JP5565761B2 - カーボンブラック分散体組成物及びフォトレジスト組成物 - Google Patents

カーボンブラック分散体組成物及びフォトレジスト組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5565761B2
JP5565761B2 JP2008018817A JP2008018817A JP5565761B2 JP 5565761 B2 JP5565761 B2 JP 5565761B2 JP 2008018817 A JP2008018817 A JP 2008018817A JP 2008018817 A JP2008018817 A JP 2008018817A JP 5565761 B2 JP5565761 B2 JP 5565761B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
functional group
carbon black
acidic functional
group
neutralized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008018817A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009180874A (ja
Inventor
重弘 田中
啓哲 新井
浩之 大野
政登 中澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai Carbon Co Ltd
Original Assignee
Tokai Carbon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai Carbon Co Ltd filed Critical Tokai Carbon Co Ltd
Priority to JP2008018817A priority Critical patent/JP5565761B2/ja
Publication of JP2009180874A publication Critical patent/JP2009180874A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5565761B2 publication Critical patent/JP5565761B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)

Description

本発明は、フォトリソグラフィ法による画像形成に好適に用いられ、特に、液晶表示装置用カラーフィルターにおけるブラックマトリックスの形成に好適に用いられるフォトレジスト組成物及びその調製に用いられるカーボンブラック分散体組成物に関する。
液晶ディスプレイは、液晶となる結晶材料に電極を装着し電圧を印加して液晶の分子配列を変えることにより入射光の透過を制御し、反射板と偏光板を組み合わせることにより、画像や文字などを表示するものである。そして、液晶ディスプレイは、消費電力が少なくて済むため、携帯電話、時計、カメラ、各種電気機器などの表示装置として、広く使用されている。
この液晶ディスプレイをカラー化したカラー液晶ディスプレイは、画素ごとに青、赤、緑のカラーフィルターを付けて光の三原色をつくり、各画素の明暗を制御して色の変化を表現するものである。該カラーフィルターは、透明基板上に赤、青、緑の三原色の画素をつくり、各画素を透過する光量を制御して三原色の加色による発色によって、カラー表示を行うものである。
そして、該カラーフィルターには、各画素間の漏光を防止し、コントラスト及び色純度の低下を防止するために、各画素間の光を遮断するための遮断層、すなわち、ブラックマトリックスが形成されている。ブラックマトリックスは、また、カラーフィルターに対向する基板上に設けられた液晶の駆動用電極あるいはTFT(薄膜トランジスタ)等のトランジスタを遮光する機能も有している。従って、ブラックマトリックスには、当然、遮光性に優れていることが要求される。
また、表面平滑性が悪く、層厚が厚いと、三原色の色パターンを形成する際に、凹凸が生じるおそれがあるため、ブラックマトリックスには、表面が平滑で、層の厚さが薄いことも必要とされている。
従来より、ブラックマトリックスには、(i)Cr、Ni、Al等の金属薄膜からなるブラックマトリックス、(ii)黒色顔料を分散した黒色有機樹脂膜からなるブラックマトリックス、が用いられてきた。このうち、(i)の金属薄膜からなるブラックマトリックスは、遮光度や光学濃度が高く解像度に優れている反面、光反射率が大きいので反射光による写り込みが生じ易く、表示品位が損なわれるという難点がある。
一方、(ii)の黒色顔料を分散した黒色有機樹脂膜からなるブラックマトリックスは、上記のような難点が少ない。特に、カーボンブラックは、優れた黒色度を有する黒色顔料なので、カーボンブラックを分散した黒色有機樹脂膜からなるブラックマトリックスは、優れた性能を有する。
黒色有機樹脂膜からなるブラックマトリックスは、カーボンブラック、分散剤、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、樹脂、光重合開始剤などからなるフォトレジスト組成物を用いて、フォトリソグラフィにより形成される。つまり、フォトレジスト組成物を露光することにより、露光部が硬化して、未露光部はアルカリ現像液で取り除かれて、黒色有機樹脂膜からなるブラックマトリックスが形成される。そして、形成された黒色有機樹脂膜からなるブラックマトリックスの未露光部分に、三原色が埋め込まれて、カラーフィルターが造られる。
カーボンブラックを黒色顔料として用いるフォトレジスト組成物としては、例えば、特開2000−227654号公報(特許文献1)に、(A)黒色顔料を含む着色剤、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性モノマーおよび(D)光重合開始剤を含有するブラックレジスト用感放射線性組成物であって、(A)着色剤がウレタン結合を有する化合物を含む分散剤により分散されていることを特徴とするブラックレジスト用感放射線性組成物が開示されている。
フォトリソグラフィ法による画像形成用、特に、液晶表示装置用のカラーフィルターに用いられるフォトレジスト組成物には、カーボンブラックの分散性が高いことと、現像性が優れていることの両方が必要である。つまり、現像後に、非露光部分に残存物がなく、非露光部分のアルカリ可溶性が高く、非露光部分がアルカリ現像液によりきれいに溶け去ること、及び露光部がアルカリ現像液によって浸食されず、硬化した後の耐薬品性が優れていることが要求される。
表面処理がされていないカーボンブラックは、有機溶媒や樹脂に配合されたときに、分散性が悪いので、均一な塗膜を形成することが極めて困難であり、また、アルカリ可溶性がない。そのため、特許文献1では、分散剤の配合量が多くなってしまうので、カーボンブラックの配合量が少なくなり、遮光性が低くなるという問題があった。
そこで、カーボンブラックの表面に、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、フェノール性水酸基などの酸性基を導入し、これに塩基性の分散剤を組み合わせて、酸性官能基を表面に有するカーボンブラック及び塩基性の分散剤を含有するフォトレジスト組成物とすることによって、カーボンブラックの分散性及びアルカリ可溶性を高めることが提唱されている。
例えば、特開2004−198717号公報(特許文献2)には、(A)平均一次粒子径20〜60nm、DBP吸油量30〜100ml/100g、BET法による比表面積30〜150m/g、粒子表面のカルボキシル基の濃度0.2〜1.0μmol/mのカーボンブラック、(B)アミノ基及び/またはその第4級アンモニウム塩を有する共重合体、及び(C)有機溶剤を含有することを特徴とするカラーフィルターブラックマトリックスレジスト用カーボンブラック分散液組成物が開示されている。
しかしながら、この場合、分散剤自身は塩基性であるため、アルカリ可溶性を持たない。そのため、光硬化性樹脂やモノマーの一部に、酸性の基を導入することで、全体のアルカリ可溶性のバランスを調節しているものの、未露光部に、カーボンブラックや塗膜の一部が残存し一掃できずに、カラーフィルターの汚れの原因となるという問題があった。また、この場合、光硬化性樹脂やモノマーに、アルカリ可溶性を負担させているため、当然、露光部にもアルカリ可溶性が発現してしまい、現像性が悪くなったり、耐薬品性が低くなる原因となるという問題があった。
特開2000−227654号公報(特許請求の範囲) 特開2004−198717号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、カーボンブラックの分散性が高く、且つ、アルカリ現像液による現像性が高いフォトレジスト組成物及び該フォトレジストを調製するためのカーボンブラック分散体組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、カーボンブラックの分散性が高く、且つ、アルカリ現像液による現像性が高いことに加えて、硬化塗膜の耐薬品性が高いフォトレジスト組成物及び該フォトレジストを調製するためのカーボンブラック分散体組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を表面に有するカーボンブラック表面に、窒素含有塩基性官能基を導入することにより、分散剤として、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を有する分散剤を用いることができるようになり、そのため、分散剤により、フォトレジスト組成物のアルカリ可溶性を発現させることができるので、フォトレジスト組成物へのカーボンブラックの分散性を高くできると共に、アルカリ現像液による現像液性を高くできること、更には、(2)上記分散剤の分子中に1以上の活性エネルギー線硬化性不飽和基を導入することにより、露光部の硬化塗膜の耐薬品性が向上すること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方と、窒素含有塩基性官能基と、を表面に有する表面改質カーボンブラック(I)と、
酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を、分子中に1以上有し、且つ、活性エネルギー線硬化性不飽和基を分子中に1以上有する分散剤(II)と、
有機溶剤(III)と、
を含有し、
前記表面改質カーボンブラック(I)が、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を表面に有するカーボンブラックを、分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物で表面改質して、窒素含有塩基性官能基を導入することにより得られるカーボンブラックである
ことを特徴とするカーボンブラック分散体組成物を提供するものである。
また、本発明(2)は、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方と、窒素含有塩基性官能基と、を表面に有する表面改質カーボンブラック(I)と、
酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を、分子中に1以上有し、且つ、活性エネルギー線硬化性不飽和基を分子中に1以上有する分散剤(II)と、
を含有し、
前記表面改質カーボンブラック(I)が、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を表面に有するカーボンブラックを、分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物で表面改質して、窒素含有塩基性官能基を導入することにより得られるカーボンブラックである
ことを特徴とするフォトレジスト組成物を提供するものである。
本発明によれば、カーボンブラックの分散性が高く、且つ、アルカリ現像液による現像性が高いフォトレジスト組成物及び該フォトレジスト組成物を調製するためのカーボンブラック分散体組成物を提供することができる。また、本発明によれば、カーボンブラックの分散性が高く、アルカリ現像液による現像性が高く、且つ、硬化塗膜の耐薬品性が高いフォトレジスト組成物及び該フォトレジスト組成物を調製するためのカーボンブラック分散体組成物を提供することができる。更に、本発明のカーボンブラック分散剤組成物を用いて、カーボンブラック顔料の分散性が良好な活性エネルギー線硬化型インキ又は塗料を提供することができる。
本発明のカーボンブラック分散体組成物は、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方と、窒素含有塩基性官能基と、を表面に有する表面改質カーボンブラック(I)と、
酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を、分子中に1以上有する分散剤(II)と、
有機溶剤(III)と、
を含有するカーボンブラック分散体組成物である。
本発明のカーボンブラック分散体組成物に係る該表面改質カーボンブラック(I)は、カーボンブラックの表面に、該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、該酸性官能基及び該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方と、窒素含有塩基性官能基と、を有している。つまり、該表面改質カーボンブラック(I)は、被改質カーボンブラックの表面に、該酸性官能基と該窒素含有塩基性官能基とが導入されたカーボンブラック、あるいは、該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基と該窒素含有塩基性官能基とが導入されたカーボンブラック、あるいは、該酸性官能基及び該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方と該窒素含有塩基性官能基とが導入されたカーボンブラックである。
該表面改質カーボンブラック(I)において、官能基が導入されるカーボンブラックとしては、チャネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラックと呼ばれるコンタクト法で製造されたカーボンブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラックと呼ばれるファーネスト法で製造されたカーボンブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックと呼ばれるサーマル法で製造されたカーボンブラック等が挙げられ、これらのうち、生産性に優れたファーネスブラックが好ましい。
該表面改質カーボンブラック(I)は、該酸性官能基を有しているか、該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基を有しているか、あるいは、該酸性官能基及び該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を有している。
該表面改質カーボンブラック(I)に係る該酸性官能基としては、特に制限されず、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、スルホン酸基(−SOH)、リン酸エステル基(リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル基を含む)等が挙げられる。これらのうち、該表面改質カーボンブラック(I)に係る該酸性官能基としては、カルボキシル基及び水酸基の組合せが好ましい。
該表面改質カーボンブラック(I)に係る該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基としては、特に制限されず、該表面改質カーボンブラック(I)に係る該酸性官能基が、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム等の塩基性化合物により中和された基である。例えば、該酸性官能基がカルボキシル基の場合、−COONa、−COONH等が挙げられる。
また、該表面改質カーボンブラック(I)において、該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基は、分子鎖を介して、該表面改質カーボンブラック(I)に導入されていてもよい。
該表面改質カーボンブラック(I)に係る該窒素含有塩基性官能基としては、窒素を含有し且つ塩基性の官能基であれば、特に制限されず、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、アミジン骨格を有する基等が挙げられ、アミノ基には、ピリジニル基(−CN)のような複素環式のアミノ基も含まれ、アミジン骨格を有する基には、イミダゾリン環のような複素環式のアミジン骨格を有する基も含まれる。なお、アミジン骨格を有する基とは、下式:
に示す骨格を有する官能基である。
該表面改質カーボンブラック(I)に係る該窒素含有塩基性官能基は、該表面改質カーボンブラックの表面に直接導入されているか、あるいは、分子鎖を介して、該表面改質カーボンブラック(I)に導入されている。例えば、該表面改質カーボンブラック(I)に結合しているのが下式:
の場合、分子鎖「−C(CH−]を介して、イミダゾリン環が導入されている。 また、1つの該表面改質カーボンブラック(I)の粒子に、2以上の該表面改質カーボンブラック(I)に係る該窒素含有塩基性官能基が結合していてもよい。
該表面改質カーボンブラック(I)を製造する方法としては、特に制限されず、その形態例を以下に示す。
該表面改質カーボンブラック(I)の製造方法は、先ず、酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックを、水又は後述する分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物との反応を阻害しない有機溶媒に、分散させ、均質な分散溶液を得る。このとき、該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の種類及び導入量は、特に制限されず、水への分散性が良好で、均質な分散溶液が得られるように、適宜選択される。
次いで、該酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックを、分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物と反応させて、該酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックを改質して、表面に塩基性官能基を導入し、該表面改質カーボンブラック(I)を得る。
官能基導入前のカーボンブラックに、酸性官能基を導入し、該酸性官能基が導入されたカーボンブラックを得る方法としては、該官能基導入前のカーボンブラックを、高温下で遊離酸素と接触させて酸化することや、オゾン、NOなどの酸化剤によって酸化することや、臭素及び水によって常圧下又は加圧下で処理することや、硝酸や硫酸などの酸化性の溶液で酸化することや、また、これらを組合わせることや、過酸化水素によって酸化すること等の酸化法により、該官能基導入前のカーボンブラックに、カルボキシル基又は水酸基を導入する方法が挙げられる。また、該官能基導入前のカーボンブラックに、酸化法以外で、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などの酸性官能基を導入する方法としては、ジアゾカップリング法が挙げられる。該酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックとしては、キャボット・スペシャリティ社製CAB−O−JET200、CAB−O−JET300、CAB−O−JET400などの水分散性のカーボンブラックが挙げられる。
該酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックを、分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物で表面改質して、該カーボンブラック(I)を得る方法としては、例えば、該酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックを水中に分散させ、次いで、該分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物を所定量加え、該分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物が熱により開裂してラジカルを発生する温度まで昇温することにより、開裂によって発生するラジカルが、該酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックの表面と反応して、該窒素含有塩基性官能基が導入される。
該表面改質カーボンブラック(I)の製造方法(1)に係る該分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物は、分子中のアゾ基が熱によって開裂し、該窒素含有塩基性官能基を有するラジカルを発生させる化合物である。つまり、該分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物のアゾ基に結合している基がラジカルとなる。
該分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物としては、特に制限されないが、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン):
、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンアミジン)・2塩酸塩:
、2,2’−アゾビス(1−イミノ−ピロリジノ−2−メチル−プロパン)・2塩酸塩:
、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン)・2塩酸塩:
、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン)・2硫酸塩:
、2,2’−アゾビス(2−(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2イル)プロパン)・2塩酸塩:
が挙げられる。
更に具体的には、該酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックを、該分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物で表面改質して、該表面改質カーボンブラック(I)を得る方法としては、該酸性官能基が導入されたカーボンブラック又はその酸性官能基の一部若しくは全部が塩基性化合物により中和されたカーボンブラックを、重量比で5〜20重量%となるように水に分散させ、次いで、アゾ基の開裂温度が40〜100℃の化合物である2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン)を加え、撹拌しながら40〜100℃に昇温し、開裂反応を完結させる。開裂反応によって、2−(2−イミダゾリン−2イル)プロピルラジカルが発生し、カーボンブラックの表面と反応して、(2−イミダゾリン−2イル)プロピル基が結合し、イミダゾリン環を有する該表面改質カーボンブラック(I)が生成する。生成した該表面改質カーボンブラック(I)を、ろ過し、洗浄により精製して、未反応の2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン)やその開裂熱分解物のうちカーボンブラックの表面と反応しなかったものを除去し、次いで、乾燥し、ミキサーで粉砕して、該表面改質カーボンブラック(I)を得る。該分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物が、塩の場合は、生成した該表面改質カーボンブラック(I)を、ろ過し、洗浄により生成する前に、中和することによっても除去できる。
本発明のカーボンブラック分散体組成物に係る該分散剤(II)は、該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、該酸性官能基及び該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を、分子中に1以上有する樹脂である。つまり、該分散剤(II)は、該酸性官能基が導入され樹脂、あるいは、該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基が導入された樹脂、あるいは、該酸性官能基及び該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方が導入された樹脂である。該表面改質カーボンブラック(I)の窒素含有塩基性官能基と、該分散剤(II)の酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基と、のイオン的引き合いが基点となり、該分散剤(II)が、分散剤として機能する。そして、該分散剤(II)は、該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基を有しているので、アルカリ現像液に溶解し易く、そのため、フォトレジスト組成物の未露光部分が完全に溶解し易く、未露光部分に汚れのないフォトレジストが得られる。
また、該分散剤(II)は、該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、該酸性官能基及び該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を、分子中に1以上有し、且つ、活性エネルギー線硬化性不飽和基を分子中に1以上有する樹脂である(以下、このような分散剤を「分散剤(II−β)」とも記載する。)ことが好ましい。つまり、該分散剤(II−β)は、該分散剤(II)のうち、活性エネルギー線硬化性不飽和基も、分子中に1以上有する樹脂である。そして、該分散剤(II)が、該分散剤(II−β)であることにより、フォトレジスト組成物の露光部分の硬化性を高くすることができるので、現像のコントラストが高く、露光部分の耐薬品性が高いフォトレジストが得られる。
該分散剤(II)は、該表面改質カーボンブラック(I)の分散剤として機能する。また、該分散剤(II)は、アルカリ可溶性である。
該分散剤(II)において、該酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基が導入される樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂等であり、該分散剤(II)では、これらの樹脂を骨格として、主鎖又は側鎖に、該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基が導入されている。また、該分散剤(II)には、ノニオン性親水分子鎖、活性水素を持たない第三級アミン基などの塩基性を有する含窒素塩基性基が導入されていてもよい。
該分散剤(II)に係る該酸性官能基としては、リン酸エステル基(リン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基、リン酸トリエステル基を含む)、スルホン酸基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)が挙げられる。該分散剤(II)に係る該酸性官能基は、樹脂の主鎖又は側鎖に、直接結合してもよいし、あるいは、樹脂の主鎖又は側鎖に分子鎖を介して導入されていてもよい。
該分散剤(II)に係る該酸性官能基が塩基性化合物により中和された基としては、特に制限されず、該分散剤(II)に係る該酸性官能基が、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム等の塩基性化合物により中和された基であり、−COONa、−COONH、−SONa等が挙げられる。
該分散剤(II)は、カルボキシル基又はスルホン酸塩基のうちのいずれかを有すること、カルボキシル基又はスルホン酸塩基の両方を有すること、あるいは、これらの基を有する樹脂の混合物であることが好ましい。特に、該分散剤(II)は、カルボキシル基を有することが、種々の性能バランスを取り易い点で好ましい。
該分散剤(II)に導入されている該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和されている基の量は、該分散剤(II)に導入されている該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物により中和されている基の種類、樹脂の構造や種類により、適宜選択されるが、該分散剤(II)が、骨格がポリウレタン樹脂であり酸性官能基としてカルボキシル基を有する樹脂の場合、該分散剤(II)の酸価は、好ましくは10〜250KOHmg/g、特に好ましくは20〜100KOHmg/gである。
該分散剤(II−β)に係る該活性エネルギー線硬化性不飽和基としては、遠赤外線、紫外線、電子線、X線等を照射したときに、ラジカル開始剤によってラジカルを発生し、あるいは、高エネルギー線の場合では不飽和基にラジカルが生じてラジカル重合をすることが可能なアクリロイル基、メタクロイル基、ビニル基等が挙げられる。
主鎖がポリウレタン樹脂である該分散剤(II)の製造方法を例示する。公知の製造方法としては、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物で中和された基を有する化合物(A)(以下、酸性官能基等を有する化合物(A)とも記載する。)とポリオール(B)とジイソシアネート(C)を40〜120℃で反応させることにより、該分散剤(II)を得る方法が挙げられる。この場合、該酸性官能基等を有する化合物(A)のモル数を(a)、該ポリオール(B)のモル数を(b)、該ジイソシアネート(C)のモル数を(c)とすると、
(1−1)((a)+(b))/(c)≧1とし、1段階の反応で、水酸基末端のポリウレタン樹脂を得る方法、
(1−2)先ず、第一段階の反応で、((a)+(b))/(c)≦1として反応を行い、一旦イソシアネート基末端の樹脂を得、次いで、第二段階の反応で、ポリオールと反応させ、水酸基末端のポリウレタン樹脂を得る方法、
が挙げられる。
必要に応じ、該(1−2)の該第一段階で得られたイソシアネート基末端の樹脂に、ジオール、アミン、アミノアルコール等を反応させ、分子を伸長させることもできる。
該酸性官能基等を有する化合物(A)と該ポリオール(B)と該ジイソシアネート(C)との反応は、無溶媒下又は有機溶媒中で行われる。反応溶媒としては、イソシアネート基と反応しない公知の任意の溶媒が挙げられる。ポリウレタン樹脂が、有機溶媒中で製造される場合は、反応後、必要に応じて、反応物を水に転送し、減圧蒸留により、該有機溶媒が除去される。
該主鎖がポリウレタン樹脂である該分散剤(II)が、更に、分子中に1以上の活性エネルギー線硬化性不飽和基を有する樹脂(分散剤(II−β))の場合、該樹脂(分散剤(II−β))を得る方法としては、該(1−2)の該第一段階で得られたイソシアネート基末端の樹脂のイソシアネート基と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどの水酸基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物と、を反応させる方法が挙げられる。
該主鎖がポリウレタン樹脂である該分散剤(II)の製造には、必要に応じて、公知の任意の触媒を用いることができる。該触媒としては、ジブチル錫ジサクシネート、ジブチル錫ジラウリレート、オクチル酸第一錫などの錫系触媒、トリエチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、DBU塩などのアミン系ウレタン触媒が挙げられる。
該主鎖がポリウレタン樹脂である該分散剤(II)の製造において、該酸性官能基等を有する化合物(A)としては、トリメチロールプロパンモノリン酸エステル、トリメチロールプロパンモノ硫酸エステル、二塩基酸成分の少なくとも一部がナトリウムスルホ琥珀酸又はナトリウムスルホイソフタル酸であるポリエステルジオール、リシン、シスチン、3,5−ジアミノカルボン酸等のジアミノカルボン酸類、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、カルボキシ基含有ポリカプロラクトンジオール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸等のジヒドロキシアルカン酸類、ジヒドロキシアルカン酸類のカプロラクトン付加物など、あるいは、これらの化合物の酸性官能基が塩基性化合物で中和された化合物が挙げられる。
該ポリオール(B)としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンジアミノプロピルエーテル、ジアミノプロピルエーテル、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等のノニオン系ジオール、カチオン系ジオールが挙げられる。
また、該ポリオール(B)としては、ひまし油変性ジオール、ひまし油変性ポリオール等の油脂由来の長鎖ポリオール、ロジン骨格或いは水添ロジン骨格を有するポリオールが挙げられる。2個以上の単量体からなるポリマーポリオールでは、単量体炭素数の平均が6以上の分子鎖を有する化合物、2以上の繰り返しのあるポリマーであって、単量体炭素数の平均が6以上からなるポリエステル、ポリカーボネート、ポリラクトン、ブタジエンジオールなどのポリマージオールなどが挙げられる。該2個以上の単量体からなるポリマーポリオールにおいて、好ましくは単量体の個々の炭素数が4以上からなり、且つ該2種以上の単量体炭素数の平均が6以上であって、好ましくは2種以上の単量体炭素数の平均が8以上であるポリマー鎖を挙げることができる。
該ポリオール(B)として、好ましい低極性分子鎖を持つポリエステルジオールは、例えば、炭素数4以上の分子鎖を有するグリコールと二塩基酸から得られる。該炭素数4以上の分子鎖を有するグリコールとしては、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8 −オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキシルジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェ ノールF、ひまし油変性ジオール、ひまし油変性ポリオール等が挙げられる。
該ポリオール(B)として、ジオール同効の化合物としてブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のアルキルモノグリシジルエーテル類、あるいは、アルキルグリシジルエステル(製品名カージュラE10:シェルジャパン製)等から選ばれる1種以上のモノエポキシ化合物が挙げられる。
該ポリオール(B)として、上記ジオールと、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸等の脂肪族二塩基酸、または無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸等の芳香族多塩基酸または その無水物、または無水ヒドロフタル酸、ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多塩基酸またはその無水物等から選ばれる1種以上の多塩基酸あるいは酸無水物(以下、多塩基酸)との縮合反応することによって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。これらの他にも、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトンなどの開環重合によって得られるポリエステルポリオールが非極性分子鎖を持つポリエステルジオールとして挙げられる。
該ポリオール(B)の分子量は、好ましくは数平均分子量300〜5000である。
該酸性官能基等を有する化合物(A)の必要量は、該酸性官能基又は該酸性官能基が塩基性化合物で中和された基の種類、組合せ等により適宜選択される。
本発明のカーボンブラック分散体組成物に係る有機溶剤(III)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラハイドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
本発明のカーボンブラック分散体組成物は、該有機溶剤(III)に、該表面改質カーボンブラック(I)及び該分散剤(II)を加え、ビーズミル等のホモジナイザー装置により混合し、該表面改質カーボンブラックを該有機溶剤(III)に分散させることにより得られる。
そして、本発明のカーボンブラック分散体組成物は、ブラックマトリックスを製造するためのフォトレジスト組成物の調製用のカーボンブラック分散体組成物として、好適に用いられる。
本発明のフォトレジスト組成物は、該表面改質カーボンブラック(I)と、該分散剤(II)と、を含有するフォトレジスト組成物である。
本発明のフォトレジスト組成物は、該表面改質カーボンブラック(I)及び該分散剤(II)の他に、該有機溶剤(III)、アルカリ可溶性樹脂(IV)、活性エネルギー線硬化性化合物(V)及び光重合開始剤(VI)を含有する。
本発明のフォトレジスト組成物に係る該表面改質カーボンブラック(I)、該分散剤(II)及び該有機溶剤(III)は、本発明のカーボンブラック分散体組成物に係る該表面改質カーボンブラック(I)、該分散剤(II)及び該有機溶剤(III)と同様である。
本発明のフォトレジスト組成物に係る該アルカリ可溶性樹脂(IV)は、アルカリ現像の際に、アルカリ現像液に溶解する樹脂であり、通常、フォトレジスト組成物のアルカリ可溶性樹脂として用いられるものであれば、特に制限されない。該アルカリ可溶性樹脂(IV)としては、例えば、特公昭56−40329号公報に開示されているエポキシ樹脂骨格のアクリレートに酸無水物を反応させて得られる、分子中に酸性官能基を導入したアルカリ可溶性のエポキシ樹脂骨格のアクリレートが挙げられる。
本発明のフォトレジスト組成物に係る該活性エネルギー線硬化性化合物(V)は、フォトレジスト組成物に赤外線、紫外線、電子線、X線等を照射させることにより硬化する樹脂、モノマー又はオリゴマーであり、通常、フォトレジスト組成物の活性エネルギー線硬化性樹脂、モノマー又はオリゴマーとして用いられる化合物であれば、特に制限されない。該活性エネルギー線硬化性化合物(V)としては、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、モノマー又はオリゴマーが挙げられる。具体的には、該活性エネルギー線硬化性化合物(V)としては、(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられ、これらは、2種類以上の併用であってもよい。
また、活性エネルギー線硬化性化合物(V)としては、1官能(メタ)アクリレートとして、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、ド デシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、グリシジル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の置換基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、2種類以上の併用であってもよい。
また、活性エネルギー線硬化性化合物(V)としては、多官能(メタ)アクリレートとして、例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5 −ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタ ノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性 アルキルリン酸(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、2種類以上の併用であってもよい。
本発明のフォトレジスト組成物に係る該光重合開始剤(VI)は、通常、フォトレジスト組成物に用いられる光重合開始剤であれば、特に制限されない。該光重合開始剤(VI)としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルエトキシフォスフィンオキシド、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モロフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が併用されても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用されても良い。
また、該光重合開始剤(VI)に対し、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、該アルカリ可溶性樹脂(IV)及び該活性エネルギー線硬化性化合物(V)と付加反応を起こさないアミン類が併用されても良い。もちろん、該光重合開始剤(VI)や該増感剤は、活性エネルギー線硬化性化合物(V)への溶解性に優れ、活性エネルギー線の透過性を阻害しないものが好ましい。
本発明のフォトレジスト組成物中、該表面改質カーボンブラック(I)の含有量は好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜8重量%であり、該分散剤(II)の含有量は好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜6重量%であり、該アルカリ可溶性樹脂(IV)の含有量は好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは3〜15重量%であり、該活性エネルギー線硬化性化合物(V)の含有量は好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは60〜85重量%であり、該光重合開始剤(VI)の含有量は好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%である。
本発明のフォトレジスト組成物は、更に、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、クリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の耐熱性又は流動性に優れた樹脂を含有することができる。
本発明のフォトレジスト組成物は、必要に応じて、分散安定性助剤、禁止剤、塗膜平滑助剤、その他添加剤を含有することができる。
本発明のフォトレジスト組成物は、本発明のカーボンブラック分散体を用いて、好適に製造される。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、該有機溶剤(III)に、本発明のカーボンブラック分散体組成物、該アルカリ可溶性樹脂(IV)、該活性エネルギー線硬化性化合物(V)及び該光重合開始剤(VI)を加え、必要に応じて、分散安定性助剤、禁止剤、塗膜平滑助剤、その他添加剤を加えて、混合することにより製造される。
本発明のフォトレジスト組成物を用いてブラックマトリックスを形成する方法としては、例えば、本発明のフォトレジスト組成物を基板に塗布後、フォトリソグラフィー法により、ブラックマトリックスを形成する方法、本発明のフォトレジスト組成物を印刷、スピンコート等により基板に塗布し、乾燥し、次いで、マスク密着、露光し、次いで、アルカリ現像して、基板上に任意の像を形成するリソグラフィー法により、ブラックマトリックスを形成する方法が挙げられる。
従来のフォトレジスト組成物は、分散剤として、塩基性官能基を有する樹脂が用いられていたが、この塩基性官能基を有する樹脂は、アルカリ現像液に溶け難いため、アルカリ現像液によって除去され難い。そのため、従来のフォトレジスト組成物は、現像性が低かった。
一方、本発明のフォトレジスト組成物は、分散剤として、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物で中和された基を、分子中に1以上有する該分散剤(II)が用いられている。そして、該分散剤(II)中の酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物で中和された基が、アルカリ現像液への溶解性を高める。そのため、該分散剤(II)がアルカリ現像液で良好に除去されるので、該分散剤(II)を用いることにより、現像性が高くなる。ただし、該分散剤(II)は、塩基性官能基を有する分散剤に比べ、カーボンブラックを分散させる性能が低い。そこで、本発明では、カーボンブラックに、窒素含有塩基性官能基を導入することによって、該表面改質カーボンブラック(I)と該分散剤(II)との相互作用を図り、カーボンブラックの分散性を高めている。よって、本発明のフォトレジスト組成物は、カーボンブラックの分散性が高く、且つ、アルカリ現像液による現像性が高くなる。更に、本発明のフォトレジスト組成物は、該分散剤(II)により現像性が高められているので、活性エネルギー線硬化性化合物に酸性官能基を導入してアルカリ可溶性を負担させるということを、しなくてもよい。そのため、従来のフォトレジスト組成物に比べ、現像性が高く且つ硬化塗膜の耐薬品性が高くなる。
以上のことにより、本発明のフォトレジスト組成物は、カーボンブラックの分散性が高く、アルカリ現像液による現像性が高く、且つ、硬化塗膜の耐薬品性が高いフォトレジスト組成物となる。
本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジスト法又はフォトリソグラフィ法により硬化塗膜を形成するフォトレジスト組成物として用いられる。特に、本発明のフォトレジスト組成物は、カラー液晶ディスプレイのカラーフィルター用のブラックマトリックス形成するためのフォトレジスト組成物として好適である。
また、本発明のカーボンブラック分散体組成物は、活性エネルギー線硬化型のインキ、活性エネルギー線硬化型の塗料、の顔料及びその分散剤成分として、適用可能である。つまり、活性エネルギー線硬化型のインキ、活性エネルギー線硬化型の塗料の製造の際に、顔料及びその分散剤成分として、本発明のカーボンブラック分散体組成物を、他の必要成分と共に混合し、これらのインキ、塗料等を製造することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。なお、実施例及び比較例における部並びに表中の数値は、重量部を表す。
<酸性官能基が導入されたカーボンブラックの調製例1>
STSA比表面積35m/g、DBP吸油量115cm/100gのカーボンブラック100gを、ペルオキソ2硫酸ナトリウム水溶液3dm中に入れて、0.12s−1の条件で10時間、撹拌混合して、湿式処理した。次いで、限外ろ過膜(旭化成製、AHP−1010、分画分子量50000)により、残存する塩を精製除去した後、ろ過、乾燥し、酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK1を得た。該酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK1のカルボキシル基量を以下の方法で測定したところ、124μmol/gであった。
<酸性官能基が導入されたカーボンブラックの調製例2>
STSA比表面積35m/g、DBP吸油量115cm/100gのカーボンブラック100gに代えて、STSA比表面積42m/g、DBP吸油量135cm/100gのカーボンブラック100gとする以外は、酸性官能基が導入されたカーボンブラックの調製例1と同様の方法で行い、酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK2を得た。該酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK2のカルボキシル基量を以下の方法で測定したところ、283μmol/gであった。
<カルボキシル基量の測定方法>
0.976mol/dmの炭酸水素ナトリウム0.5dmに、カーボンブラック2gを添加して、6時間振騰した後、カーボンブラックを反応液からろ過分離し、ろ液を0.05mol/dmの水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定し、カルボキシル基量を定量した。
<表面改質カーボンブラックの調製例1>
撹拌機、空気吹き込み管、冷却管付きのフラスコに、該酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK1を10部、純水90部に分散させた。次いで、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン)を1.5部加え、60℃に昇温し、60℃で5時間、空気を吹き込みながら撹拌を続け、更に、70℃に昇温し、70℃で1時間保持し、更に、80℃に昇温し、80℃で1時間保持した後、冷却した。冷却後、反応液を限外ろ過膜(旭化成製、AHP−1010、分画分子量50000)により、残存する2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン)及びその熱分解物などを除去して精製し、ろ過、乾燥し、ミキサーで粉砕して、表面改質カーボンブラックBB1を得た。
<表面改質カーボンブラックの調製例2>
該酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK1を10部に代えて、酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK2を10部とする以外は、表面改質カーボンブラックの調製例1と同様の方法で行い、表面改質カーボンブラックBB2を得た。
<表面改質カーボンブラックの調製例3>
撹拌機、空気吹き込み管、冷却管付きのフラスコに、該酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK1を10部、純水90部に分散させた。次いで、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸を1.8部加え、60℃に昇温し、60℃で2時間、空気を吹き込みながら撹拌を続け、更に、70℃に昇温し、70℃で2時間保持し、更に、85℃に昇温し、85℃で2時間保持した後、冷却した。冷却後、反応液を炭酸ソーダにてpHが7.5になるまで中和し、限外ろ過膜(旭化成製、AHP−1010、分画分子量50000)により、残存する2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン)及びその熱分解物などを除去して精製し、ろ過、乾燥し、ミキサーで粉砕して、表面改質カーボンブラックBB3を得た。
<比較カーボンブラック>
・酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK1:酸性官能基が導入されたカーボンブラックの調製例1で得たカーボンブラック、カルボキシル基量124μmol/g、STSA比表面積35m/g、DBP吸油量115cm/100g
・酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK2:酸性官能基が導入されたカーボンブラックの調製例2で得たカーボンブラック、カルボキシル基量283μmol/g、STSA比表面積42m/g、DBP吸油量135cm/100g
<市販の分散剤>
・BYK−9076:Byk Chemie社製、アミン価44KOHmg/g、酸価38KOHmg/g、
・ソルスパース44000:ルーブリゾール社製、酸価12KOHmg/g、不揮発分50%
<分散剤の調製>
撹拌機、乾燥空気吹き込み管、冷却管付きのフラスコに、N−ジメチルアミノプロピルアミン15.4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250部、2−ヒドロキシブチルアクリレート42.3部を加えて、70℃まで昇温し、70℃で2時間撹拌した。撹拌後、40℃以下に冷却し、ひまし油ジオールHS−2G−150R(豊国製油製)36部、クラレポリエステルジオールP−1050(クラレ製、数平均分子量994)121部、パインクリスタルD−6011(荒川化学製)46部、ジメチロールブタン酸36部、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート51部、イソホロンジイソシアネート92部を加えて、60℃で3時間反応させた。次いで、更に、分子中に水酸基と(メタ)アルリロイル基を有するライトアクリレートG−201P(共栄社化学製)59部、ジブチル錫ラウリレート0.3部、メトキノン0.3部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250部を加え、70℃で5時間反応させた後、40℃に冷却し、ポリウレタン樹脂ASP−1を得た。該ポリウレタン樹脂ASP−1は、(メタ)アクリロイル基濃度1.1meq/g、酸価30mg/g、アミン価32mg/g、固形分50重量%であった。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
表1に示すように、上記カーボンブラック20部と、上記分散剤5部(固形分重量比)と、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)75部とを、1mmφジルコニアビーズ250部と共に、ガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーにて2時間分散させ、分散体組成物CBB−1〜CBB−9を得た。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
BB1、BB2、BB3:表面改質カーボンブラック
TK1、TK2:酸性官能基が導入されたカーボンブラック
CB分散体組成物:カーボンブラック分散体組成物
表1中の数値は、重量部を表す。
ポリウレタン樹脂ASP−1 10部は、固形分5部に相当する。
(実施例7〜12、比較例4〜6)
<特公昭56−40329号公報に記載のエポキシ樹脂骨格のアクリレートに酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有するエポキシ樹脂骨格のアクリレートの調製>
リポキシSP−1509(昭和高分子製)776部、メトキノン0.4部、ヘキサヒドロ無水フタル酸219部、トリフェニルホスフィン2部を、撹拌機、空気吹き込み管、還流コンデンサー付きフラスコに仕込み、1時間かけて90℃まで昇温し、次いで、3時間かけて110℃まで昇温して、反応を行い、カルボキシル基を有するエポキシ樹脂骨格のアクリレートを得た。該カルボキシル基を有するエポキシ樹脂骨格のアクリレートの酸価は、105KOHmg/gであった。
次いで、反応液の入ったフラスコに、反応液の温度が70℃以下で、更に、ネオペンチルグリコールジアクリレート100部、トリメチロールプロパントリアクリレート250部、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2600部、光重合開始剤イカルガキュア(R)907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)80部を順に加えて、光重合開始剤が完全に溶けるまで撹拌し、希釈樹脂液Fを得た。
<フォトレジスト組成物の製造>
表2に示すように、該分散体組成物CBB−1〜CBB−9を40部、希釈樹脂液Fを40部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20部を、撹拌混合して、フォトレジスト組成物を得た。
CB分散体:カーボンブラック分散体組成物
表2中の数値は、重量部を表す。
<フォトレジスト組成物の粘度>
E型粘度計(東機産業製、TVE−20L)を用いて、温度298Kにおける粘度を測定した。粘度が20〜50mPasのときは「○」とし、50Pasを超えたときは「×」とした。
<フォトレジスト組成物中のカーボンブラックの粒径>
ヘテロダインレーザードップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA model 9349)を用いて測定した。測定は、フォトレジスト組成物中のカーボンブラック粒子凝集体の粒度分布曲線から50%累積度数の値を平均粒径と、99%累積度数の値を最大粒径として求めた。なお、測定時、粘度調整用の溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いた。
<ブラックマトリックスの形成>
上記のようにして製造したフォトレジスト組成物を、厚さ0.6mmの硼珪酸ガラス基板上にスピンコーターを用いて0.06s−1の回転速度で、塗布した後、温度393Kのホットプレート上で120秒間熱処理した。次いで、線幅が20μm(ブラックマトリックスとなる部分の幅が20μm)のマスクを介して露光装置(ウシオ電機製)により、200100mJ/cmの条件で紫外線照射した。その後、富士フィルムオーリン社製現像液FHD−5に浸漬し、流量8.33cm/s、吐出圧0.098MPaにてシャワー洗浄して現像し、非露光部の黒色樹脂層を除去した。最後に、表面温度523Kのホットプレート上で1時間加熱して、ブラックマトリックスを形成した。
<ブラックマトリックスの評価>
・未露光部分の汚れ
未露光部現像後の汚れを光学顕微鏡で観察した。汚れが全く見られないときは「○」とし、露光部と未露光部の界面において極僅かに汚れが見られたときは「△」とし、未露光部に汚れが見られたときは「×」とした。
・露光部硬化性
MEKラビング試験:UV硬化塗膜を電子天秤の上に乗せてメチルエチルケトン(MEK)を漬した綿棒で、100gの加重で押し付けながら、1秒間に1往復の速さで、20〜30mmの距離の同じ所を5往復擦り、塗膜の剥がれを観察する。
MEKラビングを5回行い、硬化塗膜が全くとれなかったときは「○」とし、表面が取れたときは「△」とし、下地まで達しとれたときは「×」とした。
・黒色度
マクベス濃度計(コルモーゲン製、RD−927)を用いて透過光学的濃度(OD値)を測定し、膜厚1μm当たりの光学的濃度を求め、OD値3.5以上を「○」とし、3.5未満を「×」とした。
表3に示すように、実施例は比較例に比べ粘度が低いことから分散性に優れることが判る。実施例は、平均粒径、最大粒径ともに比較例と同等或いは低い値を示していることからも分散性に優れることが判る。また、実施例の黒色度が高いことも分散性が優れると言う査証である。実施例7、8、9、11、12は、該表面改質カーボンブラック(I)と該分散剤(II)の組み合わせであり、未露光部の汚れの比較により、現像性が比較例に比べ優れていることが判る。実施例10は、該表面改質カーボンブラック(I)とアミン価44KOHmg/g、酸価38KOHmg/gを有する該分散剤(II)の組み合わせであり、分散性に優れ、比較例に比べると優れる。実施例11、12は、該表面改質カーボンブラック(I)と該分散剤(II−β)の組み合わせであり、MEKラビングで比較した露光部の硬化性は、硬化塗膜が全くとれず、活性エネルギー線硬化性不飽和基を持たない分散剤が用いられている実施例及び比較例に比べて優れる事が知れる。

Claims (4)

  1. 酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方と、窒素含有塩基性官能基と、を表面に有する表面改質カーボンブラック(I)と、
    酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を、分子中に1以上有し、且つ、活性エネルギー線硬化性不飽和基を分子中に1以上有する分散剤(II)と、
    有機溶剤(III)と、
    を含有し、
    前記表面改質カーボンブラック(I)が、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を表面に有するカーボンブラックを、分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物で表面改質して、窒素含有塩基性官能基を導入することにより得られるカーボンブラックである
    ことを特徴とするカーボンブラック分散体組成物。
  2. 前記表面改質カーボンブラック(I)の前記酸性官能基が、カーボンブラックを酸化処理して形成されるカルボキシル基及び水酸基であることを特徴とする請求項1記載のカーボンブラック分散体組成物
  3. 前記分散剤(II)の前記酸性官能基が、カルボキシル基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカーボンブラック分散体組成物。
  4. 酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方と、窒素含有塩基性官能基と、を表面に有する表面改質カーボンブラック(I)と、
    酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を、分子中に1以上有し、且つ、活性エネルギー線硬化性不飽和基を分子中に1以上有する分散剤(II)と、
    を含有し、
    前記表面改質カーボンブラック(I)が、酸性官能基又は酸性官能基が塩基性化合物により中和された基のいずれか、あるいは、酸性官能基及び酸性官能基が塩基性化合物により中和された基の両方を表面に有するカーボンブラックを、分子中にアゾ基及び窒素含有塩基性官能基を有する化合物で表面改質して、窒素含有塩基性官能基を導入することにより得られるカーボンブラックである
    ことを特徴とするフォトレジスト組成物。
JP2008018817A 2008-01-30 2008-01-30 カーボンブラック分散体組成物及びフォトレジスト組成物 Expired - Fee Related JP5565761B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008018817A JP5565761B2 (ja) 2008-01-30 2008-01-30 カーボンブラック分散体組成物及びフォトレジスト組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008018817A JP5565761B2 (ja) 2008-01-30 2008-01-30 カーボンブラック分散体組成物及びフォトレジスト組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009180874A JP2009180874A (ja) 2009-08-13
JP5565761B2 true JP5565761B2 (ja) 2014-08-06

Family

ID=41034908

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008018817A Expired - Fee Related JP5565761B2 (ja) 2008-01-30 2008-01-30 カーボンブラック分散体組成物及びフォトレジスト組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5565761B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010254765A (ja) * 2009-04-22 2010-11-11 Canon Inc 自己分散型顔料、自己分散型顔料の製造方法、インクセット、インクジェット記録方法
CN103946747B (zh) * 2011-11-11 2018-06-05 旭硝子株式会社 负型感光性树脂组合物、分隔壁、黑色矩阵以及光学元件
JP6240924B2 (ja) * 2013-06-07 2017-12-06 株式会社Adeka 光硬化性黒色組成物
JP6758214B2 (ja) * 2017-02-14 2020-09-23 理想科学工業株式会社 油性インクジェットインク

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11323144A (ja) * 1998-05-12 1999-11-26 Mitsubishi Chemical Corp 遮光性感光性樹脂組成物及びそれを用いたカラーフィルター
JP2000169780A (ja) * 1998-12-03 2000-06-20 Minolta Co Ltd カーボンブラック分散体及びその製造方法並びに水性インク
JP4681710B2 (ja) * 2000-04-28 2011-05-11 御国色素株式会社 電子写真用導電性高濃度カーボンブラック分散体およびその製造方法、ならびにそれからなる組成物
JP2004198717A (ja) * 2002-12-18 2004-07-15 Showa Denko Kk カラーフィルターブラックマトリックスレジスト組成物及びその組成物に用いるカーボンブラック分散液組成物
JP2005189561A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Toyo Ink Mfg Co Ltd 感光性黒色組成物、それを用いたブラックマトリックス基板およびカラーフィルタ
JP2008298859A (ja) * 2007-05-29 2008-12-11 Asahi Glass Co Ltd 感光性組成物、それを用いた隔壁、隔壁の製造方法、カラーフィルタの製造方法、有機el表示素子の製造方法および有機tftアレイの製造方法
JP5115046B2 (ja) * 2007-06-14 2013-01-09 東洋インキScホールディングス株式会社 感光性黒色組成物およびカラーフィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009180874A (ja) 2009-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5329817B2 (ja) カラーフィルター用顔料分散物及びそれを含有するカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物
US20050258406A1 (en) Black resist composition for color filter
JP5125525B2 (ja) インクジェット記録用インク組成物、及びカラーフィルター基板
CN101995771B (zh) 一种着色感光性树脂组合物及利用其制造的彩色滤光片及液晶显示装置
JP5488867B2 (ja) 顔料分散組成物、活性エネルギー線硬化型インキ及び活性エネルギー線硬化型塗料
WO2005078524A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、カラーフィルタおよび液晶表示装置
JP5445826B2 (ja) 顔料分散剤、顔料分散組成物及びフォトレジスト組成物
JP5565761B2 (ja) カーボンブラック分散体組成物及びフォトレジスト組成物
JP5488859B2 (ja) 顔料分散感光性樹脂組成物
JP2009167303A (ja) インクジェットインキ、及びカラーフィルタ基板
US20240061329A1 (en) Compound, leveling agent, coating composition, resist composition, and article
JP5169422B2 (ja) 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機elディスプレイ
JP4114805B2 (ja) 顔料分散組成物、その用途及び顔料処理用化合物
JP6768302B2 (ja) カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置
WO2004081070A1 (ja) 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、および液晶表示装置
JP2009241063A (ja) 活性エネルギー線硬化性不飽和基を有する分散剤、顔料分散組成物、活性エネルギー線硬化型インキ及び活性エネルギー線硬化型塗料
JP2007277512A (ja) カラムスペーサ用光熱硬化性樹脂組成物、カラムスペーサ、及び、液晶表示素子
JP5317908B2 (ja) カラーフィルター用顔料分散物およびそれを含有するカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物
JP2011148910A (ja) インクジェット記録用インク組成物、及びカラーフィルター基板
JP5717088B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂、活性エネルギー線硬化性展色剤、着色剤組成物および硬化物
JP2007023216A (ja) 着色組成物、感光性着色樹脂組成物、着色画像形成用感光液、着色画像の製造法、カラーフィルタの製造法及びカラーフィルタ
WO2004057380A1 (ja) カラーフィルター用感光性着色組成物、カラーフィルター及びその製造方法
JP2007070584A (ja) 着色組成物、感光性着色樹脂組成物、着色画像形成用感光液、着色画像の製造法、カラーフィルタの製造法及びカラーフィルタ
JP4577167B2 (ja) 着色組成物、感光性着色樹脂組成物、着色画像形成用感光液、着色画像の製造法、カラーフィルタの製造法及びカラーフィルタ
JP7030275B2 (ja) 感光性着色組成物およびカラーフィルタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140418

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140609

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5565761

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees