JP3958350B2 - 高周波デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波、ミリ波などの高周波電磁波を利用した装置に用いられる高周波デバイスに関する。
接地導体中に設けられたスロットは、電気ダイポールと等価なアンテナとして電磁波を輻射することが知られている。低姿勢で簡便な構造であるため、多層基板間の電磁気的結合や、放射器への給電などに利用することができ、例えば通信用途の無線装置の高周波回路などへ利用されている。
一方、スロットを既存のアンテナ技術と併用して、アンテナ特性を改変する従来の技術として、例えば、特許文献1などがある。この文献記載の技術の概要を図19Aおよび図19Bを用いて説明する。
図19Aおよび図19Bに示すように、当該技術は、誘電体基板702の一方の面に導体にて形成されたパッチ704が配置され、他方の面に同じく導体にて形成された接地層703が形成されて、さらにパッチ704と給電点706とを電気的に接続する給電線路705が形成されたマイクロストリップパッチアンテナ701に関するものである。また、図19Aおよび図19Bに示すように、このマイクロストリップパッチアンテナ701においては、接地層703に切欠き部分であるスロット707を設け、そのスロット707を接地層703の中心に対し非対称に配置させることで、帰還電流のバランスを崩してコモンモードの電流を発生させることにより、アンテナ特性の無指向性化および広周波数帯域化を達成しようとするものである。なお、図19Aは、パッチアンテナ701の模式平面図であって、図19Bは、図19Aのパッチアンテナ701におけるA1−A2線模式断面図である。
特開2000−196341号公報 米国特許US6323809「Fragmented Aperture Antennas and Broadband Ground Planes」 「IEEE Transaction on Antennas and Propagation, Volume 52, Number 6, June 2004, pp.1434 (A Reconfigurable Aperture Antenna Based on Switched Links Between Electrically Small Metallic Patches)」
このようなマイクロストリップ線路構造を用いた従来のパッチアンテナにおいては、接地層に形成されたスロットの形状、大きさ、および給電線路との位置関係により、その共振周波数とモード、放射Q、給電線路との結合度が決定される。そのため、従来のスロット設計においては、予め、仕様に合わせてスロットの形状と位置などを理論計算により求めて決定する必要がある。このような設計手法によれば、広帯域に安定した伝送特性を有するマイクロストリップ線路から給電するスロットであっても、基板の作成後、すなわち、アンテナの基本的な構造を作成後、使用条件の変更等に応じて、スロットの共振周波数や給電線路との結合度などを変更することが困難であるという問題がある。
また、図19Aおよび図19Bに示す構造のパッチアンテナ701は、接地層703における適切な位置にスロット707を形成することで、放射特性などの制御を可能とする技術であるが、このような構造においては、スロット707とパッチ704の形状および位置関係が固定的であるため、基板の基本的な構造を作成した後に、これらの形状および位置のパラメータを変更することが困難であるという問題がある。
一方、アンテナ形状を自由に改変してアンテナ特性を制御する技術として、特許文献2及び非特許文献1がある。
特許文献2には、平面上に2本の直交する座標軸のいずれかに平行な直線群によって形成される直交格子を考え、それぞれの格子を境界線とする内部は導電性領域、もしくは非導電性領域とされており、それぞれの領域は連続的に配列し、多段階最適化の過程を経て導電性領域の位置を決定することにより、目的とするアンテナ特性を実現する、という技術が開示されている。
非特許文献1には、電気的に小さい金属パッチの平面的アレーにおいて、パッチ間をスイッチで相互接続して特性を可変するアンテナの設計に関し、スイッチの開閉状態は、周波数特性や放射指向性などの所定の要求を満たすように遺伝アルゴリズムなどの最適化手法を用いて決定し、スイッチとして電界効果トランジスタを用いた試作例などが開示されている。
しかしながら、特許文献2及び非特許文献1のいずれにおいても、所望の特性を満足させるように導電性領域の形状やスイッチの開閉状態を最適化して得られた(高周波)デバイスの特性が示されているが、上記最適化により形成された回路の形状と送受信する電磁波の波長との関係が示されていないため、上記の特性が最適であるという論理的な根拠はない。従って、上記文献に示されている結果が最適であるとは限らないだけでなく、目的とする特性が変更されると、それを満足させるような(高周波)デバイス特性の最適化ができない場合がある。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、基本的なデバイス構造を作成した後に、当該デバイスの特性を容易に設定あるいは変更することができ、かつ、効果的に上記特性の最適化を図ることができる高周波デバイスを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、デバイス特性を変更可能とする当該高周波デバイスを用いることで、所望の放射特性を簡便に得ることができるアンテナ装置の設計方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、平板状の誘電体層と、
上記誘電体層の一方の面に配置された第1の導体層と、
上記誘電体層の他方の面に配置された第2の導体層とを備え、
上記第1の導体層は、伝送される高周波信号の実効波長の略1/2倍の寸法をその外形幅寸法として有し、
上記第2の導体層は、
上記高周波信号の実効波長の略1/4倍の寸法をその間隔ピッチ寸法として、周期的かつ2次元的に互いに独立して配列された複数の導体素子と、
互いに隣接する上記それぞれの導体素子同士を電気的に接続する複数の接続素子とを備え、
上記それぞれの接続素子の配置により、上記隣接するそれぞれの導体素子の接続を選択的に行うことにより、上記第1及び第2の導体層によって形成される電磁界の放射指向性の制御を行う高周波デバイスを提供する。
本発明の第2態様によれば、上記第2の導体層において、上記それぞれの導体素子は、大きさと形状の等しい正方形形状を有し、上記誘電体層の他方の面に上記間隔ピッチにて周期性を持って格子状に配置されている第1態様に記載の高周波デバイスを提供する。
本発明の第3態様によれば、上記導体素子の幅寸法と、当該導体素子と上記隣接する導体素子との間の間隙寸法との比が、90:10〜98:2の範囲に設定される第2態様に記載の高周波デバイスを提供する。
本発明の第4態様によれば、上記第2の導体層において、
上記接続素子による互いの電気的接続がなされていない隣接する少なくとも1組の上記導体素子を備え、
当該1組の導体素子間の間隙を含む領域において、平面的に導体で囲まれたスロットが形成されている第2態様に記載の高周波デバイスを提供する。
本発明の第5態様によれば、上記第2の導体層において、
隣接する4方それぞれの上記導体素子との上記接続素子による電気的接続がなされていない上記導体素子を備え、
当該導体素子と上記4方それぞれの導体素子との間の間隙を含む領域において、平面的に導体で囲まれたスロットが形成されている第2態様に記載の高周波デバイスを提供する。
本発明の第6態様によれば、上記第1の導体層の外周端部より外側に上記実効波長の1倍の距離で囲まれた領域に相当する上記第2の導体層における領域内に、上記それぞれの導体素子が形成されている第2態様に記載の高周波デバイスを提供する。
本発明の第7態様によれば、上記第1の導体層は、上記高周波信号が入力又は出力されるパッチ部であり、
当該パッチ部とデバイス外部との間で、上記高周波信号の伝送を行う信号伝送線路をさらに備える第2態様に記載の高周波デバイスを提供する。
本発明の第8態様によれば、上記それぞれの接続素子は、導体パターンである第2態様に記載の高周波デバイスを提供する。
本発明の第9態様によれば、上記それぞれの接続素子は、チップキャパシタである第2態様に記載の高周波デバイスを提供する。
本発明の第10態様によれば、平板状の誘電体層と、
上記誘電体層の一方の面に配置された第1の導体層と、
上記誘電体層の他方の面に配置された第2の導体層とを備え、
上記第1の導体層は、伝送される高周波信号の実効波長の略1/2倍の寸法をその外形幅寸法として有し、
上記第2の導体層は、
大きさと形状の等しい正方形形状を有し、上記誘電体層の他方の面に2次元的かつ周期的に、所定の間隔ピッチでもって格子状に互いに独立して配列された複数の導体素子と、
互いに隣接する複数の上記導体素子同士を電気的に接続する複数の接続素子と、
複数の上記接続素子にて互いに電気的に接続されたn行n列の配列(nは2以上の整数。)を有する複数の上記導体素子により構成され、かつ、上記高周波信号の実効波長の略1/4倍の寸法をその一辺の長さ寸法とする略正方形形状の導体素子群であって、当該導体素子群の4方周囲に隣接して配置されるそれぞれの上記導体素子との上記接続素子による電気的接続がなされていないオープン導体素子群を備え、
当該オープン導体素子群と上記4方周囲のそれぞれの導体素子との間の間隙を含む領域において、平面的に導体で囲まれたスロットが形成されることにより、上記第1及び第2の導体層により形成される電磁界の放射指向性の制御を行う高周波デバイスを提供する。
本発明の高周波デバイスによれば、デバイスの基本的な構造を作成した後、使用条件に応じて、スロットの形状と位置などの特性を容易に設定・変更することができる。特に、デバイスの基本的な構造を共通の構造として作成、当該構造に対して簡易な加工を施すことで、所望の特性にデバイス特性を設定あるいは変更することができ、このような高周波デバイスにおける効率的な設計および製作を実現することができる。また、それぞれの導体素子の配列周期や隣接する導体素子間の間隙寸法を所定の条件に設定することで、効果的にデバイス特性の最適化を図ることができ、良好な放射指向性を有する高周波デバイスを提供することができる。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態)
本発明の実施形態にかかる高周波デバイスの一例であるマイクロストリップアンテナ装置の構造を示す模式平面図を図1Aに示し、図1Aのアンテナ装置におけるB1−B2線模式断面図を図1Bに示す。
図1Aおよび図1Bに示すように、マイクロストリップ線路構造を採用したアンテナ装置であるマイクロストリップアンテナ装置(あるいはアンテナ基板)100(以降、省略してアンテナ装置100という)は、略正方形平板状の誘電体層102と、この誘電体層102における一方の面に形成された第1の導体層の一例であるパッチ部106と、他方の面に形成された第2の導体層の一例である接地導体層103とを備えている。
アンテナ装置100における接地導体層103側から見た模式平面図である図1Aに示すように、接地導体層103は、誘電体層102の上記他方の面の周縁部に導電性材料により平面的に略O字形状を有するように形成された導体層周縁部108と、この導体層周縁部108により囲まれた上記他方の面上に導電性材料により形成された複数の導体素子(あるいは導体セルや単位導体パターンというような場合であってもよい)104と、互いに隣接するそれぞれの導体素子104を電気的に接続(あるいは結合)するとともに、導体層周縁部108と隣接するそれぞれの導体素子104とを電気的に接続する接続素子(あるいは結合素子)105とにより構成されている。
図1Aに示すように、それぞれの導体素子104は、その大きさおよび形状を等しくする正方形形状に形成されており、誘電体層102の上記他方の面において、所定の間隔ピッチでもって周期的に、かつ、格子状に整列配置されている。また、それぞれの接続素子105は、各々の導体素子104における上記正方形形状の4つの辺における中点付近において、互いに隣接する導体素子104、あるいは導体層周縁部108との電気的な接続(あるいは結合)を行っている。なお、それぞれの接続素子105は、形状および大きさを等しくする方形状に形成されている。接地導体層103がこのような構成を有していることにより、図1Aに示す状態においては、大きく見れば接地導体層103の全体が電気的に一体的な状態とされており、擬似的に1つの一体的な導体層として形成された状態となっている。
次に、アンテナ装置100におけるパッチ部106側より見た模式平面図を図2に示す。図2に示すように、誘電体層102における上記一方の面における中央部分には、例えば平面的に正方形形状を有するように形成されたパッチ部106が配置されており、このパッチ部106には、導電性材料により形成された給電線路101が形成されている。
アンテナ装置100がこのような構成を有していることにより、図2に示す給電線路101の端部である入出力ポート111より高周波信号をパッチ部106へ伝送させることにより、パッチ部106と接地導体層103とを結合させて、両者の間に生じた電磁波を放射させることができる。なお、導体層周縁部108は、必ずしも必要ではないが、外部装置の接地部分と静電的に連続した領域が必要な場合に有用である。
ここで、このような接地導体層103の構造について、図12Aに示す導体素子104の配列を説明するための模式説明図と図1Aを用いて詳細に説明する。本実施形態のアンテナ装置100の接地導体層103は、例えば、等しい形状および大きさの正方形の導体パターンを導体素子104として互いに直交する2つの方向、すなわち縦方向および横方向に格子状に等間隔で配列する構造を採用している。より具体的には、それぞれの導体素子104は、アンテナ装置100のパッチ部106の主モード(TM01)におけるE面およびH面と、各々の導体素子104の正方形の各辺の方向とが同一であるように配列されている。
図12Aに示すように、各々の導体素子104は、その正方形の一辺の長さ寸法がdとして形成されており、さらに互いに隣接する導体素子104同士の間に存在する間隙の間隔寸法がsとされている。従って、それぞれの導体素子104の上記周期的な配列における間隔ピッチ、すなわち縦方向および横方向の配列周期はp(p=d+s)となる。このように同じ大きさおよび形状の単独のパターンを2次元的に周期的に配列する場合、配列周期が使用する伝送信号の波長λ(すなわち実効波長、以下同様)の4分の1以下である必要がある。また、この場合の隣接する導体素子104間の電気的接続は、図12Aに示すように正方形パターンの導体素子104の辺の中点間を接続しても良いし、または、正方形パターンの頂点付近を相互に接続しても良く、様々な接続方法を取り得る。また、正方形パターンの配列方法についても、上述のように格子状配列ばかりでなく、行や列ごとに配置をずらすような配列も可能であり、場合に応じて導体素子間の接続を行うような場合であってもよい。
また、上述のようなそれぞれの導体素子104の配列方法(あるいは、接地導体層103をそれぞれの導体素子104に分割する方法というような場合であってもよい)の例としては、導体素子104が正方形で形成されるような場合に代えて、長方形、正三角形、あるいは正六角形などの任意の正多角形により誘電体層102の面上を埋め尽くすように配列させることも可能である。このような導体素子104の配列方法の変形例として、導体素子204が正六角形の導体パターンとして作成された場合における接地導体層203の模式説明図を図3に示す。図3に示すように、接地導体層203において、1つの導体素子204は、その周囲において互いに隣接する6個の導体素子204とそれぞれの接続素子205により電気的に接続されている。
また、図示しないが、導体素子として円形などの曲線を含む形状を有するパターンを採用することも可能であるし、それぞれが異なる形状の導体素子であっても誘電体層102の一面上をほぼ覆い尽くすことができ、それぞれの導体素子間を接続素子により電気的に接続することができればよい。これらのそれぞれにおいて、特有の配列の対称性を有するため、特有の形状のスロットが設計可能となる。
ただし、導体素子としてどのような形状や配列が採用されるような場合においても、低損失で高周波信号が伝搬するためには、それぞれの導体素子の配列周期が所望の電磁波の波長、すなわち使用される伝送信号の波長λの1/4以下とする必要がある。また、導体素子の形状が異なるものを配列する場合は、平均的な形状および大きさを有する導体素子の配列周期と、当該配列周期の分散とが所定の条件を満たす必要がある。
このような配列周期に対する条件は、次のような実測データからも判る。例えば、導体素子として上記正方形状のパターンが伝送信号の1/4λの間隔ピッチでもって格子状に配列されて形成された接地導体層を使用したマイクロストリップ線路L1と、このようにパターンが形成されていない1枚の平板状の接地導体層を使用した単純なマイクロストリップ線路L2と作成し、両者に対する伝送信号の挿入損失の比較を行った。この場合、配列周期が4分の1波長に相当する伝送信号の伝送が行われた際に、マイクロストリップ線路L2に比べてマイクロストリップ線路L1における挿入損失は0.15dB程度増大した(線路長およそ10cmの場合)。また、同じ条件下において伝送信号の3/8λの間隔ピッチでもって形成されたマイクロストリップ線路L3では、マイクロストリップ線路L2と比べて挿入損失が数dB程度も増大した。このように数dB程度も挿入損失が増大するような特性では、アンテナとしての使用することが困難となるため、上記配列周期は、伝送信号1/4λ以下とすることが好ましい。なお、このような特性は、接地導体層を構成する導体素子の形状、配列周期、間隔などのパラメータに依存するため、状況に応じて使用する信号が伝送できる条件になるように接地導体層の設計に留意する必要がある。
また、導体素子104の大きさと隣接する導体素子104間に存在する間隙との比は、その比が大きい(すなわち、導体素子104と上記間隙が存在する面内において導体部分が占める割合が大きい)ほど、伝送信号の群遅延の増大を小さく抑えることができる。なお、この遅延を利用した回路設計も可能である。このような群遅延を積極的に利用しない場合について、例えば導体素子104として正方形パターンを採用し、各々の導体素子104を一定の配列周期で格子状に配列する場合において、図12Aを用いて望ましい上記比について説明する。
図12Aに示す導体素子104の配列において、導体素子104の一辺の長さ寸法(幅寸法)dと、隣接する導体素子104間の間隙寸法sとの比が、9対1(すなわち90対10)以上であれば、接地導体が一面金属層である基板と比較して、導体素子104の配列周期pが4分の1波長に対応する伝送信号の群遅延の増大を10%程度とすることができるため許容範囲と考えられる。なお、導体素子104の一辺の長さ寸法dと、導体素子104の間隙寸法sとの比をさらに小さくしすぎると、郡遅延が増大することとなり、その結果高周波デバイスとしての使用が困難となる場合があり、また、接地導体層103にスロットを設けて当該スロットからの放射を利用するような場合には、それぞれの導体素子の間隔が狭すぎると開口面積が広く取れず、放射効率の面で不利となる場合があるため、上記比を適切な値に設計する必要がある。
次に、誘電体層102の上記他方の面上にそれぞれの導体素子104を配列する領域の広さ、すなわち領域範囲に関して、上記一方の面に形成されているパッチ部106の大きさとの関係で以下に説明する。
まず、図2に示すように、誘電体層102の上記一方の面に形成されているパッチ部106は、上述において説明したように誘電体層102の中央部分に形成されているとともに、その形状が正方形形状に形成されている。さらに、この正方形の一辺の長さ寸法(すなわち、パッチ部106の幅寸法)は、アンテナ装置100において伝送される伝送信号の波長λの2分の1倍の長さ寸法(すなわち、1/2λ)とされている。パッチ部106の長さ寸法をこのような値に設定することにより、最低次モードの共振が励起され、単向性の放射特性となり、その取り扱いを容易なものとすることができる。なお、パッチ部106の長さ寸法は、略1/2λであればよく、また、{(n+1)/2}・λ:(nは0以上の整数)と設定することもできる。
このような条件に基づいて誘電体層102の一方の面に形成されているパッチ部106と、他方の面に形成されているそれぞれの導体素子104との平面的な配置関係の理解を容易なものとするために、図2において上記他方の面に形成されているそれぞれの導体素子104を点線にて表示する。図2に示すパッチ部106とそれぞれの導体素子104との平面的な配置関係において、入出力ポート111より給電線路101を通じて給電を行う場合、接地導体層103に形成したスロット(なお、このスロットとその形成方法については後述する)とパッチ部106との平面的な距離が離れすぎると両者の結合が弱くなるため望ましくない。誘電体層102の厚さを無視すると、本実施形態のアンテナ装置100では、それぞれの導体素子104の配列周期を伝送信号の4分の1波長としているため、給電素子であるパッチ部106の外周端部からの距離が、上記伝送信号の1波長以下(すなわち、1λ以下)となる範囲内に上記スロットが形成されることが好ましい。具体的には、図2において当該1波長以下となる範囲を領域C1として示すと、接地導体層103においては、この領域C1の内側に上記スロットを形成可能にそれぞれの導体素子104が配列されることが好ましい。この領域C1の内側にスロットが形成されていれば、当該スロットとパッチ部106との共振器結合を効果的に利用可能とするアンテナ装置100を提供することができる。
なお、図2に示す本実施形態のアンテナ装置100においては、接地導体層103をマイクロストリップ線路の接地層として利用し、誘電体層102の接地導体層103に対向する面上に給電線路101とパッチ部106を設けるような構成について説明したが、本実施形態の高周波デバイスはこのような構成にのみ限定されるものではない。また、図示しないが、給電線路101の先端を複数に分岐させた構成や、パッチ部106を複数設けるような構成、さらに、複数の給電線路101を設けるような構成を採用することも可能である。また、接地層付コプレーナ導波路やトリプレート・ストリップ線路の構成を採用することも可能である。さらに、外部からホーンアンテナなどで給電するような構成を採用することも可能である。
ここで、このような本実施形態の高周波デバイスの変形例として、接地層付コプレーナ導波路の構成を採用した高周波デバイス200の模式断面図を図14Aに示し、トリプレート・ストリップ線路の構成を採用した高周波デバイス300の模式断面図を図14Bに示す。
図14Aに示すように、接地層付コプレーナ導波路の構成を採用する高周波デバイス200においては、コプレーナ導波路の中心導体201と同一面上に設けた接地層203−2に対して、誘電体層202−1の対面側に設けた接地導体層203−1が、複数の導体素子204−1、接続素子205−1、および、導体層周縁部208−1で構成されている。このような構成の高周波デバイス200では、接地導体層203−1を介して下面側へ選択的に電磁波を放射することができる。
また、図14Bに示すように、トリプレート・ストリップ線路の構成を採用する高周波デバイス300においては、第1の誘電体層302−1の図示下面に、複数の導体素子304−1、接続素子305−1、および、導体層周縁部308−1により構成される接地導体層303−1を設け、第1の誘電体層302−1の図示上面に形成された給電線路301を介して、第2の誘電体層302−2が積層されている。さらにこの第2の誘電体層302−2の図示上面に、複数の導体素子304−2、接続素子305−2、および、導体層周縁部308−2により構成される接地導体層303−2が設けられている。このような構成の高周波デバイス300では、2層の接地導体層303−1および303−2を介して、上下両面方向に電磁波を放射することが可能である。
また、本実施形態のアンテナ装置100が備える誘電体層102には、高周波回路において一般的に使用される低誘電損失な材料が用いられることが望ましい。このような材料としては、例えば、テフロン(登録商標)、セラミック、ガリウム砒素などの半導体、ガラエポ樹脂などが利用できるが、使用する周波数帯における誘電損失に応じて使い分ける必要がある。
また、接地導体層103を構成するそれぞれの導体素子104および導体層周縁部108は、低損失な良導体材料により形成されることが望ましく、例えば銅やアルミニウムなどの材料を用いて、導体パターン(あるいは金属パターン)として形成することができる。また、それぞれの接続素子105は、導体素子104と同様に低損失な良導体材料を用いて金属パターンとして予め形成されるような場合であっても良く、あるいは各種電子部品を用いるような場合であってもよい。このような接続素子105として、電子部品を用いるような場合は、使用する周波数帯において当該電子部品が低損失な素子である必要がある。このような電子部品(素子)としては、例えば、キャパシタなどのチップ部品や半導体素子などが考えられる。また、それぞれの接続素子105として、上記で述べた金属パターンと各種電子部品を併用して利用することも可能である。なお、図1A、図1B、および図2に示すアンテナ装置100においては、それぞれの接続素子105として、金属パターンではなく、電子部品が用いられた場合について示している。
ここで、本実施形態の変形例にかかるアンテナ装置400として、接地導体層403にそれぞれの導体素子404を電気的に接続する接続素子405が金属パターンとして形成された場合の模式平面図を図7Aに示し、図7Aのアンテナ装置400におけるD1−D2線模式断面図を図7Bに示す。図7Aおよび図7Bに示すように、アンテナ装置400の接地導体層403は、周期的に配列されたそれぞれの導体素子404と、互いに隣接する導体素子404間の間隙内に形成された金属パターンである接続素子405と、それぞれの導体素子404の配置領域を取り囲むように形成された導体層周縁部408とにより構成されている。このように接続素子405を金属パターンとして形成するような場合にあっては、接地導体層403全体を金属パターンとして形成することができ、その製造工程を効率的なものとすることができるという利点がある。
次に、図1A、図1B、および図2に示すアンテナ装置100において、接地導体層103にスロットを形成する方法について、図4A、図4B、図4C、図5A、図5B、および図5Cに示す接地導体層103の部分拡大模式平面図を用いて以下に説明する。
まず、図4Aにおいては、2行3列に周期的に配列された導体素子104が、互いに隣接する導体素子104間にて接続素子105により電気的に接続された構成が示されている。このような導体素子104の配置構造において、図4Bに示すように、中央の列に配列されている互いに隣接する1組の導体素子104同士の接続を解除させる(すなわち、当該接続を担う接続素子105を取り除く)と、上記1組の導体素子104間に存在する間隙を含む領域R1が、その周囲において互いに接続関係が保たれた状態のそれぞれの導体素子104および当該接続関係を担うそれぞれの接続素子105により平面的に囲まれた状態とされる。このように導体により平面的に囲まれた導体が配置されていない領域がスロットである。図4Cに示すように、このような領域R1は、例えばくし型の形状を有するスロット107(くし型スロット)として形成される。すなわち、このスロット107は、図4Aに示す接続素子105が取り除かれる前の状態において存在している互いに隣接配置された+(プラス)字形状の2つの領域が、接続素子105が取り除かれることにより直列的に連結された形状を有しているスロットである。
次に、図5Aにおいては、3行3列に周期的に配列された導体素子104が、互いに隣接する導体素子104間にて接続素子105により電気的に接続された構成が示されている。このような導体素子104の配置構造において、図5Bに示すように、中央に配置されている導体素子104と、その4方周囲に隣接して配置されている4個の導体素子104との間の接続を解除させる(すなわち、当該接続を担う4個の接続素子105を取り除く)と、上記中央の導体素子104の周囲に存在する間隙を含む領域R2が、その4方周囲のそれぞれの導体素子104および当該それぞれの導体素子104の互いの接続を行っているそれぞれの接続素子105により平面的に囲まれた状態とされる。このような領域R2は、図5Cに示すように、♯記号型の形状を有するスロット109(♯(シャープ)記号型スロット)として形成される。このようなスロット109は、図5Aに示すように、それぞれの接続素子105が取り除かれる前の状態において存在している2行2列に配列された+字形状の4つの領域が、それぞれの接続素子105の除去により互いに縦方向及び横方向に連結された形状を有しているスロットである。また、別の表現をすれば、スロット109は、略四角形枠形状を有し、当該枠形状における4つの角部分において外側方向に向けて配置された突起形状のそれぞれの領域を有するような形状であるということもできる。なお、図5Cにおいて、この♯記号型スロット109の内側に配置されている接続が解除された導体素子110は、当該スロットを直接的に構成するものではないが、スロット領域を画定するものであり、オープン素子ということもできる。なお、このようなオープン素子110の単独の共振周波数と♯記号型スロット109の共振周波数はそろわないが、オープン素子110上を誘起された電流が流れることにより♯記号型スロット109の共振周波数が決定される。
また、このような♯記号型スロット109は、図5Bおよび図5Cに示すように、3行3列の導体素子104の配列構成により形成されるような場合についてのみ限定されるものではない。例えば、図6Aに示すような4行4列の導体素子104の配置構成を用いて形成することもできる。具体的には、図6Bに示すように、中央に配置される2行2列の4個の導体素子104の配置構成を、例えば、図5Bにおける中央の1個の導体素子104として考えて、その周囲の間隙を含む領域R3を♯記号型スロット111として形成することもできる。この場合、上記中央の4個の導体素子104同士の電気的な接続関係を維持させておくことで、当該4個の導体素子104をオープン素子群(あるいはオープン(開放)導体素子群)112とさせることができる。なお、このような♯記号型スロット111を構成するオープン素子群112は、2行2列よりもさらに多数のn行n列の構成に適用することが可能である(なお、nは2以上の整数である)。このとき、オープン素子群112を一辺が略4分の1波長の長さを有する略正方形形状とすることで、♯記号型スロット111はパッチ部106と略同じ共振周波数を持つようになる。また、同様に、くし型スロット107も2行3列よりもさらに多数の2行m列(mは3以上の整数)の構成に適用することが可能である。また、多数の隣接する接続素子105を取り除くことでオープン素子を多数作成し、作成したオープン素子間を接続することにより、連結されたオープン素子からなるオープン素子群に任意の共振周波数を持たせて利用することも可能である。
ここで、アンテナ装置100の接地導体層103において、このようなスロット107、109、111を形成する3つの方法について以下に説明する。
まず、第1の方法は、予め、それぞれの導体素子104間の電気的接続用として、容易に後の加工(すなわち、選択的な除去加工)が可能な大きさおよび形状を有する金属パターンを接続素子105として形成して、それぞれの導体素子104間を静電的に接続しておき、アンテナ装置100の基本的な構造を作成した後に、導体素子104間の接続を切り離したい部分の電気的接続用金属パターン(すなわち接続素子)をレーザ加工などで選択的に除去するという方法である。これにより、電気的接続用の金属パターンが除去された部分には、例えば図4Bおよび図4Cに示すようなスロット107が形成されることとなる。
次に、第2の方法は、キャパシタなどチップ素子を電気的接続素子105として用いてそれぞれの導体素子104間の接続を選択的に行うとともに、導体素子104間の接続を行わない部分には接続素子105を選択的に配置させず、所望のスロットを形成するという方法である。このようにチップ素子を接続素子105として用いるような場合にあっては、利用する電磁波の周波数に応じて、チップ素子のインピーダンスを考慮する必要がある。また、チップ素子の大きさは1.0mm×0.5mm×0.5mmなどのものを利用することができる。素子の大きさに応じて、導体素子の設計も制限を受けるが、前記の大きさの素子ならば所定の周波数範囲では適切に利用が可能である。なお、このように、接続素子105としてのチップ素子の選択的な配置を行うような場合に代えて、予め、全ての導体素子104間を電気的に接続するようにチップ素子を配置させた後、スロットを形成する部分において、チップ素子の選択的な除去を行うような場合であってもよい。このようなチップ素子の選択的な除去は、チップ素子の実装方法に応じて、例えば、伝熱式はんだ除去機の利用や、ボンディングワイヤのカットにより行うことができる。
そして、第3の方法は、SPST(Single Pole Single Throw)−RF(Radio Frequency)スイッチやMEMS(Micro Electro−Meachanical System)スイッチなどの能動素子を接続素子105として用いて、それぞれの導体素子104間の電気的接続を選択的に行う方法である。他にも、PINダイオードや、SPDT(Single Pole Double Throw)スイッチを利用した接続も実施可能である。これらでは、素子の特性に応じて、チップ素子に比べ高い周波数まで使用できる場合がある。ただし、制御信号の入力線路などを別途設ける必要がある。
また、接続素子105として、チップ素子や能動素子を利用するような場合には、使用する素子の利用可能周波数範囲により、形成される高周波デバイスの利用可能周波数範囲も制限を受ける。また、高い周波数で共振するスロットを作成しようとすれば、上記の素子の制限に加えて、微細で精細な接地導体層103のパターニングおよび実装に関するプロセスが必要になる。また、いずれの場合も、接続部分の電気的接続素子105のインピーダンスにより、反射が生じ、伝送特性が劣化する場合があるため、低損失であることに加え、入出力インピーダンスが適切な素子を選択する必要がある。
また、図4A〜図4Cおよび図5A〜図5Cに示した方法で形成される2種類のスロットの大きさと導体素子104の配列周期pとの関係について、図12Bおよび図12Cの模式説明図に示す。接続素子105の大きさ(特に幅寸法)が、導体素子104に対して無視できるほど小さいものと仮定すると、図12Bに示すように、くし型スロット107は、その最長部分の長さが導体素子104の配列周期pの2倍の長さとなる。このスロット107は特有の形状を有するため、最長部が同等の長さ(2p)を有する直線状のスロット907(図12Dの模式図参照)と比較して共振周波数を低下させることができるという特徴を有する。
また、それぞれの導体素子104間をチップキャパシタなどの容量素子を接続素子105として用いて接続した場合、形成されるスロットの共振周波数は、使用した電気的接続素子105のリアクタンスに依存する。従って、バラクタダイオードなど可変容量素子で導体素子104間を接続して、スロットを形成した場合、結合容量を変化させることにより、スロットの共振周波数を変化させることができる。
なお、十分低いインピーダンスを有する電気的接続素子105を用いる限りにおいて、正方形導体素子104を格子状に配列した接地導体層103を利用する場合は、図4A〜図4Cで形成するくし型スロット107の共振波長は、導体素子104の配列周期を4分の1波長とする伝送信号の波長と近似的に等しくなる。従って、図4Cおよび図5Cで形成するスロット107、109は、接地導体層103を接地して利用するマイクロストリップ線路を伝搬する伝送信号で共振を励起することができる。
また、図4Aや図5Aなどで示す正方形形状の導体素子104を格子状に配列させるような構成の利点は、電気的接続素子105を1個取り除くか、あるいは導体素子104の4方周囲に配置される接続素子105を4個取り除くかという簡単な手法で、導体素子104の配列周期を4分の1波長とする信号と共振するスロット107、109を作成できる点にある。また、それぞれの導体素子が正方形形状である場合に代えて、長方形形状や正六角形形状などであるような場合においても、同様に配列周期で決定される特有の周波数で共振するスロットを簡便に作成できるという利点を得ることができる。また、正方形、および長方形形状を格子状に配列する場合では、直線的に連続したスロットを作成することができ、スロットの配置設計を容易なものとすることができる。
また、図6A〜図6Cに示すように、複数個の隣接する接続素子105を開放して形成されるスロット111は、図4Cのくし型スロット107および図5Cの♯記号型スロット109よりも低い共振周波数を持つと考えられる。これらの周波数に相当する信号は、上記の導体素子104の配列周期を4分の1波長とする信号より長波長の信号となるため、接地導体層103を接地として利用するマイクロストリップ線路を伝搬することができる。従って、上記の複数個の隣接する接続素子105を開放して形成されるスロット111は、上記マイクロストリップ線路を伝搬してきた信号で共振を励起することが可能である。
上述の説明においては、主に、スロットの共振について述べてきたが、伝送する信号に対して非共振の形状として、伝送信号と相互作用させることも可能である。
また、上述の説明においては、同一の形状および大きさを有する導体素子104を周期的に配列する構造について説明したが、本発明は、高周波デバイスとしての基本的な構造を作成した後に、接地導体層103における電気的接続素子105の配置を選択的に制御して、例えばスロットを作成するものであるから、それぞれの導体素子104は必ずしも全て同一形状および同一の大きさを取る必要はなく、さらにその配列が必ずしも周期的であるような場合について限定されるものではない。このように、導体素子の形状および大きさが不均一であり、かつ、その配列が周期的ではないような場合の一例を、本実施形態の変形例にかかる高周波デバイス500として図13にその模式平面図を示す。
図13に示すように、高周波デバイス500においては、形状および大きさがそれぞれ異なる導体素子504を配列して接地導体層503が形成されており、さらに接続素子505でそれぞれの導体素子504間が電気的に接続されている。図13に示すような構造の高周波デバイス500でも、接地導体層503に作成できるスロットの形状と位置に関しての自由度が高いという利点を得ることができる。ただし、伝送できる信号の周波数や、作成できるスロットの位置や共振周波数などについて、上記の例えば図1Aのような導体素子104が周期的に配列された高周波デバイスと同等な議論が困難となるため、そのデバイスに応じた検討をその都度行って使用する必要がある。
(実施例1)
次に、上述のような本実施形態の構成を用いた実施例について説明する。当該実施例にかかるアンテナ装置として、接地導体層にスロットを作成したものを用い、その反射特性と放射指向性の電磁界シミュレーションおよび実測を行った。
本実施例1のアンテナ装置における誘電体層の誘電率は2.17、その大きさは140mm×140mm×1.6mm、給電線路の線路幅は5.2mm、パッチ部は、接地導体層を連続する1枚の導体層とした条件において5.0GHzでTM01モードで共振する正方形形状(20mm×20mm)にて形成した。この場合、マイクロストリップ線路の実効波長λはおよそ44mmである。
また、接地導体層は、周辺部に外部と結合した導体層周縁部を設け、その内側に10行×10列の正方形型の導体素子(パターン)の周期的アレーを成形した。また、各導体素子の大きさは9.2mm×9.2mm、素子間の間隔は0.8mmであるため、素子の配列周期は10mm(10mm=9.2mm+0.8mm)となる。これは、アンテナ装置の共振波長(実効波長λ)のほぼ4分の1である。
また、上記シミュレーションおよび測定は、アンテナ装置と給電線路の周辺の直下に相当する領域の接地導体層の導体素子間を全て接続素子で電気的に接続したもの(アンテナ装置Aとする)と、アンテナ装置のほぼE面方向に周囲から開放した1個のオープン素子を設けたもの(すなわち♯記号型スロットを形成したもの)(アンテナ装置Bとする)とについて行った。また、接続素子としては、1pFチップキャパシタ(1.0mm×0.5mm×0.5mm)を並列に2個、各導体素子の辺の中点を結合するようにはんだ付けして使用した。これらの接地導体層の模式パターン図を図8A(アンテナ装置A)および図8B(アンテナ装置B)に示す。なお、図8Aおよび図8Bにおいては、アンテナ装置AおよびBにおける構成の理解を容易なものとすることを目的として、図1A、図1B、および図2において用いた構成部と同じ構成部には、同じ参照番号を付してその説明を省略するものとする。
また、シミュレーションの結果、主モード(TM01)におけるパッチ部106単独の共振周波数は、接地導体層103を1枚の連続した導体層と仮定した場合において5.0GHzであった。また、以下で示す試作例と同一条件とするため、それぞれの導体素子104を1pFチップキャパシタで接続して生成した接地導体層を使用したときのアンテナ装置(高周波デバイス)では、共振周波数は4.9GHzであった。また、以下で示す試作例と同一条件における♯記号型スロットを評価するため、それぞれの導体素子104を1pFチップキャパシタで接続して生成した接地導体層に、図8Bの接地導体層103に形成されているものと同じ♯記号型スロットを形成した場合では、4.8GHzで共振を励起することができた。
このようなそれぞれのアンテナ装置AおよびBについて、シミュレーションと測定における反射損失の測定結果を図9A(シミュレーション結果を示す)および図9B(実測結果を示す)に示す。なお、図9Aおよび図9Bにおいては、縦軸に反射損失(dB)を示し、横軸に周波数(GHz)を示している。
シミュレーションの結果を示す図9Aより、スロット109を設けたアンテナ装置Bの反射損失の極小点を与える周波数は、スロット109を持たないアンテナ装置Aのそれと比べておよそ100MHz高周波側へシフトしているとともに、共振の帯域が広がっておりQが非常に低下していることが判った。また、実測結果を示す図9Bによると、アンテナ装置Bはアンテナ装置Aと比べて、共振の帯域が広がっておりQが低下しているとともに、反射損失の極小点を与える周波数は低周波側へシフトしている。図9Aと図9Bとを比較すると、アンテナ装置AとBとの間で共振周波数のシフトする方向は異なるが、帯域など共振状態の変化の様子は非常に似ており、図9Bに示す実験結果を図9Aに示すシミュレーション結果により確認することができた。これから、スロットを設けたことにより、パッチ部106とスロット109とが共振器結合を行うことで、系の共振の状態が変化し、それに伴い共振周波数と帯域が変わることが確かめられた。なお、共振周波数や反射損失、帯域などのシミュレーションと実測結果との差は、実験に使用した高周波デバイスの誘電率、素子のキャパシタンスの理想値からのズレや、実装のばらつきなどの要因によるものであると考えられる。
次に、このような実施例1にかかるアンテナ装置Aとアンテナ装置Bとについて、シミュレーションと実測における放射利得の測定結果を、図10A(E面のシミュレーション結果)、図10B(E面の実測結果)、図11A(H面のシミュレーション結果)、および図11B(H面の実測結果)に示す。なお、ここで、E面とは、例えば図2に示すアンテナ装置100において、誘電体層102と直交する平面であって、給電線路101の配置方向に沿った面であり、H面とは、誘電体層102と直交する平面であって、E面と直交する面である。
図10Aに示すE面のシミュレーション結果では、アンテナ装置Aの指向性のメインローブは仰角345度方向であるが、アンテナ装置Bの指向性は仰角270〜0度の利得が低下し、20〜90度方向の利得が増大している。また、図10BのE面の実測結果では、シミュレーション結果とビーム形状が異なるが、主な理由は基板の形状が有限であることによるエッジ効果などのためであり、スロット109を設けたことによる上記の傾向はシミュレーション結果と同様である。また、図11Aおよび図11Bに示すH面の結果では、上半球(上半円)では共に仰角0度方向への指向性が表れている点は、アンテナ装置AおよびBで共通であるが、下半球(下半円)への指向性はアンテナ装置Bの方が強く出る傾向は、シミュレーション結果と実測結果とで一致した傾向である。従って、スロット109を設けたことにより、ビームの指向性を変える効果があることが確認された。
以上のように、その基本的な構造を作成した後に、接地導体層103の形状を容易な手段でもって可変できる高周波デバイスを利用すれば、使用環境の変化に対応して、スロットの形状と位置などの特性を容易に変更することができる。このような構造を利用してアンテナ装置を作成すれば、放射指向性などを所望の特性に容易に可変できるアンテナを実現することができる。
次に、本実施形態のアンテナ装置において、それぞれの導体素子間の間隔の決定方法について、実施例についてのシミュレーション結果および実測結果に基づいて以下に説明する。
まず、例えば♯記号型スロット109を設けない場合において、導体素子104の配列周期(図12Aにおける配列周期p)を10mmに固定し、導体素子104間の間隔(図12Aにおける間隙寸法s)を変化させた場合のそれぞれの共振周波数におけるE面放射指向性利得(最大値を0dBに規格化した利得を示す)のシミュレーション結果を図15A、H面放射指向性利得(最大値を0dBに規格化した利得を示す)のシミュレーション結果を図15Bに示す。なお、誘電体層102やパッチ部106などの形状と大きさ、および接続素子105の構成の条件については、図9A、図9B、図10A、図10B、図11A、および図11Bのシミュレーション及び実測の条件と同じである。また、導体素子104間の間隔寸法sは、0.2mm、0.8mm、1.6mm、3.0mmの4つの条件を採用して、それぞれ場合についての結果を示している。
図15Aおよび図15Bの横軸が示すところは、仰角0度が誘電体層102に垂直で上方向(つまり仰角−90度から90度までの領域は誘電体層102に対してパッチ部106側の面への立体角2πの半球方向)への放射(前方放射)に相当し,仰角−180度から−90度、および、90度から180度までの領域は誘電体層102に対して接地導体層103側の面への立体角2πの半球方向への放射(後方放射)に相当している。後方への放射は、誘電体層102の端部からの回折、および、接地導体層103における互いに隣接するそれぞれの導体素子104間の空間(測定周波数において非共振のスロット)から生じている。図15Aおよび図15Bから判るように、導体素子104間の間隔を広げると後方放射の相対的な利得が増大し、前方へ放射される電力の割合が低下するため、電磁波が不要な方向へ放射されることになり通常は望ましくない。しかし、例えば、通信相手の方向が未知であるときなど、一枚のアンテナでカバーできる空間領域をできるだけ広げたい場合や、前方放射と全方向放射を切り替えて使用したい場合には、上記のような後方への放射を活用することが可能である。また、アンテナの後方に電力を測定する回路を付加することで、後方放射利得を測定してネットの放射電力をモニターすることなども可能である。
また、より詳細な結果を図16に示す。図16における横軸は、導体素子104の配列周期を10mmに固定した条件下での導体素子104間の間隔寸法を表し、縦軸はE面、H面のそれぞれにおける後方放射の最大放射方向の利得(前方放射の最大利得方向(メインビームの方向)から仰角で180度に相当する方向(裏側に相当)を中心とする仰角の前後60度の範囲内の副ビームの最大利得)に対する前方放射の最大放射方向の利得(メインビームの利得)の比(F/B比)を表している。この比は不要放射の割合を示す指標の一つであり、当該比の値が大きいほど相対的な後方への放射利得が小さいことを表す。このF/B比が10dB以上となる領域であれば、後方への放射電力は全放射電力の10%程度以下となるために望ましい。従って、図16のグラフからは、接地導体層103の導体素子104の大きさ(d)と素子間隔(s)の比は90:10以上であることが、F/B比10dB以上であるアンテナを設計するための条件となることが判る。
なお、接続素子105を開放して設けたスロット(♯記号型スロット109など)が、入力された信号と共振するように設計するような図10A、図10B、図11A、および図11Bのアンテナ装置Bにおいては、共振するスロットを設けないアンテナ装置Aと比較して後方への放射が増大するためF/B比は低下することとなる。この様子を図17A、図17B、および図18を用いて説明する。
図15Aおよび図15Bと同じように、♯記号型スロット109を設けた場合において、導体素子104の配列周期pを10mmに固定し、導体素子間の間隔sを変えた場合のそれぞれの共振周波数におけるE面放射指向性利得(最大値を0dBに規格化した利得を示す)のシミュレーション結果を図17A、H面放射指向性利得(最大値を0dBに規格化した利得を示す)のシミュレーション結果を図17Bに示す。誘電体層102やパッチ部106などの形状と大きさ、および接続素子105などの構成は、図9A、図9B、図10A、図10B、図11A、および図11Bのシミュレーション及び実測の条件と同じである。導体素子104間の間隔sが、0.1mm、0.8mm、1.6mmの3つの条件についての結果を示す。なお、図17Aおよび図17Bの横軸が示す意味は、図15Aおよび図15Bと同じである。
図17Aに示すように、導体素子104間の間隔寸法sを、s=0.8mm、およびs=1.6mmとしたとき、E面の仰角0度から90度の利得が増大し、仰角−90度から0度の利得が低下することは、これまで述べてきたように、アンテナ装置と♯記号型スロットの共振器間の結合によって放射指向性が変化したためである。一方、s=0.1mmとしたときは、図15Aとほぼ同等でメインビーム方向の変化が無く、従って通常のアンテナ装置の放射指向性からほとんど変化していない。また、後方への放射は、放射指向性が変化するs=0.8mm、およびs=1.6mmでは、特定の方向(仰角120〜150度)で利得が大きいが、s=0.1mmでは利得が低い。図17Bに示すH面の放射指向性利得についても、後方放射について同じ傾向がある。従って、♯記号型スロットを設けない図15Aおよび図15Bの場合と異なり、♯記号型スロット109がパッチ部106と共振器結合を行って放射指向性が変化する場合は、後方への放射利得も増大するが、共振器結合が行われない場合は、後方への放射利得は低いことが判る。
さらに詳細な結果を図18に示す。図18のグラフにおける縦軸と横軸は、図16のグラフと同じ意味である。図18に示すように、導体素子104間の間隔が0.1mmではF/B比が10dB以上であるが、0.2mm以上ではF/B比は概ね4dB程度となり、導体素子104間の間隔によってはその値の変化は少なくなっている。図17Aおよび図17Bのグラフの説明で述べたように、導体素子104間の間隔寸法sが0.1mmのときはE面の放射指向性はアンテナ装置の放射指向性と同等であるが、導体素子104間を広げた例では、E面の放射指向性の変化が生じていた。以上から、パッチ部106と♯記号型スロット109とを共振器間で結合させる条件では、後方放射利得の増大を含めて放射指向性が変化するが、導体素子104間の間隔を狭めることで共振器間の結合を弱くすると放射指向性の変化はほとんど行われないことが判る。
従って、接地導体層103における導体素子104の大きさdと素子間隔sとの比は、90:10から98:2の範囲にあることが、F/B比10dB以上の通常のアンテナ装置の状態と、♯記号型スロットを設置することで特定の方向へ放射指向性を変化させた状態のスイッチングを適切に実現するアンテナを設計するための条件となり、好ましいと言える。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2004年7月7日に出願された日本国特許出願No.2004−200307号の明細書、図面、及び特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
本発明にかかる高周波デバイスは、デバイスの基本的共通構造を作成した後に、接続素子の選択的な配置制御により、接地導体層の特性を変更でき、所望の特性を得ることができる高周波デバイスを簡便な設計方法にて提供することができ有用である。
本発明の実施形態におけるマイクロストリップアンテナ装置の接地導体層側から見た模式平面図である。 図1Aのアンテナ装置におけるB1−B2線模式断面図である。 図1Aのアンテナ装置のパッチ部側から見た模式平面図である。 上記実施形態において、導体素子を正六角形で構成する場合の高周波デバイスの接地導体層の構成例を示す模式パターン図である。 上記実施形態のアンテナ装置において、くし型スロットを形成する前の導体素子を示す模式説明図である。 互いに隣接する1組の導体素子の接続が解除された状態を示す模式説明図である。 形成されたくし型スロットを示す模式説明図である。 上記実施形態のアンテナ装置において、♯記号型スロットを形成する前の導体素子を示す模式説明図である。 中央の導体素子とその4方に配置された導体素子との接続が解除された状態を示す模式説明図である。 形成された♯記号型スロットを示す模式説明図である。 上記実施形態のアンテナ装置において、♯記号型スロットを形成する前の導体素子を示す模式説明図である。 中央の4つの導体素子群とその周囲の導体素子との接続が解除された状態を示す模式説明図である。 形成された♯記号型スロットを示す模式説明図である。 上記実施形態の変形例にかかるマイクロストリップアンテナ装置を示す模式平面図である。 図7Aのアンテナ装置におけるD1−D2線模式断面図である。 上記実施形態の第1の実施例にかかるマイクロストリップアンテナ装置の接地導体層の模式平面図であって、スロットを形成しない場合を示す図である。 第1の実施例のアンテナ装置の接地導体層の模式平面図であって、♯記号型スロットを形成する場合を示す図である。 上記第1実施例において、マイクロストリップアンテナ装置の反射損失のシミュレーション結果を、スロット形成しない場合と、スロットを形成した場合とについて示すグラフである。 上記第1実施例において、マイクロストリップアンテナ装置の反射損失の実測結果を、スロット形成しない場合と、スロットを形成した場合とについて示すグラフである。 上記第1実施例において、マイクロストリップアンテナ装置のE面における放射利得のシミュレーション結果を、スロット形成しない場合と、スロットを形成した場合とについて示すグラフである。 上記第1実施例において、マイクロストリップアンテナ装置のE面における放射利得の実測結果を、スロット形成しない場合と、スロットを形成した場合とについて示すグラフである。 上記第1実施例において、マイクロストリップアンテナ装置のH面における放射利得のシミュレーション結果を、スロットを形成しない場合と、スロットを形成した場合とについて示すグラフである。 上記第1実施例において、マイクロストリップアンテナ装置のH面における放射利得の実測結果を、スロットを形成しない場合と、スロットを形成した場合とについて示すグラフである。 上記実施形態のマイクロストリップアンテナ装置において、正方形の導体素子で接地導体層を形成する場合の導体素子の配列形状と大きさを示す模式説明図である。 上記実施形態のマイクロストリップアンテナ装置において、正方形の導体素子で接地導体層を形成する場合のくし型スロットの形状と大きさを示す模式説明図である。 上記実施形態のマイクロストリップアンテナ装置において、正方形の導体素子で接地導体層を形成する場合の♯記号型スロットの形状と大きさを示す模式説明図である。 上記実施形態のくし型スロットに対する比較例としての長方形形状のスロットの形状と大きさを示す模式説明図である。 上記実施形態の変形例にかかるアンテナ装置であって、形状の異なる導体素子を配列した接地導体層の構成例を示す模式平面図である。 上記実施形態の変形例において、接地層付コプレーナ導波路にて給電する高周波デバイスの模式断面図である。 上記実施形態の変形例において、トリプレート・ストリップ線路にて給電する高周波デバイスの模式断面図である。 上記実施形態の上記第1実施例にかかるマイクロストリップアンテナ装置において、導体素子間の間隔を変えたときのE面における放射利得のシミュレーション結果を示すグラフである。 上記第1実施例にかかるマイクロストリップアンテナ装置において、導体素子間の間隔を変えたときのH面における放射利得のシミュレーション結果を示すグラフである。 上記第1実施例のマイクロストリップアンテナ装置において、導体素子間の間隔を変えたときの後方放射利得に対する前方放射利得の比を示すシミュレーション結果を示すグラフである。 上記第1実施例のマイクロストリップアンテナにおいて、スロットを形成する場合に導体素子間の間隔を変えたときのE面における放射利得のシミュレーション結果を示すグラフである。 上記第1実施例のマイクロストリップアンテナにおいて、スロットを形成する場合に導体素子間の間隔を変えたときのH面における放射利得のシミュレーション結果を示すグラフである。 上記第1実施例のマイクロストリップアンテナ装置において、スロットを形成する場合に導体素子間の間隔を変えたときの後方放射利得に対する前方放射利得の比を示すシミュレーション結果を示すグラフである。 従来のマイクロストリップパッチアンテナにおいてスロットが併設された構造を示す模式平面図である。 図19AのマイクロストリップパッチアンテナにおけるA1−A2線模式断面図である。
符号の説明
100 マイクロストリップアンテナ装置
101 給電線路
102 誘電体層
103 接地導体層
104 導体素子
105 接続素子
106 パッチ部
107 スロット(くし型スロット)
108 導体層周縁部
109 スロット(♯記号型スロット)
110 導体素子
111 スロット(♯記号型スロット)
112 オープン素子群

Claims (10)

  1. 平板状の誘電体層と、
    上記誘電体層の一方の面に配置された第1の導体層と、
    上記誘電体層の他方の面に配置された第2の導体層とを備え、
    上記第1の導体層は、伝送される高周波信号の実効波長の略1/2倍の寸法をその外形幅寸法として有し、
    上記第2の導体層は、
    上記高周波信号の実効波長の略1/4倍の寸法をその間隔ピッチ寸法として、周期的かつ2次元的に互いに独立して配列された複数の導体素子と、
    互いに隣接する上記それぞれの導体素子同士を電気的に接続する複数の接続素子とを備え、
    上記それぞれの接続素子の配置により、上記隣接するそれぞれの導体素子の接続を選択的に行うことにより、上記第1及び第2の導体層によって形成される電磁界の放射指向性の制御を行う高周波デバイス。
  2. 上記第2の導体層において、上記それぞれの導体素子は、大きさと形状の等しい正方形形状を有し、上記誘電体層の他方の面に上記間隔ピッチにて周期性を持って格子状に配置されている請求項1に記載の高周波デバイス。
  3. 上記導体素子の幅寸法と、当該導体素子と上記隣接する導体素子との間の間隙寸法との比が、90:10〜98:2の範囲に設定される請求項2に記載の高周波デバイス。
  4. 上記第2の導体層において、
    上記接続素子による互いの電気的接続がなされていない隣接する少なくとも1組の上記導体素子を備え、
    当該1組の導体素子間の間隙を含む領域において、平面的に導体で囲まれたスロットが形成されている請求項2に記載の高周波デバイス。
  5. 上記第2の導体層において、
    隣接する4方それぞれの上記導体素子との上記接続素子による電気的接続がなされていない上記導体素子を備え、
    当該導体素子と上記4方それぞれの導体素子との間の間隙を含む領域において、平面的に導体で囲まれたスロットが形成されている請求項2に記載の高周波デバイス。
  6. 上記第1の導体層の外周端部より外側に上記実効波長の1倍の距離で囲まれた領域に相当する上記第2の導体層における領域内に、上記それぞれの導体素子が形成されている請求項2に記載の高周波デバイス。
  7. 上記第1の導体層は、上記高周波信号が入力又は出力されるパッチ部であり、
    当該パッチ部とデバイス外部との間で、上記高周波信号の伝送を行う信号伝送線路をさらに備える請求項2に記載の高周波デバイス。
  8. 上記それぞれの接続素子は、導体パターンである請求項2に記載の高周波デバイス。
  9. 上記それぞれの接続素子は、チップキャパシタである請求項2に記載の高周波デバイス。
  10. 平板状の誘電体層と、
    上記誘電体層の一方の面に配置された第1の導体層と、
    上記誘電体層の他方の面に配置された第2の導体層とを備え、
    上記第1の導体層は、伝送される高周波信号の実効波長の略1/2倍の寸法をその外形幅寸法として有し、
    上記第2の導体層は、
    大きさと形状の等しい正方形形状を有し、上記誘電体層の他方の面に2次元的かつ周期的に、所定の間隔ピッチでもって格子状に互いに独立して配列された複数の導体素子と、
    互いに隣接する複数の上記導体素子同士を電気的に接続する複数の接続素子と、
    複数の上記接続素子にて互いに電気的に接続されたn行n列の配列(nは2以上の整数。)を有する複数の上記導体素子により構成され、かつ、上記高周波信号の実効波長の略1/4倍の寸法をその一辺の長さ寸法とする略正方形形状の導体素子群であって、当該導体素子群の4方周囲に隣接して配置されるそれぞれの上記導体素子との上記接続素子による電気的接続がなされていないオープン導体素子群を備え、
    当該オープン導体素子群と上記4方周囲のそれぞれの導体素子との間の間隙を含む領域において、平面的に導体で囲まれたスロットが形成されることにより、上記第1及び第2の導体層により形成される電磁界の放射指向性の制御を行う高周波デバイス。
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