが、芳香環を少なくとも1つ含むものが好ましく、炭素原子がジチオ基に結合したN−C(=S)−で表される結合基を含むものがより好ましい。
及びRは、それぞれ同一でも、異なっていてもよいが、製造の容易さなどの理由から、同一であることが好ましい。
上記条件を満たす化合物としては、例えば、1,2−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンなどがあげられる。なかでも、熱的に安定であり、分極性に優れるという理由から、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。
上記式(2)で表される化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上であり、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。0.1質量部未満であると、上記式(2)で表される化合物を配合したことにより得られる効果が小さい傾向がある。上記式(2)で表される化合物の含有量は、10質量部以下であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、特に好ましくは1.5質量部以下である。10質量部を超えると、架橋密度が高くなり過ぎて、耐摩耗性能が悪化するおそれがある。
本発明では、通常、硫黄が使用される。
硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などが挙げられる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上である。0.1質量部未満であると、加硫速度が遅くなり、生産性が悪化するおそれがある。硫黄の含有量は、好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは1.7質量部以下、更に好ましくは1.3質量部以下、特に好ましくは0.7質量部以下である。2.5質量部を超えると、老化後のゴム物性変化が大きくなるおそれがある。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に硫黄が使用される場合、硫黄及び上記式(2)で表される化合物の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.2質量部以上である。1質量部未満であると、加硫速度が遅くなる傾向がある。該合計含有量は、好ましくは3質量部以下であり、より好ましくは2.5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、特に好ましくは1.7質量部以下である。3質量部を超えると、架橋密度が高くなり過ぎて、耐摩耗性能が悪化するおそれがある。
硫黄の含有量(質量)/式(2)で表される化合物の含有量(質量)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.3以上である。0.05未満であると、加硫速度が遅くなる傾向がある。また、該質量比は、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下である。2.5を超えると、上記式(2)で表される化合物を配合する効果が充分に得られないおそれがある。
本発明では、通常、加硫促進剤が使用される。加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、N,N’−ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられる。なかでも、加硫速度をコントロールしやすいという理由からTBBS、CBS、DZなどのスルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、TBBSがより好ましい。
本発明では、オイルが使用されてもよい。本発明のタイヤ用ゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0質量部(実質的に含有しない)である。本発明のタイヤ用ゴム組成物は、HPNRの使用により、NRの使用に比べてムーニー粘度を低減できるため、良好な加工性を維持しながら、オイルを減量することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、重荷重用タイヤ(特にトラック・バス用)のトレッド(キャップトレッド)に好適に使用できる。
本発明の重荷重用タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどのタイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の重荷重用タイヤを製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴムラテックス:タイテックス社から入手したフィールドラテックスを使用
界面活性剤:花王(株)製のEmal−E(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
NR:TSR20
HPNR(ケン化処理天然ゴム):下記製造例1より得られた固形ゴム
BR:日本ゼオン(株)製のNipol BR1220(ビニル含量:1質量%、非変性)
変性BR:住友化学(株)製の変性ブタジエンゴム(ビニル含量:15質量%、上記式(1)のR、R及びR=−OCH、R及びR=−CHCH、n=3)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:111m/g)
シリカ:デグッサ社製のULTRASIL VN3(NSA:175m/g、平均一次粒子径:15nm)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX 6PPD)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
VP KA9188:ランクセス社製のVP KA9188(1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
(アルカリによる改質天然ゴムの作製)
製造例1
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、Emal−E10gとNaOH20gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整し、凝集させた。凝集したゴムを粉砕し、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後110℃で2時間乾燥して固形ゴム(ケン化天然ゴム)を得た。
製造例1により得られた固形ゴム及びTSRについて以下に示す方法により、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率を測定した。結果を表1に示す。
(窒素含有量の測定)
窒素含有量は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業社製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、製造例で得られたケン化天然ゴム又はTSRのサンプル約10mgを秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
(リン含有量の測定)
ICP発光分析装置(ICPS−8100、島津製作所(株)製)を使用してリン含有量を求めた。
また、リンの31P−NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー社製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDClに溶解して測定した。
(ゲル含有率の測定)
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
Figure 0005508121
表1に示すように、ケン化天然ゴム(HPNR)は、TSRに比べて、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率が低減していた。また、製造例1において得られた改質天然ゴムから抽出した抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークを検出しなかった。
<実施例及び比較例>
表2に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型でプレスし、加硫ゴム組成物を得た。これを新品ゴムとして、以下の試験を行った。
(発熱性能指数)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例3のtanδを100として、各配合のtanδを指数表示した。数値が小さいほど発熱しにくく、低燃費性能に優れることを示す。
(発熱性能指数)=(各配合のtanδ)/(比較例3のtanδ)×100
(耐摩耗性能指数)
岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/min、負荷荷重3.0kg、かつ落砂量15g/minでスリップ率20%の条件下にて上記加硫ゴム組成物のランボーン摩耗量を測定した。そして、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例3の容積損失量を100として、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。数値が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能指数)=(比較例3の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
(耐劣化性能指数)
上記加硫ゴム組成物を80℃のオーブンで7日間熱劣化させ、これを劣化品とした。
JIS K6251に準じて引張試験を行い、上記劣化品の破断伸びを測定した。そして、比較例3の破断伸びを100として、下記計算式により、各配合の破断伸びを指数表示した。数値が大きいほど、耐劣化性能に優れることを示す。
(耐劣化性能指数)=(各配合の破断伸び)/(比較例3の破断伸び)×100
Figure 0005508121
表2より、HPNR、変性BR、シリカ及びVP KA9188を含む実施例では、耐摩耗性能、耐劣化性能及び低燃費性能をバランス良く向上できた。一方、上記成分を併用していない比較例は、実施例と比べ性能が劣っていた。

Claims (9)

  1. ゴム成分、シリカ及び下記式(2)で表される化合物を含み、
    前記ゴム成分は、リン含有量が200ppm以下である改質天然ゴムと下記式(1)で表される化合物により変性された変性ブタジエンゴムとを含み、
    前記ゴム成分100質量%中、改質天然ゴムの含有量が40〜95質量%であり、変性ブタジエンゴムの含有量が5〜60質量%であり、
    前記ゴム成分100質量部に対して、下記式(2)で表される化合物の含有量が0.1〜10質量部であり、シリカの含有量が10〜60質量部であるタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0005508121
    (式(1)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基又は環状エーテル基を表す。nは整数を表す。)
    Figure 0005508121
    (式(2)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
  2. 前記改質天然ゴムのトルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下である請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記改質天然ゴムは、クロロホルム抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在せず、実質的にリン脂質が存在しない請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記改質天然ゴムの窒素含有量が0.3質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記改質天然ゴムは、天然ゴムラテックスをケン化処理して得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記シリカのチッ素吸着比表面積が200m /g以下である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. チッ素吸着比表面積が100m /g以上のカーボンブラックを含む請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 重荷重用タイヤのトレッドに使用される請求項1〜のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤ。
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