JP5050084B2 - アンテナ - Google Patents
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Description
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、周期ループ構造体と1個の励振素子で、簡単に励振素子から放射される電波の電界面内あるいは磁界面内のビーム方向を変更することが可能となる指向特性変更方法を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
(1)反射板と、前記反射板上に配置され、複数のループ素子がマトリクス状に配置された周期ループ構造体と、前記反射板と前記周期ループ構造体との間に配置される励振素子とを有するアンテナであって、前記周期ループ構造体における、第1方向に沿って配置される1行ないしm行毎のループ素子のループ長は、第1行目から第m行目に向かって順次大きくなっている。
(2)(1)において、前記励振素子は、パッチアンテナ、あるいは、ダイポールアンテナである。
(3)(2)において、前記第1方向は、電界方向、あるいは、磁界方向である。
本発明によれば、周期ループ構造体と1個の励振素子で、簡単に励振素子から放射される電波の電界面内あるいは磁界面内のビーム方向を変更することが可能となる。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
図1ないし図4は、本発明の実施例のアンテナの一例を説明するための図である。
図1は、本発明の実施例のアンテナの一例の概略構成を示す斜視図、
図2は、図1に示す周期ループ構造体の平面図、
図3は、本発明の実施例のアンテナの断面図、
図4Aは、図1に示す励振素子の平面図である。
本実施例のアンテナは、金属板から成る反射板1と、反射板1上に配置される誘電体基板4と、誘電体基板4上に配置される励振素子(本実施例のアンテナでは、パッチアンテナ)2と、励振素子2上に配置される周期ループ構造体3とを有する。
ここで、誘電体基板4の厚さ(換言すれば、反射板1と励振素子2の間隔;図3のL14)は、0.03λo(λoは、使用中心周波数foの自由空間波長)であるが、誘電体基板4の厚さは、励振素子2の種類(ダイポールアンテナ素子、あるいはパッチアンテナなど)において、入力インピーダンスが適切な値になるように設定すればよい。
また、図2に示すように、周期ループ構造体3は、マトリクス状に配置された複数のループ素子5で構成される。
また、反射板1と周期ループ構造体3との間隔(図3のL13+L14)は、0.53λoである。反射板1と周期ループ構造体3との間の空間に誘電体層を設けた場合は、反射板1と周期ループ構造体3との間隔(図3のL13+L14)は、誘電体の比誘電率εrの平方根√(εr)で除した値とされる。
後述する図7に示す周期ループ構造体3を備える本実施例の前提となるアンテナにおいて、励振素子2で励振・放射された電波は、反射板1と周期ループ構造体3との間で反射を繰り返すが、反射板1と周期ループ構造体3との間隔が、約(n/2)λo(nは整数)の場合、間隙から放射された電波は同相で放射される。
周期ループ構造体3は、核となるループ素子5のインダクタンスと、隣接するループ素子5との間でキャパシタンスを形成するため、固有のインピーダンス面を作り出す。そして、周期ループ構造体3のループ素子5の大きさと間隔を適切に選ぶことにより適切なインピーダンス面を実現し、大きな利得を得ることができる。
なお、核となるループ素子5のループ長は、1.04λo(即ち、ループ素子5の一辺の長さは、0.26λo)が望ましく、核となるループ素子5のループ長が1.04λoより短い場合には、隣接するループ素子5との間隔を狭め、核となるループ素子5のループ長が1.04λoより長い場合には、隣接するループ素子5との間隔を広げる必要がある。
また、図4に示すように、励振素子2は、正方形形状のパッチアンテナで構成される。なお、図4において、20は給電点である。
図2に示すように、本実施例では、周期ループ構造体3における、第1方向(図1の矢印A;所謂、電界方向)に沿って配置される1行ないし9行毎のループ素子5のループ長が、第1行目から第9行目に向かって順次大きくなっていることを特徴とする。
本実施例のアンテナのパラメータの一例を以下に示す。
(1)励振素子2を構成するパッチアンテナの寸法(図4のL15、L16)が、0.26λo(L15=L16=0.26λo)
(2)各ループ素子5の間隔(図3のL12)が、0.04λo(L12=0.04λo)
(3)第1行目のループ素子5のループ長(図2の4×L1)が、0.72λo(4×L1=0.72λo)
(4)第2行目のループ素子5のループ長(図2の4×L2)が、0.8λo(4×L2=0.8λo)
(5)第3行目のループ素子5のループ長(図2の4×L3)が、0.88λo(4×L3=0.88λo)
(6)第4行目のループ素子5のループ長(図2の4×L4)が、0.96λo(4×L4=0.96λo)
(7)第5行目のループ素子5のループ長(図2の4×L5)が、1.04λo(4×L5=1.04λo)
(8)第6行目のループ素子5のループ長(図2の4×L6)が、1.12λo(4×L6=1.12λo)
(9)第7行目のループ素子5のループ長(図2の4×L7)が、1.2λo(4×L7=1.2λo)
(10)第8行目のループ素子5のループ長(図2の4×L8)が、1.28λo(4×L8=1.28λo)
(11)第9行目のループ素子5のループ長(図2の4×L9)が、1.36λo(4×L9=1.36λo)
(12)周期ループ構造体3に外接する矩形形状の第1方向の寸法(図2のL10)が、2.66λo、第1方向に直交する方向の寸法(図2のL11)が、3.56λo
(13)使用中心周波数foが、8GHz(fo=8GHz;従って、λo=37.5mm)
以下、本実施例のアンテナと比較する目的で、パッチアンテナの電界面内の指向特性と、本発明の前提となるアンテナの電界面内の指向特性について説明する。
図6は、図4Aに示すパッチアンテナの電界面内の指向特性(図1に示すX−Z面)の一例を示すグラフである。即ち、図6は、図1に示す本実施例のアンテナにおいて、周期ループ構造体3を取り除いた状態のときの電界面内の指向特性を示す図である。
図7は、本発明の前提となるアンテナの周期ループ構造体の平面図であり、図8は、本発明の前提となるアンテナの電界面内の指向特性(図1に示すX−Z面)の一例を示すグラフである。
本発明の前提となるアンテナは、図7に示すように、周期ループ構造体3を構成する各ループ素子5が同じ寸法となっている点で、本実施例のアンテナと相異するが、それ以外の構成は、本実施例のアンテナと同じである。
図7に示す本発明の前提となるアンテナのパラメータの一例を以下に示す。
(1)励振素子2を構成するパッチアンテナの寸法(図4AのL15、L16)が、0.26λo(L15=L16=0.26λo)
(2)各ループ素子5の間隔(図7のL12)が、0.04λo(L12=0.04λo)
(3)各ループ素子5のループ長(図7の4×L)が、1.04λo(4×L=1.04λo)
(4)周期ループ構造体3の第1方向の寸法(図7のL10)が、2.26λo、第1方向に直交する方向の寸法(図7のL11)が、2.26λo
(5)使用中心周波数foが、8GHz(fo=8GHz;従って、λo=37.5mm)
また、図5に示す指向特性と、図8に示す指向特性とを比較すると、本実施例のアンテナでは、ビームが上側に(図2において、第9行目のループ素子側に約40°)チルトされていることが分かる。
この理由は、本実施例のアンテナにおいて、周期ループ構造体3の上面の電界の位相が一様でなくなり、周期ループ構造体3の中で内縁長が長いループ素子の周期ループ構造体3の上面の電界の位相が、周期ループ構造体3の中で内縁長が短いループ素子の周期ループ構造体3の上面の電界の位相よりも相対的に遅れるので、電界の位相が相対的に遅れた方向にビームが傾く(所謂、チルトされる)ものと想定される。
例えば、図10に示す従来の6素子コーナレフレクタアンテナにおいて、サイドローブの顕著な劣化を招くことなしにビームチルトを実現するには、各放射素子(121〜126)の励振位相を順番に変えてやる必要があるため、電気長の異なる給電線路を放射素子(121〜126)の数だけ用意し、さらにそれらを分岐させるための分岐端子も用意したり、チルト角可変の場合は、最低3個の差動型移相器とそれに付随する給電線路や分岐端子を用意したりする必要がある。
それに対し、本実施例では、周期ループ構造体3における、第1方向(図1の矢印A)に沿って配置される1行ないし9行毎のループ素子5のループ長を、第1行目から第9行目に向かって順次大きくするだけでよいので、簡単にビームをチルトすることが可能である。
なお、本実施例では、7.8GHzないし8.1GHzの周波数帯域において、ビームがチルトされることを確認したが、他の周波数帯域でも、周期ループ構造体3の寸法を最適化することにより、同様な作用・効果を得ることが可能である。
また、本実施例のアンテナにおいて、周期ループ構造体3を構成するループ素子5の形状は正方形に限らず、円形でも、三角形でも、長方形でも、多角形でもよい。
図9のBに示すように、図4Aに示すパッチアンテナでは、7GHz乃至9GHzの周波数範囲で、最大利得は約7dBiであるのに対して、図9のAに示すように、本実施例のアンテナでは、7GHz乃至9GHzの周波数範囲で、最大利得は約17dBiとなっている。
このように、本実施例のアンテナは、図4Aに示すパッチアンテナよりも、利得が大幅に向上していることが分かる。さらに、前述したように、本実施例のアンテナは、図4Aに示すパッチアンテナよりも、狭ビーム化されていることが分かる。
なお、前述の説明では、周期ループ構造体3における、第1方向(図1の矢印A;所謂、電界方向)に沿って配置される1行ないし9行毎のループ素子5のループ長を、第1行目から第9行目に向かって順次大きくする場合について説明したが、図4Bに示すように、本実施例のアンテナにおいて、周期ループ構造体3における、第1方向と直交する第2方向(図4Aの矢印B;所謂、磁界方向)に沿って配置される1行ないし9行毎のループ素子5のループ長を、第1行目から第9行目に向かって順次大きくするようにしてもよい。
この場合は、励振素子2から放射される電波のビーム方向(図1に示すY−Z面の磁界面内のビーム方向)を変更することも可能である。
また、本実施例1のアンテナにおいて、励振素子2は、パッチアンテナに限定されるものではなく、ダイポールアンテナ等も使用可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
2 励振素子
3 周期ループ構造体
4 誘電体基板
5 ループ素子
10 コーナレフレクタ
121〜126 ダイポールアンテナ(放射素子)
20 給電点
Claims (5)
- 反射板と、
前記反射板上に配置され、複数のループ素子がマトリクス状に配置された周期ループ構造体と、
前記反射板と前記周期ループ構造体との間に配置される励振素子とを有するアンテナであって、
前記周期ループ構造体における、第1方向に沿って配置される1行ないしm行毎のループ素子のループ長は、第1行目から第m行目に向かって順次大きくなっていることを特徴とするアンテナ。 - 前記励振素子は、パッチアンテナであることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
- 前記励振素子は、ダイポールアンテナであることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
- 前記第1方向は、電界方向であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のアンテナ。
- 前記第1方向は、磁界方向であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のアンテナ。
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