JP6169576B2 - 回転陽極型x線管装置及びx線撮影装置 - Google Patents

回転陽極型x線管装置及びx線撮影装置 Download PDF

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Description

本発明は、回転陽極型X線管装置及びX線撮影装置に関し、特に回転特性(振動、騒音及び軸受潤滑性能)の改良技術に関する。
熱膨張を用いた予圧構造の一例として、特許文献1には、組み合わせ回転素子ベアリングの外側リング又は内側リングに1つ又は複数のスペーサを隣接して配置し、加熱又は冷却によりこのスペーサの軸方向の寸法を増加又は減少させて予負荷を制御する技術が開示されている。
特開2009-257586号公報
スペーサの熱膨張を用いた定位置予圧構造の場合、熱膨脹時にスペーサにより、ボールが同一位置に押さえつけられる結果となる。そのため、固体潤滑軸受の場合、特に初期のなじみ運転時に、軸受レース面に対して微小磨耗を発生させる可能性があった。
更に、スペーサは、X線発生時には100〜200℃に加熱され、負荷条件によっても温度が変化する。このため、特許文献1に開示されたスペーサ熱膨脹を用いて予圧を制御する手法では、外部からの熱によるアキシャル隙間程度(数10μm)の制御が困難である。また、スペーサの熱容量による時遅れも発生するため、X線管球の回転陽極の高速回転振動による高周波でのボール振動及びそれを抑えるためのアキシャル隙間変化を制御することは困難である。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、熱伝導による時遅れがない予圧構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、電子線を発生する陰極と、前記電子線が衝突してX線を発生する陽極ターゲットを含む回転陽極と、を備えた回転陽極型X線管装置であって、前記回転陽極は、前記陽極ターゲットとともに回転する回転体と、前記回転体の回転を潤滑にするための軸受ユニットと、前記回転体を、前記軸受ユニットを介して回転可能に支持する固定体と、を備え、前記軸受ユニットは、前記回転体の回転軸方向に沿って配置された複数の軸受と、各軸受に対して一つずつ設けられた予圧構造と、を含み、前記予圧構造のそれぞれは、前記軸受のそれぞれに対し、前記回転体の回転軸方向が重力方向と一致した状態において、前記回転体から前記軸受に印加される荷重よりも小さい予圧量を前記軸受に付与する、ことを特徴とする。
本発明によれば、熱伝導による時遅れがない予圧構造を提供することができる。
第一実施形態に係る回転陽極型X線管装置の概略構成を示す軸方向断面図 X線管球の概略構成を示す軸方向断面図 回転陽極6の概略構成を示す軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す) 回転陽極内部の熱流経路を示す説明図(但し回転中心軸から外縁までを示す) 第一実施形態に係る軸受ユニット10の軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す)及び軸受の拡大断面図 軸受構造を示す説明図であって、(a)は、軸受ユニット10の軸方向断面図及び軸受周囲の拡大図を示し、(b)は軸受の斜視図である。 軸受の動作を説明する説明図 軸受構造を示す周方向断面図及び斜視図 軸受ユニット10の中心断面位置における斜視図及び各構成部品の形状を示す説明図であって、陽極回転軸7が位置する方向を重力方向上側に向けて、回転軸方向を重力方向と平行にした状態を示す。 軸受ユニット10における予圧構造を示す軸方向断面の説明図であって、陽極回転軸7が位置する方向を重力方向下側に向けて、回転軸方向を重力方向と平行にした状態の回転中心軸から外縁までを示す。 予圧無しかつアキシャル隙間がない軸受ユニットの軸方向断面の説明図であって、陽極回転軸7が位置する方向を重力方向下側に向けて、回転軸方向を重力方向と平行にした状態の回転中心軸から外縁までを示す。 予圧無しかつアキシャル隙間がある軸受ユニットの構成を示す軸方向断面の説明図であって、陽極回転軸7が位置する方向を重力方向下側に向けて、回転軸方向を重力方向と平行にした状態の回転中心軸から外縁までを示す。 予圧無しかつアキシャル隙間がある軸受ユニットの挙動を示す説明図であって、(a)は、アキシャル方向荷重が印加され、第一外輪203が落下した状態を示し、(b)は、アキシャル方向荷重が印加されたが、第一外輪203が落下できない状態を示す。 重力方向に沿って上側に位置する軸受のみに予圧構造及びアキシャル隙間を備えた軸受ユニットの挙動を示す説明図 、本実施形態に係る軸受ユニット10にアキシャル方向荷重が印加されていないときの挙動を示す説明図 本実施形態に係る軸受ユニット10にアキシャル方向荷重が印加されたときの挙動を示す説明図 第二実施形態に係るX線管球の概略構成を示す軸方向断面図 回転陽極の概略構成を示す軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す) 第二実施形態に係る予圧構造軸受を採用した軸受ユニット10の軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す) 第二実施形態に係る軸受ユニットにアキシャル方向荷重が印加されていないときの軸受ユニットの挙動を示す説明図 第二実施形態に係る軸受ユニットにアキシャル方向荷重が印加されているときの軸受ユニットの挙動を示す説明図 上記実施形態に係る回転陽極型X線管球を用いたX線CT装置の全体構成を示す機能ブロック図
本実施形態に係る回転陽極型X線管装置は、電子線を発生する陰極と、前記電子線が衝突してX線を発生する陽極ターゲットを含む回転陽極と、を備えた回転陽極型X線管装置であって、前記回転陽極は、前記陽極ターゲットとともに回転する回転体と、前記回転体の回転を潤滑にするための軸受ユニットと、前記回転体を、前記軸受ユニットを介して回転可能に支持する固定体と、を備え、前記軸受ユニットは、前記回転体の軸方向に沿って配置された複数の軸受と、各軸受に対して一つずつ設けられた予圧構造と、を含み、前記予圧構造のそれぞれは、前記軸受のそれぞれに対し、前記回転体の回転軸方向が重力方向と一致した状態において、前記回転体から前記軸受に印加される荷重よりも小さい予圧量を前記軸受に付与する、ことを特徴とする。
前記軸受のそれぞれは、転動体となるボールと、当該ボールの接触面を含む軸受曲面を有する内輪と、前記ボールを挟んで前記内輪とは反対側に位置し、前記ボールとの接触面を有する外輪と、を備えてもよい。この場合、前記予圧構造は、予圧を生じさせる予圧バネと、前記予圧バネと前記軸受との間に配置される予圧子と、を備え、前記予圧バネは、前記予圧子を介して前記軸受に対し予圧を付与してもよい。
また前記軸受ユニットは、隣合う二つの前記軸受の間に配置された軸受スペーサを更に備えてもよい。この場合、当該軸受スペーサは前記固定体に固定され、前記予圧バネの一端部は前記軸受スペーサにより支持され、他端部は前記予圧子に当接してもよい。
また、前記軸受スペーサと前記予圧子との間に前記回転軸方向に沿ったアキシャル隙間を形成し、前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が重力方向と一致する向きになった状態において、前記重力方向に沿って上側に位置する前記軸受に対する予圧構造に含まれる予圧子は、前記軸受スペーサに接触して前記アキシャル隙間の隙間幅が0となり、前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が水平方向と一致する向きになった状態において、前記各軸受に対する予圧構造に含まれる予圧子のそれぞれと前記軸受スペーサとの間に、前記アキシャル隙間が形成されてもよい。
また、前記回転陽極は、前記陽極ターゲットに接続される陽極回転軸と、前記陽極回転軸及び前記軸受ユニットを収容する軸箱と、を更に備え、前記回転体は、前記陽極ターゲット及び前記陽極回転軸を含んでもよい。そして、前記固定体を、前記軸箱に含んでもよい。
上記とは異なる態様として、前記軸受スペーサは、前記軸箱の内壁面に固定されるとともに隣り合う軸受に含まれる二つの外輪の間に配置され、前記予圧子は、それぞれの前記軸受の外輪と前記軸受スペーサとの間に配置され、前記予圧バネは、一端部が前記軸受スペーサに当接し、他端部がそれぞれの前記予圧子に当接し、前記軸受スペーサとそれぞれの前記予圧子との間には、前記アキシャル隙間が形成されてもよい。また、前記各軸受の内輪は、前記陽極回転軸と一体的に形成されてもよい。
前記回転陽極は、前記陽極ターゲットに接続される軸箱と、前記軸受ユニットを介して前記軸箱を回転自在に支持する固定軸と、を更に備えてもよい。この場合、前記軸箱は、前記軸受ユニット及び前記固定軸を収容し、前記回転体は、前記陽極ターゲット及び前記軸箱を含み、前記固定体は、前記固定軸を含んでもよい。
前記軸受ユニットは、前記固定軸の径方向に沿って相対的に外側に、かつ隣り合う前記軸受の外輪の間に配置される外径側スペーサと、前記固定軸の径方向に沿って相対的に内側に、かつ隣り合う前記軸受の内輪の間に配置される内径側スペーサと、を含み、前記外径側スペーサは、前記軸箱の内壁面に固定されるとともに前記隣り合う軸受に含まれる二つの外輪に当接し、前記内径側スペーサは、前記固定軸の外表面に固定され、前記予圧子は、前記各軸受の内輪と前記内径側スペーサとの間に配置され、前記予圧バネは、一端部が前記内径側スペーサに当接し、他端部がそれぞれの前記予圧子に当接し、前記内径側スペーサとそれぞれの前記予圧子との間には、前記アキシャル隙間が形成されてもよい。前記予圧バネとして、相対的に径が大きな大径コイルバネの中に、相対的に径が小さな小径コイルバネを配置した2重のコイルバネを用いても良い。
更に、前記軸受ユニットは、対となる二つの軸受を回転軸方向に沿って対向させ、前記二つの軸受の前記ボールの中心間距離よりも、前記内輪または前記外輪のうち、前記回転体側に位置する軸受曲面と前記ボールの接触点間の距離のほうが長くなるように配置されてもよい。前記各軸受は、固体潤滑材を用いて形成されてもよい。
また本発明に係る回転陽極型X線管装置は、電子線を発生する陰極と、前記電子線が衝突してX線を発生する陽極ターゲットを含む回転陽極と、を備えた回転陽極型X線管装置であって、前記回転陽極は、前記陽極ターゲットとともに回転する回転体と、前記回転体の回転を潤滑にするための軸受ユニットと、前記回転体を、前記軸受ユニットを介して回転可能に支持する固定体と、を備え、前記軸受ユニットは、前記回転体の軸方向に沿って配置された複数の軸受と、各軸受に対して一つずつ設けられた予圧構造と、隣り合う前記複数の軸受の間に配置される軸受スペーサと、を含み、前記軸受のそれぞれは、転動体となるボールと、当該ボールの接触面を含む軸受曲面を有する内輪と、前記ボールを挟んで前記内輪とは反対側に位置し、前記ボールとの接触面を含む軸受曲面を有する外輪と、を備え、前記予圧構造のそれぞれは、予圧を生じさせる予圧バネと、前記予圧バネと前記軸受との間に配置されるスペーサからなる予圧子と、を含み、前記軸受スペーサは前記固定体に固定され、前記予圧バネの一端部は前記軸受スペーサにより支持され、他端部は前記予圧子に当接し、前記軸受スペーサと前記予圧子との間に前記回転軸方向に沿ったアキシャル隙間を形成し、前記軸受スペーサの前記回転軸方向の長さは、前記陽極ターゲットから生じる熱により前記軸受スペーサが熱膨張をした場合においても前記アキシャル隙間が確保される寸法で形成され、前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が重力方向と一致する向きになった状態において、前記重力方向に沿って上側に位置する軸受に対する予圧構造に含まれる予圧子は前記軸受スペーサに接触して、前記アキシャル隙間の隙間幅が0となり、前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が水平方向と一致する向きになった状態において、前記各軸受に対する予圧構造に含まれる予圧子のそれぞれと前記軸受スペーサとの間に、前記アキシャル隙間が形成される。
更に、上記何れか一つの回転陽極型X線管装置と、前記回転陽極型X線管装置に高電圧を印加するX線制御装置と、を備えてX線撮影装置を構成してもよい。
以下、より詳しく本実施形態について説明する。
本実施形態に係るX線管装置は、X線管球内の陽極のうち、陰極から放出される電子ビームが衝突する陽極ターゲットが回転する、いわゆる回転陽極を備えた回転陽極型X線管装置に係るものである。医療用X線管装置で必要とするX線量を確保するためには大量の電子線を陽極ターゲットに衝突させることが必要となり、衝突面に形成されるX線の焦点温度上昇が著しくなるが、回転陽極型X線管装置を用いることで、陽極ターゲットの1箇所のみが加熱されることを防ぎやすくなる。
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。同一機能を有する構成及び同一の処理内容の手順には同一符号を付し、その説明の繰り返しを省略する。
<第一実施形態>
まず、図1乃至図10に基づいて、第一実施形態の構成について説明する。第一実施形態は、内輪、転動体(ボール)、外輪を備えた軸受を用い、内輪が回転して陽極ターゲットを回転させる管球構造である。図1は、第一実施形態に係る回転陽極型X線管装置の概略構成を示す軸方向断面図である。図2は、X線管球の概略構成を示す軸方向断面図である。図3は、回転陽極6の概略構成を示す軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す)である。図4は、回転陽極内部の熱流経路を示す説明図(但し回転中心軸から外縁までを示す)である。図5は、第一実施形態に係る軸受ユニット10の軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す)及び軸受の拡大断面図である。図6は、軸受構造を示す説明図であって、(a)は、軸受ユニット10の軸方向断面図及び軸受周囲の拡大図を示し、(b)は軸受の斜視図である。図7は、軸受の動作を説明する説明図である。図8は、軸受構造を示す周方向断面図及び斜視図である。図9は、軸受ユニット10の中心断面位置における斜視図及び各構成部品の形状を示す説明図であって、陽極回転軸7が位置する方向を重力方向上側に向けて、回転軸方向を重力方向と平行にした状態を示す。図10は、軸受ユニット10における予圧構造を示す軸方向断面の説明図であって、陽極回転軸7が位置する方向を重力方向下側に向けて、回転軸方向を重力方向と平行にした状態の回転中心軸から外縁までを示す。
図1に示す回転陽極型X線管装置は、陰極2および回転陽極(以下、陽極と略称することがある。)6を有する回転陽極X線管球(以下、X線管球と略称する)101と、X線管球101を収容する略箱状の管容器102と、を備える。管容器102の内部には、X線管球101を回転駆動するステータコイル21と、X線管球101の陰極側を絶縁支持する陰極支持体106と、X線管球101の陽極側を絶縁支持する陽極支持体103と、が含まれる。X線管球101の陽極側端部は、陽極支持体103に対して固定具(例えば陽極固定ネジ104)を用いて固定される。陽極支持体103には、ステータコイル21も固定される。管容器102の外周部には、X線管球101の陰極2に負電位の高電圧を給電する陰極側高電圧ソケット107と、X線管球101の回転陽極6に正電位の高電圧を給電する陽極側高電圧ソケット108と、が備えられる。管容器102の内部は、絶縁及び冷却のために絶縁油109を充満させる。
管容器102には、X線管球101から発生したX線を管容器102の外部に放出させるための管容器放射窓105が備えられる。管容器102の内壁面のうち、管容器放射窓105を除く部分は、X線が漏れ出ることを防ぐためのX線遮蔽部材、例えば鉛板などが貼り付けられている。
図2に示すように、X線管球101は、電子線3を発生する陰極2と、陰極2からの電子線3が衝突してX線4を発生する回転陽極6と、陰極2と回転陽極6を真空気密に内包して絶縁支持する外囲器1とを備える。
陰極2は、加熱されて電子線3を放射するフィラメント(図示を省略)と、この電子線3を集束して回転陽極6上に電子線3の衝突面(「焦点」という)5を形成する集束電極2aと、集束電極2aを支持するホルダー2bと、ホルダー2bを絶縁して支持するステム2cと、を備える。ステム2cは、ガラスまたはセラミックなどの絶縁物から成り、その中央部に複数本のステムリード(図示を省略)が埋め込まれている。ステムリードは、X線管球101内ではフィラメント、集束電極2a、及びホルダー2bに接続され、X線管球101外では、陰極側高電圧ソケット107(図1参照)の陰極側リード(図示を省略)に接続されている。この陰極側リード及びステムリードを経由して、集束電極2aとホルダー2bには負電位の高電圧、フィラメントにはフィラメント加熱電圧、がそれぞれ供給される。
回転陽極6は、回転する回転体と、その回転支持する固定体(静止体)と、回転体及び固定体の間に位置する軸受機構と、を備えた組立体として構成される。回転体は、陽極ターゲット7、ロータ12、断熱部202、及び陽極回転軸8を含む。固定体は、軸箱9と、磁性部117と、を含む。また、軸受機構として、軸箱9に対し陽極回転軸8を回転自在に支持する軸受ユニット10を有する。
陽極ターゲット7は、陰極2の集束電極2aと対向して配置され、陰極2からの電子線3を焦点5に受けてX線を発生する。ロータ12は、ステータコイル21からの磁界により回転トルクを発生させ、回転駆動力を得て回転するものである。ロータ12は、略円筒状に構成され、一端部は封止され、他端部は開放されている。そして、陽極ターゲット7における陰極2と対向する面とは反対の面と、ロータ12の封止された端部面と、を対向させ、陽極ターゲット7における陰極2とは反対側にロータ12が連結される。ロータ12の内部には、断熱部202と陽極回転軸8を収容し、断熱部202を介して、ロータ12と陽極回転軸8とが接続され、陽極回転軸8への熱伝達を低減する。一方、軸箱9は、軸受ユニット10を収容する中空部を有し、かつ陽極ターゲット7とは反対側の端部が封止された円筒部9aと、円筒部9aの陽極ターゲット7とは反対側に突出する固定端部9bと、を備える。そして、円筒部9aの内部に、陽極回転軸8の一部及び軸受ユニット10が収容される。磁性部117は、軸箱9の外周部、かつロータ12との間に配設され、ステータコイル21からの回転磁界を集める役割を果たす磁性体により構成される。回転陽極6の詳細は、後述する。
外囲器1は、外囲器1の中央に位置し、陽極ターゲット7を内包する大径部1aと、陰極2を絶縁支持する陰極絶縁部1bと、回転陽極6を絶縁支持する陽極絶縁部1cと、を含む。外囲器1は絶縁材料であるガラス、セラミックスなどで構成される。但し、大容量のX線管球101では陽極ターゲット7の平均温度が1000℃を超える場合があるので、陽極ターゲット7からの輻射熱に耐える必要がある。そこで、外囲器1は、回転陽極6及び陰極2とは絶縁された状態で、外囲器1の一部に金属を使用することもある。図2では、大径部1aを銅やステンレス鋼などの金属材料を用いて構成し、その側面の陽極ターゲット7上の焦点5に近接する位置に管球放射窓110が取り付けられている。
管球放射窓110はX線を外部に取り出すための窓であり、X線透過性の良い材料、例えばベリリウムなどの原子番号の低い材料から成り、ろう付けや溶接によって大径部1aに結合されている。陰極絶縁部1bの主要部はガラスまたはセラミックなどの絶縁物を用いて構成され、一端は大径部1aと結合され、他端は陰極2のステム2cと結合されている。陽極絶縁部1cも主要部はガラスまたはセラミックなどの絶縁物から成り、一端は大径部1aと結合され、他端は軸箱9の固定端部9bに結合されている。
図3に示すように陽極ターゲット7は、円盤体7aと、円盤体7aから陰極2とは反対方向に突出した円筒状のターゲット円筒部7bと、を有する。円盤体7aには、集束電極2aとは反対方向に傾斜する傾斜面7cを有する。傾斜面7cに焦点5が形成される。陽極ターゲット7の裏面(集束電極2aと対向する面とは反対側の面)は、陽極ターゲット7の熱容量を大きくするために、モリブデン板やグラファイト板などが裏打ちされている。円盤体7aの中心付近には、ロータ12との固定に用いる貫通孔からなるターゲット固定孔7dを備える。
陽極ターゲット7の材質によりX線4の線質が変化する。通常医療用のX線管球101ではタングステン、モリブデンなどが陽極ターゲット7として使用される。これはX線4の発生効率が、陽極ターゲット7の材質の原子番号に比例して増加することと、電子線3の衝突面でX線4に変換されるのは衝突エネルギーの1%以下であり、他は熱に変換されて焦点5の温度を上昇させるため、陽極ターゲット7には融点の高い材料が適しているためである。そこで、本実施形態の陽極ターゲット7は、タングステンまたはタングステン合金などを用いて構成される。
ロータ12は、陽極ターゲット7と連結される細径部12aと、X線管球101の外部に配置されたステータコイル21から回転駆動力を受ける大径部12bと、細径部12aと大径部12bとを結合する接続部12cと、を備える。
ロータ12の細径部12aは、モリブデンなどの高耐熱、高強度の金属材料を用いて構成される。
ロータ12の大径部12bは、内部に中空部12b1を備えた円筒状をしており、銅などの高導電性の金属材料を用いて構成される。
ロータ12の接続部12cは、大径部12b内の中空部12b1に連通する中空部12c1を有する円筒部12c2と、円筒部12c2の陽極ターゲット7側の面を封止する円盤状の面部12c3と、を有する。接続部12cは、高強度の金属材料を用いて構成され、細径部12a及び大径部12bとろう付けなどにより結合されている。
細径部12aの陽極側の端部は、面部12c3の中心付近と結合される。また、細径部12aの陰極2側の先端部には、ねじ溝を備えた締結部12a1を備える。締結部12a1は、陽極ターゲット7に備えられたターゲット固定孔7dを貫通し、締結部12a1の開放端(陰極2側の端部)を固定具、例えばナット201により締結する。これにより、陽極ターゲット7がロータ12の細径部12aに連結される。なお、陽極6の回転により、陽極ターゲット7とロータ12とを固定しているナット201が緩みガタが発生するのを避けるために、陽極ターゲット7とロータ12と陽極回転軸8とを、ろう付けや摩擦溶接などで一体化した、インテグレーテッドターゲットを用いてもよい。
ロータ12と陽極回転軸8とは、ロータ12の接続部12cにおいて結合される。ロータ12と陽極回転軸8との間には、断熱部202を挿入して結合する。断熱部202は薄肉の円筒部を有し、熱伝導率の低いステンレス鋼などから成る。この断熱部202はX線管の回転陽極6の熱容量の大きい場合に適用されることが多い。本実施形態では、断熱部202を介してロータ12と陽極回転軸8とを結合するが、断熱部202は必須ではなくロータ12と陽極回転軸8とを直接結合してもよい。
ロータ12は、X線管球101外部に設けたステータコイル21により回転トルクを発生させるが、ステータコイル21による渦電流を効率よく発生させるために銅などの電気抵抗の低い材料が使用されていることが好ましい。また、X線管球101外部からの誘導磁界を効率よく取込むために、ロータ12は陽極(組立体)6最外縁部に設けられる。ロータ12の大径部12bと軸箱9の円筒部9aとの間には、円筒状の磁性部117が配設されている。磁性部117は、ステータコイル21からの回転磁界を引き込む為のものであり、鉄などの強磁性の金属材料から成る。この磁性部117は円筒部9aまたはロータ12の大径部12bに固定されるが、本実施形態では、円筒部9aの外周に固定される。
磁性部117の厚さは1mm前後(0.5mm〜3mm程度)である。尚、純鉄材による軸箱9を採用している回転陽極6では、軸箱9が磁性部117を兼ねている場合もある。
陽極回転軸8は、断熱部202と結合する円板状のフランジ部8aと、フランジ部8aから陽極ターゲット7とは反対方向に軸方向が伸びる円柱部8bと、を備える。フランジ部8aと円柱部8bとは高強度の鋼材を用いて構成される。フランジ部8aとロータ12の接続部12cとが、断熱部202を介して連結される。そして、陽極ターゲット7、ロータ12、断熱部202及び陽極回転軸8が連結される。陽極ターゲット7、ロータ12、断熱部202及び陽極回転軸8は一体となって回転し、回転体を構成する。なお、図1に示す回転陽極型X線管装置は、例えばX線CT装置のガントリに搭載されて被検体の周囲を360度回転する場合に、陽極回転軸8の回転軸方向と重力方向との関係が、垂直、交差、平行など、随時変化する。
軸箱9は、上記回転体を回転支持するものであり、略円筒状部材の一端部を封止する封止面を有し、他端部を開放して形成される円筒部9aと、円筒部9aの封止面から陽極ターゲット7とは反対方向に突出して形成され、陽極固定ネジ104(図1参照)により陽極支持体103に固定される固定端部9bと、固定端部9bの外周を覆い、外囲器1の陽極絶縁部1cに接続されるリング部9cと、を有する。
固定端部9bは、陽極側高圧ソケット108(図1参照)の図示しない陽極リードが接続され、この陽極リードを経由して正電位の高電圧が供給される。固定端部9bの一部が、X線管球101の外囲器1の外部に露出し、回転陽極6からの熱を外部へ放出する経路の一つとなるので、軸箱9には熱伝導率の高い材料、例えば銅などを使用する。ただし、高い強度が必要な場合などには耐熱性があり、加えて熱伝導率が比較的高い、モリブデンが使用されることもある。また、発熱量が小さい小型のX線管球101では純鉄材などを軸箱9の材料として用いてもよい。
円筒部9aは、陽極ターゲット7側に開口部9a1を備え、陽極ターゲット7とは反対側の端部に封止面部9a2を備え、内部に中空部9a3を備えた略円筒状に形成される。
中空部9a3に、陽極回転軸8の円柱部8b及び軸受ユニット10が収容される。陽極回転軸8は、円柱部8bを中空部9a3の内部に配置し、フランジ部8aを円筒部9aの開口部9a1から陽極ターゲット7側方向に向けて突出して配置する。フランジ部8aは、断熱部202を介してロータ12の接続部12c内の中空部12b1に面した内表面に結合される。
一方、軸箱9の円筒部9aの軸方向に沿って、軸受ユニット10を配置する。図5に示すように、軸受ユニット10は、二つの軸受13,17と軸受スペーサ20とを有する。
軸箱9に軸受スペーサ20を固定する。以下、軸箱9側の軸受スペーサ20の固定位置を、軸箱固定位置11といい、軸受スペーサ20側の軸箱9に固定する位置をスペーサ固定位置11bという。二つの軸受は、軸受スペーサ20を挟んで配置される。
以下、開口部9a1に相対的に近い側(陽極ターゲット7に相対的に近い側)の軸受を第一軸受13といい、軸箱固定位置11及びスペーサ固定位置11bを挟んで第一軸受13とは反対側、即ち固定端部9bに相対的に近い側にある軸受を第二軸受17という。更に軸受ユニット10は、第一軸受13に定圧予圧を付与する第一予圧構造と、第二軸受17に定圧予圧を付与する第二予圧構造と、を備える。第一予圧構造は、第一軸受13と軸箱固定位置11及びスペーサ固定位置11bとの間に配置され、第二予圧構造は、第二軸受17と軸箱固定位置11及びスペーサ固定位置11bとの間に配置される。軸受ユニット10の詳細については後述する。
ここで、回転陽極6内部の熱流経路を、図4を用いて説明する。
陽極ターゲット7の焦点5から生じた熱は、円盤体7aを介してロータ12の細径部12aを伝わる。そしてロータ12の細径部12a、接続部12cを経由して断熱部202に伝わる。更に、断熱部202から陽極回転軸8のフランジ部8a、円柱部8bに伝わる。熱流経路は、第一軸受13を経由して軸箱9の円筒部9aに伝わるとともに、第二軸受17を経由して軸箱9の円筒部9aに伝わる。
そして、円筒部9aから固定端部9bへと至る。断熱部202は、ロータ12と陽極回転軸8との間の熱抵抗を大きくして、陽極ターゲット7で発生した熱が、軸受13、17に極力伝わらないようにしたものであり、この断熱部202が熱流経路上にあるものの、第一軸受13及び第二軸受17には、焦点5で生じた高熱が伝わる。特に第一軸受13は、第二軸受17よりも相対的に高温が伝わる。よって、第一軸受13及び第二軸受17は、耐熱性が要求される。更に、第一軸受13及び第二軸受17には、耐真空、導電性も求められる。
従って、第一軸受13及び第二軸受17は、高強度の鋼材などから成る。また、第一軸受13及び第二軸受17には、銀、鉛などの軟質金属を潤滑材として利用した固体潤滑軸受が使用される。固体潤滑材の詳細については後述する。更に、X線管球101内で使用される軸受ユニット10は、熱の影響を大きく受けるため、内輪回転方式の軸受を使用する場合には、陽極回転軸8と内輪とが一体化されたインテグラル軸受を使用することが望ましい。そこで、本実施形態においても、軸受ユニット10として、インテグラル軸受を用いる。以下、インテグラル軸受を用いた軸受ユニット10の構造について説明する。
図6の(a)に示すように、第一軸受13は、陽極回転軸8の円柱部8bの外周面に沿って設けられた凹部状の軸受曲面(レース面という)からなる第一内輪部205と、転動体である第一ボール18と、円筒部9aの内径よりも細い外径を有し、環状部材からなる第一外輪203と、を含む。第一外輪203の内周面に曲面状の第一ボール18のレース面が形成される。そして図6の(b)に示すように、陽極回転軸8の円柱部8bを第一外輪203の中空領域に配置し、第一内輪部205のレース面及び第一外輪203のレース面の間に円周方向に沿って複数の第一ボール18を配置する。
第二軸受17も第一軸受13と同様の構成とする。即ち、第二軸受17は、陽極回転軸8の円柱部8bに設けられたレース面からなる第二内輪部206と、転動体である第二ボール19と、第二ボール19のレース面を含む第二外輪204と、を備える(図5参照)。
第一軸受13と第二軸受17とのそれぞれは、回転軸方向に沿って背面対向、すなわち、第一ボール18と第二ボール19との中心間距離よりも、内輪または外輪のうち回転体側に位置するレース面との接触点(作用点)間の距離のほうが長くなるように配置される。第一実施形態では、第一ボール18と第一内輪部205との接触点と、第二ボール19と第二内輪部206との接触点との間の距離が、第一ボール18の中心及び第二ボール19の中心との間の距離よりも長くなるように、第一軸受13及び第二軸受17を配置する。
第一ボール18、第二ボール19の各表面、及び第一外輪203、第二外輪204、第一内輪部205、第二内輪部206の各レース面のうち第一ボール18及び第二ボール19が接触する範囲である転送面には、固体潤滑材が適当な膜厚で付着されている。例えば第一軸受13では、図7に示すように、第一内輪部205の内輪レース面306の一部である内輪転送面307と、第一外輪203の外輪レース面304の一部である外輪転送面305と、に固体潤滑材が付着している。第二軸受19も第一軸受13と同様に、内輪転送面及び外輪転送面に固体潤滑材が付着している。そして、図8に示すように、陽極回転軸8が回転すると、第一ボール18が内輪転送面307及び外輪転送面305上を陽極回転軸8の円周方向に沿って転送する。同様に、第二ボール19も第二内輪部206の内輪転送面及び第二外輪204の外輪転送面上を陽極回転軸8の円周方向に沿って転送する。
これにより、陽極回転軸8と第一外輪203及び第二外輪204とが潤滑され、回転可能に支持される。
上記固体潤滑材としては、真空中で使用されることを考慮して、銀や鉛などの軟らかい金属または二硫化モリブデンなどの劈開しやすい化合物などが用いられる。固体潤滑材である、軟質金属を第一ボール18及び第二ボール19と、第一外輪203、第二外輪204の第一内輪部205、第二内輪部206の各転走面にコーティングする方法は複数ある。例えば、初期は第一ボール18及び第二ボール19のそれぞれにのみに固体潤滑材をコーティングし、製造プロセス中での回転により第一外輪203、第二外輪204、第一内輪部205、第二内輪部206の各レース面に転着させることで、第一ボール18及び第二ボール19の接触範囲(転走面)に付着させる方法がある。この方法によれば、転走面には固体潤滑材がコーティングされるが、第一外輪203、第二外輪204、第一内輪部205、第二内輪部206のうち、転送面以外のレース面にはコーティングされない状態となる。
上述の如く、固体潤滑材は、内輪レース面及び外輪レース面全体に付着しているのではなく、それらのうちのボール接触範囲である転送面にのみ付着している。そのため、潤滑性能、寿命を向上させるためには、固体潤滑軸受では、第一ボール18及び第二ボール19と、第一外輪203、第二外輪204、第一内輪部205、第二内輪部206の各転走面の位置を安定させて、第一ボール18が第一外輪203及び第一内輪部205の各転送面を、第二ボール19が第二外輪204及び第二内輪部206の各転送面を転走する状態に保つことが必要である。そのため、本実施形態では、第一軸受13及び第二軸受17のそれぞれに予圧を付与する予圧構造を有し、第一ボール18及び第二ボール19が、第一外輪203、第二外輪204、第一内輪部205、第二内輪部206の各転走面上を転送するように構成する。以下、予圧構造について説明する。
予圧構造は、第一軸受13に予圧を付与する第一予圧構造及び第二軸受17に予圧を付与する第二予圧構造を含む。第一予圧構造は、第一予圧バネ14及び第一予圧子207を含む。第二予圧構造は、第二予圧バネ16及び第二予圧子208を含む。
軸箱9の円筒部9a内において、軸受スペーサ20のスペーサ固定位置11bを基準とし、回転軸方向に沿って円筒部9aの開口部9a1に向かう方向(陽極ターゲット7に向かう方向)に、第一予圧バネ14、第一予圧子207、及び第一軸受13の順に配置される。また、スペーサ固定位置11bを基準として、回転軸方向に沿って固定端部9bに向かう方向に、第二予圧バネ16、第二予圧子208、及び第二軸受17の順に配置される。
第一予圧バネ14及び第二予圧バネ16のバネ力は、回転体からの荷重よりも小さく構成される。これにより、第一予圧バネ14及び第二予圧バネ16が付与する各予圧量は、回転体の重量よりも小さくなり、第一軸受13及び第二軸受17に過負荷の予圧が付与されないように構成される。
第一予圧子207は、第一予圧バネ14と第一軸受13との間に配置されたスペーサであり、第一予圧バネ14から直接的に第一軸受13に予圧が付与されることで、第一軸受13が不安定になることを抑止するものである。第二予圧子208は、第二予圧バネ16と第二軸受17との間に配置されたスペーサであり、第二予圧バネ16から直接的に第二軸受17に予圧が付与されることで、第二軸受17が不安定になることを抑止するものである。
図9に示すように、第一予圧子207及び軸受スペーサ20は、円柱部8bを収容する中空部を備え、軸箱9の円筒部9aの内径よりも細い外径を有する環状部材として構成する。第二予圧子208も第一予圧子207と同様、環状部材として構成する。
軸受スペーサ20は、スペーサ固定位置11bを含む固定部20aと、固定部20aから第一軸受13に向けて伸びる第一延長部20bと、固定部20aから第二軸受17に向けて伸びる第二延長部20cと、を備える。固定部20aにおけるスペーサ固定位置11bには、固定部20aの外表面を円周方向に沿って窪ませた溝が形成される。固定部20aの内径は、第一延長部20b及び第二延長部20cの内径よりも小さく構成される。よって、固定部20aは、第一延長部20b及び第二延長部20cよりも内側に突出する。
第一予圧子207は、第一外輪203に当接し、第一予圧バネ14の一端(陽極ターゲット7側の端部)を支持するバネ支持部207aと、バネ支持部207aから軸受スペーサ20の軸方向中心(スペーサ固定位置11b)に向けて突出し、第一予圧バネ14の半径方向(r方向)の振動を規制するバネ抑え部207bと、を備える。バネ支持部207aの内径とバネ抑え部207bの内径とはほぼ等しく、バネ支持部207aの外径は、バネ抑え部207bの外径よりも大きく、軸受スペース20の第一延長部20bの外径とほぼ等しく構成する。第二予圧子208も第一予圧子207と同様の構成であり、バネ支持部208aとバネ抑え部208bとを備える(図10参照)。
第一外輪203は、軸箱9の円筒部9aの内径よりも細い環状部材により構成され、バネ支持部207aと当接する環状の予圧子当接部203aと、予圧子当接部203aから第一予圧子207とは反対方向に突出し、予圧子当接部203aよりも内径が大きい曲面状のレース面部203bと、を有する。第二外輪204も第一外輪203と同様の構成であり、予圧子当接部204aとレース面部204bとを備える。
図9、図10に示すように、軸受スペーサ20のスペーサ固定位置11bと軸箱9の軸箱固定位置11とを固定部材、例えばねじ11cにより締結し、軸受スペーサ20を軸箱9の内壁面に固定する。
また、第一予圧子207を軸受スペーサ20の陽極ターゲット7側の端面に接触させて配置する。第一予圧バネ14は、軸受スペーサ20の第一延長部20bの内側、かつ軸受スペーサ20の固定部20aと第一予圧子207との間に、一端部を軸受スペーサ20の固定部20aにおける陽極ターゲット7側の端面に接触させ、他端部を第一予圧子207の固定端部20aに対向する面に接触させて配置する。第一予圧バネ14の他端部を、軸受スペーサ20の第一延長部20bと、第一予圧子207のバネ抑え部207bとの間に配置することで、第一予圧バネ14の半径方向(r方向)の振動が規制される。第二予圧バネ16及び第二予圧子208は、軸受スペーサ20と第二外輪204との間に配置され、第一予圧バネ14及び第一予圧子207と同様の構成となる。
第一予圧バネ14及び第二予圧バネ16は、第一外輪203及び第二外輪204に予圧を与えるためのものであるが、直接第一外輪203及び第二外輪204を押さえると、第一外輪203及び第二外輪204のバネ接触面積が小さい場合には、第一予圧バネ14及び第二予圧バネ16との接触により第一外輪203及び第二外輪204が傾き、軸受ユニット10の動作を不安定にする可能性がある。このため、第一予圧バネ14及び第一外輪203の間、および第二予圧バネ16及び第二外輪204の間に、スペーサとしての第一予圧子207及第二予圧子208をそれぞれ挿入する。第一予圧子207及第二予圧子208は、第一予圧バネ14及び第二予圧バネ16を保持するとともに、陽極回転軸8の円柱部8bと軸受スペーサ20との接触を防止する。
第一予圧子207のバネ支持部207aにおける第一外輪203に対向する面は、第一外輪203の予圧子当接部203aと接触する。第一予圧バネ14のバネ力により第一予圧子207が第一外輪203に押しつけられることにより、軸受スペーサ20の第一延長部20bと第一予圧子207のバネ支持部207aとの間に、アキシャル隙間401-1が形成される。バネ抑え部207bは、第一予圧バネ14よりも陽極回転軸8の円柱部8b側に位置し、回転時に第一予圧バネ14が径方向に振動する際の揺れ幅を規制する。
第二予圧バネ16は、一端を第二予圧子208のバネ支持部208aに、他端を軸受スペーサ20の固定部20aに接触させて配置する。第二予圧子208のバネ支持部208aにおける第二外輪204に対向する面は、第二外輪204の予圧子当接部204aと接触する。第二予圧バネ16のバネ力により第二予圧子208が第二外輪204に押しつけられることにより、軸受スペーサ20の第二延長部20cと、第二予圧子208のバネ支持部208aとの間にアキシャル隙間401-2が形成される。バネ抑え部208bは、第二予圧バネ16よりも内側に位置し、回転時に第二予圧バネ16が径方向に振動する際の揺れ幅を規制する。
アキシャル隙間401-1、401-2の隙間幅は、軸受スペーサ20の長さにより調整するが、軸受スペーサ20の回転軸方向の長さは、軸受スペーサ20が熱膨張した場合にも、アキシャル隙間401-1、401-2が確保される寸法で形成されている。しかしながら、アキシャル隙間401-1、401-2が大きすぎると、軸受ユニット10が不安定動作をする。よって、隙間幅は、数〜数10μm程度が望ましい。
前述の通り、第一軸受13及び第二軸受17は高温環境化において使用されるため、予圧を付与するための第一予圧バネ14及び第二予圧バネ16にも高温への耐性が必要となる。特に高温環境下でバネの弾性係数低下(へたり)などが発生すると振動、騒音の増加のみでなく、潤滑性能自体の低下を招く。このため、JIS B 2704に規定されたバネの疲れ強さのデータを基に、バネ材料には使用温度帯で100kgf/mm2程度の引張強度を有する材料が最適である。このようなバネ材料としては、例えばインコロイ、インコネル、ハステロイなどがある。
尚、予圧バネは1個のバネで構成するするとは限らず、細い線形のコイルバネを用いた大径コイルバネ及び小径コイルバネを形成し、大径コイルバネ内に小径コイルバネを内包して2重にコイルバネを設置することで、予圧構造構成部品の設置場所を小さくすることも可能である。特に、本実施形態のように、X線管装置の回転陽極内部に予圧バネを設置する場合には、周囲電界への配慮から予圧バネの設置スペースが制限されることもあり有効である。また、バネの長さ方向が制限される場合には、ウェーブバネを採用してもよい。
本実施形態の作用効果について、比較例を用いて説明する。
まず、第一の比較例として、予圧無しかつアキシャル隙間がない軸受の挙動について図11を用いて説明する。図11は、予圧無しかつアキシャル隙間がない軸受ユニットの軸方向断面の説明図であって、陽極回転軸7が位置する方向を重力方向下側に向けて、回転軸方向を重力方向と平行にした状態の回転中心軸から外縁までを示す。
図11の軸受ユニット85は、第一内輪部205、第一外輪203、第一ボール18、第二内輪部206、第二外輪204、第二ボール19、及び軸受スペーサ83を含む。軸受スペーサ83は軸箱9の軸箱固定位置11に固定される。軸受スペーサ83と第一外輪203及び第二外輪204とは接触させ、軸受スペーサ83が第二外輪204及び第二ボール19を介し回転体の荷重を支持する。
図11の軸受ユニット85では、第一内輪部205、第一外輪203、第一ボール18、第二内輪部206、第二外輪204、第二ボール19、及び軸受スペーサ83は常に接触状態にあることから、この状態で回転させた場合には磨耗量が多く、短寿命となる可能性があるという問題がある。
次に、第二の比較例として、摩耗量をより少なくするために外輪と軸受スペーサとの間にアキシャル隙間を与え、予圧は付与しない軸受ユニットの挙動について、図12、図13を用いて説明する。図12は、予圧無しかつアキシャル隙間がある軸受ユニットの軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す)である。図13は、予圧無しかつアキシャル隙間がある軸受ユニットの挙動を示す説明図であって、(a)は、アキシャル方向(回転軸方向)荷重が印加され、第一外輪203が落下した状態を示し、(b)は、アキシャル方向荷重が印加されたが、第一外輪203が落下できない状態を示す。
図12の軸受ユニット86は、第一内輪部205、第一外輪203、第一ボール18、第二内輪部206、第二外輪204、第二ボール19、及び軸受スペーサ84を含む。軸受スペーサ84は軸箱9の軸箱固定位置11に固定される。軸受スペーサ84の回転軸方向寸法を第一比較例よりも短くすることで、軸受スペーサ84と第一外輪203との間にアキシャル隙間89-1、軸受スペーサ84と第二外輪204との間にアキシャル隙間89-2を形成したものである。
回転軸方向が水平方向と一致した状態では、アキシャル方向(回転軸方向)荷重が印加されず軸受が中立位置にある。このとき、図12に示すように、第一内輪部205、第一ボール18、及び第一外輪203が接触し、第二内輪部206、第二ボール19、及び第二外輪204が接触し、軸受スペーサ84と第一外輪203及び第二外輪204とのそれぞれの間に、アキシャル隙間89-1、89-2が形成される。
回転軸方向が水平方向と一致しない場合、軸受ユニット86にアキシャル方向荷重が印加される。このときの軸受ユニット86の構成部品の状態を説明する。なお、図13では、アキシャル方向が重力方向と一致する場合、すなわち、重力方向上側に位置する軸受にかかるアキシャル方向荷重が最大となる場合を例に描出している。
図13の(a)に示すように、陽極回転軸8の円柱部8bが重力方向に沿って落下(移動)し、これと一体化した第二内輪部206が第二ボール19に接触し(図13の丸1)、第二ボール19が第二外輪204に押し付けられ(図13の丸2)、第二外輪204は軸箱9に固定された軸受スペーサ84に接触し、軸受スペーサ84によって支持される(図13の丸3)。
一方、第一外輪203は自重により重力方向に落下(移動)して第一ボール18と接触し、第一外輪203は自重相当の荷重を第一ボール18に付加し(図13丸4)、第一ボール18は、第一外輪204及び第一ボール18の重量相当の力で第一内輪部205に押しつけられる(図13の丸5)。このときアキシャル隙間89-2は軸受スペーサ84と第二外輪204とが接触することで隙間幅=0となり、アキシャル隙間89-1は第一外輪203の落下により隙間幅が、図12の状態(回転軸方向が水平方向と一致するときの状態)よりも広くなる。回転体の全荷重は、第二内輪部206、第二ボール19、第二外輪204を介して軸受スペーサ84が支持することとなる。
しかし、図13の(b)に示すように、第一外輪203が軸箱9の内壁面との摩擦により落下しなかった場合(図13の丸4’)、アキシャル隙間89-1は図12の状態の隙間幅と同じであり、第一ボール18と第一外輪203とが非接触となり、第一ボール18を抑制するものが無くなるため、自由に動き回れる状態となる。
前述の如く、固体潤滑軸受では潤滑材が付着する範囲は内輪及び外輪の軸受曲面のうち、ボールが接触する接触範囲(ボール転走面)に限られるため、実使用時に図13の(b)に示すように、ボールが自由に動き回れる状態になると、ボールが内輪及び外輪の固体潤滑材が無い軸受曲面と接触する可能性があり、これらの軸受曲面が磨耗する可能性があるという問題がある。
第三の比較例として、回転軸方向に並んだ二つの軸受の一方にのみ、アキシャル隙間と予圧構造を設けた例を挙げて説明する。アキシャル隙間及び予圧構造は、回転軸方向が重力方向と一致し、軸受にアキシャル方向荷重が印加された場合において、重力方向に沿って上側に位置する軸受に設ける。以下、図14を用いて第三の比較例について説明する。
図14は、重力方向に沿って上側に位置する軸受のみに予圧構造及びアキシャル隙間を備えた軸受ユニットの挙動を示す説明図である。
図14に示す軸受ユニット87は、第二外輪204と軸受スペーサ88との間に、予圧バネ90及び予圧子91を備える。また、軸受スペーサ88の軸方向の寸法は、第二外輪204との間にアキシャル隙間92が形成され、第一外輪203と軸受スペーサ88とは接触する寸法に形成する。軸受スペーサ88は、軸箱9の軸箱固定位置11に固定される。
この軸受ユニット87にアキシャル方向荷重が加わると、第二内輪部206は第二ボール19に接触し、回転体の全荷重が第二ボール19に加わる(図14の丸1)。第二ボール19と第二外輪204とは接触し、回転体の全荷重と第二ボール19の重量が第二ボール19から第二外輪204へ伝わる(図14の丸2)。第二外輪204は、予圧子91を経由して予圧バネ90により支持される(図14の丸3)。
一方、第一外輪203は第一ボール18と接触し、第一外輪203の重量が第一ボール18に加わる(図14の丸4)。第一ボール18は第一内輪部205にも接触し、第一外輪203及び第一ボール18の重量が、第一内輪部205に加わる(図14の丸5)。予圧バネ90のバネ力が、回転体の全荷重よりも、第一ボール18、第二ボール19、第一外輪203、及び第二外輪204の重量分だけより大きな力を付与するならば、第一外輪203、第一ボール18は、陽極回転軸8の円柱部8b、第二ボール19、及び第二外輪204を経由して予圧バネ90により重力方向に沿って上側(図14の紙面上において上方)に引き上げられる。
これらの力の釣り合いにより第一内輪部205、第一ボール18、第一外輪203、第二内輪部206、第二ボール19、第二外輪204は常に接触した状態に保たれ、第一比較例に示したアキシャル隙間=0の状態とは異なり、予圧バネ90が軸受構成部品の熱膨脹、振動による変位を吸収するため、潤滑性能に悪影響を及ぼすことは無い。
更に第二比較例に示したアキシャル隙間があり、かつ予圧が無い構造のように、荷重側に位置する軸受のボールが自由に動き回れることがない。
しかし、第三比較例の場合は、軸方向下側に位置するボールと転送面の接触を保つには、予圧バネのバネ力は印加される荷重より十分に大きい必要が有る。このようなバネ力は陽極回転軸8の回転中心軸が水平方向と一致し、アキシャル方向(軸方向)への荷重がほぼ0の状態であっても、第一内輪部205、第二内輪部206、第一外輪203、及び第二外輪204に負担をかける事となる。これに対し、本実施形態に係る軸受ユニットの予圧構造では、第三比較例に比べて予圧量が小さくでき、第一内輪部205、第二内輪部206、第一外輪203、及び第二外輪204にかかる負担を軽減することができる。その詳細について以下に説明する。
本実施形態の軸受ユニット10の、アキシャル方向荷重がかかっていないときの挙動と、アキシャル方向荷重がかかっているときの挙動とについて、図15及び図16を用いて説明する。図15は、本実施形態に係る軸受ユニット10にアキシャル方向荷重が印加されていないときの挙動を示す説明図である。図16は、本実施形態に係る軸受ユニット10にアキシャル方向荷重が印加されたときの挙動を示す説明図である。
アキシャル方向荷重が0の場合、すなわち、回転軸方向が水平方向と一致する場合、図15に示すように、第二予圧バネ16は、第二予圧子208を経由して第二外輪204を押す(図15の丸1)。これにより第二外輪204が第二ボール19に接触し(図15の丸2)、第二ボール19が第二内輪部206に接触し(図15の丸3)、第二軸受17の構成部品が、一定の位置で接触した状態が保たれる。第一予圧バネ14は、第一予圧子207を経由して第一外輪203を押し(図15の丸4)、これにより第一外輪203が第一ボール18に接触し(図15の丸5)、第一ボール18が第一内輪部205に接触し(図15の丸6)、第一軸受13の構成部品が、一定の位置で接触した状態が保たれる。
回転陽極が傾いて回転軸方向が水平方向と一致しなくなり、第二軸受17にアキシャル方向(矢印Ax方向)の荷重がかかっている場合、図16に示すように、陽極回転軸8と一体化した第二内輪部206が荷重方向に引かれ、これにより第二ボール19が下方に押し付けられる(図16の丸1)。下方に押し付けられた第二ボール19により第二外輪204が押しつけられ(図16の丸2)、第二外輪204が第二予圧子208を押し下げる(図16の丸3)。このとき、第二予圧バネ16が収縮して第二予圧子208が押し下げられ、第二予圧子208が軸受スペーサ20の第二延長部20cに接触し、アキシャル隙間401-2は隙間幅=0となる。
これに対して、第一軸受13では、第一予圧バネ14が第一予圧子207を荷重方向(図16における下方向)に押し下げ、第一予圧子207が第一外輪203に押しつけられる(図16の丸4)。そして、第一外輪203が第一ボール18を押し下げ(図16における丸5)、第一ボール18が第一内輪部205に接触した状態(図16の丸6)となる。このとき、アキシャル隙間401-1は、第一予圧バネ14、第一予圧子207、及び第一外輪203の落下幅相当分、図15のアキシャル隙間401-1の隙間幅に比べて広くなる。上記により、第一軸受13の構成部品の位置関係は、図15のアキシャル方向荷重が印加されていない場合と同様に、第一軸受13において第一ボール18が第一内輪部205の転送面及び第一外輪203の転送面上を転走する状態を保つことができる。
本実施形態によれば、アキシャル方向荷重の印加の有無に関わらず、第一軸受13及び第二軸受17を定位置に留め置くことできる。これにより、第一ボール18及び第二ボール19が、固定潤滑材が付与された転送面を転がり、第一軸受13及び第二軸受17の回転性能を維持させることができる。さらに、上記予圧構造は、第一予圧バネ14及び第二予圧バネ16のバネ力を用いて予圧を付与するので、熱を用いた予圧構造に見られる、伝熱遅延に伴う予圧不足といった現象が起こることがない。
また、本実施形態によれば、第一軸受13及び第二軸受17のそれぞれに対するバネ力は、第一軸受13及び第二軸受17のそれぞれにかかる回転体荷重よりも小さくてよい。
そのため、初期なじみ運転時にボール位置にある程度の遊びを許容しつつ、最終的になじみ運転が完了した後にはボール位置を安定させて運転させることができる。また、回転体荷重に制限されること無く、バネ荷重を小さい範囲で調整可能とすることで、軸受の潤滑性能を向上させることが可能となる。
更に、陽極回転軸8は、第一外輪203及び第二外輪204と比較して高温となるため、陽極回転軸8に別部品の内輪用部材を固定した場合には熱膨張により陽極回転軸8と内輪用部材が緩むことが懸念されるが、本実施形態によれば、陽極回転軸8に第一内輪部205、第二内輪部206を一体化させて形成することで、上記懸念を払拭することが可能となる。
<第二実施形態>
第二実施形態は、外輪が回転して陽極ターゲットを回転させる管球構造である。以下、図17乃至図21に基づいて第二実施形態について説明する。図17は、第二実施形態に係るX線管球の概略構成を示す軸方向断面図である。図18は、回転陽極の概略構成を示す軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す)である。図19は、第二実施形態に係る予圧構造軸受を採用した軸受ユニット10の軸方向断面図(但し回転中心軸から外縁までを示す)である。図20は、第二実施形態に係る軸受ユニットにアキシャル方向荷重が印加されていないときの軸受ユニットの挙動を示す説明図である。図21は、第二実施形態に係る軸受ユニットにアキシャル方向荷重が印加されているときの軸受ユニットの挙動を示す説明図である。なお、図17から図21を通じて、第一実施形態同様の構成については同一符号を付して重複した説明を省略する。
図17に示す第二実施形態に係るX線管球は、陰極2、及び回転陽極6’外囲器1に内包して構成される。回転陽極6’は、陽極ターゲット7、ロータ12、軸箱9’、軸受ユニット10’、断熱部202’、及び固定軸502を有する。軸箱9’の内部には、軸箱9’を回転可能に支持する軸受ユニット10’と、X線管球の陽極側支持体に固定される円柱状部位を有し、軸受ユニット10’を介して軸箱9’を支持する固定軸502と、を有する。すなわち、固定軸502が固定体を形成する。
一方、断熱部202’はロータ12と軸箱9’とを接続し、陽極ターゲット7、ロータ12、断熱部202’及び軸箱9’が回転する構造となっている。すなわち、陽極ターゲット7、ロータ12、断熱部202’及び軸箱9’が回転体を形成し、軸受ユニット10’を介して固定軸502に回転可能に支持される。
図18に示すように軸受ユニット10’は、第一軸受13’と第二軸受17’とが軸箱固定位置11を挟んで両側に配置される。第一軸受13’は、固定軸502とは別体に構成された第一内輪205’と、第一ボール18と、第一外輪203とを備える。同様に、第二軸受17’は、固定軸502とは別体に構成された第二内輪206’と、第二ボール19と、第二外輪204とを備える。
軸箱9’の内部には、第一軸受13’、第二軸受17’、内径側スペーサ504、外径側スペーサ503、第一予圧バネ14、第二予圧バネ16が備えられる。
外径側スペーサ503は、第一外輪203と第二外輪204との間、かつ軸箱9’の軸箱固定位置11において固定部材、例えばネジにより締結する。第一外輪203及び第二外輪204の間に外径側スペーサ503を配置することで、第一外輪203と第二外輪204とが一定間隔に保持して配列されている。また、第一外輪203の陽極ターゲット7側の端部は、軸受押えネジ501により軸箱9’に固定される。
内径側スペーサ504は、第一内輪205’と第二内輪206’との間、かつ固定軸502の外表面に固定される。また、軸箱9’の陽極ターゲット7とは反対側の端部は、他の領域よりも内径を小さくした突起部9dを形成する。そして、第二外輪204の一端は、突起部9dに当接し、他端部を外径側スペーサ503に当接させることで、第二外輪204の位置を保持する。図19に示すように、内径側スペーサ504は、固定部材、例えば内径側スペーサ固定ネジ505により、固定軸502における第一内輪205’と第二内輪206’との中間位置に締結される。
第一内輪205’と内径側スペーサ504との間には第一予圧バネ14及び第一予圧子207が配置される。第一予圧バネ14の一端部は内径側スペーサ504に当接し、他端部は第一予圧子207に当接する。
第二内輪206’と内径側スペーサ504との間には第二予圧バネ16及び第二予圧子208が配置される。第二予圧バネ16の一端部は内径側スペーサ504に当接し、他端部は第二予圧子208に当接する。
第一予圧バネ14及び第一予圧子207が第一軸受13’に予圧を付与し、第二予圧バネ16及び第二予圧子208が第二軸受17’に予圧を付与することで、各々の軸受にそれぞれ予圧が付与される。
軸箱9’にアキシャル方向荷重が掛かっていない状態を図20に、荷重が掛かっている状態を図21に示す。
図20に示すように、荷重が0の場合、第二軸受17’の第二内輪206’は、第二予圧子208を経由して第二予圧バネ16により押し上げられ(図20の丸1)、これにより第二内輪206’が第二ボール19に接触し(図20の丸2)、第二ボール19が第二外輪204に接触し(図20の丸3))、第二軸受17の構成部品が、一定の位置で接触した状態が保たれる。このとき、内径側スペーサ504と第二予圧子208との間にはアキシャル隙間401-2’が形成される。
一方、第一予圧バネ14は第一予圧子207を経由して第一内輪205’を押下げ(図20の丸4)、これにより第一内輪205’が第一ボール18に接触し(図20の丸5)、第一ボール18が第一外輪203に接触し(図20の丸6)、第一軸受13’の構成部品が、一定の位置で接触した状態が保たれる。このとき、内径側スペーサ504と第一予圧子207との間にはアキシャル隙間401-1’が形成される。
この状態から図21の矢印Ax方向にアキシャル方向荷重が印加された状態では、軸箱9’が荷重方向に移動し、軸箱9’とともに第二外輪204が荷重方向へ移動する。これにより第二ボール19が押し下げられ(図21の丸1)、更に第二ボール19が第二内輪206’を押下げることとなる(図21の丸2)が、第二予圧バネ16が収縮することにより、第二内輪206’は、第二予圧子208、第二予圧バネ16を介して内径側スペーサ504により支持される(図21の丸3)。このとき、アキシャル隙間401-2’は、第二予圧子208と内径側スペーサ504とが接触することによりアキシャル隙間幅が0となる。
一方、第一軸受13’においては、軸箱9’が荷重方向に移動するが、第一予圧バネ14により第一予圧子207を荷重方向(図21における下方向)に押し下げ、第一予圧子207が第一内輪205に押しつけられる(図21の丸4)。そして、第一内輪205’が第一ボール18を押し下げ(図21における丸5)、第一ボール18が第一外輪203に接触した状態(図21の丸6)が保たれる。これにより、第一軸受13’の構成部品の位置関係は、図20の荷重が印加されていない場合と同様に、第一軸受13’において第一ボール18が第一内輪205’の転送面及び第一外輪203の転送面上を転走する状態を保つことができる。このとき、第一予圧バネ14は伸張して第一予圧子207が押し下げられるので、アキシャル隙間401-1’は図20の状態に比べて隙間幅が広くなる。
以上のように、本実施形態によれば、荷重の有無に関わらず、第一内輪205’、第二内輪206’、第一ボール18、第二ボール19、第一外輪203、第二外輪204の接触状態を一定に保つことが可能となり、安定した軸受回転を実現することが可能となる。
なお、本実施形態では、軸箱9’の内側に直接軸受レース面を加工することが困難である。このため、軸箱9’と第一外輪203及び第二外輪204、外径側スペーサ503及び軸受押えネジ501を組み立てることで軸受ユニット10’の回転体部分を構成している。この場合、熱膨張による部品間に熱応力が発生しないように全ての部品を同一材質に揃えることが望ましい。但し、この構造でも組立時の隙間などが発生するため、第一実施形態で既に述べた陽極回転軸が回転する構造の方が、陽極回転軸に直接軸受内輪を加工することが可能であるという利点がある。また上記実施形態では、二つの軸受を有する軸受を例に挙げたが、軸受は、回転軸方向に沿って三つ以上備え、各軸受に対し、各軸受にかかるアキシャル方向荷重の最大値よりも小さい予圧量を付与する予圧構造を備えてもよい。
<第三実施形態>
上記各実施形態に係る回転陽極型X線管球を、X線撮影装置に用いてもよい。X線撮影装置の一例として、本実施形態ではX線CT装置を例に挙げて説明をするが、透視及び撮影を行えるX線透視撮影装置や、移動型又は天井などに固定してX線画像を撮影するX線撮影装置など、X線を用いて被検体を撮像するX線撮影装置であれば、上記実施形態に係る回転陽極型X線管球を適用できる。図22は、上記実施形態に係る回転陽極型X線管球を用いたX線CT装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
図22のX線CT装置600はスキャンガントリ部611と操作卓620とを備える。
スキャンガントリ部611は、上記実施形態に係る回転陽極型X線管装置601と、回転円盤602と、コリメータユニット603と、X線検出器606と、データ収集装置607と、寝台605と、ガントリ制御装置608と、寝台制御装置609と、X線制御装置610とを備えている。
X線制御装置610は、回転陽極型X線管装置601に高電圧を印加するなど、X線発生に必要な制御を行う。コリメータユニット603は回転陽極型X線管装置601から照射されるX線の照射範囲を制限する機構や、X線の線量分布を調整するX線補償物を備えている。
回転円盤602は、寝台605上に載置された被検体が入る開口部604を備えるとともに、回転陽極型X線管装置601とX線検出器606を搭載し、被検体の周囲を回転するものである。
X線検出器606は、回転陽極型X線管装置601と対向配置され、被検体を透過したX線を検出することにより透過X線の空間的な分布を計測する装置であり、多数のX線検出素子を回転円盤602の回転方向に配列したもの、若しくは回転円盤602の回転方向(チャネル方向)と回転軸方向(スライス方向)との2次元に配列したものである。各X線検出素子は、被検体を透過したX線を検出し、その透過X線量に応じたアナログデータを出力する。
データ収集装置607は、X線検出器606から出力されたアナログデータをデジタルデータに変換して収集する装置である。
ガントリ制御装置608は、回転円盤602の回転を制御する装置である。寝台制御装置609は、寝台605の上下前後動を制御する装置である。
操作卓620は、入力装置621と、画像演算装置622と、表示装置625と、記憶装置623と、システム制御装置624と、を備えている。
入力装置621は、被検体氏名、検査日時、撮影条件などを入力するための装置であり、具体的にはキーボードやポインティングデバイスである。画像演算装置622は、データ収集装置607から送出されるデジタルデータを計測データとして用い、これを基に再構成演算処理を行ってCT画像を生成する装置である。表示装置625は、画像演算装置622で再構成されたCT画像を表示する装置であり、具体的にはCRT(Cathode-Ray Tube)や液晶ディスプレイ等である。記憶装置623は、データ収集装置607で収集した計測データ及び画像演算装置622で作成されたCT画像の画像データを記憶する装置であり、具体的にはHDD(Hard Disk Drive)等である。システム制御装置624は、これらの装置及びガントリ制御装置608と寝台制御装置609とX線制御装置610とを制御する装置である。
入力装置621から入力された撮影条件、特にX線管電圧やX線管電流などに基づきX線制御装置610が回転陽極型X線管装置601に入力される電力を制御することにより、回転陽極型X線管装置601は、撮影条件に応じたX線を被検体に照射する。X線検出器606は、回転陽極型X線管装置601から照射され、被検体を透過したX線を多数のX線検出素子で検出し、透過X線の分布を計測する。回転円盤602は、ガントリ制御装置608により制御され、入力装置621から入力された撮影条件、特に回転速度などに基づいて回転する。回転円盤602の回転に伴って、回転陽極型X線管装置601内の回転陽極6の回転軸方向が鉛直方向(重力方向)から水平方向及び反鉛直方向(反重力方向)まで変化する。寝台605は、寝台制御装置609によって制御され、入力装置621から入力された撮影条件、特にらせんピッチなどに基づいて動作する。
1 外囲器、2 陰極、2a 集束電極、2b ホルダ、2c ステム、3 電子、4 X線、5 焦点(電子衝突範囲)、6 回転陽極(組立体)、7 陽極ターゲット、7a 円盤体、7b 円筒部、7c 傾斜面部、7d ターゲット固定孔、8 陽極回転軸、8a フランジ部、8b 円柱部、9 軸箱、9’ 軸箱、9a 円筒部、9a1 開口部、9a2 底部、9a3 中空部、9b 固定端部、9c リング部、9d 突起部、10 軸受ユニット、10’ 軸受ユニット、11 軸箱固定位置、11b スペーサ固定位置、11c ねじ、12 ロータ、12a 細径部、12a1 締結部、12b 大径部、12b1 中空部、12c 接続部、12c1 中空部、12c2 円筒部、12c3 面部、、13 第一軸受、13’ 第一軸受、14 第一予圧バネ、16 第二予圧バネ、17 第二軸受、17’ 第二軸受、18 第一ボール、19 第二ボール、20 軸受スペーサ、20a 固定部、20b 第一延長部、20c 第二延長部、21 ステータコイル、83、84、88 軸受スペーサ、85、86、87 軸受ユニット、89-1、89-2、92 アキシャル隙間、90 予圧バネ、91 予圧子、101 X線管球、102 管容器、103 陽極支持体、104 陽極固定ネジ、105 管容器放射窓、106 陰極支持体、107 高電圧ソケット(−側)、108 高電圧ソケット(+側)、109 絶縁油、110 管球放射窓、117 磁性部、201 ナット、202 断熱部、202’ 断熱部、203 第一外輪、203a 予圧子当接部、203b レース面部、204 第二外輪、204a 予圧子当接部、204b レース面部、205 第一内輪部、205’ 第一内輪、206 第二内輪部、206’ 第二内輪、207 第一予圧子、207a バネ支持部、207b バネ抑え部、208 第二予圧子、208a バネ支持部、208b バネ抑え部、304 外輪レース面(軸受曲面)、305 外輪転送面(レース面内のボール接触範囲)、306 内輪レース面(軸受曲面)、307 内輪転送面(レース面内のボール接触範囲)、401-1 アキシャル隙間、401-1’ アキシャル隙間、401-2 アキシャル隙間、401-2’ アキシャル隙間、501 軸受押えネジ、502 固定軸、503 外径側スペーサ、504 内径側スペーサ、505 内径側スペーサ固定ネジ、600 X線CT装置、601 回転陽極型X線管装置、602 回転円盤、603 コリメータユニット、604 開口部、605 寝台、606 X線検出器、607 データ収集装置固定軸、608 ガントリ制御装置、609 寝台制御装置、610 X線制御装置、611 軸受押えネジ、620 操作卓、621 入力装置、622 画像演算装置、623 記憶装置、624 システム制御装置、625 表示装置

Claims (9)

  1. 電子線を発生する陰極と、
    前記電子線が衝突してX線を発生する陽極ターゲットを含む回転陽極と、
    を備えた回転陽極型X線管装置であって、
    前記回転陽極は、前記陽極ターゲットとともに回転する回転体と、前記回転体の回転を潤滑にするための軸受ユニットと、前記回転体を、前記軸受ユニットを介して回転可能に支持する固定体と、を備え、
    前記軸受ユニットは、前記回転体の軸方向に沿って配置された複数の軸受と、各軸受に対して一つずつ設けられた予圧構造と、を含み、
    前記予圧構造のそれぞれは、前記軸受のそれぞれに対し、前記回転体の回転軸方向が重力方向と一致した状態において、前記回転体から前記軸受に印加される荷重よりも小さい予圧量を前記軸受に付与し、
    前記軸受のそれぞれは、転動体となるボールと、当該ボールの接触面を含む軸受曲面を有する内輪と、前記ボールを挟んで前記内輪とは反対側に位置し、前記ボールとの接触面を有する外輪と、を備え、
    前記予圧構造は、予圧を生じさせる予圧バネと、前記予圧バネ及び前記軸受の間に配置される予圧子と、を備え、前記予圧バネは、前記予圧子を介して前記軸受に対し予圧を付与し、
    前記軸受ユニットは、隣合う二つの前記軸受の間に配置された軸受スペーサを更に備え、当該軸受スペーサは前記固定体に固定され、前記予圧バネの一端部は前記軸受スペーサにより支持され、他端部は前記予圧子に当接し、
    前記軸受スペーサと前記予圧子との間に、前記回転軸方向に沿ったアキシャル隙間を形成し、
    前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が重力方向と一致する向きになった状態において、前記重力方向に沿って上側に位置する前記軸受に対する前記予圧構造に含まれる前記予圧子は、前記軸受スペーサに接触して前記アキシャル隙間の隙間幅が0となり、
    前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が水平方向と一致する向きになった状態において、それぞれの前記軸受に対する前記予圧構造に含まれる前記予圧子と前記軸受スペーサとの間に、前記アキシャル隙間が形成される、
    ことを特徴とする回転陽極型X線管装置。
  2. 前記回転陽極は、前記陽極ターゲットに接続される陽極回転軸と、前記陽極回転軸及び前記軸受ユニットを収容する軸箱と、を更に備え、
    前記回転体は、前記陽極ターゲット及び前記陽極回転軸を含み、
    前記固定体は、前記軸箱を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管装置。
  3. 前記軸受スペーサは、前記軸箱の内壁面に固定されるとともに隣り合う軸受に含まれる二つの外輪の間に配置され、
    前記予圧子は、それぞれの前記軸受の前記外輪と前記軸受スペーサとの間に配置され、
    前記予圧バネは、一端部が前記軸受スペーサに当接し、他端部がそれぞれの前記予圧子に当接し、
    前記軸受スペーサとそれぞれの前記予圧子との間には、前記アキシャル隙間が形成される、
    ことを特徴とする請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
  4. それぞれの前記軸受の前記内輪は、前記陽極回転軸と一体的に形成される、
    ことを特徴とする請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
  5. 前記回転陽極は、前記陽極ターゲットに接続される軸箱と、前記軸受ユニットを介して前記軸箱を回転自在に支持する固定軸と、を更に備え、
    前記軸箱は、前記軸受ユニット及び前記固定軸を収容し、
    前記回転体は、前記陽極ターゲット及び前記軸箱を含み、
    前記固定体は、前記固定軸を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管装置。
  6. 前記軸受ユニットは、前記固定軸の径方向に沿って相対的に外側に、かつ隣り合う前記軸受の前記外輪の間に配置される外径側スペーサと、前記固定軸の径方向に沿って相対的に内側に、かつ前記隣り合う軸受の前記内輪の間に配置される内径側スペーサと、を含み、
    前記外径側スペーサは、前記軸箱の内壁面に固定されるとともに、前記隣り合う軸受に含まれる二つの前記外輪に当接し、
    前記内径側スペーサは、前記固定軸の外表面に固定され、
    前記予圧子は、それぞれの前記軸受の前記内輪と前記内径側スペーサとの間に配置され、
    前記予圧バネは、一端部が前記内径側スペーサに当接し、他端部がそれぞれの前記予圧子に当接し、
    前記内径側スペーサとそれぞれの前記予圧子との間には、前記アキシャル隙間が形成される、
    ことを特徴とする請求項5に記載の回転陽極型X線管装置。
  7. 電子線を発生する陰極と、
    前記電子線が衝突してX線を発生する陽極ターゲットを含む回転陽極と、
    を備えた回転陽極型X線管装置であって、
    前記回転陽極は、前記陽極ターゲットとともに回転する回転体と、前記回転体の回転を潤滑にするための軸受ユニットと、前記回転体を、前記軸受ユニットを介して回転可能に支持する固定体と、を備え、
    前記軸受ユニットは、前記回転体の回転軸方向に沿って配置された複数の軸受と、それぞれの前記軸受に対して一つずつ設けられた予圧構造と、隣り合う前記複数の軸受の間に配置される軸受スペーサと、を含み、
    前記軸受のそれぞれは、転動体となるボールと、当該ボールの接触面を含む軸受曲面を有する内輪と、前記ボールを挟んで前記内輪とは反対側に位置し、前記ボールとの接触面を含む軸受曲面を有する外輪と、を備え、
    前記予圧構造のそれぞれは、予圧を生じさせる予圧バネと、前記予圧バネと前記軸受との間に配置されるスペーサからなる予圧子と、を含み、
    前記軸受スペーサは前記固定体に固定され、前記予圧バネの一端部は前記軸受スペーサにより支持され、他端部は前記予圧子に当接し、
    前記軸受スペーサと前記予圧子との間に前記回転軸方向に沿ったアキシャル隙間を形成し、前記軸受スペーサの前記回転軸方向の長さは、前記陽極ターゲットから生じる熱により前記軸受スペーサが熱膨張をした場合においても前記アキシャル隙間が確保される寸法で形成され、
    前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が重力方向と一致する向きになった状態において、前記重力方向に沿って上側に位置する前記軸受に対する前記予圧構造に含まれる前記予圧子は、前記軸受スペーサに接触して前記アキシャル隙間の隙間幅が0となり、前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が水平方向と一致する向きになった状態において、それぞれの前記軸受に対する前記予圧構造に含まれる前記予圧子と前記軸受スペーサとの間に、前記アキシャル隙間が形成される、
    ことを特徴とする回転陽極型X線管装置。
  8. 電子線を発生する陰極と、
    前記電子線が衝突してX線を発生する陽極ターゲットを含む回転陽極と、
    を備えた回転陽極型X線管装置であって、
    前記回転陽極は、前記陽極ターゲットとともに回転する回転体と、前記回転体の回転を潤滑にするための軸受ユニットと、前記回転体を、前記軸受ユニットを介して回転可能に支持する固定体と、を備え、
    前記軸受ユニットは、前記回転体の回転軸方向軸方向に沿って配置された複数の軸受と、それぞれの前記軸受に対して一つずつ設けられた予圧構造と、隣り合う前記複数の軸受の間に配置される軸受スペーサと、を含み、
    前記予圧構造のそれぞれは、予圧を生じさせる予圧バネと、前記予圧バネと前記軸受との間に配置されるスペーサからなる予圧子と、を含み、
    前記軸受スペーサは前記固定体に固定され、前記予圧バネの一端部は前記軸受スペーサにより支持され、他端部は前記予圧子に当接し、
    前記軸受スペーサと前記予圧子との間に前記回転軸方向に沿ったアキシャル隙間を形成し、
    前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が重力方向と一致する向きになった状態において、前記重力方向に沿って上側に位置する前記軸受に対する前記予圧構造に含まれる前記予圧子は、前記軸受スペーサに接触して前記アキシャル隙間の隙間幅が0となり、
    前記回転陽極の姿勢が、前記回転軸方向が水平方向と一致する向きになった状態において、それぞれの前記軸受に対する前記予圧構造に含まれる前記予圧子と前記軸受スペーサとの間に、前記アキシャル隙間が形成される、
    ことを特徴とする回転陽極型X線管装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回転陽極型X線管装置と、
    前記回転陽極型X線管装置に高電圧を印加するX線制御装置と、
    を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
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