JP5566062B2 - X線管装置及びx線撮影装置 - Google Patents

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Description

本発明は、X線管装置及びX線撮影装置に係り、特にX線ターゲットをシャフトに拡散接合で固定する技術に関するものである。
回転陽極型X線管において、ターゲット(X線ターゲット)とシャフトの結合部には、回転の起動および制動時に数N・mのトルクがかかるため、このトルクに耐えうる強い機械的強度が求められる。これを実現するため、特許文献1や特許文献2に示すように、ターゲットとシャフトを拡散接合によって固定する方法がある。拡散接合方式では接合プロセスにおいて接合面を加熱・加圧することが必要であり、従来の技術ではナットとシャフトを締結することによって接合面に圧力をかける構成となっている。
特公平7−85407号公報 特開2002−203502号公報
しかしながら、接合プロセスにおいて拡散接合が進行すると接合部表面の凹凸やまた接合前に接合面に存在する隙間(空隙)が消滅するため、隙間の消滅による移動量が締結部の加圧による変形量を上回ると接合面の圧力が解放されてしまう。拡散接合時に接合面の圧力が開放されてしまった場合、ターゲットとシャフトとの間に十分な接合強度が得られないため、回転の起動時や制動時のトルクに接合部の機械的強度が耐えられず、接合が破壊してしまうことが懸念されている。また、接合が破壊してしまった場合には、ターゲットとシャフトとの接続が不十分となってしまうために、ターゲットの回転時に振動が生じることが懸念されている。
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、回転の起動時や制動時にトルクにも耐えうる機械的強度を有するX線管装置及びX線撮影装置を提供することにある。
(1)前記課題を解決すべく、回転機構部から伸延され、係止部を有するシャフト部材と、貫通孔を有し該貫通孔に前記シャフト部材が挿入され、前記係止部で係止されるX線ターゲット部材と、前記シャフト部材の先端領域に形成されるねじ溝に嵌合し、前記X線ターゲット部材を前記係止部に押圧する締結部材とを備え、陰極から放出した電子ビームを回転する前記X線ターゲット部材に衝突させ、該衝突位置を焦点位置とするX線を発生させるX線管装置であって、前記X線ターゲット部材と、前記締結部材と、の間に配置され、前記シャフト部材前記X線ターゲット部材、及び前記締結部材異なる膨張係数の材料からなり、自身の温度上昇に伴う膨張により、前記X線ターゲット部材を前記係止部に押圧する圧力部材を備えることを特徴とするX線管装置である。
(2)前記課題を解決すべく、(1)に記載のX線管装置と、被検体を介して前記X線管装置と対向配置されるX線検出手段とを備えるX線撮影装置である。
本発明によれば、回転の起動時や制動時のトルクにも耐えうる機械的強度をターゲットとシャフトの接合部に持たせることができる。
本発明の実施形態1のX線管装置の概略構成を説明するための図である。 本発明の実施形態1のX線管装置におけるターゲット部分を拡大した断面図である。 本発明の実施形態1のX線管装置におけるターゲット部分を拡大した加熱時の断面図である。 本発明の実施形態1のX線管装置の陽極の形成時における各部材の膨張係数及び膨張に伴い各部に印可される力を説明するための図である。 本発明の実施形態2のX線管装置の概略構成を説明するための図である。 本発明の実施形態3のX線管装置の概略構成を説明するための図である。 本発明の実施形態4のX線撮影装置の概略構成を説明するための図である。
以下、本発明が適用された実施形態の例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
〈実施形態1〉
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態1のX線管装置の概略構成を説明するための図であり、図1に示すように、実施形態1のX線管装置1は、陰極4、ターゲット6、ロータ10、及び軸受け部材11が高真空を維持するためのX線管(真空外囲器)2内に封入される構成となっている。ロータ10の一端側にはシャフト7が形成されており、シャフト7の先端部分にターゲット6が接合されると共に、ナット(締結部材)8でも締結される構成となっている。また、X線管2は図示しない放射窓が設けられた管容器12内部に支持部材13〜15で支持され、収容される構成となっている。このように、実施形態1のX線管装置1は管容器12とX線管2との二重構造となっており、内部が真空に保持されるX線管2と管容器12との間には、絶縁性の冷媒16が循環可能に封入される構成となっている。
陰極4は陰極支持体17により支持される構成となっており、陰極4から放出される図示しない電子ビームがターゲット6の電子ビーム衝突面側に照射される位置に固定される構成となっている。
ターゲット6とロータ10とはシャフト7を介して連結され、陽極(回転陽極)5を構成している。実施形態1のロータ10は円筒形状をしており、ロータ10内には回転中心軸方向に延在する回転軸19が形成される構成となっている。該回転軸19はボールベアリング18を介して、円筒形状の軸受け部材11に回転可能に支持される、いわゆる内輪回転の構成となっている。また、X線管2の外側からロータ10を囲む位置には、誘導磁界を発生するステータ3が配置されている。ステータの図示しないコイルには、誘導磁界を発生させるために約500Vの電圧が印加される構成となっており、絶縁が必要となる。そのため、管容器12内すなわち管容器12で囲まれる領域の内でX線管2の領域内を除く領域は、例えば周知の絶縁油等の絶縁性の冷媒16が充填されており、該絶縁性の冷媒16を循環させることにより管容器12の内部で発生する熱を冷却する構成となっている。さらに、絶縁性の冷媒16を冷却するために、図示しない周知の外部冷却器が設けられている。
なお、実施形態1のX線管装置1は、ターゲット6(X線ターゲット部材)とシャフト7(シャフト部材)とを接合するための構成を除く他の構成は、従来のX線管装置(回転陽極X線管装置)と同様の構成となる。以下の説明ではターゲット6とシャフト7の構成について詳細に説明する。
〈接合部の構成〉
図2は本発明の実施形態1のX線管装置におけるターゲット部分を拡大した断面図であり、図3は本発明の実施形態1のX線管装置におけるターゲット部分を拡大した加熱時の断面図である。以下、図2及び図3に基づいて本発明の実施形態1のX線管装置におけるターゲットとシャフトとの拡散接合の詳細について説明する。
図2に示すように、実施形態1のX線管装置では、シャフト7の先端領域にターゲット6を接合するための係止部21が形成される構成となっている。実施形態1の係止部21はシャフト7の周側面に沿って外周方向に突出する第1の突出部と、該突出部の周縁部から突出され、その突出方向がターゲット6の取り付け方向(シャフト7の先端方向)となる円環状の第2の突出部とから形成される構成となっている。さらには、第2の突出部の円環状の端面すなわちターゲット6が配置される側の端面は接合時の座面として機能することとなり、実施形態1では、ターゲット6とシャフト7とを接合(拡散接合)するための接合部材であるろう材9が配置される構成となっている。
また、図2に示すように、円盤状のターゲット6の中心位置(回転中心位置)には円筒状のシャフト7を挿入するための貫通孔が形成されており、この貫通孔にシャフト7を挿入することにより、ターゲット6の裏面側に係止部21が位置する構成となっている。また、シャフト7が挿入されるターゲット6の表面側(電子ビーム衝突面側)には、圧力部材となる圧力維持リング20が配置される構成となっている。さらには、シャフト7の先端部分にはねじ溝が形成されており、該シャフト7のねじ溝に嵌合するねじ溝を有するナット8を用い、圧力維持リング20を介してターゲット6を係止部21の方向に押圧し、シャフト7にターゲット6を締結する構成となっている。このとき、拡散接合前の状態すなわちナット8でターゲット6及び圧力維持リング20をシャフト7に締結させた常温での状態では、ナット8の締め付けによる軸力でシャフト7にターゲット6及び圧力維持リング20が締結されている。このときの力は、図2中丸印Aの部分の拡大図A’に示すように、シャフト7にかかる軸力すなわちシャフト7の延在方向の力は、矢印22、23で示すように圧力維持リング20からターゲット6、ろう材9及び係止部21を介してシャフト7にかかることとなる。
シャフト7とターゲット6とを拡散接合で接合するためのプロセス(拡散プロセス)では、ろう材9を介して係止部21とターゲット6とを拡散接合させるために、接合部分を含む部分を1000℃程度で加熱することとなる。このとき、シャフト7とターゲット6も加熱されると共に、圧力維持リング20とナット8も加熱されることとなる。この拡散接合に伴う加熱により、圧力維持リング20を含むシャフト7、ターゲット6及びナット8等は膨張しその体積が増加することとなる。このとき、前述するように、圧力維持リング20はターゲット6とナット8とに挟まれる構成となっている。
一方、実施形態1の圧力維持リング20は、ターゲット6、シャフト7、及びナット8よりも膨張係数の大きな材料を用いた部材で形成されているので、ターゲット6、シャフト7、及びナット8等よりも単位体積当たりの体積変化は大きなものとなる。さらには、実施形態1の陽極5では、圧力維持リング20の半径方向の断面形状が、内周側から外周側に向かってその厚さが薄くなる三角形形状(特に、二等辺三角形形状)のテーパー状、すなわち圧力維持リング20の半径方向の断面形状を、内周側が厚く、外周側が薄い形状のくさび形に形成される構成となっている。また、この圧力維持リング20の形状と共に、ターゲット6及びナット8と圧力維持リング20とが接する部分33、34の形状も、圧力維持リング20の断面形状に沿ったテーパー状に形成される構成となっている。この形状により、図3中丸印Bの部分の拡大図B’に示すように、圧力維持リング20の膨張時における外周方向(図3中に矢印30で示す)への膨張を図中の矢印31、32で示すシャフト7の延在方向への変形量に変換することによって、ターゲット6を係止部21に押し当てる軸力を大幅に増加させる構成としている。
すなわち、実施形態1のX線管装置では、拡散接合の進行に伴う接合部表面の凹凸の消滅と、係止部21とろう材9との接合面及びにターゲット6とろう材9との接合面にそれぞれ存在する接合前の隙間の消滅とに伴うシャフト7の延在方向(ターゲット6の締結方向)への移動量よりも、圧力維持リング20を用いることによるシャフト7方向への変形量の方が大きくなる構成となっている。実施形態1の構成では、環状体である圧力維持リング20のリング面(中心軸方向に対向する2面)上面と底面とをシャフト7の延在方向に傾斜させると共に、ターゲット6及びナット8と当該圧力維持リング20との接触面の形状もシャフト7の延在方向に傾斜させる構成となっている。この構成により、シャフト7の延在方向(ナット8と係止部21との間に締結されるターゲット6の締結方向)への圧力維持リング20の熱膨張による変形量に加えて、拡大図B’中の矢印30で示す圧力調整リング20の中心軸方向と直交する方向への熱膨張による変形量を、シャフト7の延在方向への変形量に変換する構成としている。その結果、拡散接合時すなわち加熱時においては、ナット8の締結時における加圧による変形量に加えて、熱膨張に伴う圧力維持リング20の変形量を用いることができるので、接合プロセスにおける拡散接合の進行に伴う接合部表面の凹凸や接合面に存在する隙間の消滅に伴うターゲット6を係止部21に押し当てる軸力の低下を防止することが可能となる。
〈接合部の具体的構成及び効果の説明〉
図4は本発明の実施形態1のX線管装置の陽極の形成時における各部材の膨張係数及び膨張に伴い各部に印可される力を説明するための図である。以下、図4に基づいて、実施形態1のX線管装置の陽極形成時(拡散接合時)における圧力維持リングの効果を説明する。
まず、図4(a)(b)に示すように、ナットのヤング率をE1、シャフトのヤング率をE1#、圧力維持リングのヤング率をE2、ナット及びシャフトの線膨張係数をα1、圧力維持リングの線膨張係数をα2、ナット及びシャフトの接触面積をS1、圧力維持リングの接触面積をS2、拡散接合時の温度をT、室温での接合部座面の圧力をσ1、拡散接合時の接合部座面の圧力をσ2、室温時のナット締結後の軸力をF1、拡散接合時の軸力をF2、室温時のシャフトの変形量(伸び量)をΔL1、拡散接合時のシャフトの変形量(伸び量)をΔL2とする。
実施形態1の陽極の形成では、常温時において、シャフトに形成される係止部にろう材を配置した後に、シャフトにターゲットと圧力維持リングとを順番に挿入し、その後に、ナットをシャフトの先端側からねじ込み、所定のトルクでナットを締結することによって、陽極を組み立てる。この締結により、シャフトには下記の式1で示す軸力F1がかかることとなる。また、このときのシャフトの伸び量ΔL1は、下記の式2となる。
F1=σ1×S1 ・・・(1)
ΔL1=F1/S1×L÷E1 ・・・(2)
例えば、室温での接合部座面の圧力σ1=50Mpa、接合部の面積S1=400mmの場合には、この式1より室温での軸力F1は20000Nとなる。一方、シャフトの長さL=10mm、常温時のシャフト材料のヤング率E1=300000Mpaの場合には、シャフトの伸び量ΔL1は0.00667mmとなる。ただし、このような条件となるための陽極組立時には、ターゲットとシャフト座面間にろう材を挟んだ後、ナットをトルクレンチ等を用いて締結し、座面の圧力を50MPaとする。
次に、拡散接合のために陽極を温度T=1000℃で加熱した場合、拡散接合が進行すると接合部表面の凹凸が消失するため、Δdだけターゲットが沈み込む。接合部の沈み込み量Δdは接合面の面粗さ等で変動することとなるが、概ね5μm程度となる。このために従来では該Δdの接合部の沈み込み等によって、締結部の軸力が低下し、拡散接合時の圧力が低下してしまうこととなっていた。これに対して、実施形態1の陽極では、前述するように、この低下した軸力に対して、本発明の圧力維持リングによって、軸力低下分を補う構成となっている。以下、詳細に説明する。
拡散接合は温度Tが約1000℃の高温で行うため、前述するように、圧力維持リングの材料として、線膨張係数(例えば、線膨張係数α2=0.000014(1/℃))がターゲット部材やナット部材(例えば、線膨張係数α1=0.000006(1/℃))より大きいものを用いれば圧力維持リングは外周側に広がろうとする。このとき、圧力維持リングは、その上面と下面とに傾斜が形成されたテーパー状であり、ターゲット及びナットより内径側に設置される構成とされているので、軸方向にも力を加えることができ、これにより軸力を補うものである。ただし、圧力維持リングによって加えられる力(軸力N)は、その材料の線膨張係数とヤング率に比例するので、圧力維持リングの条件として線膨張係数(膨張係数)がターゲット及びナットの材料より大きく、かつ線膨張係数とヤング率との積がターゲット及びナット材より大きな部材を選択する必要がある。このような部材としては、例えば、ターゲット及びナットにはモリブデン又はMo合金等を用いることができ、圧力維持リングにはインコロイやインコネル(Ni系合金)等を用いることができる。なお、以下の説明では、シャフト、ナット、及びターゲットにはTZM(チタンジルコニアモリブデン:Mo、Ti、Zr)を用い、圧力維持リングには低熱膨張超耐熱合金であるHRA929(Fe、Ni、Co、Nb)を用いた場合について、拡散接合時にシャフトにかかる軸力について説明する。
拡散接合時におけるシャフトの変形残留量ΔL2は下記の式3となり、接合部座面圧力σ2は下記の式4となる。ただし、下記の式3及び式4で示すシャフトの変形残留量ΔL2及び接合部座面圧力σ2は、従来の拡散接合時と同じものとなる。
ΔL2=ΔL1−Δd=(F2/S1)×L÷E1# ・・・(3)
σ2=F2/S1 ・・・(4)
前述したように、F2は拡散接合時に締結部にかかる軸力であり、E1#はナット材料のヤング率である。
図4(c)から明らかなように、拡散接合時におけるシャフトの変形残留量ΔL2は0.0016mmとなり、接合部座面圧力σ2は6.66667Mpaとなる。
ここで、実施形態1の圧力維持リングを用いた構成では、該圧力維持リングの熱膨張に伴う変形によって加えられる力(軸力N)が、従来の軸力F2に加算されることとなる。この圧力維持リングの変形に伴う軸力Nは、下記の式5となる。
N=k×(α2×E2−α1×E1#)×T×S2 ・・・(5)
ただし、式5において、kは熱応力と軸力との比例定数(係数)であり、実施形態1の構成ではk=0.5となる。
式5及び図4(c)から実施形態1の圧力維持リングによる軸力Nは18400Nとなる。従って、下記の式6で示される実施形態1の陽極の拡散接合時におけるシャフトにかかる軸力F1’は21066.66667Nとなり、常温時すなわちシャフトにターゲットを締結した時の軸力F1よりも大きな軸力を拡散接合時にも印加可能となり、接合部表面の凹凸が消失する等に伴う軸力の低下を防止することが可能となる。その結果、陽極の回転起動時や制動時のトルクにも耐えうる機械的強度で、ターゲットとシャフトとを接合することができる。
F1’=F2+N ・・・(6)
なお、前述した説明では、陽極形成時の軸力についてのみ説明したが、実施形態1のX線管装置では、前述した構成の陽極が当該X線管装置に用いられる構成となるので、X線管装置の使用時すなわちX線ビームの放射時においても陽極は高温となり、使用時においてもシャフトに印可される軸力を増加させることが可能となるので、拡散接合によるシャフトとターゲットとの接合による固定と共に、ナットによるシャフトとターゲットとの固定も可能となるという格別の効果を得ることができる。
〈実施形態2〉
図5は本発明の実施形態2のX線管装置の概略構成を説明するための図であり、圧力維持リングの構成及び当該圧力維持リングと接するナットとターゲットとの傾斜部が異なるのみで、他の構成は実施形態1と同様の構成である。従って、以下の説明では、圧力維持リングの構成及び当該圧力維持リングと接するナットとターゲットとの傾斜部について、詳細に説明する。
実施形態2のX線管装置における陽極では、圧力維持リング50はターゲット6及びナット8の材料よりも線膨張係数の小さい材料で形成される構成となっている。すなわち、拡散接合で陽極を1000℃程度に加熱した場合には、シャフト7の延在方向への変形量及びターゲット6の広がり方向(シャフト7の延在方向と直交する方向)へのターゲット6及びナット8の変形量は、圧力維持リング50の変形量よりも大きな変形量となる。一方、実施形態2の圧力維持リング50は、ターゲット6に形成される貫通孔及びナット8の内径よりも大きい内径を有する構成となっている。すなわち、 図5に示すように、シャフト7の直径よりも圧力維持リング50の内径の方が大きく、かつ該圧力維持リング50の内径がナット8の外径よりも小さい構成となっている。
このとき、実施形態2の圧力維持リング50は、ターゲット6、シャフト7、及びナット8よりも膨張係数の小さな材料を用いた部材で形成されているので、ターゲット6、シャフト7、及びナット8等よりも単位体積当たりの体積変化は小さなものとなる。すなわち、ターゲット6、シャフト7、及びナット8等の体積変化が、圧力維持リング50の体積変化よりも大きなものとなるので、その変位量もターゲット6、シャフト7、及びナット8等の方が圧力維持リング50の変位量よりも大きなものとなる。
さらには、実施形態2の陽極では、圧力維持リング50の半径方向の断面形状が、外周側から内周側に向かってその厚さが薄くなる三角形形状、すなわち圧力維持リング50の半径方向の断面形状を、外周側が厚く、内周側が薄い形状のくさび形に形成する構成となっている。また、この圧力維持リング50の形状と共に、ターゲット6及びナット8と圧力維持リング50とが接する部分52、53の形状を、圧力維持リング50の断面形状に沿った形状に形成する構成となっている。この形状により、図5中丸印Cの部分の拡大図C’に示すように、拡散接合時におけるターゲット6及びナット8の外周方向への膨張すなわち圧力維持リング50の変位量(図中の矢印51で示す)を、圧力維持リング50の矢印31、32で示すシャフト7の延在方向への変形量に変換することによって、ターゲット6を係止部21に押し当てる軸力を大幅に増加させる構成としている。従って、陽極の回転起動時や制動時のトルクにも耐えうる機械的強度でシャフト7とターゲット6とを接合することができる。
その結果、実施形態2のX線管装置においても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。すなわち、拡散接合時(加熱時)において、ナット8の締結時における加圧による変形量に加えて、熱膨張に伴うターゲット6及びナット8の変形量を用いることができるので、接合プロセスにおける拡散接合の進行に伴う接合部表面の凹凸や接合面に存在する隙間の消滅に伴うターゲット6を係止部21に押し当てる軸力の低下を防止することが可能となる。従って、陽極の回転起動時や制動時のトルクにも耐えうる機械的強度でターゲット6とシャフト7とを接合することができる。
なお、実施形態2の圧力維持リング50の構成に、実施形態1の圧力維持リング20を加えた構成であってもよい。この場合には、ナット8の内周側に配置した圧力維持リング20と、ナット8の外周側に配置した圧力維持リング50との2つの圧力維持リングによって、接合プロセスにおける拡散接合の進行に伴う接合部表面の凹凸や接合面に存在する隙間の消滅に伴うターゲット6を係止部21に押し当てる軸力の低下を防止することが可能となるので、さらに大きな軸力を加えることができるという格別の効果を得ることができる。
〈実施形態3〉
図6は本発明の実施形態3のX線管装置の概略構成を説明するための図であり、圧力維持リングの構成及び当該圧力維持リングと接するナットとターゲットとの形状が異なるのみで、他の構成は実施形態1と同様の構成である。ただし、実施形態3のX線管装置では、シャフトの延在方向(軸力方向)への圧力維持リングの変形量を直接用いて、拡散接合時の軸力の低下を防止する構成が、実施形態1、2のX線管装置と異なる構成である。従って、以下の説明では、圧力維持リングの構成及び当該圧力維持リングと接するナットとターゲットとの形状について、詳細に説明する。また、以下の説明では、1つの圧力維持リング60を用いる場合について説明するが、ターゲット6とナット8との間に2つ以上の圧力維持リングを用いる構成でもよい。
実施形態3のX線管装置における陽極では、実施形態1と同様に、圧力維持リング60はターゲット6及びナット8の材料よりも線膨張係数の大きい材料で形成される構成となっている。従って、拡散接合で陽極を1000℃程度に加熱した場合には、圧力維持リング60の変形量は、ターゲット6及びナット8の変形量よりも大きな変形量となる。一方、実施形態3の圧力維持リング60は、シャフト7の延在方向への長さがシャフト7の延在方向と直交する方向の長さよりも長く形成される構成となっている。すなわち、図6に示すように、円筒形に近い形状の圧力維持リング60となっており、その内径はナット8の内径にねじ溝の深さを加えた値よりも大きく、かつその外径はナット8の外径よりも小さい形状となっている。
このとき、実施形態3の圧力維持リング60は、実施形態1と同様に、ターゲット6、シャフト7、及びナット8よりも膨張係数の大きな材料を用いた部材で形成されているので、ターゲット6、シャフト7、及びナット8等よりも単位体積当たりの体積変化は大きなものとなる。すなわち、圧力維持リング60の体積変化がターゲット6、シャフト7、及びナット8等の体積変化よりも大きなものとなるので、その変位量も圧力維持リング60の方がターゲット6、シャフト7、及びナット8等の変位量よりも大きなものとなる。
さらには、実施形態3の陽極では、ターゲット6とナット8との対向面側にそれぞれ円環状の溝が形成されており、この溝内に圧力維持リング60が収納される構成となっている。ただし、実施形態3の構成では、それぞれの溝の深さの合計が圧力維持リング60のシャフト7の延在方向長さのよりも小さい値となるように形成されている。この形状により、図6中丸印Dの部分の拡大図D’に示すように、拡散接合に伴う圧力維持リング60のシャフト7の延在方向への変位量すなわち拡散接合時における圧力維持リング60の変位量(図中の矢印61、62で示す)を直接用いることによって、ターゲット6を係止部21に押し当てる軸力を大幅に増加させる構成としている。
その結果、実施形態3の陽極においても、実施形態1と同様に、拡散接合時すなわち加熱時において、ナット8の締結時における加圧による変形量に加えて、熱膨張に伴うターゲット6及びナット8の変形量を用いることができるので、接合プロセスにおける拡散接合の進行に伴う接合部表面の凹凸や接合面に存在する隙間の消滅に伴うターゲット6を係止部21に押し当てる軸力の低下を防止することが可能となる。
なお、実施形態3の圧力維持リング60の構成に、実施形態1及び/又は実施形態2の圧力維持リングを加えた構成であってもよい。この場合には、実施形態3の圧力維持リング60に加えて、ナット8の内周側に配置した圧力維持リング20及び/又はナット8の外周側に配置した圧力維持リング50との2つの圧力維持リングによって、接合プロセスにおける拡散接合の進行に伴う接合部表面の凹凸や接合面に存在する隙間の消滅に伴うターゲット6を係止部21に押し当てる軸力の低下を防止することが可能となるので、さらに大きな軸力を加えることができるという格別の効果を得ることができる。
また、実施形態3のX線管装置では、ターゲット6及びナット8の両方に円環状の溝を設ける構成としたが、これに限定されることはなく、ターゲット6またはナット8何れか一方に円環状の溝を設ける構成でもよい。または、その内径がナット8の内径程度であり、その外径がナット8程度またはそれ以上となる圧力維持リング60をターゲット6とナット8との間に配置することによって、円環状の溝を設けることなく、前述の効果を得ることが可能となる。
〈実施形態4〉
図7は本発明の実施形態4のX線CT装置の概略構成を説明するための図である。図7に示すX線CT装置は、X線管装置701を除く他の構成は従来のX線CT装置と同様の構成となる。なお、本発明のX線管装置の適用範囲はX線CT装置に限定されることはなく、他のX線撮影装置にも適用可能である。
図7から明らかなように、実施形態4のX線CT装置はX線ビームを発生する実施形態1〜3の何れかのX線管装置701と、該X線管装置701に対向配置されるX線検出器702とで撮影系が形成される。該撮影系は回転体703に収納され、該回転体703と共に高速回転される。また、回転体703には電源704、705と、錘706も収納される構成となっている。該回転体703は床面に立設される架台707に回転可能に取り付けられ、モータ708により高速回転され、寝台709に搭載される被検体712の周囲360度からの回転撮影を可能としている。
被検体712の周囲360度から撮影されたX線像は画像処理装置710で周知の再構成演算等が行われて被検体712の断層像や3次元像等が生成され、モニタ711に表示される。
このとき、実施形態4のX線CT装置では、本願発明の(実施形態1〜3)のX線管装置を用いる構成となっているので、X線CT装置本体の機械的な信頼性も向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
1・・・X線管装置、2・・・X線管、3・・・ステータ、4・・・陰極
5・・・陽極(回転陽極)、6・・・ターゲット、7・・・シャフト、8・・・ナット
10・・・ロータ、11・・・軸受け部材、12・・・管容器
13〜15・・・支持部材、16・・・絶縁性の冷媒、17・・・陰極支持体
18・・・ボールベアリング、19・・・回転軸、21・・・係止部
20、50、60・・・圧力維持リング、701・・・X線管装置
702・・・X線検出器、703・・・回転体、704、705・・・電源
707・・・架台、708・・・モータ、709・・・寝台、710・・・画像処理装置
711・・・モニタ、712・・・被検体

Claims (4)

  1. 回転機構部から伸延され、係止部を有するシャフト部材と、貫通孔を有し該貫通孔に前記シャフト部材が挿入され、前記係止部で係止されるX線ターゲット部材と、前記シャフト部材の先端領域に形成されるねじ溝に嵌合し、前記X線ターゲット部材を前記係止部に押圧する締結部材と、を備え、
    陰極から放出した電子ビームを回転する前記X線ターゲット部材に衝突させ、該衝突位置を焦点位置とするX線を発生させるX線管装置であって、
    前記X線ターゲット部材と、前記締結部材と、の間に配置され、前記シャフト部材、前記X線ターゲット部材、及び前記締結部材、とは異なる膨張係数の材料からなり、自身の温度上昇に伴う膨張により、前記X線ターゲット部材を前記係止部に押圧する圧力部材を備え
    前記圧力部材は、内周側が外周側より厚く、又は内周側が外周側より薄く、周方向の断面がくさび形をしたリング状の形状であって、前記X線ターゲット部材及び前記締結部材は、前記くさび形に沿うよう形成されたテーパー状の接触部を有することを特徴とするX線管装置。
  2. 前記X線ターゲット部材と、前記係止部と、の間に 前記X線ターゲット部材と、前記係止部と、を接合するための接合部材を有することを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
  3. 前記接合部材はろう材であることを特徴とする請求項2に記載のX線管装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のX線管装置と、被検体を介して前記X線管装置と対向配置されるX線検出手段と、を備えることを特徴とするX線撮影装置。
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