JP3171502B2 - X線診断装置及びx線管装置並びにx線ct装置 - Google Patents

X線診断装置及びx線管装置並びにx線ct装置

Info

Publication number
JP3171502B2
JP3171502B2 JP34595892A JP34595892A JP3171502B2 JP 3171502 B2 JP3171502 B2 JP 3171502B2 JP 34595892 A JP34595892 A JP 34595892A JP 34595892 A JP34595892 A JP 34595892A JP 3171502 B2 JP3171502 B2 JP 3171502B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ray
ray tube
layer
metal
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34595892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06196113A (ja
Inventor
馬場  昇
政男 清水
充夫 近崎
慶享 児島
稔 木津谷
元達 土肥
一弘 広瀬
敏夫 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd, Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP34595892A priority Critical patent/JP3171502B2/ja
Publication of JPH06196113A publication Critical patent/JPH06196113A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3171502B2 publication Critical patent/JP3171502B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • X-Ray Techniques (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なX線診断装置及
X線管装置並びにX線CT装置にかかわり、特にX線
管の改良により大容量でもクイックスタートに好適な長
寿命のX線管球であり、タイムリでかつ多頻度使用に最
適なX線診断装置及びX線管装置並びにX線CT装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】X線診断装置の1つであるX線CT(Co
mputed Tomography)装置は患者に曝射して透過したX線
を検出器で検出し、得た情報をコンピュータで画像処理
する。ここでX線を発生するキー・コンポーネントはX
線管である。X線管はX線放射窓を有するハウベ内にX
線管球とその周囲の空間を満たす冷却媒体(通常は絶縁
油を循環して冷却する)とを有し、前記X線管球内に電
子線を放出する陰極と電子線の照射を受けてX線を放射
するX線ターゲットと該X線ターゲットの回転機構を有
する。X線管の入力は電圧100〜140kV,電流1
00〜600mAであり、陰極から放出された電子線の
エネルギーがX線ターゲット表面で熱に変換されるた
め、X線ターゲットは3000〜10,000rpm の回転を与えて
熱の拡散を図る。なお、X線管球は耐電圧の点で10-6
〜10-7Torrの真空管である。
【0003】近年、X線CT装置の普及に伴い要求され
る特性はスキャン時間を短縮すること及び高精細な画像
を得ることである。前者は、X線の線状ビームを広角扇
状ビームとし、検出器を数個から500個程度まで増や
すことでスキャン時間が5分から2〜5秒程度まで短縮
された。スキャン時間が長いと患者の体動で偽像が出現
するためである。また、急救患者等を多数診断する場合
にはスループット処理能力を向上せねばならない。一方
後者は、X線の焦点を1mm以下に小さくし、かつX線の
エネルギーを大きくして形状を知る空間分解及びX線の
吸収差で濃淡をより明確にする密度分解能を向上せねば
ならない。
【0004】従って、X線管は小焦点で短時間に多数の
X線を発生するための大熱容量化が必要である。さら
に、循環器用の診断システムにおいては、造影剤及びカ
テーテル等を用いた血流や臓器の動きに対してタイムリ
ーに撮影・診断するためのX線管のクイックスタート化
が求められている。
【0005】X線管の大熱容量化のためには、陰極から
の電子線の照射を受けるX線ターゲットの体積を大きく
すればよいが、従来から用いられている金属製(W−R
e/Mo)や金属製の裏面に黒鉛を接合した金属が主体
のX線ターゲットでは重量が重い。軽量の黒鉛基板のX
線ターゲットとしては特公昭47―8263号公報、X
線管として特開昭63―228553号公報がある。
一方、金属外囲器のX線管は特開昭62―64032号
公報がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】X線管に要求される性
能は、大容量化(1MHU以上),長寿命化(100k
スキャン以上),クイックスタート化(1秒以下)等が
あげられるが、従来公知のX線管では満足するものが得
られていない。具体的には金属が主体のX線ターゲット
は慣性力が大きいため、クイックスタートに不向きであ
り最小でも2.5秒程度までが限界である。また、回転
系に起因する不良が発生した。一方、軽量の黒鉛基板の
X線ターゲットは、同形の金属製ターゲットに比べて重
量が3分の1以下と軽量であり、熱容量的には2倍以上
のターゲットができるため、大容量化及びクイックスタ
ート化の性能を満足する。しかし、欠点は、X線管球を
加熱して脱ガスする排気工程に時間を要すること及びX
線断層撮影装置に搭載したX線管の寿命が50〜60k
スキャンで性能を満足しない。さらに、陽極回転機構に
おける回転軸と固定軸間に位置する軸受が内・外輪をも
つころがり軸受はターゲットからの伝熱で不均一な温度
上昇となり、クリアランスが一定でないこと及び潤滑剤
に二硫化モリブデン等を用いると摩耗粉が発生すること
などから騒音,耐電圧不良等の発生原因となった。
【0007】本発明の目的は、1秒以内のクイックスタ
ートが可能で、更に1秒以内の短時間スキャンが可能で
ある長寿命のX線管球を用いたX線診断装置及びX線管
装置並びにX線CT装置を提供するにある。
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のX線診断装置
は、真空管内に電子線を照射する陰極と、該陰極に対向
して配設された回転陽極となるX線管用ターゲットとを
具備し、該ターゲットは黒鉛基体上の電子線が照射され
る面に基体側よりレニウム層及びタングステン層又は、
該タングステン層の上にタングステン−レニウム合金層
が順次積層され、これら金属層の全体の厚さが600μ
m以上であるX線発生金属及び回転機構を有するX線
管球として、前記真空管は前記回転陽極が存在する対応
部分が金属製及び該金属製以外がガラス製であることを
特徴とする。好ましくは、その内周面に前記真空管内に
放出されるガス物質に対してゲッター作用を有する金属
薄膜を設け、両者を一体に接合して、陽極と陰極とを互
いに絶縁し、10万スキャンに相当する電子線の入射に
よって加熱され、該加熱によって前記タングステン層に
タングステン炭化物層が形成され、該炭化物層が熱歪に
よって割れが生じる厚さに成長しない程度の温度に保持
されるように前述の所望の大きさの前記ターゲットを有
するものである。
【0010】金属層の厚さは600μm以上有し、上限
は2000μm以下が好ましい。
【0011】本発明は、前記金属層は前記基体側より厚
さ5〜20μmのレニウム層及び厚さ400〜1000
μmの柱状晶からなるタングステン層又は、該タングス
テン層の上に厚さ50〜300μmの粒状晶からなる
ングステン−レニウム合金層を有し、これらの全厚さ
600μm以上とするものである
【0012】黒鉛基体としては黒鉛単独、黒鉛とセラミ
ックスとの積層複合体又は黒鉛と炭素繊維との複合基体
のいずれかを用いることができ、黒鉛基体は黒鉛の理論
密度に対し重量で75〜85%の密度を有し、3点曲げ
強度が400MPa以上で、不純物として金属量が50
ppm以下のものを用いること更に、黒鉛基体はそれを
回転する回転軸がその相対スベリ防止構造を有すること
が好ましい。
【0013】本発明は、真空管内に電子線を照射する陰
極と、該陰極に対向して配設された回転陽極となるX線
管用ターゲットとを具備し、該ターゲットは黒鉛基体上
の電子線が照射される面にX線発生金属層を有するX線
管球として、前記真空管は前記回転陽極を有する部分が
金属製及び他の部分をガラス製とし、両者一体に接合し
て、陽極と陰極とを絶縁し、好ましくは、その内周面に
前記真空管内に放出されるガス物質に対してゲッター作
用を有する金属薄膜を設け、前記金属層は前述のように
厚さ600μm以上とするものである。
【0014】本発明は、真空管内面の金属製の部分の内
面に真空管内に放出されるガス物質をゲッター作用を有
する金属薄膜が設けることが好ましい
【0015】金属薄膜としては、Cr,Zr,Ti等の
酸素との親和性の高い金属がメッキ,蒸着等により設け
られ、そのメッキ膜として黒色となるように処理し、熱
輻射を高め冷却効率を高めるものが良い。特にCrの黒
化処理が好ましい。
【0016】真空管の金属部分は銅,オーステナイトス
テンレス鋼,アルミニウム等の非磁性材からなる。この
真空管外囲器の少なくとも陰極対向面が導電性でハウベ
に接地され、電荷を除くようにする。
【0017】本発明のX線管球は、真空管内に電子線を
照射する陰極と、該陰極に対向して配設された回転陽極
となるX線管用ターゲットとを具備し、該ターゲットは
黒鉛基体上の電子線が照射される面に前述の金属層と厚
さ600μm以上のX線発生金属層及び回転機構を有
し、該回転機構が前記ターゲットを回転させる回転軸と
該回転軸に固定された円筒状ロータ、該ロータと前記回
転軸との間に配設された固定軸及び両軸間に配設された
軸受からなり、該軸受は前記回転軸に設けられた円周溝
に接して配設されたボールを介して接して配設されてお
り、前記真空管は前記回転陽極を有する部分が金属製
び他の部分をガラス製とし、両者一体に接合して、陽極
と陰極とを互いに絶縁し、好ましくはその内周面に前記
真空管内に放出されるガス物質に対してゲッター作用を
有する金属薄膜が設けられているものである。
【0018】本発明は、X線放射窓を有する金属製容器
内にX線管球及び該X線管球の周囲の空間を満たす冷却
媒体を有し、前記X線管球は真空管内に電子線を照射す
る陰極と、該陰極に対向して配設された回転陽極となる
X線管用ターゲットとを具備し、該ターゲットは黒鉛基
体上の電子線が照射される面に前述のX線発生金属層及
び回転軸構造を有し、前記ターゲットはその熱容量が1
MHU以上で10,000rpm 以上で回転させる駆動機構を有
し、前記真空管は前述と同様であり、0から10,000rpm
までの到達時間が1秒以下で回転させる駆動機構を有す
ることを特徴とするX線管装置である。
【0019】本発明は、X線管装置を被照射体の全周に
わたって高速スキャン可能に配設されたガントリーと、
前記被照射体を載置する寝台と、前記X線管装置に高電
圧を与える高電圧発生装置と、前記X線管装置より照射
され前記被照射体より出たX線を検出し該検出した信号
を記憶するメモリシステムと、該メモリより出力された
信号を画像にするモニタとを備えたX線CT装置におい
て、前記X線管装置よりX線を1秒以内で発生させるX
線発生機構を有し、かつ前記被照射体全周を1秒以内で
高速スキャンさせる回転部制御装置を有し、前記X線管
装置は前述のX線管装置からなることを特徴とするX線
CT装置にある。本発明のX線CT装置は前述記載の各
構成を適宜組合わせからなることを特徴とする。
【0020】
【0021】
【作用】本発明のX線管球は、X線管用ターゲット,外
囲器、さらには軸受の構成を十分考慮して総合的にそれ
ぞれの特性を生かすことができる新規のX線管であり、
それを搭載したX線診断装置で効果が発揮できるもので
ある。
【0022】(イ)X線管用ターゲット 本発明のX線ターゲットは、基体が等方性黒鉛が好まし
い。黒鉛基体は、金属に比べて熱容量が大きい上に熱の
輻射率もよい。しかも軽量である。基体はまた、高回転
強度材として黒鉛とセラミックス,黒鉛と炭素繊維等の
複合体から構成することができる。材質的には高速回転
(〜10,000rpm)に耐えうるため回転強度(安全率2以
上)が得られるかさ密度が1.75g/cm3(理論密度に
対し75〜85%)以上の等方性黒鉛が好ましい。この
ような密度とすることにより適当な空隙が存在し、被覆
金属層のデポジットにおいて基体内へのくい込みが得ら
れ、強固な結合が得られる。また、X線管球製造の排気
工程を短縮するため、不純物(例えばFe,Si,A
l,灰分等)含有量が50ppm 以下、好ましくは20pp
m 以下、より10ppm 以下の高純度材が好ましい。不純
物を500〜1000ppm 含有するノーマルグレード材
は、加熱排気で不純物の触媒作用でガス放出量が多く、
寿命が低下するとともに、排気に長時間を要する。ま
た、黒鉛基体として3点曲げ強度として400MPa以
上とする。基体として、黒鉛の他黒鉛とセラミックス
(SiC,Si34,サイアロン等)との積層体、炭素
繊維を分散した複合材を用いることができる。
【0023】一方、黒鉛基体の少なくとも陰極からの電
子線を受けてX線を発生するためのタングステンまたは
タングステン−レニウム合金層の厚さは、耐負荷性の点
で0.3 〜1mmの厚さとすることが好ましい。被覆層の
全厚さは黒鉛と金属層との界面での温度に関係し、薄い
と高温になり易く、そのためWとの炭化物が形成され易
く、熱歪によって割れが発生するので、出来るだけ高温
にならないように電子線の照射を受ける部分での周速と
金属被覆層の厚さとを考慮して界面の温度を炭化物の形
成が少ない1500℃以下になるようにすることが好ま
しい。そのため特に回転数として7000rpm〜1万rpm
が好ましく、1〜5MHUにおいて好ましくは8000〜1
0,000rpm 、ターゲットの直径は100〜200mmが好
ましく、0.3MHU で100mmから5MHUで200
mmと大きくするとよい。
【0024】従って、X線ターゲットの形状は要求され
る熱容量で黒鉛基体を設計すればよいが、例えば熱容量
2MHU(HU:Heat Unit,1HU=0.72ジュール
に相当)のX線ターゲットであれば黒鉛基板の厚さに対
するタングステンまたはタングステン−レニウム合金層
の厚さは10分の1以下で耐負荷性能を満足できる。タ
ングステンまたはタングステン−レニウム合金層は、ろ
う付け,溶射,化学気相蒸着,めっき等の方法で黒鉛基
体上に設けることができるが、化学気相蒸着法が好適で
ある。また、タングステンやタングステン合金層と黒鉛
基板の中間層にレニウムを設けることは界面の耐熱性等
の信頼性を確保するために最適であり、これもまた、化
学気相蒸着法で作製できる。なお、X線ターゲットの電
子線の照射表面は2000℃以上の高温になるため熱応
力によって金属表面にクラックが発生する。断面方向に
クラックが進展すると電子線のもぐり込みでX線量の低
下をまねくとともに表面が粗れることから、例えばタン
グステンとタングステン合金を複層構造にして耐クラッ
ク性の向上を図ることは有効である。ここで、電子線の
照射を受けるX線ターゲットの最表面は耐負荷性のよい
タングステン−レニウム合金が適している。
【0025】CVD法によって形成する場合、レニウム
層は5〜20μm、タングステン層は500〜800μ
m、タングステンーレニウム層は50〜300μmが好
ましい。特に、全厚さを600〜1000μmとするこ
とが好ましい。タングステン層は柱状晶及びタングステ
ンーレニウム層を粒状晶とするのがよい。
【0026】また、Re層とW層とするものでは、Re
層は前述と同様とし、W層を粒状とするとともに厚さを
500〜1000μm、好ましくは600〜800μm
とする。W層を粒状にするにはCVD法においてハロゲ
ン化物の供給速度をコントロールすることにより得るこ
とができる。
【0027】金属中間層の総厚さのうち、黒鉛基体の表
面を覆っている部分の厚さは、3μm以上、通常は5〜
10μmもあれば十分である。金属中間層は、黒鉛基体
上に脆い炭化物層を生成させないためのバリヤとして作
用する。金属中間層の厚さが薄い場合には、層の内部を
黒鉛が拡散してX線発生金属と反応し、炭化物が金属
中間層とX線発生金属層との界面に生成する。この場合
の炭化物の存在は、X線発生金属層と金属中間層との接
着性を損う厚さに成長しないようにする。
【0028】X線発生金属層から黒鉛基体への熱伝導性
をより良くするために、X線発生金属層を柱状晶組織と
することが望ましい。このような柱状晶組織は、化学気
相めっきの手法を用いて被覆することによって容易に得
られる。このように柱状晶組織とした場合には、電子線
の衝突によって微細な割れが発生しやすく、この割れが
進展してX線減量につながるおそれがある。このことか
ら、X線発生金属層を二層にし、電子線が当たる最表面
層を微細組織とし、その下部を柱状晶組織とすることが
望ましい。最表面層の微細組織は、その下部の柱状晶よ
りも微細とする。
【0029】合金は電子線を入射したときより高い温度
に耐えることができる。このことから、最表面層を合金
で形成し、その下部の柱状晶を純金属で形成することが
望ましい。粒径10μm以下の粒状のタングステン,レ
ニウム合金よりなる最表面層とその下部の直径100μ
m以下、特にW−Re面側で10〜50μmの直径の柱
状晶の純タングステン柱状晶とからなる二層構造のX線
発生金属被覆層にすることは、高熱容量且つ高熱伝導性
のX線ターゲットを実現するためにきわめて望ましい。
この場合のタングステン・レニウム合金の成分組成は、
レニウムが1〜10重量%、特に、3〜7%が好まし
く、残りタングステンとすることが望ましい。
【0030】金属中間層は、黒鉛基体の表面近傍の空孔
内に浸透させるのが好ましく、このため常圧又は常圧近
辺の圧力下で化学気相めっき(CVD)して形成するこ
とが必要である。
【0031】金属中間層を化学気相めっきによって形成
する場合には、黒鉛基体を加熱しておくことが望まし
く、この加熱温度と常圧とによって黒鉛基体内の空隙、
空孔内にデポジットされ最大浸透深さを10μm以上に
できる。黒鉛基体の好適な加熱温度は200〜400℃
で浸透深さを50μm以上とできる。加熱温度が低いと
熱分解が進みにくく、黒鉛基体の内部にまで十分に金属
中間層を生成浸透させることができない。加熱温度が高
すぎると、黒鉛基体の表面上でのみ熱分解が進行し、黒
鉛基体の表面上に金属中間層が析出して内部に浸透しな
い。
【0032】中間層としてRe層は250〜350℃で
行うのが好ましい。これによりReの浸透深さを100
μm以上にできる。
【0033】X線発生金属層を二層構造とし、微細な組
織の最表面層とその下部の柱状晶層を単一の工程で形成
する場合には、化学気相めっきを採用し、最表面層形成
時に被覆層形成用ガスの組成,圧力,温度,還元性ガス
などをコントロールすることにより実現可能である。
【0034】タングステン層は550〜650℃、W−
Re合金層は400〜550℃で、前述のRe層の形成
と同じく700〜760TorrでCVD法による形成が好
ましい。これらのCVD法による膜形成後、真空中で焼
鈍し、ダイヤモンド砥石等により機械的に研磨した後、
回転によるバランスをとった。
【0035】X線ターゲットの黒鉛基体は、焼結によっ
て作ることができる。焼結によって作られた黒鉛基体
は、そのままで多くの空孔を有しており、本発明のX線
ターゲットにおける黒鉛基体の要件すなわち多孔質黒鉛
基体であるという要件を具備する。
【0036】黒鉛基体の表面近傍の空孔を更に多くした
い場合には、大気中で加熱したのち熱湯中に浸漬して表
面を粗らしてもよいし、或いは薬品中に浸漬して人工的
に空孔を作ってもよい。
【0037】黒鉛基体の高純度化は1800℃以上の高
温の塩素雰囲気中で加熱することにより基体内の金属分
を除去することができる。
【0038】(ロ)外囲器 本発明の外囲器は陽極を有する部分を金属とし、他をガ
ラスとして陽極と陰極とを互いに絶縁することが好まし
、外囲器の少なくとも陰極対向面が導電性を有し、X
線放射窓を有するハウベに接地する。さらには前記陰極
対向面は実質的に銅,ステンレス鋼またはアルミニウム
のいずれかの非磁性合金であって、内面にはクロム,ジ
ルコニウム,チタンの易酸化性の被覆層を設ける。
【0039】X線ターゲットに黒鉛基体のターゲットを
用いる場合、外囲器がガラス製ではX線管球の脱ガスの
ための加熱排気工程で黒鉛基体からの輻射熱が多くガラ
スの温度上昇さらにはガス放出が増加する。さらに金属
製ターゲットに比べて一酸化炭素やハイドロカーボン等
のガス放出が多いため陰極に対向した外囲器内面に例え
ば熱分解炭素等の導電性の物質が付着する。この面には
電荷がチャージされる結果、放電の原因となるためさけ
ねばならない。
【0040】従って、外囲器の陰極対向面があらかじめ
導電性で、ハウベに接地されていれば電荷のチャージが
ないため放電を防止できる。さらに、外囲器内面にクロ
ム,ジルコニウム,チタン等の易酸化性の被覆層特に、
輻射熱を逃がすために黒色等の黒系の色のものを設ける
ことにより冷却効率を高め、更にそれを設けることでガ
ス吸着能を付与できるため排気工程を短縮することがで
きる。陰極から放出される電子線の照射を受けるX線タ
ーゲットが金属製外囲器で囲まれていればガラス外囲器
に比べて熱の伝導が大きくできることは言うまでもな
い。なお、金属外囲器内面への被覆層はめっき,蒸着,
スパッタリング等の方法で被覆でき、幾何学的表面積の
数倍以上の凹凸表面になっているためガス吸着能がより
向上する。特に、Crメッキは黒色メッキとして酸化物
によって形成されるが、高温高真空での排気処理によっ
て金属Crとなり、これが排気時間の短縮につながって
いる。
【0041】金属外囲器は高真空化でき、ターゲット部
分が金属でアースされるとともに内面をゲッター作用を
有する金属で被覆されているので、5万枚以上、好まし
くは10万枚以上を撮影できる大きなメリットがあり、
長寿命化ができる。より好ましくは20万枚以上の撮影
が可能になる。
【0042】前述のように、外囲器として金属容器とガ
ラス容器との接合構造とするもので、コバール等のガラ
スの熱膨脹率に合う金属を介して一体に接合し、真空容
器を形成する。金属容器には予めゲッターとなる金属薄
膜が形成される。
【0043】(ハ)軸受 本発明の軸受は、X線ターゲットを固定して支持する回
転軸両端に内輪溝を設け、玉軸受を用いたころがり軸受
の内輪をなくし回転軸に設けて一体化した。軸受のボー
ルと接する軸方向に対し熱膨脹による変化を調整するた
め外径が大きくなるようにテーパが設けられる。一体化
により内輪と回転軸のはめ合いが無くなる、回転軸が太
くできる等から回転精度が向上できる。さらに、潤滑剤
には軟質金属の錫,鉛等で潤滑できる。潤滑剤としては
金,銀等も考えられるが高価であること及び温度に対す
る摩擦力の変化が大きい。厚さ0.02 〜1μmの潤滑
剤は金属又はセラミックスボール表面に蒸着,イオンプ
レーテング等によって形成される。好ましくは0.1〜
0.3μmである。
【0044】回転軸,外輪となる軸受及び玉はともに剛
性の高いもので構成することが高精度の回転が得られる
ことからロックウェル硬さHRC で60以上の高速度鋼
を用いることが好ましい。合金組成として、C0.7〜
0.9%,Si,Mo0.5%以下、Cr3〜5%,W1
5〜20%,V1〜2%,Co5〜20%,残Feの焼
入焼戻し材が好ましい。
【0045】(ニ)X線管装置 本発明におけるX線管装置は強度が高く軽量の黒鉛基体
を用い、電子線の照射によって炭化物の形成が生じにく
い所望の厚さの金属層を有し、回転精度の高い軸受構造
とすることにより、1MHU以上の大容量において0か
ら10,000rpm までの到達時間を1秒以内、好ましくは
0.8 秒以内に出来、また、診断に際してその間中10,0
00rpm 回転以上を連続して行うことができる。特に、タ
ーゲット容量として2,3又は4MHUにおいては前述
のようにターゲットの重量が各々約1,000g,1,5
00g 及び2,000g以下と大きくなるが、金属ター
ゲットにくらべ約1/3の重さとなり、前述の如く1秒
以内のクイックスタートが出来、タイミングのよい短時
間の診断ができるとともに、高画質,低騒音(約50〜
60dB)となり、多頻度使用に適している。新しい診
断として被照射体に造影剤を投与した後に陽極の回転を
スタートさせ、1秒以内で撮影を行うことができる。
【0046】
【実施例】(実施例1)図1及び図2は、本発明のX線
管及び回転陽極の一例である。X線放射窓12を有する
密閉容器(ハウベ)10内にX線管球100とX線管球1
00の周囲の空間を満たす絶縁油からなる冷却媒体15
とを有し、冷却器によって冷却媒体を循環して冷却され
る。またX線管球100内に電子線131を放出する陰
極130と回転陽極120を具備し、回転陽極120が
電子線131の照射を受けてX線16を放射するX線タ
ーゲット121とX線ターゲット121を固定して支持
する回転軸122と回転軸122の周囲に位置して回転
軸122を支える固定軸124及び両軸間に位置する軸
受126を有する。X線16はX線管球100のBe金
属よりなる窓を経てX線放射窓12より出る。X線ター
ゲット121は黒鉛基体1と電子線131の照射面をX
線16を発生するためのX線発生金属被覆層2とし、等
方性黒鉛基体1の厚さ40mm(直径130mm)に対して
X線発生金属被覆層2の厚さを0.8mm とした。X線管
球100の外囲器は陰極130とX線ターゲット121
の円周を囲むように深絞り塑性加工のSUS316ステンレス
鋼の金属製外囲器101とその上側外囲器102と下側
外囲器103をガラス製とした。金属製外囲器101の
内面には厚さ2〜3μmの黒色のクロムめっき被覆層1
04を設けた。さらに軸受はボール125と外輪126
であり、ボール125には厚さ0.1〜0.3μmの鉛イ
オンプレーテング潤滑膜を設けた。X線ターゲット12
1の回転は、X線管球100の回転陽極120に対向し
て設けたステータ132によって回転稼働力が与えられ
る。X線管球100の真空排気は、ハウベ10に組込む
前段階で、10-8Torr以下でのベーキング,高周波加
熱、さらには実負荷相当の入力を与えるこれらの操作を
くり返し行い、真空度が10-8Torrレベルの安定した状
態が得られた時点で真空封止部111を封じて真空管と
した。このX線管は、X線ターゲット121が黒鉛基体
であるため、金属製ターゲットに比べて重量が約3分の
1と軽く、排気時間は金属製ターゲットと同等であっ
た。金属製外囲器101とガラス製外囲器102とはコ
バール133によって接続した。金属製外囲器の内周面
全面にCrメッキを施した。
【0047】CrメッキはCrO3 ,氷酢酸及び純水か
らなる水溶液中にて電解によって得たもので黒色であっ
た。メッキ形成後、真空中600℃で熱処理し、ガス抜
きを行った。このCrメッキ膜は使用中に管内に発生す
るガスを吸収するゲッター作用を有し、真空排気処理時
間を短縮することができた。
【0048】回転軸122,ボール125及び軸受12
6を各々HRC65 のSKH4材を使い、ストッパ12
7にSUS403材を用いた。尚、ストッパ127は分割する
ことによって温度上昇による膨脹を緩和させることがで
きる。
【0049】ロータ123は銅合金製、ターゲット12
1を固定する軸112はMo合金製の一体構造材とし
た。これはターゲット固定軸112のMo合金をロータ
123の銅合金で鋳ぐるんでから加工することが好まし
い。
【0050】等方性黒鉛基体にX線発生金属被覆層を設
けたX線ターゲットは軽量であるが、金属製ターゲット
に比べて排気に若干時間を要する。そこで、直径125
mm,厚さ20mm(熱容量850KHU級)の金属製ターゲット
と黒鉛基体ターゲットをガラス製外囲器に組込んでベー
キング,高周波加熱および1次,2次及び3次の負荷排
気のくり返しを行った。
【0051】図3は比較のガラス製外囲器及び図4は本
発明の外囲器からなるX線管の排気時間と真空度との関
係を示す線図である。尚、各負荷前には前述のように高
温高真空でのベーキングとそれより高温での高周波加熱
を行った。図に示すように5×10-8Torrの安定した真
空度を得るのに要した排気時間は、金属製ターゲットで
金属外囲器からなるX線管球では黒鉛ターゲットで、全
ガラス外囲気器に比較しその75%の排気を要したのに
対して、X線発生金属を被覆した黒鉛基体ターゲットで
ガラス外囲器のX線管球では3次負荷でも十分真空度が
上らず、長時間要した。しかし、外囲器として図1のよ
うに中央をクロムめっきをほどこしたステンレス鋼製と
し、上下をガラス製としたX線管球では、前記と同様の
排気試験を行った結果、X線発生金属を被覆した黒鉛基
体ターゲットの排気時間は2次負荷でほぼ所望の真空度
となり、更に3次負荷でほぼ完全な真空度となり、金属
製ターゲットと同等であり、黒鉛基体の欠点を金属製外
囲器の採用で改善できた。X線発生金属被覆層はまず黒
鉛基体上に約5μmの厚さのレニウム中間層を設け、つ
いでタングステンを200μm,タングステン−5重量
%レニウム合金を100μm程度順次いずれも化学気相
蒸着(CVD)法で被覆したものであり、W−Re層は
砥石によって研摩した後の厚さである。CVDでの圧力
は常圧から若干それより低い圧力の700Torr下で行っ
た。
【0052】等方性黒鉛基体にはかさ比重1.77g/c
m3、曲げ強度400MPa以上のものを用い、約2000℃の
ハロゲンガス雰囲気下で加熱し、黒鉛中のFe,Cu等
の金属成分を除去する処理を行った後、真空中で脱ガス
処理を施した。Re層は黒鉛基体の空隙内部にもよくデ
ポジットされ、強固に成膜された。本実施例におけるX
線ターゲット121の重量は400g程度である。
【0053】尚、タングステン層は柱状晶で、W−Re
層は粒状晶にした。本実施例における金属層の全厚さは
305μmであるが、後述のようにより厚くすることに
より熱容量の大きいものとすることができる。
【0054】金属製外囲器101はアース(図示なし)
されている。
【0055】本実施例における軸受は回転軸122の両
端に所定の間隔でボール125が保持されるように全周
にわたり半円形溝を設けた。軸受外輪126は図2に示
すようにボールと接する部分が熱膨脹による広がりを吸
収し互いに密着してギャップとならないようテーパ状に
形成したものである。これにより回転精度が向上し、更
に回転軸自身を太径にできることから9000rpm 以上
の高速回転するとともに、0〜10,000rpm までの到達時
間を0.8秒 とすることができた。また、軸受のすきま
を小さくできることからうなり音を小さくできた。冷却
媒体15には絶縁油が用いられ、外部に設けられた冷却
器により絶縁油を循環することにより行われる。その最
大冷却率は195KHU/分である。
【0056】上述のX線発生金属被覆層を設けたX線タ
ーゲットで外囲器がガラス製の従来のX線管球と外囲器
の中央がステンレス鋼製の本発明のX線管球をSUS316製
ハウベ10に組込み、X線管としての寿命試験を実施し
た。金属同志はろう付,金属とガラスとはガラスの溶融
によって接合した。負荷条件は120kV,400mA
で4.5秒 スキャン(134パルス/秒)の標準的なも
のである。その結果、図5のように本発明のX線管は1
00kスキャン(スキャン数は断層撮影枚数に相当す
る)後も健全であった。比較したガラス製外囲器のX線
管は50kスキャン以後で急激に放電が多発し、耐電圧
不良となった。
【0057】(実施例2)実施例1と同じ黒鉛基体を用
い同様の製法によって得た研摩後の厚さ約750μmの
金属層を有し、Crメッキを有する金属製外囲器よりな
るX線管球を医療用レントゲン装置に採用した熱容量35
0KHU級でターゲットでは、従来の金属製ターゲットのX
線管が0から10,000rpm の使用回転数に上げる時間が
1.2秒 を要したのに対し、本発明のX線管では0.8
秒 以下のクイックスタートが可能であった。さらに2
00kスキャン後も健全であり、長寿命X線管であっ
た。
【0058】また、スポット撮影による画質の向上や多
頻度使用(スループット性能が高い)に適したX線診断装
置が得られる。
【0059】尚、金属層はRe層10μm,柱状晶W層
600μm,粒状晶W−Re層140μmからなる。本実
施例でのターゲットの重量は約250gと軽量にでき
た。
【0060】(実施例3)実施例1と同様に黒鉛基体に
実施例1と同様の方法によりRe層15μm及び研摩後
の厚さで粒状晶のW層を800μmとし、同様にCrメ
ッキ黒化層を施した金属外囲器よりなるX線管球を得
た。本実施例における5×10-8Torrまでの真空排気時
間は実施例1と同等であり、0から10,000rpm までの回
転到達時間が0.8秒というクイックスタートが可能で
あった。尚、回転陽極容量は1.5MHUで、直径150m
m,最大厚さを40mmとした図2に示すタイプの形状と
したものである。
【0061】(実施例4)図6は実施例1と同様の黒鉛
基体1にX線発生金属被覆層2を設けた本発明にかかわ
るX線ターゲットの一例である。本実施例のX線管装置
は実施例1と同じである。黒鉛基体1の外周が2段構造
であり、上段の直径が130mm,下段の直径が145m
m,厚さは40mmである。X線発生金属被覆層2の厚さ
はRe層10μm,W層650μm,W−5wt%Re
層140μm,全厚さ0.8mm である。本被覆層はダイ
ヤモンド砥石によって冷却しながら研摩した後の厚さで
ある。このX線ターゲットは蓄積熱容量が3MHU級の
大容量であり、X線ターゲットの側面が管壁面に近づけ
た構造としたことにより冷却率が大きい特長をもってい
る。上段の直径が下段の直径に比べて小さいことは外囲
器との距離を大きくして電界の集中を防ぎ、下段の直径
を大きくして表面積を広くして冷却特性を改善した。こ
こで、下段の肩部までX線発生金属被覆層2を設けたこ
とは黒鉛基体が陰極から放出される電子線や散乱電子の
照射をさける(温度上昇によるガス放出がX線管の寿命
を左右する)ためである。さらに、黒鉛基体1の表面に
凹部を設け、ツメ付きワッシャー3を介して回転軸に固
定することは0から10,000rpm までを1秒以内で到達で
きるクイックスタートが可能になり、診断の信頼性を高
めることができた。
【0062】尚、本実施例で得られたX線ターゲットの
重量は約1.2kg と非常に軽量にできた。
【0063】図7は、本実施例のX線ターゲットを用い
た全身用X線コンピュータ断層装置の全体システム図で
ある。本装置は、X線管を被照射体の全周にわたって高
速回転させるスキャナ本体,寝台,コンソール,画像表
示,高電圧発生装置,X線制御装置からなる。
【0064】IPとメモリシステムは合わせて高速プロ
セッサシステムを構成させ、メモリシステムは32Mバ
イト以上の大容量であり、リアルタイムのシネ表示を可
能にした。高速ディスクシステムは複数台の磁気ディス
クを並列に制御し、高速動作を可能にした。短いスキャ
ン時間でも十分に線量を得るため高周波インバータ方式
によるGTOサイリスタを用いて高速スイッチングを行
い、全周を1秒以内でのスキャンに必要な3MHUの大
容量が得られる。空間分解能は0.5mmφ 以下の高い分
解能が可能である。
【0065】検出器は360°リング状に900チャン
ネル以上構成したもので、シンチレータとフォトダイオ
ードが実装されている。
【0066】図に示すように、リング状になったレール
とこれにバネで押し付けられたブラシとの接触によって
高圧の電力及び低圧の信号を伝送する高圧と低圧のスリ
ップリングを用いることにより最短の1秒以内の連続高
速スキャンが可能になった。その結果、スライス幅1mm
以下でのシーケンススキャン及びヘリカルスキャンが可
能になった。
【0067】造影剤を静脈から注入してその短時間の急
激な濃度変化を1秒以内の瞬間で見ることにより小さな
病変や、腫瘍を見つけること、血管内の造影剤の流れを
精密に知ることができる。また、頭がい内疾患において
細い静脈などを明りょうに抽出でき、異常循環動態の把
握ができる。このような診断に際し、造影剤の投与後に
その都度陽極の回転をスタートさせるので、安心して撮
影ができる。
【0068】連続スキャン中に被写体をゆっくり移動す
るヘリカルスキャンにより、胸部疾患において呼吸によ
るろっ骨と肺の相対的な動きを目視し胸膜癒着を診断で
きること、眼球や間接などの動く部分の診断ができる。
【0069】すい臓は呼吸によって位置が変ってしまう
が、1回の呼吸の間にスキャンすれば造影効果の高いタ
イミングで撮影できることからすい臓がんの発見能を向
上できる。小さな臓器に対して位置ずれのない正確な検
査ができる。このように、短時間に広い範囲をスキャン
するために高速で天板を移動するもので、20秒間に最
大10スライスのスキャンができる。
【0070】主な仕様は次の通りである。
【0071】 スキャン時間 0.2〜20秒 スキャンサイクル 2.5秒以下 撮影領域 150〜600mmφ スライス幅 0.5〜10mm ガントリー開口径とチルト角 720mm;±25° 天板幅 470mm X線管電圧 120kV X線管電流 50〜500mA X線管容量 3000KHU
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、X線管熱容量1.0M
HU 以上の大容量化において10万スキャン以上の長
寿命化が達成された。また、1秒以内のクイックスター
トが可能となり、X線断層撮影装置等の診断装置の性能
向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線管装置の断面図。
【図2】X線管装置のターゲットと回転機構を示す断面
図。
【図3】全ガラス製外囲器からなるX線管球の真空度と
排気時間との関係を示す線図。
【図4】金属とガラス製外囲器からなるX線管球の真空
度と排気時間との関係を示す線図。
【図5】本発明のX線管のスキャン数と放電頻度の関係
を示す特性図。
【図6】本発明の他の実施例のX線管用ターゲットの断
面図。
【図7】X線CT装置の全体システム構成図。
【符号の説明】
1…黒鉛基体、2…X線発生金属層、3…ワッシャー、
10…X線管、12…X線放射窓、15…冷却媒体、1
6…X線、100…X線管球、101…SUS316金属製外
囲器、102,103…ガラス製外囲器、104…被覆
層、111…真空封止部、112…ターゲット固定軸、
120…回転陽極、121…X線ターゲット、122…
回転軸、124…固定軸、125…ボール、126…外
輪、132…ステータ、130…陰極、131…電子線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近崎 充夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 児島 慶享 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 木津谷 稔 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株式会社 日立メディコ内 (72)発明者 土肥 元達 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株式会社 日立メディコ内 (72)発明者 広瀬 一弘 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会 社 日立製作所 素形材事業部内 (72)発明者 松本 敏夫 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株式会社 日立メディコ内 (56)参考文献 特開 平4−363843(JP,A) 特開 平2−26317(JP,A) 特開 平4−297241(JP,A) 特開 昭57−61252(JP,A) 実開 昭60−76864(JP,U) 実開 平3−110754(JP,U) 特公 平4−80493(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 35/10 H01J 35/20

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線を発生し、該X線を被照射体に照射す
    るX線管装置と、前記被照射体を載置する寝台と、前記
    X線管装置に高電圧を与える高電圧発生装置と、前記X
    線管装置より照射され前記被照射体より出たX線を検出
    し該検出した信号を記憶するメモリシステムと、前記信
    号に基づいて又は前記メモリより出力された信号に基づ
    いて画像を形成するモニタとを備えたX線診断装置にお
    いて、前記X線管装置はX線放射窓を有する金属製容器
    内にX線管球及び該X線管球の周囲の空間を満たす冷却
    媒体を有し、前記X線管球は真空管内に電子線を照射す
    る陰極と該陰極に対向して配設され高速回転する回転陽
    極となるX線管用ターゲットとを具備し、該ターゲット
    は黒鉛基体上の電子線が照射される面に前記基体側より
    レニウム層及びタングステン層又は、該タングステン層
    の上にタングステンーレニウム合金層が順次積層され、
    これら金属層の全体の厚さが600μm以上であるX線
    発生金属層及び回転機構を有し、前記真空管は前記回転
    陽極が存在する対応部分が金属製及び該金属製以外の部
    分がガラス製であり、前記X線管装置を1秒以内で前記
    被照射体全周を高速スキャンさせる回転部制御装置を有
    することを特徴とするX線診断装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記金属層は前記基体
    側より厚さ5〜20μmのレニウム層及び厚さ400〜
    1000μmの柱状晶からなるタングステン層又は、該
    タングステン層の上に厚さ50〜300μmの粒状晶か
    らなるタングステン−レニウム合金層が順次形成されて
    いることを特徴とするX線診断装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記黒鉛基体は
    黒鉛の理論密度に対し75〜85重量%の密度を有し、
    3点曲げ強度400MPa以上及び不純物としての金属
    量が50ppm以下であることを特徴とするX線診断装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかにおいて、前記黒
    鉛基体は該基体を回転する回転軸挿入口を有し、かつ前
    記基体に該基体と回転軸との相対スベリを防止する防止
    手段を有することを特徴とするX線診断装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかにおいて、前記
    転機構が前記ターゲットを回転させる回転軸と、該回転
    軸に固定された円筒状ロータと、該ロータと前記回転軸
    との間に配設された固定軸と、両軸間に配設された軸受
    とを有し、該軸受は前記回転軸に設けられた円周溝に配
    設されたボールを介して配設されていることを特徴とす
    るX線診断装置。
  6. 【請求項6】X線放射窓を有する金属製容器内にX線管
    球及び該X線管球の周囲の空間を満たす冷却媒体を有
    し、前記X線管球は真空管内に電子線を照射する陰極
    と、該陰極に対向して配設された回転陽極となるX線管
    用ターゲットとを具備し、該ターゲットは黒鉛基体上の
    電子線が照射される面に前記基体側よりレニウム層及び
    タングステン層又は、該タングステン層の上にタングス
    テンーレニウム合金層が順次積層され、これら金属層の
    全体の厚さが600μm以上であるX線発生金属層を有
    し、且つ前記ターゲットは0から10,000rpm までの回転
    到達時間が1秒以内で回転する回転機構を有し、前記真
    空管は前記回転陽極が存在する対応部分が金属製及び該
    金属製以外の部分がガラス製であることを特徴とする
    装置。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記金属層は前記基体
    側より厚さ5〜20μmのレニウム層及び厚さ400〜
    1000μmの柱状晶からなるタングステン層又は、該
    タングステン層の上に厚さ50〜300μmの粒状晶か
    らなるタングステン−レニウム合金層が順次形成されて
    いることを特徴とするX線管装置。
  8. 【請求項8】X線管装置を被照射体の全周にわたってス
    キャン可能に配設されたガントリーと、前記被照射体を
    載置する寝台と、前記X線管装置に高電圧を与える高電
    圧発生装置と、前記X線管装置より照射され前記被照射
    体より出たX線を検出し該検出した信号を記憶するメモ
    リシステムと、前記信号に基づいて又は前記メモリより
    出力された信号に基づいて画像を形成するモニタとを備
    えたX線CT装置において、前記X線管装置はX線放射
    窓を有する金属製容器内にX線管球及び該X線管球の周
    囲の空間を満たす冷却媒体を有し、前記X線管球は真空
    管内に電子線を照射する陰極と該陰極に対向して配設さ
    れた回転陽極となるX線管用ターゲットとを具備し、該
    ターゲットは黒鉛基体上の電子線が照射される面に前記
    基体側よりレニウム層及びタングステン層又は、該タン
    グステン層の上にタングステンーレニウム合金層が順次
    積層され、これらの金属層の全体の厚さが600μm以
    上であるX線発生金属層を有し、前記真空管は前記回転
    陽極が存在する対応部分が金属製及び該金属製以外の部
    分がガラス製であり、前記被照射体全周を1秒以内で高
    速スキャンさせる回転部制御装置を有することを特徴と
    するX線CT装置。
JP34595892A 1992-12-25 1992-12-25 X線診断装置及びx線管装置並びにx線ct装置 Expired - Fee Related JP3171502B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34595892A JP3171502B2 (ja) 1992-12-25 1992-12-25 X線診断装置及びx線管装置並びにx線ct装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34595892A JP3171502B2 (ja) 1992-12-25 1992-12-25 X線診断装置及びx線管装置並びにx線ct装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06196113A JPH06196113A (ja) 1994-07-15
JP3171502B2 true JP3171502B2 (ja) 2001-05-28

Family

ID=18380162

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34595892A Expired - Fee Related JP3171502B2 (ja) 1992-12-25 1992-12-25 X線診断装置及びx線管装置並びにx線ct装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3171502B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2760781B2 (ja) * 1996-01-31 1998-06-04 株式会社東芝 X線断層撮影装置
JP2948163B2 (ja) * 1996-02-29 1999-09-13 株式会社東芝 X線装置
KR20030018528A (ko) * 2001-08-30 2003-03-06 현대자동차주식회사 가변밸브타이밍 조절장치
EP2449574B1 (en) * 2009-06-29 2017-02-01 Koninklijke Philips N.V. Anode disk element comprising a conductive coating
KR101151859B1 (ko) * 2010-03-26 2012-05-31 주식회사엑스엘 비확산 게터가 장착된 엑스선관
CN102173326B (zh) * 2011-02-24 2014-08-13 公交部第三研究所 密封皮碗以及球管的密封方法
TWI552187B (zh) * 2014-11-20 2016-10-01 能資國際股份有限公司 冷陰極x射線產生器的封裝結構及其抽真空的方法
CN107768219B (zh) * 2017-11-29 2023-10-13 上海钧安医疗科技有限公司 一种新型大容量x线球管散热结构
CN113433579B (zh) * 2021-05-18 2023-01-20 中国工程物理研究院激光聚变研究中心 一种大灵敏面x射线光谱平响应二极管探测器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06196113A (ja) 1994-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6560315B1 (en) Thin rotating plate target for X-ray tube
CN104051207B (zh) 用于旋转阳极型高功率x射线管构造的阳极盘结构的混合设计
US7522707B2 (en) X-ray system, X-ray apparatus, X-ray target, and methods for manufacturing same
US8116432B2 (en) X-ray tube target brazed emission layer
JP4309273B2 (ja) 回転する陽極x線管ヒートバリア
JP3171502B2 (ja) X線診断装置及びx線管装置並びにx線ct装置
US20090285363A1 (en) Apparatus for increasing radiative heat transfer in an x-ray tube and method of making same
US8363787B2 (en) Interface for liquid metal bearing and method of making same
JP7309745B2 (ja) X線源のための回転式アノード
EP2312608B1 (en) Target for x-ray tube, x-ray tube using the same, x-ray inspection system, and method for producing target for x-ray tube
JPH0731993B2 (ja) X線管用ターゲット及びそれを用いたx線管
US20080279335A1 (en) Cage for x-ray tube bearings
US20080101541A1 (en) X-ray system, x-ray apparatus, x-ray target, and methods for manufacturing same
EP2652767B1 (en) Anode disk element with refractory interlayer and vps focal track
US6693990B1 (en) Low thermal resistance bearing assembly for x-ray device
US9159523B2 (en) Tungsten oxide coated X-ray tube frame and anode assembly
US20140355742A1 (en) Brazed x-ray tube anode
JPS6166349A (ja) X線管用回転陽極タ−ゲツトおよびその製造方法
JP4231706B2 (ja) X線管装置及びそれを用いたx線ct装置
JPH0690911B2 (ja) X線管用ターゲット及びx線管
JPH04357645A (ja) X線管用ターゲットの製造法
JPH021329B2 (ja)
JP2010140879A (ja) X線管用ターゲットおよびそれを用いたx線管、x線検査装置ならびにx線管用ターゲットの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees