JP5566864B2 - 指向特性変更方法 - Google Patents
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Description
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、周期構造体と1個の励振素子で、簡単に励振素子から放射される電波の垂直面内あるいは水平面内のビーム方向を変更することが可能となる指向特性変更方法を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
(1)金属板で構成された反射板と、前記反射板上に配置され、複数の導電体パターンがマトリクス状に配置された周期構造体と、前記反射板と前記周期構造体との間に配置される励振素子とを有するアンテナ装置の指向特性変更方法であって、前記励振素子の位置を前記周期構造体の中心位置から第1方向(例えば、垂直方向、あるいは水平方向)に移動させて、前記励振素子から放射される電波の前記第1方向面内(例えば、垂直面内、あるいは水平面内)のビーム方向を変更する。
(2)励振素子と、前記励振素子の周囲を取り囲む周期構造体とを備え、前記周期構造体は、展開した状態において、複数の導電体パターンがマトリクス状に配置されているアンテナ装置の指向特性変更方法であって、前記励振素子の位置を前記周期構造体の中心位置から第1方向(例えば、垂直方向)に移動させて、前記励振素子から放射される電波の前記第1方向面内(例えば、垂直面内)のビーム方向を変更する。
(3)(2)において、前記周期構造体は、前記周期構造体の延長方向と直交する方向で切断した断面形状が円形であり、前記周期構造体の導電体パターンは、矩形形状である。
(4)(1)または(2)において、前記励振素子は、ダイポールアンテナ、あるいは、パッチアンテナである。
本発明によれば、周期構造体と1個の励振素子で、簡単に励振素子から放射される電波の垂直面内あるいは水平面内のビーム方向を変更することが可能となる。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
[本発明が適用されるアンテナの一例]
図1は、本発明が適用されるアンテナの一例を説明するための図であり、図1(a)は励振素子2の配置を示す図であり、図1(b)は、図1(a)に周期構造体3を配置した本発明が適用されるアンテナの一例の概略構成を示す斜視図である。また、図2は、図1(b)に示すアンテナの断面図である。
図1(b)、図2に示すアンテナは、反射板1と、反射板1上に配置される励振素子(本発明が適用されるアンテナでは、ダイポールアンテナ素子)2と、励振素子2上に配置される周期構造体3とを有する。反射板1は、金属板からなり、両側に形成された側面と、底面とで構成される。
ここで、反射板1の底面と、励振素子2との間隔(図2のHd)は、励振素子2の種類(ダイポールアンテナ素子、あるいはパッチ素子など)において、入力インピーダンスが適切な値になる位置に設定すればよい。
また、周期構造体3は、反射板1の側面に直交するように配置され、13×2のマトリクス状に配置された複数の導電体パターン5で構成される。ここで、13×2のマトリクス状に配置された複数の導電体パターン5は、例えば、合成樹脂基板上に印刷された複数の導電体パターンで構成される。
また、反射板1の底面の中心部と、周期構造体3との間隔(He)は、0.45λo(λoは、使用中心周波数foの自由空間波長)以上とされる。反射板1の底面と、周期構造体3との間の空間に誘電体層を設けた場合は、Heは誘電体の比誘電率εrの平方根√(εr)で除した値、0.45λo/√(εr)以上とされる。
本実施例において、励振素子2で励振・放射された電波は、反射板1の反射面と、周期構造体3との間で反射を繰り返すが、反射板1の反射面と、周期構造体3との間隔が、約(n/2)λo(nは整数)の場合、間隙から放射された電波は同相で放射される。
周期構造体3は、核となる導電体パターン5のインダクタンスと、隣接する導電体パターン5との間でキャパシタンスを形成するため、固有のインピーダンス面を作り出す。そして、周期構造体3の導電体パターン5の大きさと間隔を適切に選ぶことにより適切なインピーダンス面を実現し、大きな利得を得ることができる。
従って、核となる導電体パターン5のパターンが小さい場合には、隣接する導電体パターン5との間隔を狭め、核となる導電体パターン5のパターンが大きさい場合には、隣接する導電体パターン5との間隔を広げる必要がある。
(1)反射板1の幅(図2のW)が、0.87λo(λoは、使用中心周波数の自由空間波長)
(2)反射板1の側面の高さ(即ち、反射板1の底面と周期構造体3との間隔)(図2のHe)が、0.57λo
(3)周期構造体3の導電体パターン5の大きさが、0.29λo×0.29λo
(4)反射板1の底面と励振素子2との間隔(図2のHd)が、0.27λo
(5)反射板1の全長は、5.2λo
(6)中心周波数は5.7GHz
図3は、図1(b)、図2に示すアンテナにおいて、上記パラメータの条件下の垂直面内の指向特性(図1に示すX−Z面)の一例を示すグラフである。図4は、図1(a)に示す半波長ダイポールアンテナ素子の垂直面内の指向特性(図1に示すX−Z面)の一例を示すグラフである。
図3に示すグラフにおいて、中心は、−10dB、外側の円は、20dBであり、図4に示すグラフにおいて、中心は、−25dB、外側の円は、5dBである。
図4に示すグラフにおいて、最大利得は約2.53dBであるのに対して、図3に示すグラフでは、最大利得は約16.28dBである。このように、本発明が適用されるアンテナは、図1(a)に示す半波長ダイポールアンテナ素子よりも、利得が大幅に向上していることが分かる。
さらに、図3と、図4のグラフを比較することにより、図1(b)、図2に示すアンテナは、図1(a)に示す半波長ダイポールアンテナ素子よりも、狭ビーム化されていることが分かる。
なお、図1(b)、図2に示すアンテナにおいて、周期構造体3を構成する導電体パターン5の形状は正方形に限らず、円形でも、三角形でも、長方形でも、多角形でもよい。
例えば、図1(b)において、導電体パターン5を、Y方向に2個配置しているが、導電体パターン5を、Y方向に3個以上配置する場合には、反射板1の幅(図2のW)を、0.87λo以上にする必要があることはいうまでもない。同様に、反射板1の全長も、X方向に配置する導電体パターン5の数により、変化させる必要がある。
また、周期構造体3の導電体パターン5の大きさも、合成樹脂基板の誘電率により、適宜変化させる必要がある。
さらに、前述の説明では、周期構造体3の導電体パターン5を、合成樹脂基板上に印刷された複数の導電体パターンで構成する場合について説明したが、周期構造体3の導電体パターン5を、合成樹脂基板を用いずに導体だけで構成することも可能である。この場合にも、周期構造体3の導電体パターン5の大きさも適宜変化させる必要がある。
図5は、本発明の実施例1の指向特性変更方法を説明するための斜視図であり、図1(b)、図2に示すアンテナにおいて、励振素子2を、周期構造体3の中心位置から上側に、約2.5λo(λoは、使用中心周波数の自由空間波長)移動させた状態のアンテナを示す斜視図である。
図5に示すように、本実施例の指向特性変更方法は、図1(b)、図2に示すアンテナにおいて、励振素子2の位置を、周期構造体3の中心位置から反射板1の長手方向(換言すれば、励振素子2であるダイポールアンテナから放射される電波の偏波方向)に移動させて、励振素子2から放射される電波のチルト角(図1に示すX−Z面の垂直面内のビーム方向)を変更することを特徴とする。
図6は、図5に示すアンテナの垂直面内の指向特性(図5に示すX−Z面)の一例を示すグラフである。図6に示すグラフにおいて、中心は、−10dB、外側の円は、20dBである。
図3に示す指向特性と、図6に示す指向特性とを比較すると、図5に示すアンテナでは、ビームが下側にチルトされていることが分かる。この理由は、図5に示すアンテナのように、励振素子2がアンテナの上方向に来ると、励振素子2が中心にあるときより、上側の周期構造体3の間隙から放射される電波の位相が早くなり、逆に、下側の周期構造体3の間隙から放射される電波の位相が遅くなるので、合成するとビームがチルトされるものと想定される。
それに対し、本実施例では、図1(b)、図2に示すアンテナにおいて、励振素子2の位置を、周期構造体3の中心位置から反射板1の長手方向に移動させるだけでよいので、簡単にビームをチルトすることが可能とである。
なお、前述の説明では、図1(b)、図2に示すアンテナにおいて、励振素子2の位置を、周期構造体3の中心位置から反射板1の長手方向(換言すれば、励振素子2であるダイポールアンテナから放射される電波の偏波方向)に移動させて、励振素子2から放射される電波のチルト角(図1に示すX−Z面の垂直面内のビーム方向)を変更するようにしたが、図1(b)、図2に示すアンテナにおいて、励振素子2の位置を、周期構造体3の中心位置から反射板1の短手方向(換言すれば、励振素子2であるダイポールアンテナから放射される電波の偏波方向と直交する方向)に移動させることにより、励振素子2から放射される電波のビーム方向(図1に示すY−Z面の水平面内のビーム方向)を変更することも可能である。
図7は、本発明が適用されるアンテナの他の例を説明するための図であり、図7(a)は励振素子2の配置を示す図であり、図7(b)は、図7(a)に周期構造体3を配置した本発明が適用される無指向性アンテナの一例の概略構成を示す斜視図である。
図7(b)に示すように、本発明が適用される無指向性アンテナは、励振素子2(本発明が適用される無指向性アンテナでは、半波長ダイポールアンテナ素子)と、励振素子2の周囲を覆う円筒状の周期構造体3とを有する。
図8は、展開した状態の、図7(b)に示す周期構造体3を示す図である。図8に示すように、周期構造体3は、19×8のマトリクス状に配置された複数の導電体パターン5で構成され、励振素子2は、円筒状の周期構造体3の中心に配置される。ここで、19×8のマトリクス状に配置された複数の導電体パターン5は、例えば、合成樹脂基板上に印刷された複数の導電体パターンで構成される。
また、円筒状の周期構造体3の直径(図1のLT)は、0.75λo〜1.0λo(λoは、使用周波数foの自由空間波長)とされる。即ち、励振素子2と周期構造体3との間隔は、0.375λo〜0.5λoとされる。
さらに、図8に示すように、導電体パターン5は、一辺(図2のLH)が、0.2λo〜0.3λoの矩形形状とされる。
図7(b)に示す無指向性アンテナにおいて、励振素子2で励振・放射された電波は、周期構造体3の間で反射を繰り返すが、周期構造体3の直径が、約4×nλo/5(nは整数)の場合、間隙から放射された電波は同相で放射される。
周期構造体3は、核となる導電体パターン5のインダクタンスと、隣接する導電体パターン5との間でキャパシタンスを形成するため、固有のインピーダンス面を作り出す。そして、周期構造体3の導電体パターン5の大きさと間隔を適切に選ぶことにより適切なインピーダンス面を実現し、大きな利得を得ることができる。
従って、核となる導電体パターン5のパターンが小さい場合には、隣接する導電体パターン5との間隔を狭め、核となる導電体パターン5のパターンが大きさい場合には、隣接する導電体パターン5との間隔を広げる必要がある。
(1)周期構造体3の直径が、約0.83λo
(2)導電体パターン5の一辺(図2のLH)が、0.26λo
(3)中心周波数は5.7GHz
図9は、図7(b)に示す無指向性アンテナの垂直面内の指向特性(図7に示すX−Z面)の一例を示すグラフである。
図9に示すグラフにおいて、中心は、−30dB、外側の円は、0dBである。
図4に示すグラフにおいて、最大利得は約2.53dBであるのに対して、図7(b)に示す無指向性アンテナの最大利得は10.279dBである。このように、本実施例の無指向性アンテナは、図1(b)に示す半波長ダイポールアンテナ素子よりも、利得が大幅に向上している。
さらに、図9と、図4のグラフを比較することにより、図7(b)に示す無指向性アンテナは、図1(b)に示す半波長ダイポールアンテナ素子よりも、狭ビーム化されていることが分かる。
なお、図7(b)に示す無指向性アンテナにおいて、周期構造体3を構成する導電体パターン5の形状は正方形に限らず、円形でも、三角形でも、長方形でも、多角形でもよい。
また、図7(b)に示す無指向性アンテナにおいて、周期構造体3は、円筒状に限らず、励振素子2の延長方向で切断した断面形状が、6角形、8角形などの多角形形状であってもよい。
図10は、本発明の実施例2の指向特性変更方法を説明するための斜視図であり、図7(b)に示す無指向性アンテナにおいて、励振素子2を、周期構造体3の中心位置から上側に2.5λo(λoは、図7(b)に示す無指向性アンテナにおける使用中心周波数の自由空間波長)移動させた状態の無指向性アンテナを示す斜視図である。
図10に示すように、本実施例の指向特性変更方法は、図7(b)に示す無指向性アンテナにおいて、励振素子2の位置を、周期構造体3の中心位置から周期構造体3の長手方向(換言すれば、励振素子2であるダイポールアンテナから放射される電波の偏波方向)に移動させて、励振素子2から放射される電波のチルト角(図7に示すX−Z面の垂直面内のビーム方向)を変更することを特徴とする。
図11は、本発明の実施例2の無指向性アンテナの垂直面内の指向特性(図10に示すX−Z面)の一例を示すグラフである。図11に示すグラフにおいて、中心は、−30.0dB、外側の円は、0dBである。
また、図12は、図7(b)に示す無指向性アンテナにおいて、励振素子を、周期構造体の中心位置から下側(図10における励振素子2の配置を上側とする)に2.5λo移動させた状態の無指向性アンテナにおける、垂直面内の指向特性(図10に示すX−Z面)の他の例を示すグラフである。図12に示すグラフにおいて、中心は、−30.0dB、外側の円は、0dBである。
このように、本実施例では、図7(b)に示す無指向性アンテナにおいて、励振素子2の位置を、周期構造体3の中心位置から上側、あるいは、下側に移動させるだけでよいので、簡単にビームをチルトすることが可能とである。
なお、図5に示す本実施例1のアンテナ、および図10に示す無指向性アンテナにおいて、励振素子2は、ダイポールアンテナ素子に限定されるものではなく、パッチ素子等も使用可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
2 励振素子
3 周期構造体
5 導電体パターン
10 コーナレフレクタ
121〜126 ダイポールアンテナ(放射素子)
Claims (7)
- 金属板で構成された反射板と、
前記反射板上に配置され、複数の導電体パターンがマトリクス状に配置された周期構造体と、
前記反射板と前記周期構造体との間に配置される励振素子とを有するアンテナ装置の指向特性変更方法であって、
前記励振素子の位置を前記周期構造体の中心位置から第1方向に移動させて、前記励振素子から放射される電波の前記第1方向面内のビーム方向を変更することを特徴とする指向特性変更方法。 - 励振素子と、
前記励振素子の周囲を取り囲む周期構造体とを備え、
前記周期構造体は、展開した状態において、複数の導電体パターンがマトリクス状に配置されているアンテナ装置の指向特性変更方法であって、
前記励振素子の位置を前記周期構造体の中心位置から第1方向に移動させて、前記励振素子から放射される電波の前記第1方向面内のビーム方向を変更することを特徴とする指向特性変更方法。 - 前記第1方向は、垂直方向であり、
前記第1方向面内は、垂直面内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指向特性変更方法。 - 前記第1方向は、水平方向であり、
前記第1方向面内は、水平面内であることを特徴とする請求項1に記載の指向特性変更方法。 - 前記周期構造体は、前記周期構造体の延長方向と直交する方向で切断した断面形状が円形であり、
前記周期構造体の導電体パターンは、矩形形状であることを特徴とする請求項2に記載の指向特性変更方法。 - 前記励振素子は、ダイポールアンテナであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指向特性変更方法。
- 前記励振素子は、パッチアンテナであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指向特性変更方法。
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