JP5566543B2 - センサ、検出方法、検出システム、及び、検出装置 - Google Patents

センサ、検出方法、検出システム、及び、検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、センサ、検出方法、検出システム、及び、検出装置に関する。
従来、基体表面の状態変化を検出する検出手法がある。例えば、弾性表面波を用いて、検体溶液の性質もしくは成分を測定するセンサがある。また、例えば、SPR(Surface Plasmon Resonance、表面プラズモン共鳴)測定装置などがある。
なお、トロンビンと結合してトロンビンの酵素活性を阻害するアプタマー部分と、標的分子と結合するプローブ部分とを含む複合体を用いた測定手法もある。複合体を用いた測定手法では、例えば、標的分子がプローブ部分と結合している場合には、トロンビンがアプタマー部分と結合せず、トロンビンが活性を示す。複合体を用いた測定手法では、トロンビンの酵素活性を測定することで、標的分子の存在を検出する。
また、1以上の特異的核酸リガンドが基体に付着されたセンサがある。また、測定用電極に酵素などを塗布されたセンサにおいて、毛細管現象を利用することでセンサ自体が検体溶液の吸引を行うセンサもある。
特開平05−240762号公報 特開2006−184011号公報 特開2010−239477号公報 特開2005−249491号公報 国際公開第2005/049826号 特表2002−508191号公報 特表2009−505106号公報
しかしながら、基体表面の状態変化を検出する従来の検出手法では、分子量の小さい小分子の検出感度が悪く、小分子を検出できないという問題がある。
開示の技術は、上述に鑑みてなされたものであって、小分子が検出可能になるセンサ、検出方法、検出システム、及び、検出装置を提供することを目的とする。
開示のセンサは、1つの態様において、センサは、1つの態様において、第1物質の分子量よりも分子量が大きい第2物質との結合部を有する。また、センサは、1つの態様において、第1物質との第1結合部位と第2物質との第2結合部位とを有するとともに第1物質と第2物質とのうちいずれか一方と結合するアプタマー、及び第2物質の両方と接触した検体に、第1物質が含まれるかを検出するための結合部を表面に有する基体を有する。
開示の検出方法の1つの態様によれば、小分子が検出可能になるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態に係るセンサの斜視図である。 図2は、第1カバー部材及び第2カバー部材の分解斜視図である。 図3は、図1に示すセンサの第4基体を外した状態における斜視図である。 図4Aは、図1のIVa−IVa’における断面図である。 図4Bは、図1のIVb−IVb’における断面図である。 図5は、図1に示すセンサに使用される検出素子の斜視図である。 図6は、図5に示す検出素子の第1接合部材及び第2接合部材を外した状態における平面図である。 図7は、本発明の実施形態に係るセンサの変形例を示す断面図である。 図8は、本発明の実施形態に係るセンサの別の変形例を示す断面図である。 図9は、基体にカバー部材を接合する場合におけるセンサの一例を示す斜視図である。 図10は、カバー部材の片側半分を取り除いたときのセンサの一例を示す斜視図である。 図11Aは、基体にカバー部材を接合する場合におけるセンサの一例を示す断面図である。 図11Bは、基体にカバー部材を接合する場合におけるセンサの一例を示す断面図である。 図12は、開示のアプタマーの実施形態の一例について説明するための図である。 図13は、基体表面の状態変化について説明する図である。 図14は、センサの他の実施形態について説明する図である。 図15は、ATPアプタマーと相補鎖DNA「A」との塩基配列の関係を説明する図である。 図16は、BIACORE−Xシステムにおいて得られたセンサグラムを示す図である。 図17は、BIACORE−Xシステムにおいて得られたセンサグラムを示す図である。 図18は、表1における比較例1〜5において得られたセンサグラムを示す図である。 図19は、表1における実施例1〜3、及び、ポジティブコントロールとなる比較例6において得られたセンサグラムを示す図である。 図20は、表1における実施例1〜9、及び、ポジティブコントロールとなる比較例6〜8におけるΔRUを示す図である。 図21は、実施形態3について示すための図である。 図22は、実施形態4について示すための図である。 図23は、開示のアプタマーの実施形態の一例について説明するための図である。 図24は、開示のアプタマーの実施形態の一例について説明するための図である。
<センサの検出部、検出方法、検出システム及び検出装置の実施形態1>
以下に、開示のセンサ、検出方法、検出システム、及び、検出装置の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ、詳細に説明する。以下に詳細に説明するように、開示のセンサ、検出方法、検出システム、及び、検出装置は、第1物質と比較して分子量の大きい物質に起因した基体表面の状態変化を検出することで、第1物質を検出することができる。この結果、分子量の小さい小分子についても検出可能となる。
なお、以下では、検出対象となる第1物質を「ターゲット物質」とも記載する。また、数値範囲を「〜」を使用して示す場合、特に断りがない限り、下限と上限の数値をそれぞれ含むものとする。例えば、数値範囲「300〜500」は、特段の断りがない限り、下限が「300以上」を示し、上限が「500以下」を示す。
[センサの構造]
センサの検出部の詳細について説明する前に、検出部が搭載されるセンサについて説明する。開示のセンサは、基体表面の状態変化を検出する検出手法に用いることができる。例えば、開示のセンサは、SPR(Surface Plasmon Resonance、表面プラズモン共鳴)装置による測定に用いられる測定セル、SAW(Surface Acoustic Wave、表面弾性波)センサ、QCM(Quarts Crystal Microbalance、水晶発振子マイクロバランス法)水晶センサなどである。開示のセンサは、好ましくは、SAWセンサである。SAWセンサとしてセンサを実現することで、センサを小型で簡単に実現可能となる。
以下では、開示のセンサの構造の一例について、開示のセンサがSAWセンサである場合を用いて詳細に説明する。以下に詳細に説明するように、SAWセンサとしてのセンサ100は、実施形態の一例において、上面に基体10が位置している第1カバー部材1と、第1カバー部材1に接合されている第2カバー部材2とを備える。また、センサ100は、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の少なくとも一方は検体が流入する流入口14を有し、第1カバー部材1と第2カバー部材2との間に、流入口14から少なくとも基体10の表面上まで延びている流路15を有する。
センサ100は、実施形態の一例において、例えば、上面に基体10が位置している第1カバー部材1と、第1カバー部材1に接合されている第2カバー部材2とを備え、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の少なくとも一方は、検体が流入する流入口14及び流入口14から少なくとも基体10の表面上まで延びている溝部15を有する。例えば、第1カバー部材1が、上面に、基体10の少なくとも一部を収容している凹部を有し、第2カバー部材2が、溝部15を有する。
また、SAWセンサとしてのセンサ100は、実施形態の一例において、基体10の表面に位置しており、詳細については後述する検出部に向かって伝搬する弾性波を発生させる第1IDT(InterDigital Transducer)電極を有する。また、センサ100は、基体10の表面に位置しており、検出部13を通過した弾性波を受信する第2IDT電極を有する。また、センサ100は、基体10の上面に接合され、且つ基体10の上面との間に密閉された第1振動空間を有している第1接合部材を有する。また、センサ100は、基体10の上面に接合され、且つ基体10の上面との間に密閉された第2振動空間を有している第2接合部材を有する。ここで、第1振動空間は第1IDT電極上に位置しており、且つ、第2振動空間は第2IDT電極上に位置している。
SAWセンサとしてのセンサ100の構成の一例について、適宜図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下に説明する各図面において同じ構成部材には同じ符号を付すものとする。また、各部材の大きさや部材同士の間の距離などは模式的に図示しており、現実のものとは異なる場合がある。また、センサ100は、いずれの方向が上方又は下方とされても良いものであるが、以下では、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともにz方向の正側を上方として、上面、下面などの用語を用いるものとする。
センサ100は、主に第1カバー部材1、第2カバー部材2及び検出素子3からなる。第1カバー部材1は、第1基体1a及び第1基体1a上に積層される第2基体1bを有し、第2カバー部材2は、第2基体1b上に積層される第3基体2a及び第3基体2a上に積層される第4基体2bを有する。検出素子3は弾性表面波素子であり、主に基体10、第1IDT電極11、第2IDT電極12、及び検出部13からなる。
第1カバー部材1と第2カバー部材2は互いに張り合わされており、張り合わされた第1カバー部材1と第2カバー部材2の内部に検出素子3が収容されている。図4の断面図に示すように、第1カバー部材1は上面に凹部5を有し、凹部5の中に検出素子3が配置されている。第2カバー部材2は、図1に示すように、長手方向(x方向)の端部に検体溶液の入口である流入口14を有するとともに、流入口14から検出素子3の直上部分に向かって延びた溝部15を有している。なお、図1では溝部15の位置を示すために溝部15を破線で示している。検体溶液は、第1物質210が含まれているかが検出される対象となる溶液である。
図2に第1カバー部材1及び第2カバー部材2の分解斜視図を示す。
まず、第1カバー部材1について説明する。
第1カバー部材1は、上述のように、第1基体1a及び第1基体1a上に積層される第2基体1bを有する。
第1カバー部材1を構成する第1基体1aは平板状であり、その厚みは、例えば0.1mm〜0.5mmである。第1基体1aの平面形状は概ね長方形状であるが、長手方向の一方端は外方に向かって突出した円弧状となっている。第1基体1aのx方向の長さは、例えば、1cm〜5cmであり、y方向の長さは、例えば1cm〜3cmである。
第1基体1aの上面には第2基体1bが張り合わされる。第2基体1bは、平板状の板に凹部形成用貫通孔4を設けた平板枠状とされており、その厚みは、例えば、0.1mm〜0.5mmである。平面視した時の外形は、第1基体1aとほぼ同じであり、x方向の長さ及びy方向の長さも第1基体1aとほぼ同じである。
凹部形成用貫通孔4が設けられた第2基体1bを平板状の第1基体1aと接合することによって、第1カバー部材1に凹部5が形成されることとなる。すなわち、凹部形成用貫通孔4の内側に位置する第1基体1aの上面が凹部5の底面となり、凹部形成用貫通孔4の内壁が凹部5の内壁となる。
また第2基体1bの上面には、端子6及び端子6から凹部形成用貫通孔4まで引き回された配線7が形成されている。端子6は、第2基体1bの上面のx方向における他方の端部に形成されている。端子6が形成されている部分は、センサ100を外部の測定器(図示せず)に挿入した時に実際に挿入される部分であり、端子6を介して外部の測定器に電気的に接続されることとなる。また、端子6と検出素子3とは、配線7などを介して電気的に接続されている。そして、外部の測定器からの信号が端子6を介してセンサ100に入力されるとともに、センサ100からの信号が端子6を介して外部の測定器に出力されることとなる。
次に、第2カバー部材2について説明する。
第2カバー部材2は、上述のように、第2基体1b上に積層される第3基体2a及び第3基体2a上に積層される第4基体2bを有する。
第1基体1a及び第2基体1bからなる第1カバー部材1の上面には、第2カバー部材2が接合されている。第2カバー部材2は、第3基体2aと第4基体2bを有する。
第3基体2aは、第2基体1bの上面に張り合わされている。第3基体2aは平板状であり、その厚みは、例えば、0.1mm〜0.5mmである。第3基体2aの平面形状は概ね長方形状であるが、第1基体1a及び第2基体1bと同様に長手方向の一方端は外方に向かって突出した円弧状となっている。第3基体2aのx方向の長さは、第2基体1bに形成された端子6が露出するように第2基体1bのx方向の長さよりも若干短くされており、例えば、0.8mm〜4.8cmである。y方向の長さは、例えば、第1基体1a及び第2基体1bと同様に1cm〜3cmである。
第3基体2aには切欠き8が形成されている。切欠き8は、第3基体2aの円弧状になっている一方端の頂点部分からx方向の他方端に向かって第3基体2aを切り欠いた部分である。かかる切欠き8は溝部15を形成するためのものである。第3基体2aの切欠き8の両隣には、第3基体2aを厚み方向に貫通する第1貫通孔16及び第2貫通孔17が形成されている。第3基体2aを第2基体1bに積層した時に、第1貫通孔16及び第2貫通孔17の内側には検出素子3と配線7との接続部分が位置するようになっている。第3基体2aの第1貫通孔16と切欠き8との間の部分は、後述するように溝部15と第1貫通孔16によって形成される空間とを仕切る第1仕切り部25となる。また、第3基体2aの第2貫通孔17と切欠き8との間の部分は、溝部15と第2貫通孔17によって形成される空間とを仕切る第2仕切り部26となる。
第3基体2aの上面には第4基体2bが張り合わされる。第4基体2bは、平板状であり、その厚みは、例えば、0.1mm〜0.5mmである。平面視した時の外形は、第3基体2aとほぼ同じであり、x方向の長さ及びy方向の長さも第3基体2aとほぼ同じである。この第4基体2bが切欠き8が形成された第3基体2aと接合されることによって、第2カバー部材2の下面に溝部15が形成されることとなる。すなわち、切欠き8の内側に位置する第4基体2bの下面が溝部15の底面となり、切欠き8の内壁が溝部15の内壁となる。溝部15は、流入口14から少なくとも検出部13の直上領域まで延びており、断面形状は、例えば矩形状である。
第4基体2bには、第4基体2bを厚み方向に貫く第3貫通孔18が形成されている。第3貫通孔18は、第4基体2bを第3基体2aに積層した時に切欠き8の端部上に位置している。よって溝部15の端部は第3貫通孔18と繋がっている。この第3貫通孔18は、溝部15内の空気などを外部に放出するためのものである。
第1基体1a、第2基体1b、第3基体2a及び第4基体2bは、例えば、紙、プラスチック、セルロイド、セラミックスなどからなる。これらの基体は、すべて同じ材料によって形成することができる。これらの基体をすべて同じ材料で形成することによって各基体の熱膨張係数をほぼそろえることができるため、基体ごとの熱膨張係数の差に起因する変形が抑制される。また、検出部13には、生体材料が塗布されることがあるがその中には紫外線など外部の光によって変質しやすいものもある。その場合は、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の材料として遮光性を有する不透明なものを用いると良い。一方、検出部13の外部の光による変質がほとんど起こらない場合は、溝部15が形成されている第2カバー部材2を透明に近い材料によって形成しても良い。この場合は、流路15内を流れる検体溶液の様子を視認することができる。
次に、検出素子3について説明する。
図5は検出素子3の斜視図、図6は第1接合部材21及び第2接合部材22を外した状態における検出素子3の平面図である。
検出素子3は、基体10と、基体10の上面に配置された検出部13、第1IDT電極11、第2IDT電極12、第1引出し電極19及び第2引出し電極20を有する。
基体10は、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO)単結晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO)単結晶、水晶などの圧電性を有する単結晶の基体からなる。基体10の平面形状及び各種寸法は適宜に設定されて良い。一例として、基体10の厚みは、0.3mm〜1mmである。
第1IDT電極11は、図6に示すように1対の櫛歯電極を有する。各櫛歯電極は、互いに対向する2本のバスバー及び各バスバーから他のバスバー側へ延びる複数の電極指を有している。そして、1対の櫛歯電極は、複数の電極指が互いに噛み合うように配置されている。第2IDT電極12も第1IDT電極11と同様に構成されている。第1IDT電極11及び第2IDT電極12は、トランスバーサル型のIDT電極を構成している。
第1IDT電極11は所定の弾性表面波(SAW)を発生させるためのものであり、第2IDT電極12は、第1IDT電極11で発生したSAWを受信するためのものである。第1IDT電極11で発生したSAWを第2IDT電極12が受信できるように第1IDT電極11と第2IDT電極12とは同一直線状に配置されている。第1IDT電極11及び第2IDT電極12の電極指の本数、隣接する電極指同士の距離、電極指の交差幅などをパラメータとして周波数特性を設計することができる。IDT電極によって励振されるSAWとしては、種々の振動モードのものが存在するが、検出素子3においては、例えば、SH波とよばれる横波の振動モードを利用している。
また、第1IDT電極11及び第2IDT電極12のSAWの伝搬方向(y方向)における外側にSAWの反射抑制のための弾性部材を設けても良い。SAWの周波数は、例えば、数メガヘルツ(MHz)から数ギガヘルツ(GHz)の範囲内において設定可能である。なかでも、数百MHzから2GHzとすれば、実用的であり、かつ検出素子3の小型化ひいてはセンサ100の小型化を実現することができる。
第1IDT電極11は、第1引出し電極19と接続されている。第1引出し電極19は、第1IDT電極11から検出部13とは反対側に引き出され、第1引出し電極19の端部19eは第1カバー部材1に設けた配線7と電気的に接続されている。また、第2IDT電極12は、第2引出し電極20と接続されている。第2引出し電極20は、第2IDT電極12から検出部13とは反対側に引き出され、第2引出し電極20の端部20eは、配線7と電気的に接続されている。
第1IDT電極11、第2IDT電極12、第1引出し電極19及び第2引出し電極20は、例えば、アルミニウム、アルミニウムと銅との合金などからなる。またこれらの電極は、多層構造としても良い。多層構造とする場合は、例えば、1層目がチタン又はクロムからなり、2層目がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
第1IDT電極11及び第2IDT電極12は、保護膜(図示せず)によって覆われている。保護膜は第1IDT電極11及び第2IDT電極12の酸化防止などに寄与するものである。保護膜は、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化珪素、又はシリコンによって形成されている。保護膜の厚さは、例えば、第1IDT電極11及び第2IDT電極12の厚さの1/10程度(10〜30nm)である。保護膜は、第1引出し電極19の端部19e及び第2引出し電極20の端部20eを露出するようにして基体10の上面全体に亘って形成されて良い。
検出部13は、第1IDT電極11と第2IDT電極12との間に設けられている。検出部13は、例えば、金属膜と金属膜の表面に固定化された核酸やペプチドからなるアプタマーとからなる。金属膜は、例えば、クロム及びクロム上に成膜された金の2層構造となっている。なお、核酸とは、例えば、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)やRNA(Ribo Nucleic Acid)、PNA(Peptide Nucleic Acid)などである。検出部13やアプタマーの詳細については、後述するため説明を省略する。
y方向に沿って配置された第1IDT電極11、第2IDT電極12及び検出部13を1セットとすると、センサ100にはそのセットが2つ設けられている。これにより、一方の検出部13に固定されたアプタマーを異ならせることによって、1つのセンサで2種類の検出を行うことが可能となる。また、2つ設けられた検出部13の内1つについて、他方に固定されたアプタマーを固定しないことで、リファレンスとして用いても良い。
第1IDT電極11は、図5に示すように、第1接合部材21によって覆われている。第1接合部材21は、基体10の上面に位置し、内部は中空となっている。第1接合部材21が基体10の上面に載置された状態における第1接合部材21の中空部が第1振動空間23である。第1IDT電極11は第1振動空間23内に密閉されている。これにより第1IDT電極11が外気及び検体溶液と隔離され、第1IDT電極11を保護することができる。また、第1振動空間23が確保されることによって第1IDT電極11において励振されるSAWの特性の劣化を抑えることができる。
同様に、第2IDT電極12は、図5に示すように、第2接合部材22によって覆われている。第2接合部材22も第1接合部材21と同じく基体10の上面に位置し、図4Aに示すように内部は中空となっている。第2接合部材22が基体10の上面に載置された状態における第2接合部材22の中空部が第2振動空間24である。第2IDT電極12は第2振動空間24内に密閉されている。これにより第2IDT電極12が外気及び検体溶液と隔離され、第2IDT電極12を保護することができる。また、第2振動空間24が確保されることによって第2IDT電極12において受信されるSAWの特性の劣化を抑えることができる。
なお、振動空間の形状は、直方体状であっても良く、断面視したときにドーム状となっても良く、平面視したときに楕円状となっても良く、IDT電極の形状や配置などに合わせて任意の形状として良い。
第1接合部材21は、x方向に沿って配置された2つの第1IDT電極11を取り囲むようにして基体10の上面に固定された環状の枠体と、枠体の開口を塞ぐように枠体に固定された蓋体とからなる。このような構造は、例えば、感光性の樹脂材料を使用して樹脂膜を形成し、この樹脂膜をフォトリソグラフィー法などによりパターニングすることによって形成することができる。第2接合部材22も同様にして形成することができる。
なお、センサ100においては、2つの第1IDT電極11を1つの第1接合部材21で覆っているが、2つの第1IDT電極11を別個の第1接合部材21により覆うようにしても良い。また、2つの第1IDT電極11を1つの第1接合部材21で覆い、2つの第1IDT電極11の間に仕切りを設けるようにしても良い。第2IDT電極12についても同様に2つの第2IDT電極12を別個の第2接合部材22で覆っても良いし、1つの第2接合部材22を使用して2つの第2IDT電極12の間に仕切りを設けるようにしても良い。
以上のようなセンサ100において、SAWを利用した検出素子3を用いて、ターゲット物質を検出するメカニズムを説明する。
SAWを利用した検出素子3において検体溶液の検出を行うには、まず、第1IDT電極11に、配線7や第1引出し電極19などを介して外部の測定器から所定の電圧を印加する。そうすると、第1IDT電極11の形成領域において基体10の表面が励振され、所定の周波数を有するSAWが発生する。発生したSAWはその一部が検出部13に向かって伝搬し、検出部13を通過した後、第2IDT電極12に到達する。ここで、検出部13では、詳細については後述するように、検体溶液に第1物質が含まれている場合には、第1物質と比較して分子量の大きい物質に起因した変化が基体表面に起こる。この結果、検出部13の下を通過するSAWの位相などの特性が変化する。このように特性が変化したSAWが第2IDT電極12に到達すると、それに応じた電圧が第2IDT電極12に生じる。この電圧が第2引出し電極20、配線7などを介して外部に出力され、それを外部の測定器で読み取ることによって検体溶液の性質や成分を調べることができる。
検体溶液を検出部13に誘導させるためにセンサ100では毛細管現象を利用する。具体的には、第2カバー部材2が第1カバー部材1と接合されることによって、第2カバー部材2の下面に形成された溝部15の部分が細長い管となるため、検体溶液の種類、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の材質などを考慮して溝部15の幅あるいは径などを所定の値に設定することによって溝部15により形成される細長い管に毛細管現象を生じさせることができる。溝部15の幅(y方向の寸法)は、例えば、0.5mm〜3mmであり、深さ(z方向の寸法)は、例えば、0.1mm〜0.5mmである。なお、溝部15は検出部13を超えて延びた部分である延長部15eを有し、第2カバー部材2には延長部15eに繋がった第3貫通孔18が形成されている。検体溶液が流路15内に入ってくると流路15内に存在していた空気は第3貫通孔18から外部へ放出される。
このような毛細管現象を生じる管を、第1カバー部材1及び第2カバー部材2からなるカバー部材に形成しておくことによって、流入口14に検体溶液を接触させれば検体溶液が溝部15を流路としてカバー部材の内部に吸い込まれていく。よってセンサ100によれば、それ自体が検体溶液の吸引機構を備えているため、ピペットなどの器具を使用することなく検体溶液の吸引を行うことができる。また、流入口14がある部分は丸みを帯びており、その頂点に流入口14を形成しているため、流入口14を判別しやすくなっている。
ところで、溝部15によって形成される検体溶液の流路15は、深さが0.3mm程度であるのに対し、検出素子3は厚みが0.3mm程度であり、流路15の深さと検出素子3の厚さとがほぼ等しい。そのため、流路15上に検出素子3をそのまま置くと流路15が塞がれてしまう。そこで、センサ100においては、図4に示すように、検出素子3が実装される第1カバー部材1に凹部5を設け、この凹部5の中に検出素子3を収容することによって、検体溶液の流路15が塞がれないようにしている。すなわち、凹部5の深さを検出素子3の厚みと同程度にし、その凹部5の中に検出素子3を実装することによって、溝部15によって形成される流路15を確保することができる。
図3は、第2カバー部材2の第4基体2bを外した状態における斜視図であるが、検体溶液の流路15が確保されているため、毛細管現象によって流路15内に流入した検体溶液を検出部13までスムーズに誘導することができる。
検体溶液の流路15を十分に確保する観点から、図4に示すように、基体10の上面の凹部5の底面からの高さは、凹部5の深さと同じか又はそれよりも小さくしておくと良い。例えば、基体10の上面の凹部5の底面からの高さを凹部5の深さと同じにしておけば、流入口14から溝部15の内部をみた時に流路15の底面と検出部13とをほぼ同一高さとすることができる。センサ100においては、基体10の厚みを凹部5の深さよりも小さくし、第1接合部材21及び第2接合部材22の凹部5の底面からの高さが凹部5の深さとほぼ同じになるようにしている。第1接合部材21及び第2接合部材22の凹部5の底面からの高さを凹部5の深さより大きくすると、第3基体2aの第1仕切り部25及び第2仕切り部26を他の部分より薄く加工する必要があるが、第1接合部材21及び第2接合部材22の凹部5の底面からの高さを凹部5の深さとほぼ同じにしておくことによって、そのような加工の必要がなくなり生産効率が良い。
凹部5の平面形状は、例えば、基体10の平面形状と相似の形状とされており、凹部5は基体10よりも若干大きい。より具体的には、凹部5は基体10を凹部5に実装した時に、基体10の側面と凹部5の内壁との間に100μm程度の隙間が形成されるような大きさである。
検出素子3は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂などを主成分とするダイボンド材によって凹部5の底面に固定されている。第1引出し電極19の端部19eと配線7とは、例えば、Auなどからなる金属細線27によって電気的に接続されている。第2引出し電極20の端部20eと配線7との接続も同様である。なお、第1引出し電極19及び第2引出し電極20と配線7との接続は、金属細線27によるものに限らず、例えば、Agペーストなどの導電性接着材によるものでも良い。
第1引出し電極19及び第2引出し電極20と配線7との接続部分には空隙が設けられている。そのため、第2カバー部材2を第1カバー部材1に張り合わせた際に金属細線27の破損が抑制される。この空隙は、第3基体2aに第1貫通孔16及び第2貫通孔17を設けておくことによって簡単に形成することができる。また、第1貫通孔16と溝部15との間に第1仕切り部25が存在することによって、溝部15を流れる検体溶液が第1貫通孔16により形成された空隙に流れ込むのを抑制することができる。これにより、複数の第1引出し電極19の間で検体溶液による短絡が発生するのを抑制することができる。同様に、第2貫通孔17と溝部15との間に第2仕切り部26が存在することによって、溝部15を流れる検体溶液が第2貫通孔17によって形成された空隙に流れ込むのを抑制することができる。これにより、複数の第2引出し電極20の間で検体溶液による短絡が発生するのを抑制することができる。
第1仕切り部25は第1接合部材21上に位置し、第2仕切り部26は第2接合部材22上に位置している。よって、検体溶液の流路15は、より厳密にいえば、溝部15だけでなく第1接合部材21の溝部側の側壁と第2接合部材22の溝部側の側壁によっても規定される。
第1貫通孔16及び第2貫通孔17により形成される空隙への検体溶液の漏れを防止する観点からは、第1仕切り部25は第1接合部材21の上面に、第2仕切り部26は第2接合部材22の上面にそれぞれ接触させておいた方が良いが、センサ100では、第1仕切り部25の下面と第1接合部材21の上面との間及び第2仕切り部26の下面と第2接合部材22の上面との間に隙間を有するようにしている。この隙間は、例えば、10μm〜60μmである。このような隙間を設けておくことによって、例えば、センサ100を指でつまんだ際などにこの部分に圧力が掛かっても、隙間によって圧力を吸収し、第1接合部材21及び第2接合部材22に直接圧力が掛かるのを抑制することができる。その結果、第1振動空間23及び第2振動空間24が大きく歪むのを抑制することができる。また、検体溶液は通常ある程度の粘弾性を有するため、隙間を10μm〜60μmにしておくことによって検体溶液がこの隙間に入り込みにくくなり、検体溶液が第1貫通孔16及び第2貫通孔17によって形成される空隙に漏れるのを抑制することもできる。
第1仕切り部25の幅は、第1振動空間23の幅より広くされている。換言すれば、第1接合部材21の枠体上に第1仕切り部25の側壁が位置するようにされている。これにより、外部からの圧力によって第1仕切り部25が第1接合部材21に接触した場合でも、第1仕切り部25が枠部により支えられるため、第1接合部材21の変形を抑制することができる。同様の理由により、第2仕切り部26の幅も、第1振動空間25の幅よりも広くしておくと良い。
第1貫通孔16及び第2貫通孔17によって形成される空隙内に位置する、第1引出し電極19、第2引出し電極20、金属細線27及び配線7は、絶縁性部材28によって覆われている。これによって、これらの電極などが腐食するのを抑制することができる。また、この絶縁性部材28を設けておくことによって、検体溶液が第1仕切り部25と第1接合部材21との隙間、あるいは第2仕切り部26と第2接合部材22との隙間に入り込んだ場合でも、絶縁性部材28によって検体溶液が堰き止められる。よって、検体溶液の漏れによる引き出し電極間の短絡などを抑制することができる。
かくしてセンサ100によれば、検出素子3を第1カバー部材1の凹部5に収容したことによって、流入口14から検出部13に至る検体溶液の流路15を確保することができ、毛細管現象などによって流入口から吸引された検体溶液を検出部13まで流すことができる。すなわち、厚みのある検出素子3を用いつつ、それ自体に吸引機構を備えたセンサ100を提供することができる。また、例えば、流路15は、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の少なくとも一方の表面に設けられている溝部を有しても良い。言い換えると、流路15は、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の少なくとも一方の表面に設けられている溝部を形成することで、設けられても良い。
[変形例]
以上のようなセンサ100の構造は一例であり、これに限定されるものではなく、任意のセンサ100を用いて良い。
例えば、図7は、センサ100の変形例を示す断面図である。この断面図は図4Aに示す断面と対応している。この変形例は、端子6の形成位置を変えたものである。上述した実施形態では、端子6を第2基体1bの長手方向の他方端部に形成していたが、この変形例では第4基体2bの上面に形成している。端子6と配線7とは第2カバー部材2を貫通する貫通導体29によって電気的に接続されている。貫通導体29は、例えば、Agペースト、めっきなどからなる。また端子6は、第1カバー部材1の下面側に形成することも可能である。よって、端子6は、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の表面における任意の位置に形成可能であり、使用される測定器に合わせてその位置を決めることができる。
また、例えば、図8は、センサ100の別の変形例を示す断面図である。この断面図は図4Bに示す断面と対応している。この変形例では、溝部15によって形成された流路15の突き当たりに検体溶液を所定の速度で吸収する吸収材30が設けられている。このような吸収材30を設けておくことによって余分な検体溶液を吸収し、検出部13上を流れる検体溶液の量を一定化して安定した測定を行うことができる。吸収材30は、例えば、スポンジなど液体を吸収することができる多孔質上の材料からなる。
また、上述した実施形態においては、検出部13が金属膜と金属膜の表面に固定化されたアプタマーからなるものについて説明したが、例えば、検出部13により検出される物質が金属膜と反応する場合には、アプタマーを使用せず金属膜だけで検出部13を構成しても良い。更に、金属膜を用いずに圧電基体である基体10の表面における第1IDT電極11と第2IDT電極12との間の領域を検出部13としても良い。この場合は、基体10の表面に検体溶液を直接付着させることにより、検体溶液の粘性などの物理的性質を検出する。より具体的には、検出部13上の検体溶液の粘性などが変化することによるSAWの位相変化を読み取ることとなる。
また、例えば、上述した実施形態においては、検出素子3が弾性表面波素子からなるものについて説明したが、例えば、表面プラズモン共鳴が起こるように光導波路などを形成した検出素子3を用いても良い。この場合は、例えば、検出部における光の屈折率の変化などを読み取ることとなる。その他の例として、水晶などの圧電基体に振動子を形成した検出素子3を用いることもできる。この場合は、例えば、振動子の発振周波数の変化を読み取ることとなる。
また、例えば、検出素子3として、同じ基体10上に複数種類のデバイスを混在させても構わない。例えば、SAW素子の隣に酵素電極法の酵素電極を設けても良い。この場合は、抗体やアプタマーを用いた免疫法に加えて酵素法での測定も可能となり、1度に検査できる項目を増やすことができる。
また、例えば、上述した実施形態においては、第1カバー部材1が第1基体1a及び第2基体1bによって形成され、第2カバー部材2が第3基体2a及び第4基体2bによって形成されている例を示したが、これに限らず、基体同士が一体化されたカバー部材、例えば、第1基体1aと第2基体1bとが一体化された第1カバー部材1を用いても良い。
また、例えば、上述した実施形態においては、検出素子3が1個設けられている例について説明したが、検出素子3を複数個設けても良い。この場合、検出素子3ごとに凹部5を設けても良いし、すべての検出素子3を収容できるような長い凹部5を形成するようにしても良い。
また、例えば、溝部15は、第1カバー部材1と第2カバー部材2とのいずれに設けられても良く、両方に設けられても良い。すなわち、第1カバー部材1と第2カバー部材2との両方に溝を設けることによって流路15を形成しても良く、第1カバー部材1と第2カバー部材2との片方に溝を設けることによって流路15を形成しても良い。
また、例えば、図9〜図11は、基体10に直接カバー部材45が接合される構成を示す図である。上述した実施形態においては、基体10が第1カバー部材1上に設けられ、第1カバー部材1と第2カバー部材2とが接合される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、基体10に直接カバー部材を接合することによって流路15を形成するようにしても良い。以下、詳細に説明する。
図9〜図11において、基体10Aに接合されたカバー部材45に溝を設けることで流路15を形成する場合について説明する。なお、このような構成に限らず、例えば、基体10Aの上面に設けられるカバー部材45と基体10Aとの両方に溝を設けることで流路15を形成しても良く、基体10Aに溝を設けることで流路15を形成しても良い。
図9は、基体にカバー部材を接合する場合におけるセンサの一例を示す斜視図である。図9に示す例では、センサ100Aは、基体10Aと、カバー部材45とを有する。カバー部材45は、検体溶液の流入口である流入口14Aと、空気孔もしくは検体溶液の流出口である第3貫通孔18Aとを有する。なお、図9に示す例では、流入口14Aがカバー部材45の上面に設けられる場合を例に示したが、これに限定されるものではない。例えば、流入口14Aは、センサ100と同様に、カバー部材45の側面に設けられても良い。なお、図9に示す例では、カバー部材45が、パッド44を有する場合を示した。パッド44は、センサ100の第1引出し電極19の端部19e及び第2引出し電極20の端部20eなどに相当する。
図10は、カバー部材の片側半分を取り除いたときのセンサの一例を示す斜視図である。図10に示すように、カバー部材45の片側半分を取り除いたときのセンサ100Aの斜視図を示す。同図に示すようにカバー部材45の内部には検体溶液の検体用流路となる空間40が形成される。流入口14Aはこの空間40に繋がっている。すなわち、流入口14Aから入った検体溶液は空間40に流れ込む。なお、センサ100Aにおける空間40は、センサ100における流路15に相当する。
図11Aと図11Bとは、基体にカバー部材を接合する場合におけるセンサの一例を示す断面図である。図11Aは、図9のIVa−IVa線における断面図であり、図11Bは、図9のIVb−IVb線における断面図である。
図11Aと図11Bとに示すように、基体10Aの上面には、第1IDT電極11と第2IDT電極12と、短絡電極42aや短絡電極42bなどが設けられる。また、第1IDT電極11と第2IDT電極12と、短絡電極42aや短絡電極42bなどは、保護膜41によって覆われる。保護膜41は、各電極および配線の酸化防止などに寄与するものである。保護膜41は、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化珪素、またはシリコンなどからなる。例えば、保護膜41は、二酸化珪素(SiO2)である。
保護膜41は、パッド44を露出するようにして、基体10Aの上面全体にわたって形成される。第1IDT電極11および第2IDT電極12が保護膜41によって被覆されることで、IDT電極が腐食するのを抑制することができる。
保護膜41の厚さは、例えば100nm〜10μmである。なお、保護膜41は必ずしも基体10Aの上面全体にわたって形成する必要はなく、例えば、パッド44を含む基体10Aの上面の外周に沿った領域が露出するように基体10Aの上面中央付近のみを被覆するように形成しても良い。また、図11Aや図11Bに示す例では、保護膜41を用いる場合を例に示したが、これに限定されるものではなく、保護膜41を用いなくても良い。
短絡電極42aや短絡電極42bは、基体10Aの上面のうちSAWの伝搬路となる部分を電気的に短絡させるためのものである。短絡電極42aや短絡電極42bを設けることで、SAWの種類によってはSAWの損失を小さくすることができる。なお、SAWとして特にリーキー波を使用した場合に、短絡電極42aや短絡電極42bによる損失抑制効果が高いと考えられる。
短絡電極42aや短絡電極42bは、例えば、第1IDT電極11から第2IDT電極12へ向かうSAWの伝搬路に沿って伸びた長方形状とされる。短絡電極42aや短絡電極42bのSAWの伝搬方向と直交する方向(x方向)における幅は、例えば、第1IDT電極11の電極指の交差幅と同じである。また、短絡電極42aや短絡電極42bのSAWの伝搬方向と平行な方向(y方向)における第1IDT電極側の端部は、第1IDT電極11の端部に位置する電極指の中心からSAWの半波長分だけ離れた場所に位置している。同様にして、短絡電極42aや短絡電極42bのy方向における第2IDT電極12側の端部は、第2IDT電極12の端部に位置する電極指の中心からSAWの半波長分だけ離れた場所に位置する。
ここで、第1IDT電極11と第2IDT電極12との電極指の本数、隣接する電極指同士の距離、電極指の交差幅などをパラメータとして、周波数特性を設計することが可能である。IDT電極によって励振されるSAWとしては、レイリー波、ラブ波、リーキー波などがある。なお、第1IDT電極11のSAWの伝搬方向における外側の領域にSAWの反射抑制のための弾性部材を設けてもよい。SAWの周波数は、例えば、数メガヘルツ(MHz)から数ギガヘルツ(GHz)の範囲内において設定可能である。なかでも、数百MHzから2GHzとすれば、実用的であり、かつ基体10Aの小型化ひいてはセンサ100Aの小型化を実現することが可能となる。
短絡電極42aや短絡電極42bは、電気的に浮き状態としても良いし、グランド電位用のパッド44を設け、これに接続してグランド電位としてもよい。短絡電極42aや短絡電極42bをグランド電位とした場合には、第1IDT電極11と第2IDT電極12との間の電磁結合による直達波の伝搬を抑制することができる。
短絡電極42aや短絡電極42bは、例えば、アルミニウム、アルミニウムと銅との合金などからなる。またこれらの電極は、多層構造としてもよい。多層構造とする場合は、例えば、1層目がチタン又はクロムからなり、2層目がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
板状体43は、第1振動空間23や第2振動空間24を形成するための凹部を有し、基体10Aと接合されることで第1振動空間23や第2振動空間24を形成する。板状体43は、例えば、感光性のレジストを用いて形成される。板状体43は、センサ100における第1接合部材21や第2接合部材22に相当する。図11Aや図11Bに示す例では、第1振動空間23又は第2振動空間24を形成するための板状体43の凹部の間には、板状体43を厚み方向に貫通している部分である貫通部が形成されている。この貫通部はSAWの伝搬路上に金属膜を形成するために設けられたものである。すなわち、板状体43を基体10Aに接合したときに、平面視で、第1IDT電極11から第2IDT電極12に伝搬するSAWの伝搬路の少なくとも一部が貫通部から露出し、その露出部に検出部13が設けられる。
また、例えば、検出部13に対して、任意の処理を行っても良い。例えば、2つの検出部13のうち1つをリファレンスとして用いる場合には、リファレンスとして用いる金属膜に対して、検出部13にて検出される物質が付着しないための処理を行っても良い。検出部13がDNAなどの核酸と結合する場合を用いてより詳細な一例をあげて説明する。この場合、DNAなどの核酸は、マイナスに帯電していることを踏まえ、リファレンスとして用いる検出部13の金属膜を任意の手法でマイナスに帯電させておくことで、リファレンスに誤ってDNAなどの核酸が付着することを防止可能となる。また、同様に、金にはDNAなどの核酸が付着する傾向があることを踏まえ、リファレンスとして用いる検出部13の金属膜として、金以外の金属で形成された金属膜を用いても良い。また、例えば、シグナル物質が核酸の場合、リファレンスにはランダム配列の核酸を検出側と同じように固定化するようにしても良い。この結果、リファレンスと検出側の表面状態は同じになり、表面が異なることで生じると思われるわずかな粘性の違いなどをキャンセルでき、検出側での結合のみをリファレンスと検出側との差分としてみることが可能となる。
上述した実施形態に係るセンサや各種の変形例に係るセンサは、小分子の検出に有効であり、例えば、癌マーカ等の従来からの医療系の用途に加えて、疲労やアンチエージングマーカー等、美容や若さの維持といった一般用途でも利用可能である。ここで、高感度トランスデューサとしてのSAWチップを使い捨てセンサとして埋込み、SAWチップ上の毛細管流路の中でアプタマーから解離したシグナル物質(又はアプタマーそのもの)が基体表面と結合/解離するようにすることで、小分子に対して高感度であり、かつ使い捨てに適した軽薄短小なセンサとすることが可能となる。この結果、小型簡易型センサを実現可能となる。
例えば、SAWの伝搬路上に構造変化型アプタマーの質量変化検出部を設けることで、SAWの伝搬と、シグナル物質またはアプタマーそのものとの相互作用を起こさせる。この結果、例えば、標的検出物の量が拡大された質量変化として直接的に検出可能となり、定量化のための変換が容易であり精度良く信号増幅して検出可能となる。また、シグナル物質またはアプタマーそのものは検出すべき小分子と比べて質量が大きく、検出結果を増幅させることが可能となる。
また、例えば、生体物質との作用部であるSAWの伝搬路と電気信号への変換部であるIDT電極は、1つの基体上に微細に作製することができる。この結果、センサ自体を非常に小さくすることが可能となり、また、ウェハ工程等で大量生産することも可能であり、使い捨て型のセンサチップを簡単に実現可能となる。
また、例えば、SAWの検出回路は、多くの無線端末やタブレット端末内の通信装置に採用されている回路構成と同様であり、上述のセンサの検出回路を無線端末やタブレット端末などの電子機器に簡単に接続することも可能である。
[センサの検出部の実施形態1]
開示のセンサ100は、1つの形態において、基体10を有する。また、開示のセンサ100は、1つの形態において、結合部240であって、基体10の表面に位置しており、第1物質210の分子量よりも分子量が大きい第2物質220と結合可能であり、第2物質220ならびに第1物質210および第2物質220と結合可能なアプタマー230を含む検体に、第1物質210が含まれるかを検出可能な結合部240を有する。なお、第2物質220を「シグナル物質」とも称する。
例えば、センサ100は、第1物質210と比較して分子量の大きい第2物質220との結合部240を備える。また、例えば、センサ100は、第1物質210との第1結合部位231と第2物質220との第2結合部位232とを有するとともに第1物質210と第2物質220とのうちいずれか一方と結合するアプタマー230、及び第2物質220の両方と接触した検体に、第1物質210が含まれるかを検出するための結合部240を表面に有する基体10を備える。
ここで、第1物質210は、任意の物質である。例えば、第1物質210は、タンパク質、酵素、細胞、細胞組織、微生物、ウィルス、細菌、毒素、核酸、糖類、脂質、代謝物、ATP(Adenosine TriPhosphate)などの低分子(小分子)有機化合物などである。また、例えば、第1物質210は、ストレスや疲労、各種疾患など身体の状態を示すマーカとなる任意の物質、iPS(induced Pluripotent Stem cell、人工多能性幹細胞)細胞などである。
第2物質220は、第1物質210と比較して分子量の大きい任意の物質である。第2物質220は、例えば、酵素、タンパク質、核酸などである。第2物質220は、より好ましくは、核酸である。核酸を用いた場合、相補鎖を形成する塩基数を変更することで、第2結合部位232と第2物質220との間の結合の強さを簡単に制御することが可能となる。
ここで、第1物質210の分子量と第2物質220の分子量とについて補足する。第2物質220としては、第1物質210よりも分子量が大きい物質が好ましい。例えば、第2物質220の分子量は、1万以上である。なお、第1物質210の分子量は、例えば、500以下であり、より好ましくは、200〜500である。ただし、これに限定されるものではなく、第1物質210や第2物質220の分子量は、任意の値であって良い。
アプタマーとは、特定の物質に対する親和性が高く、特定の物質と特異的に結合し得る物質のことをいう。以下では、核酸で形成されたアプタマー230である核酸アプタマーを用いる場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、ペプチドアプタマーを用いても良く、任意のアプタマー230を用いて良い。また、核酸アプタマーを用いる場合、核酸アプタマーを形成する核酸には、種々の修飾が行われていても良い。なお、ATPが第1物質210となる場合のアプタマー230の塩基配列の一例を配列番号1に示した。
図12は、開示のアプタマーの実施形態の一例について説明するための図である。図12に示す例では、説明の便宜上、アプタマー230に加えて、第1物質210と、第2物質220とを併せて示した。また、図12に示す例では、説明の便宜上、第2物質220と結合しているアプタマー230と検体溶液を混合することで、アプタマー230と第2物質220とを検体溶液に接触させる場合を用いて説明する。ただし、これに限定されるものではなく、センサの流路15にアプタマー230や第2物質220を予め付着させておくことで、アプタマー230及び第2物質220と接触した検体溶液が検出部13と接触するようにしても良い。その際には、予め第2物質220と結合したアプタマー230を流路15の側面と結合させておき、アプタマー230自体は流路15の側面から乖離しないようにしても良い。また、アプタマー230や第2物質220は、センサの流路15のうち、検出部13よりも流入口側の側面に付着させたり結合させたりすることで、検出部13に到達する前にアプタマー230や第2物質220と検体溶液とが確実に接触するようにしても良い。
すなわち、例えば、アプタマー230および第2物質220が、それぞれ、溝部15に付着しており、結合部240は、溝部15に付着しているアプタマー230と第2物質220とに接触した後の検体から第1物質210を検出しても良い。また、例えば、アプタマー230が、溝部15に固定されており、且つ、第2物質220と結合しており、結合部240は、アプタマー230と接触した後の検体から第1物質210を検出するようにしても良い。ここで、例えば、第2物質220と結合しているアプタマー230は、溝部15の表面物質と化学的に結合している。
また、ここで、アプタマー230および検体のうち少なくとも一方が、結合部240と離れて位置しているようにしても良い。また、アプタマー230および検体のうち少なくとも一方が、溝部15に位置しているようにしても良い。また、アプタマー230および検体のうち少なくとも一方が、検出部に位置しているようにしても良い。
なお、流路15にアプタマー230や第2物質220を予め付着させる場合には、ドライ形態のものとし、検体溶液との接触により、少なくとも第2物質220は流路15から遊離し、検体溶液とともに検出部13に接触するように、遊離可能な状態で付着させておくことが重要である。
図12の(1)は、検体溶液に第1物質210が含まれない場合を示し、図12の(2)は、検体溶液に第1物質210が含まれる場合を示す。
図12に示すように、開示のアプタマー230は、第1物質210との第1結合部位231と第2物質220との第2結合部位232とを有するとともに、第1物質210と第2物質220とのうちいずれか一方と結合する。
図12に示すように、アプタマー230は、第1物質210と結合する第1結合部位231と、第2物質220と結合する第2結合部位232とを有する。図12の(1)に示すように、アプタマー230は、検体溶液中に第1物質210が存在しない場合には、第2結合部位232と第2物質220とが結合するように設計される。これに対して、図12の(2)に示すように、アプタマー230は、検体溶液中に第1物質210が存在する場合には、第1結合部位231と第1物質210と結合する一方、第2結合部位232と結合していた第2物質220がアプタマー230から解離するように設計される。すなわち、検体溶液に第1物質210が存在しない場合には、アプタマー230と第2物質220とが複合体を形成する。一方、検体溶液に第1物質210が存在する場合には、アプタマー230と第2物質220とが解離し、アプタマー230が第1物質210と結合して複合体を形成する。言い換えると、アプタマー230は、第2物質220よりも第1物質210と優先して結合するように設計される。
ここで、検体溶液中に第1物質210が存在する場合に、第1結合部位231が第1物質210と結合する一方、第2結合部位232と結合していた第2物質220がアプタマー230から解離するメカニズムについて補足する。第2結合部位232と結合している第2物質220は、例えば、第1物質210と第1結合部位231との結合に起因したアプタマー230の立体構造に対する影響や、第1結合部位231と結合した第1物質210による立体障害の影響などによって、第1結合部位231から解離する。ただし、第2物質220がアプタマー230から解離するメカニズムは、これに限定されるものではなく、任意のメカニズムであって良い。
ここで、検体溶液中に第1物質210が存在する場合に、第1結合部位231が第1物質210と結合する一方、第2結合部位232と結合していた第2物質220がアプタマー230から解離するメカニズムを有するアプタマー230の設計手法について補足する。以下では、説明の便宜上、第2物質220として、分子量が1万5千程度の1本鎖DNAを用いる場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、RNAを用いても良く、PNAを用いても良く、任意の物質を用いて良い。以下では、第1結合部位231の塩基配列の決定手法の一例、第2結合部位232の塩基配列の決定手法の一例、アプタマー230の塩基配列の決定手法の一例の順に説明する。
第1結合部位231の塩基配列の決定手法の一例について説明する。例えば、第1結合部位231の塩基配列は、in vitro selection 法、又は、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)法などにより決定して良い。より詳細には、第1物質210と特異的に結合するアプタマー230をin vitro selection 法、又は、SELEX法により取得し、取得したアプタマー230の塩基配列を解読することで、第1結合部位231や第2結合部位232の塩基配列を決定する。ただし、これに限定されるものではない。例えば、第1物質210が核酸である場合には、in vitro selection 法やSELEX法などを用いることなく、第1物質210となる核酸の一部又はすべてと相補的な塩基配列を用いれば良い。
第2結合部位232の塩基配列の決定手法の一例について説明する。第2結合部位232の塩基配列は、第1結合部位231と同様に決定して良い。また、第2物質220として核酸を用いる場合、第1結合部位231の塩基配列には、in vitro selection 法やSELEX法などを用いることなく、第2物質220となる核酸の一部又はすべてと相補的な塩基配列を用いれば良い。ここで、第2物質220は、第1物質210よりも分子量の大きな物質が用いられ、好ましくは、1万以上の分子量を有する物質となる。このため、第2物質220となる核酸のすべてと相補的な塩基配列を用いた場合、結合の強さが強すぎて解離しなくなることを踏まえ、一部と相補的な塩基配列を第2結合部位232として用いることが好ましい。
アプタマー230の塩基配列の決定手法の一例について説明する。アプタマー230の塩基配列は、第1結合部位231の塩基配列と第2結合部位232の塩基配列とに基づいて決定する。例えば、アプタマー230の塩基配列は、第1結合部位231の塩基配列と第2結合部位232の塩基配列とを末端で相互に連結したものに決定しても良い。ただし、これに限定されるものではなく、第1結合部位231の塩基配列中に第2結合部位232の塩基配列が挿入された塩基配列にしても良く第2結合部位232の塩基配列中に第1結合部位231の塩基配列が挿入された塩基配列にしても良い。
また、第2結合部位232は、第1結合部位231の塩基配列の一部で形成されても良い。この場合、第2物質220は、第1結合部位231の一部となる第2結合部位232と相補的な塩基配列を有する核酸となる。また、第2結合部位232は、第1結合部位231の3末端側、又は5末端側の塩基配列の一部と、第2結合部位232に独自の塩基配列とで形成されても良い。
なお、第2物質220の塩基配列のうち、第2結合部位232と相補的となる部分以外の塩基配列は、任意の塩基配列であって良い。第2結合部位232と相補的となる部分以外の塩基配列は、好ましくは、第1結合部位231や第2結合部位232の一部又はすべてと相補的な配列を有さない塩基配列である。例えば、任意の1つの塩基が末端まで連続する塩基配列としても良い。
ここで、第2結合部位232の塩基数について補足する。第2結合部位232の塩基数が多ければ多いほど、第2結合部位232と第2物質220との結合の強さが強くなる。この結果、第2結合部位232の塩基数が多ければ多いほど、第2結合部位232と第2物質220とが結合しやすくなり、また、第1物質210が第1結合部位231と結合した際に、第2結合部位232から第2物質220が解離しにくくなると考えられる。また、同様に、第2結合部位232の塩基数が少なければ少ないほど、第2結合部位232と第2物質220との結合の強さが弱くなる。この結果、第2結合部位232の塩基数が少なければ少ないほど、第2結合部位232と第2物質220とが結合しにくくなり、第1物質210が第1結合部位231と結合した際に、第2結合部位232から第2物質220が解離しやすくなると考えられる。このため、第2結合部位232の塩基数には、適した範囲があり、好ましくは、「20」以下であり、より好ましくは、「9〜11」である。
検体溶液は、検出対象となる液体又は固体を含む任意の溶液であっても良く、検体溶液は、予めアプタマー230と第2物質220とが検体溶液中に添加されて混合されることで、アプタマー230及び第2物質220と接触したり、センサ100の流路15を通ることで、流路15に付着されたり固定されたりしたアプタマー230及び第2物質220と接触したりする。なお、検体溶液と接触するアプタマー230と第2物質220との比率は、モル比において、アプタマー230が第2物質220以上あることが好ましく、アプタマー230と第2物質220とがモル比で等量であることがより好ましい。
また、基体10は、検体溶液に第1物質210が含まれるかを検出するための第2物質220との結合部240を表面に有する。検出部13は、基体表面の全面であっても良く、基体表面の一部であっても良い。検出部13は、例えば、金属膜と、金属膜上に固定された結合部240とを有する。ただし、これに限定されるものではなく、金属膜を有しなくても良い。金属膜を有する場合、金属膜を形成する金属としては、任意の金属を用いて良い。例えば、Au(金)やTi、Cuなどを用いて良く、金が好ましい。
ここで、基体表面の結合部240について説明する。基体表面の結合部240には、第2物質220と特異的に結合する任意の物質が用いられる。例えば、基体表面の結合部240には、第2物質220と特異的に結合するアプタマーやタンパク質、抗体などが用いられる。基体表面の結合部240は、例えば、第2結合部位232と同様に決定される。ただし、第2物質220と特異的に結合する任意の物として、アプタマーやタンパク質、抗体を用いる場合に限定されるものではない。例えば、基体表面を形成する材料そのものと第2物質220とが結合する場合には、別途アプタマーやタンパク質、抗体を用いなくても良い。
基体表面に結合部240を固定する場合の固定手法について説明する。固定手法としては、任意の手法を用いて良い。例えば、ストレプトアビジンとビオチンの強い親和性を利用することで、固定しても良い。この場合、例えば、検出部13に予めストレプトアビジンを固定しておく。より詳細には、固定化した時に、検出部13表面(Auなど)を極力覆うように、アルキルチオールなどで形成した自己集積膜(SAM、Self-Assembled Monolayer)をあらかじめ形成した基体の上にストレプトアビジンを固定化する。また、基体表面の結合部240として用いる物質の端部にビオチンを予め固定しておき、基体表面の結合部240として用いる物質の溶液を作製しておく。その後、基体表面の結合部240として用いる物質を含む溶液を検出部13と接触させることで、結合部240を検出部13に固定する。なお、その後、検出部13に固定されず、検出部13に残留している物質を除去することを目的として、任意の溶媒を用いて検出部13を洗浄しても良い。洗浄に用いる溶媒は、例えば、NaOHである。ただし、NaOHに限定されるものではなく、任意の溶媒を用いて良い。
ここで、第1物質210と、アプタマー230と、結合部240との関係について補足する。第1物質210と、アプタマー230と、結合部240とは、自由エネルギー変化に関する大小関係を有する。具体的には、第1物質210とアプタマー230との解離定数から算出される第1自由エネルギー変化は、アプタマー230と第2物質220との結合に伴う第2自由エネルギー変化より小さくなる大小関係を有する。また、第2物質220と結合部240との結合に伴う第3自由エネルギー変化が第2自由エネルギー変化よりも大きくなる大小関係を有する。
すなわち、第1物質210とアプタマー230との解離定数から算出される第1自由エネルギー変化が、アプタマー230と第2物質220との結合に伴う第2自由エネルギー変化よりも小さく、且つ、第2物質220と結合部240との結合に伴う第3自由エネルギー変化が第2自由エネルギー変化よりも大きい。
なお、上述の自由エネルギーは、Gibbsの自由エネルギー変化を示し、マイナスの値となる。自発的反応が起こる時、自由エネルギーはマイナスの値となるからである。Gibbsの自由エネルギー変化がマイナスに大きいほど、より反応が進みやすいことを示す。すなわち、例えば、「第1自由エネルギー変化が第2自由エネルギー変化より小さくなる大小関係」とは、第1自由エネルギー変化と第2自由エネルギー変化とは共にマイナスの値であり、第1自由エネルギー変化の絶対値が、第2自由エネルギー変化の絶対値よりも大きい大小関係を示す。
ここで、アプタマー230と結合部240とは、第2物質220の塩基配列の一部と相補的な塩基配列を有する場合を用いて説明する。また、結合部240は、第2物質220の塩基配列の一部と相補的な塩基配列を有する場合を用いて説明する。また、第2の自由エネルギーは、アプタマー230の塩基配列と第2物質220の塩基配列とのうち相補的な部分の結合に伴う自由エネルギー変化である場合を用いて説明する。また、第3の自由エネルギーは、第2物質220の塩基配列と結合部240の塩基配列とのうち相補的な部分の結合に伴う自由エネルギー変化である場合を用いて説明する。この場合、アプタマー230と第2物質220との間において相補的となる塩基配列の塩基種類および塩基数と、結合部240と第2物質220との間において相補的となる塩基配列の塩基種類および塩基数とは、第1自由エネルギー変化と第2自由エネルギー変化と第3自由エネルギー変化との間における大小関係を満たす値となる。
すなわち、アプタマー230および結合部240はそれぞれ塩基配列を有する場合を用いて説明する。また、アプタマー230の塩基配列は第2物質220の塩基配列の第1部分と相補的な部分を有するとともに、結合部240の塩基配列は第2物質220の塩基配列の第2部分と相補的な部分を有する場合を用いて説明する。また、第2自由エネルギー変化は、第2物質220の塩基配列の第1部分とアプタマー230の塩基配列のうち相補的な部分との結合に伴う自由エネルギー変化である場合を用いて説明する。第3自由エネルギー変化は、第2物質220の塩基配列の第2部分と結合部240の塩基配列のうち相補的な部分との結合に伴う自由エネルギー変化である場合を用いて説明する。この場合、アプタマー230と第2物質220との間において相補的となる塩基配列の塩基種類及び塩基数と、結合部240と第2物質220との間において相補的となる塩基配列の塩基種類及び塩基数とは、第1自由エネルギー変化、第2自由エネルギー変化および第3自由エネルギー変化の間における大小関係を満たす値となる。
なお、アプタマー230は、SAWの伝搬路上や流路15に予め結合させておいたり付着させておいたりしても良く、センサ100の流路15に検体溶液が流し込まれる前に検体溶液に溶かし込んでおいても良い。例えば、アプタマー230および検体のうち少なくとも一方は、結合部240や検出部13と離れて位置している。また、例えば、アプタマー230および検体のうち少なくとも一方は、流路15に位置している。また、例えば、アプタマー230および検体のうち少なくとも一方は、結合部240や検出部13に位置している。
また、SAWの伝搬定数の変化は基体のごく表面の変化に限定される。この結果、標的と反応しなかった未反応物が基体の上方に残っていてもそれらを除去する等の処理は特に必要ない。毛細管流路に検体溶液を単に流し込む操作のみで標的との結合に関連したシグナル物質またはアプタマーそのものが基体表面に固定化された(結合部などの)受容体(として機能する部位)に結合/解離し、結合したり解離したりすることによる影響を選択的に検出可能である。
[検出方法の実施形態1]
開示の検出手法は、1つの実施形態において、第1物質210との第1結合部位231と第1物質210と比較して分子量の大きい第2物質220との第2結合部位232とを有するとともに第1物質210及び第2物質220のうちいずれか一方と結合するアプタマー230、及び第2物質220の両方と接触した検体を、第2物質220との結合部240を有するセンサの基体10の表面と接触させる接触工程を含む。
なお、予め検体溶液にアプタマー230と第2物質220と検体とを添加して混合しておく場合には、任意の手法を用いて混合して良い。例えば、アプタマー230と第2物質220と検体とを混合することで作製しても良く、予め第2物質220を第2結合部位232と結合させておいたアプタマー230と検体とを混合することで作製しても良く、任意の手法を用いて良い。
ただし、予め検体溶液にアプタマー230と第2物質220と検体とを添加して混合しておく場合には、好ましくは、第2物質220を第2結合部位232と予め結合させておいたアプタマー230と検体溶液とを混合することで作製するのが良い。第2物質220を第2結合部位232と予め結合させておいたアプタマー230を用いることで、第1物質210が存在しないにもかかわらず、第2物質220がアプタマー230と結合することなく、第2物質220が結合部240と結合することを低減でき、検出精度を向上可能となる。
第2物質220を第2結合部位232と予め結合させる手法は、任意の手法を用いて良い。第2物質220が核酸であり、第2結合部位232が、第2結合部位232と相補的な核酸である場合を例に説明する。この場合、第2物質220同士は2本鎖を形成せず、アプタマー230の第2結合部位232もまた2本鎖を形成しないことを踏まえ、室温にて混合して攪拌することにより、第2物質220を第2結合部位232と予め結合させても良い。また、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法における反応条件においては、熱変成により2本鎖DNAが確実に1本鎖になり、1本鎖のDNAに対してプライマーを確実にアニーリングされる。このことを踏まえ、PCR法における温度条件を用いることで、第2物質220を第2結合部位232と予め結合させても良い。より詳細には、第2物質220とアプタマー230とを混合した上で、熱変性により2本鎖のDNAが1本鎖になる温度まで加熱し、その後冷却することで、第2物質220を第2結合部位232と予め結合させても良い。
また、検体溶液と基体表面とを接触させる手法は、任意の手法を用いて良い。例えば、上述のSAWセンサとしてのセンサ100を用いる場合には、上述したように、検体溶液を流入口14から溝部15を介して検出部13に導くことで、接触させて良い。また、センサがSPR装置やQCM水晶センサの測定セルである場合には、手動にて検体溶液をバイオセルの基体表面に接触させたり、SPR装置やQCM測定装置のフローセルに検体溶液を注入することで接触させたりして良い。
また、開示の検出手法は、また、検体が接触した基体10の表面の状態変化を検出することで、検体から第1物質210を検出する検出工程を含む。図13は、基体表面の状態変化について説明する図である。図13に示す例では、説明の便宜上、第2物質220と結合しているアプタマー230と検体溶液とを混合することで、検出用の検体溶液を作製する場合を用いて説明する。図13の(1)は、検体溶液に第1物質210が含まれない場合を示し、図13の(2)は、検体溶液に第1物質210が含まれる場合を示す。また、図13においては、基体10の上面に位置する検出部13となる金属層等の図示を省略している。
図13の(1)に示すように、アプタマー230は、検体溶液中に第1物質210が存在しない場合には、第2結合部位232と第2物質220とが結合したままとなり、基体表面に固定された結合部240と第2物質220とは結合しない。これに対して、図13の(2)に示すように、検体溶液中に第1物質210が存在する場合には、第1結合部位231と第1物質210と結合するとともに、第1結合部位231と結合していた第2物質220がアプタマー230から解離する。そして、解離した第2物質220が基体表面に固定された結合部240と結合することになる。
ここで、基体表面の状態変化とは、基体表面に固定された結合部240と第2物質220が結合することに起因した質量変化や誘電率変化、粘弾性変化、伝播特性変化、共振周波数変化などである。例えば、SPR装置を用いて測定を行う場合には、基体表面に固定された結合部240と第2物質220が結合すると、基体表面の質量や誘電率が変化し、この変化に起因するSPR角度変化を発生する。この場合、基体表面の状態変化とは、結合部240と第2物質220との結合に起因する質量変化や誘電率変化となり、SPR角度変化を検出することで基体表面の状態変化が検出される。また、SAWセンサを用いる場合には、基体表面の質量変化や粘弾性変化に起因する伝播特性変化が発生する。この場合、基体表面の状態変化とは、結合部240と第2物質220との結合に起因する質量変化や粘弾性変化であり、伝播特性変化を検出することで基体表面の状態変化が検出される。また、QCM測定装置を用いる場合には、基体表面の質量変化に起因する共振周波数変化が発生する。この場合、基体表面の状態変化とは、結合部240と第2物質220との結合に起因する質量変化であり、共振周波数変化を検出することで基体表面の状態変化が検出される。
基体表面の変化は、基体表面に固定された結合部240と第2物質220との結合に起因しており、基体表面に固定された結合部240と第2物質220が結合するのは、検体溶液に第1物質210が含まれる場合である。また、第2物質220は、第1物質210の分子量より分子量が大きい。この結果、第1物質210と基体表面との結合に起因した基体表面の変化を検出する手法と比較して、第2物質220と基体表面との結合に起因した基体表面の変化を検出する手法では、基体表面における質量変化や誘電率の変化、粘弾性変化が大きくなり、検出感度を向上可能となる。この結果、小分子を基体表面に固定することで検出する従来の手法では測定できなかった小分子を検出可能となる。
[検出システム、検出装置の実施形態1]
開示の検出システムは、1つの実施形態において、第1物質210と比較して分子量の大きい第2物質220との結合部240と、表面に結合部240を有する基体10と、を含むセンサを有する。
ここで、検出システム、検出装置の実施形態1において用いられるセンサは、上述したセンサと同様であり、説明を省略する。
次に、また、開示の検出システムは、1つの実施形態において、検出装置を有する。検出装置は、第1物質210と比較して分子量の大きい第2物質220との結合部240と、表面に結合部240を有する基体10とを含むセンサの基体10の表面に、第1物質210との第1結合部位231と第2物質220との第2結合部位232とを有するとともに第1物質210及び第2物質220のうちいずれか一方と結合するアプタマー230及び第2物質220と接触した検体が接触すると、基体10の表面の状態変化を検出することで検体に第1物質210が含まれるかを検出する検出制御部を備える。
検出装置は、上述したセンサを用いた任意の検出処理を実行する装置である。検出装置は、例えば、SPR装置、SAWセンサの制御装置、QCM測定装置などである。検出装置は、好ましくは、SAWセンサの制御装置である。開示の検出装置としてのSPR装置、SAWセンサの制御装置、QCM測定装置は、上述のセンサを用いて測定ができれば任意の装置を用いて良く、公知の装置をそのまま使用しても良く、適宜改造した上で用いても良い。
また、センサにより検出されるのは、ターゲット物質ではなく、基体表面に結合したシグナル物質や、基体表面から解離したアプタマーとなる。このことを踏まえ、検出装置は、シグナル物質などに起因して得られた検出結果を、ターゲット物質についての検出結果に変換する変換処理を実行しても良い。例えば、ターゲット物質の分子量とシグナル物質の分子量とが既知の場合、「シグナル物質が「x」グラム(あるいは、mol)ある」という結果が得られる場合に、かかる結果をターゲット物質が「y」グラム(あるいは、mol)」あるという結果に変換しても良い。
<センサの検出部、検出方法、検出システム及び検出装置の実施形態2>
上述した実施形態1では、第1物質210の代わりに、第1物質210と比較して分子量の大きい第2物質220に起因する基体表面の変化を検出する場合について説明した。ただし、開示のセンサは、これに限定されるものではない。
図14は、センサの他の実施形態について説明する図である。すなわち、例えば、図14の(1)に示すように、第1物質210と比較して分子量の大きいアプタマー300を基体表面の結合部310と予め結合させておく。そして、図14の(2)に示すように、検体溶液に第1物質210が含まれる場合に、第1物質210がアプタマー300と結合することで、アプタマー300が基体表面の結合部310から解離させ、このアプタマー300の解離に起因する基体表面の状態変化を検出しても良い。
以下では、実施形態1のセンサの検出部、検出方法、検出システム及び検出装置とは異なる点に的を絞って説明する。
センサの実施形態2では、基体10を有する。また、センサは、基体10の表面に位置しており、第1物質210と結合可能なアプタマー300と結合している、結合部310と、を備える。ここで、結合部310は、第1物質210が含まれるかを検出可能である。
例えば、センサは、第1物質210と結合する結合部位を有するアプタマー300との結合部310を有する。また、例えば、センサは、検体に第1物質210が含まれるかを検出するための結合部310を表面に有し、第1物質210及び結合部240のうちいずれか一方と結合するアプタマー300が結合部310に結合している基体10を備える。
すなわち、アプタマー300は、アプタマー230と同様に、2つの結合部位を有し、1つは第1物質210と結合し、他方は基体表面の結合部310と結合する。すなわち、アプタマー300は、第1物質210と結合する第1結合部位231と、結合部310と結合する結合部位321とを有する。結合部310が核酸で形成される場合、結合部310と結合するアプタマー300の結合部位321は、例えば、結合部310と相補的な塩基配列を有する核酸が用いられる。
また、検出方法の実施形態2では、結合部310と、表面に結合部310を有する基体10と、結合部310に結合されるとともに第1物質210と結合する結合部位を有し第1物質210及び結合部310のうちいずれか一方と結合するアプタマー300と、を含むセンサの基体10の表面に、検体を接触させる接触工程を含む。言い換えると、検出方法の実施形態2では、第1物質210と結合する結合部位を有するとともにセンサの基体表面の結合部310と第1物質210とのうちいずれか一方と結合するアプタマー300が結合部310に結合しているセンサ100の基体表面と、検体溶液とを接触させる接触工程を含む。また、検出方法の実施形態2では、接触工程により検体が接触した基体10の表面の状態変化を検出することで、検体に第1物質210が含まれるかを検出する検出工程を含む。
また、検出システムの実施形態2では、結合部310と、表面に結合部310を有する基体10と、結合部310に結合されるとともに第1物質210と結合する結合部310を有し第1物質210及び結合部310のうちいずれか一方と結合するアプタマー300と、を含むセンサを有する。言い換えると、検出システムの実施形態2では、第1物質210と結合する第1結合部位231を有するとともにセンサ100の基体表面の結合部310と第1物質210とのうちいずれか一方と結合するアプタマー300が結合部310に結合しているセンサ100を有する。また、検出システムの実施形態2では、検体がセンサの基体10の表面と接触すると、基体10の表面の状態変化を検出することで検体に第1物質210が含まれるかを検出する検出装置を備える。
また、検出装置の実施形態2では、結合部310と、表面に結合部310を有する基体10と、結合部310に結合されるとともに第1物質210と結合する結合部310を有し第1物質210及び結合部310のうちいずれか一方と結合するアプタマー300と、を含むセンサの基体10の表面に、検体が接触すると、基体10の表面の状態変化を検出することで検体に第1物質210が含まれるかを検出する検出制御部を有する。言い換えると、検出装置の実施形態2では、第1物質210と結合する結合部位を有するとともにセンサ100の基体表面の結合部310と第1物質210とのうちいずれか一方と結合するアプタマー300が結合部310に結合しているセンサ100の基体表面と、検体溶液とが接触すると、基体表面の状態変化を検出することで検体溶液に第1物質210が含まれるかを検出する検出制御部を有する。
<センサの検出部、検出方法、検出システム及び検出装置の実施形態3>
また、上述した実施形態2では、第1物質210と比較して分子量の大きいアプタマー300を、基体表面の結合部310と予め結合させておく場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
図21は、実施形態3について示すための図である。
図21の(1)は、複数のアプタマー300が存在している状態を示している。図21の(2)は、複数の第1物質210が存在する検体溶液とアプタマー300とが接触した状態を示している。図21の(3)は、第1物質210が存在する検体溶液に接触した後のアプタマー300と、基板10に位置している複数の結合部310とが接触した状態を示している。
すなわち、例えば、結合部310とアプタマー300とは予め結合させておらず、検体溶液とアプタマー300とを接触させた後に、検体溶液と結合部310とを接触させる。ここで、検体溶液に第1物質210が含まれる場合には、第1物質210がアプタマー300と結合する。この結果、検体溶液に含まれるアプタマー300のうち、第1物質210と結合しなかったアプタマー300が、結合部310と結合する。
図21の(1)に示す例では、アプタマー300が4つ存在する場合を例に示した。ここで、図21の(2)に示すように、検体溶液中に第1物質210が存在する場合には、アプタマー300と第1物質210とが結合する。例えば、図21の(2)に示す例では、4つあるアプタマー300のうち3つのアプタマー300が、第1物質210と結合する場合を例に示した。そして、図21の(3)に示すように、その後、基板10の表面の結合部310では、第1物質210と結合していないアプタマー300が結合部310と結合し、第1物質210と結合しているアプタマー300は、結合部310と結合しない。すなわち、例えば検体溶液中に第1物質210が存在しない場合には、図21の(1)に示す4つのアプタマー300それぞれが結合部310と結合するのに対して、図21の(2)及び(3)に示すように、検体溶液中に第1物質210が存在する場合には、第1物質210と結合したアプタマー300の分、結合部310と結合するアプタマー300が減少することになる。
これによれば、検体溶液に第1物質210が含まれる場合には、検体溶液に第1物質210が含まれない場合と比較して、結合部310と結合するアプタマー300の数が少なくなる。また、同様に、検体溶液に第1物質210が多く含まれれば含まれる程、結合部310と結合するアプタマー300の数が少なくなる。以上のような実施形態3では、アプタマー300と結合部310との結合に起因する基体10の表面の状態変化を検出することができる。
実施形態3について更に詳細に説明する。実施形態3に係るセンサは、基体10と、基体10に設けられて第1物質210と結合する結合部位を有するアプタマー300との結合部310を有する。
ここで、実施形態3では、表面に結合部310を有する基体10に、アプタマー300と接触した検体溶液を接触させた上で、検体溶液が接触した基体10の表面の状態変化を検出することで、検体溶液に第1物質210が含まれるかを検出する。具体的には、検体溶液に第1物質210が含まれている場合には、検体溶液に第1物質210が含まれていない場合と比較して少ないアプタマー300が結合部310と結合することを踏まえ、検体溶液に第1物質210が含まれるかを検出する。また、同様に、検体溶液に第1物質210が含まれている場合には、検体溶液に第1物質210が多く含まれれば含まれる程、結合部310と結合するアプタマー300の数が少なくなることを踏まえ、検体溶液に含まれる第1物質210の量を測定する。
ここで、アプタマー300の量は、例えば、検体の濃度、すなわち第1物質210の分子数(アプタマー300に結合する。)に対して、その測定する検体の濃度範囲における上限の分子数と同じかそれよりも多い量であることがより好ましい。また、結合部310は、第1物質210がアプタマー300に結合しないときにアプタマー300が結合部310に飽和することなく結合するだけのなるべく高い密度で基体10に固定化されていることが好ましい。これは、測定すべき検体の濃度範囲に対して、検体の濃度に応じた基体表面の状態の変化が適切に得られるようにするためである。
このように、実施形態3では、第1物質210の濃度が低いときでも、良好なSNでその濃度に対する信号を得ることが可能となる。
<センサの検出部、検出方法、検出システム及び検出装置の実施形態4>
また、例えば、基体10の結合部に対するアプタマーと第2物質との関係を変えても良い。
図22は、実施形態4について示す図である。
図22の(1)は、検体溶液中に、アプタマー430および第2物質420が存在し、第1物質210が存在していない状態を示している。図22の(2)は、図22の(1)の検体溶液中に、アプタマー430および第2物質420に加えて、第1物質210が存在している状態を示している。すなわち、実施形態4では、図22に示すように、基体10は、アプタマー430と相補的に結合する結合部440を有する。また、アプタマー430は、第2物質420と結合する第1結合部位431と、結合部440と結合する第2結合部位432とを有する。
ここで、第1物質410は、アプタマー430よりも分子量が小さくて、かつ、アプタマー430よりも第2物質420とより強い結合能を有する場合について説明する。この場合、アプタマー430と第1物質410とを含む検体溶液が基体10の表面と接触すると、第2物質420は、アプタマー430から解離し、第1物質410と結合する。そして、第2物質420が解離したアプタマー430は、結合部440と結合することによって、基体10の表面状態が変化する。
例えば、図22の(1)に示すように、アプタマー430は、検体溶液中に第1物質210が存在しない場合には、アプタマー430の第1結合部位431と第2物質420とが結合するように設計される。これに対して、図22の(2)に示すように、アプタマー430は、検体溶液中に第1物質210が存在する場合には、アプタマー430と結合していた第2物質420は、第1物質410と結合し、アプタマー430と解離するように設計される。その後、第2物質420が解離したアプタマー430の第2結合部位432は、基体10の表面に設けられる結合部440と結合する。
すなわち、実施形態4では、検体溶液に第1物質410が含まれる場合に、結合部440とアプタマー430とが結合して基体10の表面の状態が変化することを検出することになる。言い換えると、結合部440とアプタマー430との結合に起因する基体10の表面状態の変化を検出することで、検体溶液に含まれる第1物質410を検出する。
[アプタマーについて]
上述した実施形態では、例えば、図12に示すように、アプタマー230において、第1物質210との第1結合部位231と、第2物質220との第2結合部位232とが、異なる部位に設けられる場合を例に説明した。ただし、これに限定されるものではなく、第1結合部位231と第2結合部位232との一部又は全てが、重なっても良い。すなわち、アプタマー230において、第1結合部位231の少なくとも一部と第2結合部位232の少なくとも一部が、同一部位であっても良い。アプタマー230は、第1物質210及び結合部240のうちいずれか一方と優先的に結合する。
図23及び図24は、開示のアプタマーの実施形態の一例について説明するための図である。図23及び図24に示すように、例えば、第1結合部位231と第2結合部位232との一部又は全てが重なっており、同一部位に第1物質210および第2物質220の双方が結合するようにしても良い。図23の示す例では、アプタマー230のうち、実線の部分の一面に第2物質220が結合し、実線の部分の他の面に第1物質210が結合する。言い換えると、図23の実線の部分に、第1結合部位と第2結合部位とが存在する。また、図24に示す例では、第1結合部位231と第2結合部位232とが一部重複している。すなわち、図24に示すように、第1結合部位231が破線で示され、第2結合部位232が実線で示され、第1結合部位231と第2結合部位232とが一部重複している。これにより、図23及び図24のアプタマー230においても、図12のアプタマー230と同様の機能を発揮することができる。
以下、開示のセンサ、検出方法、検出システム、及び、検出装置について、第1物質としてATPを用いて、測定装置としてSPR装置を用いる場合を例として、実施例をあげて更に詳細に説明する。ただし、開示のセンサ、検出方法、検出システム及び検出装置は、下記の実施例に限定されるものではない。
以下では、センサとしてセンサチップSA(GEヘルスケア社)を用いた。センサチップSAは、BIACORE−XシステムによるSPR測定に用いられるチップである。また、センサチップSAは、カルボキシルメチルデキストランを介してストレプトアビジンが基体上に予め固定されている。以下では、ATPを第1物質210とするアプタマー230を用いて説明する。以下では、ATPを第1物質210とするアプタマー230を「ATPアプタマー」とも称する。
[実施例1〜9]
実施例1〜9では、以下に詳細に説明するように、ATPアプタマー相補鎖DNA混合液を作製した。また、ビオチンDNA溶液を作製した。その後、センサチップSA上へのビオチンDNAの固定化、及び、固定化の確認を行い、SPR測定を行った。
[ATPアプタマー相補鎖DNA混合液の作製]
配列表の配列番号1に記載された塩基配列からなるATPアプタマーと、配列表の配列番号3〜5に記載された塩基配列のうちいずれかからなるDNA「A」〜「C」各々のうちいずれか1つとの混合液を作製した。なお、ATPアプタマー、及び、DNA「A」から「C」は、委託合成(ジーンデザイン社)により得た。なお、以下では、DNA「A」〜「C」を、それぞれ、相補鎖DNA「A」〜「C」とも記載する。

配列番号1:5’−ACCTGGGGGAGTATTGCGGAGGAAGGT−3’
配列番号3:5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTACCTTCCTCC−3’
配列番号4:5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTACCTTCCTCCGC−3’
配列番号5:5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTACCTTCCTCCGCAA−3’
具体的には、まず、10μMのATPアプタマー80μlと、10μMの相補鎖DNA40μlとを混合した。そして、ATPアプタマーと相補鎖DNA[x]との混合液を95度で1分間加熱し、75度で1分間加熱し、その後、室温にて30分間おくことで、ATPアプタマーと相補鎖DNAとのアニーリングを行った。
ここで、図15に示すように、ATPアプタマーの塩基配列と相補鎖DNA「A」の塩基配列とは、3末端側から10塩基配列までを相補的とした。図15は、ATPアプタマーと相補鎖DNA「A」との塩基配列の関係を説明する図である。また、同様に、ATPアプタマーの塩基配列と相補鎖DNA「B」の塩基配列とは、3末端側から12塩基配列までを相補的とした。また、ATPアプタマーの塩基配列と相補鎖DNA「C」の塩基配列とは、3末端側から14塩基配列までを相補的とした。このように、相補鎖DNAの「A」〜「C」間において、ATPアプタマーとの結合力を異ならせた。具体的には、相補鎖DNA「C」「B」「A」の順に結合力を強くした。
[ビオチンDNA溶液の調製]
10mMのビオチンDNA1μlと、HBS−Nバッファー(BIACORE)199μlとを混合することで、ビオチンDNA溶液200μlを作製した。なお、ビオチンDNAは、配列表の配列番号2に記載された塩基配列からなり、塩基配列の5末端側にビオチンが付加されている。ビオチンDNAの終濃度は5μMであった。ビオチンDNAは、委託合成(ジーンデザイン社)により得た。

配列番号2:5’−GGAGGAAGGT−3’
[センサチップ上へのビオチンDNAの固定化、及び、固定化の確認]
ストレプトアビジンとビオチンの強い親和性を利用することで、センサチップSAにビオチンDNAを固定化した。また、BIACORE−X(GEヘルスケア社)を用いたSPR測定を行い、ビオチンDNAの固定化の確認を行った。BIACORE−Xシステムの測定時には、以下の条件を用いた。

ランニングバッファー:HBS−Nバッファー(BIACORE)
流速:5μl/分
温度:25度
具体的には、センサチップSAがセットされたBIACORE−Xシステムのフローセルに対してビオチンDNA溶液50μlを注入し、その後、ビオチンDNA溶液30μlを更に注入した。その後、センサチップSAに非特異的に吸着したビオチンDNAを洗い流すことを目的として、10mMのNaOHをフローセルに適宜注入することでセンサチップSAを洗浄した。
図16は、BIACORE−Xシステムにおいて得られたセンサグラムを示す図である。センサグラムにおいて、横軸は時間軸を示し、縦軸は質量変化を示す。縦軸の単位は、BIACORE−Xシステムにおいて用いられている単位であるResonance Unit(RU)を用いた。1RUは、1mm当たり1pgの質量変化があったことを示す。図16では、説明の便宜上、ビオチンDNA溶液50μlを打ち込んだタイミングと、ビオチンDNA溶液30μlを更に打ち込んだタイミングと、50mMのNaOHを注入したタイミングとを示した。
センサグラムにおいて、ビオチンDNAの注入前と50mMのNaOHによる洗浄後との間のRUの増加量が、ビオチンDNAの固定化量を示す。図16に示す例では、ΔRUは約「1270」であり、ビオチンDNAの固定化量は約1270pg/mmであった。
[SPR測定]
ビオチンDNAが固定化されたセンサチップSAを用いて、SPR測定を行った。具体的には、表1の実施例1〜9に示すように、相補鎖DNA[x]を用いて作製されたATPアプタマー相補鎖DNA混合液とATPとを混合することで、ATPの濃度が[y]となる検体溶液を作製した。そして、作製した検体溶液35μlを、BIACORE−Xシステムのフローセルに注入した。なお、BIACORE−Xシステムの測定時には、以下の条件を用いた。測定結果は、図19及び図20に示した。

ランニングバッファー:50mM Tris(Tris-(hydroxymethyl) aminomethane、トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、500mM NaCl、5mM MgCl
流速:5μl/分
温度:25度
Figure 0005566543
[比較例1〜5]
比較例1〜5では、以下に詳細に説明するように、ビオチンATPアプタマー溶液を作製した。その後、センサチップSA上へのビオチンATPアプタマーの固定化、及び、固定化の確認を行い、SPR測定を行った。
すなわち、比較例1〜5では、実施例1〜9とは異なり、ビオチンDNAではなくビオチンATPアプタマーをセンサチップSA上に固定した。この結果、実施例1〜9では、センサチップSA上に固定化されたビオチンDNAに相補鎖DNAが結合するのに対して、比較例1〜5では、センサチップSA上に固定化されたビオチンATPアプタマーにATPが結合することになる。なお、ビオチンATPアプタマーは、配列表の配列番号1に記載された塩基配列からなり、塩基配列の5末端側にビオチンが付加されている。ビオチンATPアプタマーは、委託合成(ジーンデザイン社)により得た。
[ビオチンATPアプタマー溶液の調製]
10mMのビオチンATPアプタマー1μlと、HBS−Nバッファー(BIACORE)199μlとを混合することで、ビオチンATPアプタマー溶液200μlを作製した。調製したビオチンATPアプタマー溶液において、ビオチンATPアプタマーの終濃度は5μMであった。
[センサチップ上へのビオチンATPアプタマーの固定化、及び、固定化の確認]
BIACORE−Xシステムにおいて、ストレプトアビジンとビオチンの強い親和性を利用することで、センサチップSAに対してビオチンATPアプタマーを固定化した。また、BIACORE−Xを用いたSPR測定を行い、測定結果として得られたセンサグラムに基づいてビオチンATPアプタマーの固定化確認を行った。なお、BIACORE−Xシステムの測定時には、実施例1〜9におけるビオチンDNAの固定化確認の際と同様に、以下の条件を用いた。

ランニングバッファー:HBS−Nバッファー(BIACORE)
流速:5μl/分
温度:25度
具体的には、センサチップSAがセットされたBIACORE−Xシステムのフローセルに対してビオチンATPアプタマー溶液50μlを注入し、その後、ビオチンATPアプタマー溶液30μlを更に注入した。その後、センサチップSAに共有結合によらずに吸着したビオチンATPアプタマーを洗い流すことを目的として、50mMのNaOHをフローセルに適宜注入することでセンサチップSAを洗浄した。
図17は、BIACORE−Xシステムにおいて得られたセンサグラムを示す図である。センサグラムにおいて、横軸は時間軸を示し、縦軸は質量変化を示す。縦軸の単位は、BIACORE−Xシステムにおいて用いられている単位であるResonance Unit(RU)を用いた。1RUは、1mm当たり1pgの質量変化があったことを示す。図17では、説明の便宜上、ビオチンATPアプタマー溶液50μlを打ち込んだタイミングと、ビオチンATPアプタマー溶液30μlを更に打ち込んだタイミングと、50mMのNaOHを注入したタイミングとを示した。
センサグラムにおいて、ビオチンATPアプタマー溶液の注入前と50mMのNaOHによる洗浄後との間のRUの増加量が、ビオチンATPアプタマー溶液の固定化量を示す。図17に示す例では、ΔRUは約「350」であり、ビオチンDNAの固定化量は350pg/mmであった。
[ATP測定処理]
表1の比較例1〜5に示すように、ATPの濃度が[y]となるATP溶液を作製し、作製したATP溶液35μlを、ビオチンATPアプタマーが固定化されたセンサチップSAがセットされたBIACORE−Xシステムのフローセルに注入した。なお、BIACORE−Xシステムの測定時には、実施例1〜9におけるATP測定処理と同様に、以下の条件を用いた。測定結果は、図18に示した。

ランニングバッファー:50mM Tris(Tris-(hydroxymethyl) aminomethane、トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、500mM NaCl、5mM MgCl
流速:5μl/分
温度:25度
[比較例6〜8]
比較例6〜8では、以下に詳細に説明するように、実施例1〜9とは異なり、SPR測定において、5mMの相補鎖DNA[x]のみを含む相補鎖DNA溶液を注入した。検体溶液として用いた。
すなわち、実施例1〜9では、ATPアプタマーと相補鎖DNAとをアニーリングし、ATPとの混合液を作製した上で注入する一方、比較例6〜8では、相補鎖DNAのみを注入した。比較例6〜8は、実施例1〜9のポジティブコントロールに相当する。
具体的には、表1の比較例6〜8に示すように、5mMの相補鎖DNA[x]を含む相補鎖DNA溶液を作製した。そして、ビオチンDNAが固定化されたセンサチップSAがセットされたBIACORE−Xシステムのフローセルに対して、作製した相補鎖DNA溶液35μlを注入した。BIACORE−Xシステムにおいて用いた測定条件は、実施例1〜9におけるSPR測定と同様に、以下の条件を用いた。測定結果は、図19及び図20に示した。

ランニングバッファー:50mM Tris(Tris-(hydroxymethyl) aminomethane、トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、500mM NaCl、5mM MgCl
流速:5μl/分
温度:25度
[SPR測定の測定結果]
図18は、表1における比較例1〜5において得られたセンサグラムを示す図である。言い換えると、ビオチンATPアプタマーをセンサチップSAに固定化した上で、ATP溶液を注入した場合における測定結果を示す。図18に示されたように、センサチップSAに固定化されたビオチンATPアプタマーとATPとの結合に起因した重量変化は測定されなかった。
図19は、表1における実施例1〜3、及び、ポジティブコントロールとなる比較例6において得られたセンサグラムを示す図である。言い換えると、相補鎖DNA[x]として相補鎖DNA「A」を用いた場合における測定結果を示す。図19に示されたように、センサチップSAに固定化されたビオチンDNAと、相補鎖DNA「A」を用いた場合、ATPがATPアプタマーに結合することで解離した相補鎖DNAとの結合に起因した重量変化が測定された。
図20は、表1における実施例1〜9、及び、ポジティブコントロールとなる比較例6〜8におけるΔRUを示す図である。言い換えると、相補鎖DNA[x]として、相補鎖DNA「A」「B」「C」とを用いた場合における測定結果を示す。図20に示されたように、相補鎖DNA「A」については、ATPの濃度変化に伴い、重量変化が検出された一方、相補鎖DNA「B」「C」については、重量変化が検出されなかった。
すなわち、図18〜図20に示されるように、ATPではなく相補鎖DNAの結合に起因した基体表面の変化を検出することで、分子量が相対的に小さい小分子の検出が可能となった。また、図19や図20に示されるように、ターゲット物質となるATPの量と、検出された基体表面の状態変化の変化量との間には、比例関係が見いだされた。この結果、図19や図20に示されるように、ターゲット物質となる小分子の量を測定することも可能となった。
1 第1カバー部材
2 第2カバー部材
3 検出素子
4 凹部形成用貫通孔
5 凹部
8 切欠き
10 基体
11 第1IDT電極
12 第2IDT電極
13 検出部
14 流入口
15 溝部
100 センサ
210 第1物質
220 第2物質
230 アプタマー
231 第1結合部位
232 第2結合部位
240 結合部
300 アプタマー
310 結合部

Claims (21)

  1. 第1物質の分子量よりも分子量が大きい第2物質との結合部と、
    前記第1物質との第1結合部位と前記第2物質との第2結合部位とを有するとともに前記第1物質と前記第2物質とのうちいずれか一方と結合するアプタマー、タンパク質および抗体のうち少なくとも一つ、及び前記第2物質の両方と接触した検体に、前記第1物質が含まれるかを検出するための前記結合部を表面に有する基体と、を備えたセンサ。
  2. 基体と、
    第1物質および前記第1物質の分子量よりも分子量が大きい第2物質と結合可能な、アプタマー、タンパク質および抗体のうち少なくとも一つと、
    記基体の表面に位置しており、前記第2物質と結合可能であり、前記第2物質および前記アプタマーを含む検体に前記第1物質が含まれるかを検出可能な結合部と、を備えたセンサ。
  3. 前記アプタマーは、前記第1物質と結合可能な第1結合部位と前記第2物質と結合可能な第2結合部位とを有する、請求項2に記載のセンサ。
  4. 前記アプタマーにおいて、前記第1結合部位の少なくとも一部と前記第2結合部位の少なくとも一部は、同一部位である、請求項1又は3に記載のセンサ。
  5. 前記アプタマーは、前記第1物質及び前記結合部のうちいずれか一方と優先的に結合する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ。
  6. 前記第1物質と前記アプタマーとの解離定数から算出される第1自由エネルギー変化が、前記アプタマーと前記第2物質との結合に伴う第2自由エネルギー変化よりも小さく、且つ、前記第2物質と前記結合部との結合に伴う第3自由エネルギー変化が前記第2自由エネルギー変化よりも大きい、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のセンサ。
  7. 前記アプタマーおよび前記結合部はそれぞれ塩基配列を有し、
    前記アプタマーの塩基配列は前記第2物質の塩基配列の第1部分と相補的な部分を有するとともに、前記結合部の塩基配列は前記第2物質の塩基配列の第2部分と相補的な部分を有し、
    前記第2自由エネルギー変化は、前記第2物質の塩基配列の第1部分と前記アプタマーの塩基配列のうち相補的な部分との結合に伴う自由エネルギー変化であり、
    前記第3自由エネルギー変化は、前記第2物質の塩基配列の第2部分と前記結合部の塩基配列のうち相補的な部分との結合に伴う自由エネルギー変化であり、
    前記アプタマーと前記第2物質との間において相補的となる塩基配列の塩基種類及び塩基数と、前記結合部と前記第2物質との間において相補的となる塩基配列の塩基種類及び塩基数とは、前記第1自由エネルギー変化、前記第2自由エネルギー変化および前記第3自由エネルギー変化の間における大小関係を満たす値となる、請求項6に記載のセンサ。
  8. 上面に前記基体が位置している第1カバー部材と、
    前記第1カバー部材に接合されている第2カバー部材と、をさらに備え、
    前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の少なくとも一方は前記検体が流入する流入口を有し、
    前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間に、前記流入口から少なくとも前記基体の表面上まで延びている流路を有する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のセンサ。
  9. 前記流路は、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の少なくとも一方の表面に設けられている溝部を有する、請求項8に記載のセンサ。
  10. 前記第1カバー部材は、前記上面に、前記基体の少なくとも一部を収容している凹部を有し、
    前記第2カバー部材は前記溝部を有する、請求項9に記載のセンサ。
  11. 前記アプタマーおよび前記第2物質はそれぞれ、前記溝部に付着しており、
    前記結合部は、前記溝部に付着している前記アプタマーと前記第2物質とに接触した後の前記検体から前記第1物質を検出する、請求項9または10に記載のセンサ。
  12. 前記アプタマーは、前記溝部に固定されており、且つ、前記第2物質と結合しており、
    前記結合部は、前記アプタマーと接触した後の前記検体から前記第1物質を検出する、請求項9または10に記載のセンサ。
  13. 前記第2物質と結合している前記アプタマーは、前記溝部の表面物質と化学的に結合している、請求項12に記載のセンサ。
  14. 前記基体の表面に位置しており、該基体の表面のうち前記結合部が位置している検出部に向かって伝搬する弾性波を発生させる第1IDT(InterDigital Transducer)電極と、
    前記基体の表面に位置しており、前記検出部を通過した前記弾性波を受信する第2IDT電極と、をさらに備える、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のセンサ。
  15. 前記基体の上面に接合され、且つ前記基体の前記上面との間に密閉された第1振動空間を有している第1接合部材と、
    前記基体の上面に接合され、且つ前記基体の前記上面との間に密閉された第2振動空間を有している第2接合部材と、をさらに備え、
    前記第1振動空間は前記第1IDT電極上に位置しており、且つ、前記第2振動空間は前記第2IDT電極上に位置している、請求項14に記載のセンサ。
  16. 前記アプタマーおよび前記検体のうち少なくとも一方は、前記結合部と離れて位置している、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のセンサ。
  17. 前記アプタマーおよび前記検体のうち少なくとも一方は、前記流路に位置している、請求項16に記載のセンサ。
  18. 前記アプタマーおよび前記検体のうち少なくとも一方は、前記結合部に位置している、請求項14乃至17のいずれか1項に記載のセンサ。
  19. 第1物質との第1結合部位と前記第1物質と比較して分子量の大きい第2物質との第2結合部位とを有するとともに前記第1物質及び前記第2物質のうちいずれか一方と結合するアプタマー、タンパク質および抗体のうち少なくとも一つ、及び前記第2物質の両方と接触した検体を、前記第2物質との結合部を有するセンサの基体の表面と接触させる接触工程と、
    前記検体が接触した前記基体の表面の状態変化を検出することで、前記検体から前記第1物質を検出する検出工程と、を備えた第1物質の検出方法。
  20. 第1物質の分子量よりも分子量が大きい第2物質との結合部と、表面に前記結合部を有する基体と、を含むセンサの前記基体の表面に、前記第1物質との第1結合部位と前記第2物質との第2結合部位とを有するとともに前記第1物質及び前記第2物質のうちいずれか一方と結合するアプタマー、タンパク質および抗体のうち少なくとも一つ、及び前記第2物質の両方と接触した検体が接触すると、前記基体の表面の状態変化を検出することで前記検体に前記第1物質が含まれるかを検出する検出制御部を備えた検出装置。
  21. 第1物質の分子量よりも分子量が大きい第2物質との結合部と、表面に該結合部を有する基体と、を含むセンサと、
    前記第1物質との第1結合部位と前記第2物質との第2結合部位とを有するとともに前記第1物質及び前記第2物質のうちいずれか一方と結合するアプタマー、タンパク質および抗体のうち少なくとも一つ、及び前記第2物質の両方と接触した検体が、前記センサの前記基体の表面と接触すると、該基体の表面の状態変化を検出することで前記検体に前記第1物質が含まれるかを検出する検出装置と、を備えた検出システム。
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